人物
リンチ=フルボッコ
リンチ=フルボッコは王位継承編に登場したシュウ=ウ一家の構成員。放出系の念能力「体は全部知っている」で心の声を聞き出し、ボノレノフ=ンドンゴに殺された。
リンチ=フルボッコは、漫画『HUNTER×HUNTER』に登場するシュウ=ウ一家の構成員。カキン帝国の大型船ブラックホエールを舞台とする王位継承編で、統括のヒンリギ=ビガンダフノに呼び集められ、ザクロ=カスタードと組んでヒソカ=モロの捜索にあたった。念系統は放出系。質問した相手を殴ると心の声が聞こえる念能力「体は全部知っている」を持ち、聞き出し役として動く。捜索の途中でヒソカに変装した幻影旅団のボノレノフ=ンドンゴと接触し、頸椎を損傷して死亡した。
初登場は第390話。自分自身とシュウ=ウ一家を高く買っており、見下されることを嫌った。エイ=イ一家の構成員を威嚇するときも、続けて殴り倒すときも表情を崩さず、数発で相手が気絶すると鼻で笑っている。生年月日、年齢、血液型、身長、体重、出身地は作中で明らかになっていない。

リンチ=フルボッコ 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博

リンチ=フルボッコ 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博

リンチ=フルボッコ 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博
基本情報
| 所属・役割 | シュウ=ウ一家の構成員。統括のヒンリギ=ビガンダフノの指示を受け、ザクロ=カスタードと組んでヒソカ=モロの捜索と、標的からの聞き出しを担当した。 |
|---|---|
| 初登場 | 第390話 |
| 状態 | 死亡。ヒソカ=モロに変装していたボノレノフ=ンドンゴに頸椎を損傷させられた。 |
| 念系統 | 放出系 |
| 念能力 | 体は全部知っている。標的に質問してから殴ることで、標的の心の声を聞き取る。その声は周りの人間には聞こえない。 |
| 主な関係 | 組むのはザクロ=カスタード。指示を出すのは統括のヒンリギ=ビガンダフノで、その上にボスのオニオール=ロンポウがいる。敵対したのはエイ=イ一家と、そのボスであるモレナ=プルード。 |
人物像
肩までの明るい髪を後頭部で筒状に巻き上げ、額から下りた房を肩に垂らし、短い二房で顔の両脇を縁取る若い女性として描かれる。目は大きく、眉は短くて細い。好んで着るのは襟の高いノースリーブで、裾はふわふわとした毛皮のような素材でできている。前身頃からは余った布が伸び、束ねて襟元にブローチで留めてあるため、全体がしわの寄った見た目になる。足元は厚い底のスリッパである。
感情は表に出やすく、相棒のザクロ=カスタードは後に、リンチは考えが顔に出る性格だったと振り返っている。ザクロが血を操って通路を探らせる場面では嫌悪を隠さず、この気味悪さには慣れないと言い放った。任務の段取りもそのつど確かめる質で、ザクロからは毎回同じことを聞くと受け流されている。
シュウ=ウ一家では、統括のヒンリギ=ビガンダフノがもっとも信頼する部下の一人に数えられ、格闘と情報収集の双方をこなした。行動はほぼザクロとの二人組で進み、血を操るザクロの捜索と、殴って聞き出すリンチの尋問が組み合わされている。指示はヒンリギを通して下り、その上にボスのオニオール=ロンポウがいた。
作中での動向
ボスのオニオール=ロンポウから命令を受けたヒンリギは、第3層でのヒソカ=モロ捜索と、エイ=イ一家のボスであるモレナ=プルードの殺害のために、リンチとザクロを呼び集めた。三人はハンバーガー店でペリゴルとエイ=イ一家の女性構成員を見つける。ヒンリギは女を追い、リンチとザクロが男の相手をすることになった。
ペリゴルが二人の注意をそらした隙にビレが現れ、ザクロの首を切りつける。続いてペリゴルはリンチの腹を蹴って転倒させたが、リンチは動じる様子もなく、自分より仲間の心配をしろと言い返した。ザクロが相手を難なく取り押さえる間に、リンチはエイ=イ一家について質問を始め、念能力で組織の目的とモレナの能力に関する情報を引き出す。ヒンリギは後に、エイ=イ一家の面々が書類の上ではマフィアの一員ではなく民間人として登録されていると二人に伝えた。
