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ANNA MOVIESHUNTER×HUNTER

人物

ハルケンブルグ=ホイコーロ

カキン帝国第9王子ハルケンブルグの出自と経歴、守護霊獣に由来する念能力「少年は残酷な弓を射る」、肉体の死と人格交換をめぐる第413話までの状況を整理する。

No.417まで対応更新 2026.08.13

ハルケンブルグ=ホイコーロは、カキン帝国の14人の王子のうち第9王子である。国王ナスビ=ホイコーロと第2王妃ドゥアズル=ホイコーロの二男二女の末子として紹介されるが、彼を産んだのは第1王妃ウンマ=ホイコーロであり、ドゥアズルは養母にあたる。出身地はカキン王国。実の兄はベンジャミン=ホイコーロで、異母兄にツェリードニヒ=ホイコーロがいる。原作第349話で初登場した。15歳で世界最高峰のミワル大学へ進み、物理学を専攻しながらアーチェリーの世界選手権で銀メダルを獲得している。

継承戦では当初、参加を拒む姿勢をとった。しかし父ナスビとの対話を経て戦う覚悟を固め、守護霊獣に由来する念能力少年は残酷な弓を射る」を発現する。この能力は刻印を持つ臣下が集まって意思を統一したときに発動し、放たれた矢は射抜かれた者と、発動側の集団から無作為に選ばれた者の人格を強制的に入れ替える。継承戦11日目の朝、ハルケンブルグは護衛隊長バルサミルコ=マイトと人格を交換した。彼の肉体は12日目になったばかりの深夜に死亡するが、死因は確定していない。さらに13時45分ごろに新たな人格交換が起きたため、『No.413 忠誠』終了時点でハルケンブルグの人格がどこにあるのかも確認されていない。

基本情報

ハルケンブルグ=ホイコーロの基本情報
所属・役割カキン帝国の第9王子。物理学を修めた学者であり、アーチェリー世界選手権で銀メダルを獲得した射手でもある。
初登場原作第349話。
状態魂は存命、肉体は死亡。肉体の死因は確定しておらず、人格はバルサミルコ=マイトの肉体へ移った。
念能力少年は残酷な弓を射る。刻印を持つ臣下が集まって意思を統一したときに発動し、自身のオーラを弩に、臣下のオーラを鎧と矢に変える。放たれた矢は、射抜かれた者と発動側から無作為に選ばれた者の人格を強制的に入れ替える。
守護霊獣他の兄弟と同じく卵から孵った守護霊獣に守られる。寄生型で本人に制御権はなく、他の守護霊獣と戦えない、守護霊獣の宿主を直接攻撃できないという二つの本能に縛られる。
家族・関係父は国王ナスビ=ホイコーロ、実母は第1王妃ウンマ=ホイコーロ、養母は第2王妃ドゥアズル=ホイコーロ。実の兄はベンジャミン=ホイコーロ、異母兄はツェリードニヒ=ホイコーロ。
出身地カキン王国。
学歴初等課程の途中で寄宿学校に入り、15歳で世界最高峰のミワル大学へ進んで物理学を専攻した。

人物像

カキンの王子として、ハルケンブルグは相応の政治力と資産を握る。ただしその規模は年長の王子たちには及ばない。外見は中肉中背の青年で、金髪をぼさぼさに伸ばし、輪郭は四角い。黒い目はやや小さく、細い眉は上向きに細まる。幅の広い平たい鼻は、実母ウンマと実兄ベンジャミンによく似る。学者としての経歴と、王政を廃すべきだという以前からの主張に合わせ、普段は仕事着で通している。スーツより砕けた服装で描かれたのは、航海初日に倒れて目を覚ました場面と、感染症で床に伏せた場面だけである。

人物像は物語の進行とともに変化し、成長していく。参照した資料では、王子のなかでも資質は最も優れていると評される一方、養母ドゥアズルや二人の姉と折り合えないことを自ら「不幸」として公言したと記される。フェイスボックスには、唯一認められる王子はツェリードニヒだと投稿した。王族である家族を公然と批判してきたことでも知られ、クラピカはそこに不満と疎外感を読み取っている。オイト=ホイコーロは、彼を自分にも他人にも非常に厳しい人物と見て、王族の政治を変えるつもりだと語った。

