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No.415「真偽」考察・解説
No.415「真偽」を原作画像付きで解説。出航2か月前のヒュリコフとビヨンドの通話、コンボマスターの解呪見積もり、オイトの葉書と特殊戒厳令を、時系列に沿って読み解きます。
No.415「真偽」では、ヒュリコフが自分にかけられた呪いを知った経緯と、特殊戒厳令に揺れる王子居住区が描かれる。前半は出航2か月前の回想、後半は出航11日目の船内だ。ビヨンドの説明をどこまで信じてよいのか。クラピカたちは、誰にも気付かれずに船外へ助けを求められるのか。互いの腹を探る会話の途中で、軍が動き始める。
No.415のあらすじと二つの時間軸
| 回想 | 出航2か月前。ヒュリコフが呪いを発見し、ビヨンドと通話する。 |
|---|---|
| 現在 | 出航11日目、水曜日13時50分から。葉書の相談、特殊戒厳令、1014号室への命令。 |
| 未解決 | ヒュリコフの呪いの標的、ビヨンドの説明の真偽、軍が急ぐ別の理由。 |
ヒュリコフは自分の念能力「鋼の錬金術師(コンボマスター)」を使い、外部から呪いを受けていることに気付く。呪いの存在をビヨンドへ問いただすと、返ってきたのは、生まれたときから仕込まれていたという答えだった。ヒュリコフの死は本人だけで終わらず、ある王子を呪い殺す引き金になるという。
一方、現在の1014号室では、オイトが妹へ暗号の葉書を送ろうとしていた。ところが、通信の危険を検討している間にも、ベンジャミンの特殊戒厳令が発令される。王子や護衛たちの移動は制限され、替え玉問題を抱えるオイトにも拘束の命令が下った。
冒頭の電話は、航海中にビヨンドの拘束室へ連絡した場面ではない。出航より2か月も前に、ヒュリコフは呪いを知っていた。この時間差が、彼の持つ情報を読むうえで重要になる。船内の他陣営がビヨンドの計画を探り始めたとき、ヒュリコフはすでに本人から説明を受け、自分なりの検証を始めていたのである。
出航2か月前に出たコンボマスターの警告

コンボマスターを起動すると、画面に攻撃を受けていることを示す警告が出る。この時点でヒュリコフに痛みや目立った症状が現れたわけではない。能力が異変を拾い上げたことで、自覚できない攻撃を調べる機会が生まれた。
警告の対象には、外部からの魔法や呪い、病気などが含まれる。ヒュリコフが項目を開いていくと、今回の原因は呪いだとわかった。朝の確認では出ていなかったため、その日のうちに状態が変わったことも読み取れる。
二人目の対象から壺中卵の儀を疑う

さらに、同じ呪いを受けている者の表示には、自分の顔と、疑問符の付いた正体不明の影があった。二人目が誰なのかは表示されない。ここで画面が告げたのは、特定の人物名や犯人の全計画ではなく、同じ呪いに関係する存在がほかにもいるという手掛かりまでだ。
ヒュリコフは兵士を候補に考えたあと、王子の参加する壺中卵の儀へと思い至る。もし儀式そのものが、王子とその配下へ一律に影響しているのなら、該当者が二人だけなのはおかしい。儀式とは別に誰かが手を加えたのではないか。警告の出た時刻と、人数の少なさが推理の出発点になった。
ビヨンドが語った出生時の呪い

