物語 / 出来事
交渉ゲーム
モレナ=プルードとボークセンが行った交渉ゲームを、親7枚・子5枚のカード、質問手順、全12枚の効果、不正判定とYes選択まで解説する。
交渉ゲームは、エイ=イ一家のモレナ=プルードがボークセンを仲間へ勧誘するために行った対話型のゲームである。親のモレナは7枚の質問カード、子のボークセンはYes、No、R、Joker、Xの5枚を持ち、質問と回答を繰り返しながら最後に残った子の一枚で勧誘への結論を決める。
形式は合意形成でも、完全に対等な交渉ではない。子が途中で退出するとYesかNo以外の自由を失い、不正も退出として処理される。ボークセンはRへ印を付けて選択を操作したが、カードに仕込まれた操作系能力が不正を検知し、最終的にYesかNoの二択へ追い込まれた。

モレナとボークセンが行う交渉ゲームの各段階 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博

提示された選択肢と交渉の進行 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博

ボークセン側が読む交渉ルール 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博

カードの残り方が決める交渉結果 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博
基本情報
| 親 | モレナ=プルード |
|---|---|
| 子 | ボークセン |
| 親のカード | 7枚 |
| 子のカード | 5枚 |
| カード総数 | 12枚 |
| 場所 | ブラックホエール1号第2層と第3層の間にあるエイ=イ一家のアジト |
| 結果 | ボークセンがYesを選びエイ=イ一家へ加入 |
交渉ゲームの目的
モレナはボークセンを無差別に選んだのではない。ツェリードニヒの学友であり王立軍所属でもあるボークセンを仲間にすれば、第4王子へ近づく経路と軍内部の情報を得られる。ボークセン側は拉致された状態から生還し、仲間のもとへ戻るため、相手の能力とアジトを会話から探る必要があった。
ゲームは親が一方的に説明する面接ではない。子はどの質問を先に使うかを選び、親の答えを聞いた後で自分のカードを墓場へ送る。情報を得るほど選択肢が一枚ずつ消えるため、質問の順番が最後の結論へ直結する。
親7枚と子5枚のカード
親のカードは目的、能力、条件を説明させるために使う。子のカードは勧誘への返答だけでなく、拒否、復活、代用、ゲーム無効化という逃げ道を持つ。RとDは墓場からカードを戻せるが、Rは子の選択、Dは親の小さなお願いを受け入れることが条件になる。
| 側 | カード | 働き |
|---|---|---|
| 親 | 目的 | 仲間に誘う目的を説明する |
| 親 | 力 | モレナの能力を説明する |
| 親 | QA | 目的と能力以外の質問へ三択で答える |
| 親 | QB | QAで最後に尋ねた質問を詳しく答える |
| 親 | Yes? | Yesが最後に残った場合を説明する |
| 親 | No? | Noが最後に残った場合を説明する |
| 親 | D | 小さなお願いと引き換えに子の墓場から一枚戻す |
| 子 | Yes | 親のお願いを受け入れる |
| 子 | No | 親のお願いを拒否する |
| 子 | R | 子の墓場から一枚戻す |
| 子 | Joker | YesまたはNoのどちらかへ変わる |
| 子 | X | ゲームを無効にして離脱する |
一手ごとの進行
親は7枚を表向き、子は5枚を裏向きに置く。子が親のカードを一枚指定し、親が回答したカードは墓場へ移る。続いて子のカードを一枚選んで表にし、同じく墓場へ送る。この往復を続け、最後に残った子のカードが勧誘への返答になる。通常は親が子のカードを選ぶが、今回はイカサマ防止のためボークセン自身が選んだ。
| 手番 | カード | 得られた情報・変化 |
|---|---|---|
| 親1 | 目的 | カキンの滅亡と、その先の人類滅亡 |
| 子1 | Joker | YesかNoへ変わる予備札を墓場へ |
