人物
ヨコタニ
エイ=イ一家の顧問弁護士ヨコタニの人物像、王位継承編での動向、具現化系の念能力「墨攻」による侵入者の排除を解説する。
ヨコタニは、漫画『HUNTER×HUNTER』の王位継承編に登場する人物である。犯罪組織エイ=イ一家の構成員で、一家の顧問弁護士を務める。原作第378話(単行本第36巻)から姿を見せ、顧問弁護士としての立場は第399話(単行本第38巻)で示された。悪専弁護士とも紹介される。法律と法的手続きに極めて詳しく、その知識をそのまま自らの念能力へ組み込んでいる点が最大の特徴で、念系統は具現化系にあたる。
モレナ=プルードの念能力「恋のエチュード」を受けてレベル27に達し、オーラ量と出力が増したうえで念能力を得た。一家のアジトでは扉の警備を任され、侵入したヒンリギ=ビガンダフノとノブナガ=ハザマを、具現化した衛兵によって敷地の外へ強制的に排除する。細い目と長く細い鼻、絶えることのない笑みが外見上の特徴で、灰色のスーツに黒いネクタイと黒い靴を身に着け、大きな本を持ち歩く。
基本情報
| 所属・役割 | 犯罪組織エイ=イ一家の構成員。一家の顧問弁護士を務め、悪専弁護士と紹介される。オラルジとともにアジトの扉の警備を担当する。 |
|---|---|
| 初登場 | 原作第378話(単行本第36巻) |
| 状態 | 生存 |
| 念系統 | 具現化系 |
| 念能力 | 墨攻。モレナ=プルードが居るアジトでのみ使える完全防御型の能力で、法律を犯した侵入者にヨコタニが名乗ることで発動する。具現化した衛兵は犯罪者に危害を加えられないが、犯罪者の攻撃も効かない。相手の犯罪の程度が重いほど、レベルの高い衛兵を創出できる。 |
| 恋のエチュードのレベル | レベル27。オーラ量と出力が増し、あわせて念能力を得た。 |
| 主な関係 | モレナ=プルードには極めて従順。扉の警備はオラルジと分担する。トレベルムには自分の落ち度を詫び、その能力が敵に知られた責任を引き受けた。ヒンリギ=ビガンダフノとノブナガ=ハザマの侵入時には、二人を排除する側に立った。 |
| 出身に関する言及 | 侍の伝統がある国の出身だと本人が語っており、ジャポンの出身である可能性が示されている。 |
人物像
ヨコタニは細い目と長く細い鼻を持ち、常に笑みを絶やさない。撫でつけた暗い色の髪は首元まで届き、灰色のスーツに黒いネクタイ、黒い靴という装いをしている。大きな本を持ち歩く姿もたびたび描かれる。
性格は非常に丁重で礼儀正しく、法律についての知識は際立っている。他のエイ=イ一家の構成員と同じく、モレナ=プルードには極めて従順である。カードゲームの席ではモレナの左側に立ち、口を挟まず、話しかけられたときにだけ言葉を返す。立っているときは背筋を伸ばし、両足をそろえ、両手を後ろで組む姿勢をとることが多い。
一方で、ヨコタニは自らの矛盾に頓着しないか、あるいはそれに気づいていない。自分の罪と比べれば軽い不法侵入と殺人未遂を犯したヒンリギ=ビガンダフノとノブナガ=ハザマに対し、笑みを浮かべたまま、裁く者、判定する者、刑を執行する者の役を一人で引き受けた。ナイフや刃で襲われても丁寧で自信のある口ぶりを崩さない。相手を自分より上位に置くように話すが、それで手を止めることはなく、能力で二人を一家の秘密のアジトから物理的に排除した。
仲間への気配りも見せる。トレベルムに助けられた場面では、敵の攻撃の間合いを読み違えた自分のせいで相手の能力が敵に知られたとして、平謝りして責任を引き受けた。そのとき自分が一家の自警の役であることを一瞬忘れ、これ以上邪魔をしないよう引き下がりかけたが、トレベルムに役目を念押しされ、敵と向き合うために前へ出た。
ボコンテによれば、ヨコタニの話し方は質問した相手の視点に立って答えるもので、モレナはそこに古い上下関係の意識、あるいは滅私の接遇の哲学が表れていると見た。ヨコタニは「自分」という語を二人称の意味で使うこともあり、モレナはこれを相手の立場に身を置くことになぞらえた。
作中での動向
ヨコタニは、モレナが構成員に一人ずつ恋のエチュードをかけ、その念能力の仕組みを説明する場に、他の構成員とともに居合わせている。一家のアジトで開かれた会合では、VVIPエリアに第四王子への連絡役として残していた執事が音信不通になったと、構成員の一人が報告した。
