アラマキは、『ONE PIECE』に登場する海軍本部の大将であり、異名を「緑牛」という。マリンフォード編の頂上戦争の後、大将の席に生じた二つの空席を埋める世界徴兵によって、南の海の王国の警察官から大将へ抜擢された異色の経歴を持つ。
悪魔の実は自然系の「モリモリの実」。植物を生み出して操り、自分の体を巨大な森へ変える力の持ち主で、公式のキャラクター検索では「森人間」と紹介される。性格は、元帥となったサカズキを崇拝し、海賊へ容赦しない「死ぬ気の正義」を掲げる一方、上官の命令を無視してワノ国編へ独断で飛び込むような衝動の持ち主でもある。大将就任はイッショウ(藤虎)と同時で、二人は世界徴兵で選ばれた大将として並び語られる。
「緑牛」の異名が作中で初めて言及されたのは原作第713話で、ドレスローザのドンキホーテ・ドフラミンゴが藤虎と対峙した場面で、二人を実力者として名を挙げたときだった。姿を見せたのは原作第905話・TVアニメ第882話のレヴェリー編だが、このときはシルエットだけの登場で、素顔と本名「アラマキ」が明かされたのは原作第1053話である。
基本情報
- 名前:アラマキ
- 異名:緑牛
- 所属:海軍本部
- 階級:大将
- 出身:南の海・タヤ王国
- 旧職業:警察官
- 誕生日:2月29日
- 年齢:41歳
- 身長:308cm
- 血液型:X
- 悪魔の実:モリモリの実(自然系)
- 正義:死ぬ気の正義
- 懸賞金:約30億ベリー(クロスギルドによる海軍への懸賞金額)
- 声優:藤原啓治(第882話)→諏訪部順一(第1079話〜)
身長は308cmと、同じ大将の藤虎(270cm)を大きく上回る巨体である。左の胸から腹にかけて「死川心中」と彫られた刺青が外見上の大きな特徴で、海軍のコートを素肌の上に羽織るだけの、上着を着ない出で立ちで登場した。コートの裏地は緑で、ズボンの左脚には花模様が入る。煙草を吸う場面も描かれている。
好物は熟成酒で、食事を面倒がって3年間何も食べていないと初登場時に語った。能力で水分を体に取り込めることに加え、SBS第106巻では光合成によって断食を維持していると説明されている。それでも「美人に食べさせてもらえるなら断食をやめてもいい」と藤虎に語るなど、気取らず砕けた振る舞いが多い。笑い方は「らはは」。
世界徴兵で大将になった「緑牛」
アラマキの経歴は、海軍内部で階級を上る正攻法の出世とはまったく違う。南の海のタヤ王国で警察官を務めていたが、女性に関わる大事件を起こして投獄される。頂上戦争から2年の間に、その途方もない実力の噂が世界政府の耳に届き、釈放されたうえで世界徴兵への参加が打診された(SBS第110巻)。
この世界徴兵は、クザンの大将辞任とサカズキの元帥昇進によって空いた大将の椅子を二つ埋めるために行われた。選ばれたのがアラマキと藤虎であり、海軍に籍のなかった二人がいきなり大将に就任する人事である。大将三人のうち二人が同時に空くという事態自体が異例であり、世界政府は身内の昇進だけでは枠を埋められないところまで追い込まれていた。
大将の権限は元帥の次位に位置する。艦隊の指揮、組織全体の戦略への関与、バスターコール発動をはじめとする特別命令権を持ち、その権限を下位へ委譲することもできる。海軍大将は世界政府が繰り出せる「最大戦力」と称される立場であり、獄中にいた人物が二年足らずでその一角へ据えられたことになる。
サカズキに寄り添う「死ぬ気の正義」
アラマキの正義の標語は「死ぬ気の正義」である(SBS第106巻)。敵との戦いで手加減しないというサカズキの「徹底的な正義」に共鳴しており、元帥に認められたいという動機が、彼の行動を大きく左右する。
思想も過激である。世界政府に属さない国への差別を公言し、ワノ国では「差別が安心を生む」とまで語った。世界貴族を本物の神と信じ、上に立つ者が下を思いのままに扱ってこそ社会が回るという、強烈な階級秩序の信奉者である。海軍大将の中でも、世界政府への忠誠の度合いは突出している。