ヒュリコフはビヨンドへ電話し、呪いをかけたのかと問い詰める。ビヨンドはそれを認め、目的は第1王子とカキンの繁栄のためだと説明した。呪いを仕込んだのは出生時であり、ヒュリコフが生きている間は害がなく、彼の死をきっかけに対象の王子へ死後の念が向かうという。
この説明では、呪いをかけた時期、対象の王子と結び付く時期、相手を殺す力が働く時期が異なる。出生時に仕込まれたものが、王子の壺中卵の儀を契機に動き、最終的にはヒュリコフの死を待っている。呪いの警告が出たことと、その場で王子への殺害効果が発動したことは同じではない。
ビヨンドは、ヒュリコフが死ねば、敵となる王子を倒すだけでなく、その能力もベンジャミンへ引き継がれると説く。第1王子の能力を知ったうえで、一人の死から二つの利益が生まれると説明しているのである。忠義を尽くす兵士にとっては、自分の死が主君の勝利に役立つという話になる。
だが、ヒュリコフが選んで引き受けた呪いではない。何も知らない赤子のころから、生き方とは無関係に死後の用途を決められていた。ビヨンドの言葉がいかに第1王子への忠誠へ訴えても、本人の意思を抜きに仕込まれたという事実は変わらない。
また、この場で得られた仕組みの説明は、呪いをかけた当人の発言である。ヒュリコフは呪いの存在こそ能力で確かめたが、標的や解呪方法まで独力で調べ終えてはいない。そのため、説明の筋が通ることと、すべて本当だと確認できたことの間には隔たりが残る。
標的を隠すビヨンドとヒュリコフの疑い
ヒュリコフは話をうのみにせず、自分の能力で確認すると告げる。ビヨンドは呪いの標的も詳細も教えないと返した。事情を聞き出すために尋問するつもりなら、国王を通せとも要求する。呪いを認めながら、肝心な情報は渡さない。
ヒュリコフは、ビヨンドが新大陸への渡航と、その後の探索に必要な長期支援を得ようとしているのではないかと考える。次の王へ恩を売り、カキンの拠点や国力を利用するという読みだ。ただし、これはヒュリコフが相手の狙いを考えた場面であり、ビヨンドが計画の全容を打ち明けたわけではない。
やり取りの中でビヨンドは、守護霊獣による繁栄を保つには、新大陸に到着する前にベンジャミン以外の王子を全員倒し、後継者を一人にしなければならないと主張する。第1王子とその私設兵が謝肉祭に参加していないことにも言及し、彼らを支持する理由として持ち出した。
それでもヒュリコフには、警告が出たときの儀式の進行状況が引っ掛かっていた。彼の把握では、壺中卵の儀を済ませていたのは第8王子まで。ベンジャミンも、その範囲に含まれている。第1王子のための呪いだというビヨンドの言葉を、そのまま安全の証明にはできない。
ほかの候補として、ヒュリコフはすでに念を使うカミーラにも考えを巡らせる。ここで念能力のある王子を疑うのは、強力で複雑な呪いを長年かけて用意した理由を探るためだ。逆にビヨンドは、守護霊獣に守られた王子を倒すのだから、厳重な備えが要ると説明する。二人の読みは噛み合いそうで、肝心の標的だけが明かされないまま終わる。
解読365日、具現化700日という見積もり

| 項目 | 表示 | 留意点 |
|---|---|---|
| 呪いの解読 | 365日 | この時点では解読未実行。 |
| 解呪手段の具現化 | 700日 | ヒュリコフは解読後に大幅短縮される可能性を考える。 |
| 単純な合計 | 1065日 | 確定した総日数ではない。 |
コンボマスターが表示した解読時間は365日。さらに、解呪に必要な薬の製造法や具現化に関する工程は700日と見積もられた。ヒュリコフが数時間か数日で詳細を得られると思っていたのに対し、示された単位は年だった。
ただし、画面は解読未実行の状態である。ヒュリコフ自身、解読後に具現化の所要時間が大幅に短くなる可能性を考えている。365日と700日を足して、必ず1065日かかると確定したわけではない。それでも、入口の解読に1年を要するという見通しだけで、彼が想定した検証の速さとはまるで違っていた。
ビヨンドによれば、呪いは20年以上にわたって少しずつオーラを消費させながら、容易に解除されないよう複雑に仕込まれてきたものだった。ヒュリコフがコンボマスターを持つことをビヨンドが知っていたかどうかにかかわらず、単純な解除を許さない作りだったと説明される。
この場面でヒュリコフが直面したのは、能力を持っていても望む速さで答えを得られるとは限らない、という問題だ。呪いを見つけたことで無知ではなくなったが、誰を守るために何をすべきかはまだ決められない。ビヨンドに教わるか、自力で時間をかけるか。その情報格差が、電話で相手を追い詰められない理由になっている。
オイトの妹へ送る葉書とヤマト文字

