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人物

モレナ=プルード

エイ=イ一家の組長モレナ=プルード。祭孤児として生まれ、クーデターで一家を掌握し、恋のエチュードでブラックホエール号に殺戮を広げる特質系の能力者。

No.417まで対応更新 2026.08.13

モレナ=プルードは、カキンの犯罪組織エイ=イ一家を率いる組長である。王位継承編では主要な敵役の一人にあたる。念系統は特質系、能力は恋のエチュード、状態は生存で、初登場は原作第378話。参照資料の人物欄は年齢を22歳または23歳とし、その根拠に第408話を挙げる。ローカル資料は生年を1979年、年齢を23才、出身地をカキン王国と記録する。いずれの資料も、彼女が祭孤児として生まれたこと、そしてモレナ=プルードの名を本来持つ人物はすでに死亡していることを伝えている。

モレナは配下に口づけして恋のエチュードを与える。能力は最大23人へ広がり、感染した配下は殺人でレベルを上げながらブラックホエール号の各層で無差別な殺戮を進める。モレナ自身は第3層を掌握し、後ろ盾だった第4王子ツェリードニヒ=ホイコーロとはすでに関係が切れている。出航12日目には、第9王子ハルケンブルグの葬送に乗じて一等兵ボークセンを拉致し、カードを使った交渉ゲームの末に仲間へ引き入れた。この経緯は第411話までの範囲で確認できる。

基本情報

モレナ=プルードの基本情報
所属・役割エイ=イ一家の組長。カキンの地下社会で最も強い三勢力の一つを率い、配下は全員が念能力者。ブラックホエール号では第3層を掌握する。後ろ盾だった第4王子ツェリードニヒ=ホイコーロとの関係はすでに切れている。
初登場原作第378話。単行本では第36巻に収録される。
状態生存。第3層を掌握したまま、ブラックホエール号内での活動を続けている。
能力・関係特質系の能力者で、念能力は恋のエチュード。口づけを通じて最大23人へ広がり、感染した配下はレベルを上げるほど固有の能力を得る。念の知識は、配下を本人の性質と自分の目的に合う能力へ導けるだけの水準にある。
生年・年齢・出身1979年生まれ、23才、出身地はカキン王国。参照資料の人物欄は年齢を22歳または23歳と記し、その根拠に第408話を挙げる。
恋のエチュードのレベル一般人を殺せば1、念能力者なら10、王子なら50が加算される。20を超えると発症者ごとの固有能力が現れ、100に達すると新たな感染集団を作れる0患者になる。モレナ自身は45に達している。
配下組長就任後、22人が残るまで配下に殺し合わせた。ブラックホエール号には少なくとも22人のエイ=イ一家構成員とともに乗り込んでいる。
ボークセンの拉致出航12日目、ハルケンブルグの葬送の最中に一等兵ボークセンを拉致し、交渉ゲームを経て仲間にした。ボークセンと交代で王子居住区へ上がったギッパー伍長は、もともと下層でモレナの捜索任務に就いていた人物である。

人物像

エイ=イ一家はカキンの地下社会で最も強い三勢力の一つで、モレナはその組長として、全員が念能力者である配下を従える。ブラックホエール号では第3層を掌握した。細身の若い女性で、アーモンド形の茶色い目と、腰の下まで伸びる濃紺の長い髪を持つ。短い毛は鎖骨のあたりで上向きにはねる。左耳には耳の上部から耳たぶまで16個ほどのピアスが並び、いずれも小ぶりな輪の耳飾りである。最も目を引くのは祭孤児という身分を示す傷で、額の中央から左目を横切り、口の左側で終わる2本の平行な傷跡が走る。初登場時の装いは、体に沿った暗い色の長袖で肩を出したドレスに、黒いブーツと茨の冠だった。

カキンの動かない身分制度のもとで、モレナは生まれたときから人として扱われずに育った。その結果として身についたのが、徹底して破壊的な行動である。継承戦にも世界そのものにも、自分自身の命にすら関心を示さない。唯一の目的は、不正で汚らわしいと感じる世界を無差別な殺戮によって壊すことにある。ただし自分の傷跡には感謝している。この傷がなければ均衡も生きる意志も見いだせなかった、というのが本人の考えである。22人が残るまで殺し合わせた配下に対しても、その献身へ感謝の言葉を向けた。

