人物
ワブル=ホイコーロ
カキン帝国の第14王子ワブル=ホイコーロ。国王ナスビと第8王妃オイトの娘で、出航前に従兄弟と入れ替えられ、1014号室の乳児は替え玉と判明した。所在は不明。
ワブル=ホイコーロは、カキン帝国の14人の王子の末子にあたる第14王子である。国王ナスビ=ホイコーロと第8王妃オイトの間に生まれた唯一の娘で、出身地はカキン王国。短い黒髪の乳児で、作中では眠る姿しか描かれていない。乳児であるため定まった人格をまだ持たず、身のまわりのすべてを大人に委ねており、王子としての権限も名目上のものにとどまる。暗黒大陸へ向かうブラックホエール号の航海では、母オイトが雇った護衛としてクラピカが身辺を守る立場に就いた。
ブラックホエール号の出航前、オイトは継承戦への参加を避けるため、妹の息子である従兄弟とワブルを入れ替えた。以後1014号室でワブルとして扱われてきたのは、この替え玉の乳児である。本物のワブルはオイトの娘であり、1014号室の乳児はオイトの妹の息子にあたる男児だった。替え玉は壺中卵の儀を行っておらず、本物と替え玉は分けて考える必要がある。本物のワブルの現在の所在は判明していない。

ワブル=ホイコーロ 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博

ワブル=ホイコーロ 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博

ワブルの警護が続く王子居住区
基本情報
| 所属・役割 | カキン帝国の第14王子。国王ナスビ=ホイコーロと第8王妃オイトの間に生まれた唯一の娘で、出身地はカキン王国。 |
|---|---|
| 初登場 | 第349話 |
| 状態 | 生存。出航前に従兄弟と入れ替えられており、現在の所在は判明していない。 |
| 能力・関係 | 壺中卵の儀で守護霊獣が孵るはずの卵を受け取ったが、その守護霊獣は姿も能力も作中で確認されていない。航海中の護衛はクラピカが引き受けた。 |
| 家族 | 父は国王ナスビ、母は第8王妃オイト。オイトの妹が叔母にあたり、その息子が1014号室の替え玉となった従兄弟である。ベンジャミンをはじめとする13人の王子は異母の兄姉にあたる。 |
| 継承戦の資格 | 条件は国王ナスビの正室の子であること、ブラックホエール号に乗船していること、出航セレモニーに参加していることの三つ。本物は出航セレモニーに参加しておらず、替え玉は正室の子でなく壺中卵の儀も行っていない。 |
| 入れ替えを把握している陣営 | ビルが発音の差から気づき、第1王子私設兵バビマイナと第3王子私設兵サカタが乳児は男性であることを確認した。ほかの陣営には同じ水準で証明されていない。 |
| 1014号室の警護 | 護衛はクラピカ。第1王子の私設兵でもあるバビマイナが警護に就き、第2回念講習会の時点では第1王妃ウンマの命令でスラッカと第3王子の警護兵も警護サポートに加わった。 |
人物像
初登場は第349話で、カキン帝国の14人の王子が紹介される場面である。母である第8王妃オイトに抱かれ、ナスビの肖像画の前で眠る姿として現れた。参照記事は単行本第33巻の第350話を典拠に、乳児であるため定まった性格をまだ持たず、眠っている姿しか描かれていないと記す。外見は短い黒髪の乳児で、身のまわりを完全に大人に依存しており、その権限は名目上のものにとどまる。
オイトは初回の面談でワブルを「娘」と呼んでいた。一方、第12王子モモゼが亡くなってクラピカと口論する場面では、「息子」の表記に「ワブル」とルビが振られている。第412話では、初登場時にクラピカが会った人物と、当時1014号室にいたワブルが別人だったことが明らかになった。1014号室の乳児はオイト王妃の妹の息子であり、性別も女性から男性に変わっている。約2か月前の初回面談でクラピカが会った乳児が本物のワブルであり、そこから現在までワブルとして扱われてきたのが替え玉である。
入れ替えはカキンの発音の違いから露見した。オイト王妃はカキンの発音で、シマヌの名を一貫して「シマヌ」と発音していた。これに対しクラピカは、第3王子から電話が来た場面で、口に出して呼ぶときは「シマノ」、心の中で考えるときは「シマヌ」と使い分けている。この差からすり替えに気づいたのがビルである。
