人物
チョウライ=ホイコーロ
カキン帝国第3王子チョウライ=ホイコーロの人物像と来歴。守護霊獣が1日1枚生む念コインの性質、シュウ=ウ一家との結びつき、第413話時点で第2層へ移動した所在を解説する。
チョウライ=ホイコーロは、カキン帝国の第3王子である。国王ナスビ=ホイコーロと第三王妃トウチョウレイ=ホイコーロの間に生まれた唯一の男子で、14人の王子の一人に数えられる。出身地はカキン王国。初登場は第349話、状態は生存。表の王族としての顔とは別に、カキン裏社会の三大マフィアの一つシュウ=ウ一家のケツモチという顔を併せ持つ。真の王は社会の明るい側面と暗い側面の双方を使いこなせるべきだという王観を掲げ、継承戦を裏社会への影響力を証明する場とみなしている。
継承戦では、兄弟姉妹と同じく卵から孵った守護霊獣を宿す。この念獣が1日1枚生み出すコインの性質を、護衛やクラピカの助力を借りながら少しずつ突き止めていった。拠点は1003号室で、サカタ、ハシトウ、テンフトリらが身辺を固める一方、第1王子ベンジャミンの私設兵コベントバが監視役として同じ居室に入り込んでいる。特殊戒厳令の発令前には、シュウ=ウ組側の通路と連結ブリッジを通って第2層へ移動したと軍に報告された。第413話の時点では、その所在と意図が追跡の焦点となっている。

チョウライ=ホイコーロ 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博

チョウライ=ホイコーロ 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博

チョウライ=ホイコーロ 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博

チョウライ=ホイコーロ 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博
基本情報
| 役割 | カキン帝国第3王子。国王ナスビ=ホイコーロと第三王妃トウチョウレイ=ホイコーロの間に生まれた唯一の男子で、14人の王子の一人。 |
|---|---|
| 所属 | カキン帝国。カキン裏社会の三大マフィアの一つシュウ=ウ一家のケツモチを務める。 |
| 出身地 | カキン王国 |
| 初登場 | 第349話 |
| 状態 | 生存 |
| 守護霊獣 | 炎を伴う大きな硬貨の姿をした寄生型の念獣。宿主であるチョウライに制御はできず、他の守護霊獣と戦うことも、その宿主を直接攻撃することもできない。 |
| 念コインの仕様 | 1日1枚ずつ創出され、数字の桁は10日ごとに増加する。所有者が条件を満たすことで様々な能力が発現し、複数の条件により複数の能力が発動する。所有者が変わると数字はリセットされ、1に戻る。 |
| 念コインの現況 | 創出された12枚のうち、最初の1枚はコベントバに盗まれ、2枚がテンフトリ、1枚がセンリツ、1枚がクラピカへ渡り、手元に残るのは7枚を超えない。数字はいずれも1。 |
| 居室と主な護衛 | 1003号室。サカタ、ハシトウ、テンフトリ、第2王妃所属のスラッカらが警護にあたり、ベンジャミンの私設兵コベントバが監視役として同居する。 |
人物像
チョウライは背が低く、頭髪のない男性である。四角ばった目と目の下のくまが目立ち、風貌は中国の僧を思わせる。眉はなく、鼻梁から目の上へ弧を描く線が伸び、その上には黒い点が縦に3つ並ぶ。点は根元に近いものほど大きい。細く整えた口ひげ、たいへん角ばった顎、長く伸びた耳たぶも特徴で、浅黒い肌は母トウチョウレイ=ホイコーロから受け継いだ。初登場時は耳が強く強調して描かれていたが、後の話数ではより一般的な描写に変わっている。外見の記述は単行本第34巻・第358話の場面に対応する。
