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人物

ルズールス=ホイコーロ

カキン帝国の第7王子ルズールス=ホイコーロ。裏社会ではシャ=ア一家の後ろ盾を務め、守護霊獣は標的の欲望を餌に罠を張る。No.413では発令時に所在・安否不明となる。

No.417まで対応更新 2026.08.13

ルズールス=ホイコーロは、カキン帝国の14人の王子のうち第7王子である。国王ナスビ=ホイコーロと第2王妃ドゥアズル=ホイコーロの子で、同じ母から生まれた2男2女の3番目にあたる。出身地はカキン王国。裏社会ではカキン三大マフィアの一つシャ=ア一家の後ろ盾(ケツモチ)を務める。参照記事の記載では、第348話で名前が挙がり、第349話で姿を見せる。

王位継承編では、ブラックホエール号の1007号室を居室とし、バショウら護衛を迎えて暗黒大陸への航海に加わる。念の存在を知った後も第5王子ツベッパを最初に狙う当初の計画を続け、キレイなハッパを薬物依存者の更生に使えないかと考えるなど、薬物と政治をめぐる思案が描かれる。守護霊獣は標的の欲望を餌に罠を張る能力を持ち、第11王子フウゲツの異変の原因ではないかと疑われて暗殺計画の標的になった。No.413 忠誠では14時00分に1007号室にいたことが確認されるが、14時15分の特殊戒厳令発令時には所在・安否不明となる。

基本情報

ルズールス=ホイコーロの基本情報
役割カキン帝国の14人の王子のうち第7王子。国王ナスビ=ホイコーロと第2王妃ドゥアズル=ホイコーロの子で、同じ母から生まれた2男2女の3番目にあたる。
所属・後ろ盾カキン帝国に属する。裏社会では、カキンの三大マフィアの一つであるシャ=ア一家の後ろ盾(ケツモチ)を務める。母は第2王妃ドゥアズル。
初登場第348話で名前が挙がり、第349話で登場する。
状態生存として記載される。ただしNo.413では、継承戦12日目14時15分の特殊戒厳令発令の時点で所在・安否不明となる。
出身地カキン王国。
守護霊獣の能力標的の欲望を具現化した餌で罠を張り、標的が罠にはまって欲望を満たすと発動する。姿は巨大なムカデのような生き物で、系統は具現化系。疑似的に強制力を持つ操作を併用する。寄生型のため本人に制御はできない。
家族関係父は国王ナスビ、母は第2王妃ドゥアズル。カミーラとツベッパは同じ母から生まれた姉にあたる。ハルケンブルグは血縁上は異母の兄弟だが、養子縁組により同母の兄弟として扱われる。
護衛と兵暗黒大陸への渡航にあたりバショウが護衛に加わり、護衛のうち3名のハンターが念と念獣について説明する。ライスやベンジャミンの私設兵カンジドルも室内の警護に就く。第2王妃所属のガトーとハピエッチは第7王子護衛として第2回念講習会に参加した。第289期ハンター試験では、彼の兵が全員不合格になっている。
居室ブラックホエール号の1007号室。9日目の時点で、隣室は第9王子ハルケンブルグの部屋である。

人物像

痩せた体つきで、黒い目と大きく尖った鼻を持ち、四角い顔に輪郭のはっきりした顎が描かれる。ふだんは無精髭のままだが、ブラックホエール号の食堂で開かれた出航セレモニーのような場では髭を剃った姿を見せる。同じ母から生まれたきょうだいの髪が鋭く曲がる筋状に描かれるのに対し、ルズールスの金髪は後ろへ撫でつけられ、編み込みに近い形で両脇が二つの大きな房になる。初期の登場では髪に色が塗られておらず淡い髪色に見えたが、以降は一貫して濃い髪で描かれる。

人物像として判明していることは多くない。異母兄の第4王子ツェリードニヒは彼を愚か者と見なす。根拠に挙がるのは、ルズールスの兵が第289期ハンター試験で全員不合格になったことである。ツェリードニヒは、試験に嘘発見器が用意されている可能性を考えないまま、ルズールスが兵に暗殺を持ちかけたのだろうと推測した。ただしツェリードニヒは自らの知性に誇りを持ち、劣ると見た相手を低く評価する。この見立て自体には疑問が残る。

