人物
ツベッパ=ホイコーロ
カキン帝国第5王子ツベッパ=ホイコーロの人物像、王位継承編での同盟工作、クラピカ側との相互協力契約、守護霊獣の性質をまとめる。
ツベッパ=ホイコーロは、漫画『HUNTER×HUNTER』に登場するカキン帝国の第5王子。国王ナスビ=ホイコーロと第2王妃ドゥアズル=ホイコーロの子で、出身地はカキン王国である。職業は科学者で、実験科学の一部の分野と高等数学に通じる。初登場は第349話、作中の描写時点での状態は生存。
王位継承編では、科学者としての素養を背景に他の王子の動きを読み、年長の兄姉を排除する方針を早くから固めた。出航セレモニーでは異母兄の第4王子ツェリードニヒに同盟を持ちかけ、その後は側近のマオールとロンギを1014号室へ送ってクラピカ側との接触を進める。『No.413 忠誠』確認時点では、第3王子チョウライ、および第14王子ワブルとクラピカの陣営と和平協定を結び、上位王子への対抗策を模索する段階にある。一方、本人が存在を知らないまま従う守護霊獣は、発動に「共同研究者」を要する共存型で、体内でさまざまな薬品を生成する。

ツベッパ=ホイコーロ 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博

ツベッパ=ホイコーロ 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博

ツベッパが他王子と競う第1層居住区

王子たちの守護霊獣
基本情報
| 所属・役割 | カキン帝国の第5王子。科学者として実験科学の一部の分野と高等数学に通じる。 |
|---|---|
| 初登場 | 漫画『HUNTER×HUNTER』第349話 |
| 状態 | 生存 |
| 出身地 | カキン王国 |
| 家族・関係 | 父は国王ナスビ=ホイコーロ、母は第2王妃ドゥアズル=ホイコーロ。実姉は第2王子カミーラ、実弟は年長が第7王子ルズールス、年少が第9王子ハルケンブルグ。ハルケンブルグはもとは異母弟で、ドゥアズルの養子となって同母弟になった。 |
| 守護霊獣の能力 | 変化系。発動に「共同研究者」を必要とする共存型で、体内でさまざまな効果を持つ薬品を生成する。寄生型のため宿主に制御はできず、ツベッパ本人は存在を知らない。 |
| 同盟関係 | 『No.413 忠誠』確認時点で、第3王子チョウライ、および第14王子ワブルとクラピカの陣営(1014号室のオイトとクラピカ側)と和平協定を締結。 |
人物像
外見は、鋭い輪郭のボウル状に切りそろえた金髪、長い鼻、細く長い口、角張った顎が特徴である。眼鏡の下の瞳は黒く、耳にはイヤリングを着ける。顔立ちも体格も男性的で、出航前夜の祝宴では、ドレス姿の姉妹たちの中で一人フォーマルなスーツを選んでいた。姉のカミーラや異母姉妹と違い、普段から男性的な装いを好む。
参照資料の記述によれば、ツベッパは科学者であり、継承戦に勝つことへの自信を隠さない。性格は率直で、異母兄の第4王子ツェリードニヒと同じく、他の王子たちの能力を分析する姿勢を取る。年長の兄姉であるベンジャミン、カミーラ、チョウライ、ツェリードニヒは、いずれもその資質ゆえに嫌悪の対象であり、彼女は四人の粛清を企てている。対象には実の姉であるカミーラも含まれ、それでいてツェリードニヒには同盟を提案した。二つの資質を欠く者への嫌悪も口にし、例としてベンジャミンの傲慢さ、カミーラの強欲さ、チョウライの放蕩ぶりを挙げる。
側近のシマヌの見立てでは、ツベッパは自分なりの理想の国家像を持ち、忍耐強く寛容で、王座を得た暁には弟妹たちを赦免する。他方、第1王子ベンジャミンの警護を担う私設兵ヒュリコフに言わせれば、彼女の慎重さは度を越している。
カキンの王子として大きな政治的権限と資産を持つが、その規模は年長の王子たちには及ばない。実験科学のいくつかの分野に通じ、高等数学にも明るい。登場場面では、背後の黒板に書き残された複数の計算がその素養をうかがわせた。
