暁美ほむらは、見滝原中学校へ転校してきた時間操作の魔法少女である。第1話では鹿目まどかの夢に現れ、現実では契約を阻止しようとする謎の人物として行動する。第10話で、もとは心臓病の療養を終えた内気な転校生であり、まどかに救われた後、彼女との出会いをやり直して今度は自分が守ると願ったことが明らかになる。時間遡行を繰り返すうちに戦闘技術を身に付ける一方、他者へ事情を説明して協力する道を失っていく。
TVシリーズの救済を記憶する唯一の人物となり、『叛逆の物語』ではその記憶と愛情から、まどかの選択を自ら書き換える。担当声優は斎藤千和。

プロフィール:時間を繰り返す転校生
ほむらは見滝原中学校二年生。現在の時間軸では長い黒髪と落ち着いた態度を見せるが、最初の時間軸では眼鏡と三つ編みの内気な少女だった。長期の入院で学習や運動に自信を失っていた時、転校先で最初に声を掛けたのがまどかである。
左腕の盾には時間操作の機構と武器を保管する空間があり、時間を止めて銃器や爆発物を配置する戦術を使う。身体能力の変化は生まれつきの万能さではなく、反復の中で訓練と失敗を重ねた結果として描かれる。

契約と願い:「まどかとの出会いをやり直したい」
ほむらが契約時に告げる願いは 「まどかとの出会いをやり直したい。守られる私ではなく、まどかを守れる私になりたい」。この願いから派生する能力として、時間操作:とりわけ 約1ヶ月単位の時間遡行:がほむらに与えられる。能力の物理的な実体は左腕の盾の内側に格納された砂時計型機構で、ほむらはこの盾を反転させることで時間遡行を、止めることで時間停止を発動する。
攻撃魔法は持たないため、戦闘では ハンドガン・サブマシンガン・ライフル・対戦車ロケット・爆弾 等の実弾兵器を時間停止下で大量に設置・連鎖発動するという独特の戦闘スタイルになる。
魔女形態:ホムリリィ(くるみ割りの魔女)
ほむらの魔女形態は ホムリリィ(くるみ割りの魔女)。属性は『自己嫌悪』とも『諦め』とも訳され、結界の中で自分自身の処刑シーンを延々と上演し続けるという入れ子構造を持つ。劇場版[新編] 叛逆の物語(2013年10月26日)では物語前半の見滝原がこの結界の内側であることが終盤で明かされる、という本作屈指のミスディレクション演出が組まれている。PSPゲーム版『ポータブル』では『此岸(しがん)の魔女』と表記される版もある。

TVシリーズでの来歴
第1話から第9話までのほむらは、まどかの契約を止め、キュゥべえを排除し、ワルプルギスの夜へ備える。過去を説明しないため、まどかやマミには目的が伝わらず、さやかからも信用されない。第3話ではお菓子の魔女の危険を警告するがマミに拘束され、救出が間に合わない。第9話では杏子へさやかを戻せないと伝えるが、彼女の救出作戦を止めることもできない。
第10話は代表的な時間軸をたどり、ほむらが仲間へ頼る段階から、まどかだけを守るため一人で準備する段階へ変わった過程を示す。第11話でワルプルギスの夜へ単独で挑むが倒せず、再び時間を戻せば因果がまどかへ集まると知って絶望しかける。まどかが到着し、ほむらの時間と願いを理解したうえで最終的な契約を選ぶ。

『叛逆の物語』:ホムリリィと世界の再改変
『叛逆の物語』では、濁り切る直前のほむらのソウルジェムがインキュベーターの遮断空間へ置かれ、その内部に見滝原の結界が作られる。真相へ気付いたほむらは、自分がくるみ割りの魔女ホムリリィになりつつあると理解し、円環の理を観測させないため結界内で消滅しようとする。
仲間が遮断装置を破壊した後、まどかがほむらを導こうとする。しかしほむらは人間としてのまどかを円環の理から切り離し、宇宙法則を再び書き換える。自らを悪魔と呼ぶ選択は、まどかへ日常を返す行為であると同時に、本人が選んだ救済者としての役割を上書きする行為でもある。献身と支配の双方を含むため、どちらか一語だけで評価できない。