配慮と先見はたびたび示される。物語に姿を見せる前から、自分の人気を考えれば護衛の募集には応募が殺到し、暗殺者の潜入を招くと判断して募集を出さなかった。当初は平和主義者として継承戦への積極的な参加を拒み、父の面目を保つために儀式にだけ加わっている。妹モモゼの死を知ると部下を率いて黙祷し、涙ぐむほど心を痛めた。これ以上兄弟が死ぬのを防ぐという決意は投獄の危険を上回り、味方であるはずの兵士に銃を向けることも辞さない。部下との関係も良好で、護衛たちは彼のもとで働くことを喜び、その身を本気で案じている。

転機は父との対話にある。父を銃で狙い革命を口にしてもなお、兄弟の死を止めるという目的には届かないと悟り、自分の行動を自分で決められることを示すために自ら死のうとした。無力を突きつけられた経験が人格を成熟させ、父の言葉が継承戦を正面から受け止める覚悟を生む。以後は、自分と部下の命を賭ける手段も、他者の命を奪う手段も含めて策を組み立てるようになった。

生い立ちと継承戦への参加

ハルケンブルグはナスビの第一夫人ウンマの子として生まれた。ウンマはそれ以前にもナスビとの間に何人かの子をもうけている。初等教育の途中で寄宿学校に入っており、これは体のよい追放であると同時に、暗殺からの避難でもあったと噂された。進学は15歳、行き先は世界最高峰と称されるミワル大学で、専攻は物理学だった。在学中にはアーチェリーの世界選手権で銀メダルを得ている。

やがて、王族の政治を変えたいという意向が世間に知られるようになる。体制の内外に支持者が増えた一方で、暗殺を狙う敵と、彼を担いで独裁体制を作ろうとする追随者も生まれた。

作中では、蔵書の並ぶ書棚の前で本を読む第2王妃ドゥアズルの息子として初めて紹介される。クラピカは、クルタ族緋の眼をツェリードニヒから取り戻すため、そのツェリードニヒを公に肯定した唯一の王子がハルケンブルグだと知り、匿名の護衛募集が彼のものであることを期待して応募した。実際の雇い主は第8王妃オイトで、募集は乳児である第14王子ワブルのために出されたものだった。限られた情報だけでハルケンブルグに行き着けるほど賢い人物を選ぶ、という狙いがあった。

面談でオイトは、ハルケンブルグが募集を出さなかった理由を、応募が殺到すると見込んだことと、暗殺者が護衛に紛れ込むのを避けたことだと説明した。あわせて、彼が自他に厳しく王族の政治を変えようとしていること、体制の内外に支持者を得て派閥が徐々に強まっていること、暗殺計画の噂が絶えないこと、彼を担いで独裁を作ろうと画策する追随者がいることも伝えている。クラピカとオイト、そしてワブルが初めて顔を合わせたこの面談が、後にクラピカが口にする「2か月前」にあたる。

オイトは、継承戦の正体が14人による死闘であることも明かした。そのうえで、自分のように立場の弱い者は、ハルケンブルグが戦いに加わること自体を交渉材料にして身の安全を買うつもりだと語っている。8月8日、暗黒大陸への出航前夜には、他の王子とビヨンド=ネテロとともに壇上に立ち、スーツ姿で群衆に微笑みながら手を振った。カキン王族はその直後にブラックホエール1号へ空輸される。船内のセレモニーでは、ツェリードニヒと並んで来賓と歓談する姿が描かれた。

作中での動向

航海初日、第1層の宴会場で出航式が行われ、王子たちはヌグイから一人ずつ退出の時刻を告げられていく。ハルケンブルグは来賓と話している最中に呼ばれると、退出せずに父と話すつもりだとヌグイへ伝えた。父の前では継承戦から降りたいと申し出て、儀式に参加したのは父の面目を保つためであり、血に塗れた王座は望まないと説明している。