性格は慎重で外交的、闇雲に動くよりも情報を得ることを優先する。本人の弁によれば、権限や力を実際に手にする前から自分に何ができるかを思い悩む質である。知性を評する言葉は素直に褒め言葉として受け取り、自分の頭脳に誇りを持つ。継承戦の勝利条件をどう解釈すべきかを気に掛けた王子は二人しかおらず、チョウライはその最初の一人だった。序盤から思考と戦略を重んじる姿勢が表れている。第5王子ツベッパは年長の兄姉のうち三人を、鼻につくほど傲慢で強欲かつ放縦だと評しており、チョウライもその一人に数えられる。
王子で唯一の乳児であるワブルが真っ先に狙われたと聞いたときは、軽い驚きを見せた。ただし、その反応が戦略上のものか感情から出たものかは判然としない。読みの鋭さは随所に出る。ワブルの護衛が壊滅した事実からは、襲撃を仕組んだ王子が疑いを逸らすために自陣営の者ごと始末したのだろうと見抜いた。ベンジャミンの部下が各王子の警護へ送り込まれたのは守護霊獣の存在が公になったためだ、とも理解している。情報の価値にも自覚的で、敵対勢力に会話を聞かれる恐れがある場では、クラピカから守護霊獣と念の説明を受ける機会をあえて後回しにした。この人物評は単行本第37巻・第390話の場面に対応する。
部下とその力量を信頼する一方、限界も承知しており、自力で理解できない事態に直面すれば外部に助言を求めることをためらわない。シュウ=ウ一家のボスであるオニオール=ロンポウには守護霊獣と念について助言を仰ぎ、クラピカには初歩的な説明から、後にはコインの能力の特定まで複数回にわたって協力を求めた。シマヌは、電話で直接応対する程度には寛容だが、待たされることには耐えられないほど誇り高い人物だという印象を語る。実際、センリツやオニオールのもとへ自ら足を運ぶなど、情報収集を部下任せにしない場面は多い。知性を自負する姿勢は単行本第39巻・第404話にも表れている。
作中での動向
初めて姿を見せるのは、国王ナスビの嫡出の子どもたちが揃って紹介される場面である。目を細め、両手を合わせて何かを熱心に見つめていた。その直後には、クラピカと後の雇い主となる第8王妃オイト=ホイコーロの会話の場面にも姿が挟まれる。出航前夜祭では兄弟姉妹やビヨンド=ネテロとともに壇上に立ち、大きな袖に手を入れたまま群衆へ微笑みかけた。手を振りながら、何があっても継承戦に勝つという思いを改めて固めている。カキン王族はその後まもなく空路でブラックホエール1号へ運ばれた。チョウライは船内の儀式に別の衣装で臨み、第1王子ベンジャミン、第2王子カミーラ、第5王子ツベッパという三人の異母の兄姉と並んで歩いている。
守護霊獣が初めて描かれるのは翌日、航海1日目の出航式である。ワイングラスを傾けるチョウライの背後に浮かんでいた。炎を纏った大きな硬貨のような姿で、8方向へ対称の意匠を持ち、法輪を思わせる。顔は中央にあり、造作は閉じた一対の目と、細長い投入口のような四角い口だけである。式の最中、チョウライはナスビに王となる条件を尋ねた。ナスビは、最後に生き残った一人が正式な王位継承者になるとだけ慎重に答え、解釈はチョウライに委ねる。式を途中で辞したチョウライは、迎えに出た護衛から、第14王子ワブルの警護班が壊滅し、ハンターが2人残るのみだと知らされた。
チョウライは、王子の中で唯一の赤子が真っ先に狙われたことを意外だと述べた。そのうえで、ワブルの護衛はいずれも他の王妃が割り当てた人員なのだから、襲撃者が疑いを避けるために自陣営の者を始末したのでなければ不自然だと付け加えている。護衛の一人はこの機を捉え、出航式にいたチョウライが聞き逃した念獣の発表を話題に出した。護衛たちは、自分たちの誰も念獣を知らないと認めつつ、それが今回の状況を説明しうるという見立てを伝える。チョウライはクラピカが遠回しに差し出した情報提供の申し出を汲み取り、電話では秘密を守れないとして、自室へ正式に招いて情報を交換することにした。
