人物
ジェド
ジェドは劇場版劇場版第2作の敵役。ネテロとの過去、影の一族、怨、百鬼呪怨・羅刹、ゴンとの最終戦を解説する。
ジェドは、劇場版『HUNTER×HUNTER The LAST MISSION』に登場する人物で、ハンター協会から追放された『影』の元指導者である。かつてアイザック=ネテロと共に協会を支えたが、影が危険な任務を担った末に抹消され、自身もネテロとの戦いで死亡した。仲間の怨念によって蘇り、天空闘技場を占拠して協会への復讐を始める。
通常の念ではなく、憎悪を源とする映画独自の力『怨(オン)』を使う。自分の血を相手へ付けて念を封じ、巨大な羅刹を生み、光線と掌打で攻撃する。ジェドと影の一族、怨をめぐる事件は原作漫画の正史ではなく劇場版独自の連続性に属する。その範囲を区別したうえで、ネテロの過去とゴンの怒りを対置する敵役として読む必要がある。

ジェド 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博

劇場版で怨を率いるジェド

ジェドが発現する羅刹

ネテロとの因縁を背負うジェド
基本情報
| 登場作品 | 劇場版劇場版第2作 |
|---|---|
| 立場 | 影の元指導者 |
| 対立 | ハンター協会とネテロへの復讐 |
| 使用する力 | 怨(オン) |
| 主な技 | 百鬼呪怨・羅刹 |
| 連続性 | 劇場版独自で原作本編の正史ではない |
劇場版だけに存在する影の指導者
ジェドは原作漫画に登場せず、劇場版第2作のために作られた敵役である。影の一族、怨、天空闘技場の占拠事件も映画独自の設定で、原作のハンター協会史へ確定事項として加えられない。
映画内では、影は協会の表に出せない任務を引き受ける集団だった。ジェドはネテロと共に組織を支えた時期があるが、危険な力と任務を理由に切り捨てられる。功績を記録されず、存在そのものを消された怒りを抱く。
ネテロはジェドを倒し、影を封じた。ジェドの胸にはネテロの攻撃による十字の傷が残る。後に怨で蘇った身体にも傷が刻まれ、過去の敗北と復讐の対象を視覚的に示す。
原作のネテロが同じ集団を粛清したと断定することはできない。劇場版は既存人物の空白へ独自の過去を置くが、その出来事がキメラ=アント編や暗黒大陸編へ引き継がれる描写はない。
協会へ復讐する天空闘技場占拠
ジェドは、天空闘技場で開かれるバトルオリンピアを狙う。多くの観客、フロアマスター、ネテロが集まる場を封鎖すれば、協会の権威へ直接打撃を与えられる。仲間のシュラ、ガキ、レンゴクを配置し、塔全体を戦場へ変えた。
開始前にフロアマスターたちを制圧し、ネテロの部屋へ侵入する。レンゴクが自分の命を使ってネテロの念を封じ、ジェドはかつての敵を無力な状態へ置く。単独の力比べではなく、仲間の犠牲を計画へ組み込む。
観客を人質にし、協会へ過去の罪を公表させることも目的にする。復讐対象はネテロ個人だけでなく、影を利用して捨てた制度全体である。しかし関係のない観客や若いハンターを巻き込むため、被害者の立場が新たな加害へ転じている。
ゴンとキルアを塔から投げ落とし、クラピカとレオリオも各階の戦いへ巻き込む。4人は影の歴史へ関与していないが、ネテロと協会へ近い者として攻撃される。ジェドの正義は対象を選ばない怨恨へ広がっている。
念と対になる映画独自の怨
怨は強い憎悪と復讐心を源にする力として描かれる。生命エネルギーを修行と意志で扱う念に対し、悪意へ身を委ねるほど出力を増す。劇場版独自の概念で、原作の死後の念や制約と同一ではない。
ジェドは怨をシュラ、ガキ、レンゴクへ与え、肉体と固有能力を強化した。受け取った者は自分の恨みを燃料に戦うが、力の代償として精神と生命を消耗する。怨は安全な別系統ではなく、使用者を復讐へ縛る。
過去に念を使えた人物でも、蘇ったジェドは念を使わず怨で動く。水見式の六系統へ分類できる能力として説明されない。特質系や死後の念へ便宜的に当てはめると、映画内の対立構造を失う。
ゴンも仲間を救うため一時的に怨を取り込み、身体へ印を刻まれる。怒りを力へ変えれば目的へ近づく一方、感情に飲まれて自分を失う危険を経験する。ジェドはその先で復讐だけになった姿として置かれる。
血で相手の念を封じる
ジェドの血が相手の身体へ付くと、怨の印が広がり念を封じる。ゴンは頬へ血を浴びた後、オーラを思うように使えなくなる。直接触れ続ける必要がなく、負傷させた自分の血を媒体にする。
血を付けるにはジェド自身が傷を負う必要がある。キルアが頬を切った攻撃を、反撃の条件へ変えた。相手の有効打がそのまま封印の危険になるため、接近戦で軽い傷を与えるだけでは優位を得られない。