一方で、その忠誠は命令遵守を意味しない。サカズキの命令に背いて独断で動き、追及を受ければ曖昧な受け答えで切り抜け、部下には上官へ報告しないよう口止めする。ワノ国へ向かった際には、個人的な任務のために独断で戦艦を呼び寄せてさえいる。尊敬する上官に認められたい一心で、その指示を曲げることも辞さない。忠誠心と反骨心が同居した、扱いの難しい部下である。
同じ大将の藤虎との関係は良好で、初登場の場面でも互いに冗談を言い合う間柄が描かれた。ただし人権を重んじる藤虎とは思想が根本から違うため、マリージョアでの奴隷解放をめぐっては刃を交えるまで対立が深まることになる。
植物そのものになるモリモリの実
アラマキの悪魔の実は、自然系のモリモリの実である。植物を生み出し、自在に操作し、自らの体も植物へと変えられる。生み出した枝や蔓は通常の植物のような硬さの制限を受けず、指先から削り出した枝を自在に伸ばして広範囲の敵を串刺しにする規模で展開できる。背中に巨大な花を咲かせ、それをプロペラのように回して空を飛ぶこともできる。彼が歩いた跡には草木や花が生え、不毛の地だった兎丼に緑が残された。
自然系でありながら、植物は固体であるため無形化はできない。ここがモリモリの実の癖である。ただし覇気が込められていない攻撃なら通用せず、損傷を受けても再生する。ワノ国では、モモの助の吐いた炎で巨大化した植物の体を焼き尽くされた直後、地面に残った若芽から体を生やし直して戦闘を続けた。描かれた限りでは、体を失っても残った芽から立て直せる能力である。
攻撃方法は多様である。蔓で相手を絡め取り、武装色の覇気で硬めた枝の先で刺し貫き、刺した相手から水分ごと吸い上げて干からびさせる。兎丼では酒樽に枝を突き立てて中身を味見する場面もあった。赤鞘の侍たちとの戦いでは、雷ぞうから水分を奪って戦闘不能にしている。
覇気の使い手としても高度で、生み出した枝の先端を武装色で硬化させられる。ワノ国の沖合にいたシャンクスが放った覇王色を遠距離から感知した場面は、大将級の見聞色の精度を示している。腰には鍔と鞘のない直刃の刀を差しており、接近戦の備えも怠っていない。
レヴェリー、マリージョアで藤虎と語る
シルエットでの初登場となるレヴェリー編のマリージョアは、世界の王族が集まる祭典の舞台である。パンゲア城の敷地で、藤虎とベガパンクや七武海制度について語り合った。話題は、七武海制度が失われたときの海軍の戦力の穴という重いものだった。
ここで彼は、サカズキから藤虎を追い出せと命じられていた。しかし命令を実行する代わりに、同僚大将との歓談を選んだ。大将同士が争っても得にならないという判断であり、以後の独断行動を思えば、彼の軍務に対する姿勢はこの時点からすでに示されていたことになる。
革命軍幹部と交わったマリージョアの戦い
レヴェリー四日目、マリージョアに潜入した革命軍の幹部たちと交戦する。参謀総長サボをはじめとする部隊は、奴隷にされていた元王下七武海バーソロミュー・クマの救出を目的としていた。西軍軍隊長モーリーとぶつかったアラマキは、藤虎とともにドラゴンの居場所を吐かせようとしたが、拒まれている。
この戦いでアラマキは、奴隷たちの解放に手を貸した藤虎に刃を向けている。同僚でありながら役目を放棄し、奴隷の逃走を助けた藤虎を許せなかった結果である。さらに戦いの最中には、退避しようとしない世界貴族たちから巻き添えにすれば死刑だと脅され、全力を出せない状況に置かれた。神と崇める相手の横暴に苛立ちを覚えたことが、忠誠の対象と現場の都合が噛み合わない形で描かれている。結局、革命軍はクマの救出に成功して聖地から脱出した。
ワノ国への独断飛来と撤退
ワノ国での行動は、アラマキという人物を最も鮮明に映す。鬼ヶ島での決戦から一週間後、カイドウとビッグ・マムという四皇の同時転落が世界に混乱をもたらす中、彼はサカズキの許可も得ずにワノ国へ飛んだ。目的はルフィの殺害であり、それで元帥に認められると考えての独断である。
