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2011年版 第123話
2011年版アニメ第123話「ムカデ×ト×オモイデ」を解説。イカルゴ対ウェルフィン、卵男の黒百足、ジャイロの記憶、パームの覚醒を整理する。
第123話「ムカデ×ト×オモイデ」は2014年4月2日に放送され、原作No.295終盤からNo.296前半を映像化する。地下でブロヴーダを殺せなかったイカルゴはウェルフィンと対峙し、念の黒百足を頭部へ受ける。
敵対する二人の攻防は、ウェルフィンが隠してきた人間時代の記憶を語ることで反転する。百足が消えた後、イカルゴは上階の繭へ向かい、改造されたパームが目を覚ます。

第123話でイカルゴと対峙するウェルフィン 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博

卵男の弾から発生する黒百足 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博

頭部の黒百足に耐えて反撃するイカルゴ 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博

敵を殺せない自分の弱さに向き合うイカルゴ 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博

繭から目覚めキメラアントとなったパーム 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博
基本情報
| 媒体 | 2011年版TVアニメ |
|---|---|
| 話数 | 第123話 |
| 副題 | ムカデ×ト×オモイデ |
| 放送日 | 2014年4月2日 |
| 原作対応 | No.295終盤〜No.296前半 |
ブロヴーダを殺せなかった涙
イカルゴは地下エレベーターでブロヴーダを眠らせても、とどめを刺せなかった。作戦上は死体を操る好機を失ったため、自分の情を弱さだと責める。
泣いている間に、ヒナ、ビゼフ、シドレが乗る車両が近くを通る。視野が自分の失敗へ狭まり、別の重要人物の移動へすぐ気づけない。
それでも立ち止まったままではなく、地下で仲間へ必要な情報を探し続ける。感情の動揺と任務の継続が同時に描かれる。
ウェルフィンが構えた卵男
ウェルフィンはイカルゴを敵と判断し、念能力「卵男」を発動する。質問と警告を使って相手へ条件を認めさせ、命令への抵抗を罰する能力である。
背中から放たれた弾はイカルゴへ命中しても、直後には目立つ損傷を与えない。即時の爆発ではなく、宿主の内側へ念の効果を残す。
ウェルフィン自身も実戦で能力のすべてを確かめているわけではない。相手を脅しながら、どの反応が効果を進めるか観察する。
頭の中で成長する黒百足
弾を受けたイカルゴの頭部には、黒い百足が発生する。ウェルフィンの要求へ反抗するほど成長し、内側から激しい痛みを与える。
外から払い落とせる虫ではなく、念で作られた寄生のような現象である。銃でウェルフィンを狙っても、すでに入った百足は消えない。
能力の怖さは、反撃をためらわせる点にある。敵へ向かう意思そのものが痛みを強めるなら、強い抵抗が自分への罰へ変わる。
空気銃で続けた反撃
イカルゴは警告を無視し、空気銃でウェルフィンを撃つ。百足の痛みが増しても、自分の目的と仲間の情報を守るため攻撃を止めない。
三度の攻撃を受けたウェルフィンは倒れたふりをするが、イカルゴは演技を見抜く。死体を扱う能力者であるため、相手が本当に死んだかを慎重に見ている。
イカルゴがとどめを刺せる位置へ進んだことで、能力をかけた側が追い詰められる。百足があるから絶対服従するというウェルフィンの見込みは外れる。
解除方法を知らなかった術者
命乞いをするウェルフィンは、黒百足を消す方法を考えたことがないと認める。敵が抵抗をやめる前提で作ったため、解除の必要を想定していなかった。
能力者本人が解除できないなら、イカルゴはウェルフィンを殺しても助かる保証がない。攻撃の優位が、術者自身の未完成な設計で交渉材料を失う。
ウェルフィンの説明をすべて信じる必要はないが、追い詰められた反応と百足の変化を照らすと、本人にも分からない部分があると判断できる。
苦痛と命乞いで縮んだ百足
イカルゴはウェルフィンが傷つき、抵抗をやめて命乞いするほど、頭の百足が小さくなることへ気づく。自分の服従だけが解除条件ではない。
能力が相手の敵意や虚偽と結び付いているなら、術者が本心を隠せなくなることも効果へ影響する。イカルゴは攻撃を止め、会話で条件を探る。
観察した変化から仮説を立て、次の質問で確かめる。痛みに耐える根性だけでなく、能力の挙動を読む冷静さが生存へつながる。
人間だった頃の記憶
イカルゴはウェルフィンへ過去を尋ねる。ウェルフィンはNGLでユンジュの部隊に捕らえられ、キメラ=アントの女王へ食べられた経緯を思い出す。
さらに父親から首を絞められた記憶や、貧しい環境で生きた恐怖が戻る。キメラ=アントとしての猜疑心は、生まれ変わった後だけに始まった性格ではない。
断片的な記憶を話すほど、目の前の敵へ虚勢を張る必要が薄れていく。過去を口にする行為が、卵男の作用を内側から変える。