家族関係を整理すると、ツベッパは国王ナスビ=ホイコーロと第2王妃ドゥアズル=ホイコーロの二男二女のうちの第2子にあたる。実の姉は第2王子カミーラ、実の弟は年長が第7王子ルズールス、年少が第9王子ハルケンブルグ。ハルケンブルグはもともと異母の弟だったが、ドゥアズルの養子となって同母の弟になった。出身地はカキン王国である。
作中での動向
作中で公式に姿を見せるのは、カキンの14人の王子が紹介される場面が最初である。防護具を着けて実験室で薬品を扱う姿で描かれ、第2王妃ドゥアズルの娘である第5王子として紹介された。
出航前夜の祭典では、兄弟姉妹およびビヨンド=ネテロとともに壇上に立った。集団の後方から群衆に微笑みかけ、自分こそが次の王だという思いを新たにする。まもなくカキン王族はブラックホエール号へ空路で送られ、ツベッパは黒いスーツ姿で船内の式典に出席し、第1王子ベンジャミン、第2王子カミーラ、第3王子チョウライという3人の異母兄姉と並んで歩いた。ブラックホエール号は翌日に出航し、汽笛が鳴らされて継承戦の開始が告げられる。
第1層の宴会場では出航セレモニーが開かれ、全王子が継承戦の参加資格を得るために出席した。この席でツベッパはツェリードニヒに歩み寄り、同盟を提案する。継承戦は本質的に上位5人による生存競争であり、年長の3人は不快な存在だという見立てを、彼女はそのまま相手に説明した。ツェリードニヒはその人物評に同意し、シャンパングラスを彼女のワイングラスへ合わせる。ツベッパは次の日曜にまた会うと告げ、グラスを近くの給仕に渡し、手を振って立ち去った。ツェリードニヒも応じたが、その頃まで彼女が残っているかは疑わしいと内心でつぶやいている。
セレモニーの様子は、離れた場所からナスビが見守っていた。ナスビには、王子たち自身には見えない守護霊獣が観察できる。ツベッパの守護霊獣もここで初めて姿を見せた。車輪のような足を持ち、体表が突起に覆われた大型のヒキガエルに似た姿である。第411話の解説でも、それまで姿を現さないとされてきたツベッパの念獣がこのセレモニーで初めて現れ、王子たち本人には視認できないまま確かに顕現していた点が指摘されている。ただし、守護霊獣が姿を見せた時点については、クラピカと相互協力契約を締結した直後にようやく現れたとする記述もあり、初出の位置づけは一致していない。
クラピカは、王子たちが出航セレモニーに出席している間に、念獣の存在を告げる宣言を行った。1007号室へ戻った第7王子ルズールスは、護衛に加わっているハンターたちにこの宣言について相談する。念の習得にどれだけ時間がかかるかを聞いたうえで、ツベッパを最初の標的とする当初の計画をそのまま進めると決めた。ツベッパの側はこの宣言を、クラピカが膠着状態を望んでいる表れだと解釈する。同時に彼女はクラピカ本人への関心を示し、護衛の一人に彼の情報を直ちに持ってくるよう命じた。
同盟工作と情報収集
側近のマオールは1014号室へ電話をかけ、念獣に関する情報と引き換えに休戦を結ぶことを申し出た。約1時間後、マオールはツベッパに、念を学ぶため1014号室へ向かうと伝える。ツベッパはクラピカが手の内をすべて明かすとは考えていないと述べ、複数回の面会を通じてクラピカにどう対応するかの判断をマオールへ委ねた。
マオールが退出する際、ツベッパは上位の王妃たちが送り込んできた密偵への対処を考えていた。とりわけベンジャミンが差し向けた警護のブッチに目を留め、まず彼をどうにかすると決める。その夜、1014号室から連絡を受けた彼女は、自分の護衛をクラピカのもとへ送って念を学ばせることに同意した。翌日にはマオールとロンギの二人を送り出し、ワブルがクラピカと行動を共にする形になっても構わないとしたうえで、二週間の期限内にクラピカと同盟を結ぶよう命じている。
航海7日目の晩餐会では、センリツのフルート演奏に一時聴き入る姿が描かれた。翌朝、ツベッパはマオールとロンギから念修行についての報告を受ける。マオールによれば、ワブル側が結んでいる休戦のうち最も強固なのはチョウライとのものだが、期限付きで条件も対等ではなく、つけ入る余地がある。さらにマオールは、念の指導は本物だと考えており、ツベッパと護衛たちも積極的に念を習得すべきだと進言した。報告を聞いたツベッパは講習の継続に同意し、誰を出席させるかはマオールとロンギの判断に任せる。
