人物
イズナビ
イズナビはハンター協会に所属するハンターで、クラピカに念を教えた師。カキン帝国の王位継承戦ではタイソン王子の王室護衛を務める。
イズナビはハンター協会に所属するハンターで、クラピカに念を教えた師である。水見式でクラピカを具現化系と見極め、鎖の具現化と誓約と制約の考え方を数か月で叩き込んだ。無精に伸びた髪の男で、初登場時は稽古着姿だった。TVアニメ2011年版では二枚歯の下駄を履き、ダッフルバッグを背負って歩く姿も描かれる。
その後はハンター協会で行われた第13代ハンター会長選挙の第1回投票に姿を見せ、カキン帝国の王位継承戦ではクラピカに誘われて王子の護衛職に応募し、タイソン王子の王室護衛となった。護衛としては黒いスーツにネクタイを合わせ、同僚のジュリアーノと軽口を交わしながら、タイソン教典に入れ込む同僚や守護霊獣の挙動を警戒する。名前が明かされたのは第350話で、それまでは長く無名の人物だった。

イズナビ 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博

ジュリアーノと状況を分析するイズナビ

イズナビの指導を経て鎖を具現化したクラピカ
基本情報
| 所属・役割 | ハンター協会に所属するハンター。カキン帝国の王位継承戦ではタイソン王子の王室護衛を務める。以前はクラピカの念の師だった。 |
|---|---|
| 初登場 | 原作第83話(単行本第9巻)。名前が明かされたのは2016年発表の第350話(単行本第33巻)で、それ以前は無名だった。 |
| 状態 | 生存。王位継承戦の時点ではブラックホエールに乗り、タイソン王子の護衛として行動している。 |
| 能力・関係 | クラピカに念を教えた師。水見式で具現化系と判定し、系統ごとの習得率、鎖の具現化、誓約と制約による強化の理屈を指導した。数か月の指導でクラピカは幻影旅団と渡り合う手立てを得た。 |
| 念系統 | 原作では明示されていない。TVアニメ2011年版に付随する解説番組では、第13回で放出系と紹介された。 |
| 別称 | ジュリアーノからは「イズ」と呼ばれる。TVアニメ2011年版での名前は「ミズケン」。 |
人物像
イズナビは無精に伸びた髪の男で、初めて姿を見せる場面では稽古着を身に着けていた。TVアニメ2011年版では二枚歯の下駄を履き、荷物を詰めたダッフルバッグを背負って移動する場面がある。ブラックホエールへ乗り込む前は上着とインナー、ズボンという身軽な服装で、王室護衛に就いてからは黒いスーツにネクタイという装いで通している。
イズナビはクラピカが復讐を遂げようとすること自体は後押しする。その一方で、早まった判断や自滅につながる行動に走ろうとすると、その都度言葉を尽くして思いとどまらせようとする。修行時代は、自分に敬意を払わない弟子の態度に苛立つこともあった。念に関しては終始真剣で慎重に構え、危険を伴う踏み込みには必ず注意を添える。
普段は肩の力の抜けた気質だが、自分より輪をかけて呑気な相手を前にすると苛立ちを隠さない。クラピカを鍛えていた時期は森で寝起きしていた様子が描かれる。護衛として再登場してからも、単独行動に傾く弟子を引き戻す助言者の立場は変わらない。
作中での動向:クラピカへの念指導
イズナビの指導は、クラピカがウボォーギンと戦う最中の回想として描かれる。イズナビはクラピカに水見式を受けさせ、その結果からクラピカが具現化系だと判明する。物を作り出すことに向いていると告げられたクラピカは、強化系になりたかったと漏らした。イズナビは、生まれ持った系統は変えられないが、強化系の技術そのものは学べると応じている。
続けてイズナビは、具現化系のクラピカが到達できる習得率を、具現化系100%、変化系80%、操作系と強化系60%、放出系40%と示した。自分の系統から遠い系統ほど習得は難しくなる。特質系が0%である理由を問われると、特質系は学んで身につくものではなく生まれつき受け継ぐ資質だと説明し、そのうえで具現化系と操作系は後年に特質系へ変わる例が多く、クラピカにも可能性は残っていると付け加えた。
イズナビは、最後まで一人で戦い抜けるようになりたいというクラピカの言葉を引き、攻撃にも防御にも治癒にも使える強化系の習得を優先すべきだと認めた。例として、力の値が同じく100の相手が習得率100%の強化系で拳にすべてのオーラを乗せれば、拳の100とオーラの100で200の打撃になると挙げる。対するクラピカは60%の効率でしか身体を強化できず、肉体の100とオーラの60で防御は160にとどまり、受け止めても40の打撃が残る。イズナビはこれが話を単純にした説明であり、実際の念の戦いでは考慮すべき要素がはるかに多いと断った。