念に対する態度は柔軟である。護衛のハンターから話を聞くまで念の知識をうかがわせる様子はなく、それでも念の存在と、自分に守護霊獣がついている事実をそのまま受け入れた。念が広く知られた状況を踏まえ、計画の修正も検討している。習得には継承戦の期間より長い時間がかかると分かると、第5王子ツベッパを最初の標的とする当初の計画を続けると決めた。融通と戦略への意識がうかがえる判断である。

第10王子カチョウが、自らの死とともに各王子へ届くよう仕組んだ私信を装った手紙を受け取ったときは、王子ごとに違う内容が渡されている可能性をすぐに考え、中身に本能的な悪い予感を抱いた。さらに、カチョウが第11王子フウゲツを生き延びさせるため、自分とツェリードニヒを争わせようとしたのではないかという読みへ即座に至り、その場合に自分が取るべき最善手まで検討している。

配慮を見せる場面もある。代表例は、健康志向の薬であるキレイなハッパを薬物依存者の更生に使えないかと考えたことである。主寝室で複数の警護兵を伴いながら大型テレビを見ている姿もたびたび描かれる。

作中での動向

名前が最初に挙がるのは、第4王子ツェリードニヒと護衛テータの会話である。テータは、ルズールスの護衛が直近のハンター試験に全員落ちたと報告した。ツェリードニヒは、嘘発見器で見抜かれる可能性を考えないまま暗殺の案を兵に持ちかけたのだろうと推測する。実際に姿が描かれるのは、さまざまな種類の瓶が並び煙の立ちこめる部屋で水たばこを吸う場面で、第7王子であり第2王妃ドゥアズルの子として紹介される。バショウはこの護衛の募集に応じ、暗黒大陸への渡航に同行する護衛となった。

出航前夜の祭では、きょうだいやビヨンド=ネテロとともに舞台に立ち、大きな袖の中で手を合わせて群衆に笑いかける。一方で、他の王子と違って関心のない様子で両手をポケットに入れ、群衆に手を振らない姿も描かれた。まもなくカキン王族はブラックホエール号へ空路で運ばれる。船内で開かれた式典では明るい色のスーツに着替え、参列者の一人が耳打ちする様子が見える。

翌日ブラックホエール号が出航し、汽笛が鳴って継承戦が始まる。第1層の宴会場では出航セレモニーが開かれ、継承戦の参加資格を得るため全王子が出席した。王子たちがセレモニーに出ている間、クラピカは緊急チャンネルで念獣について放送する。会場では、長く姿を現さないとされてきた第5王子ツベッパの念獣もこのとき初めて現れており、王子たち自身には視認できないが確かに顕現していた。継承戦の資格を有するのは、国王ナスビ=ホイコーロの正室の子であること、ブラックホエール号に乗船していること、出航セレモニーに参加していることの三つを満たす者に限られる。ワブル王子は乗船もセレモニー会場への参加もコマで確認できる。時間制限の説明では、選択肢のない場合には誓約と制約が成り立たないと整理されている。

1007号室に戻ったルズールスは、護衛のうち3名のハンターから念と念獣の存在を知らされる。ソファに手足を投げ出す彼の背後には、本人には見えない守護霊獣が構えていた。虫のような頭部を持ち、短い触角の脇に小さな翅を備えた大きな生き物である。念が見えるようになるまで1年近い学習が必要だと護衛に確かめたうえで、彼は継承戦の計画を変えず、第5王子ツベッパを最初に狙う当初の方針を続けると兵に告げた。念は膠着状態を生むほど強力だが、きょうだいが念を知らなければ継承戦を制する力にもなると理解している。護衛のハンターには交代で側に付き、別の念獣を見かけたら知らせるよう指示した。

出航から4時間後、バショウのキレイなハッパを勧められ、床に座って一緒に吸う。合法だと知って驚くルズールスに、バショウは、他のものも試したが結局これに戻ること、最も重い喫煙者にこそよく効き、友人が健康を取り戻したことを話す。ルズールスはこれを薬物依存者の更生に使えないかと考えるが、薬物の取り締まりはカキン軍の職掌であり、軍の上層にいる第1王子ベンジャミンを通すのは難しいと見る。臨床試験の結果を公表することについて意向を尋ねると、バショウは構わないとしつつ、王になるほうが早いのではないかと返し、王子はそう簡単ではないと言い返した。その夜、1014号室から連絡を受け、護衛をクラピカのもとへ念の習得に送ることに同意する。

