人物
ムッセ
ムッセはカキン帝国王室軍の高位の軍人で、第1王子ベンジャミン=ホイコーロの私設兵。念能力「裏窓の鳥」による諜報と、カミーラ=ホイコーロの護衛任務中の最期を解説する。
ムッセは、カキン帝国王室軍の高位の軍人である。第1王子ベンジャミン=ホイコーロの私設兵の一人で、カキンの王立士官学校を卒業してベンジャミンの軍に加わった。王位継承編ではベンジャミンの命令を受け、第2王子カミーラ=ホイコーロの護衛に就く。性格は冷徹で計算高く、絶対の確信が持てない限り危険を冒すことを好まなかった。
護衛と並行して、念能力「裏窓の鳥」で諜報にあたった。カミーラと母である第2妃ドゥアズル=ホイコーロの密談を押さえ、ベンジャミン暗殺の共謀として身柄を拘束しようとする。拳銃で頭に1発、胸に2発を撃ち込んだ直後、カミーラの「百万回生きた猫」が発動し、生命力を奪われて死亡した。この念能力はのちにベンジャミンへ受け継がれ、カミーラの監視に用いられる。

ムッセ 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博

ムッセ 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博

ムッセ 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博
基本情報
| 所属・役割 | カキン帝国王室軍の高位の軍人。第1王子ベンジャミン=ホイコーロの私設兵で、ベンジャミンの命令により第2王子カミーラ=ホイコーロの護衛に加わった。 |
|---|---|
| 初登場 | 第363話で姿が登場し、第366話で名前が判明する。いずれも単行本第35巻の収録分にあたる。 |
| 状態 | 死亡。カミーラ=ホイコーロの「百万回生きた猫」に生命力を絞り取られ、その力はカミーラの蘇生に使われた。 |
| 念能力 | 裏窓の鳥。3種の念獣を諜報用に操る。対象者に触れることで発動するミミズクは術者にしか視えず、対象者の言動をすべてテレパシーで術者へ送信する。ムッセの死後はベンジャミンが引き継いだ。 |
| 主な人物関係 | 主君であるベンジャミン=ホイコーロ、護衛対象でありながらムッセを死なせたカミーラ=ホイコーロ、念の力量を値踏みした上官バルサミルコ=マイト。カミーラの母である第2妃ドゥアズル=ホイコーロは、盗み聞いた密談の相手にあたる。 |
| 装備・技能 | 軍事訓練を受けた射手で、カミーラの体が床に倒れるまでに致命傷となる3発を命中させた。使用した拳銃は銘柄も口径も分かっていない。死後にカミーラが拾い上げたが、まもなくベンジャミンの私設兵が押収した。 |
人物像
ムッセはカキン帝国王室軍のなかでも高い階級にあり、王立士官学校を出てベンジャミンの軍に入った経歴を持つ。外見は四角ばった頭の形と、きちんと櫛を通した髪が目を引く。最も分かりやすい特徴は左右で釣り合わない目で、右目は眠たげ、左目は鋭い。服装はジッパー付きの上着とズボン、暗い色の戦闘靴というカキン軍の標準的な軍装で、左耳にイヤホンを着けていた。
性格は冷徹で計算高い。絶対の確信が持てない場面では危険を冒すことを避け、動く前に得失を測った。念能力者ではあるが、上官のバルサミルコ=マイトは、念の知識ではハンターに及ばないと見ている。もっとも、反撃として作動する型の念能力が存在することは把握しており、その使い手が取る構えを見抜く程度の心得はあった。
作中での動向
航海初日、ベンジャミンは自分の兵に、ほかの王子たちの護衛役とスパイ役を兼ねること、王子の守護霊獣とハンターたちの能力について判明した情報を報告することを命じた。ムッセはこの指示のもとでカミーラの護衛に入る。裏窓の鳥を使い、カミーラと母である第2妃ドゥアズル=ホイコーロが夕食の席で交わした会話を盗み聞いた。二人はベンジャミンと第9王子の殺害を相談していた。ムッセはこの会話だけでは不正の決定的な証拠にならないと判断し、言い逃れを封じる証拠を得るためカミーラへ鳥を送ることを決める。
翌日、1002号室の使用人区画にカミーラが現れる。ムッセが何か用があるのかと尋ねると、カミーラはベンジャミンを殺すつもりだと平然と告げ、協力するか死ぬかを選べと迫った。ムッセは笑い事ではないと警告し、拳銃を向ける。さらに、ベンジャミン暗殺の共謀で身柄を拘束すること、会話はすでに記録してあること、こちらへ近づけば撃つことを告げた。カミーラは撃てるものなら撃てと挑発しながら歩み寄る。ムッセは相手が絶に入っているのに気づき、能力に自信のある反撃型の使い手ではないかと警戒した。それでも、殺せればよし、能力が分かってもよしと判断し、危険を承知で引き金を引く。