この報告の場では、ベンジャミンの護衛リハンが警備につきながら二人を観察していた。リハンが「異邦人」をベンジャミンのために最大限役立てるには、標的の能力をできる限り把握しておく必要がある。彼はツベッパの守護霊獣が一度も姿を見せていない点を心に留めつつ、それでもハルケンブルグの露骨な守護霊獣と同じくらい危険かもしれないと自らを戒めた。そして与えられた配置にもかかわらず、ツベッパではなくハルケンブルグの守護霊獣を狙うことを考え始める。
報告を受けたツベッパは、ベンジャミンの護衛がブッチからリハンへ交代した点に注意を向けた。前夜の晩餐会にサレサレが姿を見せなかったことと彼の性格から、彼がすでに死んでいると難なく言い当てる。さらに死因の調査を決め、念が関与したかどうかを重視した。念が絡むなら能力の一覧を作り、念を学んでいる護衛たちの能力形成に影響を与えるつもりだった。データを詰めた記録媒体はハイゼンに託し、その後の追跡を任せる。ベンジャミンの兵のシフト記録も確認したかったが、動けば不審に見えかねないと考えて自重した。サレサレ付きだった母ドゥアズルの護衛への接触も、カミーラに動きを知られるとして見送っている。そのうえで、マオールでは念による攻撃に対抗しきれないと見積もり、クラピカが必要だと判断した。
相互協力契約の成立
航海10日目、カイザルは第2層の司法省に拘留されていたセンリツと面会し、恩赦を出してアンコールを求めたいという王子が複数いること、その中にツベッパも含まれることを伝えた。同じ10日目の午前11時45分、ロンギはクラピカとビルに1014号室の主寝室へ招かれる。念に目覚めていなかった同席者たちと同じように、非公開で念を開かれるためである。ロンギはツベッパとの休戦の成立に加え、個人的な目的でクラピカの助力を得るつもりで入室していた。彼女は「透明言葉」を発動して契約を結び、あわせてバリゲンとミュハンの死に自分が関与していないことを証明する。この場でロンギは、ツベッパが自分の能力どころか念を使えること自体を知らないと明かした。
ロンギの能力は、先に真実をすべて説明することを条件とする。契約の成立だけが目的なら、クラピカとツベッパの間の契約内容を話すだけで足りた。それでも彼女は、個人的な目的でクラピカに助けてもらうため、さらに多くを打ち明ける。ロンギはビヨンド=ネテロの娘であり、幼少期に印を付けられた多数の子どもの一人として、強さの異なる詛贄者に仕立てられた。その標的には王子たちも含まれると彼女は考えている。ロンギは、ビヨンドがカキンの14人の王子の一人の父であるために継承戦へ影響を及ぼそうとしていると述べ、クラピカがその王子を特定できるなら、自分の手で殺したいと望んだ。
契約の条項は次のとおりである。双方は相手側の王子、王妃、護衛に干渉も攻撃もしない。治癒などの支援行為は念による攻撃に数えない。契約は日曜にあたる15日目の午前9時まで有効で、ツベッパ側の代表者が1014号室にいることを条件に、自動的にもう一週間更新される。「透明言葉」が発動するのはクラピカ側が条項に違反した場合のみで、報酬は同能力の一度の使用、罰は一週間の強制的な絶。ツベッパ側は、ワブル側からの悪意ある行為が判明しない限り、一方的に契約を打ち切らない。ロンギの側も、ワブル側の行動を恣意的に悪意と解釈することはしない。ワブル側は、ツベッパが離脱するか残る王子が二人になる前に、ビヨンドの子である王子を特定しなければならない。仮に王子の中にビヨンドの子がいないと判明した場合、能力は直ちに発動し、ワブル側に報酬が与えられる。
その日の講習が終わると、テンフトリは1003号室へ、ロンギとマオールは1005号室へ戻り、13時30分にそれぞれの王子へ同盟の状況を報告した。マオールが伝えたのは、クラピカが休戦に入り同盟にも同意したこと、ただしクラピカが1005号室へ来る際にはワブルと母である第8王妃オイトが必ず同行すること、そしてチョウライの護衛も情報共有の場への同席を求めたことである。ツベッパはこれを歓迎し、ワブルが自分のもとで暮らすことになっても構わないとまで述べた。