四人の構成員を前にしたモレナは、ツェリードニヒ=ホイコーロに勘づかれた可能性を挙げ、ギャトームの報告からアジトも間もなく発見されると付け加えた。そのうえでツェリードニヒの私設兵を自分たちの側へ引き入れる案を示し、うち一人がドッグマンとともに衛兵の確保へ向かうと明かした。レベル21のマトベールが自分は臓器の役の方がよいと答えたため、闇医者にして殺し屋、操作系の使い手であるレベル31のソドムが任務に志願した。
モレナは、裏切った自分にツェリードニヒが直接手を下したがるだろうとしながらも、王位継承戦が続いている以上、いつどのように動くかは読めないと述べた。そして、相手の動きを追うために、その陣営の誰かに恋のエチュードを感染させたいと明かした。さらに名簿を渡し、見つけた兵はアジトへ連れてくること、部屋3101はもう使えないので扉Cを使うことを指示した。
モレナはヨコタニとオラルジに扉の警備を続けるよう命じ、これからは軍と極道しか来ないと言い添え、ツェリードニヒの部下を捕らえた場合はそこへ招き入れるよう伝えた。廃棄物処理業者で強化系の使い手であるレベル21のオラルジが、第一王子の兵を相手にするのはまずいとして、法的な理由で追い返せないかと尋ねると、悪専弁護士で具現化系の使い手であるレベル27のヨコタニは、笑みを崩さずにそれはできないと答えた。
侵入者への対処
ヒンリギ=ビガンダフノとノブナガ=ハザマがアジトへ侵入した際、ヨコタニはやがて口を開き、ヒンリギの身元を確認したうえで、自分は一家の弁護士だと名乗った。トレベルムが、刃物を投げて暴れている異常者がいるから軍と警察を呼べと促すと、ヨコタニは二人が不法侵入と傷害の双方を犯しており、これは殺人未遂に最も近いと説明した。警察へ通報してよいかと尋ねると、ヒンリギは道に迷っているので好都合だと応じ、ここはどこかと聞き返した。ヨコタニはそれは明かせないと答え、自分の指示に従うなら穏便に済ませると了承した。
続いてノブナガがヨコタニの注意を引くと、ヨコタニは彼を幻影旅団の一員と見抜き、自分たちにとって重大なことだと述べた。質問を言い終える前に、ノブナガは刀の先端に付けた鎖を伸ばして距離を詰め、ヨコタニの頭を刺した。ところがそのときトレベルムが右手をヨコタニの肩に置いており、ノブナガが刀を引くと切っ先が欠けていた。ノブナガは、トレベルムが他人の受けた損傷まで移し替えられると悟った。トレベルムの左腕からは血が流れ始め、彼はヨコタニに下がっているよう言った。
ノブナガは、トレベルムが右手で受けた損傷を左手で別の物へ移さなければ、自分自身がその損傷を負うことになると指摘し、無私の能力であって見た目にはまるで似合わないと評した。トレベルムの放出系能力「スウィートホーム」は、攻撃してきた物体もろとも損傷をずらす。右手で触れた対象の損傷はトレベルム自身へ取り込まれ、左手で触れた物へ移すことができる。損傷を受けたその瞬間に触れていなければ働かない。
ノブナガはトレベルムに下がれと言い、ヨコタニにはもう一度近づくよう求め、刀にオーラをまとわせて全員を串刺しにすると告げた。ヨコタニは、ノブナガが侍の精神を捨てるとは思わなかったと詫び、トレベルムは不用意に敵へ近づいたことを咎めた。ヨコタニは、トレベルムの能力が露見したのは自分のせいだと気づき、どう詫びればよいかと言いながら、故郷の侍は飛び道具の使用を良しとしなかったと説明した。言い訳を続ける気かと問われるとすぐに謝り、しばらく姿を消すと述べた。しかしトレベルムは、侵入者を消すのは自分の方だと返し、名乗った以上ヨコタニが警備の役であることを思い出させた。
墨攻による排除
ヨコタニは具現化系の念能力「墨攻」を発動した。周囲にオーラが膨れ上がり、背後に七体の人形が現れて二人の犯罪者を特定し、不法侵入と殺人未遂の罪状を告げて警戒レベル4に達した。ヨコタニは判決を確認し、敷地からの退去を命じた。人形が走り出すと、ノブナガは刀を構えて一体に斬りつけたが、傷一つ付かないどころか、オーラを増して最大の警戒レベルに達した。ノブナガはオーラが強化されたと見抜き、二人はすでにヨコタニの能力の条件を満たしているため、人形はおそらく無敵だとヒンリギに伝えた。
人形は群がってノブナガを取り押さえ、そのうちの一体が刀を没収した。ノブナガは、人形が自動操縦で動いており自分を排除するまで止まらないとして、ヒンリギに逃げるよう告げた。人形はノブナガを運び出し、彼はやがて転送された。ヨコタニは排除の完了を確認し、対象はあと一人残っていると付け加えた。人形がヒンリギへ走り出すと、ヨコタニは彼にも未必の故意による殺人未遂が二件あり退去処分になると告げ、諦めて去るよう求めた。
