魔法少女は本作の主役格にして犠牲者でもある存在で、地球外知性体 インキュベーター(キュゥべえ)と契約を交わし、あらゆる願いを1つ叶える代償として『魔女と戦う使命』を背負わされた少女である。第6話「こんなの絶対おかしいよ」でソウルジェムが魔法少女の魂そのものであり肉体は抜け殻にすぎないこと、第8話「あたしって、ほんとバカ」で魔女化がシステムの一部であることが連続して明かされ、それまでの『可愛い少女が変身して戦う』というジャンル像は丁寧に解体されていく。
シリーズの劇場版前編後編(総集編)・[新編]叛逆の物語・マギアレコードを含め、魔法少女とは何かを問い続ける作品の中心概念にあたる。
契約:願いと引き換えに得る力
キュゥべえに選ばれた少女は、願いを一つ実現する代わりに魔法少女となる。願いの規模や発揮できる力には、本人が背負う因果が関係する。普通の中学生だったまどかが宇宙法則を書き換えられるほどの資質を持ったのは、ほむらが時間を繰り返すたび、複数の時間軸の因果がまどかへ集まったためである。

劇中には能力を数値で測る共通単位は示されない。「魔法少女としての資質」のような独自の尺度へ置き換えず、キュゥべえが語る因果量と資質の関係として理解するのが正確である。
武器と固有魔法
魔法少女はそれぞれ異なる武器と能力を使う。マミはリボンとマスケット銃、ほむらは時間操作、さやかは治癒に由来する高い回復力、杏子は分節する槍、まどかは弓矢を用いる。願いと能力の間に対応が見られる人物もいるが、すべての技を願いだけから説明できるわけではない。

魔女を倒してグリーフシードを得なければ、消耗したソウルジェムを浄化できない。この資源条件が縄張り意識や競争を生む一方、共闘や分配を選ぶ余地もある。制度が対立を促しても、魔法少女同士が必ず敵対するわけではない。
魂の本体であるソウルジェム
第6話で、契約した少女の魂がソウルジェムへ移されていたことが明かされる。肉体は魔力で修復しやすい器となるが、宝石から離れれば動けず、宝石を壊されれば死亡する。本人の同意なく存在の形を変える処置であり、契約前に説明されなかったことがさやかの自己認識を大きく傷つける。
魔女化:希望から絶望への相転移
ソウルジェムは戦闘・浄化を繰り返すうちに濁りを蓄積していき、完全に濁りきった瞬間に魔女化=魔法少女から魔女への相転移が発生する。第8話でさやかの魔女化(人魚の魔女オクタヴィア)が描写され、続く第9話「そんなの、あたしが許さない」でインキュベーターの真の目的、第10話「もう誰にも頼らない」でほむらの時間遡行の動機がそれぞれ開示される。希望と絶望の落差として解放される膨大なエネルギーがエントロピー回避の燃料として収穫される、というシステムの全貌が浮上する。

主要な魔法少女
TVシリーズでは、巴マミ、暁美ほむら、佐倉杏子、美樹さやかが契約者として登場し、鹿目まどかは最終話で契約する。『叛逆の物語』では円環の理から美樹さやかと百江なぎさが派遣され、結界内で既存の仲間と行動する。人数を単純な編成として数えるより、各人物がどの世界と記憶に属しているかを見ることが重要である。
魔法少女のよくある質問
ここでは、本文で扱った要点を質問別に整理する。
魔法少女になる条件は?
キュゥべえが選んだ思春期前後の少女であること。その上で願い1つを差し出す契約を交わす必要がある。性別・年齢のしばりは設定上は男性候補も可能性として言及されるが、TV・劇場版・マギレコ通じてキュゥべえが声をかけるのは少女に限定されている。

魔法少女の本体はどこにある?
ソウルジェム。第6話で肉体は遠隔操作される人形であることが明かされる。ソウルジェムから100メートル以上離れた肉体は機能停止する。
魔法少女は不死身?
肉体は再生・修復が利きほぼ不死だが、ソウルジェムを破壊されると即死する。第6話以降、本体が小さな宝石である事実が物語の緊張感を支配する。
契約:願いと引き換えに得る力
キュゥべえに選ばれた少女は、願いを一つ実現する代わりに魔法少女となる。願いの規模や発揮できる力には、本人が背負う因果が関係する。普通の中学生だったまどかが宇宙法則を書き換えられるほどの資質を持ったのは、ほむらが時間を繰り返すたび、複数の時間軸の因果がまどかへ集まったためである。