ボークセンは、モレナが怒りを表に出さないにもかかわらず、態度と物腰から激しい怒りに満ちていると見抜いた。その怒りは、カードゲームの最中にいかさまの可能性が話題へ上るたび、とりわけ強まった。ボークセンの命を脅す場面や、恋のエチュードでレベルを上げる方法を説明する場面では、モレナと同席するエイ=イ一家の面々に不気味な空気が漂う。狡猾で陰湿な一面は、こうした場面で繰り返し際立った。

ゲームの最中のモレナは、ボークセンに質問されること自体への世辞、彼女が仲間に加わらないかもしれないという残念さ、初めての口づけであることへの感慨を、頬を染めて口元に手を添えるなど大げさなしぐさで示した。その一方で、いかさまをしていると責め立てる。仲間にはならないだろうと考えながらも、ゲームの終わりには祝いの言葉をかけた。こうした場面で見せた感情がどこまで本心なのかは判然としない。ただし目的に対する態度は揺るがず、どのような理由があっても妥協や目的の変更を狂信的なまでに拒む。

作中での動向

モレナはカキンで最後から7回目の祭で身ごもられ、祭孤児となった。母親は王族の一行と何日も休みなく関係を強いられ、妊娠にも出産にも気づけなかった。生まれたモレナは顔に傷をつけられ、エイ=イが人身売買組織の隠れみのとして運営する施設へ送られる。そこで彼女は、国王の庶子として戸籍を与えられる側ではなく、商品として扱われる側に分類された。その境遇におよそ20年耐える間に、自分が特別な力を持つと気づき、力を磨いていく。ローカル資料も、モレナが祭孤児であること、本物のモレナはすでに死亡していることを記録している。

やがてモレナは、国王ナスビ=ホイコーロの庶子として登録されていた本物のモレナ=プルードと入れ替わる。本物はモレナの墓に葬られ、名を引き継いだ側がエイ=イ一家に加わった。下位の構成員だった彼女は、作中初登場のおよそ3年前にクーデターを起こし、新たな組長の座に就く。就任後は配下に殺し合いを命じ、22人が残るまで続けさせた。この乗っ取りを単独で組み立てた点は知略として評価され、人身売買を生業としてきた組織は大量殺人の集団へ変わっている。

ブラックホエール号には、少なくとも22人のエイ=イ一家構成員とともに乗り込んだ。モレナは彼らの献身に礼を述べ、一人ずつ口づけして念能力の恋のエチュードを発動させる。能力の規則を説明したうえで、配下を船内へ解き放った。後ろ盾だった第4王子ツェリードニヒ=ホイコーロは、この時点までに一家との関係を断っている。エイ=イが何を狙っているのかは、追跡にあたるヒンリギ=ビガンダフノにも読めていない。

隠れ家では、モレナが数人の配下に第9王子ハルケンブルグの葬列が近いと伝え、大勢が見送りに集まる好機だと指摘した。ドッグマンに準備を尋ねると、周囲の助けでレベル62まで上がり、相手との距離に応じて数段階の精度で人物を識別できるようになったと答える。モレナは、名簿にある兵士を見かけたら連れてくるよう指示し、3101号室はもう使えないのでC扉から入るよう念を押した。続いて現れたノートルスフレには、3131号室を通って外から3101号室の様子を確かめるよう命じている。

能力・特徴・関係

モレナは自然に念を使えるようになった特質系の能力者である。念についての知識は、配下へ助言し、本人の性質と自分の目的の双方に合う能力へ導けるだけの水準にある。恋のエチュードでレベル45に達したことで、オーラ量と出力も増した。別の念能力を得た可能性も指摘されている。ノブナガ=ハザマは、エイ=イ一家の隠れ家がモレナの能力で作られたか補強されていて、彼女が中にいる限り壊せないのではないかと見ている。

恋のエチュードは口づけを通じて広がり、その範囲は最大23人に及ぶ。感染した者は殺人でレベルが上がり、一般人を殺せば1、念能力者なら10、王子なら50が加算される。レベルが20を超えると、発症者それぞれに固有の能力が現れる。100へ達した発症者は、新たな感染集団を作れる0患者になる。ローカル資料が並べる各人のレベルは固定値ではなく、作中で確認できた時点ごとの記録である。

