人物
フウゲツ=ホイコーロ
カキン帝国の第11王子フウゲツ=ホイコーロの人物像と来歴、双子の姉カチョウとの関係、守護霊獣による空間移動、『No.413 忠誠』時点の状況をまとめる。
フウゲツ=ホイコーロは、カキン帝国の14人の王子のうち第11王子にあたる。国王ナスビ=ホイコーロと第6王妃セイコ=ホイコーロの間に生まれた二人の娘の妹で、第10王子カチョウ=ホイコーロとは双子の姉妹である。出身地はカキン王国。公式に姿を見せるのは、カキンの14人の王子が紹介される第349話が最初となる。
守護霊獣がもたらす力は空間移動として現れ、往路をフウゲツが、復路を姉のカチョウが操る。『No.413 忠誠』の時点では、逃亡事件の重要参考人としてカチョウ、センリツとともに司法省に保護されながら、邪霊に憑かれて危険な状態に陥っている。ただし第411話以降の解説は第10王子カチョウがすでに死亡しているという前提で継承戦の状況を整理しており、保護下に置かれた顔ぶれの説明は資料によって食い違う。

フウゲツ=ホイコーロ 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博

フウゲツ=ホイコーロ 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博

フウゲツ=ホイコーロ 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博

フウゲツ=ホイコーロ 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博
基本情報
| 所属・役割 | カキン帝国。14人の王子のうち第11王子にあたる。 |
|---|---|
| 初登場 | 第349話。カキンの14人の王子が紹介される場面で姿を見せる。 |
| 状態 | 生存。『No.413 忠誠』の時点では、逃亡事件の重要参考人としてカチョウ、センリツとともに司法省に保護され、邪霊に憑かれて危険な状態にある。 |
| 守護霊獣の能力 | 空間移動。往路をフウゲツが、復路を姉のカチョウが操る。寄生型のため本人に制御はできず、扉は船外へは繋がらないが救命艇の内部へは繋がった。 |
| 家族 | 父は国王ナスビ=ホイコーロ、母は第6王妃セイコ=ホイコーロ。双子の姉は第10王子カチョウ=ホイコーロで、ほかに13人の異母きょうだいがいる。 |
| 出身地 | カキン王国 |
| 継承戦での立場 | ツベッパの見方では、王族でありながら実質的な政治的影響力も権力も持たない。 |
| 特技 | 生け花を好み、双子の姉と同じくグラスハープを演奏できる。 |
| 手紙の配達 | 継承戦11日目、司法省の護衛とカイザルの先導で第1層を回り、各王子とオイト王妃、クラピカへ暴露情報の手紙を届けた。配布は8時50分までに終わっている。 |
人物像
顎の高さで切りそろえた黒髪の少女で、初めて描かれるのは顔を大きく捉えた一コマである。花柄の襟が付いた黒い長袖のトップスを着て生け花に向かい、その表情はかなり真剣だった。装いは実の姉や異母姉たちより簡素で、最初の数回の登場では双子の姉と服をそろえている。本土での出航式では、襟のボタンまで留めた白いドレスシャツに濃色の一つボタンのジャケットを重ね、スカートを合わせた。
ブラックホエール1号での出航式では、ネクタイを締め、ジャケットを丈の短いベストに、スカートをパンツに替えている。簡素な服を選ぶ傾向は寝間着にも表れ、守護霊獣の能力を初めて試す場面では明るい色のゆったりしたパジャマを着ていた。ブラックホエールの第3層で見つかったときの姿は、濃色のパーカーと同色のパンツである。晩餐会では再び姉と装いをそろえ、襟の下にブローチを付けた明るい色のトップスで現れた。食事の席では揃いの明るい色のドレスにヘアバンドを合わせ、演奏の前には髪に花を挿している。暗黒大陸へ向かう出発前の祝賀会では、催しを楽しみ、ほかの重要な招待客と談笑する和やかな表情も見せた。