関係性:まどか・さやか・マミ・杏子・キュゥべえ
ほむらの物語は 鹿目まどか(声優: 悠木碧)との関係のみで駆動される。ほむらは複数のループを経てきた結果、まどかとの友情・依存・執着が同居する複雑な感情を抱えており、新編ラストの『悪魔ほむら』化はこの感情の極限としてシリーズ最大の二項対立に至る。
美樹さやか(声優: 喜多村英梨)とは TV版を通して『契約させまい』とするほむらと『恭介のために契約したい』と主張するさやかが衝突するが、新編『叛逆の物語』では円環の理の側に立つさやかと、結界世界を成立させているほむらが対峙するシリーズ屈指のアクションシーンが描かれる。

巴マミ(声優: 水橋かおり)・佐倉杏子(声優: 野中藍)・キュゥべえ(声優: 加藤英美里)とは TVシリーズ全12話と新編を通じて、契約・魔女化・インキュベーター問題の中心軸に立つ関係を持つ。
担当声優:斎藤千和(全シリーズ通じて担当)
ほむら役は 2011年のTVシリーズ第1話から、2012年の劇場版総集編2作、2013年の[新編]叛逆の物語、2026年8月28日公開予定の[ワルプルギスの廻天] まで一貫して 斎藤千和 が担当している。第10話「もう誰にも頼らない」の長い説明で複数ループを生きてきた感情の重層を一人で背負う芝居、新編ラストの『愛よ』『この感情こそが愛なら』という悪魔ほむら誕生の場面の声の演技は、本作の到達点として2013年公開時から繰り返し論じられている。

出演作品:主要作品での登場
ほむらが登場するシリーズ作品の一覧。詳細は各作品ページを参照。
- 魔法少女まどか☆マギカ(TVシリーズ):第1話の夢・転校から最終話のまどかの願い見届けまで、もう一人の主役。
- 劇場版[前編] 始まりの物語:TV第1〜8話の総集編。
- 劇場版[後編] 永遠の物語:TV第9〜12話の総集編。
- 劇場版[新編] 叛逆の物語:ホムリリィ結界世界の中心人物・悪魔ほむらへの変貌。
- 劇場版[ワルプルギスの廻天]:2026年8月28日公開予定、2026年8月28日公開予定。
関連キャラクター
ほむらの物語を理解する上で欠かせない他の魔法少女2人へのリンク。
「守る」という願いが変化した過程
ほむらの行動は一貫して鹿目まどかを守ることへ向いているが、「守る」の意味は作品ごとに変化する。最初の時間軸では、救われた自分が今度はまどかを救うという関係の逆転を願った。反復の途中では、契約を阻止し、ワルプルギスの夜を単独で倒すことが救済の条件になる。最終周回では、まどかが自分で選んだ願いを見届け、彼女が存在した記憶を保持する者となった。

『叛逆の物語』では、その記憶が新たな選択を生む。円環の理として全時間軸の魔法少女を救うまどかと、人間として家族や友人と暮らすまどかのどちらを本人の幸福と考えるか。ほむらは後者を選び、宇宙の法則から人間としての記録を切り離した。この行為は、まどかを思う感情の到達点であると同時に、本人の決断をほむらが上書きした瞬間でもある。彼女を理解するには献身か執着かの一語に決めず、両方が同時に成立する人物として見る必要がある。
時間停止能力と戦い方の特徴
ほむらの盾は、時間を戻す機構と、一定範囲の時間を停止する能力を兼ねる。攻撃魔法そのものより、停止した時間の中で武器を配置し、再開と同時に火力を集中させる戦術が中心である。爆発物や銃器を準備して運用する戦い方は、天賦の魔法だけに頼らず、失敗から得た知識を蓄積してきた彼女の性格と対応している。

ただし、経験を持ち越せても万能ではない。大型兵器を投入してもワルプルギスの夜を単独で確実に倒せず、他の魔法少女との連携は、秘密を抱えるほど難しくなる。能力の強さと救済の成功率が一致しない点が重要である。ほむらは戦闘を効率化するほど孤立し、孤立するほど守りたい相手の意思を確認できなくなる。このねじれがTVシリーズから『叛逆の物語』へ連続している。
ほむらを理解するうえでは、時間停止の強さと、その力で変えられなかったものを同時に見る必要がある。反復するほど戦闘経験は増える一方、同じ時間を共有した記憶はほむらだけに蓄積する。まどかを守るという目的が変わらなくても、周囲へ事情を説明する言葉は少なくなり、他者からは冷淡に見える。この非対称な記憶が、転校直後の無口な姿と、最初の時間軸で見せた臆病な姿をつないでいる。