三人がその階を離れようとしたとき、銃が蛇に変わって兵士たちを撃ち、死に至らせた。首を切断された二人の兵士を見た第3層の乗客が悲鳴を上げて逃げ惑うなか、ザクロは予定どおりヒソカの捜索を続けると述べる。ヒンリギは、ヒソカを見つけても動く前にまず自分へ連絡するよう二人に指示し、自分は他のエイ=イ一家の構成員を探しながら、そのうちの一人を追うつもりだと付け加えた。
人気のない通路に着くと、ザクロは能力で無数の血の玉を壁づたいに動かした。一滴一滴が懸命にヒソカを探しているのだとザクロは言い、30分から40分で念が切れて普通の血に戻ると説明する。リンチは玉の一つを壁からつまみ取って握りつぶそうとし、どうすれば殺せるのかと尋ねた。やがて血の玉が背の高い浅黒い肌の男を見つけ、ザクロがリンチを標的まで導く。リンチがヒソカかと問うと男は戸惑い、人違いだと言いかけたところで腹を殴られ、心の声が違うと答えた。
連れの二人が当局に通報すると脅すと、リンチは一家の人狩りを妨げれば死ぬと告げ、第4層の拠点に来れば埋め合わせをすると付け足した。組織の名で相手を抑え、後始末には形をつける態度である。次の標的を示された際には、弱そうな相手は明らかにヒソカではないのだから省けないのかと問い、能力が分からない以上は除外できないとザクロに諭される。そこで、身長を変える能力ならば計画そのものが成り立たないと気づいた。
偽のヒソカとの遭遇
ザクロが人混みで見つけた男を追い、人気のない通路でリンチが正体を尋ねた。相手が誰なのかと問い返すと、リンチは自分の名を告げ、もう一度名を尋ねながら殴る。次の瞬間、リンチは床に崩れ落ちた。男は今のは反射で返しただけだと詫び、ザクロに用件を尋ねる。ザクロは汗を流し声を震わせながら、圧倒的な念の気配とリンチをたやすく制した手際からヒソカに違いないと見当をつけ、本人かどうかの確認を求めた。相手は質問するのはこちらだと落ち着いて言い、ザクロは詳細を知らされていないがマフィアが探していると答え、知りたければ同行するよう頼む。相手は凄みのある笑みを浮かべ、ザクロをさらに怯えさせた。
意識を取り戻したザクロのそばには、箱とごみ袋の山を背にしてリンチが立っていた。リンチはヒソカに自分も眠らされたのかと尋ね、ザクロは生きていただけでもありがたいと答えて相手の行方を聞く。リンチは、目を覚ましたときにはもういなかったと言い、あれは間違いなくヒソカだったと断じたうえで、自分が倒れた後に何があったのかを尋ねた。ザクロは、映画に誘われて何を観たいか聞かれ、目を離した隙に意識を失ったと説明する。リンチは力の差が明らかだとして、ヒンリギへ報告するよう促した。
映画館では、複数の構成員を連れたヒンリギが、ヒソカに報復目的と受け取られたくないとしてザクロに引き揚げるよう告げ、上映室を一つずつ潰していくと部下に指示した。ザクロはリンチと合流して幻影旅団の頭を探すと述べ、任せて大丈夫かと問われると、均衡の必要を説いたうえでエイ=イ一家の壊滅と引き換えにヒソカの居所を渡せば協力は得られるはずだと自信を示した。
この相手はヒソカに変装したボノレノフ=ンドンゴだった。航海12日目、ボノレノフはヒソカの姿のまま第1層のカジノでヒソカ本人と出くわす。ヒソカに会ったら別人に変われというクロロ=ルシルフルの助言に従い、「影」に属する人物の姿へ変わって、マフィアに見つかることを警戒した。殴れば心の声が出る女をヒソカが殺したとマフィアに思われることを恐れ、リンチとの一件を思い返す。リンチに殴られた際は反射でレバーブローを返して倒しており、点滴を連れた男にも心の声が聞こえたのではないかと慌てたが、ザクロの戸惑いようから、聞いたのはリンチだけだと分かった。
リンチが伸びている間に、ボノレノフはザクロも気絶させて物陰に隠し、ザクロの姿でリンチに探りを入れた。リンチは偽物と気づかないまま騙されたと憤り、あのヒソカを偽者と見抜いていたことを明かしてしまう。ボノレノフはそのうえでリンチを殺し、今度はその姿を取って、ザクロとマフィアを映画館へ導いた。
