『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [前編] 始まりの物語』は、2012年10月6日にアニプレックス配給で全国43館にて公開された、TVシリーズ第1話〜第8話を上映時間131分に再編集した総集編劇場版である。総監督・新房昭之、監督・宮本幸裕、脚本・虚淵玄、キャラクター原案・蒼樹うめ、音楽・梶浦由記、制作・シャフト。「総集編」と銘打たれているが、その実態は「手を入れていないカットは1カットもない」(監督・宮本幸裕)と表現された全カット完全リマスターであり、紙サイズを拡大した新規作画素材を撮影段階で縮小合成して劇場スクリーン用に画質を底上げし、新規オープニング映像と変身バンク、第10話以外を全セリフ再収録した新規アフレコ、梶浦由記による新規劇伴約40曲を追加し既存トラックを5.1chサラウンドにリミックスするという、TVシリーズの「劇場用作り直し」と呼ぶに相応しい再構築が施されている。同年10月13日公開の後編『永遠の物語』と合わせて1年後の[新編]叛逆の物語(2013-10-26)、さらに2026-08-28公開予定の[ワルプルギスの廻天]へと連なるシリーズ劇場版の起点となった作品である。
あらすじ — TV版第1話〜第8話の再構築
見滝原市に暮らす中学2年生・鹿目まどかは、ある夜、不思議な少女の夢を見る。翌朝、その夢に出てきた少女・暁美ほむらが転校生として教室に現れたところから物語が動き出す。同級生・美樹さやかと共に異形の空間に迷い込んだまどかは、そこで魔法少女・巴マミと、白い不思議な生き物「キュゥべえ」に出会う。キュゥべえは「君たちも僕と契約して魔法少女になってよ」と二人に持ちかけ、どんな願いでも一つだけ叶える代わりに「魔女」と戦う宿命を背負わせようとする。
本作はTVシリーズ第3話「もう何も恐くない」の決定的な転回点を経由し、第4話以降のさやか契約と上条恭介への想い、第5話で登場する赤い魔法少女・佐倉杏子との対峙、第7話「本当の気持ちと向き合えますか?」での魔法少女と魔女の構造を巡る最初の真実開示、そして第8話「あたしって、ほんとバカ」さやかが自分自身の選択に追い詰められていく前半クライマックスまでを上映131分に圧縮して描く。後編『永遠の物語』では本作のラスト直後から第9話以降の本シリーズ後半が続く構成となる。
完全リマスター — 「手を入れていないカットは1カットもない」
本作は単なる総集編ではなく、TVシリーズ全12話のうち第1話〜第8話を劇場用に作り直したフィルムである。監督・宮本幸裕は本作について「不手を入れていないカット は1カットもない」(=手を入れていないカットは1カットもない)と語っており、TV版の全カットに対して何らかの調整・修正が施されている (出典 ja.wikipedia 同記事)。具体的には、(1) 紙サイズを劇場仕様まで拡大した上で新規作画を行い、撮影段階で縮小合成することで劇場スクリーン投影時の画質劣化を回避した。(2) 新規オープニング映像と新規変身バンクを追加し、TV版に存在しなかった劇場版用の「掴み」を作り出した。(3) 蒼樹うめがキャラクター原案を担当する立場から劇場版用の新衣装と新表情を提供した。これらの再構築の結果、本作は「劇場版でしか観られない『魔法少女まどか☆マギカ』」として、TV版とは独立した視聴価値を持つ作品となっている。
音響再構築 — 全セリフ再収録 + 新規劇伴40曲 + 5.1ch化
音響面でも本作は大幅に手を入れている。声優は鹿目まどか役の悠木碧、暁美ほむら役の斎藤千和、美樹さやか役の喜多村英梨、巴マミ役の水橋かおり、佐倉杏子役の野中藍、キュゥべえ役の加藤英美里など、TV版から続投する主要キャストが劇場版に向けて全セリフを再収録した。例外として第10話「もう誰にも頼らない」の音声のみTV版を引き続き使用しているが、これは本作 (前編) の収録範囲には含まれず、後編『永遠の物語』に該当する。
劇伴は梶浦由記が新規楽曲約40曲を書き下ろし、既存トラックを5.1chサラウンドへリミックスした。本作の劇場版オープニングテーマには ClariS の6thシングル「ルミナス」(2012-10-10 発売、作詞・作曲 渡辺翔、SME Records) を採用、本作のために書き下ろされた新曲がそのままシリーズ劇場版のテーマソングとなった。エンディングテーマには Kalafina の「Magia [quattro]」を採用、こちらはTV版ED「Magia」を梶浦由記自身が劇場版用にアレンジし直した楽曲で、Kalafina 12thシングル『ひかりふる』(2012-10-24 発売、SME Records) に収録されている。
制作背景 — 「劇場で観てもらうための作り直し」
本作の劇場版企画は、TVシリーズ放送終了直後の2011年中盤から動き出した。新房昭之総監督と虚淵玄、蒼樹うめ、シャフトによる「Magica Quartet」体制はそのままに、シリーズディレクターを担当した宮本幸裕が劇場版では「監督」としてフィルムを統括し、TVシリーズの素材を1カット単位で点検・調整するワークフローが組まれた。深夜TVアニメから劇場版総集編に進む際の「フィルムグレード化」のひとつの到達点として、本作はその後のアニメ業界での劇場版総集編制作のリファレンス的位置を占めることになる。