性格は内気で心優しい。双子の姉カチョウに強く愛着しており、継承戦を前に表向きの顔と真剣な顔を使い分けられるカチョウとは違って、フウゲツにその切り替えはできない。部下への接し方は姉より柔らかく、思いやりがある。カチョウが感情を荒らげた後、ロベリーがユウリに、自分たちはフウゲツの下に配属されるべきだとつぶやいた場面はその現れである。ほかの兄弟を排除する同盟を組もうと姉に求められたときは怯えたが、異を唱えることはしなかった。生け花を趣味とする。
子どものころ、フウゲツとカチョウは「ミミズ」と呼ばれる遊び場でよく一緒に遊んだ。お気に入りは世界を旅するごっこ遊びで、次の行き先はいつもカチョウがフウゲツに決めさせた。王族でありながら、ツベッパの見るところフウゲツには実質的な政治的影響力も権力もない。一方で思考は分析的であり、後述する魔法の扉についても、仕組みを突き止めるための仮説と実験を順序立てて組み立てている。双子の姉と同じく、グラスハープを弾くこともできる。
作中での動向
初めて公の場に姿を見せるのは、カキンの14人の王子が紹介される場面である。そこでは簡素な黒い長袖シャツを着て花を活けていた。出発の日には、ほかの兄弟やビヨンド=ネテロとともに壇上に立ち、黒いスーツにスカートという装いでカチョウと手をつなぎ、群衆へ手を振っている。カキン王族はまもなくブラックホエール1号へ空輸され、新大陸へ向かう航海の間は第1層で暮らす。次に描かれるのは第1層の舞踏室で開かれた出航式で、丈の短いベストを合わせたスーツで出席し、カチョウとともに客を応対した。
ナスビの執事がカチョウに退出の時間を告げると、カチョウは各王子が別々に退出するよう定めた規則を無視して、フウゲツに付き添いを頼む。フウゲツは応じ、二人は手をつないで出口へ向かった。出口に着いたところでフウゲツは継承戦への疑問を口にしようとするが、勝ち残ってフウゲツを生き延びさせるという計画をカチョウが荒々しくささやいたため、話は遮られる。カチョウはほかの兄弟を殺すのを手伝うよう求め、最後の二人になればナスビに助命を頼むと持ちかけた。監視カメラがあるから笑えと言われると、フウゲツは素直に従った。
その夜、1014号室から、部下二人に二週間で念を教えるという申し出が届く。フウゲツは護衛ではなく、従者のイラルディアとラジオラスを送ることを選んだ。翌日の深夜、眠れずにベッドで泣きながら携帯電話に残るカチョウとの写真を見ていると、壁に小さな扉が現れる。フウゲツはそれを、カチョウと遊んだ遊び場の入口だと気づいた。枕をシーツの下に隠し、護衛に知らせないままトンネルを這い進み、出口の扉を開けると、そこはカチョウのベッドの中だった。
カチョウは驚きながらも、すぐに声を立てないよう合図する。翌朝、自室に戻ったフウゲツが扉に開いてほしいと懇願しても何も起こらなかったが、夜になると扉は再び現れた。第11王子は仕組みについて推測を巡らせ、双子で船から抜け出すために一連の実験を行うと決める。航海4日目、フウゲツは第3層をさまよっているところを兵士に見つかった。
フウゲツはただちにハンターの監視下に置かれ、身の安全のため中央警察署の生活安全課の一室へ移される。ミザイストム=ナナは、フウゲツが自室にいないことを確かめ、監視システムから得た調べの報告を受けたうえで質問したが、フウゲツは答えを拒み、姉としか話さないと述べた。ミザイストムはセンリツへ情報を伝え、キーニを助けて双子のさらなる脱出を防ぐよう求めるが、センリツとキーニがカチョウとすでに別の取り決めを交わしていることは知らなかった。翌日、送り返される道中で、フウゲツは自分の能力と「魔法」がカチョウとの子ども時代の遊びに重なることを思い返す。部屋へ戻ると母に抱きしめられ、その場にいた捜査官から、これから72時間は常時監視下に置かれ、晩餐会より前に姉と会うことはできないと告げられた。
晩餐会での脱出と司法省での保護
フウゲツは詫びを述べ、監視下の時間をグラスハープの練習に充てた。リハンは異邦人でサレサレの守護霊獣を排除した後、上官に連絡を取り、1011号室でフウゲツの警護に就いていたウショウヒと交代するよう求められる。ウショウヒは通信で、フウゲツの守護霊獣は空間移動を行うと見られると報告し、あわせて、移動ではなくフウゲツが不可視になっているか、ほかの理由で探知できなくなっている可能性も挙げた。報告の後、彼は殺人を無罪にする方法を使おうとした試みが、フウゲツが意図せず自分の近くから離れたために果たせなかったことを振り返っている。