さらにイズナビは、あらゆる感情が念に影響し、100%を超える出力を引き出すこともあると明かした。ただし自分の器を超えた力を使うことは決してよくなく、致命的な弱点になりかねないため、安定して出せる力を優先すべきだと強調する。具現化系として安定すれば熟練の強化系にも対抗できるのかと問われると、攻防のつり合いでは強化系が勝るが、具現化系は型にはまれば厄介な相手になると答えた。
イズナビは、何でも斬れる剣を具現化できるかとクラピカに問うた。人間の限界を超えるから無理だという答えを肯定し、それなら質のよい剣を買った方がよいとしたうえで、具現化した剣には意のままに出し入れできる利点があると付け加えた。すでに存在する物を具現化しても意味はなく、かといって超常的に過ぎる物は具現化できない。この二つの制約があるため、具現化系は戦闘で成果を出しにくい。何を具現化するかは膨大な集中と訓練を要するので、よく考えて決めろとイズナビは念を押した。
作中での動向:鎖と誓約の契約
クラピカは具現化する物として即座に鎖を挙げ、具現化系だと知ったとき最初に思い浮かんだのがそれだったと話した。理由を尋ねたイズナビに対し、地獄につないでおかねばならない相手がいると答える。イズナビが、縛られているのはお前の方だと思っていたと返すと、クラピカは腹を立てて鼻であしらい、その場を立ち去ろうとした。
イズナビはその背に、絶対に壊れない鎖の具現化は不可能だと言ったが、それに限りなく近づける方法はあると告げた。足を止めたクラピカは振り返り、本当に可能なのかと問い返す。方法を尋ねられたイズナビは、自らに制約を課した契約を結ぶことだと答え、条件を決めてそれを破らないと誓う手順を示した。制約が厳しいほど能力は強くなる。念を用いることが力に足し算をする行為だとすれば、念による契約は掛け算にあたるという説明も添えた。ただしこれは諸刃であり、誓いを破れば念能力をすべて失うこともあると警告している。
クラピカは、幻影旅団を捕らえ一族の眼を取り戻すつもりだから、鎖は旅団だけを捕らえ、決して逃がさないものにしたいと答えた。イズナビは、対象を限定するだけでは制約としてやや弱いと指摘する。しかしクラピカが命を懸けると言い添えた瞬間、その眼が赤く染まった。イズナビはオーラが跳ね上がったのを見て取り、もう一度水見式をやってみろと急かした。
作中での動向:会長選挙と王位継承戦
グリードアイランド編では、クラピカがゴン=フリークスに、鎖の具現化を最後まで習得できたのはイズナビの指導によるものだと説明する形で、その名が間接的に触れられる。アイザック=ネテロ会長の死後には、ハンター協会で行われた第13代ハンター会長選挙の第1回投票にイズナビ本人が姿を見せている。
王位継承戦では、クラピカがイズナビと他の四人を集め、カキン帝国の王子たちの護衛として雇われるよう手配した。クラピカは、目当ての相手が六つの採用先に含まれていなくても、できる限り近づくつもりだと説明している。状況を検討する場でイズナビは、護衛の募集がすべて同時に出され、しかも出航のわずか一月前だった点を指摘し、そうせざるを得ない何かが起きたのだろうと推測した。
他の面々が応募先を決めた後、イズナビは残っているのは自分とクラピカの二人だと告げ、クラピカが選ばなかった方を引き受けると申し出た。最終的に、イズナビがタイソン王子の護衛として働くことが明かされる。
サイールドとの衝突の後、クラピカは鎖のうち一本を当面は空けておけというイズナビの言葉を思い出す。理由を尋ねられたイズナビは、鎖ごとに別々の能力を持たせる発想自体はよいとしながら、それではクラピカが一人だけで戦おうとしてしまうと懸念を述べた。そのうえで、連携攻撃の重要性と、他者と組んで戦うことの意味を説いている。
納得しないクラピカに対し、イズナビは戦いの最中に何かが足りないと感じたら、そのとき補う能力を加えればよいという折衷案を示した。目的と手段を取り違えるなとも戒め、やるだけやって失敗に納得できる性分ではないだろうと指摘する。A級賞金首を相手に戦争をするつもりなら仲間が要る、とも告げた。捨て駒を集めろということかと反発したクラピカに、そういう話ではない、肩を並べて戦えば分かると答えている。
タイソン王子の護衛としての描写
タイソン王子が守護霊獣の存在をようやく知ると、王子は王子全員に守護霊獣がいるのだろうと推し量り、自分のものはきっと天使のような姿だと口にした。イズナビはそれよりも妖精に近いと答え、王子を喜ばせる。ただしイズナビとジュリアーノは、王子の頭上にいる大きな個体が小さな「妖精」を次々と生み出している点を訝しんでいた。
その後、イズナビとジュリアーノはタイソン教典を一冊ずつ受け取る。王子は、皆が自分の弟子になれば世界は平和になると上機嫌で説明し、読めば分かると言い残して歌いながら去っていった。イズナビは第1章の表題が愛の勝利を掲げるものだと目にした時点で本を閉じ、この状況でも動じない王子に感心する。ジュリアーノからは、読まずに褒める方法を教えようかと持ちかけられた。後日、王子に感想を尋ねられたイズナビは、自分もジュリアーノも読んでいないと正直に認めている。王子はそれを咎めず、二人の中には特別なものがあると請け合い、教典が次の段階へ連れて行くと約束した。
