ネタバレ注意 関連作品の展開と結末を含みます。
- 名・称号
- チャ・トゥク/ネイモア、ククルカン、タロカン国王
- 能力
- 水中呼吸、飛行、超人的身体能力、長寿
- 目的
- タロカンの存在を隠し、地上国家から国民を守ること
- 中心作品
- 『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』
概要
ネイモアは、海底王国タロカンを治める国王であり、足首の翼で空を飛ぶミュータントである。16世紀、疫病と植民地支配から逃れようとしたユカタンの人々がヴィブラニウムを含む植物を摂取し、水中で生きる身体へ変化した。その時に母の胎内にいた彼は、地上でも呼吸できる特別な存在として生まれ、数世紀にわたり国を守ってきた。
ワカンダがヴィブラニウムの存在を世界へ公表した後、米国が探知装置を使って海底資源を発見し、タロカンの秘密が脅かされる。ネイモアは装置を作ったリリ・ウィリアムズの引き渡しと、地上世界に対抗する同盟をワカンダへ要求する。脅威の原因を正しく見抜きながら、一人の若者の命と他国の主権を自国防衛の手段として扱う。
ラモンダの死を伴うワカンダ攻撃の後、シュリは復讐のため人工ハーブを作りブラックパンサーとなる。二人は砂漠で戦い、シュリが優位に立つが、互いの国が復讐を続ければ終わらないと判断して和平を選ぶ。ネイモアは降伏後もワカンダが孤立すればタロカンへ助けを求めると予測し、和平を敗北ではなく長期戦略へ組み込む。

01チャ・トゥクとして生まれた経緯
ユカタンの村が天然痘に襲われ、司祭は水辺で見つけたヴィブラニウム由来の植物から薬を作る。摂取した人々は青い皮膚とえらを持つ身体へ変化し、空気中では呼吸できなくなって海へ移住する。妊娠中の母フェンは子を心配してためらうが、共同体とともに薬を飲む。
チャ・トゥクは水中民族としての能力に加え、地上呼吸と飛行能力を持って生まれる。母が死んだ後、彼女の望みをかなえるため故郷の地上へ埋葬しに戻り、植民者が先住民を奴隷にしている光景を見る。彼らを殺した時、司祭から愛を持たない者という言葉を投げられ、そこからネイモアの名を取る。

02タロカンとククルカンの立場
タロカンの民はネイモアを王だけでなく羽根ある蛇神ククルカンとして敬う。数世紀生きる彼は建国の記憶を持ち、国民の安全と文化の連続性を自分の身体で結ぶ。ワカンダの王位のような定期的な継承が描かれず、王と国家の関係が極めて個人的である。
海底都市はヴィブラニウムで光と設備を作り、音楽、壁画、球技など独自文化を発展させる。地上から隠れたことは停滞ではなく、侵略を避けて社会を守る戦略だった。ただし秘密を守る判断が一人の長寿王へ集中し、国民が他国との関係を選ぶ手続きは見えにくい。

03ヴィブラニウム探知機とリリの命
米国の探査船が海底ヴィブラニウムを発見すると、タロカン兵は部隊を攻撃し、探知装置の開発者を追う。装置を作ったのはMITの学生リリであり、本人は政府が実用化したことも、海底国家を危険にさらしたことも知らない。ネイモアは事情より、装置を再現できる存在を消すことを優先する。
ワカンダへリリの引き渡しを要求し、拒否すれば攻撃すると告げる。ワカンダも世界からヴィブラニウムを狙われているため共通利害はあるが、同盟を脅迫で始める。安全保障上の懸念が現実でも、発明者個人へ国家間問題の責任を集中させる方法は、彼女の選択と法的保護を奪う。

04シュリへ見せた海底王国
シュリとリリがタロカンへ連行された後、ネイモアはシュリへ潜水服を与え、都市と民の生活を見せる。単に捕虜を威圧するのではなく、自国が守る価値を理解させ、王族同士の共感から同盟を得ようとする。母の形見の腕輪を渡し、自分の起源も語る。
シュリは国民の美しさを認めても、地上世界への先制戦争には同意しない。共有された喪失や王の責任が、同じ政策を選ぶ理由になるとは限らない。ネイモアは理解を同意と取り違え、ワカンダが自分の戦略へ参加しない場合を裏切りとして扱う。

05ワカンダ攻撃とラモンダの死
ナキアがシュリとリリを救出する際、タロカンの番人を殺す。ネイモアは国民の死への報復としてワカンダを洪水で攻撃し、都市へ侵入する。軍事施設だけでなく首都全体が被害を受け、市民が避難する。国を守る名目で、同じく侵略を恐れる国家の住民へ大規模な危険を与える。
王宮でラモンダは溺れるリリを救い、自分は死亡する。ネイモアは一週間後に地上との戦争へ加われと告げて撤退し、喪失を交渉材料にする。この死によってシュリは母、兄、故郷への悲しみを復讐へ集中させ、ネイモア自身が恐れていた全面戦争を現実へ近づける。

06砂漠での決闘と和平
シュリはネイモアが水分から力を得ると分析し、乾燥装置を備えた船で砂漠へ誘導する。海から離れた彼は弱体化するが、飛行と槍でブラックパンサーを追い詰める。シュリは腹部を刺されても装置の爆発で彼を乾燥させ、最後に槍を向ける。
母の幻とタロカンの民を思い出し、シュリは復讐を止めて降伏と和平を提案する。ネイモアが受け入れたことで両軍の戦闘も止まる。相手の国を滅ぼせるまで続けるのではなく、指導者二人が終結を選ぶ。ただし死者と被害が消えるわけではなく、和平は信頼の完成ではなく次の破局を避ける最低条件である。

07降伏後の長期戦略と今後
タロカンへ戻ったネイモアは、ナモーラから降伏を批判される。彼はワカンダが世界の敵となり孤立すれば、唯一の同盟国タロカンへ頼るため、今回の和平が将来有利になると説明する。戦いを止めた判断に国民保護と戦略計算が同居しており、完全な改心としては描かれない。
またワカンダはタロカンの存在を世界へ明かさず、リリも装置を持ち帰らない。秘密は当面守られるが、海底ヴィブラニウムを探す国家の動機は残る。ネイモアが次に同盟、威嚇、先制攻撃のどれを選ぶかは未確定であり、和平後も独立した主権者として警戒と協力の両方を持つ。

読み解く要点
ネイモアはワカンダを脅かす対立者だが、タロカンの国民にとっては植民地支配から国を守ってきた王である。視点によって役割が変わることと、リリの殺害要求や首都攻撃の責任は両立する。守る対象があることだけで、他者の国を侵略する手段は正当化されない。
タロカンとコミックのアトランティスをそのまま同一視しない。MCUではメソアメリカ文化と植民地史を背景にした海底国家として構成され、ネイモアの本名、称号、国民との関係も映像版固有の要素を持つ。原作知識は比較材料であり、本編の事実を置き換えない。
視聴では『ブラックパンサー』でワカンダの隔絶と開国を確認し、『ワカンダ・フォーエバー』へ進む。探査船、タロカン訪問、ワカンダ洪水、砂漠決闘、ナモーラとの会話を順に見ると、敵対から和平へ進みながら、双方の安全保障問題が残っていることが分かる。