01来歴

誕生と幼少期
銀河共和国の対外秘プロジェクトとしてカミーノアンが進めたクローン軍生産で、テンプレート個体に選ばれた賞金稼ぎジャンゴ・フェットは、報酬として「加齢抑制も従順化処置も施さない自分の遺伝子の完全コピー1体」を要求した。こうして生まれたのが無改変クローンのボバであり、書類上の母は存在しない。ボバはカミーノの培養施設で、ジャンゴを実父として育てられた。
父の死と復讐の芽生え
10歳のボバは、映画『クローンの攻撃』でカミーノの居住区にてオビ=ワン・ケノービと父ジャンゴの会話に立ち会い、続くオビ=ワン追跡の戦闘に同行する。スレーブIの操縦席で父の指示を受け、ジオノーシスのアステロイド帯でオビ=ワンのJ型スターファイターを地雷で振り切る場面を体験する。だがジオノーシスの闘技場前でジェダイ・マスターのメイス・ウィンドゥが父を斬首し、ボバは空のヘルメットを抱いて啜り泣く。これが賞金稼ぎとしての出発点となる。
少年期の賞金稼ぎ修行
TVシリーズ『クローン・ウォーズ』では、父を殺したメイス・ウィンドゥへの復讐を誓う少年ボバが、賞金稼ぎオーラ・シングと組んで巡洋艦エンデュランス号に潜入し、艦内テロを起こす展開が描かれる。シーズン2の「死神の罠」を含む3エピソードで、クローン軍そのものが父ジャンゴの遺伝子であるという複雑な思いを、声の演技で掘り下げた重要なパートである。
旧三部作での初登場
映画『帝国の逆襲』では、ダース・ベイダーがハン・ソロを追うため雇った6人の賞金稼ぎの一人として初めて実写で登場する。クラウド・シティのベスピンでハン・ソロのカーボナイト凍結を見守り、凍結したハンをスレーブIに積んでジャバ・ザ・ハットのもとへ届ける契約を果たす。マスク越しの低い声と寡黙な存在感、リバース・カラーリングのアーマーで観客の人気を一気に獲得した。
サルラック転落
映画『ジェダイの帰還』では、ジャバ・ザ・ハットの宮殿でレイア・オーガナがハンを救出したのち、タトゥイーンのカークーンの大穴の上のスキフでの決闘へ移る。ボバはルークと対峙するが、視界を奪われたハン・ソロが偶然ジェットパックを誤射し、トリガーが暴発してボバは制御を失い、サルラックの口へ落下する。公開当時は事実上の死亡として扱われたが、後年の正史で生存が確定する。
生還とタスケン共同体
『ボバ・フェット/後継者』の回想パートで、サルラックの胃袋で死にかけたボバが、ジョーズ・ライバーズや帝国軍ストームトルーパーの装備からブラスターを奪い、ジェットパックの推進剤で胃壁を破って脱出する経緯が明かされる。その後タスケン・レイダーの一族に捕らえられ、当初は奴隷として扱われるが、儀式刀ガフィ・スティックを授けられるほどの仲間として認められる。ベスカー・アーマーは一時ジャワに奪われ、絆を取り戻していく過程が描かれる。
マンダロリアン期の再登場
ディズニープラス『マンダロリアン』シーズン2でディン・ジャリンの前にボバが再登場し、父ジャンゴから受け継ぐ自身のアーマーの返還を条件に依頼を引き受ける。第6話でベスカー・アーマーを取り戻し、第8話のダーク・トルーパー戦ではジェットパックとEE-3を駆使してディンを支援する。この過程でフェネック・シャンドと「ダイミョーと右腕」のコンビとなる。
タトゥイーン統治とダイミョー就任
亡きジャバ・ザ・ハットの宮殿に戻ったボバは、フェネック・シャンドと共にジャバの席に座り、タトゥイーン裏社会の「ダイミョー」を宣言する。第6話ではディン・ジャリンとグローグーが助太刀に駆けつけ、第7話ではパイク・シンジケートとの市街戦に発展する。ボバは地下で育ったランコーに乗り込んでパイクを蹴散らし、最終的にモス・エスパの新たな統治者として街を自分のやり方で守ると宣言して締めくくる。
02能力・特徴

