人物
タイソン=ホイコーロ
カキン帝国第6王子タイソン=ホイコーロの人物像と外見、タイソン教典と守護霊獣の性質、航海中の言動、継承戦での立場と船内情勢をまとめる。
タイソン=ホイコーロは、カキン帝国の王族で、14人いる王子のうち第6王子にあたる。父は国王ナスビ=ホイコーロ、母は第4王妃カットローン=ホイコーロで、母が産んだ唯一の娘である。出身はカキン王国。第348話で名前が挙がり、第349話で姿を見せた。暗黒大陸への航海にあたってはイズナビを私設護衛に雇い、他の王族と同じくブラックホエール号の第1層に居を構えた。
自作の書物タイソン教典を信条の核に据え、これを読ませれば人の心も世界も変えられると信じている。継承戦の渦中にありながら暴力的な手段には反対し、自分の武器は愛と献身だけだと語った。守護霊獣は寄生型で、教典を受け取った者には目玉ジャクシが憑き、宿主からオーラを徴集する替わりに幸福を与える。第413話「忠誠」の時点でも生存しており、私設兵とともに束の間の平穏を満喫している。

タイソン=ホイコーロ 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博

タイソン=ホイコーロ 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博

タイソン=ホイコーロ 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博

タイソン=ホイコーロ 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博
基本情報
| 所属・役割 | カキン帝国の第6王子。14人の王子の一人で、国王ナスビ=ホイコーロと第4王妃カットローン=ホイコーロの間に生まれた唯一の娘。 |
|---|---|
| 初登場 | 第348話で言及され、第349話で登場する。 |
| 状態 | 生存。第413話「忠誠」の時点では、私設兵とともに束の間の平穏を過ごしている。 |
| 能力・関係 | 守護霊獣は寄生型で、本人に制御はできず姿も見えない。タイソン教典を受け取った者には目玉ジャクシが憑き、宿主からオーラを徴集する替わりに幸福を与える。 |
| 出身地 | カキン王国。 |
| 私設護衛・従業員 | 航海に際してイズナビを私設護衛に雇用。ほかにジュリアーノ、マドウィック、ヒマンセ、エンゼール、ヒュウガらを抱える。 |
| 船内の居住区画 | ブラックホエール号の第1層。他の王族と同じ区画に住む。 |
人物像
王子としてのタイソンは相応の政治力と財力を持つが、その規模は年長の王子たちには及ばない。本人も、王位継承の順としては微妙な位置にあり、自分の影響力は乏しいと認めている。兵力や情報網を競う他の王子と違い、タイソンが前面に出すのは自作の書物と、そこで説く愛の教えだけである。
外見は小柄でずんぐりとした体つきの女性である。頭が大きく、顔は丸く、黒く長い直毛を伸ばす。目は色が濃くつり上がり、まつげは長く、眉は卵形をしている。衣服は簡素なものを好むが、もこもことした素材や花柄、愛をあしらった意匠や装飾の入ったものを選ぶことが多い。
美男子に囲まれていることを好み、護衛もその基準で選んだ。選んだ相手への独占欲は強く、ハンター協会が護衛の身元を調べることを拒んでいる。護衛から甘やかされることを喜び、ふるまいは終始女性的で、かわいいと言われると顔を赤らめる。
愛に基づく自分の教えが世界を変えると信じ、継承戦に加わりながら暴力的な行動には反対の立場を取る。もともと継承戦への参加そのものに反対で加わる気はなかったが、母の願いを汲んで参加を決め、自分の武器は愛と献身だけだと語った。人類のすべてが自分の弟子になったときに真の世界平和が訪れる、というのが持論である。
作中での動向
暗黒大陸への航海にあたり、タイソンはイズナビを私設護衛として雇い入れた。遠征開始前夜のセレモニーに出席して船に乗り込み、このとき継承戦に勝てるのではないかと考えて一人で含み笑いを漏らしている。その後は家族や主だった招待客が集まる公式の催しにも顔を出した。船内の住まいは、他の王族と同じ第1層である。