探し続けていたジャイロ
ウェルフィンが最も強く思い出すのは、人間時代の仲間ジャイロである。キメラ=アントになっても、王や師団長よりジャイロを探したいという望みが残る。
記憶は単なる映像ではなく、今後どこへ行くかを決める目的へ戻る。軍団の命令へ従う現在の立場と、人間時代の忠誠が衝突する。
イカルゴも元の仲間との関係を持つため、相手の探し人を笑わない。二人は敵対する所属を越え、個人の記憶を持つ者として会話できる。
本音で消えた黒百足
ウェルフィンがジャイロへの思いを隠さず語ると、イカルゴの頭にいた黒百足は消える。命令へ屈したのではなく、術者側が本心へ向き合ったことで解除される。
卵男は他者の服従を強いる能力でありながら、虚偽に固まった使用者自身も試す結果になった。ウェルフィンが想定しなかった逆流である。
イカルゴはとどめを刺さず、必要な情報を聞く。戦闘の決着は相手の死ではなく、敵意と能力が解けた状態で成立する。
正直に話す解放感
別れ際、ウェルフィンは長年うそと疑いの中で生きてきたと振り返り、本音を語ることの解放感を認める。敵への告白が、本人にとっても予想外の変化となる。
猜疑心が完全に消えたわけではないが、誰も信用しないことだけが生存方法ではないと知る。ジャイロを探す目的も、以前より明確になる。
イカルゴは説教で人格を変えたのではない。能力を解くための質問が、ウェルフィン自身の記憶と望みを引き出した。
捕らえられた女性の情報
イカルゴはパームの行方を尋ね、ウェルフィンは上階の繭に女性が捕らえられていると教える。討伐隊が見失っていた潜入者へ、地下から手掛かりがつながる。
ウェルフィンはパーム本人の現在の状態を詳しく知らない。場所の情報は得られても、救助すれば元に戻るか、敵兵になっているかは未確認である。
イカルゴは情報を仲間へつなぐため、その場を離れる。個人的な対話の決着が、討伐作戦全体の行方へ影響する。
繭から出た新しいパーム
上階では、長く繭へ閉じ込められていたパームが外へ出る。人間だった頃の輪郭を残しながら、鱗や水晶を備えたキメラ=アントの身体へ変わっている。
目覚めた事実だけでは、記憶、忠誠、能力の状態は分からない。救助対象と敵兵のどちらとして動くかが、次回の緊張になる。
第123話はウェルフィンが人間の記憶を取り戻す場面と、パームが異形の身体で目覚める場面を接続する。記憶と肉体が同じ方向へ変わるとは限らない。
王の決戦と地下の小さな戦い
ネテロとメルエムが決戦へ入る一方、地下ではイカルゴとウェルフィンが一対一で向き合う。戦力の規模は違っても、相手の望みを知ることが勝敗へ関わる。
討伐隊の目的から見れば、ウェルフィンを倒すよりパームの場所を得る方が価値を持つ。局地戦の成果は撃破数だけでは測れない。
大きな戦いの陰で交わされた本音が、二人の今後と仲間の配置を変える。第123話は思い出を情報と行動へ戻す回である。
2011年版 第123話が残したもの
第123話の要点は、イカルゴが卵男の作用を観察し、ウェルフィンに人間時代とジャイロへの思いを語らせて黒百足を消したことである。
ウェルフィンは他者を服従させる能力を使いながら、自分が本音を隠す限り解除条件へ届かないという逆説に直面した。
イカルゴは敵を殺さず、パームの場所とウェルフィンの目的を得た。情を弱さと責めていた直後、その性質が会話による決着を可能にする。
パームは繭から目覚めたが、姿が変わったことと人格を失ったことは同義ではない。次回は記憶と命令のどちらが行動を決めるかが問われる。
ジャイロの記憶はキメラ=アントの軍団へ吸収されても消えず、ウェルフィンの新しい進路となる。人間時代の関係が現在の所属を越えて残る。
卵男の弾は命中した瞬間の傷が小さいため、効果を知らない相手ほど反撃を続けやすい。抵抗を条件に内側の百足を育てる設計が、警告と組み合わさっている。
イカルゴは痛みだけを手掛かりにせず、ウェルフィンが苦しむ時の変化を比較する。能力者と宿主の心理が同時に作用する可能性へ気づいたことが突破口になる。
ウェルフィンは疑うことで身を守ってきたが、卵男では相手へ命令を伝えるため会話が必要となる。孤立を望む性格と、能力の発動手順が完全には一致しない。
ジャイロへの忠誠は王への服従と別の軸にある。ウェルフィンが記憶を取り戻したことで、キメラ=アント内部の権力関係から離れる目的が生まれる。
イカルゴがブロヴーダを生かした選択と、ウェルフィンを殺さなかった選択は連続する。本人は弱さと考えても、情報と協力の可能性を残す結果になる。
パームの繭は、兵士を作るキメラ=アント側の処置を示す。中へ入った人間が同じ姿と命令系統で出てくるとは限らず、実験的な改造の不確実さが残る。
第123話は黒百足が消える解放と、繭が開く覚醒を並べる。どちらも閉じ込められた状態から外へ出るが、解放後の立場は本人の記憶によって変わる。
ウェルフィンの回想は人間時代の被害とジャイロへの帰属を同時に戻す。苦痛の記憶だけでなく、探したい相手の存在が現在の行動を前へ向ける。
百足が消えた後も、卵男の一般的な解除条件が完全に解明されたわけではない。この戦いで起きた心理と変化を、すべての対象へ同じ順序で適用しない。
パームの覚醒は討伐隊にとって希望にも危険にもなり得る。位置を突き止めた成果と、改造後の本人を信用できるかという次の課題が同時に生まれる。