- Tバイザー型ヘルメット運用:父ジャンゴから継承した緑基調のベスカー製ヘルメットに、暗視・赤外線・距離計測HUD・無線傍受を内蔵し、視覚が遮られた状況でも索敵を可能にする。
- ジェットパック戦闘:背中のジェットパックは短距離飛行・垂直跳躍・ホーミングミニロケット・グラップリング・ファイバーコード射出の複合装備で、クラウド・シティの追跡から市街戦まで一貫して使用する。
- EE-3カービンとリスト・ガントレット武装:代表的長物はBlasTech製EE-3カービン・ブラスター。腕のガントレットには小型ロケット、フレイム・プロジェクター、ファイバーコード式ウィスル、ヴァイブロ・ブレードを格納する。
- 賞金稼ぎとしての追跡・尾行:帝国艦のゴミ排出に紛れて切り離される千年の隼のトリックを唯一見抜き、スレーブIで尾行を続けてベスピンに先回りする。賞金稼ぎとしての知力を印象づける。
- 宇宙船スレーブIの操縦:ジャンゴ操縦の体験に始まり、軌道戦やタトゥイーン低軌道戦まで一貫して操縦する。地震弾(震動爆雷、Seismic Charge)が代表武装である。
- タスケン・レイダー伝統武術:タスケン共同体期に習得した儀式刀ガフィ・スティックの武術。狭い通路や近接戦闘でEE-3とジェットパックを補う第三の選択肢となる。
03関連人物

04登場・関連作品
05名場面

「彼が死んでいては手当てが入らない(He's no good to me dead)」(『帝国の逆襲』集結シーン):初の実写セリフ。ベイダーが「生け捕り、消滅は禁止」と名指しし、寡黙な低い声「分かりました」が人気を確立した。
千年の隼の小惑星帯離脱トリック看破(『帝国の逆襲』):帝国艦のゴミ排出に紛れて切り離す奇策をボバだけがスレーブIで見抜き、ベスピン先回りに繋げる賞金稼ぎの見せ場。
サルラックの大穴落下(『ジェダイの帰還』):ルークの叛乱直後、視界を失ったハンが偶然ジェットパックを叩き、誤発火でボバが暴投されサルラックへ頭から落下する。当時は事実上の死亡とされた。
ベスカー・アーマー奪還(『マンダロリアン』S2):ディンに約束を果たさせてアーマーを受け取り、装着直後にストームトルーパーをジェットパックとEE-3で一掃する。
「これは私のやり方だ(This is the way I rule)」(『ボバ・フェット/後継者』第7話):ボバとフェネックが夕日を見ながら、タスケン期の経験を踏まえた「家族を作る統治」を選ぶことを示すラストシーン。
06制作背景

ボバ・フェットは複数の俳優が演じ分けてきた。旧三部作の『帝国の逆襲』(1980年)と『ジェダイの帰還』(1983年)では、英国の俳優ジェレミー・ブロック(Jeremy Bulloch、1945-2020)がスーツアクター兼俳優を務めた。ブロックは元々スタント要員として現場入りし、義兄でプロデューサーのロバート・ワッツの縁で起用され、マスク越しの抑制された動きと低い声でキャラクター人気を確立した。第2作の10歳のボバとTV『クローン・ウォーズ』(2008-2014年)の少年期ボバは、ニュージーランド出身のダニエル・ローガンが演じた。
マンダロリアン期の成人ボバは、父ジャンゴ・フェット役のテムエラ・モリソン(Temuera Morrison、1960年生まれ)が続投した。ロトルア出身のマオリ系で、1994年『戦士の血を引く者』で国際的評価を得た人物である。モリソンは『反乱者たち』ほかでクローン・トルーパー全員の声も担い、2020年のシーズン2で成人ボバに登板、続く本人主演シリーズで主役を務めた。ブロックが残した「マスク越しの存在感」を、モリソンが「素顔と肉体性の存在感」で更新したと評価される。
ビジュアルはジョージ・ルーカスの構想を基に、ILMのコンセプト・アーティスト ジョー・ジョンストン(Joe Johnston)が設計した。1978年のTV特番『スター・ウォーズ ホリデー・スペシャル』のアニメ短編で先行登場した白基調の試作から、緑基調+赤・黄差し色+Tバイザー型ヘルメットへ改稿し、衣装デザイナーのジョン・モロ(John Mollo)が実物スーツを構築した。凹み・摩耗加工が「使い込まれた賞金稼ぎ」のリアリティを与え、後年のディン・ジャリンを含むマンダロリアン系装甲の原型となった。
音楽は、1980年のスコアでジョン・ウィリアムズが「帝国のマーチ」内のサブモチーフとして金管低音と打楽器で示したのが原点である。1996年のマルチメディア企画『シャドウズ・オブ・ジ・エンパイア』でジョエル・マクニーリーが独立したテーマを作曲し、本人主演シリーズではジョセフ・シャーリーが新主題を作曲した。音響はベン・バートが担当し、ジェットパック噴射音、EE-3射撃音、Tバイザー越しの呼吸音、スレーブIの地震弾の「無音→爆音」効果を確立した。製作はルーカスフィルムで、マンダロリアン期はジョン・ファブローとデイヴ・フィローニの統括、ロバート・ロドリゲスの監督により再登場が実現した。
07評価・考察