配下の変化も具体的に描かれる。回想では、ルイーニーが十分な人数を殺してレベル21へ達し、望みが強ければ能力は応えてくれるというモレナの言葉をカシューへ伝えた。ルイーニー自身は、贈り物を授かった手応えがあり、この力が自分の行きたい場所へ連れて行くと語る。別の配下との会話では、モレナがレベル上げを優先させ、50を超えるまで続けるよう指示している。

第3層をめぐる抗争

第5層のシャ=ア一家の拠点では、幹部のタハオオウ=ケンイがモレナの突然の失踪について話し合った。二人は、第3層で混乱を起こしたエイ=イの殺し屋が仲間とともに第4層と第5層へ移り、自分たちの一家の8人の死者を含む300人の労働者の失踪に関わっていると疑う。そこへ幻影旅団のノブナガ=ハザマとフィンクス=マグカブが、ヒソカ=モロを捜すため第4層への便宜を得る見返りに、モレナと殺し屋を始末すると申し出た。オニオール=ロンポウはヒソカを先に見つけることにこだわり、ヒソカが第4層にいないことをヒンリギ=ビガンダフノに確認させたうえで、自分が第3層を捜す間にモレナを殺すよう命じる。ヒンリギは配下を2人集め、ともに第3層へ向かった。

ヒンリギは第3層で見かけたエイ=イの女性構成員を尾行したが、民間人専用の区画へ入られて追跡を断念する。この過程で、エイ=イがマフィアの構成員名簿に自分たちを載せていないことに気づいた。配下と合流したヒンリギは、彼らにヒソカの捜索を任せ、自分はブラックホエール1号での旅を撮影する人々の映像をたどってその女性の姿を追う。うろつくヒンリギを見つけたパドイユクオロールデヴェラレスの3人は、自分たちなら倒せると踏んだ。短いやり取りの末、ヒンリギはマイザンが自ら護衛するなら5000万を払うと応じ、金を取りに離れる。第3層の別の場所では、オウ=ケンイがヒンリギと民間人の争いを知った。

シャ=ア一家の拠点には、第3層で混乱を起こしたエイ=イの殺し屋ルイーニーが、念で開いた出入口から上半身だけを差し入れて現れる。エイ=イに手を貸させようと幻影旅団を挑発する浅慮な試みで、ルイーニーはその場で殺された。オニオール=ロンポウはヒソカ=モロに近づき、エイ=イとの抗争が片づくまで第1層のVVIP区画で待つよう説得する。戻ってきたヒンリギと合流した一行は、そろって第3層の一等船室へ向かった。

オウ=ケンイはヒンリギを連れて3101号室へ戻り、幻影旅団に引き合わせる。ヒンリギは位置発信機を飲み込み、受信機をフェイタン=ポートォへ渡してから、3101号室の転送罠へ踏み込んだ。別れ際、ヒンリギはモレナの能力と臓器の正体が分からないうちは用心が必要だと述べ、ノブナガ=ハザマも、黒幕が誰であれ愚かではないと応じる。第4層へ下りる途中、フェイタンは受信機の変化に気づき、発信機が遠ざかっていることからエイ=イの隠れ家が第2層にあると確認できると告げた。オウ=ケンイは、エイ=イがシャ=ア一家の幹部も出席する引き継ぎ式で最近組長を代えたと旅団へ伝え、モレナの人相を語ったが、存在を知っているだけで面識はないと断っている。ノブナガは、ルイーニーとの戦いと、3101号室の扉が転送した先の集団との戦いの違いを挙げ、頭が大枠を示して細部は下に任せるモレナのやり方は旅団と同じだと述べた。

第3層では、カキンの兵士数名がエイ=イの事務所を急襲したが、中はもぬけの殻だった。引き上げる際、隊を率いるギッパー伍長は、エイ=イが構成員を民間人として登録していないため、事情を知らない官僚が民間人へのマフィアの襲撃と発表しかねず、面倒になると述べる。そうなる前にモレナを捕らえる必要を強調し、できればツェリードニヒの手を煩わせずに引き渡したいとした。二等兵オトシンは、エイ=イの構成員が念を持つ場合に備えるべきだと提案し、念は第1層で流行している特別な能力だと説明する。さらにオトシンは、モレナがこの時機に反旗を翻した理由は明らかで、計画もなしにツェリードニヒへ喧嘩を売るはずがないと指摘した。二等兵モーモリーは、ツェリードニヒが念を学び始めたため、反乱に対して動いていないだろうと述べる。別の兵士は、こちらは人相を知っているのだから容易なはずだが、その逆は成り立たないと言った。