航海8日目、フウゲツは姉と、姉の専属護衛であるセンリツとともに晩餐会へ出席する。予定にいくつか変更はあったが、双子は計画どおり最後の演奏者として残った。実行の直前、フウゲツは緊張しているかと姉に尋ねる。カチョウは手を握って落ち着かせたが、フウゲツは震え続け、涙をこらえていた。センリツが舞台へ呼ばれると、双子は曲の確認をする体でヘッドホンを着け、その音楽に飲み込まれるのを防ぐ。演奏の間、キーニは開け放たれた通路と聞き入る兵士たちの間を堂々と抜けて、双子を救命艇まで導いた。未知への不安から、フウゲツは二人が離れ離れになることはあるのかと尋ね、カチョウの答えに安心する。
回想では、テータがツェリードニヒ王子の暗殺を準備していたとき、王家の晩餐会からの飛び入りの演奏が第1層と第2層へ向けて告知されている。晩餐会での事件の後、センリツは第2層の司法省にいた。フカタキは、1002号室からのメシュシには二週間かかると彼女へ伝える。1010号室の外では、二人の護衛が扉の前に立ち、四人の兵士がそれを取り囲んでいた。センリツはその場を離れ、別室でカチョウと合流して連れ出される。付き添った人物は、VIP証人保護区域が船内で最も安全で、第1王子でさえ手出しはできないと自分に言い聞かせていた。
ベッドの掛け布団を外すと、フウゲツの出口側の扉が現れる。フウゲツと一緒でなければ、出口を通った時点で入口が消える一方通行になるはずだという説明も添えられた。その後カチョウはセンリツと会い、フウゲツが気を失ったことを明かして、これは普通ではないと案じ、何が起きているのか分からないと語る。二人の護衛はセンリツに中へ入るよう告げ、10分間の会話はすべて記録され、法廷で使われる可能性があり、国選弁護人も同席すると付け加えた。贈り物が箱に入れられて向こう側へ移されると、センリツはそれが「1」と刻まれた硬貨だと見て取る。センリツは、信頼できる相手は彼しかいないとして、1014号室のクラピカを訪ねてすべてを伝えるよう頼んだ。
11日目の午前6時、「カチョウ」はセンリツに、フウゲツの右の肩甲骨にある痣を写した写真を見せる。着替えの最中に気づいたもので、8日目の夜の脱出より前にはなく、虫刺されのように見えると考えていた。ただし救命艇から部屋へ戻った直後に第2層へ移されているため、それはあり得ないとも述べている。「カチョウ」は、フウゲツが魔法のミミズを一日に何度も使えると思い込んだのは敵の能力のせいなのかと尋ね、センリツは、短い期間でこれほど大きく変わった理由はほかに思いつかないと認めた。センリツは、前日に会いに来た王子の一人がフウゲツを使って交渉していると考えたのは誤りだったと述べ、敵の能力を使い続ければフウゲツは次の週末までもたないと告げる。
能力・特徴・関係
ほかの兄弟と同じく、フウゲツも卵を受け取り、そこから守護のための念獣の一種である守護霊獣が孵っている。寄生型の能力であるため、フウゲツ自身に制御する術はない。守護霊獣は二つの規則のような本能に縛られており、ほかの守護霊獣と戦うことも、守護霊獣の宿主を直接攻撃することもできない。
守護霊獣がもたらす力は空間移動で、姉妹が役割を分け合う点に特徴がある。往路はフウゲツが操り、復路は姉のカチョウが操る。扉が届く範囲には限りがあり、船の外へ繋ごうとしたときは開かなかったが、救命艇区画の一番目の救命艇の内部へは繋がることが確かめられた。
家族関係は継承戦の構図と直結する。父は国王ナスビ=ホイコーロ、母は第6王妃セイコ=ホイコーロで、同じ母から生まれた双子の姉がカチョウ=ホイコーロである。異母のきょうだいには、ベンジャミン、カミーラ、チョウライ、ツェリードニヒ、ツベッパ、タイソン、ルズールス、サレサレ、ハルケンブルグ、モモゼ、マラヤーム、ワブルの各王子と、モレナ=プルードがいる。オニオール=ロンポウとブロッコ=リーは半分血のつながった叔父にあたる。所属はカキン帝国である。