乗船後まもなく守護霊獣が活動を始め、初日にはその分身がワブル王子の区画にまで入り込んだ。タイソン自身はクラピカの呼びかけを聞いて守護霊獣の存在を知り、壺中卵の儀を通じて王子たちに与えられたものだと推し量り、兄姉も同じものを持っているはずだと考えた。自分の守護霊獣は天使のような姿ではないかと想像し、イズナビから妖精のようだと聞かされて有頂天になる。以後は、その妖精たちが船を愛で満たすのだと語るようになった。
タイソンはイズナビともう一人の護衛にタイソン教典を手渡し、この書物が世界に平和をもたらしうると説いた。三人目の護衛と踊りながら去った後、二人は第一章を覗き見て、その表題が愛は必ず勝つという趣旨の一文だったことに顔をしかめている。他の王子と異なり、タイソンは王子付きの護衛をクラピカの念講習に一人も送り出していない。
航海2日目の夜、タイソンはイズナビとジュリアーノに教典を読んだか、心境に変化はあったかと尋ねた。ジュリアーノは嘘をついて書物を褒め、イズナビはまだ読んでいないと正直に答える。タイソンは人にはそれぞれの歩みがあるとして許し、二人の内に眠る特別なものを教えが目覚めさせると請け合った。3日目の朝には従業員を前に愛は必ず勝つと説教し、引用した文句を護衛の一人が有名な歌手のものだと気づいている。守護霊獣が目玉ジャクシを増やす傍らで、タイソンは従業員に一連の体操をさせていた。
8日目の第1回晩餐会では護衛全員に演目を披露させ、私設兵のアカペラと、雇っていた二人のハンターによるロック演奏の双方に大いに喜んだ。この席では、センリツの吹く笛にしばし心を奪われてもいる。11日目の午前6時から8時50分の間には、第11王子フウゲツが、直前に亡くなった姉の第10王子カチョウが書いた手紙をタイソンへ届けた。タイソンは悲しげな驚きの表情でこれを受け取り、手紙に目を通す。本人は知らないが、手紙の中身は、司法省のカイザルが王子たちに渡すと有益だと判断した情報だった。その後、タイソンは三人の護衛に教典から歌って聞かせ、護衛たちは喝采を送っている。
護衛たちとの関係と教典の広がり
10日目には、契約が終わるまでに祝う機会がないという理由で、タイソンはジュリアーノのためのサプライズパーティーを企画し、ケーキを自ら用意した。誕生日ではないと戸惑うジュリアーノが感激すると、笑うように、そして材料の配合が正しくなくてもケーキはおいしいと言うようにと命じている。1006号室では従業員を順に紹介した。一人目は記憶を失った美形の殺し屋マドウィックで、拳銃の扱いしか覚えていないにもかかわらず雇われたと語った。
二人目は世界一のスターを名乗るヒマンセで、自分をタイプではないと言った最初の女性がタイソンだと述べる。三人目のエンゼールは自分がタイソンの弟だと明かし、それを知るのは二人だけだと付け加えた。四人目は伝説の家庭教師を称するヒュウガで、どれほど出来が悪くても志望校に入れてみせると豪語する。最後の一人はSR星雲のムーニー星から来た王子を名乗り、この星へは花嫁を探しに来たのだと明かした。
ジュリアーノは、彼らがそれぞれタイソンの好む役柄を演じていることに気づく。タイソンはふざけてたしなめ、皆生まれ変わったのだと答え、ジュリアーノにも同じことが起きると告げた。続けて彼には、遊び人風に見えて実は純真な護衛という役を振り、ジュリアーノもそれに調子を合わせている。そばで見ていたイズナビは、ジュリアーノ自身は今のところ変わっていないものの、教典を読んでいるときだけ落ち着きすぎることに気づき、守護霊獣の能力と結びついているのではないかと見当をつけた。愛を説くことに主眼のある能力なら、国王に働きかけて継承戦を終わらせられないかとも考えている。
イズナビが他の王子にも教典を渡したのかと尋ねると、タイソンは下位の王子とその母たちには渡したと答え、受け取ったまま読んではいないだろうと推測した。国王にも渡したのかという問いには、渡してくれたと信じたいと答えている。ナスビ=ホイコーロに教典を届けることが継承戦に参加する条件であり、ナスビに会うには母カットローン=ホイコーロの許可が要るため、教典は母に託していた。
