本文へ移動
ANNA MOVIES魔法少女まどか☆マギカ百科事典

人物

キュゥべえ

願いと引き換えに少女を魔法少女へ変える存在。感情を理解できない種族の論理で、希望と絶望の変換を利用します。

  • インキュベーター
  • 契約
  • エントロピー
正面から見つめるキュゥべえ

キュゥべえは、願いを一つ実現する代わりに少女を魔法少女へ変える契約者である。白い小動物の姿でテレパシーを使い、同じ外見の個体が複数存在する。種族名はインキュベーター。宇宙全体で利用できるエネルギーの減少を補うため、少女が希望から絶望へ変化する際に生まれるエネルギーを回収している。虚偽を述べることは避ける一方、魂をソウルジェムへ移すことや魔女化を契約前に自発的には説明しない。感情を持たない種族の合理性と、人間が求める十分な説明や同意が衝突する存在である。

担当声優は加藤英美里。

キュゥべえに関連する作中場面
「キュゥべえ」に関わるキュゥべえの作中場面。

呼称と外見:鹿目まどかが命名した『キュゥべえ』

『キュゥべえ』という名前は、第1話で鹿目まどかが偶然命名した愛称であり、本来の種族名は『インキュベーター』。外見は白い体毛・赤い瞳・耳元から伸びる『ピアス』状の長い飾り・背中側に宇宙的な金色のパターンを持つ、猫もしくは小型哺乳類状の四足生物として描かれる。動作はぬいぐるみ的だが、テレパシー通信と契約発動という超常の能力を備える。

本編で確認できるだけでも見滝原市内の路地・空き地・部屋の中・宇宙的な空間と縦横無尽に出現し、特定の個体が単独でいるのではなく、見た目で識別できる予備端末が無数に存在する『種族そのもの』である事実が第10話「もう誰にも頼らない」で明示される。

キュゥべえに関連する作中場面
「呼称と外見:鹿目まどかが命名した『キュゥべえ』」に関わるキュゥべえの作中場面。

契約のシステム:願いソウルジェム

キュゥべえが少女たちに持ちかける『契約』のシステムは以下の通り。(1) 契約志望者は『どんな願いでも一つだけ叶える』:ただし叶えうるのは『その少女が背負える奇跡の量』までで、まどかのように全時空を貫く願いは異例。(2) 願いと引き換えに少女の魂は身体から取り出され、宝石状の『ソウルジェム』として外在化される。これ以降、少女の物理的身体は実質的にソウルジェムによって遠隔操作される器に近い構造になる(第6話以降で開示)。

(3) 少女は魔法少女として『使い魔』『魔女』との戦闘に従事し、グリーフシード(魔女の死体)でソウルジェムを浄化する循環の中で生きる。(4) ソウルジェムを浄化しきれなくなると魔女化し、新たな魔女として次の魔法少女に狩られる対象になる。

正体:インキュベーターと宇宙のエントロピー枯渇抑止

キュゥべえの正体は インキュベーター と呼ばれる地球外知的種族の地球用端末であり、本体は別星系にある。インキュベーターは感情を持たない種族であり、彼ら自身では宇宙のエントロピー枯渇:熱力学第二法則による宇宙の熱的死:を抑止するエネルギーを生成できない。そこで彼らが目を付けたのが、地球の人類、特に 第二次性徴期の少女の感情 である。

キュゥべえに関連する作中場面
「正体:インキュベーターと宇宙のエントロピー枯渇抑止」に関わるキュゥべえの作中場面。

少女たちの『希望から絶望への相転移』:魔法少女から魔女へ堕ちる瞬間:は熱力学の常識を超える膨大なエネルギーを放出することが本作のサイエンス・フィクション設定として組まれており、インキュベーターはソウルジェムをグリーフシードへ転化させる過程でこのエネルギーを回収・宇宙のエントロピー抑止に利用している。この真実は第10話前後で段階的に開示され、第11話「最後に残った道しるべ」のキュゥべえの長い説明で完全に明らかになる。

能力と個体の交換可能性

キュゥべえは契約を成立させ、少女の魂をソウルジェムへ変える。契約候補や魔法少女とはテレパシーで会話でき、グリーフシードが限界へ近づくと回収する。戦闘で敵を倒す役割は担わず、魔法少女の行動と感情の変化を観察する。

ソウルジェムを持つキュゥべえ
肉体と魂を分離する契約の仕組みは、物語中盤で明かされる。

一つの身体が倒されても、同じ外見の個体がすぐ現れる。第8話では、ほむらに撃たれた身体を次の個体が処理し、個体の死を損失とみなさない姿勢を示す。夢への介入や視覚共有までを固有能力として断定できる描写はないため、作中で確認できる契約と通信の範囲に留める。

