人物
ヒンリギ=ビガンダフノ
シュウ=ウ一家の若頭。ブラックホエール号でヒソカ=モロの捜索とエイ=イ一家との抗争を指揮し、具現化系の能力「てのひらを太陽に」で機械や武器を生き物に変えて操る。
ヒンリギ=ビガンダフノは、カキン帝国のマフィア組織シュウ=ウ一家の若頭である。原作第378話で初登場し、王位継承編ではブラックホエール号に乗り込んだ一家の実働責任者として描かれる。念系統は具現化系で、触れた機械や武器などを元の機能を保ったまま生き物に変えて操作する能力「てのひらを太陽に」を使う。ボスのオニオール=ロンポウの指示のもと、船内でのヒソカ=モロ捜索と、無差別な殺害を重ねるエイ=イ一家への対処を同時に担った。
航海中は賄賂と脅迫と能力による暗殺を使い分け、3層と4層を動き回る。捜索を妨げた王立軍の兵士は、蛇に変えた兵士自身の銃に撃たせて排除した。幻影旅団とはヒソカ=モロを追わせない取引をまとめ、エイ=イ一家の秘密拠点へは自ら囮となって踏み込む。拠点で顧問弁護士ヨコタニの防御能力に阻まれた後は、部下リンチ=フルボッコの死からヒソカ=モロを騙る何者かの存在を推理し、相手が誰であれ報復すると決めた。

ヒンリギ=ビガンダフノ 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博

ヒンリギ=ビガンダフノ 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博

ヒンリギ=ビガンダフノ 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博

ヒンリギ=ビガンダフノ 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博

ヒンリギ=ビガンダフノ 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博
基本情報
| 所属・役割 | シュウ=ウ一家の若頭。権限は一家のボスに次ぎ、通常は立ち入りが認められていないブラックホエール号の1層と4層にも意のままに出入りできる。4層の一家事務所を拠点とした。 |
|---|---|
| 初登場 | 第378話(単行本第36巻) |
| 状態 | 生存 |
| 念系統 | 具現化系。自分の能力を作り出せるだけの練度を備え、堅は拳銃の弾を防ぐ。 |
| 念能力 | てのひらを太陽に。触れた機械や武器等を元の機能を有したまま生き物に変えて操作する。 |
| 円の範囲 | 半径5メートル(約16フィート)以上。ブラックホエール号3層でエイ=イ一家の構成員を探して移動中に半径5mの円を発動している。範囲の比較では9位だが、円のみに集中した場合の最大値は分かっていない。 |
| 上司 | シュウ=ウ一家のボス、オニオール=ロンポウ。ヒソカ=モロの捜索と、モレナ=プルードの殺害を直接命じた。 |
| 主な部下 | リンチ=フルボッコ、ザクロ=カスタード、タッシ。リンチ=フルボッコは航海12日目に死体で見つかり、タッシは転移の罠だった戸口へ踏み込んだまま消えた。 |
| 敵対勢力 | エイ=イ一家。新たにボスとなったモレナ=プルードがカキン帝国のマフィア各家を縛る掟を破ったことへの遺恨から、全面抗争を望んでいる。 |
人物像
シュウ=ウ一家における肩書きは若頭で、その権限はボスに次ぐ。本来は立ち入りが認められていない1層と4層にも意のままに出入りでき、航行中は両層をつなぐ仲介役として動いた。船内に散った構成員を統括し、ほかのマフィアや王立軍との折衝も引き受けている。拠点は4層のシュウ=ウ一家事務所で、船内の見取り図にもその所在が示された。
