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2011年版 第20話
2011年版アニメ第20話「フカカイ×ナ×テンカイ」を解説。最終試験の残り試合、イルミの正体、キルアの降参とボドロ殺害を整理する。
2011年版アニメ第20話「フカカイ×ナ×テンカイ」は2012年2月19日に放送され、原作No.35とNo.36を基にする。ゴンは合格後に目覚め、キルアだけが不合格になった経緯をサトツから聞く。
不可解なのは、キルアが勝てないから落ちたのではない点である。イルミは家族として刷り込んだ恐怖を使い、友人を持ちたい願いを否定し、最後にはキルア自身へ禁じられた殺人を選ばせる。

第20話でキルアがボドロを殺害する場面 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博

一勝で合格する最終試験の組合せ表 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博

正体を明かしてキルアの意思を折るイルミ 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博

最終試験でレオリオとの対戦前に殺されるボドロ 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博

キルアの失格によって確定した第287期合格者 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博
基本情報
| 媒体 | 2011年版TVアニメ |
|---|---|
| 話数 | 第20話 |
| 副題 | フカカイ×ナ×テンカイ |
| 放送日 | 2012年2月19日 |
| 原作対応 | No.35〜No.36 |
合格を受け入れないゴン
ハンゾーに殴られて気絶したゴンは、サトツが見守る部屋で目覚める。勝負へ納得していないため、合格を祝う握手にもすぐ応じない。
サトツは、ハンゾーが正式に降参した時点で結果は確定し、ゴンが後から取り消すことはできないと説明する。本人の実感と試験規則が一致しなくても資格は与えられる。
ハンターライセンスをどう使うかは合格者へ委ねられると聞き、ゴンは証を受け取る。合格の不満を消したのではなく、結果を自分の次の行動へ使うと決める。
残り試合の報告
ゴンが眠っている間も最終試験は続き、サトツが各試合を順に説明する。視聴者はゴンと同じ位置から、既に終わった勝敗を再構成する。
クラピカ対ヒソカでは、ヒソカが耳元で何かを伝えた後に降参する。勝敗は確定しても、言葉の内容はこの時点で共有されない。
ハンゾーはポックルへ同じく降参を迫り、今度は自分が合格する。ゴン戦での敗北が実力低下を意味しないことを、次の勝利が示す。
ヒソカがボドロへ囁いた条件
ヒソカはボドロを圧倒するが、相手は降参を拒む。殺せない試験では、戦闘で上回るだけでは勝利条件を満たせない。
ヒソカは耳元へ何かを囁き、ボドロに降参させる。発言内容は明かされず、肉体的な攻撃とは別の弱点を使った可能性だけが残る。
同じ囁きでも、クラピカへ伝えた情報とボドロへ向けた圧力が同一とは限らない。言葉を伏せた演出が、ヒソカの目的を二つとも未確定にする。
ポックル戦を棄権したキルア
キルアは次の相手ポックルと戦わず、自分から棄権する。技量差から見れば勝つ可能性が高くても、本人は免許を強く望まず、次の機会へ回る。
この選択だけなら不合格は確定しない。変則トーナメントには次戦があり、一勝すればまだ通過できる。
力がある者ほど最短で勝つという前提を、キルアは共有していない。試験へ来た目的が暇つぶしに近く、ゴンとの出会いの方が資格証より価値を持ち始める。
ギタラクルの正体
次の対戦でギタラクルは顔へ刺していた針を抜き、長男イルミの姿へ戻る。キルアは未知の受験者ではなく、幼少期から恐れてきた兄と向き合う。
イルミはキルアにハンターとなる資格も友人を作る資格もなく、殺し屋として命令へ従うだけだと告げる。試合の勝敗より、本人の自己認識を家族の型へ戻そうとする。
変装は外見を隠すだけでなく、キルアが友人を得るまで兄の監視を意識させない。正体を明かす時機そのものが心理的な攻撃になる。
友達になりたいという願い
キルアは免許ではなく、ゴンと友達になり普通に遊びたいと口にする。暗殺者として育てられた生活から見れば、小さくても本人が初めて選んだ将来である。
レオリオは、二人は既に友達だと叫び、兄へ勝てと励ます。キルアが許可を求める関係そのものを否定し、友人関係は家族が与える資格ではないと示す。
しかし、周囲の言葉だけで長年の恐怖は消えない。イルミの視線と声に対し、キルアの身体は戦う前から服従を選ぶ状態へ戻る。
ゴン殺害という偽の脅し
イルミはゴンが邪魔なら殺すと告げ、休んでいる部屋へ向かおうとする。ハンゾー、クラピカ、レオリオが扉を塞ぎ、試験中の殺人を止める。
イルミは先に試験へ合格してからゴンを殺すと方針を変える。規則を忘れて感情的に動いたのではなく、キルアへ恐怖を与えながら自分の資格も確保する計算である。
