世界 / 組織・集団
エイ=イ一家|モレナの組織・構成員・恋のエチュード
エイ=イ一家のモレナ、構成員と念能力、恋のエチュードの加入条件・レベル制度を解説。ヒンリギや幻影旅団との抗争、ボークセンの交渉ゲーム、No.420までの動向をまとめます。
エイ=イ一家は、カキン帝国の三大マフィアの一つ。シュウ=ウ一家、シャ=ア一家と並んで裏社会を支えてきたが、現在の首領モレナ=プルードの目的は縄張りの拡大ではない。カキンを壊し、さらに人類そのものを滅ぼすことである。
その手段が、殺人を重ねるほど力を得る念能力「恋のエチュード」。モレナは22人の仲間へ能力を与え、ブラックホエール号の乗客を狙わせた。犠牲者が増えるたびに構成員が成長するため、ほかのマフィアにとっても放置できない脅威となっている。
エイ=イ一家の基本情報

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 位置づけ | カキン三大マフィアの一つ。現在の一派は既存の均衡を守らず、破壊を目指す |
| 首領 | モレナ=プルードを名乗る祭孤児。本来の王の娘とは別人(No.408) |
| 当初の感染集団 | モレナと22人の子。のちにボークセンへの勧誘が行われる |
| 後ろ盾 | 従来は第4王子ツェリードニヒ。現体制は王子の意向からも離反する |
| 能力の成長 | 恋のエチュード。20を超えると固有能力を得て、100を超えると新たな親になれる |
| 加入条件 | 交渉ゲームのイエス、モレナとのキス、仲間の殺人現場への同席。順序・時期は問わない |
| 活動場所 | 船内第3層の縄張りと、念による移動経路を使う隠しアジト |
| 主な敵対勢力 | シュウ=ウ一家、シャ=ア一家、幻影旅団 |
| 初登場 | 名称はNo.371、本格登場はNo.378 |
組織名の初出はNo.371、モレナと感染者たちがまとまって登場するのはNo.378。船内では第3層を縄張りとし、第4王子ツェリードニヒを後ろ盾としていた。ただし、これは従来のマフィアとしての立場であり、モレナが王子の命令通りに動いているという意味ではない。
モレナの正体と一家が変わった理由
現在モレナを名乗っている女性は、ナスビ王の娘として生まれた本来のモレナとは別人である。No.408の交渉ゲームで、本人が入れ替わりを明かした。王の婚外子に付けられる顔の傷があるからといって、現在の彼女をそのまま「ナスビの実の娘」と扱うことはできない。
彼女はカキンの「謝肉祭」で生まれた祭孤児であり、王族としてではなく「肉」として扱われてきた。その過去を語ったうえで、カキンを滅ぼすことを小さな目的、人類を滅ぼすことを大きな目的として挙げている。すでに一定の利益を得ている者が、さらに豊かになるために始めた抗争ではない。
もともとのエイ=イ一家も、ほかの二家と同じく、新天地での利権獲得を見込んで渡航していた。ところが、モレナへの代替わりによって、その利益を守る理由自体が失われる。仲間を殺人に向かわせる彼女の行動は、王子の後ろ盾を得て秩序を維持する従来のカキンマフィアとは相容れない。
ノブナガも、エイ=イ一家を従来のマフィアと同じ理屈では測れない集団として見ている。シャ=ア一家のタハオとの会話は、三家が単に同じ縄張りを奪い合っているわけではないことを示す場面である。
恋のエチュードのレベルと加入条件
モレナの恋のエチュードは、キスを介して仲間へ感染し、殺人によって感染者のレベルを上げる能力である。成長するとオーラが増え、レベル20を超えた感染者は自分の固有能力を得られる。さらに100を超えると、新たな感染集団を作る「親」になれる。
ここで混同しやすいのが、能力獲得の境目と、後から登場した構成員のレベルである。No.405でレベル51と示された構成員がいるが、51まで上げないと能力を得られないわけではない。21への到達が、最初の固有能力を得る基準となる。