細身の体格で、頭頂部のすぐ上を除いて波打つ長い金色の髪を持つ。前髪は額とほぼ平行に左へ巻き、頭を伝って落ちる途中で波状の房に広がる。眉は細く長く、上向きの弧を描く。目は丸く、虹彩は淡い色で、瞳孔は際立って小さい。両目のまわりには黒い化粧を円形に入れ、その先端を鼻へ向けて伸ばしている。初登場時は、明るい色のシャツの上に明暗の縦縞が入ったスーツを着ていた。
性格は自信家で、立場に伴う責任を果たし、現場に出る仕事も避けない。カキン帝国のマフィア各家を縛る掟をモレナ=プルードが破ったことに強い遺恨を抱き、エイ=イ一家との全面抗争になることをむしろ望んでいる。加虐的な一面は入り組んだ形で表れる。賄賂を渡した兵士に面倒は起こさないと約束した直後に彼らを殺し、その死を見届けてから元の行動に戻ったこともある。
その一方で相応の礼節と自制も見せる。混乱を好むヒソカ=モロを相手に、待つよう説き伏せて交渉をまとめた場面がその例に当たる。幻影旅団にも好意を寄せており、ヒソカ=モロと旅団の戦いを見てみたいという関心を口にした。
作中での動向
航海4日目、ボスのオニオール=ロンポウに呼び出され、幻影旅団より先にヒソカ=モロを見つけるよう命じられる。4層へ戻ると、乗客名簿から単身の男性客を洗い、それで出なければ3人以上の家族連れに絞るよう部下へ指示した。単身客に紛れていないこと自体がヒソカ=モロの警戒心の表れであり、子どもや高齢者を含む家族には最も紛れ込みにくいという読みによる。部下には見つけることだけを求め、その後の始末は自分が引き受けると伝えている。
続く数日、エイ=イ一家の構成員がシュウ=ウ一家と、これと歩調を合わせるもう一つのマフィア一家の人間を数十人殺害する。ヒンリギの4層での捜索は成果を上げなかった。電話でオニオール=ロンポウに、犯行は幻影旅団ではなく、エイ=イ一家の新しいボスであるモレナ=プルードによるものだと報告する。旅団はあくまで協力しており、シュウ=ウ一家の隠れ家へ入り込む口実を作っているだけだと確認したうえで、モレナ=プルードが各所へ構成員を送り込んで殺させる狙いは分からないと認め、先にエイ=イ一家を潰すことを進言した。
オニオール=ロンポウはこの進言を退け、旅団を制御下に置くため当初の予定どおりヒソカ=モロの捜索を続けるよう指示する。さらに、ヒソカ=モロが4層にいないことを確認したうえで、4層の捜索は旅団に任せ、ヒンリギ自身は3層を捜すよう命じた。あわせて、そこでモレナ=プルードを見つけ次第殺すことも指示している。ヒンリギは部下のリンチ=フルボッコとザクロ=カスタードを呼び、新しい指示を伝えた。
3人で3層へ向かう途中、階段室に入るところを王立軍の兵士に見とがめられる。ヒンリギは賄賂を渡して通行を認めさせ、兵士からはエイ=イ一家が暴れているので早く手を打つよう告げられた。階段を上がりながら、4層を端から端まで洗うと部下に念を押している。3層に入った直後、エイ=イ一家の構成員2人に見つかったことを察知した。女が離れると、男の尋問を部下に任せ、自分は女の後を追う。
追いついたヒンリギは、ボスのもとへ案内すれば命は助けると持ちかけたが、女はそのまま一般客の区画へ入っていった。ここから、エイ=イ一家の構成員がマフィアとして登録していないことに気づく。相手が抗争を起こすこと自体を目的に殺しを重ねていると見て取ると、女に対して、お前のボスは掟を破りすぎだ、かかってこいと伝え、区画を警備する兵士に連行されるままになった。
エイ=イ一家との抗争とヒソカ=モロとの取引