ボークセンの拉致と交渉ゲーム

ローカル資料は、出航12日目、ハルケンブルグの葬送の最中にモレナ側がボークセンを拉致したと記す。解説資料の時系列整理では、第2回念講習会の時間帯のあと正午から葬送が始まり、遺体が第3層から第2層へ運ばれる場面でボークセンがさらわれた。第3層に集まったボークセン一等兵の同僚たちは、彼女が行方不明であること、最後の連絡がおよそ30分前、ハルケンブルグの葬列が彼女のそばを通ったときだったことを伝え合う。予定どおり交渉するか救出すべきではないかと迷ったが、立ち止まる彼らに気づいた伍長が散って仕事に戻るよう言い、話は途切れた。第4王子護衛のギッパー伍長は、もともと下層でモレナの捜索任務に就いており、ボークセンと交代する形で王子居住区へ上がっている。

ボークセンが答える準備はできていないと告げると、モレナはそれを賢明だと認めた。そのうえで、説明が進むほど手を引いて解放するのが難しくなると伝える。脅しかと問われると、好きに受け取ればよいと答え、理由は明かせないが、やり取りが長引くほど双方の危険が増すと述べた。そうした状況を作ったのはモレナ自身だと責められると、その指摘は認めつつ、犯罪組織に公平な見方を期待するなと返している。

カードを使ったやり取りでは、ボークセンが「はい」の札4枚と「いいえ」の札1枚だと先回りして推測した。モレナは取り合わず、左から順に返すよう告げる。その後の問いにも応じないまま、最後の1枚を返すよう促した。モレナは、「×」の札が残ればボークセンを捜さず再交渉もしないと約束し、それ以外の札であれば回答の結果の責任をすべてボークセンに負わせると告げている。

ボークセンは、ゲームの間に一切いかさまをしないかを否定形で問い直した。モレナは、この種の問いに「はい、していません」と答える文化と「いいえ、していません」と答える文化があると述べる。前者は問う側への配慮を重んじる古い文化に由来する心性かもしれない、というのがモレナの説明である。傍らではボコンテヨコタニの話し方を軽くからかい、ヨコタニは自分でも気づいていなかったと応じた。改めて答えを求められたモレナは、いかさまはしないと否定形で答え、自分が「いいえ」と言うときは自分の視点から述べていると付け加えている。

交渉ゲームの結末として、ボークセンはモレナの仲間になった。ローカル資料はこの加入を第411話の出来事として記録している。

同時期の王位継承戦の情勢

解説資料は、この時期の出来事を時刻まで整理している。継承戦10日目の火曜日に第1回念講習会が終了し、この時点で残る参加者は全員が念に覚醒した。翌11日目水曜日の朝には、ハルケンブルグとバルサミルコが人格を交換し、カイザル司法省の情報網から得た暴露情報の手紙を、フウゲツが各王子とオイト王妃、そしてクラピカへ渡している。ハルケンブルグの肉体は12日目に入ったばかりの深夜に死亡した。バルサミルコの肉体に入ったハルケンブルグの人格は朝8時にベンジャミンへ電話し、朝9時から第2回念講習会が始まる。第2回は特殊戒厳令が出される前の出来事にあたる。同じ10日目の14時には、ビヨンドが拘束室でカンザイに連れてきてほしい人物を伝えており、当初ビヨンドの監視についていた十二支んサッチョウは、10日目と11日目の拘束室に姿が見当たらない。

第2回念講習会の顔ぶれは、指導係3名、前回から続く7名、新人8名で構成される。指導係は第13王子護衛のハンター協会ベレレインテ、第1王子警護の私設兵ヒュリコフ、第14王子ワブルの警護をしながら第1王子の私設兵でもあるバビマイナで、3名とも前回から指導係を務めている。前回参加して念を開花させたのはテンフトリダンジンマオールサトビユウリイラルディアラジオラスの7名で、指導係と合わせて10名が継続参加となる。新人はギッパー、ガトー、ハピエッチナイペイリズルラトネアスタロッコリーサラヘルの8名で、参加者は合計18名になった。ハルケンブルグの警護兵たちは、死亡の偽装によって念自体は10日目までに開花していたが、今回は参加していない。ここへスラッカが急きょ加わろうとする。講習会の場でベレレインテは、サイレントマジョリティーの能力である黒ぼっこをマスク姿の女の子と表現した。