一方でツベッパは、ツェリードニヒが3日前の日曜の晩餐会に出席しなかったことを、自分との協力を重視していない印だと受け取った。ベンジャミンの護衛が自分を狙っている以上は相手を選り好みできないと判断し、チョウライとの盟約が伝われば、ベンジャミンの関心が自分からチョウライへ移ることを期待している。『No.413 忠誠』確認時点で和平協定の相手となっているのは、第3王子チョウライと、第14王子ワブルおよびクラピカの陣営、すなわち当時1014号室にいたオイトとクラピカの側である。この体制のまま、上位王子への対抗策が模索されている。
能力・特徴・関係
ほかの兄弟姉妹と同様、ツベッパも卵を受け取り、そこから孵った守護霊獣が彼女を守っている。守護霊獣は寄生型の能力であるため、宿主であるツベッパに制御はできない。ツベッパ自身は、その存在すら知らないままである。守護霊獣には規則のような二つの本能が課されており、ほかの守護霊獣と戦うことも、ほかの守護霊獣の宿主を直接攻撃することもできない。
ツベッパの守護霊獣は変化系で、発動に「共同研究者」を必要とする共存型の能力を持つ。その体内では、さまざまな効果を持つ薬品や化学物質が生成される。
他陣営の念に目を向けると、ベンジャミンの念獣の能力はいまだ判明していない。ロンギの説明では、あくまで推測としながらも、王子それぞれに強い詛贄者が付いているという。第413話の時点で、すでに3人の王子が死亡している。
ヒュリコフの「鋼の錬金術師(コンボマスター)」は、標的のそばに一定時間いなければ発動できない能力だった。ヒュリコフは念講習会に参加しつつ、講習が終われば基本的にベンジャミンの護衛を務める。この能力を持ちながらロンギを「11人いる!(サイレントマジョリティー)」の能力者だと誤認したのは、ベンジャミンの命令で標的がクラピカに定められていたためである。読み取っている間は「発」が使えず、一人しか読み取れない。第411話では、ベレレインテがサイレントマジョリティーの能力である黒ぼっこを「マスク姿の女の子」と表現した。TSK-17(兵器)は初期症状が感染性胃腸炎に酷似するが、実際には別物である。人格交換の矢を放つ場面では、バルサミルコの肉体が椅子に縛られていた。その肉体ではバルサミルコ本人の人格が優先され、ハルケンブルグはもう一つの人格として同居している。ハルケンブルグは睡眠剤でバルサミルコの人格を眠らせ、自分の人格に肉体を使わせていた。
クラピカは王子ではないが、センリツからフウゲツを経由して手紙を受け取り、オイト王妃へ二つのことを伝えた。一つは継承戦に望みができたこと、もう一つは、あることの許可を求めたことである。クラピカ本来の目的は、第4王子ツェリードニヒに近づくことにある。船内の要職では、クレアパトロが第1層・最高裁判官室の最高裁判官を務める。初登場はサイレントマジョリティーによるロベリーの件で、次いでベンジャミンとカミーラの裁判に裁判官として現れた。センリツの側に付くカイザルが勤める司法省は、名称に反して日本の法務省にあたり、検察などが在籍する行政の機関である。クレアパトロは司法に属する最高裁判官であるため両者に上司関係はなく、それぞれ行政と司法のエリートという位置づけになる。カンザイは頭脳面の評価が低く、ヒソカ評価は85点、ビヨンドからは本で頭を吹き飛ばせる程度と見られている。サイユウは実はビヨンド側の人間でハンター協会の裏切り者だが、パリストン元副会長を経由して仲間になったため、ビヨンド自身はその事実を知らない。ビヨンドの監視に付いていた十二支んのサッチョウは、10日目と11日目の拘束室に姿が見当たらない。
継承戦後半の時系列と特殊戒厳令