後半は出航11日目、水曜日の13時50分へ移る。オイトは、船と陸の間で物品を運ぶ「ヨロズヤ」を利用し、妹へ連絡する相談をしていた。航路が嵐の海域へ入るとドローンなどによる往復が難しくなるため、利用できるのは出航から2週間ほどまで。船外との連絡には締め切りが迫っている。
オイトは、順調な航海を伝える文面をもともと用意していた。しかし、事情は変わった。そこで使おうとするのが、母方の祖先に由来する異国の「ヤマト文字」だった。ヤマトは宛先の人物名ではなく、暗号に用いる文字の名称である。
クラピカは、軍に解読される可能性を考え、具体的な地名や人名を書かないよう助言する。姉妹だけに通じる言葉で待ち合わせ場所を示すこと、故郷から離れた場所を選ぶことが望ましい。オイトが文面の相談をすると、まず本人の言葉で伝えたいことを書いてみるよう促した。
暗号にすれば安心、という話ではない。葉書の表面が傷んで読めなくなるかもしれず、そもそも輸送手段が無事に本土へ帰れるとも限らない。受け取る妹も訓練を受けた工作員ではなく、乳幼児を抱える普通の女性である。短い文面を正しく理解し、予定が崩れた場合にも対応できるのかという難しさがある。
クラピカが最も恐れるのは、暗号を解読した軍が、それを悟らせないまま妹を追跡することだった。助けを求めた連絡そのものが、ワブルや親族へ敵を導くかもしれない。一方、事前連絡もなくハンターを名乗る少年が訪ねてきても、警戒する妹が信用するとは思えない。連絡する危険と、連絡しない危険のどちらも消えなかった。
その後、クラピカは親族宛ての葉書8枚について、バビマイナへ確認を求める。検閲制度は廃止されているため、そのままヨロズヤへ渡して構わないという返答を受け、葉書を渡す場面までが描かれる。ただし、ヨロズヤは依然として軍の統括下にある。差し出せたことが、暗号の安全や妹への到着を保証するわけではない。
特殊戒厳令で変わる王子たちの行動

特殊戒厳令の放送が流れると、軍は王子居住区で行動を始める。カミーラは止められないのかと周囲へ問う。1003号室では、クリアパトロが、第3王子から受け取ったコインと異変に関係があるのではないかと怯えていた。ここでコインの効果が確定したのではなく、説明を知らない受け手の不安が示されている。
ツベッパ陣営では、研究員を守ろうとする王子の主張と、国家転覆の危険を理由に身柄を管理しようとする軍が衝突する。説明を受ける場所は1001号室で、同行する警護兵の人数は制限しないが、武器は預けなければならない。人数を連れていけると言われても、面会の条件は軍側が決めている。
ルズールスの陣営では、王子とライスの姿がないことがわかる。拘束されたスラッカは、ハンター協会員に暴行されて身柄を押さえられたという事実を利用し、協会員や第7王子の私設兵、シャ=ア一家まで反逆罪へ結び付けようと企む。本人は戒厳令前後の細かな時系列も後でどうにでもなると考えており、非常時の権限が事実の押しつぶしに使われる危険が表れている。
マラヤーム陣営の念空間では、外へ出るべきかが問題になる。ビスケは、王子が離れれば守護霊獣の能力が初期化したり、消えてしまったりする可能性を考え、籠城を選ぶべきだと判断した。命令どおりに移動することが、かえって現在の防御を捨てることになりかねない。軍の集める場所へ向かう陣営と、外へ出ないことで生き残ろうとする陣営の差が鮮明になる。
1014号室への命令とワブル捜索

特殊戒厳令の発令から20分後、1014号室にはベンジャミンの恩赦が伝えられる。替え玉の赤子は責任能力がないため、処分が保留される。一方、オイトには国儀侮辱などの嫌疑がかかっているものの、本物の第14王子の行方が判明するまでは、将来の国王太后候補であることを考慮して処分を保留するという。
恩赦といっても、自由に行動できる状態ではない。オイトが許されるのは主寝室内での行動だけで、外へ出れば直ちに逃亡罪が適用される。王妃の身分を理由に処分を待つという説明が、そのまま彼女を室内に閉じ込める条件にもなった。
オイトは、軍が本物のワブルの船内潜伏を警戒しているのだと考える。クラピカも、戒厳令に捜索の目的があると読む。だが、継承戦の制約が暴露されたことへの反応だとしても、軍の動きはあまりに早い。もっと重大で切迫した理由が、別にあるのではないか。No.415は、この疑いを残して終わる。
前半では、ビヨンドが説明を握り、ヒュリコフが真偽を調べようとする。後半では、軍が命令を下し、クラピカが表向きの理由を疑う。どちらも、相手の説明をそのまま行動の根拠にはできない状況だ。その一方で、解読を待つ時間や船外へ連絡できる時間は限られている。確かめたいことが残っていても、次の局面が先に始まってしまう。それが「真偽」で描かれた各陣営の苦しさである。