タイソンはもともと継承戦に加わるつもりがなかった。母は娘の在り方に失望し、孫を望めないと考えていた。他の王妃たちから憐れみの目で見られることに耐えられなくなった母が継承戦で見返そうとしたのに対し、タイソンは愛の力だけで戦うのだと説明している。イズナビが、次の晩餐会で母から国王に教典を読ませてもらえないか、それは船の運命を変えうると持ちかけると、タイソンは喜び、母と交渉すると約束した。
能力・特徴・関係
他の兄弟姉妹と同じく、タイソンも卵を受け取り、そこから孵った守護霊獣に守られている。寄生型の能力であるため本人に制御はできず、その姿を見ることもできない。守護霊獣には規則のような二つの本能があり、他の守護霊獣と戦うことも、他の守護霊獣の宿主を直接攻撃することもできない。
タイソン教典を受け取った者には目玉ジャクシが憑く。目玉ジャクシは宿主からオーラを徴集し、その替わりに幸福を与える。与えられる幸福の度合いは、教典の熟読度によって変わる。ただし教典が唯一定める禁忌を破った場合には、厳しい罰が下る。
参考資料には、タイソンの小型の念獣をポケモンのアンノーンになぞらえ、守護霊獣そのものを想定される力の大きさから元気玉に例える指摘がある。いずれも他作品との類似を述べた見立てであり、作中で示された設定ではない。
船内の守護霊獣について、ロンギは王子それぞれに強いソエモノが付いていると説明しているが、これはあくまで推測である。ベンジャミンの念獣の能力は、この時点でも判明していない。
継承戦第10日目から第12日目までの経過
タイソンが姉の手紙を受け取った前後、船内では継承戦が大きく動いていた。継承戦10日目の火曜に第1回念講習会が終了し、この時点で残りの参加者が全員念に覚醒している。翌11日目水曜の朝には、ハルケンブルグとバルサミルコが人格を交換した。同じ朝、カイザルが司法省の情報網から得た暴露情報の手紙を、フウゲツが各王子とオイト王妃に配って回り、クラピカのところにも渡っている。ハルケンブルグの肉体は12日目になったばかりの深夜に死亡し、バルサミルコの肉体に入ったハルケンブルグの人格が朝8時にベンジャミンへ電話をかけ、朝9時から第2回念講習会が始まった。
第2回念講習会の後、正午からハルケンブルグの葬送が始まり、遺体が第3層から第2層へ運ばれるタイミングでボークセンがモレナ一味にさらわれる。第2回念講習会は、特殊戒厳令が出される前の出来事にあたる。暴露情報の手紙により、各王子側は他の王子が自分の情報を握っているのではないかと疑心暗鬼になっており、講習会はその緊張した状況の中で開かれた。クラピカは、継承戦が終わらない場合にはホイコーロ一族が陥落すると見ている。
第413話では、特殊戒厳令の発令が継承戦12日目の14時15分だと判明する。棺の場面はその30分前の13時45分にあたる。ナスビの場面に描かれたハルケンブルグの鳴動の擬音から、鳴動を用いた人格交換と、ベンジャミンのTSK-17の発症も、ほぼ同じ13時45分頃だとわかる。TSK-17の発症は感染から約6時間後であるため、ヒュリコフが感染させたのは、タブレットでハルケンブルグの死亡を確認していた約6時間前、朝7時45分頃ということになる。TSK-17は初期症状が感染性胃腸炎に酷似するが、実際には別のものである。
第413話の最後で、ベンジャミンがV・VIPエリアの自室からカミーラの部屋へ向かう場面は発令の15分前、すなわち特殊戒厳令準備の14時ちょうどである。第410話でベンジャミンが軍隊を引き連れて司法省へ向かう場面には、発症から30分経ったという台詞がある。13時45分の30分後は14時15分となるため、残る王子は4人という場面は、特殊戒厳令が発令された直後だったことになる。司法省に着いた場面は、発令から40分経過した14時55分にあたる。ヒュリコフの鋼の錬金術師(コンボマスター)は、標的のそばに一定時間いなければ発動できない。ヒュリコフは念講習会にも参加していたが、講習が終われば基本的にベンジャミンの護衛を担当していた。この能力を持ちながらロンギを11人いる!(サイレントマジョリティー)の能力者だと誤認したのは、標的がベンジャミンの命令でクラピカだったためである。読み取っている間は発が使えず、一人しか読み取れない。