銃弾は頭に1発、胸に2発命中した。しかし直後にカミーラの百万回生きた猫が作動し、ムッセの生命力を握り潰すように絞り出してカミーラを蘇らせる。駆け付けた護衛に、カミーラはムッセが逃げたと伝えた。そのうえで所持品を焼くよう命じ、自分は追うと言って場を離れた。
カミーラは最終的にベンジャミンとその部下に拘束され、ベンジャミンはムッセの念能力を受け継ぐ。裁判の直後、ベンジャミンはその能力を発動してカミーラを監視した。航海11日目には第11王子フウゲツ=ホイコーロが、司法省の集めた情報を記した手紙をベンジャミンへ渡す。カイザルは、その内容がベンジャミンを驚かせると見込んでいた。ベンジャミンは手紙の中身に触れず、話をそらすためにムッセの捜索の進み具合を尋ねる。カイザルはまだ見つかっていないと答え、ほかの王子の区画を強制的に調べる手もあると持ちかけて言葉を濁した。
能力・特徴・関係
ムッセの念能力は裏窓の鳥である。3種の念獣を諜報用に操るもので、対象者に触れることで発動するミミズクは術者にしか視えず、対象者の言動をすべてテレパシーで術者へ送信する。カミーラと第2妃の密談を押さえられたのはこの能力による。記録した会話をそのまま証拠として突き付ける使い方もしていた。ムッセの死後はベンジャミンが能力を引き継ぎ、同じ相手の監視に用いた。
軍事訓練を受けており、射撃の腕は高い。カミーラの体が床に倒れるまでの間に、致命傷となる3発を撃ち込んでいる。使用した拳銃は銘柄も口径も分かっていない。この拳銃は死後にカミーラが拾い上げたが、まもなくベンジャミンの私設兵が押収した。
人物関係の中心にいるのは、命令の出どころであるベンジャミン、護衛対象でありながらムッセを死に至らせたカミーラ、念の力量を値踏みした上官バルサミルコ=マイトの三人である。カミーラの母である第2妃ドゥアズル=ホイコーロは、ムッセが盗み聞いた密談のもう一方の当事者にあたる。
監視任務と小型の念獣
ムッセは第1王子ベンジャミンの私設兵であり、王子居住区では護衛であると同時に情報収集者として動いた。対象へ小型の念獣を付着させ、離れた場所から映像と音声を受け取る能力は、各王子の居室へ正面から踏み込めない継承戦に適している。監視対象が念獣へ気づかなければ、ムッセは相手の行動だけでなく会話と判断材料まで継続して得られる。
ただし、念獣を付けた時点で任務が終わるわけではない。得た情報を誰へ、どの時点で報告するかによって軍事的な価値が変わる。ムッセ自身が死亡すれば通常は監視も途切れるため、本人が前線へ出ることには大きな危険があった。彼は遠隔監視に向く能力を持ちながら、カミーラ拘束の場では近距離に立ち続けた。
カミーラの死後の念を見誤った代償
ムッセは第2王子カミーラを制止し、銃撃を受けても任務を続けた。カミーラを射殺した判断だけを見れば、武装した王子からベンジャミンを守った護衛行動である。ところがカミーラの能力は、自分を殺した相手の命を奪い、その生命を使って本人を蘇生させる。ムッセは攻撃を防いだ直後に能力の発動条件を満たしてしまった。
この死は、継承戦で武力の優位がそのまま安全を保証しないことを早期に示した。相手の発を知らないまま致命傷を与えると、その行為自体が制約の一部になり得る。ムッセの判断は護衛として不自然ではない。しかし、王子を拘束する場面では『殺せるか』より先に『殺した後に何が起こるか』を調べなければならなかった。
星を継ぐ者へ移った能力
ムッセの死後、能力はベンジャミンの星を継ぐものへ受け継がれた。ベンジャミン私設兵が王へ忠誠を誓い、士官学校を卒業していることなどの条件を満たすと、死亡した兵の能力がベンジャミンへ移る。ムッセ個人の監視手段は失われず、王子側の情報網へ組み込まれた。
能力継承があるからといって、ムッセの死が予定された消耗だったとは限らない。私設兵はそれぞれ別の王子を監視する人員でもあり、生きて得られる報告と、死後に残る能力は役割が違う。ムッセはカミーラの能力を暴き、自身の発を主君へ残した一方で、その場にいた観測者としての視点を失った。そこに私設兵運用の強さと損失が同時に表れている。
私設兵の忠誠が持つ二つの意味
ムッセの忠誠は、命令に従う態度だけで測れない。死後も能力が主君へ渡る制度を受け入れているため、彼の生存と死の双方がベンジャミン陣営の資源になる。敵から見れば、一人を倒しても能力まで消せない。反対にベンジャミン側は、兵を失うたびに現場で情報を集め、判断する人間を減らしていく。
ムッセを調べるときは、人物の最期だけでなく、ベンジャミン私設兵の指揮系統、カミーラの死後の念、星を継ぐものを一続きで読む必要がある。彼は短い登場で退場したが、継承戦の能力戦が『誰が強いか』ではなく『死亡をどちらの陣営が利用するか』まで含むことを示した人物である。