継承戦の情報のやり取りでは、フウゲツが人と人をつなぐ位置に立つ。クラピカは王子ではないが、センリツからフウゲツを経由して手紙を受け取り、オイト王妃へ二つのことを伝えた。一つは継承戦に望みができたということ、もう一つはあることの許可を求める申し出である。クラピカはカチョウの手紙については使わずに温存している。そのクラピカ本来の目的は第4王子ツェリードニヒに近づくことにあり、継承戦が終わらない場合にはホイコーロ一族が陥落すると見ている。
手紙の配達と特殊戒厳令までの時系列
継承戦の終盤、フウゲツは司法省の護衛を受け、カイザルに先導されて第1層を回り、各王子へ手紙を届けた。三人が立てた計画は、「カチョウ」の最期の言葉を各王子へ渡すことで、フウゲツが王子たちの居室へ入れるようにするものである。ベンジャミンは彼らの姿が消えたことに気づいたが、それはフウゲツの守護霊獣によるものでも自分に向けた計画の一部でもないと結論づけ、フウゲツはあと十日ももたないだろうと見積もった。一行はツベッパとタイソンを訪ねた後、1007号室へ回ってルズールスに手紙を渡す。主寝室でルズールスは手紙を受け取り、その場で姉のことを詫びた。やり取りはカイザルと、ルズールスの護衛であるバショウ、カンジドル、バラーテが見ていた。
フウゲツがカチョウにはその機会がなかったと答えると、ルズールスは、巻き込みたくなかったからだろうと述べた。フウゲツと司法省の護衛は1007号室を出て、第2層へ戻り、眠りにつく。カイザルは、すべてを賭ける意志があると認めたうえで、フウゲツが王位に就くのが最善だと考えており、自分が作る世界に生きられなくとも手を汚す覚悟だと説明した。センリツは彼の心音への疑いを消せず、真意を測れない以上、フウゲツを守るためにはカイザルとの今の関係を保つべきだと判断する。
同じ日の午前8時50分、ルズールスがフウゲツの不調の原因でなかった場合に備えて動く時間を確保するため、「カチョウ」は、フウゲツが目を覚まし次第、治療のために運ばれる医務室から計画を始めることを提案した。「カチョウ」は自分が余計な力を使わせているのではないかと案じたが、センリツは決してそう考えるなと諭し、フウゲツには「カチョウ」が必要で、彼女なしではもたないと伝える。手紙の配布そのものは、出航11日目の8時50分までに各王子側とクラピカへ向けて終えられた。その11日目の水曜の朝には、ハルケンブルグとバルサミルコが人格を交換し、カイザルが司法省の情報網から得た暴露情報の手紙を、フウゲツが各王子とオイト王妃へ渡し、クラピカのもとにも届いている。
二日前にあたる継承戦10日目の火曜には第1回念講習会が終了しており、この時点で残りの参加者は全員念に覚醒していた。第1回が終わってから暴露情報の手紙が王子たちに渡り、ハルケンブルグの肉体が死亡し、第2回が開かれるという順序になる。その肉体は12日目に入ったばかりの深夜に死亡し、バルサミルコの肉体に入ったハルケンブルグの人格が朝8時にベンジャミンへ電話をかけ、朝9時から第2回念講習会が始まった。第2回は特殊戒厳令の発令より前の出来事である。この時間帯の後、正午からハルケンブルグの葬送が始まり、遺体が第3層から第2層へ運ばれるタイミングで、ボークセンがモレナ一味にさらわれた。
特殊戒厳令の発令は継承戦12日目の14時15分であり、棺の場面はその30分前の13時45分にあたる。ナスビの場面にはハルケンブルグの鳴動を示す「ゴゴゴ」という擬音が入っていたため、その鳴動を使った人格交換と、ベンジャミンのTSK-17の発症もほぼ同じ時刻で、いずれもおよそ13時45分と整理できる。TSK-17の発症は感染から約6時間後であるため、ヒュリコフが感染させたのは、タブレットでハルケンブルグの死亡を確認していた場面、すなわち約6時間前の朝7時45分ごろになる。第413話の最後で、ベンジャミンがV・VIP(ベリービップ)エリアの自室からカミーラの部屋へ向かう場面は発令の15分前で、準備が進む14時ちょうどである。第410話には、軍を率いて司法省へ向かうベンジャミンが発症から30分経ったと語る台詞があり、13時45分の30分後は14時15分となる。残る王子は4人という場面は発令の直後にあたり、司法省へ着いた場面は発令から40分が過ぎた14時55分となる。
第2回念講習会と各陣営の動き
