人物
ネフェルピトー
メルエムに仕えた王直属護衛軍ネフェルピトーを、カイトとの戦い、2km級の円、玩具修理者と黒子舞想、コムギの治療、ゴンとの最期まで詳しく解説する。
ネフェルピトーは、キメラ=アントの王メルエムに仕えた王直属護衛軍の一体である。猫科の特徴を持つ特質系能力者で、誕生直後にカイトを殺害した。東ゴルトー共和国では遺体を操る兵士を作り、国民を念へ覚醒させる「選別」の準備を進める。
当初は人間を能力の実験材料として扱ったが、王が大切にするコムギの治療を命じられたことで役割が変わる。ゴン=フリークスとの約束を守りながら、治療後は王を守るためにゴンを殺そうとした。好奇心で人を壊す存在から、王の感情を理解して恐れを抱く護衛へ変化した人物である。
基本情報
| 種族 | キメラ=アント |
|---|---|
| 地位 | 王直属護衛軍 |
| 念系統 | 特質系 |
| 主な能力 | 玩具修理者、黒子舞想、人形操作 |
| 円 | 最長で約2kmに及ぶ不定形の範囲 |
| 初登場 | 原作第188話で誕生前、第197話で姿が登場 |
| 主な敵 | カイト、ゴン=フリークス |
| 状態 | 死亡。死後の念で遺体が一時的に動く |
王直属護衛軍の第一子
女王が王を産むために集めた栄養から生まれ、王直属護衛軍の中で最初に姿を現した。名前に猫の特徴を持ち、長い尾、鋭い爪、発達した脚力を備える。誕生直後から念を自然に使い、巣の外へ広げたオーラだけでカイト、ゴン、キルアへ圧倒的な危険を感じさせた。
性格は好奇心が強く、強い相手や未知の能力を見つけると自分で確かめようとする。カイトの脳を調べて念の知識を得た後、もう一度戦うために遺体の修復を試みた。相手への敬意ではなく、面白い玩具を壊したことを惜しむ感覚から始まっている。
カイトとの戦い
NGLの巣へ近づいたカイトたちを円で捉え、遠距離から一跳びで接近した。カイトはゴンとキルアを逃がすため右腕を失いながら戦うが、ピトーはその首を持ち帰る。戦闘の全容は描かれず、結果としてカイトが死亡し、ピトーが負傷らしい負傷を負っていないことが示される。
ピトーはカイトの遺体を修復して人形として動かし、キメラ=アント兵の訓練へ使った。ゴンは生きて治療を待っていると信じたため、この処置が後の破局を生む。ピトーにとっての能力実験と、ゴンにとっての希望が同じ遺体へ重なっていた。
東ゴルトーの掌握と選別
メルエムの誕生後は王直属護衛軍としてNGLを離れ、東ゴルトー共和国の王宮を占拠する。最高指導者マサドルデイーゴの影武者を殺し、その遺体を人形操作で動かして国民へ首都集合を命じた。表向きの政治体制を維持したまま、選別の準備を隠した。
選別は、集めた約500万人へ念の攻撃を加え、耐えた約5万人を兵士にする計画だった。ピトーは操作した兵士の管理と王宮周辺の警戒を担当する。人間の生命を個体として見ず、王のために使える数へ変換する役割を担っていた。
円と身体能力
円は球形ではなく、アメーバのように形を変えて伸びる。最長部分は約2kmに達し、範囲へ触れた存在の位置を捉える。王宮防衛では四方へ広げ続けたが、玩具修理者を使う間は円を解く必要がある。感知と治療を同時に維持できないことが作戦上の弱点になる。
脚の筋肉を膨張させることで長距離を一気に跳び、カイトのもとへ到達した。宮殿突入時にはネテロの百式観音で遠方へ弾き飛ばされても、黒子舞想を使って進行方向を変え、短時間で戻ろうとする。攻撃力、耐久力、反応速度はいずれも師団長を大きく上回る。
三つの念能力
ピトーの能力は、肉体を治す操作、他者を人形として動かす操作、自分の身体能力を引き上げる操作に分かれる。どれも人形師と人形の関係を形にしているが、対象、用途、発動中の制約は同じではない。
| 能力 | 対象 | 働き | 制約・特徴 |
|---|---|---|---|
| 玩具修理者 | 負傷者・遺体 | 肉体の手術と修復を行う | 発動中は円を使えず、本体から離れられる距離が限られる |
| 人形操作(説明名) | 死体や人間 | 遠隔で身体を動かす | 東ゴルトーの統治と兵士の訓練に使用 |
| 黒子舞想 | ピトー自身 | 肉体を限界以上に操作して戦闘力を高める | 死後の念で遺体も動かした |
コムギの治療
宮殿突入時、ゼノ=ゾルディックの龍星群によってコムギが重傷を負う。メルエムはコムギを抱き、ピトーへ治療を命じた。敵であるネテロとゼノの前で王が見せた感情に触れ、ピトーはこの少女の生死が王の心へ直接影響すると理解する。