自室である1009号室に戻ったハルケンブルグは、居間の床に護衛たちが意識を失って倒れているのを見て衝撃を受ける。護衛が体調を尋ねても、混乱したまま答えられなかった。その日のうちに1014号室から連絡を受け、護衛をクラピカのもとへ送って念を学ばせることに同意する。翌朝9時、ユヒライシェジュールが代表として1014号室に現れた。ハルケンブルグは二人に、体へ現れた刻印の意味を突き止めるよう命じている。1014号室の警護兵が電話で伝えてきた念獣に関係するのではないかと推測を述べ、学べるだけ学ぶために手持ちの情報を明かしてよいと許可も与えた。

三日目の朝、ハルケンブルグは護衛を集め、初日の夜に死亡した第12王子モモゼへの黙祷を先導した。この様子を書き留めたのが、初日の午後にベンジャミンから護衛兼監視役として送り込まれたシカクである。シカクが襲撃を見送ると決めた直後、ベンジャミンから、1001号室で感じ取れるオーラはハルケンブルグのものかという問い合わせが入った。シカクはそれを認めたうえで、自分には彼を殺せないこと、情報の裏取りには二人必要であることを伝え、詳細は後で説明すると約束している。

父のもとへ向かうにあたり、ハルケンブルグは失格の危険を承知で行くと言い張った。護衛隊長は、ナスビが継承戦は中止できないと宣言している以上、これ以上の抵抗は逮捕を招くと諭して押しとどめようとする。四日続けて父を訪ねたその四日目、V・VIPゲートの警備兵は前三日と同じ慣れた調子で彼を迎え、丁重に手紙の提示を求めた。ハルケンブルグはかすかに笑い、内ポケットから拳銃を取り出す。引き金に指をかけたまま動くなと告げ、部下たちも、警戒を解いていた国王軍の兵士三名に同じことをした。

別の王子が犠牲になる前に間に合ったと安堵しながら、ハルケンブルグは銃を構えてV・VIPゲートの奥を進み、ナスビのもとへたどり着く。ナスビは部屋の入口に背を向けた回転椅子に腰かけ、大画面のテレビで自然の映像を眺めていた。ハルケンブルグは無言のまま銃を上げて歩み寄り、継承戦を終わらせることに同意させようとする。ナスビは振り向きもせず、もう遅いと答えた。まだ間に合うと食い下がると、首だけを回して、儀式には自分が同意したのだと告げた。

能力・特徴・関係

兄弟同士で殺し合うとは聞いていない、とハルケンブルグは怒りをあらわにする。ナスビは、新しい状況に適応できることこそ過程の重要な部分だと冷静に返した。継承戦を止めなければ撃つと迫られると、椅子を回して正面から向き合い、継承戦はすでに自分の手を離れており、どうすることもできないと答える。ハルケンブルグは言葉を失い、しばらくしてもう一方の手を添えて銃を支え直した。衝撃を受けたまま見つめる彼に、ナスビは弾丸を捨てながら、お前も今や儀式の一部であり、終わるまで死ぬことはできないと告げる。ヌグイは、この事態が出航前から極秘の訓練として織り込み済みであり、ハルケンブルグと護衛は処罰されないと説明した。

1009号室では、シカクがイヤホン越しのベンジャミンの声で眠りから起こされる。反乱を知らされたシカクは寝床を飛び出して部屋を確かめ、主寝室からハルケンブルグも部下も全員いないと報告し、現場へ向かう支度を始めた。ハルケンブルグが1009号室の入口をくぐると、ベンジャミンはシカクに、彼が覚悟を決めて覚醒し、全力を出す構えだと警告する。1014号室のクラピカは強大なオーラを感じたのが二度目だと書き留め、その発生を追い続けようと自分に言い聞かせた。隣の1007号室では第7王子ルズールスの護衛がオーラの鳴動を感じ取り、発生源が1009号室だと確かめている。1001号室と1007号室が状況の把握に追われるなか、1009号室では後ろ手に縛られたスミドリの肉体がゆっくりと意識を取り戻した。