遺体の発見とその後
ボノレノフは、別れた後に誰かがリンチを殺したと相手方に思わせたいと望み、ザクロの立場から状況を想像したうえで、たとえ遺体が見つかってもマフィアが総出でヒソカを殺しに来ることはないだろうと考えていた。実際には航海12日目、葬列に備えて最終の見回りをしていた兵士の一団がリンチの遺体を発見する。シュウ=ウ一家の構成員だと分かったため、一人が一家へ知らせ、遺体は納体袋に収められた。
まもなく現れたヒンリギとザクロは、首が不自然にねじれているのを目にする。ヒンリギが賄賂を渡すと、兵士は頸椎の完全骨折で、手慣れた者の仕業だろうと説明した。ヒンリギは抗争が始まっておりエイ=イ一家の殺し屋がやったのだろうと述べ、遺体はこちらで引き取るので記録には残すなと兵士たちに告げている。
納体袋を運びながら、ヒンリギはザクロと状況を突き合わせた。ザクロは、ヒソカに二人とも倒された後でリンチと別れたと確認し、ヒソカに殺す気があれば二人とも殺していたはずだと述べる。ヒンリギも同意したうえで、リンチが単独でヒソカを追った可能性を尋ねた。ザクロはこれを否定し、リンチは考えが表に出るので自分には分かったはずだと答える。誰かに気絶させられた直後に他人の身を案じるのはリンチらしくなく、あのときは妙に落ち着いていたとも指摘した。ヒンリギは、本物のリンチはすでに死んでおり、自分を起こしたのは別人ではないかと問い返す。
ザクロはヒソカが変装した可能性を考え、ヒソカの方がずっと背が高いことを理由に一度は退けたが、身長の違う人物に化けられるかどうかをリンチと話し合っていたことを思い出して撤回した。むしろリンチが操られていたと考えた方が筋が通るとも述べる。さらに、敵の側から見ればリンチが何も言わずに消えた方が、こちらにあらゆる可能性を考えさせられて都合がよかったはずで、敵はこちらの考えを一つの枠に押し込めたかったのではないかと示唆した。
ヒンリギの求めでリンチの言葉を再現すると、ヒンリギはあれは間違いなくヒソカだったという一言に着目し、敵は見た男をヒソカだと思わせたかったのだと指摘する。リンチは能力で偽者だと見抜いたために口を封じられ、ザクロはヒソカを見つけたと一家に伝える役として、それが本人ではないと気づかないまま生かされた、という読みである。二人は、相手が幻影旅団であっても、別の一家との全面抗争を招くとしても報復すると決めた。
能力・特徴・関係
念系統は放出系で、自分の念能力を作り上げるだけの技量があった。能力「体は全部知っている」は、標的に質問してから殴ることで標的の心の声を聞き取るもので、その声は周りの人間には聞こえない。エイ=イ一家の構成員からは組織の目的とモレナの能力を、ヒソカに化けた相手からは否定の答えを、いずれも殴打によって引き出している。
体格で勝る男に腹を蹴られてもまったく傷を負わない程度に、常人より頑健である。ただし幻影旅団の一員であるボノレノフ=ンドンゴには及ばなかった。
打撃は同じ腕から連打を放つ形で、本気を出さずとも弱い念能力者を即座に気絶させる威力があった。防御では身を低くして相手の打撃をそらし、双方の体勢から生じた急所へ強い一撃を入れている。ペリゴルを数発で昏倒させたときには、念も使えないのかとなじり、気を失っていては質問ができないと起き上がるよう促した。
敵対勢力はエイ=イ一家で、ボスであるモレナ=プルードの殺害も当初からの任務に含まれていた。捜索対象のヒソカ=モロとは直接向き合ったつもりでいたが、実際に相対したのはその姿を借りたボノレノフであり、そのまま命を落とすことになった。
名称と着想
参照資料は、名前が法によらずに私刑を加えることを指す英語の動詞に由来する可能性を挙げている。念能力の漢字表記は、吉本ばななの小説の題名に由来する。英語版では能力名に二通りの訳語が併存しており、商業出版の翻訳では別の語があてられている。
初登場の場面では、欅坂46の小林由依を表紙にした『With Yui』という雑誌を読む姿で描かれている。