第2回念講習会は、暴露情報の手紙によって各王子側が、ほかの王子に自分の情報を握られているのではないかと疑心暗鬼になった緊張のなかで開かれた。ここへ第2王子の兵隊長サラヘルが加わる。第1回に来ていなかった第2王子側の人間が現れたため、クラピカは強く警戒し、何か仕掛けてくるとほぼ確信していた。第1王子護衛のバビマイナも同じ想定を持つ。目立つ動きを見せたスラッカは、第3王子チョウライの警護を担う第2王妃所属の警護兵である。ただしこの時は、第1王妃ウンマの命令で、ワブル王子の警護の補助として第3王子の警護兵とともに1014号室に付いていた。そのスラッカが急きょ講習会へ加わろうとする、というのがこの回の流れである。
第10王子カチョウはすでに死亡しているにもかかわらず、第10王子の従事者がこの回に参加している。指導係は3名で、第13王子護衛のハンター協会員ベレレインテ、第1王子警護の私設兵ヒュリコフ、第14王子ワブルの警護をしながら第1王子の私設兵でもあるバビマイナが務め、いずれも前回から続けての担当である。前回参加していた者にはほかに、念を開花させた7名がいる。テンフトリ、ダンジン、マオール、サトビ、ユウリ、イラルディア、ラジオラスの7名である。指導係3名と開花した7名を合わせた10名が、前回から継続して参加している。ハルケンブルグの警護兵たちは、ハルケンブルグが死亡を偽装したことで念自体は10日目までに開花したものの、この回には姿を見せない。なお第411話では、ベレレインテがサイレントマジョリティーの能力である黒ぼっこを、マスク姿の女の子と表現していた。
新たに加わった新人は8名で、ギッパー、ガトー、ハピエッチ、ナイペイ、リズルラ、トネアスタ、ロッコリー、サラヘルがその顔ぶれにあたる。指導3名、念開花7名、新人8名を合わせた18名が第2回念講習会に参加した。第4王子護衛のギッパー伍長は、もともと下層でモレナの捜索任務に就いており、ボークセンと交代する形で王子居住区へ上がってきた人物である。第7王子護衛で第2王妃所属のガトーとハピエッチは、前回から参加している第2王妃兵隊長サトビの部下にあたり、以前、第1王子の私設兵が近くで見せた不審な行動の謎を探る過程でも名前が挙がっている。第13王子従事者のナイペイは、8日目の第1回晩餐会で踊りを披露するために1013号室の別空間から抜け、それまで本物の1013号室にいた人物である。
最も注目されるのは第2王子兵隊長サラヘルで、兵隊長でありながら従事者になりすまして加わっている。狙いは、ハンター協会の除念師をあぶり出すことにある。第2王子の私設兵たちの能力は死後の呪いであり、時間をかけて王子を呪い殺すため、除念師が天敵になるからである。サラヘルの能力も、死後の念によって王子を呪い殺すものだ。これが成り立つのは、サラヘルの一族が死後に王子と伴侶になるという特殊な民族だという経緯による。ヨモツヘグイは、死んで王子と伴侶になる死後伴侶(シゴハン)の風習から来た能力である。そのため第2王子の私設兵は担当する王子と異性になるよう割り当てられているが、サラヘルは見るからに女性であり、ワブル王子も女性であるため伴侶の関係が成り立たず、この点は以前から矛盾していた。
棺の場面では、光っている場所が敗退した王子と連動しており、この時点で3人の王子が死亡している。ベンジャミンの特殊戒厳令の命令には、第1層の即殺対象は非国王軍私設兵という文言があった。ベンジャミンの私設兵や王妃所属の兵は正規国王軍の資格を持つため、この対象には含まれない。所在と安否が分からなかったチョウライとルズールスについては、監視していたベンジャミンの私設兵コベントバが主寝室で焦る様子も描かれた。チョウライは脱出経路がはっきりしている一方、ルズールスは軍の情報網に一切引っかかっていない。第13王子マラヤームについて、ベンジャミンは1013号室で監視にあたるサクエーレへ拘束を命じ、14時30分までに拘束できなければリハンを送るよう指示した。クラピカと偽のワブルがいる1014号室については、ワブルが偽物であることをバビマイナからすでに聞いている。
各陣営の能力と継承戦の資格をめぐる整理