劇中には能力を数値で測る共通単位は示されない。「魔法少女としての資質」のような独自の尺度へ置き換えず、キュゥべえが語る因果量と資質の関係として理解するのが正確である。
願いの効果範囲はどこまでか
願いが実現できる規模には、契約者が背負う因果と資質が関係する。まどかはほむらの時間遡行によって多数の時間軸の中心となり、全宇宙の過去と未来へ及ぶ願いを実現できた。作中では一律の数値や測定法は示されず、人物ごとの因果関係として説明される。

願いと固有魔法のつながり
契約で叶えた願いは、魔法少女が得る能力の性質に影響する。怪我の治癒を願った美樹さやかは高い回復力を持ち、他者と出会った時間をやり直したいと願った暁美ほむらは時間操作の力を得た。巴マミのリボン、佐倉杏子が一時失った幻惑など、すべてを一対一で単純に説明できるわけではないが、願いは戦い方と人物の課題を結ぶ起点になる。
武器も人物ごとに異なる。まどかは弓、さやかは剣、杏子は多節槍、マミはリボンから生成するマスケット銃を用いる。ほむらは盾の時間操作と、現実から調達した火器や爆発物を組み合わせる。能力差は強さの順位を決めるためだけでなく、それぞれが問題へどう対処するかを映像化している。
同じ呼称でも立場は一様ではない
魔法少女という呼称は共通でも、契約の動機、活動歴、戦う地域、仲間の有無は人物ごとに異なる。マミは人命救助を優先し、杏子は生存資源を重視し、ほむらはまどかの契約阻止へ目的を絞る。制度から同じ役割を与えられても、何を守るかによって戦い方と他者への態度が変わる。この差を追うことが、人物同士の衝突を理解する近道になる。

契約前に知らされない条件
キュゥべえは願いを実現し、契約した少女へ戦う力を与える。しかし、魂がソウルジェムへ移されること、濁り切れば魔女になること、希望から絶望への転換がエネルギー回収の目的であることを、質問されない限り積極的には説明しない。言葉上の契約違反を避けながら、意思決定に必要な情報を欠いた状態で選択させる。
この情報格差のため、魔法少女になることは単なる職業選択や使命の受諾ではない。一度成立すれば魂の状態を元へ戻す手段は示されず、戦いをやめてもソウルジェムの濁りは問題として残る。少女たちは願いが叶った瞬間より後になって、代価の全体像を理解する。
協力を難しくする制度
魔女を倒せば、ソウルジェムの浄化に使えるグリーフシードを得られる。活動地域の魔女は有限であるため、魔法少女同士は同じ敵を狩る仲間であると同時に、資源を競う関係にもなる。経験者の巴マミが孤独を抱え、佐倉杏子が縄張りと効率を重視するのは、個人の性格だけではなく制度の構造にも原因がある。

それでも協力が成立する場面では、単独ではできない戦い方が生まれる。『叛逆の物語』冒頭の五人は連携してナイトメアを処理し、終盤では円環の理に関わる者たちがインキュベーターの隔離を破る。魔法少女という語は共通の身分を表すが、その関係が敵対になるか共同体になるかは、世界の状態と情報共有によって変わる。
円環の理が変えた結末
改変前の魔法少女は、戦いと絶望でソウルジェムを濁らせ、最後には魔女になる。鹿目まどかは全時間軸の魔女を生まれる前に消すと願い、この結末を変更した。改変後も魔法少女は願いと引き換えに力を得て魔獣と戦うが、限界時には円環の理へ導かれ、自分が次の敵になる循環から外れる。

したがって、シリーズ内の「魔法少女」は同じ条件を常に指すわけではない。TVシリーズ前半、魔女の正体判明後、円環の理成立後、ほむらの再改変後で、契約者が知る情報と迎える結末が変わる。人物や作品を比較する際は、どの世界法則の下にいる魔法少女かを確認する必要がある。
この違いは、同じ人物が複数の作品へ登場する場合に特に重要である。記憶を保っているか、魔女の存在を知っているか、円環の理へ接続しているかによって、同じ武器を持つ人物でも判断は変わる。人物名だけでなく、作品と時間軸を併記することで設定の混同を避けられる。
魔法少女の身体は、契約後も日常生活では人間と同じように見えるが、魂はソウルジェムへ移されている。キュゥべえはこの処置を戦闘に耐えるための合理化として説明するものの、契約前に当人へ十分な説明はしない。痛覚を弱めて戦うことも可能になる一方、宝石が身体から離れれば肉体は動かなくなる。力を得ることと、人間として当然だと思っていた条件を失うことが、同じ契約の中で結び付いている。
