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2011年版 第124話
2011年版アニメ第124話「ケッカイ×ト×カクセイ」を解説。改造されたパームとキルアの戦い、黒い寡婦、プフの分身、記憶を取り戻した転換を整理する。
第124話「ケッカイ×ト×カクセイ」は2014年4月9日に放送され、原作No.293終盤からNo.294を映像化する。宮殿地下から現れたパームはキメラ=アントの兵士へ改造されており、キルアの前に立ちはだかる。
戦いの焦点は強さの比較だけではない。ゴンの居場所を守ろうとするキルア、感情と記憶を操作されたパーム、帽子の陰で命令を下すシャウアプフが、ゴンへ近づく資格を巡って衝突する。

繭から目覚めキメラアントの姿となったパーム 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博

黒い寡婦で髪を全身へまとったパーム 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博

キルアとパームの対峙を描く第124話の場面 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博

改造前に水晶球で千里眼を使うパーム 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博

帽子の内側からパームへ命令するシャウアプフ 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博
基本情報
| 媒体 | 2011年版TVアニメ |
|---|---|
| 話数 | 第124話 |
| 副題 | ケッカイ×ト×カクセイ |
| 放送日 | 2014年4月9日 |
| 原作対応 | No.293終盤〜No.294 |
繭から現れたパーム
宮殿地下の繭から出たパームは、以前の人間の姿を残しながら、魚の鱗を思わせる皮膚やひれ、額の水晶を備えている。討伐隊が知るパームと同一人物でも、敵の処置を受けた現在の状態は分からない。
パームはキルアを見分け、まずゴンの居場所を尋ねる。その受け答えは記憶が完全に失われていないことを示す一方、誰の命令で行動しているかまでは証明しない。
キルアが警戒したのは外見の変化そのものではなく、ゴンへ接触した時に何をするか判断できない点である。再会を急がず、通路上で相手の目的を確かめる。
曲がり角を使ったヨーヨー
電気を補充したキルアは、通路の曲がり角へヨーヨーを反射させて先を探る。正面から姿をさらさず、硬い壁と重量のある道具を利用して接触前に相手の反応を得る。
ヨーヨーは攻撃だけでなく偵察の役割を持つ。宮殿内では敵味方の位置が短時間で変わるため、視界の外へ道具を通す判断が先手になる。
パームの気配に覚えがあっても、キルアは本人だと即断しない。感覚による一致と、目の前の身体に起きた変化を分けて確認している。
ゴンの居場所を言わない理由
パームがゴンの場所を重ねて尋ねても、キルアは答えない。敵に変えられたパームがゴンを攻撃すれば、肉体だけでなく、カイトを救う希望にすがるゴンの心まで壊れると考える。
この判断はゴンから命令されたものではない。キルア自身がゴンの不安定さを見て、本人の代わりに接触相手を選別する防壁となる。
パームにとっては、以前から抱いていたゴンへの思いを否定された形になる。互いにゴンを案じていても、相手の現在を信用できないため会話が戦闘へ傾く。
黒い寡婦が覆う身体
パームは念能力「黒い寡婦」を発動し、伸ばした髪を全身へ巻き付ける。髪は黒い衣服と幅広い帽子のような外形を作り、防御と攻撃を同時に支える装甲になる。
髪をまとう変化は、改造後に突然得た別人の能力ではない。パームが持つ念とキメラ=アント化した身体が組み合わさり、接近戦でキルアを追い詰める。
帽子状の部分は見た目だけの装飾ではなく、プフの小さな分身が潜む死角にもなる。能力の外形が、本人の意志を監視する仕掛けへ利用されている。
殴られながら崩れたキルア
キルアは攻撃を受けながらも反撃し、パームをゴンへ通さない。しかし説明を続けるうち、ゴンを守り切れない恐れと、自分だけでは救えない無力感が表へ出る。
涙は戦闘に負けたためではない。ゴンのそばにいる資格を失うこと、カイトの件で追い詰められた友人を支えられないことが、一度に言葉となる。
暗殺者として感情を隠してきたキルアが、敵かもしれない相手の前で泣く。その脆さが、操作されたパームの内側へ届く刺激になる。
帽子の中にいたプフの分身
パームの帽子には、シャウアプフの分身が小さくなって潜んでいる。分身はキルアの動揺を好機とみなし、パームへ殺害を命じる。
プフの狙いは兵士の自律性ではなく、王に都合のよい行動を取らせることである。記憶や感情が命令を妨げるなら、それらを欠陥として扱う。
キルアには帽子の内側が見えず、命令の存在も分からない。視聴者はパームの攻撃が本人の選択か、外からの強制かを同時に見守る位置へ置かれる。
パームが殺したもの
命令を受けたパームが拳を向けた先は、無防備なキルアではなく帽子に隠れたプフの分身である。自分を監視し操作していた存在を、一撃で排除する。