鋼の錬金術師(コンボマスター)は、標的のそばに一定時間いなければ発動できない能力だった。ヒュリコフは念講習会にも参加するが、講習会が終われば基本的にベンジャミンの護衛に就いている。この能力を持ちながらロンギをサイレントマジョリティーの能力者だと誤認したのは、その時の標的がベンジャミンの命令でクラピカだったためで、読み取っている間は発が使えず、1人しか読み取れないという制約による。ベンジャミンの念獣の能力はいまだ不明である。ただしロンギの説明では、推測としながらも王子それぞれに強いソエモノがいるとされる。TSK-17は初期症状が感染性胃腸炎によく似ているが、実際には別のものである。人格交換の矢を放つ場面ではバルサミルコの肉体が椅子に縛られていた。現在のバルサミルコの肉体では本人の人格が優先され、もう1つの人格としてハルケンブルグがいる。ハルケンブルグは睡眠剤で本人の人格を眠らせ、自分の人格が強制的に肉体を使える状態にしていた。
継承戦の資格は作中の台詞で示されており、国王ナスビの正室の子であること、ブラックホエール号に乗船していること、出航セレモニーに参加していること、の三つが条件になる。ワブル王子はブラックホエール号に乗船しており、セレモニー会場への参加もコマで確認できる。継承戦の時間制限をめぐる最初の解説では、選択肢のない場合には誓約と制約が成り立たないと述べられていた。セレモニー会場では、ずっと姿を現さないとされてきた第5王子ツベッパの念獣も、このセレモニーで初めて現れている。王子たち自身には視認できないが、念獣は確かに顕現していた。
第412話で明らかになったのは、初登場時にクラピカが会った人物と、現在1014号室にいるワブルが別人だったという事実である。本当のところはオイト王妃の妹の息子であり、性別も女性から男性に変わっていた。オイト王妃は最初の面談で娘と言っているが、第12王子モモゼが亡くなってクラピカと口論する場面では、息子という語にワブルとルビが振られている。手がかりはカキンの発音にあった。オイト王妃は一貫してシマヌと発音していたのに対し、第3王子から電話が来た場面で、クラピカは口に出すときはシマノと言い、心の中では発音しないためシマヌになっていた。オイト王妃は以前、5人兄弟で、兄、姉、妹、弟がいると発言している。すり替えに気づいたのはビルである。
ワブル王子の真実がオイト王妃から明かされた場面には特殊戒厳令48時間前という表記があり、丸2日前の10日目14時頃にあたる。この時間帯は、第1回念講習会の最終日に、ロンギが詛贄者(ソエモノ)でありビヨンドの娘であることなどをクラピカへ伝えた後である。クラピカが口にした2か月前は、クラピカとオイト王妃、ワブル王子が初めて顔を合わせた面談を指す。偽のワブルは正室の子ではなく、壺中卵の儀も行っていないため資格がなく、本物のワブルもセレモニーに参加していないため資格がない。第1王子私設兵バビマイナと第3王子私設兵サカタは、本来は女性であるはずのワブルが男性であることを確認しており、この二つの王子側には資格がないという事実がはっきり発覚している。それでも証明に踏み切らない理由として、第2王子私設兵がいる状況ではより危険になること、証明すれば他の王子側から罪を問われる恐れがあることが挙げられる。
周辺の人物についても整理が加えられている。ビヨンドは拘束室の場面より前、10日目の14時に、同じ拘束室でカンザイへ連れてきてほしい人物を伝えていた。クレアパトロは第1層の最高裁判官室の最高裁判官で、初めて登場したのはサイレントマジョリティーでのロベリーの件、次はベンジャミンとカミーラの裁判の場面である。センリツの味方をしているカイザルが勤める司法省は、名称に司法と付くものの、日本の法務省にあたり、検察などが在籍する、法を運営する行政の機関にあたる。クレアパトロは司法の人間であるため両者に上司と部下の関係はなく、それぞれ行政と司法に属するエリートという位置づけになる。カンザイはあまり頭が良くなく、ヒソカの評価で85点、ビヨンドからは本で頭をぶっ飛ばせると言われる程度の実力とされる。サイユウは実はビヨンド側の人間でハンター協会の裏切り者だが、パリストン元副会長を経由して仲間になっているため、ビヨンド自身はそれを知らない。当初はビヨンドの監視に十二支んのサッチョウも付いていたが、拘束室では10日目と11日目に姿が見当たらない。