| 親2 | 力 | 特質系能力で対象の適性に合わせた覚醒を支援 |
| 子2 | Yes | 受諾札をいったん墓場へ |
| 親3 | No? | 拒否を選んだ場合の結果は死 |
| 子3 | X | 安全な離脱札を墓場へ |
| 親4 | D | キスによる感染と引き換えにXを戻す |
| 子4 | X | 戻したXを再び墓場へ |
| 親5 | QA | アジト、出入口5つ、仲間21人、特質系はモレナ1人 |
| 子5 | R | 墓場からYesを戻す |
モレナが明かした目的と能力
モレナの目的は王位やマフィア内の地位を得ることではなく、カキンを滅ぼし、その先で人類そのものを終わらせることにある。ボークセンは目的への賛否だけでなく、21人の仲間、アジトの位置、5つの出入口、特質系がモレナ一人であることまで引き出した。QAを後半まで残したことで、帰還できた場合に仲間へ渡せる情報を増やしている。
モレナの能力はキスによって対象を感染させ、殺人で得る点数に応じてレベルと念能力を成長させる。ボークセンへの説明では、本人の特性を考慮しながら能力覚醒を支援すると示された。加入は思想への同意だけでなく、モレナの能力体系へ身体を組み込まれることを意味する。
Rカードの傷と不正判定
ボークセンは手元が二枚になった時点で、Rカードの表側の縦辺へ左手でわずかな傷を付けた。裏向きのカードを選ぶ際に印を手掛かりとし、Rを最後へ残したように見せる狙いだった。選んだ後にはカードを握り潰し、傷を確認されないよう証拠も消そうとした。
しかしゲームは札の外見だけで公正さを判断していない。不正は真剣勝負からの退出とみなされ、カードに組み込まれた操作系能力が自動発動した。ボークセンはRによる自由な復活を認められず、YesかNoだけを答える状態へ移される。ルールの文言を破った罰というより、交渉へ参加し続ける資格を失った結果である。
Yesを選んだ意味
Noの結果が死だとすでに確認していたため、二択になったボークセンが生き残るにはYesしかない。形式上は本人が答えたが、選択肢が削られる過程まで含めれば自由意思だけによる加入ではない。モレナは暴力で即座に服従させず、情報を与え、相手自身に一枚ずつ逃げ道を捨てさせた。
一方、ボークセンはアジトと能力の情報を持ったまま加入する。モレナ側から見れば有用な新兵だが、ボークセンがツェリードニヒの学友として何を優先するかは別問題である。ゲームの勝敗は加入で決着しても、忠誠まで確定したわけではない。
カードの意味は会話で変化する
このゲームではカード名だけを覚えても読み切れない。モレナが説明する順序、ボークセンが質問へ使った一手、すでに墓地へ送られたカードによって、同じ選択肢の価値が変わる。盤面は固定されたルール表ではなく、交渉で更新される情報の記録でもある。
ボークセンは能力者になることもエイ=イへ加わることも当初は望んでいない。それでも拒絶だけでは仲間の安全と自分の帰還を確保できないため、質問を重ねてモレナの目的、能力、仲間への扱いを切り分ける。勝敗より、どこまで条件を悪化させず情報を持ち帰れるかが重要になる。
念能力と交渉術が重なる局面
モレナの勧誘は説得だけで終わらず、能力付与の条件へ接続する。相手の自発的な選択が必要であるほど、暴力で即座に従わせる手段は使いにくい。その制約がゲームを成立させ、ボークセンに質問と保留の余地を与える。
一方で、ルールを説明する側が情報量を支配している非対称性は消えない。読者は提示されたカードだけでなく、説明されていない前提、モレナが答えを避けた問い、ボークセンが仲間へ共有できる情報を追う必要がある。交渉ゲームは両者の心理戦であると同時に、能力条件の開示戦でもある。
出来事の因果と読みどころ
交渉ゲームは単独の名称として読むより、周囲の条件とつなぐと輪郭がはっきりする。出来事は結末だけを切り出さず、開始時の状況、参加者が持っていた情報、転換点、直後に残った問題の順で読むと因果が明確になる。
基本情報のうち「親」は、モレナ=プルード。これに対して「子」は、ボークセン。この組み合わせは、名称だけでは分からない作中での役割を捉える手掛かりになる。
基本情報のうち「子」は、ボークセン。これに対して「親のカード」は、7枚。二つを同じ表へ置くことで、前提と結果を取り違えずに読める。