参加者それぞれの背景も細かい。スラッカは第3王子チョウライを警護する第2王妃所属の警護兵だが、このときは第1王妃ウンマの命令で、ワブル王子の警護の支援として第3王子の警護兵とともに1014号室についていた。第7王子護衛で第2王妃所属のガトーとハピエッチは、前回から参加している第2王妃兵隊長サトビの部下にあたり、第1王子の私設兵が近くで見せた不審な行動を探った際にも名前が挙がっている。第13王子従事者のナイペイは、8日目の第1回晩餐会で踊りを披露するために1013号室の別空間を離れ、以後は本物の1013号室にいた人物である。第10王子カチョウはすでに死亡しているにもかかわらず、第10王子の従事者が第2回念講習会に参加している。第1層の最高裁判官室にいるクレアパトロは最高裁判官で、サイレントマジョリティーによるロベリーの件で初登場し、次いでベンジャミンとカミーラの裁判に裁判官として現れた。

カイザルが勤める司法省は、三権のうち司法の名を冠しているが、実際には日本の法務省にあたり、検察などが属する行政の機関である。最高裁判官のクレアパトロは司法の側の人物なので、両者は上司と部下の関係にはなく、それぞれ行政と司法に属するエリートという位置づけになる。ビヨンドの周辺では、カンザイの頭の回転はよくないものとして描かれ、その実力はヒソカの評価で85点、ビヨンドからは本で頭をぶっ飛ばせると言われる程度にとどまる。サイユウは実はビヨンド側の人間でハンター協会の裏切り者だが、パリストン元副会長を経由して仲間になっているため、ビヨンド自身はサイユウが味方だと知らない。

第2王子の兵隊長サラヘルが念講習会に参加してきたのも、この局面である。第1回に来ていなかった第2王子側の人間が現れたため、クラピカは強く警戒し、何か仕掛けてくるとほぼ確信していた。第1王子護衛のバビマイナも同じ想定をしている。サラヘルは兵隊長でありながら従事者になりすまして参加しており、狙いはハンター協会の除念師をあぶり出すことにある。第2王子の私設兵たちの能力は死後の呪いで、時間をかけて王子を呪い殺すため、除念師が天敵になるからである。暴露情報の手紙により、各王子側が他の王子に自分の情報を握られているのではないかと疑心暗鬼になった緊張状態のなか、第2回念講習会は進んだ。クラピカ自身の目的は第4王子ツェリードニヒに近づくことにある。王子ではないクラピカも、センリツからフウゲツを経て手紙を受け取ったため、オイト王妃へ二つのことを伝えた。一つは継承戦に望みができたこと、もう一つはあることの許可を求めたことである。

ワブルのすり替えと特殊戒厳令

作中の説明では、継承戦の資格を有するのは、国王ナスビ=ホイコーロの正室の子であること、ブラックホエール号に乗船していること、出航セレモニーに参加していることの三つを満たす者に限られる。ワブル王子は乗船しており、セレモニー会場への参加もコマで確認できる。時間制限の解説では、選択肢のない場合は誓約と制約が成り立たないと整理された。姿を現さないとされてきた第5王子ツベッパの念獣も、このセレモニーで初めて現れている。王子たち自身には視認できないが、確かに顕現していた。なお、継承戦が終わらない場合はホイコーロ一族が陥落するとクラピカは推測している。第412話では、初登場時にクラピカが会ったワブルと、1014号室にいる現在のワブルが別人だったことが明らかになる。現在のワブルは実際にはオイト王妃の妹の息子であり、性別も女性から男性へ変わっていた。オイト王妃は最初の面談で娘と言っていたが、第12王子モモゼが亡くなった後にクラピカと口論した場面では、息子という語にワブルとルビが振られている。オイト王妃は以前、自分が5人兄弟で、兄、姉、妹、弟がいると話していた。すり替えに気づいたのはビルである。手掛かりの一つはカキンの発音で、クラピカがシマヌの名を口に出すときはシマノと言い、発音を伴わない心の中ではシマヌになっていた。カキンの発音を用いるオイト王妃は、一貫してシマヌと発音している。

