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マンダロリアン 全3シーズンあらすじ

孤独な賞金稼ぎと「ヨーダの種族」の幼児が出会い、辺境の銀河を旅しながら一つの家族になっていく――ディズニー+立ち上げ作にして、新共和国時代の銀河を描いた最重要シリーズ。

媒体: 実写連続ドラマ(ディズニー+)
マンダロリアン 全3シーズンあらすじ 公式ポスター

作品データ

作品
マンダロリアン
原題
The Mandalorian
媒体
実写連続ドラマ(ディズニー+)
シーズン
全3シーズン/全24話
シーズン1配信開始
2019年11月12日(米国)
シーズン2配信開始
2020年10月30日(米国)
シーズン3配信開始
2023年3月1日(米国)
クリエイター
ジョン・ファヴロー
主要演出
ジョン・ファヴロー/デイヴ・フィローニ/リック・ファムイーワ/ブライス・ダラス・ハワード/タイカ・ワイティティほか
音楽
ルドウィグ・ゴランソン
撮影技術
StageCraft(LEDヴォリュームによる仮想プロダクション)
主演
ペドロ・パスカル(ディン・ジャリン)/グローグー
主要共演
ジャンカルロ・エスポジート/ケイティ・サッコフ/カール・ウェザース/ジーナ・カラーノ/ニック・ノルティ/ヴェルナー・ヘルツォーク/エミリー・スウォロウ/テムエラ・モリソン/ローザリオ・ドーソン ほか
製作
ルーカスフィルム/フェアビュー・エンターテインメント
配信
ディズニー+
時系列上の位置
『ジェダイの帰還』の約5〜9年後(新共和国初期)
公式予告編は
劇場サイトで確認
予告編を観る 🏛スター・ウォーズ 一覧 🏠トップ 📚参考資料
📖 全37章 / 約21K字 🔄 最終更新 2026年5月26日 ✍️ Anna Movies 編集部

マンダロリアンは、2019年に配信を開始したディズニープラスの実写ドラマシリーズである。孤独な賞金稼ぎのマンダロリアンが「ヨーダの種族」の幼子グローグーと出会い、辺境の銀河を旅しながら親子のような絆を育んでいく物語を描く。銀河帝国の崩壊後、新共和国時代の銀河を舞台とし、スター・ウォーズの実写ドラマ路線を切り開いた最重要シリーズと位置づけられている。

00概要

『マンダロリアン』(The Mandalorian)は、ジョン・ファヴローが創案・脚本・製作総指揮を務め、ルーカスフィルムが手がけた実写連続ドラマ・シリーズである。2019年11月12日、ディズニーが新たに立ち上げた配信サービス〈ディズニー+〉の目玉作品として全世界で配信が始まり、シーズン2は2020年10月30日、シーズン3は2023年3月1日から届けられた。スター・ウォーズ初の実写連続ドラマであり、サービスの命運を背負って始まったタイトルでもある。

舞台は、エンドアの戦いで銀河帝国が崩壊してから約5〜9年後、すなわち新共和国時代初期の辺境星域だ。中央政府はいまだ再建の途上にあり、外縁の惑星では帝国残党、賞金稼ぎギルド、犯罪シンジケート、独立系勢力が入り乱れている。物語の中心は、ヘルメットを脱がぬ戒律を守る孤独なマンダロリアン〈ディン・ジャリン〉と、彼が出会った「ヨーダの種族」の幼児〈グローグー〉。二人の交流が銀河の片隅で一つの家族の形を育てていく——これが本作を貫く大きな縦軸である。

ファヴローは企画の段階から、黒澤明の時代劇とセルジオ・レオーネの西部劇を意識すると繰り返し語ってきた。孤独な使い手、辺境の集落、外部からの脅威、そして依頼と恩義——その構図は全編を通じて揺らがない。デイヴ・フィローニ(『クローン・ウォーズ』『反乱者たち』)はクリエイティブの中核として並走し、シーズンを重ねるごとに〈マンダロリアン〉〈ボバ・フェット/ザ・ブック〉〈アソーカ〉といった一連の実写シリーズを、「マンドベース」と呼ばれる共有宇宙へと束ねていった。

撮影技術の面でも、本作は画期的だった。LEDウォールの巨大な〈ヴォリューム〉に事前レンダリングした背景をリアルタイムで投影し、その中で俳優を撮影する〈StageCraft〉が大規模に導入された。ロケ撮影の説得力とCGの自在さを同時に手にするこの手法は、以後のハリウッド全体の仮想プロダクションを牽引していく。本記事では、シーズン1〜3の全24話のあらすじ(結末まで)、登場する要素、主要人物、制作、公開と評価、テーマ、見る順番までを順に追いながら、本シリーズが新共和国時代の銀河を描く要となった理由を整理していきたい。