ヒンリギは、転送の罠と無敵型の能力者がいることから、そこがエイ=イ一家の本拠だと確信し、ランドリールームへ戻って扉を閉めた。人形が扉を叩く中、彼は人形が自動操縦である以上、使い手には室内の様子が見えないと考えた。そこでノブナガの助言どおり発信機をそこへ隠すことに決め、吐き出すために指を二本口へ入れた。航海12日目、ティア5へ戻る前のノブナガは、エイ=イ一家のアジトについて知っておくべきことはないかとフィンクスに問われ、ヨコタニの能力を説明した。
ボークセンを迎えた交渉ゲーム
エイ=イ一家は、ティア3で第9王子ハルケンブルグ=ホイコーロの葬列が通り過ぎる中、巡回していた兵士ボークセンを捕らえた。連れ込まれた一家の秘密のアジトで意識を取り戻したボークセンは、モレナとヨコタニを含む五人の配下に囲まれていた。ヨコタニは両手を後ろで組んでテーブルの脇に立ち、ボークセンと向き合う形で、モレナが交渉ゲームの規則を説明するのを見守った。
説明の途中、ボークセンは練習の質問として、モレナにゲーム中に不正をするかと尋ねた。モレナはこれを、自分の答えの言い回しの機微を明らかにする機会に使った。ボコンテは遠慮なく、ヨコタニの口調が似ていると茶化し、ヨコタニは自分がそのように話しているとは知らなかったと決まり悪そうに応じた。ゲームが始まってまもなく、ボークセンは雑談を装って他の構成員から答えを引き出そうとし、人数を尋ねた。ヨコタニは何も言わずに微笑むだけで、モレナはボークセンに彼らからは答えを得られないと告げた。
途中でスピーカーが鳴り、特別戒厳令の発令が告げられてゲームは中断された。ヨコタニもその場の全員とともに、読み上げられる指示に聞き入った。ボークセンは戒厳令が出た後もゲームを続け、ヨコタニは観戦を続けた。最終ラウンドでは、ボークセンの最後のカードが「いいえ」なのか、それとも彼女が先に「×」のカードを返してゲームを無効にすると述べていた「返却」なのかを、食い入るように見守った。
ボークセンは「返却」のカードをめくり、生き延びた安堵から強く握りすぎてそれを握りつぶした。ジェラートら配下は「×」のカードを返すのを見届ける必要はないと考えて席を離れたが、モレナがボークセンに間違えたのかと問うのを聞いて振り返り、彼女が「はい」のカードを返したことを知った。モレナの口調は変わり、ボークセンを不正と断じた。ヨコタニたちは戻って彼女を取り囲んだ。モレナは、ゲームでの不正が、対象に「はい」か「いいえ」しか言えなくする操作の能力を発動させると明かし、ボークセンがもう一度エイ=イ一家に加わると認めるのを聞いた。ヨコタニたちはその選択に拍手を送り、ボークセンは操作から解放されて床へ崩れ落ちた。
能力・特徴・関係
ヨコタニはエイ=イ一家の顧問弁護士であり、法律と法的手続きに深く通じている。彼はその知識を解釈して自らの念能力へ落とし込んでおり、法の運用そのものが戦う手段になっている。念系統は具現化系で、モレナの念能力によってレベル27に達したことで、オーラ量と出力が増し、あわせて念能力を獲得した。
墨攻はモレナが居るアジトでのみ使用できる完全防御型の能力で、法律を犯した侵入者にヨコタニが名乗ることで発動する。具現化された衛兵は犯罪者に危害を加えることができないが、犯罪者の側の攻撃も衛兵には効かない。相手の犯罪の程度が重いほど、ヨコタニはレベルの高い衛兵を創り出せる。
一家の中でのヨコタニは、モレナに従う構成員の一人であり、オラルジとともに扉の警備を任されている。トレベルムには自分の落ち度を詫び、その能力が敵に知られた責任を引き受けた。侵入した幻影旅団のノブナガとヒンリギにとっては、アジトの守りを担う障害として立ちはだかる存在となった。
名称と背景の由来
ヨコタニが持ち歩く大きな本に記された作中の文字は、日本をはじめとする東アジア諸国で法の本体をなす六法を指している。
能力名の墨攻は、酒見賢一が1991年に発表した日本の歴史小説の題名と同じである。その小説は、戦うことを否定し広く人を愛することを説いた墨家という集団を描いている。
ヨコタニは侍の伝統がある国の出身だと述べており、ジャポンの出身である可能性を示している。ノブナガが鎖付きの刀で距離を保ったまま斬りつけたときには、信じられないという反応を示した。侍はそうした攻撃の方法を嫌うためである。
現実の侍も弓矢や槍、さらには銃器まで用いたため、飛び道具の使用そのものは許されていた。それでも武士道を篤く実践した彼らにとって、距離を取って討つことは不名誉と見なされた。前者は、長距離の攻撃が必要になる戦場で用いられた例外にあたる。