特殊戒厳令の命令には、第1層の即殺対象を非国王軍私設兵とする一項があった。ベンジャミンの私設兵や王妃所属の兵は正規国王軍の資格を持つため、この対象には含まれない。棺の場面では光っている場所が敗退した王子と連動しており、この時点で3人の王子が死亡している。人格交換の矢を放った場面ではバルサミルコの肉体が椅子に縛られていた。その肉体ではバルサミルコ本人の人格が優先され、もう一つの人格としてハルケンブルグがいる。ハルケンブルグは睡眠剤でバルサミルコの人格を眠らせ、自分の人格が強制的に肉体を使える状態にしていた。所在と安否が分からなくなっていたチョウライとルズールスについては、監視していたベンジャミンの私設兵コベントバが主寝室で焦る様子も描かれた。チョウライは脱出経路がはっきりしているのに対し、ルズールスは軍の情報網に一切引っかかっていない。第13王子マラヤームについて、ベンジャミンは1013号室で監視しているサクエーレに拘束を命じ、14時30分までに拘束できなければリハンを送るよう指示した。
船内の情勢と第2回念講習会
第2回念講習会の指導係は3名で、第13王子護衛のハンター協会員ベレレインテ、第1王子警護の私設兵ヒュリコフ、第14王子ワブルの警護をしながら第1王子の私設兵でもあるバビマイナが務めた。3名は前回も指導係として参加している。前回からはほかに、念を開花させたテンフトリ、ダンジン、マオール、サトビ、ユウリ、イラルディア、ラジオラスの7名が続き、指導係と合わせて10名が引き続き参加した。ハルケンブルグの警護兵たちは、ハルケンブルグが死亡を偽装したことにより念自体は10日目までに開花していたが、今回は参加していない。
新たに加わった新人は、ギッパー、ガトー、ハピエッチ、ナイペイ、リズルラ、トネアスタ、ロッコリー、サラヘルの8名である。指導3名、念開花7名、新人8名の合計18名が第2回念講習会に参加した。さらにスラッカが急きょ加わろうとしている。スラッカは第3王子チョウライを警護する第2王妃所属の警護兵だが、今回は第1王妃ウンマの命令で、ワブル王子の警護サポートとして第3王子の警護兵とともに1014号室に付いていた。すでに死亡した第10王子カチョウの従事者も講習会に出ている。なお第411話では、ベレレインテがサイレントマジョリティーの能力である黒ぼっこを、マスク姿の女の子と表現した。
第4王子護衛のギッパー伍長は、もともと下層でモレナの捜索任務に就いており、ボークセンと交代する形で王子居住区に上がってきた。第7王子護衛で第2王妃所属のガトーとハピエッチは、前回から参加している第2王妃兵隊長サトビの部下にあたる。以前、第1王子の私設兵が近くで見せた不審な行動の謎を探っていた際にも名前の挙がった2人である。第13王子従事者のナイペイは、8日目の第1回晩餐会で踊りを披露するために1013号室の別空間から抜け、それ以来、本物の1013号室にいた人物である。
最も注目されたのは第2王子兵隊長のサラヘルで、兵隊長でありながら従事者になりすまして講習会に参加した。目的はハンター協会の除念師をあぶり出すことである。第2王子の私設兵たちの能力は死後の呪いで、時間をかけて王子を呪い殺すため、除念師が天敵となる。第1回の念講習会に来ていなかった第2王子側の人間が現れたことで、クラピカはかなり警戒し、何か仕掛けてくるとほぼ確信していた。第1王子護衛のバビマイナも同じ想定をしている。サラヘルの能力は死後の念を用いて王子を呪い殺すもので、一族が死後に王子と伴侶となる特殊な民族だという経緯によって使える。ヨモツヘグイと呼ばれるこの能力は、死んで王子と伴侶になる死後伴侶(シゴハン)の風習に由来する。そのため他の第2王子私設兵は担当する王子と異性になるよう割り当てられているが、サラヘルは見るからに女性であり、ワブル王子も女性なので伴侶の関係が成り立たず、以前からこの点には矛盾があった。