ボークセンとの交渉で説明された加入条件は、次の三つ。順序や時期は問われない。
- モレナとの交渉ゲームが「イエス」で終わること。
- モレナとキスをして恋のエチュードに感染すること。
- モレナ、または仲間による殺人現場に居合わせること。
つまり、加入を口頭で承諾するだけでも、キスをするだけでも条件は完了しない。ゲームの結末、能力への感染、殺人への立ち会いが組み合わされている。構成員を増やす仕組み自体に、相手を組織の犯罪へ巻き込む過程が含まれているのである。
また、念能力者の殺害で得られるレベルをモレナが分配できるのではないか、と構成員が推測する場面もある。ただし、構成員の予想と、モレナ本人が説明した確定ルールは区別する必要がある。推測をそのまま万能な経験値分配機能として扱うことはできない。
主な構成員と役割
ドッグマンと特質系の探索

ドッグマンは、犬のマスクを着けた大柄な構成員。プロレスラーであり、No.405ではレベル62と示されている。嗅覚を使って対象の念系統などを見分ける能力は、モレナが求める人材を探すために使われる。
モレナが欲したのは、強そうな人間を無差別に集めることではなく、自分の計画に必要な特質系の人材だった。そこで第4王子の私設兵ボークセンが選ばれた。ボークセン自身が念を自在に使いこなせていたから選ばれたわけではなく、本人も把握していなかった資質を先に見抜かれたのである。
ソドムも人員確保に関わる。ハルケンブルグの葬列で多くの人が動く機会を利用し、軍の仲間と一緒にいたボークセンを引き離して、モレナの前へ連れてきた。
防衛・移動を担う構成員
一家の強みは、各人が同じ攻撃を繰り返すことではない。固有能力を得た構成員が、移動、防衛、拘束といった別々の仕事を受け持てる点にある。
- ルイーニーは空間を移動する「凶器の錯乱」を使用した。旅団への勧誘に失敗し、ノブナガに殺されている。
- トレベルムは「スウィートホーム」で損傷を移す。自分を守るだけでなく、仲間が受けた攻撃を引き受ける使い方も見せた。
- ヨコタニは弁護士。侵入者を段階的に排除する「墨攻」で、ノブナガとヒンリギをアジトから追い出した。
- ボコンテは扉を使った移動に関わる。ルイーニーの死後も、一家は一人の移動能力者だけに頼らず活動を続けている。
- ギャトームは3101号室で客を迎える役を担い、外から来た者をアジト側へ誘い込む。
ほかにもクオロール、デヴェラレス、デモン、スフレ、ノートル、オラルジ、マトベール、ビレ、ペリゴル、ジェラート、シフォン、モンブラン、カシューらが登場する。前職やレベルが紹介されても、全員の固有能力まで明かされているわけではない。
ヒンリギ・幻影旅団との抗争
民間人として乗船している危険性
シュウ=ウ一家の若頭ヒンリギは、組長オニオールからモレナの排除を命じられた。リンチ、ザクロとともに構成員を追う過程で、一家がマフィアではなく一般乗客として登録されていることがわかる。
これは名簿上の小さな違いではない。軍から見れば、マフィアが民間人を攻撃している形になり得るためだ。リンチの「体は全部知っている」で敵の目的を聞き出しても、その場で軍に事情が共有されるわけではない。相手の正体を知っている側が、船内の規則では不利になるという厄介さがある。
パドイユとルイーニーの死
パドイユは、腕を武器に変えてヒンリギへ襲いかかった。ところがヒンリギは「てのひらを太陽に」で手錠を鳩に変え、拘束と防御を両立させる。パドイユは拘束を外そうと攻撃を続けた末、自ら変形させた武器で殺された。
死体の後始末には、シュウ=ウ一家のミーシャが残した死後の念も関わる。表立った抗争を避けたいヒンリギは、敵を倒した後も軍に発覚しないための工作を必要とした。
一方、ルイーニーはシャ=ア一家のアジトにいた幻影旅団を誘おうとしてノブナガに殺される。旅団を自分たちと同じ破壊者だと見込んでも、それだけで利害が一致するわけではなかった。仲間を失った一家は、モレナに助言を求めながら、残った能力をどう組み合わせるかを考え始める。