航海中の出来事と周辺の動き

航海4日目、第5層でフランクリンノブナガフィンクスフェイタンが行き会ったブオール一家の一員が、ルズールスと、船に乗るカキン三大マフィアの一つシャ=ア一家とのつながりを明かす。8日目の晩餐会では、センリツのフルート演奏に短い間だけ聴き入っている。

9日目、テレビで映画を見ていたルズールスに、バショウが、隣室である第9王子ハルケンブルグの部屋からオーラの鳴動が戻ったと伝える。呼び鈴が鳴ると、バショウはルズールスを下がらせ、インターホンの前にいた別の警護兵に来訪者を尋ねた。警護兵はベンジャミンの私設兵だと答え、同じくベンジャミンの私設兵で当時ルズールスの警護に就いていたカンジドルは、彼がそこにいる理由に心当たりがないと話す。バショウは、相手がスミドリに憑依されていることを知らないまま、扉の警護兵を介して「シカク」に用件を尋ねた。

1007号室にいた者たちは廊下の銃声を聞いて武器を構え、ライスがインターホン越しに見たものを伝える。「シカク」は問いに答えず、ベンジャミンの名を口にして自分の頭を撃っていた。外へ出て遺体を確認したバショウは鳴動が止まったことに気づくが、どこから発していたのかは分からない。カンジドルはベリービップエリアへ一時戻り、シカクの件と、そのとき1007号室で起きていたことをベンジャミンへ報告した。

バショウは、第2王妃ドゥアズルの配下が最有力の容疑者で何かを企んでいると考えていたが、ドゥアズルは自ら動くことを好まず、どの王子にも助力しないため、ルズールスはその見方に反対だったと説明する。カンジドルは説明を受け入れて立ち去る。バショウはその背を見送りながら、シカクの死はベンジャミンによる芝居で、死後の念を利用するために1007号室の外で自殺させ、ハルケンブルグへ疑いを向けている間に第2・第3・第4王子を狙うための目くらましではないか、という疑いを口には出さなかった。

バショウは、死後の念を使う者はそれを死後に標的へ取り憑く呪いに用いるのが普通だと考えつつ、守護霊獣を持つ標的をさらに呪いで祟れるのかと疑問を抱き、そうした相手との遭遇に備える。10日目、カイザルは第2層の司法省に留置されているセンリツと話し、恩赦とアンコールを求めて複数の王子が面会を申し入れており、その中にルズールスがいると伝えた。

フウゲツをめぐる計画と司法省の関与

11日目午前6時、「カチョウ」はセンリツに、妹である第11王子フウゲツの右肩甲骨にある痕を写した写真を見せる。センリツは、注射痕である可能性と、誰かの多段階の念能力に仕込まれた罠を踏んだ結果である可能性を挙げ、フウゲツが何らかの薬物を注射されたのではないかと述べた。犯人は絞りかねていたが、後にカイザルの執務室で交わした会話で、「カチョウ」は、マフィアを支えるために薬物を扱うルズールスの守護霊獣が背後にあるのではないかと指摘する。センリツがルズールスは意識してフウゲツを狙ってはいないだろうと言い添えたうえで、三人はルズールスか守護霊獣を倒すほかに事態を収める道はないと判断し、両方を排除する計画を立てた。

計画は、センリツの音楽でルズールスを昏倒させ、フウゲツのミミズで救命艇へ運び、カチョウを死なせたのと同じ仕組みで殺すというものである。センリツは、意識のないルズールスをトンネルの中で運びきる力を持つ者が必要だと指摘した。「カチョウ」は、ルズールスが自分から救命艇に乗るほど愚かであってほしいと言い、昏倒している間に毒を盛るか絞めるかで済ませるのがよいと述べる。カイザルはこれに反対し、事故に見せかけるほうがよいと主張した。彼はルズールスを運ぶ役を引き受け、聴取を受けている最中に実行すればそれをアリバイに使えると提案する。「カチョウ」とセンリツは彼へ視線を向けた。

カイザルは、その点は自分が処理できると言い、フウゲツが各王子と直接会う口実を考えるよう二人に頼む。司法省とともに同行するので暗殺の危険は心配いらないとも告げた。「カチョウ」は手紙を書き、各王子への最後の言葉という体裁を取ることを提案するが、司法省に見せたくないものを多く抱えているであろうルズールスが立ち入りを許すかどうかを疑った。