キルアが降参すると、イルミは殺害予告が嘘だったと明かす。実行意思の有無より、友人の命を自分の選択へ結び付けた脅しが降参を成立させる。
ボドロを殺した一撃
イルミ戦後、負傷したボドロとレオリオの試合が行われる。そこへキルアが割り込み、背後からボドロを一撃で殺す。
最終試験では相手を殺した受験者が即失格になる。対戦相手でもないボドロを殺した行為により、キルアだけが不合格として確定する。
戦闘技術の不足で落ちたのではない。勝てる相手を棄権し、兄との試合で意思を折られ、規則違反の殺人へ進むという心理的な崩壊が結果を作る。
操作か服従か
この時点の登場人物は、キルアの行動へイルミの影響があると感じても、頭部へ刺された針の詳細を知らない。明示されたのは兄の言葉と恐怖による支配である。
後に針の存在が判明しても、第20話の場面を単純な遠隔操作だけへ置き換えられない。家族教育と恐怖が長く積み重なり、針はその判断傾向を強める。
キルア本人には、自分が何を選ばされたかを説明する余裕がない。殺害後は試験会場を去り、他者が不可解な失格として経緯を語る。
ただ一人の不合格
変則トーナメントは最後の一人を落とす形式だったが、予定された全試合を終える前に殺人が起きる。キルアの失格によって残る受験者が全員合格する。
ボドロは合格者になれず命も失うが、規則上の『不合格者一人』には殺したキルアが置かれる。合否の形式と被害の大きさは一致しない。
ネテロたち試験官は結果を確定し、合格者へ説明会を続ける。協会の制度は殺人を禁じても、起きた殺人を元へ戻せない。
ゴンが向かった相手
経緯を聞き終えたゴンは、合格者向け説明の場へ向かう。キルアを追う前に、本人の意思を奪ったイルミへ直接問いただそうとする。
ゴンにとって、キルアが自分から友達になりたいと言った事実が判断の基準になる。兄が資格を否定しても、友人本人の言葉を上書きさせない。
第20話は対決の入口で終わる。試験結果を変えることより、キルアを家へ連れ戻した支配へ誰が責任を負うのかが次の争点になる。
失格へ至る選択の連鎖
サトツがゴンへ先に合格を確定させるのは、後の試合結果で資格が取り消されない形式だからである。キルアの失格を聞いても、ゴン自身の勝敗表は変わらない。
クラピカとヒソカの試合では、ヒソカが勝てないから降参したとは示されない。耳打ちの情報と地下競売への関心が、試験の一勝より別の目的を優先させる。
ハンゾーはゴン戦で降参した後も、ポックルへ勝つ技量と体力を残している。最初の敗北が肉体的な敗北ではなく、ゴンを降参させられなかった結果だと再確認できる。
ボドロはヒソカの攻撃に耐えても、囁かれた言葉で降参する。痛みへの耐性と、守りたい情報や相手へ向けられた圧力は別の弱点として働く。
キルアのポックル戦棄権は、相手を殺したくないという明示だけでなく、免許への執着が低い態度とつながる。次戦がある規則を知った上で勝利を先送りする。
イルミは本来の顔へ戻る過程そのものをキルアへ見せる。見知らぬ受験者の皮膚が兄へ変わるため、試験会場まで家族の監視下だったと一度に理解させる。
レオリオ、クラピカ、ハンゾーが出口を塞いだ時、イルミは三人を力で排除しない。試験中にゴンを殺せば失格になると計算し、合格後へ脅しを延期する。
キルアは兄へ勝てばゴンを守れると頭では理解できても、戦闘姿勢へ入れない。幼少期から植え付けられた『勝てない相手から逃げる』判断が、友人を守る願いより先に身体を止める。
イルミが予告を嘘と明かしたことで、脅しが無害だったことにはならない。実行するとキルアが信じるだけの過去と能力差があり、その信頼ではなく恐怖を利用した。
ボドロ殺害の直前、キルアは自分の試合をしていない。対戦規則から外れた一撃は、勝利を求める殺しではなく、試験と人間関係の双方から離れる行為になる。
試験官はキルアの精神状態へ同情しても、殺人を例外扱いできない。被害者が死亡した以上、規則を適用しなければ『殺さない』という最終試験の条件が空文化する。
ただし規則適用だけで、イルミの心理支配に協会が責任を負わなくてよいとは限らない。ネテロは組合せと面接で兄弟関係を把握しながら、直接対戦を許している。
ゴンはキルア本人へ怒るより、イルミへ向かう。友人が殺人をした事実を消さず、その前に意思を折った相手へ説明を求める順序を選ぶ。
第20話の副題が示す不可解さは、強いキルアだけが落ちた結果にある。合否を戦闘力の順位と考える限り理解できず、降参、脅し、規則違反の連鎖を追う必要がある。
ゴンがライセンスを受け取った直後、キルアは資格を失って帰宅する。二人の進路が初めて分かれ、次の目的は試験合格から友人を迎えに行くことへ変わる。
2011年版 第20話が残したもの
第20話は、イルミが兄としての恐怖を使ってキルアを降参させ、ボドロ殺害による失格へ追い込む経緯を描く回である。
キルアが望んだのは免許ではなくゴンとの友情だった。その願いを弱点として使われたため、技量で勝てる試験から自分で離れてしまう。
ただ一人の不合格が確定した後、ゴンは結果へ従うだけでなく、キルアの意思を否定したイルミへ向かう。