10日目の午前11時30分、クラピカは1014号室で四度目の発動を感じ取る。前日に1007号室のカンジドルからシカクの自殺についての観察報告を受けていたベンジャミンと、護衛隊長バルサミルコも同じ鳴動を感じ、ただちにビクトへ連絡して何が起きているのかを確かめようとした。継承戦に勝つと決めた後にハルケンブルグは念能力を発現しており、バルサミルコはそれが守護霊獣から授けられたものだと結論づけている。他の兄弟と同じく、彼も卵を受け取り、そこから孵った守護霊獣に守られていた。守護霊獣は寄生型の能力で、本人に制御する権限はない。他の守護霊獣と戦うことも、守護霊獣の宿主を直接攻撃することもできないという、二つの本能にも縛られる。

この守護霊獣に由来する能力が「少年は残酷な弓を射る」である。莫大なオーラを生み出す相互協力型の集団行動形式の能力で、刻印を持つ者は半覚醒の状態に置かれる。発動条件は、刻印を持つ臣下が王子のもとに集まり、意思を統一することである。ハルケンブルグは自身のオーラを弩に変え、臣下のオーラを強力無比な鎧と矢に変える。死をも覚悟して放たれた矢は敵のあらゆる防御を貫き、射抜かれた者と、発動側の集団から無作為に選ばれた者との間に強制的な人格転移を起こす。誰が選ばれるかは、発動する側にも制御できない。

羽の刻印を持つ者が王子のもとに多く集まるほど、互いのポテンシャルは高まる。その集団が意志を統一して能力を発動したときの威力は、あらゆる念能力のなかでも最大級となる。作中では迎撃も防御も困難だと説明されるが、あらゆる条件で勝利が保証されるとまでは確認されていない。念以外の資質も高い。15歳で世界最高の大学に入った事実は極めて高い学力を示し、クラピカは兄弟のなかでもハルケンブルグの実績は突出していると述べた。受けた教育からすれば、物理学の知識は申し分ないはずである。支持者の多さは天性のカリスマを裏づける。手紙を使って国王軍の警戒を緩めさせた手口には戦略の才が表れ、念の予備知識がないまま新たな力の仕組みを推し量った点には分析力が示されている。

病臥と死亡の公表

10日目の午後1時30分、バルサミルコは人目のない場所で靴に隠した放出装置を試し、正常に動くことを確かめたうえでTSK-17のバイアルを装填した。引き金を手にした彼は、これでハルケンブルグを消すと誓う。TSK-17は初期症状が感染性胃腸炎に酷似するが、実際には別のものである。

11日目の午前8時50分、第2層のカイザルの執務室で、センリツ司法省のすぐ上で起きた鳴動を話題に出し、ハルケンブルグ本人かその守護霊獣の能力に関わるものだと推測した。ハルケンブルグが病に倒れたことにも触れ、それが意図したものか想定外かを見極めることが重要だと強調している。センリツはカイザルに詳細を知りたいと伝え、司法省が集めたベンジャミンの秘密、ツェリードニヒの背徳、そしてハルケンブルグ自身の出生に関する情報を収めた手紙を渡して、活用を期待した。

同じ11日目の午前6時45分には、バルサミルコがベンジャミンとハルケンブルグの裁判のため、第2層にある司法省の検察・裁判所エリアの入口に着いている。計画では、反対尋問でハルケンブルグに近づく際にTSK-17を感染させることになっていた。その場ならハルケンブルグは十分に孤立しており、他の者へ感染が及ぶ恐れは小さいと踏んでいる。彼は、攻撃を受けたのは自分のはずなのになぜハルケンブルグが病に倒れたのかを訝り、一度はTSK-17の結果かと考えたが、症状が出るには早すぎるとして退けた。その直後、第1王妃ウンマはハルケンブルグから電話を受け、計画を知らされるとともに、15日目の晩餐会には出席しないと告げられる。ほぼ同じころ、ベンジャミンは第10王子カチョウが遺した最後のメッセージを読んだ。そこには、ウンマがハルケンブルグの実母であること、ウンマが年上の兄姉による暗殺計画から彼を守るため、王位継承の順位を変えるようドゥアズルへ密かに頼んだという説が国際的なサイトで有力視されていることが記されていた。カチョウはほかにも漏らせる情報があることをほのめかし、妹の第11王子フウゲツを守るよう頼んでいる。