計画は動き出し、まもなくフウゲツは司法省に護衛され、ベンジャミン、ツベッパ、第6王子タイソンへ手紙を届けた後に1007号室へ向かう。室外には警護兵が2名立ち、フウゲツはルズールス宛ての「カチョウ」の手紙を手渡した。カチョウにはそれを伝える機会がなかった、とフウゲツは答える。ルズールスは、カチョウが妹を巻き込みたくなかったのだろうと推測し、内容は継承に直接関わらないとしながら、司法省の上層に回してもよいとカイザルに言う。中傷めいた噂を手がかりに司法省へ王子たちを調べさせ、実際の不正を暴かせる策だった可能性も挙げるが、自分は人を裁ける立場ではないと認めた。真偽は分からず確かめる気もないとして、手紙はカイザルが持っていればよいと告げる。

1007号室の玄関ホールを出る際、バショウはフウゲツに、まとわりつく低級の悪霊をしばらく遠ざける御守りを渡す。同日午前8時50分、フウゲツの訪問後にカイザルの執務室で交わされた会話で、「カチョウ」は、ルズールスが犯人でなかった場合に備えて早く動くべきだと述べ、フウゲツが目を覚ましたら始めることを提案した。カイザルは、トンネルが10メートルほどならルズールスを自分で運んでも間に合うと請け合う。なお、カイザルが勤める司法省は名称に「司法」と付くものの、日本の法務省にあたり、検察などが属する行政の機関である。第1層・最高裁判官室の最高裁判官クレアパトロは司法の側の人物で、両者に上下関係はない。クレアパトロはサイレントマジョリティーによるロベリーの件で初めて登場し、次にベンジャミンとカミーラの裁判へ裁判官として現れた。

能力・特徴・関係

きょうだいと同じく、ルズールスも卵を受け取り、そこから孵った守護霊獣が彼を守る。寄生型の能力であるため、本人が制御することはできない。この念獣は規則のような本能に縛られ、他の守護霊獣と戦うことも、守護霊獣の宿主を直接攻撃することもできない。姿は巨大なムカデのような生き物である。

系統は具現化系で、疑似的に強制力を持つ操作を併用する。標的の欲望を具現化し、それを餌にして罠を張る。標的が罠にはまり、欲望を満たすことで発動する。

センリツと「カチョウ」は、この能力が現在フウゲツに作用していると見ている。フウゲツは背中を刺され、自分の能力を1日に何度も使えると思い込むようになり、外部の介入がなければ数日のうちに死ぬほど酷使している。自分の意思では使用をやめられない依存の兆候も現れた。二人の見立てが正しければ、ルズールスの守護霊獣は他の王子を攻撃できることになる。その場合は二つ目の本能を欠いているか、罠が宿主への直接の攻撃には当たらないかのどちらかとなる。

カキンの王子として大きな政治力と富を持つが、年長の王子たちほどではない。裏社会ではカキンの三大マフィアの一つシャ=ア一家の後ろ盾となる。母は第2王妃ドゥアズル、出身地はカキン王国である。第2回念講習会に参加した第7王子護衛のガトーとハピエッチは第2王妃所属で、前回から参加している第2王妃兵隊長サトビの部下にあたる。この2名は、第1王子の私設兵が近くで見せた不審な行動の謎を探る過程で名前が挙がった人物でもある。

継承戦の終盤、ベンジャミンはきょうだいの身柄確保に動き、兵にはルズールスと第3王子チョウライの捜索を優先し、下位の王子は後回しにするよう命じる。第7王子でありながら、年長の王子と並べて名指しされている。

特殊戒厳令下の所在と船内の時系列

No.413 忠誠では、第1王子ベンジャミンが特殊戒厳令を準備する最中、ルズールスは14時00分の時点でバショウらとともに1007号室にいた。ところが14時15分の発令時には所在・安否が分からなくなっている。フウゲツの能力などで移動した可能性は考えられるものの、移動方法は確認されていない。所在・安否不明となったのはチョウライとルズールスで、監視していたベンジャミンの私設兵コベントバが主寝室で焦る様子も描かれた。チョウライは脱出経路がはっきりしているのに対し、ルズールスは軍の情報網に一切引っかかっていない。