隠しアジトと追跡の仕組み
一家の縄張りである第3層と、モレナが実際にいる隠しアジトは分けて考える必要がある。公式の事務所を探せば首領が見つかる、という状態ではない。客室の3101号室などが移動能力と組み合わされ、通常の通路とは異なる入口として使われている。
内部には、犠牲者を処理する区画、構成員が集まるリビング、モレナの執務スペースがある。洗濯室や生活用品が置かれた部屋で、構成員は普段の会話をしながら殺人による成長を待つ。この生活感と殺人の近さが、一家の異様さをよく表している。
アジトへ踏み込んだノブナガとヒンリギは、まずトレベルムに攻撃を移され、続いてヨコタニの守衛人形に排除された。侵入者を殺すことだけが防衛ではなく、条件に従って外へ追い出せば拠点を守れる。そのため、個々の戦闘力で上回っていても、正面から押し切るのは容易ではない。
ヒンリギは追い出される前に、生牡蠣へ変えた発信機を隠した。入口をふさがれても、発信機の信号から本当の位置を追えるようにするためである。ノブナガはフィンクス、フェイタンと合流し、この手がかりを追って動く。
地図上の距離と、念でつながった入口の距離は一致しない。受信機の反応があっても、そこへ歩いて到達するためには階層間の移動制限を越えなければならない。特別戒厳令による封鎖は、一家だけでなく追跡者の行動にも影響する。
ボークセンとの交渉ゲーム

ボークセンはツェリードニヒの私設兵で、軍学校時代からの仲間と行動していた。突然拉致されて目覚めると、そこはモレナのアジトだった。武器も所持品も奪われ、相手の人数も能力もわからない。その状況で、生還の可能性を探すために交渉ゲームへ応じる。
ゲームのカードは、モレナの目的や能力、加入を断った場合の結果などを聞く手段になっている。ボークセンは必要な情報を引き出しながら、加入せずに帰れる「X」を残そうとする。途中では「取引」によってモレナとのキスを受け入れ、本人がすべてを決めたつもりになるより前に、加入条件の一部を満たしてしまった。
終盤、ボークセンが取り戻したのは、逃げ道になるはずの「X」ではなく「イエス」だった。モレナは、カードに印を付けたイカサマを見抜いていたと説明する。不正をした場合は能力による強制が働き、以後の選択が「イエス」か「ノー」に絞られる。相手の目を盗んだつもりの行動が、かえって逃げ道を失う原因になっていた。
最終的にボークセンは加入を肯定し、構成員から拍手を受ける。ただし、これを「モレナの破壊思想に心から賛同した場面」と読むのは早い。もともと仲間の安全と自分の生還を優先していた人物が、能力によって選択肢を狭められた末の返答である。軍人としての立場と、一家の一員になりかけている立場が重なったことに、この勧誘の不穏さがある。
No.411〜420で進んだこと・残ったこと
No.410でのゲームの結末以降、No.411〜420ではボークセンの新しい固有能力は披露されていない。加入への返答が描かれたことと、念能力を得て具体的な任務を遂行したことは別である。ツェリードニヒに対する潜入工作が成功したとも、現段階では断定できない。
一方、No.420ではツェリードニヒ自身が下層への経路を探し、第1層のカジノでヒソカに遭遇した。王子が動き出したことは、一家にとっても無関係ではない。しかし、この時点でモレナとの再接触はなく、彼女が王子の移動を把握している描写もない。
モレナが欲していた特質系の人材は手元に来た。その人物は王子の私設兵でもある。今後の焦点は、ボークセンがどの条件まで満たし、軍の仲間とどう向き合い、モレナの計画へどこまで組み込まれるかである。王子側とマフィア側の両方を追うことで、同じ船内の事件がつながって見えてくる。各話で進んだ争点はNo.411〜420の未解決事項まとめも参照。