ゴンとキルアが1014号室へ到達した時、ピトーは玩具修理者で手術中だった。両手を上げ、無防備であることを示し、治療が終わるまで待つよう懇願する。カイトを壊したときには見せなかった恐怖と誠実さだが、それは人間全般への改心ではなく、王を悲しませないという忠誠から生まれている。
ゴンとの約束と最期
治療を終えると、ピトーはゴンの指定した場所へ移動し、カイトはすでに死んでいて治せないと告げる。王を守るためゴンを殺す決意も隠さなかった。ゴンは未来の成長を前借りする制約で姿を変え、ピトーを圧倒する。
頭部を破壊されて死亡した後も、王を脅かす相手を排除する意志が念として残った。死後に強まった黒子舞想が遺体を動かし、ゴンの右腕を切断する。キルアが攻撃をそらさなければ致命傷になっていた。忠誠は生前の命令ではなく、死後も続く能力の方向として残った。
主な人間関係
| 人物 | 関係 | ピトーの行動 |
|---|---|---|
| メルエム | 王 | 命令と感情を最優先し、死後も脅威を排除する |
| シャウアプフ | 王直属護衛軍 | 王への忠誠を共有するがコムギへの判断は異なる |
| モントゥトゥユピー | 王直属護衛軍 | 宮殿防衛を分担する |
| カイト | 最初の強敵 | 殺害後、遺体を修復して戦闘人形にする |
| コムギ | 王が大切にする人間 | 王命により命を懸けて治療する |
| ゴン=フリークス | カイトの仇を討つ相手 | 治療後に戦い、死亡する |
物語上の位置づけ
ピトーはゴンからカイトを奪い、メルエムからコムギを守る役割を与えられた。同じ人物が、他者の大切な存在を玩具にし、自分の大切な王のためには敵へ頭を下げる。ゴンはその変化を受け入れられず、ピトーもゴンの喪失を救えない。二人の感情が交わらないまま、互いの未来を奪う決着へ進んだ。
誕生直後から変化した護衛の優先順位
ネフェルピトーは王直属護衛軍として、女王よりも生まれる王を優先する本能を持つ。誕生直後にカイトを倒し、遺体を修復して戦闘訓練の人形へ変えた行動には、強者への好奇心と他者の尊厳を考慮しない残酷さが表れる。メルエム誕生後は、その好奇心も王の安全へ従属した。
ところが王がコムギの治療を命じると、護衛の優先順位は単純でなくなる。敵のゴンが目の前にいても、王の命令を守るため攻撃せず、治療が終わるまで待つよう求めた。ピトーが人間へ共感したと断定はできないが、王が大切にする相手を守るため、自分の不利と恐怖を受け入れた。
円と人形が作った東ゴルトー支配
ピトーの円は宮殿周辺を広く覆い、侵入者を早期に感知する。さらに黒子舞想系の操作によって兵士や死体を動かし、選別と警備へ利用した。本人がすべての場所へ移動しなくても、感知、指示、操作を分担できる。
円の形は一定の球ではなく、触手のように伸縮する。広い範囲を覆える一方、治療時にはドクターブライスの制約で円を解く必要がある。宮殿突入直前に円が消えたことは、討伐隊へ異変を伝える情報になった。強力な監視能力にも、別能力との同時使用という制限がある。
治療能力と戦闘能力の分離
玩具修理者は肉体を縫合し、損傷を治すが、設置した人形から一定距離を離れられない。治療中のピトーは戦闘へ即応しにくく、コムギを守る場面では自ら腕を折って敵意がないことを示した。治療能力の存在は、戦闘を容易にするだけでなく、護衛本人をその場へ拘束する。
戦闘では黒子舞想が肉体の限界を押し上げる。死後も残った念が遺体を動かし、ゴンへ襲いかかったことから、王を守る命令が生命の停止後まで持続した。治療する手と殺す身体は同じ能力ではなく、目的に応じて別の発として設計されている。
ゴンとの約束が崩れた地点
ゴンはカイトを元へ戻せると信じ、ピトーがコムギを治す時間を待った。しかしカイトはすでに死亡しており、修復された身体も本人の蘇生ではない。ピトーは治療後に事実を告げ、王への危険を除くためゴンを殺そうとする。ここでゴンが待ち続けた条件は失われた。
ピトーは最期に、ゴンの変化した力が王へ向かわず自分を標的にしたことへ安堵する。敵を恐れながら、護衛としては目的を達したという判断である。残酷な加害者、治療者、忠実な護衛という面は互いに打ち消し合わない。相手によって行動原理が変わったのではなく、すべてが王を守る一点へ集約されている。