継承戦12日目の特殊戒厳令の発令は14時15分である。棺の場面はその30分前の13時45分にあたり、棺で光っている場所は敗退した王子と連動している。ナスビの場面にハルケンブルグの鳴動を表す「ゴゴゴ」の擬音が置かれたことから、その鳴動を使った人格交換と、ベンジャミンのTSK-17の発症も、ほぼ同じ13時45分ごろと読める。人格交換の矢を放った場面ではバルサミルコの肉体が椅子に縛られていた。この肉体ではバルサミルコ本人の人格が優先され、もう一つの人格としてハルケンブルグが同居している。ハルケンブルグは睡眠剤でバルサミルコの人格を眠らせ、自分の人格が強制的に肉体を使える状態にしていた。

TSK-17の発症は感染から約6時間後であるため、ヒュリコフが感染させたのは、タブレットでハルケンブルグの死亡を確認していた約6時間前、朝7時45分ごろとなる。No.413の最後、ベンジャミンがベリービップエリアの自室からカミーラの部屋へ向かう場面は発令15分前で、特殊戒厳令準備の14時ちょうどにあたる。その後の時間を描く410話には、軍隊を率いて司法省へ向かうベンジャミンが、発症から30分経ったと話す場面がある。13時45分の発症から30分後は14時15分となり、残る王子は4人と告げる場面は発令の直後だったことになる。司法省へ着く場面は、発令から40分経過した14時55分である。TSK-17は初期症状が感染性胃腸炎に酷似しているが、実際には別のものである。

ベンジャミンの特殊戒厳令の命令には、第1層の即殺対象は非国王軍私設兵という文言があった。ベンジャミンの私設兵や王妃所属の兵は正規国王軍の資格を持つため、この対象には含まれない。第13王子マラヤームについては、1013号室で監視するサクエーレに拘束を命じ、14時30分までに拘束できなければリハンを送るよう指示している。クラピカと偽のワブルがいる1014号室について、ベンジャミンはバビマイナから、ワブルが偽物であることをすでに聞いていた。この時点で3人の王子が死亡している。ベンジャミンの念獣の能力はいまだ不明である。ロンギの説明では、あくまで推測として、王子それぞれに強いソエモノがついているという。412話で明らかになったのは、初登場時にクラピカが会った人物と、現在1014号室にいるワブルが別人だったという事実である。本当のところはオイト王妃の妹の息子で、性別も女性から男性に変わっていた。オイト王妃は最初の面談で「娘」と言っていたが、第12王子モモゼが亡くなってクラピカと口論する場面では「息子」に「ワブル」とルビが付いていた。決め手はカキンの発音で、オイト王妃は一貫して「シマヌ」と発音していたのに対し、クラピカは第3王子から電話が来た場面で、口に出すときは「シマノ」と言い、心の中で考えるときは「シマヌ」となっていた。オイト王妃は以前、5人兄弟で兄、姉、妹、弟がいると話している。すり替えに気づいたのはビルである。

ワブル王子の真実がオイト王妃から明かされた場面には、特殊戒厳令48時間前という表記が付く。丸2日前の10日目14時ごろにあたり、第1回念講習会の最終日に、ロンギが詛贄者(ソエモノ)でありビヨンドの娘であることなどをクラピカへ伝えた後の時間帯である。クラピカが口にした2か月前は、クラピカとオイト王妃、ワブル王子が初めて顔を合わせた面談の場面を指す。ビヨンドは拘束室の場面より前、10日目14時に同じ拘束室で、カンザイへ連れてきてほしい人物を伝えていた。カンザイは頭脳の面では高く評価されず、ヒソカの採点で85点、ビヨンドからは本で頭を吹き飛ばせると言われる程度の実力とされる。サイユウハンター協会の裏切り者でビヨンド側の人間だが、パリストン元副会長を介して加わったため、ビヨンド自身はそれを知らない。ビヨンドの監視には当初、十二支んサッチョウも付いていたが、10日目と11日目の拘束室に姿が見当たらない。

所在不明にいたるまでの船内情勢

第2回念講習会は、特殊戒厳令が出される前の出来事にあたる。その後の正午からハルケンブルグの葬送が始まり、遺体が第3層から第2層へ運ばれるタイミングで、ボークセンモレナ一味にさらわれる。2日前の継承戦10日目、火曜日には第1回念講習会が終わり、この時点で残りの参加者は全員念に覚醒していた。前日の11日目水曜日の朝には、まずハルケンブルグとバルサミルコが人格を交換し、カイザルが司法省の情報網から得た暴露情報の手紙をフウゲツが各王子とオイト王妃に渡し、クラピカのもとにも届いている。ハルケンブルグの肉体は12日目に入った直後の深夜に死亡し、バルサミルコの肉体に入ったハルケンブルグの人格が朝8時にベンジャミンへ電話をかけ、朝9時から第2回念講習会が始まった。