兵士に連れられて戻ると、リンチ=フルボッコとザクロ=カスタードの相手はいずれも地面に伸びていた。ヒンリギは2人に、仕事は終わりで引き上げること、エイ=イ一家が正式に一般人として登録されており状況が厄介になったことを伝える。同行した兵士の1人は、2人が過剰な実力行使をしたと指摘しつつ、3層に立ち入らないなら見逃すと告げた。ヒンリギは謝罪して金を差し出し、兵士たちの銃に触れながら、「これ」を使わせるようなことはしないと約束する。3人が立ち去ると、兵士たちは思わぬ収入に笑ったが、手元の銃の先端は蛇に変わっていた。蛇と化した銃は持ち主を撃ち殺し、ヒンリギは騒ぎの音に振り返る。捜索を妨げた兵士を能力で片づけた形である。
人だかりができると、ヒンリギはリンチ=フルボッコとザクロ=カスタードにヒソカ=モロの捜索を続けさせて別れ、自身はエイ=イ一家の構成員をさらに誘い出しつつ、先の女を捜すことにした。別の区画では近くの兵士に協力させ、その場の乗客が写った監視映像を確認する。老夫婦のビデオカメラに女の姿を見つけると、証拠として預かる必要があると称して金を渡し、その金は担保だと言い添えてカメラを手に入れた。このカメラを能力で猫に変え、女が歩いていった通路を目立たないように撮り続けるよう指示している。
その場を離れながら、ツェリードニヒ=ホイコーロがもはや後ろ盾ではなくなったエイ=イ一家が次に何をするのか、なぜ殺戮を続けているのかを考えていた。鳩のいる場所を歩いていたところ、エイ=イ一家のパドイユ、クオロール、デヴェラレスに見つかる。3人は、単独で動いている理由をいぶかしみ、円が張られていることから警戒していると見て取った。自分たちの戦闘力に自信を持つ3人は、パドイユが仕掛け、残る2人が隙を突いて仕留める手はずを即席で決める。
背後から迫ったパドイユは、ヒンリギが能力で鳩に変えた手錠に捕らえられ、そのまま殺された。残る2人は力量差を悟って逃走する。現場を処理するため伍長が部下を連れて現れたが、シュウ=ウ一家のミーシャ=ハオの死後の念でパドイユの死体が動かされ、ヒンリギはそれ以上騒ぎを大きくせずに事態を収めた。その場で伍長はヒンリギがシュウ=ウ一家の幹部であることを確かめ、モレナ=プルードの居場所に関する情報を売ると小声で持ちかける。情報源を聞いたヒンリギは、5000万という値と、伍長自身が現地まで案内することを条件に応じた。伍長が人だかりを解散させ、ミーシャ=ハオがパドイユの死体を動かして去らせるなか、ヒンリギは金を用意しに向かう。
伍長への支払いを手配していたとき、「ヒソカ」に気絶させられていたザクロ=カスタードとリンチ=フルボッコが意識を取り戻し、遭遇の経緯を報告してくる。ヒンリギはただちに関心をヒソカ=モロへ切り替え、取引を持ちかけようと考えた。映画館に座っていた「ヒソカ」を見つけると、船の1層のVVIP用の通行証を差し出し、エイ=イ一家を潰すために旅団の力が要るとして、しばらく旅団を追わないよう説得する。あわせて、できることなら自分も一家も彼と事を構えたくはなく、自分では勝てないと率直に認めた。どちらが勝つかを問われると旅団に賭けると答え、その集団を気に入っていることも明かす。「ヒソカ」は率直さを買って取引に応じ、ただし攻撃を受ければ反撃すると告げた。
秘密拠点の割り出しと潜入