家族は、父が国王ナスビ、母が第8王妃オイトで、オイトの妹が叔母、その息子が従兄弟にあたる。オイト王妃は以前「5人兄弟で、兄、姉、妹、弟がいる」と語っており、入れ替えに関わった妹の存在はこの発言と符合する。ベンジャミンやカミーラをはじめとする13人の王子は、いずれも異母の兄姉である。
作中での動向
参照記事によれば、オイトは暗黒大陸へ向かうブラックホエール号の航海に備え、ワブルを守る護衛を雇う匿名の求人6件のうち1件を出していた。クラピカは第9王子ハルケンブルグが出した求人だと思い違いをしたまま、これに応募している。面談の場でもワブルはオイトに抱かれて眠っていた。交渉の末にクラピカは航海のあいだ護衛を務めることに同意し、オイトはワブルをその腕に預けた。クラピカはワブルの顔を見て目つきを和らげている。
その後の数日で、オイトはワブルに儀式用の壺へ血を入れさせたが、のちに妹と乳児の入れ替えを取り決めた。妹は本物のワブルを連れて所在の知れない場所へ去り、オイトは甥を連れて船に乗った。クラピカが語った「2か月前」は、クラピカとオイト王妃、そしてワブルが初めて顔を合わせた面談の場面にあたる。
ワブルの真実がオイト王妃から明かされた時点は「特殊戒厳令48時間前」と表記されている。丸2日前、継承戦10日目の14時頃にあたる。この時間帯は、第1回念講習会の最終日に、ロンギが詛贄者であり、ビヨンドの娘であることなどをクラピカへ伝えた後の時間である。
参照記事は、入れ替えが航海10日目にビルとクラピカによって暴かれ、その2日後に全王子へ知られたと記す。ただし第412話の時点ではっきり確認できるのは、第1王子私設兵バビマイナと第3王子私設兵サカタが、本来女性であるはずのワブルが男性であると確認し、この2つの王子側にワブルの無資格が発覚した範囲までである。ほかの陣営には同じ水準で証明されていない。
継承戦の資格をめぐる状況
作中では、資格を有するのは国王ナスビ=ホイコーロの正室の子であり、ブラックホエール号に乗船し、出航セレモニーに参加した者に限ると説明される。条件は、正室の子であること、ブラックホエール号に乗船していること、出航セレモニーに参加していることの三つである。ワブル王子はブラックホエール号に乗船しており、セレモニー会場への参加もコマで確認できる。
しかしオイトの説明では、出航前に従兄弟と入れ替えられた本物のワブルは出航セレモニーに参加しておらず、継承戦に参加する資格がない。替え玉も正室の子ではなく、壺中卵の儀も行っていないため資格を欠く。結果として2人とも資格がないことになる。1014号室の替え玉が儀式を経ていない以上、本物と替え玉は分けて考える必要がある。
クラピカはワブルに資格がないことを証明しなかった。第2王子私設兵が同席する状況では危険がさらに増すうえ、正式に証明すればほかの王子側から罪を問われる危険もあるためである。実際、クラピカはカチョウの手紙も温存している。
本物の居場所、守護霊獣の有無、セレモニーや儀式への秘密の参加、最終的な継承戦資格は、いずれも確認されていない。参照記事も現在の所在を不明とする。なお継承戦の時間制限の解説では、選択肢のない場合は誓約と制約が成り立たないと述べられていた。クラピカは、継承戦が終わらなければホイコーロ一族が陥落すると推測している。
能力・特徴・関係
壺中卵の儀で、ワブルは守護霊獣が孵って自分を守るはずの卵を受け取った。参照記事は、守護霊獣が規則のような二つの本能に縛られ、ほかの守護霊獣と戦うことも、その宿主を直接攻撃することもできないと整理する。ただし本物ワブルの守護霊獣は、作中で姿も能力も確認されていない。入れ替えの結果として守護霊獣が最終的に顕現したのかどうかも分かっていない。
セレモニー会場では、長く姿を現さないとされてきた第5王子ツベッパの念獣が、この場で初めて現れている。王子たち自身には視認できないが、確かに顕現していた。ワブルの身辺では、第1王子の私設兵でありながら第14王子ワブルの警護に就くバビマイナが、日常の警護を担っている。