封印の持続時間、洗浄で消えるか、除念できるかは映画内でも体系的に説明されない。ゴンは怨と念の対立を自分の身体で越えるが、一般の念能力者が同じ方法を使えるとは限らない。
ネテロの念封印にはレンゴクの生命を使う別の大規模な術が必要だった。ジェドの血だけで誰の念も完全に永久封印できるわけではない。対象の力量と準備によって手段を分けている。
百鬼呪怨・羅刹
百鬼呪怨・羅刹は、ジェドが巨大な羅刹を出す奥義である。羅刹は本体の背後に立ち、長く伸びる腕で遠方の相手へ掌打を浴びせる。大きな身体に反して攻撃範囲と速度を持つ。
口と掌から強力な怨の光線を放ち、天空闘技場の屋上を広く攻撃する。近距離の連打と遠距離の射撃を一体で行い、ゴンとキルアが別方向へ動いても圧力をかける。
羅刹が独立して思考する描写はなく、ジェドの憎悪を巨大な像へ変えた攻撃体と見られる。念獣のように自動条件で動くのか、本人が全て操作するのかは映画内で細かく分類されない。
名称と姿は仏教・鬼神の意匠を使うが、現実の宗教上の羅刹と同じ能力を持つわけではない。百の亡霊の怨みを背負うジェドの自己像を、巨大な破壊者として外へ出した技である。
ゴンとの最終戦
屋上でゴンとキルアは二人がかりで挑むが、ジェドは体術と怨で攻撃をさばく。キルアが傷を付けても血の封印がゴンへ移り、攻撃するほど状況が悪化する。ジェドは若い二人の力を経験で上回った。
ゴンは仲間を救いたい怒りから怨へ手を伸ばし、一時的に強い出力を得る。しかしジェドと同じ憎悪だけへ沈めば、自分も復讐の器になる。キルアとネテロの言葉が、力の使い方を選び直す支えになる。
最終的にゴンは念と怨の両方を受け止め、ジェドへ拳を届かせる。単に新しい力の数値で上回るのではなく、怨へ人格を明け渡したジェドと、仲間へ戻る意志を残したゴンの差が決着になる。
敗れたジェドは影の恨みを抱えたまま消えるが、ネテロも過去の責任から完全に無関係とは描かれない。敵を倒して歴史を再び隠すのではなく、協会が切り捨てた者の存在を観客へ残す。
原作本編と区別して読む要点
ジェドとネテロが旧知だったこと、影が協会の暗部を担ったこと、念と対立する怨が存在することは劇場版の設定である。原作の協会史、十二支ん、暗黒大陸の説明に同じ出来事は出てこない。
天空闘技場のフロアマスターやバトルオリンピアは原作にも存在するが、映画の占拠事件が本編で起きたと確認されるわけではない。共通の舞台と独自事件を分ける必要がある。
劇場版独自であることは、物語上の主題を無効にしない。ネテロの輝かしい会長像へ切り捨てられた側を置き、ゴンが怒りへ飲まれる危険を外部の敵として見せる役割がある。
ジェドは原作の念能力者ランキングへ入れる人物ではなく、映画内の怨使いとして評価するのが適切である。連続性を限定することで、原作設定との矛盾を作らず、劇場版の対立を詳しく扱える。
ネテロの過去を反転させる敵
ジェドとネテロは、劇場版の過去において同じハンター協会の光と影へ置かれた。ネテロが表のハンターを率いる一方、ジェドの一族は公に扱えない任務を担う。やがて協会は影を切り捨て、ネテロ自身がジェドを倒した。現在の天空闘技場襲撃は、個人的な敗北への報復だけでなく、組織が隠した犠牲を世界へ突きつける行動として始まる。
ただしジェドは、被害を受けた一族の名誉回復にとどまらない。闘技場の観客を人質にし、怨で操った使い手を戦わせ、協会に関わる者へ無差別な苦痛を広げる。過去の不正を告発する目的があっても、新しい犠牲を作る手段によって正当性を失っていく。復讐を完遂するためなら仲間の命も怨の燃料として扱う点で、彼自身も人を目的の部品にしている。
映画独自の「怨」は、憎しみを契機に死者の力さえ引き出す。通常の念と対になる概念として説明されるが、原作で確立した六系統の外側へ恒常的に存在する第七の系統ではない。ジェドの血を媒介に相手の念を封じる働き、怨を受け入れた者の身体変化、命と引き換えの増幅は、いずれも劇場版第2作内の規則で読む必要がある。
百鬼呪怨・羅刹では、ジェドが蓄えた怨を巨大な戦闘形態へまとめる。攻撃と防御を同時に引き上げ、ネテロの百式観音を意識した対照的な外見を取る。ネテロが長い感謝と修練の果てに観音へ至ったのに対し、ジェドは捨てられた者の憎悪を束ねて羅刹となる。二人の力は、積み重ねた感情の方向まで反対に設計されている。
ゴンは仲間を救うため一度怨を受け入れるが、それを最終的な答えにはしない。念と怨を同時に抱えた状態から、自分を縛る憎しみを破ってジェドへ向かう。最後の対決は出力の競争であると同時に、過去の痛みを次の殺人へ変えるかどうかの選択である。ジェドが倒れることで復讐は終わるが、協会が影の一族へ行った仕打ちまで正しかったことにはならない。