また本作の劇場公開には、TVシリーズ視聴者だけでなく、震災後に間に合わなかった視聴者・TV版未視聴者を含む新規層へのリーチも狙いとして組み込まれた。後編『永遠の物語』(2012-10-13公開) との2部構成は、TV版12話分を映画館で「2週連続で完結まで観てもらう」体験設計であり、シリーズ初の本格的劇場展開でもあった。本作の好評を受けて1年後の2013年10月26日に完全新作の[新編]叛逆の物語が公開され、シリーズの劇場展開は新作映画路線へと舵を切ることになる。
興行成績 — 初期43館 → セカンドラン26館拡大、合算11.5億円
本作は初期公開時点で全国43館という限定上映規模だったが、好評を受けて2012年11月23日〜12月1日にかけて全国26館でのセカンドラン拡大公開が実施された。映画.com 2012年11月14日付ニュースによれば、11月11日時点で前編は観客動員357,645人・興行収入5億1,863万2,300円、後編は観客動員336,847人・興行収入4億8,262万5,500円を記録、2部作合算で総動員694,492人・総興行収入10億125万7,800円に達し、深夜アニメ発の総集編劇場版としては異例の興行成績を示した。
その後セカンドラン期間を含めた最終興行収入は、2013年2月末時点で前編約5.7億円・後編約5.5億円・合計約11.5億円、観客動員数は2部作合算で約80万人にまで到達した (出典 ja.wikipedia 同記事)。北米でも限定上映が行われ約180,440米ドル (約1,700万円) を売り上げており、本作はその後の[新編]叛逆の物語(2013) が深夜アニメ劇場版として初の興行収入20億円を突破する地盤を作った。
受賞 — 第16回アニメーション神戸 テレビ部門 作品賞
本作と後編『永遠の物語』の2部作は、第16回アニメーション神戸 (2012年度顕彰) でテレビ部門 作品賞を受賞した。「テレビ部門」での顕彰となったのは、本作がTVシリーズの再構成であるという作品性質に基づくもので、劇場版でありながらTV作品としての評価軸で表彰された格好となる。なお、Blu-ray・DVDの初回限定盤はオリコン週間総合1位を獲得し、本作は深夜アニメ劇場版総集編の販売・配信モデルとしても成功事例となった。
主要登場人物 — TV版から続投する5人 + キュゥべえ
本作の登場人物はTVシリーズから全員続投。鹿目まどか (CV: 悠木碧) を主人公に、転校生としてあらわれる暁美ほむら (CV: 斎藤千和)、まどかの親友で第3〜8話の中心人物となる美樹さやか (CV: 喜多村英梨)、第3話「もう何も恐くない」で本作のジャンルを反転させる巴マミ (CV: 水橋かおり)、第5話以降登場の赤い槍使い佐倉杏子 (CV: 野中藍)、契約を持ちかける白い小動物キュゥべえ (CV: 加藤英美里) の6人が中心となる。各人物の詳細は まどか☆マギカ登場人物 から個別ページへ順次拡充予定。
配信状況 (2026年5月時点)
本作は2026年5月時点で複数のサブスクリプション/購入型動画配信サービスで視聴可能。配信状況は流動的なため視聴前の公式情報の再確認を推奨する。
- Netflix — 劇場版2部作の見放題配信を確認 (Netflix Japan: netflix.com/jp/title/80041087 等)。
- 各種購入型VOD — Amazon Prime Video / U-NEXT / dアニメストア等で都度課金・見放題の窓口は時期により変動するため公式 madoka-magica.com の最新案内を要確認。
- Blu-ray / DVD — アニプレックスより2013年7月24日発売 (初回限定盤がオリコン週間総合1位)。4K UHD Blu-rayの新装盤も後年発売されている。
- 劇場版2部作公式 — www.madoka-magica.com/zenkouhen/ で最新の上映/配信告知が確認できる。
関連作品 — TV版・後編・[新編]・新作への接続
本作の前提となるTVシリーズ『魔法少女まどか☆マギカ』 (2011) は全12話で完結する物語。本作 (前編) はそのうち第1話〜第8話を再構築した内容で、続く『[後編] 永遠の物語』 (2012-10-13公開) でTV版第9話〜第12話に相当する後半が描かれる。前後編で完結したのち、シリーズは完全新作の『[新編] 叛逆の物語』 (2013-10-26公開) でTV版完結後の続編へと進む。外伝として『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』(アニメ) (2020〜2022) が並行展開され、シリーズ最新作の『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ〈ワルプルギスの廻天〉』 (2026-08-28公開予定) は2026年5月23日時点で未公開。観る順番の整理は まどか☆マギカ観る順番ハブ を参照。
本ページの主な参考資料
本ページに記載した事実は、以下の一次情報および信頼性の高い二次情報を WebSearch / WebFetch で参照して記述している。記述の現状は2026年5月23日時点であり、配信状況・関連作品の公開状況等は随時更新する。