第2王子私設兵サラヘルの能力は、死後の念で王子を呪い殺すものである。サラヘルの一族が「死後に王子と伴侶となる」特殊な民族であることが、この能力の由来にあたる。ヨモツヘグイは「死後伴侶」という風習に基づき、死後伴侶は死んで王子と伴侶になる風習である。ほかの第2王子私設兵は担当する王子と異性になるよう割り当てられているが、サラヘルは見るからに女性であり、ワブル王子も女性なので伴侶の関係が成り立たず、以前からこの点には矛盾があった。
そのサラヘルは第2王子の兵隊長でありながら、従事者になりすまして念講習会に参加している。目的はハンター協会の除念師をあぶり出すことにある。第2王子の私設兵たちの能力は死後の呪いで、時間をかけて王子を呪い殺すため、除念師が天敵となるからである。
護衛を務めるクラピカ本来の目的は、第4王子ツェリードニヒに近づくことである。クラピカは王子ではないが、センリツからフウゲツ経由で手紙を受け取っており、オイト王妃へ二つのことを伝えた。一つは継承戦に望みができたこと、もう一つは、あることの許可を求めたことである。
第2回念講習会と1014号室の警護
第2回念講習会は、特殊戒厳令が出される前の時間帯に行われている。この後の正午からハルケンブルグの葬送が始まり、遺体が第3層から第2層へ運ばれるタイミングでボークセンがモレナ一味にさらわれる。2日前の継承戦10日目、火曜日に第1回念講習会が終了しており、この時点で残りの参加者は全員が念に覚醒した。
前日の11日目、水曜日の朝には、まずハルケンブルグとバルサミルコが人格を交換した。同じ朝、カイザルが司法省の情報網から得た暴露情報の手紙を、フウゲツが各王子とオイト王妃へ渡し、クラピカのもとにも届いている。ハルケンブルグの肉体は12日目になったばかりの深夜に死亡した。バルサミルコの肉体に入ったハルケンブルグの人格がベンジャミンへ朝8時に電話し、朝9時から第2回念講習会が始まる。第1回の終了、暴露情報の手紙、ハルケンブルグの肉体の死亡を経て第2回に至る流れである。
暴露情報の手紙により、各王子側は他の王子に自分の情報を握られているのではないかと疑心暗鬼に陥っている。第2回念講習会はその緊張した状況の中で行われた。第1回に来ていなかった第2王子側から兵隊長サラヘルが参加してきたため、クラピカはかなり警戒しており、何か仕掛けてくるとほぼ確信している。第1王子護衛のバビマイナも同じ想定に立っている。
指導係は3名で、第13王子護衛のハンター協会員ベレレインテ、第1王子警護の私設兵ヒュリコフ、そして第14王子ワブルの警護をしながら第1王子の私設兵でもあるバビマイナが務める。この3名は前回も指導係として参加していた。前回の参加者にはほかに、念を開花させた7名、すなわちテンフトリ、ダンジン、マオール、サトビ、ユウリ、イラルディア、ラジオラスがいる。指導係3名と念を開花させた7名、合わせて10名が前回から継続して参加している。今回新たに加わった新人は8名で、ギッパー、ガトー、ハピエッチ、ナイペイ、リズルラ、トネアスタ、ロッコリー、サラヘルである。指導3名、念開花7名、新人8名の合計18名が第2回念講習会に参加している。
さらに、そこへスラッカが急きょ参加しようとしている。スラッカは第3王子チョウライの警護に就く第2王妃所属の警護兵だが、このときは第1王妃ウンマの命令で、ワブル王子の警護サポートとして第3王子の警護兵とともに1014号室についていた。また、第10王子カチョウはすでに死んでいるにもかかわらず、その従事者が第2回念講習会に参加している。ハルケンブルグの警護兵たちは、ハルケンブルグが死亡を偽装したことにより念自体は10日目までに開花したが、今回は参加していない。
周辺の人物と勢力
第4王子護衛のギッパー伍長は、もともと下層でモレナの捜索任務に就いており、ボークセンと交代する形で王子居住区へ上がってきた。第7王子護衛で第2王妃所属のガトーとハピエッチの2人は、前回から参加している第2王妃兵隊長サトビの部下にあたり、以前に第1王子の私設兵が近くで見せた不審な行動の謎を探った際にも名前が挙がっている。第13王子従事者のナイペイは、8日目の第1回晩餐会で踊りを披露するため1013号室の別空間から抜け、それまで本物の1013号室にいた人物である。第411話では、ベレレインテがサイレントマジョリティーの能力である黒ぼっこを「マスク姿の女の子」と表現していた。