ハルケンブルグの容体は悪化し、肉体は第3層の総合病院へ運ばれた。チードル=ヨークシャーレオリオ=パラディナイトと他三名の医師からなるチームを率いて対応にあたる。医師の一人は反応がないことを伝え、別の医師は体温が97.9で、震えも呼吸困難もないと報告した。チードルは倒れた際に頭を打った可能性を挙げ、CHEM-7の血液検査とCTスキャンを指示する。第1層の護衛にこの一週間の容体を尋ねること、吐瀉物を法医へ回すことも命じた。その後「バルサミルコ」はベンジャミンに連絡し、遺体はその日の正午に第3層から中央階段を通って第2層へ、さらに第1層の遺体安置所へ移されると伝えている。

航海12日目、第3層では、ハルケンブルグがその日の未明に亡くなったこと、葬列が正午に中央階段を通って第1層へ向かうことが放送で告げられた。弔意を示したい者は中央階段の広場に集まるよう求められている。放送を聞いたノブナガフィンクスフェイタンは、ハルケンブルグがマフィアの後援者ではなかったことを確かめ、第4層へ戻る計画を再開した。葬列に先立つ最後の掃討では、兵士たちが第3層で一体の遺体を見つけている。棺は第3層から第2層へ階段を運び上げられた。12日目の午前8時、ハルケンブルグはバルサミルコの肉体を通して話し、葬列の進行状況をベンジャミンへ伝えた。葬列は午後1時に司法省を出発し、午後2時に第1層の葬儀場へ到着する予定で、遺言により、継承戦を考慮して王子たちは見送りを免除されている。カイザルは、ハルケンブルグの経過を目安に、ベンジャミンが24時間以内に死ぬ可能性を見積もった。

人格交換と特殊戒厳令下の状況

人格交換の矢を放つ場面では、バルサミルコの肉体が椅子に縛りつけられていた。この肉体ではバルサミルコ本人の人格が優先され、ハルケンブルグはもう一つの人格として同居している。ハルケンブルグは催眠剤でバルサミルコの人格を眠らせ、自分の人格が肉体を強制的に使える状態を作り出していた。

『No.413 忠誠』では、感染性胃腸炎と強制的な睡眠を利用し、TSK-17を使ったように見せかけた可能性が示された。TSK-17が死因だったとは確定しておらず、ハルケンブルグの肉体の死因は現時点でも定まっていない。さらに13時45分ごろに新たな人格交換が行われたが、その対象も、行われた場所も、交換の結果も分かっていない。このため『No.413 忠誠』終了時点で、ハルケンブルグの人格の所在は確認されていない。

第413話までの時系列は次のように整理できる。特殊戒厳令の発令は継承戦12日目の14時15分である。棺の場面はその30分前、13時45分にあたる。ナスビの場面に描かれた「ゴゴゴ」というハルケンブルグの鳴動から、その鳴動を用いた人格交換と、ベンジャミンのTSK-17発症の場面もほぼ同じタイミングであり、この二つの場面もおおよそ13時45分と分かる。TSK-17の発症は感染から約6時間後であるため、ヒュリコフが感染させたのは、タブレットでハルケンブルグの死亡を確認していた場面、およそ6時間前の朝7時45分ごろになる。第413話の最後、ベンジャミンがV・VIPエリアの自室からカミーラの部屋へ向かう場面は発令の15分前で、特殊戒厳令の準備が始まる14時ちょうどである。第410話でベンジャミンが軍を率いて司法省へ向かう場面には発症から30分経ったという台詞があり、13時45分の30分後、すなわち14時15分となる。「残る王子は4人」というあの場面は、特殊戒厳令の発令直後だったことになる。司法省にベンジャミンが着いた場面は、発令から40分が過ぎた14時55分である。