その後、ヒンリギは配下とオウ=ケンイおよびその一家の手下とともに、伍長の案内で3層のモレナ=プルードの隠れ家とされる部屋へ向かった。そこにいたのは老人1人で、先に入った伍長はそのまま消え失せる。不審に思ったヒンリギが部屋へ複数のナイフを投げ込むと、ナイフのほうは消えなかった。老人に、出てこなければ次のナイフは外さないと脅すが、老人が悠長に歩くのでしびれを切らし、足へナイフを投げつける。老人は倒れて叫んだものの、傷から血が出ていないことを指摘されると芝居をやめ、同情を引くために怪我を大げさに見せる詐欺師だと明かして姿を消した。
オウ=ケンイは、エイ=イ一家の相手を幻影旅団に任せることを提案する。部下のタッシがヒンリギやほかの構成員の制止を聞かずに部屋へ踏み込み、そのまま消えたことで、戸口が罠であることが確かめられた。ヒンリギはルイーニーの仕業と考えたが、旅団がすでにルイーニーを殺しているとオウ=ケンイに訂正される。
ヒンリギは自前の手がかりとして、残してきた猫のビデオカメラを確認しに向かった。映像には、同じエイ=イ一家の構成員が客室区画の入口へ入ったまま出てくるところを見せないのに、その外を歩き回る姿が写っていた。これにより、エイ=イ一家が船内を転移して移動しているという見立てが裏づけられる。オウ=ケンイやツェリードニヒ=ホイコーロの部下と話すなかで、ルイーニーを殺した旅団の3人が客室区画の罠に当たると聞かされた。旅団が扉の罠を起動させる準備をしているところへ、ヒンリギは自ら罠を踏んで転移し、生牡蠣に変えた発信機で追跡できるようにすると申し出る。発信機が牡蠣のままでいられるのは2時間ほどで、旅団が見つけられるよう可能なかぎり生き延びると付け加えた。
旅団はこの申し出を受け入れ、ヒンリギは扉をくぐって即座に広い部屋へ転移した。着地と同時に床へ伏せ、ナイフを構えて体を回し、近くの者へ反撃できるようにしたが、部屋には誰もいなかった。直後に背後へノブナガ=ハザマが現れ、ヒンリギは驚く。ヒンリギは見ているよう頼み、シャワー室、浴室、空の便所3つを順に開けていった。続いて洗濯室へ通じる扉を開け、中へ入ろうとする。部屋は無人に見えたが、つい先ほどまで誰かがいたという確信を持った。
ノブナガ=ハザマは、先に自分が拠点内へ送り込んだ人間がエイ=イ一家の関係者で、襲撃が近いことを知らせたのだろうと考え、自分に腹を立てる。ヒンリギは、推測しても仕方がないとなだめ、まだ開けていない不審な扉の1つに意識を向けるよう促した。ナイフを手に扉を開けると、エイ=イ一家の構成員が複数、話し合いの最中だった。声をかけてエイ=イ一家の者かと尋ねても、相手は平然と無視する。その落ち着きぶりから戸口に罠があると読んだ2人は、先に攻めることで一致した。
拠点内の攻防と発信機の設置
ヒンリギがトレベルムへ投げたナイフは頭部を貫き、トレベルムは痛いと言って椅子から立ち上がった。スフレは頭に深々と刺さったことが信じられずにいたが、トレベルムは落ち着いて引き抜き、柄を握り潰して刃が失われていることを見せる。ヒンリギは刃先がトレベルムの持っていた飲料の缶の中にあることに気づき、その能力が物質の移動を伴うと察した。スフレがトレベルムの左腕をつかみ、侵入者の相手はするなと言われていたはずだと諌めたところへ、ヒンリギがもう1本のナイフを投げる。トレベルムはこれをかわし、スフレを突き飛ばして避けさせた。ナイフはそのままペリゴルへ向かい、ペリゴルは平然と手を差し出して、この傷が治るのにどれくらいかかるかと考える。
しかしオラルジが週刊少年ジャンプの1冊でナイフを止め、避けるべきだった、なぜ能力を使おうとするのかとペリゴルに言った。トレベルムは不用意に触れたことでスフレを責め、スフレは謝ったうえで自分は退がると告げ、ここで争うべきではないと念を押す。オラルジはペリゴルに、すでに「器官」に選ばれていること、モレナ=プルードから目立つなと言われていたことを思い出させ、ペリゴルは思い出して詫びた。ここでヨコタニが口を開き、ヒンリギの身元を確認したうえで、自分はエイ=イ一家の顧問弁護士だと名乗る。トレベルムは、ナイフを投げて暴れる者がいるとして軍と警察を呼ぶよう促した。