ジュリアーノは肩に乗った小さな生き物について、どうしても取り除けないとイズナビに相談する。イズナビも同様に取り除けず、これが見えるのは自分たちだけで、今のところ害はなさそうだと答えた。ジュリアーノは、ベンジャミンの兵であるオラーウには付いていないことから、タイソン王子の覚えがめでたいかどうかが関係すると推測する。イズナビは別の規則がある可能性を捨てず懐疑的な態度を崩さなかったが、認めたくないだけだと言われて黙るよう返し、なぜそこまで呑気でいられるのかと問い返した。
翌朝、王子が愛の力について説き始めると、イズナビは納得しないまま拍手を送った。会合の後、ジュリアーノはその言葉がある歌手の曲の歌詞と同じだと指摘したが、イズナビはその歌手を知らないと答えている。言い合いの後でイズナビが肩の生き物についての見解を尋ねると、ジュリアーノは不吉なものは感じない、愛を説く人物から生まれた以上は有害なはずがないと答え、有名な漫画の技になぞらえた。イズナビはたとえが分かりにくいと突き放したが、その作品なら読んだことがあると認めている。日曜の晩餐会では二人がロックの演奏を任され、イズナビが歌い、ジュリアーノがギターを弾いた。他の護衛たちがコーラスを付けた演奏に、王子は聞き入っていた。
二日後、交代の時間を伝えに休憩室へ行ったイズナビは、ジュリアーノが教典を読みふけっている姿を見つける。入れ込みすぎだと警告し、本当の仕事は新大陸に着いてから始まると念を押したが、部屋を出ていく背中を案じる目で見送った。その後、王子が護衛たちに「生まれ変わる」ための新しい名を割り当てていく様子を近くで見ていたイズナビは、ジュリアーノの皮肉屋で軽口を叩く性分が変わっていないことを確かめる。それでも、教典を読む間だけ黙り込み恍惚とした様子になることを思い返し、懸念は残ったままだった。イズナビは他に教典を渡された者がいるかを尋ね、下位の王子たちと妃たちが既に受け取っていること、王子が継承戦に加わる条件が国王に一冊届くことだったと知る。さらに王子から、母を失望させてきたこと、暴力で戦えという母の望みに反して愛だけで戦うと決めていることを聞かされた。思いがけない事情に驚いたイズナビは考えを改め、国王に直接教典を読むよう頼んではどうかと提案する。王子はその申し出に喜んで応じた。
能力・特徴・関係
イズナビはハンターの資格を持ち、それに伴う各種の便宜を受けられる立場にある。指導者としての力量は高く、わずか数か月でクラピカに幻影旅団と渡り合うだけの手立てを与えた。実際にクラピカは旅団の一員と戦い、これを倒すに至っている。
念能力者としても確かな腕を持ち、発の理屈と誓約と制約の仕組みを理論として深く理解している。クラピカへ示した系統ごとの習得率、感情と出力の関係、契約による強化の理屈は、いずれも実戦を前提とした具体的な助言として語られた。本人の念系統は原作では明示されていない。
人間関係の中心はクラピカとの師弟関係にある。復讐という目的そのものは否定せず、手段の取り方に繰り返し口を出す距離の取り方は、修行時代から王位継承戦まで一貫している。護衛としてはジュリアーノと組み、軽口を叩く同僚に苛立ちながらも、その変調に最初に気づく立場にいる。タイソン王子に対しては当初その言動に付いていけずにいたが、母との関係を聞いた後は考えを改め、王子の望みが通る道筋を自ら提案した。
媒体による描写の違いと補足
イズナビの名前は長く明かされず、判明したのは2016年に発表された第350話(単行本第33巻)だった。TVアニメ2011年版での名前は「ミズケン」である。2011年版に付随する解説番組では、第13回でミズケンが放出系と紹介された。
TVアニメ2011年版では、クラピカとの出会い方が原作と異なる。担当者のレイに依頼を断られたクラピカは、近くの森でイズナビと初めて顔を合わせる。イズナビが放ったどんぐりをクラピカがかわすと、どんぐりは木に大きな穴を開けた。イズナビは、担当者が見せようとしたものはクラピカには見えないが、感じ取ることはできると告げる。なぜ襲ったのかと詰め寄られると、遊んでいただけだと答え、すれ違いざまにクラピカのハンター証を掏り取っていたことを明かした。
返せと迫るクラピカに、イズナビは念を知らない者が自分を倒せるのかと問い返す。しばらく後、クラピカは手も足も出ずに打ち負かされ、地面で荒い息をついていた。それでも一人で戦い抜く力が要ると訴えるクラピカに、イズナビはハンター証を投げ返して師になろうと申し出て、本当の試験はここから始まったばかりだと告げた。
TVアニメ1999年版の第45話で日本語音声を担当した矢尾一樹は、2011年版ではマジタニを演じている。第2回の人気投票では58票を集めて23位に入り、ネオン=ノストラードと同順位だった。