ボバ・フェットはサーガ全体で「ジャンゴ→ボバ→ディン・ジャリン」というマンダロリアン三世代を橋渡しする中心軸である。父ジャンゴの遺伝子テンプレートとしての立場、サルラック後の生存と倫理転換、ディンとの再合流と若い世代への継承という3層をひとりで担い、ディズニープラス時代のマンダロリアン物語の縦軸として再定義された。サルラック生還の正史化は、レジェンズ時代から続いたファンの願望への公式の応答であり、重要なのは生還そのものより、タスケン共同体で「賞金稼ぎではない自分」を経てから「ダイミョー」へ戻る倫理的な往復が描かれた点にある。
アーマー・デザインは、白基調の試作から緑基調+赤・黄差し色+Tバイザー型ヘルメットへの改稿を経て、「使い込まれた賞金稼ぎ」のリアリティを示す凹み・摩耗加工と視認性の高い配色の組み合わせとして、後年のマンダロリアン系装甲の原型となった。緑基調はジョンストン自身が「密林の戦闘服」のイメージから着想したと述べている。音楽面では、当初「帝国のマーチ」内のサブモチーフに留まっていたボバに、1996年のマクニーリーによる独立テーマ以降は固有のライトモチーフが与えられ、後年はタスケン儀式音楽と組み合わせる構造が取られた。
演技面では、声の連続性——ジャンゴの声、クローン・トルーパー全員の声、そしてボバの声を同一の俳優が担うこと——によって「ジャンゴの遺伝子のキャリア」というメタな繋がりが具体化された。旧三部作の寡黙な「マスク越しの存在感」を、マンダロリアン期は「素顔と肉体性の存在感」で引き継ぐ二段構成のキャラクター演技として高く評価されている。
08トリビア
- アーマーの緑基調は1978年のTV特番『スター・ウォーズ ホリデー・スペシャル』の短編アニメで先行登場した。実写映画より2年早いスクリーン・デビューである。
- 宇宙船「スレーブI」は、ディズニー期の公式データベースで単に「ボバ・フェットの宇宙船」と表記される例が増えたが、本編ではキャラクターが「Slave I」と呼ぶシーンが残る。公式は段階的な表記回避の方針を取っている。
- 『ジェダイの帰還』のサルラック落下は当時事実上の死亡とされたが、レジェンズの小説で生還が描かれた後、ディズニー期正史でも『マンダロリアン』S2と本人主演シリーズで生存が確定した。
- 『ボバ・フェット/後継者』第6話はボバ本人がほぼ登場せず、ディン・ジャリンとグローグーが主役を務める異例の構成で、事実上『マンダロリアン』シーズン2.5として相互乗り入れ型シリーズの典型例と議論された。
- パイク・シンジケートは『クローン・ウォーズ』後半のスパイス取引組織として登場し、『バッド・バッチ』『反乱者たち』を経て後年の主敵として再登場した、裏社会連続体の象徴である。
09よくある質問
旧三部作ではジェレミー・ブロック、『クローンの攻撃』とTV『クローン・ウォーズ』の少年期はダニエル・ローガンが演じた。『マンダロリアン』シーズン2以降と主演の『後継者』では、父ジャンゴ役のテムエラ・モリソンが続投している。
マンダロリアン人賞金稼ぎジャンゴ・フェットの「無改変クローン」として惑星カミーノに生まれた人間である。母親に相当する人物はおらず、加齢促進型のクローン兵と異なり通常速度で成長する「ジャンゴの完全コピー」として育てられた。
『ジェダイの帰還』の公開時点では事実上の死亡とされたが、『ボバ・フェット/後継者』の回想で自力脱出が正史として描かれた。脱出後はタスケン・レイダーの共同体に拾われ、のちタトゥイーン裏社会を「ダイミョー」として継承する。
父ジャンゴから受け継いだFirespray-31級哨戒・攻撃艇のカスタム機である。地震弾(震動爆雷、Seismic Charge)を代表武装とし、離陸時に姿勢を変える機動が特徴である。ディズニー期の公式データベースでは「ボバ・フェットの宇宙船」と表記される例もある。
両者ともベスカー・アーマーを身につけるが、ボバはジャンゴの息子(厳密にはクローン)であり、ディンは「その道(The Way)」の宗派に育てられた孤児出身のマンダロリアンである。『マンダロリアン』S2以降は互いに義理を立てる関係となり、『後継者』ではディンがボバの戦いに援軍として駆けつける。
10出典
- StarWars.com 公式キャラクターデータベース: Boba Fett
- StarWars.com 公式キャラクターデータベース: Jango Fett
- StarWars.com 公式キャラクターデータベース: Fennec Shand
- StarWars.com 公式シリーズページ: The Book of Boba Fett
- StarWars.com 公式映画ページ: The Empire Strikes Back
- StarWars.com 公式映画ページ: Return of the Jedi
- StarWars.com 公式映画ページ: Attack of the Clones
- IMDb: Jeremy Bulloch
- IMDb: Temuera Morrison
- IMDb: Daniel Logan
- IMDb: Jon Favreau
- IMDb: Robert Rodriguez
- IMDb: Joe Johnston
- IMDb: John Mollo
- IMDb: Joel McNeely
- IMDb: George Lucas
- Wookieepedia: Boba Fett