ヨコタニは、侵入者が不法侵入と傷害の両方を犯しており、殺人未遂に最も近いところまで来ていると説明する。通報してよいかと尋ねられたヒンリギは、道に迷っているので好都合だと応じ、ここはどこかと問い返した。ヨコタニはそれは明かせないとしつつ、指示に従うなら穏当に済ませると答える。ノブナガ=ハザマが声をかけると、ヨコタニは相手を幻影旅団の一員と認め、それは大ごとだと述べた。ノブナガ=ハザマが攻撃を仕掛けると、トレベルムが割って入ってヨコタニを守り、自分が侵入者を消すと告げ、相手に名乗った以上は警備員なのだと思い出させる。
ヨコタニは具現化系の能力「墨攻」を発動する。これはモレナ=プルードのいる隠れ家でのみ使える防御用の能力で、法を破った侵入者に対してヨコタニが名乗ることで発動する。具現化される警備員は犯人を傷つけられない代わりに、犯人側の攻撃も通らない。相手の罪が重いほど、より高い等級の警備員を作り出せる。オーラが膨れ上がるなか、背後に7体の人形が現れて2人を犯人と認定し、不法侵入と殺人未遂の容疑で警戒度4に達した。ヨコタニは刑を確定させ、敷地からの排除を命じる。人形が走り出すと、ノブナガ=ハザマは刀で1体を斬ったが傷はつかず、人形はオーラを増して警戒度の上限に達した。人形はノブナガ=ハザマを取り囲んで取り押さえ、1体が刀を取り上げる。ノブナガ=ハザマは、人形が自動で動いており自分を排除するまで止まらないとして、ヒンリギに逃げるよう告げた。運び出されたノブナガ=ハザマはやがて転移させられ、ヨコタニは排除を確認して、対象があと1人残っていると述べる。
人形が迫るなか、ヨコタニはヒンリギにも未必の故意による殺人未遂が2件あり、排除の対象になるとして、諦めて立ち去るよう求めた。ヒンリギは転移の罠と無敵型の能力者がそろっていることから、ここがエイ=イ一家の本拠だと確信し、洗濯室へ戻って扉を閉める。人形が扉を叩くなか、人形が自動で動いている以上、能力者には室内の様子が見えないというノブナガ=ハザマの助言を使い、発信機をここへ隠すことにした。指を2本口へ入れ、飲み込んでいた発信機を吐き出す。3101号室へ戻されたノブナガ=ハザマは、表の扉から入ると隠れ家へ、隠れ家の扉から出ると3101号室へ転移する構造を見抜き、罠と隠し通路を兼ねる仕掛けだと述べたうえで、構成員だけが使える転移点が室内のどこかにあるはずだと考えた。
航海12日目とリンチ=フルボッコの死
転移で戻ったヒンリギに、ノブナガ=ハザマが首尾を尋ねる。ヒンリギは、助言のおかげで敵はおそらく発信機に気づかないと答えた。その日はもう能力を使えず、ナイフも使い切ったとして、以後は支援に回ると伝える。まず船の見取り図で隠れ家の位置に見当をつけ、構成員の人相書きを作り、目撃者を探して行動範囲を絞り込むという段取りを示し、そのためにシュウ=ウ一家の構成員を総動員すると付け加えた。ノブナガ=ハザマは、発信機の捜索は旅団が引き受けると応じる。隠れ家の洗濯室では、牡蠣の姿のままの発信機が棚の下で2度の電子音を鳴らしていた。ヒンリギは、エイ=イ一家が素人のように見えても、モレナ=プルードに何ができるのかも、構成員が口にした「器官」が何を指すのかも分からない以上は慎重にいくべきだと述べ、ノブナガ=ハザマも駒を動かしている者は愚かではないと同意した。