この反撃によって、パームの記憶と判断が戻ったことが行動で確かめられる。口頭で味方だと宣言するより先に、誰の命令を拒んだかが立場を示す。
プフの分身を倒しても本体まで消えるわけではない。それでも、パームを実験兵として支配する直接の鎖は断たれ、キルアとの戦いは終わる。
ゴンに必要なのはキルア
正気を取り戻したパームは、キルアの言葉によって記憶が戻ったと伝える。さらに、現在のゴンが最も必要としているのは自分ではなくキルアだと認める。
これは恋愛感情の勝敗ではない。ゴンが追い詰められた過程を理解し、長く隣で行動してきたキルアにしか担えない役割を見定めた発言である。
キルアはゴンを支える資格がないと感じていたが、パームは逆の結論を示す。戦闘で押し通せなかった自己評価が、相手の回復を通じて修正される。
実験兵を失敗とみなすプフ
南へ向かうプフ本体は、ユピーと合流しながらパームの実験結果を考える。記憶を残した兵士は意志を取り戻し、命令へ反するため失敗だったと結論づける。
プフにとって人格の回復は喜ぶべき出来事ではない。王へ従う軍隊には過去の記憶が不要であり、個人の関係は統率を乱す要因になる。
同じ出来事をキルア側から見れば仲間の覚醒、プフ側から見れば兵器開発の失敗となる。この評価の差が、人間関係を守る側と消そうとする側の対立を明確にする。
人間の記憶を残す改造
パームの身体にはキメラ=アントの特徴が加わっているが、ゴンとキルアの名前、宮殿へ来た目的、以前の感情まで完全には消えていない。改造は人格を白紙にして新しい兵士を作る処置ではなかった。
記憶が残っていても、本人が自由に使えるとは限らない。プフの分身が行動を監視し、必要な時に命令を差し込むことで、過去の関係を罠として利用できる。
だからキルアは、パームが昔の話を知っているだけでは味方と判断しない。誰のために拳を振るうかを見届けるまで、ゴンへ会わせない姿勢を崩さない。
水晶が支える千里眼
額にある水晶は、改造後のパームが視覚情報を扱ううえで重要な部位として描かれる。以前の水晶球を使う占いから、身体そのものへ能力の媒体が組み込まれた形になる。
パームの能力は、条件を満たした相手の現在を視認できるため、討伐隊にとって索敵上の大きな戦力となる。ただし第124話の戦闘中には、すべての新しい条件が説明されるわけではない。
外見の変化と能力の強化を一括して推測せず、画面で使われた黒い寡婦、後に説明される千里眼の条件を分けて確認する必要がある。
ゴンを守る二つの立場
キルアはゴンをパームから遠ざけようとし、パームはゴンへ会うためキルアを押しのけようとする。表面では対立しても、どちらもゴンを自分なりに守ろうとしている。
差があるのは、現在のゴンをどこまで知っているかである。キルアはカイトを治す交渉で変化したゴンを間近で見ており、再会が精神へ与える影響まで考えている。
パームはキルアの涙と説明を受けて状況を更新し、自分が先に会うべきだという考えを変える。味方へ戻る過程は、記憶の復活だけでなく判断の修正として描かれる。
攻撃を受け続けた意味
キルアはパームを倒すことより、相手の意志を確かめてゴンへ通さないことを優先する。致命傷を狙う攻撃を避けるため、戦闘は一方的に殴られる局面を含む。
パームもキルアを即座に殺さず、ゴンの場所を聞き出そうとする。プフが殺害を命じるまでは、本人の執着が任務の効率を鈍らせている。
両者が最初から殺し合いだけを目的にしていないため、言葉が決着へ介入できる。戦闘中の会話は時間稼ぎではなく、支配を崩す手段になる。
覚醒後に変わる討伐隊の視界
パームが自律性を取り戻したことで、討伐隊は宮殿内外の状況を観察できる協力者を得る。孤立していた人物の位置をつなぐ役割が、後の判断へ影響する。
一方、プフは王とユピーへ向かっており、分身を一体失っても計画を止めない。パームの回復は局地的な勝利であって、護衛軍全体の脅威を消したわけではない。
第124話の終点では、敵兵が味方へ戻り、キルアもゴンのそばへ行く理由を取り戻す。二人の内面の変化が、次の作戦上の配置まで変える。
2011年版 第124話が残したもの
第124話の要点は、キルアがゴンを守るためパームを止め、その告白がパームの記憶と自律性を呼び戻したことである。
黒い寡婦とキメラ=アントの身体を持つパームは強敵だが、決着を決めたのは攻撃力ではなく、誰を守るかという記憶だった。
パームがプフの分身を倒し、キルアこそゴンに必要だと告げたことで、二人は敵対からゴンを支える側へ戻る。
パームの覚醒は改造の痕跡を消さない。人間だった頃の記憶と新しい身体を併せ持つからこそ、敵の内部情報を知る協力者として独自の位置を得る。
キルアは勝利を示して信用されたのではなく、隠してきた恐怖を言葉にしたことでパームへ届いた。感情の露出が戦術上の弱点ではなく、支配を解く鍵になる。
プフは記憶を兵士の不要物と見なし、討伐隊は記憶を仲間へ戻る根拠と見る。同じ精神の働きへの評価が、双方の目指す軍団の違いを示す。
ゴン本人はこの戦いを知らないまま待機している。二人がゴンのために選んだ行動と、ゴンが望んだかどうかは分け、後の再会で生じる差を追う必要がある。
この回を境に、パームとキルアの関係は恋敵のような対立から、危機にあるゴンを支える役割分担へ変わる。変化は宣言だけでなくプフへの反撃によって裏付けられた。