ワブルの真実がオイト王妃から判明した時点は特殊戒厳令48時間前と表記され、丸2日前の10日目14時頃にあたる。この時間帯は、第1回念講習会の最終日にロンギ詛贄者でありビヨンドの娘であることをクラピカへ伝えた後になる。クラピカが口にした2か月前は、クラピカとオイト王妃、ワブル王子が初めて顔を合わせた面談の場面を指す。資格の条件は三つあり、本物のワブルはセレモニーに参加していないため資格がない。偽のワブルも正室の子ではなく、壺中卵の儀も行っていないため資格がなく、2人とも資格を持たないことになる。第1王子私設兵バビマイナと第3王子私設兵サカタは、本来女性であるはずのワブルが男性であることを確認しており、この二つの王子側にはワブルに資格がないという事実がはっきり発覚している。それでもクラピカが資格のなさを証明しなかったのは、第2王子の私設兵がいる状況ではより危険が大きく、証明すれば他の王子側から罪を問われる恐れもあるためである。同じ理由から、クラピカはカチョウの手紙も温存している。第2王子私設兵サラヘルの能力は、死後の念を使って王子を呪い殺すものである。これはサラヘルの一族が死後に王子と伴侶になる特殊な民族だという経緯があって成り立つ。ヨモツヘグイは死後伴侶(シゴハン)という風習に由来する能力で、そのため第2王子の私設兵は担当する王子と異性になるよう割り当てられている。サラヘルは見るからに女性で、ワブル王子も女性であるため伴侶の関係が成り立たず、以前からこの点には矛盾があった。

第413話では、特殊戒厳令の発令が継承戦12日目の14時15分だと分かる。棺の場面は発令の30分前なので13時45分にあたる。ナスビの場面にハルケンブルグの鳴動を表すゴゴゴという擬音があったことから、鳴動を使った人格交換と、ベンジャミンのTSK-17の発症もほぼ同じ時刻に重なり、この二つの場面もおおよそ13時45分になる。TSK-17の発症は感染から約6時間後なので、ヒュリコフが感染させたのは、タブレットでハルケンブルグの死亡を確認していた約6時間前、朝7時45分ごろということになる。ベンジャミンがV・VIP(ベリービップ)エリアの自室からカミーラの部屋へ向かう場面は発令15分前で、特殊戒厳令の準備にあたる14時ちょうどである。第410話でベンジャミンが軍隊を率いて司法省へ向かう場面には、発症から30分経ったという台詞がある。13時45分の発症から30分後は14時15分となり、残る王子は4人という場面は発令直後だったことになる。司法省に着いた場面は発令から40分後の14時55分にあたる。

この時点で3人の王子が死亡している。TSK-17は初期症状が感染性胃腸炎に酷似しているが、実際には別のものである。人格交換の矢を放った場面では、バルサミルコの肉体が椅子に縛られていた。バルサミルコの肉体では本人の人格が優先され、ハルケンブルグはもう1つの人格として同居している。ハルケンブルグは睡眠剤でバルサミルコの人格を眠らせ、自分の人格が強制的に肉体を使える状態にしていた。棺の場面では、光っている場所が敗退した王子と連動している。ベンジャミンの特殊戒厳令の命令には、第1層の即殺対象は非国王軍私設兵という言葉があった。ベンジャミンの私設兵や王妃所属の兵は正規国王軍の資格を持つため、この対象には含まれない。

所在と安否が分からなかったチョウライとルズールスについては、監視していたベンジャミンの私設兵コベントバが主寝室で焦る様子も描かれた。チョウライは脱出経路がはっきりしているのに対し、ルズールスは軍の情報網に一切引っかかっていない。第13王子マラヤームについて、ベンジャミンは1013号室で監視しているサクエーレへ王子の拘束を命じ、14時30分までに拘束できなければリハンを送るよう指示していた。クラピカと偽のワブルがいる1014号室については、ベンジャミンはバビマイナからワブルが偽物だとすでに聞いている。ヒュリコフの鋼の錬金術師(コンボマスター)は、標的のそばに一定時間いなければ発動できない能力だった。ヒュリコフは念講習会にも参加しているが、講習会が終われば基本的にベンジャミンの護衛を担当している。読み取っている間は発が使えず、一度に1人しか読み取れないため、ベンジャミンの命令で標的をクラピカにしていたヒュリコフは、ロンギを11人いる!すなわちサイレントマジョリティーの能力者だと誤認した。ベンジャミンの念獣の能力はいまだ不明である。ロンギの説明では、あくまで推測として、王子それぞれに強いソエモノがいるとされる。

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