第411話から第413話の描写をもとに継承戦後半の時系列を整理すると、次のようになる。10日目の火曜に第1回念講習会が終了し、この時点で残る参加者が全員念に覚醒した。翌11日目の水曜朝、まずハルケンブルグとバルサミルコが人格を交換する。続いて、カイザルが司法省の情報網から得た暴露情報の手紙を、フウゲツが各王子とオイト王妃へ渡し、クラピカのもとにも届けた。この配達は11日目の午前6時から8時50分にかけて行われ、第11王子フウゲツがカイザルと司法省に伴われて第1層を回り、死去した第10王子カチョウが自分の死に備えて各王子あてに書いた手紙を届けている。ハルケンブルグの肉体は12日目に入ったばかりの深夜に死亡した。バルサミルコの肉体に入ったハルケンブルグの人格は朝8時にベンジャミンへ電話をかけ、朝9時から第2回念講習会が始まる。
つまり、第1回の講習会が終わったあとに暴露情報の手紙が王子たちへ渡り、ハルケンブルグの肉体が死亡し、その状態で第2回が開かれたという順序になる。第2回念講習会は、特殊戒厳令が出される前の出来事にあたる。講習会の時間帯の後、正午からハルケンブルグの葬送が始まり、遺体が第3層から第2層へ運ばれる際にボークセンがモレナ=プルード一味にさらわれる。暴露情報の手紙によって各王子側は、他の王子が自分の情報を握っているのではないかと疑心暗鬼に陥っており、第2回はその緊張した状況の中で行われた。表向きの見立てとは別に、継承戦が終わらない場合にはホイコーロ一族が陥落するとクラピカは推測している。
第412話では、ワブル王子の真実がオイト王妃から判明した場面に「特殊戒厳令48時間前」という表記が置かれた。丸2日前、すなわち10日目の14時ごろにあたる。この時間帯は、第1回念講習会の最終日にロンギが自分は詛贄者でありビヨンドの娘であることなどをクラピカへ伝えた後になる。クラピカが口にした「2か月前」は、クラピカとオイト王妃、ワブル王子が初めて顔を合わせた面談の場面を指す。ビヨンドについては、この回の拘束室の場面より前、10日目の14時に同じ拘束室でカンザイへ連れてきてほしい人物を伝えていた。
第413話では、特殊戒厳令の発令が継承戦12日目の14時15分だと判明した。棺の場面はその30分前、13時45分にあたる。ナスビの場面にはハルケンブルグの鳴動を示す擬音が置かれており、その鳴動を用いた人格交換と、ベンジャミンがTSK-17を発症する場面も、ほぼ同時刻の13時45分前後と整理できる。TSK-17の発症は感染から約6時間後とされるため、ヒュリコフが感染させたのは、タブレットでハルケンブルグの死亡を確認していた場面、すなわち約6時間前の朝7時45分ごろになる。第413話の最後に置かれた、ベンジャミンがV・VIP(ベリービップ)エリアの自室からカミーラの部屋へ向かう場面は発令の15分前にあたり、特殊戒厳令の準備が始まる14時ちょうどと算定される。
第410話でベンジャミンが軍隊を引き連れて司法省へ向かう場面には、発症から30分が経ったという台詞がある。13時45分の発症から30分後は14時15分にあたるため、残る王子は4人だと告げるあの場面は、特殊戒厳令の発令直後だったことになる。ベンジャミンが司法省へ着いた場面は、発令から40分が経過した14時55分である。棺の場面では、光っている位置が敗退した王子と連動していた。特殊戒厳令の命令には、第1層の即殺対象は非国王軍私設兵という文言がある。ベンジャミンの私設兵や王妃所属の兵は正規国王軍の資格を持つため、この対象には含まれない。所在と安否が分かっていなかったチョウライとルズールスについては、監視していたベンジャミンの私設兵コベントバが主寝室で焦る様子が描かれた。チョウライは脱出経路がはっきりしている一方、ルズールスは軍の情報網に一切引っかかっていない。第13王子マラヤームについては、1013号室で監視するサクエーレに拘束が命じられ、14時30分までに拘束できなければリハンを送るよう指示が出された。クラピカと偽のワブルがいる1014号室について、ベンジャミンはバビマイナからワブルが偽物だとすでに聞いている。
第2回念講習会と船内各陣営