面会では、ワブルを抱いたオイトが席に着くと、チョウライは時間を無駄にせず説明から始めるよう求めた。同席者に聞かれても構わないと述べたうえで、その場は会談を打ち切り、護衛のうちサカタとハシトウの二人に、8日目の次の晩餐会までワブルを警護するよう指示している。これを聞いたスラッカは、自分とコベントバのどちらがワブルに付くべきかを思案した。第1王妃ウンマと第2王妃ドゥアズルに所属する護衛は年少の王子について監視報告を書く義務があり、年少の王子たちが機密情報をやり取りすると見込んでいたためである。同時に、偽情報の罠にも警戒していた。その日のうちにチョウライは1014号室から連絡を受け、護衛をクラピカのもとへ送って念を学ばせることに同意した。
翌朝9時、護衛のテンフトリが1014号室に現れる。誰がクラピカと接触するかを書き留めよという主人の指示を帯びていた。同じころ、守護霊獣の口から落ちたコインをコベントバが拾い上げ、チョウライへ手渡して検分させる。ただしコベントバは、落下の経緯に気づいていたことを意図的に伏せ、前日に同じ仕組みで生まれたコインを自分の懐に収めていたことにも触れなかった。チョウライはその言葉をコインの用途を知らない証と受け取り、手元のコインを見つめ続ける。航海10日目には、クラピカとビルがロンギを1014号室の主寝室へ招いて念を占わせた。クラピカは中座し、停戦の条件で折り合いがつかないための遅れだと説明して戻っている。
継承戦中盤の動向
航海10日目、テンフトリはクラピカの手で念を開花させ、同日午後1時30分に成果をチョウライへ報告した。チョウライは自分のコインへ思考を向け、10日を過ぎれば何かが起きるという予想は外れたと結論づける。そして、自分が持ち続けている限り何の効果も現れないのではないかと考えた。このやり取りを眺めていたコベントバは、自分こそが最初にコインを受け取った人間だという事実を自ら明かそうとはしない。そのコベントバが手元のコインを見ると、刻まれた数字は1から10へ変わっていた。
コベントバはコインで試したいことを抱えていた。とりわけチョウライの守護霊獣の口へコインを差し込んでみたいと考えたが、危険が大きすぎるとして実行はしない。生産の速度を踏まえ、コインを勲章や報奨に使う用途も検討したものの、念能力でなくとも同じ使い方はできるとして退けた。一方チョウライは、新たな見方に立ち、守護霊獣の助けに頼らず継承戦を勝ち抜くと決意する。裏社会の伝手を使うことにして、シュウ=ウ一家のボスであるオニオール=ロンポウに連絡を取った。オニオールは守護霊獣については知らないと答えつつ、若い構成員の中に妙な力を使う者がいると述べ、周辺を当たってみると申し出ている。
航海10日目の早い時間帯、カイザルは第2層の司法省にある自分の執務室で、第10王子カチョウと第11王子フウゲツの脱出未遂に関与したとして拘束されていたセンリツと会っている。同じ日の遅い時間、チョウライは自ら第2層の司法省へ出向いてセンリツと話した。センリツは、王子が直接足を運んだことに驚く。会話の間、センリツは、カイザルが受けたと疑われる操作の背後にチョウライがいるかどうかを心音で探ったが、関与していると特定するには至らなかった。
航海11日目の早い時間、フウゲツがカイザルと司法省に伴われて第1層を回る途中でチョウライを訪ねた。亡くなったばかりのカチョウの遺言を各王子へ届けるためである。この日チョウライは、手元のコインを机に並べた。数字が1のものが7枚横一列に置かれ、その上に数字が10のものが1枚。その日のうちに1枚の数字が1から10へ変わったことに気づいたチョウライは、意味の見当がつかないとして周囲に意見を求めた。護衛の一人が、コインは10日を経ると数字が変わるのではないかと述べる。チョウライはこれに同意し、10のコインに10日前の日付を記させた。以後は新しく生まれたコインにも生成日を記録させ、遅くとも10日後には仮説を検証できるようにしている。そのうえで部下に1014号室へ連絡を取らせた。