電伝虫で居場所を突き止めたサカズキは、事態を悪化させるなと警告したが、命令は無視された。四皇が二人同時に落ちた直後のワノ国は、世界の情勢が一番読めない場所であり、大将の一人が独断で入るだけで国際問題になりかねない状況だった。彼はまず兎丼の囚人採掘場へ向かった。収監されていた百獣海賊団を襲い、看守ババヌキを含む番人たちを処理し、キングとクイーンという大看板も枝に串刺しにして吊るした。二人は鬼ヶ島での傷が癒えていない状態だったが、アラマキは「大看板の相手に負ければ大将の顔が立たない」と語り、抵抗する相手を容赦なく貫いた。
花都へ向かう途中では、傳ジロー、雷ぞう、河松、イヌアラシ、ネコマムシ、しのぶが迎撃に現れた。アラマキは体を巨大な森へ変えて大規模な攻撃を仕掛けたが、割って入ったヤマトの覇王色をまとった一撃を頭に受け、地面に叩きつけられて負傷した。「痛い」と認めつつも致命傷とはならず、体勢を立て直している。龍の姿で駆けつけたモモの助はまだ炎を吐けず、枝で締め上げられて動きを封じられた。アラマキは蔓で侍たちを圧倒し、雷ぞうの水分を奪い、ルフィを引き渡せと命じて、拒んだモモの助を嘲笑った。
転機はモモの助が炎を吐いたことだった。巨大化した植物の体は焼かれて失われたが、アラマキは残った若芽から体を再生させ、本気を出すと宣言した。その直後、ワノ国の沖合にいたシャンクスが放った覇王色の衝撃を受けて動きを止められ、覇気越しに新しい時代の海賊たちへ手を出すなという警告を受けた。赤髪海賊団と戦うつもりはなかったとして、彼はその場から撤退した。
この一件の最中、彼はカイドウが君臨していた限り自分のような敵もワノ国へ攻め込めなかったと口にしている。敵である四皇の存在がワノ国の抑止力になっていたという認識は、撤退を余儀なくされた大将の口から出たことで重みを持つ。
ウィーブル逮捕とその後
七武海制度の廃止後、海軍は元七武海の拘束に動いた。スフィンクスでは、白ひげの故郷へ現れたエドワード・ウィーブルと海軍が衝突し、ラテルの隊が増援を要請する。アラマキは増援として派遣され、ウィーブルとの戦闘の末にこれを逮捕した。白ひげの息子を名乗る元七武海を捕らえた実績は、独断癖とは別に、大将としての任務遂行力を示している。
また、クロスギルドが海軍へ懸けた懸賞金では、大将の額が約30億ベリーと示されている(原作第1087話)。世界政府の「最大戦力」に対し、海賊側の組織が付けた値段である。
アニメと声優の交代
TVアニメでは第882話で初登場した。声優は当初藤原啓治が務めたが、第1079話から諏訪部順一に交代している。ワノ国への独断行動は第1080話「祝祭の宴!新しき海の皇帝達!」から第1082話「新時代到来!赤髪の皇帝の怒り」にかけてアニメ化され、森が街を覆う規模感や枝の硬化する描写まで映像化された。レヴェリーでの革命軍との戦闘も、原作で回収されたタイミングに合わせてアニメで描かれている。声優交代の前後で、藤原啓治の飄々とした語り口から諏訪部順一の低い落ち着いた声へと印象が変わっている。
名前の由来とモデル
アラマキの名前と姿のモデルは、俳優の故・原田芳雄と、彼が映画『浪人街』で演じた役柄である。SBS第105巻で明かされた。『浪人街』にはボルサリーノのモデルとなった田中邦衛、イッショウのモデルとなった勝新太郎も出演しており、大将三人のモデルが一本の映画に揃う構図になっている。胸の「死川心中」の刺青は、原田の楽曲「新宿心中」への目配せではないかと指摘されている。
異名の動物にも配列がある。緑牛の「牛」と藤虎の「虎」は、陰陽道で北東を指す丑寅(うしとら)に対応し、桃太郎が退治に向かう鬼の住む方角と重なるという説明がSBS第76巻でされた。赤犬・青雉・黄猿の初代三大将が桃太郎のお供の犬・雉・猿に対応する意匠の延長である。SBS第73巻では読者から寄せられたアラマキの想像図が紹介され、尾田栄一郎は「超クールなデザインをもう描いてある」と語っていた。