クレアパトロは、第1層の最高裁判官室に詰める最高裁判官である。初登場はサイレントマジョリティーによるロベリーの件で、次にベンジャミンとカミーラの裁判に裁判官として現れた。センリツの味方をしているカイザルが勤める司法省は、名称に「司法」と付くため一見司法機関に思われるが、日本の法務省にあたり、検察などが在籍する、法を運営する行政の機関である。クレアパトロは司法に属する最高裁判官であるため両者に上司関係はなく、それぞれ国のエリートでありながら行政と司法に分かれて属している。
ビヨンドは拘束室の場面より前、10日目の14時に、同じ拘束室でカンザイへ「連れてきてほしい人物」を伝えていた。カンザイはあまり頭が良くなく、ヒソカ評価で85点、ビヨンドからは本で頭をぶっ飛ばせると言われるほどの実力とされる。一方、サイユウは実はビヨンド側の人間で、ハンター協会の裏切り者である。ただしパリストン元副会長を経由して仲間になっているため、ビヨンド自身はサイユウが仲間であることを知らない。当初ビヨンドの監視に就いていた十二支んのサッチョウは、拘束室で10日目と11日目に姿が見当たらない。
特殊戒厳令下の1014号室
特殊戒厳令の発令は継承戦12日目の14時15分である。棺の場面はその30分前、13時45分にあたる。ナスビの場面にハルケンブルグの鳴動を示す「ゴゴゴ」の擬音があることから、その鳴動を使った人格交換と、ベンジャミンのTSK-17の発症もほぼ同じタイミングで、この2つの場面もおおよそ13時45分と分かる。TSK-17の発症は感染から約6時間後なので、ヒュリコフが感染させたのは、タブレットでハルケンブルグの死亡を確認していた場面、約6時間前の朝7時45分ぐらいということになる。
第413話の最後、ベンジャミンがV・VIPエリアの自室からカミーラの部屋へ向かう場面は発令の15分前で、特殊戒厳令準備の14時ちょうどにあたる。第410話でベンジャミンが軍隊を引き連れて司法省へ向かう場面には、発症から30分経ったというセリフがある。発症の13時45分から30分後は14時15分となり、「残る王子は4人」という場面は特殊戒厳令が発令されてすぐだったことになる。その後ベンジャミンが司法省に着いた場面は、発令から40分経過した14時55分である。
ヒュリコフの「鋼の錬金術師」は、標的のそばに一定時間いなければ発動できない能力である。ヒュリコフは念講習会にも参加しているが、講習会が終われば基本的にベンジャミンの護衛を担当していた。この能力を持ちながらロンギを「11人いる!」の能力者だと誤認したのは、標的がベンジャミンの命令でクラピカだったためで、能力の説明どおり読み取っている間は「発」が使えず、1人しか読み取れない。
ベンジャミンの念獣の能力はいまだ不明である。ロンギの説明によれば、あくまで推測ながら王子それぞれに強いソエモノがいる。現在は3人の王子が死んでいる状態である。TSK-17は初期症状が感染性胃腸炎に酷似しているが、実際には別のものである。人格交換の矢を放つ場面ではバルサミルコの肉体を椅子に縛っていた。バルサミルコの肉体では本人の人格が優先され、もう1つの人格としてハルケンブルグがいる。ハルケンブルグは睡眠剤でバルサミルコの人格を眠らせ、自分の人格に強制的に肉体を使わせていた。棺の場面では、光っている場所が敗退した王子と連動している。
特殊戒厳令の命令には「第1層、即殺対象は非国王軍私設兵」という言葉があった。ベンジャミンの私設兵や王妃所属の兵は正規国王軍の資格を持つため、この対象には含まれない。所在・安否不明だったチョウライとルズールスについては、監視していたベンジャミンの私設兵コベントバが主寝室で焦る様子が描かれ、チョウライは脱出経路がはっきりしているのに対し、ルズールスは軍の情報網に一切引っかかっていない。第13王子マラヤームには、1013号室で監視するサクエーレへ拘束を命じ、14時30分までに拘束できなければリハンを送るよう指示していた。クラピカと偽ワブルがいる1014号室について、ベンジャミンはバビマイナから、ワブルが偽物であることをすでに聞いている。