同じ日の午後1時過ぎ、クラピカがオイトとワブルを伴って1003号室を訪れ、この件を話し合った。チョウライは提案に同意したうえで、代わりに数字が10のコインをクラピカへ渡す。クラピカが再び変化が起きるかを確かめるためにコインを返すと、意匠は裏面に自分の守護霊獣が刻まれた自身のものへ戻ったが、数字は変わらず1のままだとチョウライは説明した。クラピカが、コベントバの前で推測を明かしてよいのかと遠回しに確かめると、チョウライは構わないと言い切り、この能力はベンジャミンを脅かす類のものではないと請け合う。さらに、情報はいくらあっても多すぎることはないが急を要する話ではないと述べ、むしろクラピカ自身とワブルの警護の方を案じていると語った。ただし内心では、対等の関係だと思うなと釘を刺し、ワブルの安全と引き換えに情報を受け取っているにすぎないと考えていた。
能力・特徴・関係
年長の王子の一人として、王座を得るために有効な政治的影響力と資産を持つ。念能力者としての戦闘力ではなく、この地位と人脈が継承戦での主要な手札である。カキン裏社会の三大マフィアの一つシュウ=ウ一家のケツモチを務めており、守護霊獣に頼らず勝つと決めた後は、裏社会との結びつきを積極的に用いる方針へ転じた。
他の兄弟姉妹と同じく、チョウライも卵を受け取り、そこから身を守る念獣の一種である守護霊獣が孵った。寄生型の能力であるため、本人に制御はできない。守護霊獣には規則のような二つの本能が課されている。他の守護霊獣と戦うことができず、他の守護霊獣が憑いた宿主を直接攻撃することもできない。姿は炎を伴う大きな硬貨で、宿主の背後に浮かんだまま行動を共にする。
守護霊獣が生み出すコインは、1日1枚ずつ創出され、数字の桁は10日ごとに増加する。所有者が条件を満たすことで様々な能力が発現し、複数の条件により複数の能力が発動する。所有者が変わると数字はリセットされ、1に戻る。これまでに創出された12枚のうち、最初の1枚はコベントバに盗まれ、2枚がテンフトリへ、1枚がセンリツへ、1枚がクラピカへ贈られた。チョウライの手元に残るのは7枚を超えない。数字が10に達したコインもあったが、クラピカへ渡した時点でリセットされたため、残る全てのコインの数字は1である。
家族関係では、父がカキン国王ナスビ=ホイコーロ、母が第三王妃トウチョウレイ=ホイコーロで、この両親の間の子はチョウライだけである。異母の兄姉弟妹には第1王子ベンジャミン、第2王子カミーラ、第4王子ツェリードニヒ、第5王子ツベッパ、第7王子ルズールスらがおり、オニオール=ロンポウとブロッコ=リーは異母の伯叔父にあたる。チョウライは、自分と第4王子ツェリードニヒ、第7王子ルズールスの三者による勢力均衡を重視していた。均衡が崩れれば最も得をするのはベンジャミンである。同居していればワブルもろとも自分を殺し、マフィアの残虐さを印象づけて抗争を煽り、戒厳令を敷く口実にしかねない。戒厳令下では各王子の警護へ自軍の兵を送り込み、意のままに殺せるようになるからである。
身辺を固める人員では、サカタとハシトウが直接の護衛にあたり、テンフトリが念講習会への派遣役を担う。スラッカは第2王妃所属の警護兵でありながらチョウライの警護に就き、第1王妃ウンマの命令で、第3王子の警護兵とともにワブル王子の警護支援として1014号室に付く場面もあった。同じ居室にはベンジャミンの私設兵コベントバが監視役として入り込んでおり、守護霊獣が落としたコインを最初に手にしたのもこの人物である。護衛たちは念獣の知識を持たなかった。そのためチョウライは、早い段階から外部との情報交換に踏み切ることになる。
特殊戒厳令と第2層への移動
航海12日目の朝、テンフトリは2回目の念講習を受けるために1014号室へ現れた。テンフトリはチョウライに連絡し、1003号室の人員をこれ以上減らすのは得策ではないと具申する。チョウライは同意しつつ、自分たちが1014号室と親密だという報告がベンジャミンに上がるようでは同じく得策ではないと念を押した。クラピカの側でも判断が揺れていた。各王子が秘策を抱え、蛇を送り込んだ人物の正体も分からないまま1014号室に留まるか、各王子の護衛が互いを監視し牽制し合う一方でベンジャミンに狙われうる1003号室へ移るか、という二択である。