TVシリーズでの来歴

第1話でほむらに追われ、まどかとさやかへ助けを求めた後、二人へ契約を持ちかける。マミが制度を説明する間も、キュゥべえは魂の移動や魔女化を補足しない。第6話でさやかの身体が止まると、魂を宝石へ移した理由を安全上の処置として説明する。第8話では、さやかのソウルジェムがグリーフシードへ変わる過程を示し、魔法少女と魔女が同じ循環に属すると明かす。

魔法少女へ説明を続けるキュゥべえ
キュゥべえは人間の感情を理解せず、目的に沿って契約を説明する。

第9話で杏子がさやかを戻せる可能性へ賭けるのを止めず、結果としてワルプルギスの夜に対抗できる魔法少女をほむら一人にする。第11話では宇宙のエネルギー問題と人類史への介入をまどかへ説明する。最終話でまどかの願いを実現した後は改変前の魔女を知らず、魔獣が残す物質を回収する関係へ変わる。

新編『叛逆の物語』(2013):円環の理を捕えようとする側

劇場版[新編] 叛逆の物語(2013年10月26日公開)では、円環の理として概念化したまどかをインキュベーターが『観測・回収』しようとする展開が描かれる。具体的には、ほむらのソウルジェムを実験的隔離装置の中に閉じ込め、円環の理の介入を阻むことで、円環の理を物理的に観測しようと試みる。この実験そのものが結果としてほむらの『悪魔ほむら』化を引き起こすため、キュゥべえ=インキュベーター側は新編ラストで世界改変の側に追いやられる。

キュゥべえに関連する作中場面
「新編『叛逆の物語』(2013):円環の理を捕えようとする側」に関わるキュゥべえの作中場面。

ラストの世界では、キュゥべえは『使役される存在』としてほむらに頭を踏まれるカットで本作の対立軸の決着が示される。

関係性:5人の魔法少女と物語の対立軸

キュゥべえの関係は5人の魔法少女全員と『契約の媒介者』として接続する。鹿目まどか とは『契約候補』として全12話を通して接触し続け、最終話でまどかの願いを成立させる媒介者となる。暁美ほむら とは複数ループを通じて最も敵対的な関係を持つ:ほむらは銃撃でキュゥべえを破壊することを厭わない。美樹さやか とは契約の媒介と、ソウルジェムが本体であるという事実真相の開示者として関係する。巴マミ とは契約の媒介と第3話の死の冷たい見届け人として関係する。

キュゥべえに関連する作中場面
「関係性:5人の魔法少女と物語の対立軸」に関わるキュゥべえの作中場面。

佐倉杏子 とは契約の媒介と、一家心中の真相を後付けで知る関係者として接続する。

担当声優:加藤英美里(全シリーズ通じて担当)

キュゥべえ役は 2011年のTVシリーズ第1話から、2012年の劇場版総集編2作、2013年の[新編]叛逆の物語、2026年8月28日公開予定の[ワルプルギスの廻天] まで一貫して 加藤英美里 が担当している。加藤は2008年の第2回声優アワード新人女優賞・歌唱賞受賞経歴を持ち、本作では『感情を持たないインキュベーターの平坦さ』と『契約を促すための愛らしさ』を声の演技だけで両立させる独特の芝居で評価された。

第11話のインキュベーターの目的を語る長い説明は本作の真相提示シーンの中心的な演技として知られる。

キュゥべえに関連する作中場面
「担当声優:加藤英美里(全シリーズ通じて担当)」に関わるキュゥべえの作中場面。

出演作品:主要作品での登場

キュゥべえが登場するシリーズ作品の一覧。詳細は各作品ページを参照。

関連キャラクター

キュゥべえの物語の対立軸となる主要魔法少女5人へのリンク。各キャラページも同じ構成。

キュゥべえに関連する作中場面
「関連キャラクター」に関わるキュゥべえの作中場面。

キュゥべえは嘘をついているのか

キュゥべえは、自分から虚偽を述べることを合理的でないと考える。しかし、契約判断に必要な条件を先にすべて話すわけではない。魂の移動を問われると、尋ねられなかったから説明しなかったと答える。発言が事実かどうかと、相手が十分に理解して同意できる情報を渡したかは別の問題である。

また、人間の感情を理解しにくいことは、行動の影響を予測できないという意味ではない。杏子がわずかな救出可能性へ賭けることや、まどかが友人を救うため契約を考えることを利用している。悪意の有無だけで評価せず、情報と選択肢をどのように配置したかを見る必要がある。