12日目、ノブナガ=ハザマと旅団員2人は、ハルケンブルグ=ホイコーロの死を伝える放送を聞きながら3層を進み、3層と4層の接続部へ向かう。ノブナガ=ハザマがマフィアのいずれかの後ろ盾かと尋ねると、旅団員の1人はそうではないと答え、もう1人は放送を気にせず4層へ向かうよう促した。ノブナガ=ハザマは、ヒンリギがエイ=イ一家に見つからない場所へ発信機を置いたので時間の余裕があると指摘し、隠れ家へ向かう前にほかの2つの一家に確かめたいことがあると述べる。5層にある同盟一家の隠れ家では、オウ=ケンイとタハオに、今のエイ=イ一家が何者だと思うかを尋ねた。今のエイ=イ一家はカキン帝国そのものの破壊を狙っているという見立てを聞いたタハオは、2つの一家が支援すると告げ、エイ=イ一家を潰すことを正式に依頼する。3人が隠し扉の奥の通路へ入る前に、旅団員の1人はタハオへ、残る旅団員とヒンリギに計画を伝えるよう頼んだ。
一方モレナ=プルードは配下の一部に、第9王子ハルケンブルグ=ホイコーロの葬列が行われること、見送りに多くの人が集まる好機であることを知らせる。ボコンテに何人かの行き先を尋ねられると、ヒンリギへの報復のために処理で能力を上げに行ったと答えた。エイ=イ一家の秘密拠点では、牡蠣に変えられていた発信機がオーラを失い、元の発信機へ戻っている。3層では、秘密拠点から戻ったヒンリギがザクロ=カスタードと合流した。人が増えてきたと言うザクロ=カスタードに、ヒンリギは、死去の放送と同じ日の正午に葬列があると聞いた人々が、民衆に人気のあった第9王子ハルケンブルグ=ホイコーロを見送りに来ているのだと説明する。
リンチ=フルボッコの所在を尋ねると、事務所に用があると答えが返る。王立軍の介入で崩れた計画を立て直そうとしていたところへ、シュウ=ウ一家の下働きが駆け寄り、リンチ=フルボッコの死体が見つかったと伝えた。現場では、兵士たちが発見の経緯と死因の見立てを説明するなか、ヒンリギは金を渡して口止めし、抗争が始まっておりエイ=イ一家の殺し屋の仕業だろうと告げ、遺体は自分が引き取るので記録には残さないよう求める。その場を離れながら、ヒンリギはザクロ=カスタードに時系列の確認を求めた。ザクロ=カスタードは、2人ともヒソカ=モロに気絶させられたと述べ、殺すつもりならあのとき2人とも殺していたはずだと言う。
リンチ=フルボッコが単独でヒソカ=モロを追った可能性を問われると、ザクロ=カスタードは、その手の意図を隠せない性格なので分かったはずだと否定した。ただし、目を覚ましたばかりでぼんやりしていたと語るうちに考えを改める。あのときのリンチ=フルボッコは彼女らしくなく落ち着いており、気絶させられた後で人の身を案じる性格でもなかった、と。ヒンリギは、本物のリンチ=フルボッコはすでに死んでおり、ザクロ=カスタードを起こしたのは別人ではないかと考えた。誰かが変装していたのかと確かめるザクロ=カスタードに、ヒンリギはそれを認めたうえで、ヒソカ=モロがなぜ彼女に化けるのかと考える。
能力・特徴・関係
ザクロ=カスタードは身長差を理由に変装の線をいったん否定したが、体を縮められる能力だった場合の対応をリンチ=フルボッコと話し合っていたことを思い出し、その否定を取り下げる。それでも、操られていたと考えるほうが筋が通ると述べ、ヒンリギも、身長を変えられる者には会ったことがないと同意した。犯人は2人の思考を狭い範囲へ押し込めたかったのだろうという推測も出る。ヒンリギは、リンチ=フルボッコがあれは間違いなくヒソカだったとはっきり言っていた点に着目し、彼女が能力で「ヒソカ」を偽物だと見抜いたために殺されたと説明した。