暴露情報の手紙により、各王子側は他の王子に自分の情報を握られているのではないかと疑心暗鬼になり、第2回念講習会はその緊張のなかで行われた。第1回に来ていなかった第2王子側の兵隊長サラヘルが参加してきたため、クラピカは何か仕掛けてくるとほぼ確信するほど警戒し、第1王子護衛のバビマイナも同じ想定をしている。クラピカ本来の目的は、第4王子ツェリードニヒに近づくことである。クラピカは王子ではないが、センリツからフウゲツ経由で手紙を受け取っており、オイト王妃へ二つのことを伝えた。一つは継承戦に望みができたこと、もう一つはあることの許可を求めたことである。継承戦が終わらない場合はホイコーロ一族が陥落する、というのがクラピカの推測である。なお、偽のワブルは正室の子ではなく壺中卵の儀も行っていないため資格がなく、本物のワブルもセレモニーに参加していないため資格がない。2人とも資格がないことになる。第1王子私設兵バビマイナと第3王子私設兵サカタは、本来女性であるはずのワブルが男性であることを確認しており、この2つの王子側にはワブルに資格がないことがはっきり発覚している。クラピカがワブルに資格がないことを証明しなかったのは、第2王子私設兵がいる状況では危険が増すうえ、証明すれば他の王子側から罪を問われる恐れもあるからである。実際、クラピカはカチョウの手紙も温存している。

指導係は3名で、第13王子護衛のハンター協会員ベレレインテ、第1王子警護の私設兵ヒュリコフ、第14王子ワブルの警護をしながら第1王子の私設兵でもあるバビマイナが務め、3名とも前回から続けての参加である。前回参加して念を開花させた7名はテンフトリダンジンマオール、サトビ、ユウリイラルディアラジオラスで、指導係と合わせて10名が継続参加となる。ハルケンブルグの警護兵たちは、ハルケンブルグが死亡を偽装したことで念自体は10日目までに開花していたが、今回は参加していない。第10王子カチョウはすでに死亡しているにもかかわらず、第10王子の従事者が参加している。ヒュリコフは念講習会に参加するが、講習会が終われば基本的にベンジャミンの護衛を担当していた。彼の鋼の錬金術師は、標的のそばに一定時間いなければ発動できない能力である。この能力を持ちながらロンギをサイレントマジョリティーの能力者だと誤認したのは、ベンジャミンの命令で標的をクラピカにしていたためで、読み取っている間は発が使えず、1人しか読み取れない。411話では、ベレレインテがサイレントマジョリティーの能力である黒ぼっこを、マスク姿の女の子と表現していた。

新たに加わった新人は8名で、ギッパー、ガトー、ハピエッチ、ナイペイリズルラトネアスタロッコリー、サラヘルである。指導3名、念開花7名、新人8名の合計18名が第2回念講習会に参加し、さらにスラッカが急きょ加わろうとする。スラッカは第3王子チョウライを警護する第2王妃所属の警護兵だが、このときは第1王妃ウンマの命令で、ワブル王子の警護支援として第3王子の警護兵とともに1014号室に付いている。第4王子護衛のギッパー伍長は、もともと下層でモレナの捜索任務に就いており、ボークセンと交代する形で王子居住区に上がってきた。第13王子従事者のナイペイは、8日目の第1回晩餐会で踊りを披露するため1013号室の別空間から抜け、それ以来本物の1013号室にいた人物である。

最も注目されるのは第2王子兵隊長サラヘルで、兵隊長でありながら従事者になりすまして講習会に加わった。目的は、ハンター協会の除念師をあぶり出すことにある。第2王子の私設兵の能力は死後の念で、時間をかけて王子を呪い殺すため、除念師が天敵となるからである。この能力は、サラヘルの一族が死後に王子と伴侶になる特殊な民族だという経緯によって成り立つ。ヨモツヘグイは、死んで王子と伴侶になる死後伴侶(シゴハン)の風習に由来する。そのため他の第2王子私設兵は担当する王子と異性になるよう割り当てられているが、サラヘルは見るからに女性でワブル王子も女性であり、伴侶の関係が成り立たない矛盾が以前から残っていた。

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