特殊戒厳令の発令は継承戦12日目の14時15分である。棺の場面はその30分前の13時45分にあたる。ナスビの場面ではハルケンブルグの鳴動を示す擬音が描かれており、鳴動を用いた人格交換とベンジャミンのTSK-17の発症も、ほぼ同じ13時45分頃と整理できる。TSK-17の発症は感染から約6時間後であるため、ヒュリコフが感染させたのは、タブレットでハルケンブルグの死亡を確認していた場面、すなわち約6時間前の朝7時45分頃と逆算される。ベンジャミンがV・VIPエリアの自室からカミーラの部屋へ向かう場面は発令15分前で、戒厳令の準備が始まる14時ちょうどにあたる。410話でベンジャミンが軍隊を引き連れて司法省へ向かう場面には、発症から30分が経ったという台詞がある。13時45分の30分後は14時15分となり、「残る王子は4人」という場面は発令の直後だったことになる。司法省へ着いた場面は、発令から40分が経過した14時55分である。
特殊戒厳令の命令には、第1層では非国王軍私設兵を即殺対象とするという内容が含まれていた。ベンジャミンの私設兵や王妃所属の兵は正規国王軍の資格を持つため、この対象から外れる。発令の直後に所在と安否が分からなくなったのが、チョウライと第7王子ルズールスである。監視していたコベントバが主寝室で焦る様子も描かれた。チョウライは脱出経路がはっきりしているのに対し、ルズールスは軍の情報網に一切引っかかっていない。兵の一人は、チョウライがシュウ=ウ一家のボスであるオニオールの居宅内にある連結ブリッジを通り、発令の直前に第2層へ移動したと報告し、経路を確認して足取りを追っており続報は間もなく届くと伝えた。これを受けてベンジャミンは、第2偵察班と斥候にチョウライへ注力するよう指示している。
同じ局面で、第13王子マラヤームについては、1013号室で監視にあたるサクエーレに王子の拘束が命じられた。14時30分までに拘束できなければリハンを送るよう、ベンジャミンは指示を重ねている。クラピカと偽のワブルがいる1014号室について、ベンジャミンはバビマイナから、ワブルが偽物であることをすでに聞いていた。棺の場面では光っている場所が敗退した王子と連動しており、この時点で3人の王子が死んでいる。ベンジャミンの念獣の能力はいまだ不明である。ロンギの説明では、あくまで推測として、王子それぞれに強いソエモノがいるという。
「鋼の錬金術師(コンボマスター)」は、標的のそばに一定時間いなければ発動できない能力だった。ヒュリコフは念講習会に参加しつつ、講習が終われば基本的にベンジャミンの護衛を担当している。この能力を持ちながらロンギを「11人いる!(サイレントマジョリティー)」の能力者だと誤認していたのは、今回の標的がベンジャミンの命令でクラピカだったためである。読み取っている間は「発」が使えず、1人しか読み取れない。TSK-17は初期症状が感染性胃腸炎に酷似するが、実際には別のものである。人格交換の矢を放つ場面では、バルサミルコの肉体が椅子に縛られていた。現在その肉体ではバルサミルコ本人の人格が優先され、もう1つの人格としてハルケンブルグがいる。ハルケンブルグは睡眠剤でバルサミルコの人格を眠らせ、自分の人格が強制的に肉体を使える状態にしていた。
第2回念講習会をめぐる情勢