ヒュリコフの「鋼の錬金術師」は、標的のそばに一定時間いなければ発動できない能力である。彼は念講習会にも出ているが、講習会が終われば基本的にベンジャミンの護衛を務めていた。この能力を持ちながらロンギを「11人いる!」の使い手だと誤認したのは、ベンジャミンの命令で標的がクラピカに定まっており、読み取っている間は「発」が使えず、一人しか読み取れないためである。特殊戒厳令の命令には「第1層、即殺対象は非国王軍私設兵」という文言があった。ベンジャミンの私設兵や王妃所属の兵は正規国王軍の資格を持つため、この対象には含まれない。監視にあたっていたベンジャミンの私設兵コベントバが、主寝室で焦る様子も描かれている。

第13王子マラヤームについては、ベンジャミンが1013号室で監視にあたるサクエーレに王子の拘束を命じ、14時30分までに拘束できなければリハンを送るよう指示した。クラピカと偽のワブルがいる1014号室について、ベンジャミンはバビマイナから、ワブルが偽物であることをすでに聞いている。第412話で明らかになったのは、初登場時にクラピカが会った人物と、現在1014号室にいるワブルが別人だという事実である。オイト王妃は最初の面談で「娘」と述べていたが、第12王子モモゼの死をめぐってクラピカと口論する場面では「息子」に「ワブル」とルビが振られていた。発覚の手がかりはカキンの発音で、オイト王妃は一貫して「シマヌ」と発音していたのに対し、第3王子から電話が来た場面でクラピカが口に出して呼ぶときは「シマノ」、心の中で考えるときは「シマヌ」になっていた。偽のワブルは正室の子ではなく壺中卵の儀も経ていないため資格がなく、本物のワブルもセレモニーに参加していないため資格がない。継承戦の資格には三つの条件があり、結果として二人とも資格を欠く。現時点では第1王子私設兵バビマイナと第3王子私設兵サカタが、本来女性であるはずのワブルが男性であることを確認しており、この二つの王子側にはワブルに資格がないという事実がはっきり発覚している。

肉体の死をはさむ継承戦の経過

継承戦10日目の火曜、第1回念講習会が終了し、この時点で残りの参加者は全員が念に覚醒した。翌11日目水曜の朝には、まずハルケンブルグとバルサミルコが人格を交換する。同じ朝、カイザルが司法省の情報網から得た暴露情報の手紙を、フウゲツが各王子とオイト王妃に配り、クラピカのもとにも届いた。ハルケンブルグの肉体は12日目になったばかりの深夜に死亡し、バルサミルコの肉体に入ったハルケンブルグの人格が朝8時にベンジャミンへ電話をかけ、朝9時から第2回念講習会が始まる。第1回の終了、暴露情報の手紙、肉体の死亡、第2回という順序である。第2回の時間帯の後、正午からハルケンブルグの葬送が始まり、遺体が第3層から第2層へ運ばれるタイミングでボークセンモレナ一味にさらわれた。第2回念講習会は、特殊戒厳令が出される前の出来事にあたる。

第2回念講習会は、暴露情報の手紙によって各王子側が互いに情報を握られているのではないかと疑心暗鬼になった、緊張した状況で行われた。第1回に来ていなかった第2王子側の人間が参加することから、クラピカは何か仕掛けてくるとほぼ確信して警戒している。目立つ動きを見せたスラッカは、第3王子チョウライを警護する第2王妃所属の警護兵で、この場では第1王妃ウンマの命令により、ワブル王子の警護サポートとして第3王子の警護兵とともに1014号室に付いていた。すでに死亡している第10王子カチョウの従事者も参加している。指導係は3名で、第13王子を護衛するハンター協会ベレレインテ、第1王子を警護する私設兵ヒュリコフ、第14王子ワブルを警護しながら第1王子の私設兵でもあるバビマイナである。指導係3名と念を開花させた7名の計10名が前回から続けて参加した。ハルケンブルグの警護兵たちは、彼が死亡を偽装したため念自体は10日目までに開花していたものの、今回は参加していない。指導3名、念開花7名、新人8名を合わせた18名が第2回念講習会に加わった。