ザクロ=カスタードは、それが本人ではないと気づかないまま、ヒソカ=モロを見つけたと仲間へ伝える役として生かされたことになる。犯人はヒソカ=モロを捜しており、邪魔をされたくなかった。マフィア側が先に見つけたと信じれば、その事実を伏せて無駄な捜索の許可を与えるだろうと見込み、実際そのとおりになった。ただしヒンリギは、これが仮定に基づく推論にすぎず、確かなのは2人がヒソカ=モロを見つけた後に何者かがリンチ=フルボッコを殺したという事実だけだと釘を刺す。ザクロ=カスタードは静かな怒りとともに、幻影旅団の仕業なら同盟一家とも戦争になると述べ、憶測で始めるべき戦いではないとしても相手が誰であれ報復するのかと確かめ、ヒンリギは同意した。
戦闘面では観察力が高く、混み合った場所で2人のエイ=イ一家構成員が自分の方へ視線を向けたことにも気づいた。相手が一般人として登録していることの意味を読み解く分析力を持ち、能力の発動を悟らせない狡猾さも備える。身体面では、パドイユを蹴りで吹き飛ばす膂力と、その攻撃を受け止めてから蹴り返す速さと反応がある。エイ=イ一家の拠点へ転移した直後には、待ち伏せへの反撃に備えて素早く体勢を低くし、背後に転移してきたノブナガ=ハザマの気配を察してすぐ位置を変えた。格闘の技量も高く、パドイユが具現化した武器を逆に用いて武装を解き、そのまま倒している。主兵装は複数の投げナイフで、標的へ精度よく投げ分ける。
念系統は具現化系で、自分の能力を作り出せるだけの練度を持つ。堅は拳銃の弾を防ぐ強さがあり、円は少なくとも半径5メートル(約16フィート)に及ぶ。ブラックホエール号3層では、エイ=イ一家の構成員を探して移動しながら半径5mの円を発動していた。範囲の比較では9位に位置するが、円のみに集中した場合の最大値は分かっていない。
能力「てのひらを太陽に」は、触れた機械や武器等を元の機能を有したまま生き物に変えて操作する。兵士の拳銃の先端を蛇に変えて持ち主を撃たせ、手錠を鳩に変えてパドイユを捕らえ、老夫婦から譲り受けたビデオカメラを猫に変えて通路を撮影させ、発信機を生牡蠣に変えて体内へ隠した。生き物のままでいられる時間には限りがあり、牡蠣に変えた発信機はおよそ2時間でオーラが尽きて元へ戻っている。秘密拠点から戻った時点では、その日はもう能力を使えないと本人が述べた。名称は日本の童謡の題名に由来し、その曲は、人も小さな生き物も、生きているからこそそれぞれの営みをするのだと歌う。名前の綴りは単行本第39巻のおまけページで「Hyenllgyii」と記された。能力名は英語版で別の題が当てられ、英語圏の別の翻訳ではさらに異なる名称が用いられている。
一家の中ではボスのオニオール=ロンポウから直接の指示を受け、リンチ=フルボッコ、ザクロ=カスタード、タッシらを部下として動かした。同じ一家のミーシャ=ハオの死後の念に助けられた場面もある。オウ=ケンイやタハオが率いる一家とは共闘の関係にあり、幻影旅団とは、ヒソカ=モロの捜索とエイ=イ一家の制圧をめぐって協力と牽制の双方を含む関係を築いた。エイ=イ一家からは報復の標的と見なされ、モレナ=プルードの配下の一部はヒンリギを狙って能力を上げに向かっている。なお、この能力については『ジョジョの奇妙な冒険』第5部のスタンド「ゴールド・エクスペリエンス」との中程度の類似が指摘されている。そのスタンドは鞄を蛙に、ライターを薔薇にするように、無生物へ生命を与えて生き物に変える。ヒンリギのナイフ投げについても、同作の敵役で、ゴールド・エクスペリエンスの使い手ジョルノの父でもあるディオ・ブランドーへの言及ではないかという見方がある。