ビヨンドは、拘束室の場面より前、10日目の14時にも同じ拘束室でカンザイに連れてきてほしい人物を伝えていた。第1層の最高裁判官室にいるクレアパトロは最高裁判官で、初登場はサイレントマジョリティーでのロベリーの件、次いでベンジャミンとカミーラの裁判の場面である。センリツに味方するカイザルが勤める司法省は、名称に司法と付くものの日本の法務省にあたり、検察などが在籍して法を運営する行政の機関である。クレアパトロは司法の人間であるため両者に上司関係はなく、それぞれ国のエリートでありながら行政と司法に分かれて属している。カンザイはあまり頭が良くなく、ヒソカ評価で85点、ビヨンドから本で頭をぶっ飛ばせると言われるほどの実力である。サイユウは実はビヨンド側の人間でハンター協会の裏切り者だが、パリストン元副会長を経由して仲間になっているため、ビヨンド自身はサイユウが仲間であることを知らない。当初はビヨンドの監視に十二支んのサッチョウも付いていたが、拘束室で10日目と11日目には姿が見当たらない。
ワブル王子の入れ替わりと継承戦の資格
第412話で明らかになったのは、初登場時にクラピカが会った人物と、現在1014号室にいるワブルが実は違う人物だったという事実である。1014号室のワブルはオイト王妃の妹の息子であり、性別も女性から男性に変わっていた。オイト王妃は最初の面談で娘と言っていたが、第12王子モモゼが亡くなってクラピカと口論する場面では、息子という語にワブルとルビが振られている。オイト王妃は以前、自分は5人兄弟で、兄、姉、妹、弟がいると発言していた。すり替えに気づいたのはビルである。
入れ替わりはカキンの発音からも読み取れる。オイト王妃はカキンの発音で一貫してシマヌと発音していた。これに対しクラピカは、第3王子から電話が来た場面で、口に出すときはシマノと言い、心の中で考えるときはシマヌになっている。
継承戦の資格について、作中のセリフでは、国王ナスビ=ホイコーロの正室の子であること、ブラックホエール号に乗船していること、出航セレモニーに参加していることの三つが条件に挙げられている。1014号室のワブル王子は乗船しており、セレモニー会場への参加もコマで確認できる。一方、本物のワブルはセレモニーに参加していないため資格がない。1014号室のワブルは正室の子ではなく、壺中卵の儀も行っていないため、結果として二人とも資格がないことになる。継承戦の時間制限をめぐる説明では、選択肢のない場合に誓約と制約が成り立たないという整理も示されていた。セレモニー会場では、ずっと姿を現さないとされてきた第5王子ツベッパの念獣も現れており、王子たち自身には視認できないものの、念獣は確かに顕現していた。
現時点では、第1王子私設兵バビマイナと第3王子私設兵サカタが、本来女性であるはずのワブルが男性であることを確認しており、この二つの王子側には資格がない事実がはっきり発覚している。ベンジャミンも、バビマイナからワブルが偽物であることをすでに聞いていた。それでもクラピカが資格のないことを証明しないのは、第2王子私設兵がいる状況ではより危険だからである。加えて、きちんと証明すれば他の王子側から罪を問われる危険性もある。実際、クラピカはカチョウの手紙も温存している。
クラピカは王子ではないが、センリツからフウゲツを経て手紙を受け取り、オイト王妃に二つのことを伝えていた。一つは継承戦に望みができたこと、もう一つはあることの許可を求めたことである。ワブル王子の真実がオイト王妃から判明したタイミングには特殊戒厳令48時間前という表記があり、丸2日前の10日目14時頃にあたる。これは第1回念講習会の最終日に、ロンギが自分は詛贄者(ソエモノ)でありビヨンドの娘だとクラピカに伝えた後の時間である。クラピカが口にした2か月前は、クラピカとオイト王妃、ワブル王子が初めて顔を合わせた面談の場面を指す。クラピカ本来の目的は、第4王子ツェリードニヒに近づくことにある。