第2回念講習会には、指導係3名、前回から念を開花させた7名、新人8名の合計18名が参加した。指導係は、第13王子護衛のハンター協会員ベレレインテ、第1王子警護の私設兵ヒュリコフ、第14王子ワブルの警護をしながら第1王子の私設兵でもあるバビマイナで、3名とも前回から続けて務めている。念を開花させた7名はテンフトリ、ダンジン、マオール、サトビ、ユウリ、イラルディア、ラジオラスで、指導係と合わせて10名が継続参加となる。新人8名はギッパー、ガトー、ハピエッチ、ナイペイ、リズルラ、トネアスタ、ロッコリー、サラヘルである。ここへさらにスラッカが急きょ加わろうとする展開が、第411話で描かれた。第1回に来ていなかった第2王子側の人間として兵隊長サラヘルが現れたため、クラピカは強く警戒し、何か仕掛けてくるとほぼ確信している。第1王子護衛のバビマイナも同じ想定をしていた。すでに死亡している第10王子カチョウの従事者も、この第2回に参加している。
スラッカは第3王子チョウライの警護を担当する第2王妃所属の警護兵だが、このときは第1王妃ウンマの命令で、ワブル王子の警護支援として第3王子の警護兵とともに1014号室に付いていた。ハルケンブルグの警護兵たちは、ハルケンブルグが死亡を偽装したことにより念自体は10日目までに開花していたものの、今回は参加していない。第4王子護衛のギッパー伍長は、もともと下層でモレナの捜索任務に就いており、ボークセンと交代する形で王子居住区へ上がってきた。第7王子護衛で第2王妃所属のガトーとハピエッチは、前回から参加している第2王妃兵隊長サトビの部下にあたり、第1王子の私設兵が近くで見せた不審な行動の謎を探る際にも名前が挙がっていた二人である。第13王子従事者のナイペイは、8日目の第1回晩餐会で踊りを披露するために1013号室の別空間から抜け、以後は本物の1013号室にいた人物である。
最も注目されたのは第2王子の兵隊長サラヘルで、兵隊長でありながら従事者になりすまして講習会に加わった。その目的は、ハンター協会の除念師をあぶり出すことにある。第2王子の私設兵たちの能力は死後の呪いであり、時間をかけて王子を呪い殺すため、除念師が天敵となる。サラヘルの能力も死後の念を用いて王子を呪い殺すもので、一族が死後に王子と伴侶になる特殊な民族だという経緯によって成り立つ。この「ヨモツヘグイ」は、死んで王子と伴侶になる死後伴侶(シゴハン)の風習に由来する能力である。そのため第2王子の私設兵は担当する王子と異性になるよう割り当てられているが、サラヘルは見るからに女性であり、ワブル王子も女性であるため伴侶の関係が成り立たず、この点は以前から矛盾を抱えていた。
第412話で明らかになったのは、初登場時にクラピカが会った人物と、現在1014号室にいるワブルが別人だったという事実である。1014号室のワブルは実際にはオイト王妃の妹の息子で、性別も女性から男性へ変わっていた。オイト王妃は最初の面談で娘と述べていたが、第12王子モモゼが亡くなってクラピカと口論する場面では、息子という語にワブルとルビが振られている。オイト王妃が以前、5人兄弟で兄、姉、妹、弟がいると話していた点も、この事実と符合する。発覚の手がかりはカキンの発音だった。オイト王妃は一貫してシマヌと正しく発音していたのに対し、第3王子から電話が来た場面のクラピカは、口では「シマノ」と呼び、発音を伴わない心の中では「シマヌ」と考えている。すり替えに気づいたのはビルである。現時点では、第1王子私設兵バビマイナと第3王子私設兵サカタが、本来女性であるはずのワブルが男性であることを確認しており、この二つの王子側にはワブルに継承戦の資格がないという事実がはっきり発覚している。
継承戦の参加資格は、作中の説明によれば、国王ナスビ=ホイコーロの正室の子であること、ブラックホエール号に乗船していること、出航セレモニーに参加していることの三つである。ワブル王子は乗船しており、セレモニー会場への参加もコマで確認できる。ただし本物のワブルはセレモニーに参加していないため資格がなく、偽のワブルも正室の子ではないうえ壺中卵の儀を行っていないため資格がない。つまり二人とも資格を欠いている。それでもクラピカがワブルの無資格を証明しなかったのは、第2王子私設兵がいる状況では危険が大きく、きちんと証明すれば他の王子側から罪を問われる恐れもあるためである。実際、クラピカはカチョウの手紙も温存している。なお継承戦の時間制限に関する説明では、選択肢のない場合には誓約と制約が成り立たないとされていた。