継承戦が終わらない場合は「ホイコーロ一族が陥落する」と、クラピカは推測している。第2回念講習会が行われているのはこの時間帯で、特殊戒厳令が出される前の出来事にあたる。この後の正午からハルケンブルグの葬送が始まり、遺体が第3層から第2層へ運ばれるタイミングでボークセンがモレナ一味にさらわれた。2日前の継承戦10日目火曜日には第1回念講習会が終了し、この時点で残りの参加者が全員念に覚醒している。前日の11日目水曜日の朝には、まずハルケンブルグとバルサミルコが人格を交換した。同じ朝、カイザルが司法省の情報網から得た暴露情報の手紙を、フウゲツが各王子とオイト王妃へ渡し、クラピカのもとにも届いている。ハルケンブルグの肉体は12日目になったばかりの深夜に死亡し、バルサミルコの肉体に入ったハルケンブルグの人格が朝8時にベンジャミンへ電話し、朝9時に第2回念講習会となる。
つまり、第1回講習会の終了、暴露情報の手紙の配布、ハルケンブルグの肉体の死亡、そして第2回という並びである。第2回念講習会は、その手紙によって各王子側が、他の王子に自分の情報を握られているのではないかと疑心暗鬼になる、緊張した状況の中で行われた。第2王子の兵隊長サラヘルが参加してきたため、第1回に来ていなかった第2王子側の人間が現れたことにクラピカはかなり警戒し、何か仕掛けてくるとほぼ確信している。第1王子護衛のバビマイナも同じ事態を想定していた。この回で目立つ行動を見せたスラッカは、第3王子チョウライの警護をしている第2王妃所属の警護兵である。このときは第1王妃ウンマの命令で、ワブル王子の警護サポートとして第3王子の警護兵とともに1014号室に付いていた。第10王子カチョウはすでに死んでいるにもかかわらず、第10王子の従事者も参加している。
指導係は3名で、第13王子護衛のハンター協会員ベレレインテ、第1王子警護の私設兵ヒュリコフ、そして第14王子ワブルの警護をしながら第1王子の私設兵でもあるバビマイナが務める。この3名は前回も指導係だった。前回参加していたのはほかに、念を開花させた7名、すなわちテンフトリ、ダンジン、マオール、サトビ、ユウリ、イラルディア、ラジオラスである。指導係3名と念を開花させた7名、合わせて10名が前回から継続して参加している。ハルケンブルグの警護兵たちは、ハルケンブルグが死亡を偽装したことにより念自体は10日目までに開花したが、今回は参加していない。新たに加わった新人は8名で、ギッパー、ガトー、ハピエッチ、ナイペイ、リズルラ、トネアスタ、ロッコリー、サラヘル。指導3名、念開花7名、新人8名の合計18名が第2回念講習会に参加し、そこへスラッカが急きょ加わろうとしている。
新人の顔ぶれにはそれぞれ背景がある。第4王子護衛のギッパー伍長は、もともと下層でモレナの捜索任務に就いており、ボークセンと交代する形で王子居住区へ上がってきた。第7王子護衛で第2王妃所属のガトーとハピエッチの2人は、前回から参加している第2王妃兵隊長サトビの部下にあたる。以前、第1王子の私設兵が近くで見せた不審な行動の謎を探っていた際に名前が出ていた2人でもある。第13王子従事者のナイペイは、8日目の第1回晩餐会で踊りを披露するために1013号室の別空間から抜け、それまで本物の1013号室にいた人物である。最も注目されるのは第2王子兵隊長サラヘルで、兵隊長でありながら従事者になりすまして参加している。目的はハンター協会の除念師をあぶり出すことにあり、第2王子の私設兵たちの能力が死後の呪いで時間をかけて王子を呪い殺すものである以上、除念師が天敵となるからである。
継承戦の資格については、作中の台詞から三つの条件が示される。国王ナスビ=ホイコーロの正室の子であること、ブラックホエール号に乗船していること、出航セレモニーに参加していることである。ワブル王子は乗船しており、セレモニー会場への参加もコマで確認できる。継承戦の時間制限の解説では、選択肢のない場合は誓約と制約が成り立たないと述べられていた。セレモニー会場では、ずっと姿を現さないとされてきた第5王子ツベッパの念獣もこのとき初めて現れており、王子たち自身には視認できないが確かに顕現していた。411話では、ベレレインテがサイレントマジョリティーの能力である黒ぼっこを「マスク姿の女の子」と表現している。クラピカ本来の目的は第4王子ツェリードニヒに近づくことにある。王子ではないクラピカだが、センリツからフウゲツ経由で手紙を受け取ったため、オイト王妃に対して、継承戦に望みができたことと、あることの許可を求めることの二つを伝えていた。