新たな参加者にもそれぞれ事情がある。第4王子を護衛するギッパー伍長は、もともと下層でモレナの捜索任務に就いており、ボークセンと交代する形で王子居住区へ上がってきた。第7王子護衛で第2王妃所属のガトーとハピエッチの二人は、前回から参加している第2王妃兵隊長サトビの部下にあたり、以前、第1王子の私設兵が近くで見せた不審な行動の謎を探った際にも名前が挙がっていた。第13王子従事者のナイペイは、8日目の第1回晩餐会で踊りを披露するために1013号室の別空間を抜け、それ以来本物の1013号室にいた人物である。最も注目されるのは第2王子兵隊長サラヘルで、兵隊長でありながら従事者になりすまして講習会に参加した。第2王子の私設兵たちの能力は死後の呪いで、時間をかけて王子を呪い殺すため、除念師が天敵となる。セレモニー会場では、それまで姿を現さないとされてきた第5王子ツベッパの念獣も初めて現れている。第411話では、ベレレインテがサイレントマジョリティーの能力である黒ぼっこを「マスク姿の女の子」と表現していた。

ワブル王子の真実がオイト王妃から判明した時点は「特殊戒厳令48時間前」と表記されており、丸2日前、10日目の14時ごろにあたる。この時間帯は、第1回念講習会の最終日に、ロンギが詛贄者であり、ビヨンドの娘でもあることをクラピカへ伝えた後の時間である。ビヨンドは拘束室の場面より前、10日目の14時に、同じ拘束室でカンザイへ連れてきてほしい人物を伝えていた。カンザイはあまり頭が回らず、ヒソカ評価で85点、ビヨンドからは本で頭をぶっ飛ばせると言われる程度の実力である。サイユウパリストン元副会長を経由してビヨンドの仲間になっているため、ビヨンド自身は彼が仲間であることを知らない。当初はビヨンドの監視に十二支んサッチョウも付いていたが、拘束室では10日目と11日目に姿が見当たらない。ロンギの説明では、あくまで推測としながらも、王子それぞれに強いソエモノがいるとされる。そして現在、3人の王子が死亡している。

クレアパトロは第1層の最高裁判官室に属する最高裁判官である。初登場はサイレントマジョリティーによるロベリーの件で、次いでベンジャミンとカミーラの裁判に裁判官として現れた。センリツに味方するカイザルが勤める司法省は、行政・司法・立法のうち「司法」の字を含むため司法機関のように見えるが、実際は日本の法務省にあたり、検察などが在籍する、法を運営する行政の機関である。クレアパトロは司法に属する最高裁判官であるため、両者は上司と部下の関係にはあたらず、それぞれ国のエリートでありながら行政と司法に分かれている。ワブルの件を公に証明することには危険が伴う。第2王子の私設兵がいる状況ではなおさら危うく、証明してしまえば他の王子側から罪を問われる恐れもある。オイト王妃は以前、5人兄弟で兄、姉、妹、弟がいると述べていた。第2王子私設兵サラヘルの能力は死後の念を使って王子を呪い殺すというもので、他の第2王子私設兵は担当する王子と異性になるよう割り当てられている。しかしサラヘルは見るからに女性で、ワブル王子も女性であるため伴侶という関係が成り立たず、以前からこの点には矛盾があった。ヨモツヘグイは「死後伴侶」という風習に由来する能力で、死後伴侶は死んで王子と伴侶になる風習である。クラピカは、継承戦が終わらない場合にはホイコーロ一族が陥落すると推測している。

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