ワブルの真相と継承戦の資格
ワブル王子の真実がオイト王妃から判明した場面には「特殊戒厳令48時間前」という表記があり、丸2日前の10日目14時頃にあたる。この時間帯は、第1回念講習会の最終日に、ロンギが詛贄者(ソエモノ)でありビヨンドの娘であることなどをクラピカへ伝えた後の時間である。クラピカが口にした「2か月前」は、クラピカとオイト王妃、そしてワブル王子が初めて顔を合わせた面談の場面を指す。ビヨンドは、拘束室の場面より前の10日目14時に、同じ拘束室でカンザイへ「連れてきてほしい人物」を伝えていた。
周辺の人物と機構も整理できる。クレアパトロは第1層・最高裁判官室の最高裁判官で、初登場はサイレントマジョリティーでのロベリーの件、次いでベンジャミンとカミーラの裁判の場面に裁判官として現れた。センリツの味方をしているカイザルが勤める司法省は、名称に「司法」と付くため一見司法機関に思われるが、日本の法務省にあたり、検察などが在籍する、法を運営する行政の機関である。クレアパトロは最高裁判官で司法の人間であるため両者は上司関係にあたらず、それぞれ行政と司法に属する国のエリートということになる。カンザイはあまり頭が良くなく、ヒソカ評価で85点、ビヨンドから「本で頭をぶっ飛ばせる」と言われるほどの実力とされる。サイユウは実はビヨンド側の人間でハンター協会の裏切り者だが、パリストン元副会長を経由して仲間になっているため、ビヨンド自身はその事実を知らない。当初はビヨンドの監視に十二支んのサッチョウも付いていたが、拘束室では10日目と11日目に姿が見当たらない。
412話で明らかになったのは、初登場時にクラピカが会った人物と、現在1014号室にいるワブルが実は違う人物だったという事実である。本当のところはオイト王妃の妹の息子であり、性別も女性から男性に変わっていた。オイト王妃は最初の面談で「娘」と言っているが、第12王子モモゼが亡くなってクラピカと口論している場面では、「息子」に「ワブル」とルビが付いていた。カキンの発音も手掛かりになる。オイト王妃はカキンの発音でずっと「シマヌ」と正しく発音していたのに対し、第3王子から電話が来た場面では、クラピカが口に出して呼ぶ時は「シマノ」、心の中で考える時は口で発音をしないため「シマヌ」になっていた。オイト王妃は以前「5人兄弟で、兄、姉、妹、弟がいる」と発言している。すり替えに気づいたのはビルである。偽のワブルは正室の子ではなく、壺中卵の儀も行っていないため継承戦の資格がなく、2人とも資格がないことになる。
クラピカがワブルに資格がないことを証明しなかった理由も説明される。第2王子私設兵がいる状況ではより危険であり、きちんと証明してしまえば、他の王子側から罪を問われる危険性もある。実際、クラピカはカチョウの手紙も温存している。現時点では、第1王子私設兵バビマイナと第3王子私設兵サカタが、本来女性であるはずのワブルが男性であることを確認しており、この2つの王子側には「ワブルには継承戦の資格がない」という事実がはっきりと発覚している。資格の条件は3つあり、本物のワブルはセレモニーに参加していないため資格がない。
第2王子私設兵サラヘルの能力は、死後の念を使って王子を呪い殺すというものである。サラヘルの一族が「死後に王子と伴侶となる」特殊な民族という経緯があるために使える能力で、そのため他の第2王子私設兵たちは、担当する王子と異性であるよう割り当てられている。サラヘルは見るからに女性であり、ワブル王子も女性であるため伴侶という関係が成り立たず、以前からこの点には矛盾があった。ヨモツヘグイの能力は「死後伴侶(シゴハン)」という風習から来ている。死後伴侶とは、死んで王子と伴侶になる風習を指す。