概要

主要データ

原題
The Mandalorian
クリエイター
ジョン・ファヴロー
主要監督
ジョン・ファヴロー/デイヴ・フィローニ/リック・ファムイーワ/ブライス・ダラス・ハワード/タイカ・ワイティティ ほか
音楽
ルドウィグ・ゴランソン
主演
ペドロ・パスカル(ディン・ジャリン)
全エピソード数
24話(シーズン1:8話/シーズン2:8話/シーズン3:8話)
配信
ディズニー+
ジャンル
スペースオペラ/SFアドベンチャー/西部劇/サムライ映画調

配信履歴とエピソード構成

シーズン1は2019年11月12日に第1話と第2話を同時配信し、以降は毎週金曜日に1話ずつ追加していく形で、年末までに全8話を公開した。シーズン2も2020年10月30日から毎週金曜の配信で全8話。シーズン3は2023年3月1日(水曜)から、シーズン1・2と同じく毎週1話ずつ配信し、全8話という構成をとった。

各話には通し番号〈Chapter(第◯章)〉が付され、一話完結のエピソードと、連続して展開する縦軸とを交互に編む構成になっている。冒頭の3話でディンとグローグーの関係を立ち上げ、第4話から第7話で銀河各地のエピソードを並べたうえで、終盤の2話に大きな縦軸の決着を集中させる――このリズムは三シーズンを通して共通している。本ガイドでも、この章番号に沿って物語を追っていく。

配信履歴とエピソード構成

02あらすじ

以下は全3シーズン・全24話の主要な物語を、結末まで時系列に沿って追ったあらすじである。出発点は「賞金稼ぎが幼子と出会う」という、いたってシンプルな物語だ。だが各シーズンの終盤では、銀河規模の縦軸が大きく立ち上がっていく。ダース・ベイダー亡き後のフォースの行方、マンダロアの運命、そして帝国残党による暗躍――物語はこうした大きなうねりへと収斂していく。重大な驚きを未見のまま味わいたいなら、本編を視聴したうえで読み進めることを勧めたい。

あらすじ

賞金稼ぎと資産

第1章「マンダロリアン」は、雪原の酒場で賞金首を捕らえた覆面の戦士ディン・ジャリンが、惑星ナヴァローの賞金稼ぎギルドに姿を現す場面から始まる。長官グリーフ・カルガが差し出したのは、通常の手配書ではなかった。帝国残党を名乗る上品な「依頼人」と、元帝国の科学者ドクター・パーシングが提示したのは、出所も知れぬ「資産」の生け捕りである。報酬として渡されるのはベスカール(マンダロリアン鋼)の塊が一枚。やがて回想で、覆面の下のディンの素顔と過去が明かされていく。幼いころ、故郷の村を分離主義者のドロイドに襲われ、両親を失う寸前にマンダロリアンに救われた孤児だった。以来、戒律と装甲に守られて育ったのだ。

未踏の惑星アルヴァラ7で、ディンはIG-86型暗殺ドロイドの一機IG-11と一時的に手を組み、「資産」を確保すべく傭兵のキャンプを襲撃する。揺り籠の中で待っていたのは、ヨーダと同じ種族に属する緑色の幼児だった。標的を殺せと指示を受けたIG-11を、ディンは即座に撃ち抜いて止め、揺り籠ごと幼児を抱えて惑星を脱出する。第1話の結末で示されるこの選択こそ、シリーズ全体の出発点となる。

第2章「子供」では、ディンの船レイザークレストが惑星アルヴァラ7でジャワに襲われ、内装も部品も剥ぎ取られてしまう。彼を介抱した先住種ウグノートのクイールが、ジャワとの物々交換を仲介する。指定された対価を得るため、ディンは土着の怪獣マッドホーンに挑み、瀕死の窮地に陥る。そのとき、揺り籠の中の幼児が初めてフォースを使い、巨獣を空中へ持ち上げてみせるのだ。この子が単なる珍しい異星人ではなく、フォース感受性を持つ存在であることを、観客はここで知らされる。

第3章「罪」では、報酬と引き換えに幼児を「依頼人」へ引き渡したディンが、ナヴァローの酒場で罪悪感に押し潰されていく。やがて意を決した彼は依頼人の隠れ家に押し入り、幼児を奪い返す。脱出を阻もうとする他の賞金稼ぎたちと町中で銃撃戦になるが、そこへ潜伏していたマンダロリアンの隠れ里(covert)のメンバーが一斉に空から舞い降り、ディンと幼児の逃亡を援護する。鎧職人アーマラーはディンに、彼がこの子の「氏族」となったことを認め、別離のときまで守り抜く責務を負うと告げる。

賞金稼ぎと資産

辺境の依頼

第4章「聖域」では、追跡を逃れて辿り着いた森林惑星ソーガンで、ディンは元反乱軍ショック・スカウトの〈カラ・デューン〉と出会う。クラトゥイニアン族の盗賊と、帝国が残していった歩行兵器AT-STに脅える村人たちのため、二人は短期の防衛訓練を施し、地雷の罠を仕掛けて迎え撃つ。一見すると穏やかなエピソードだが、幼児が他の子どもたちと触れ合い、初めて「家族」のぬくもりを味わう一方で、賞金稼ぎの追手がすぐそこまで迫っていることが終盤で明かされる。ディンは彼をこの村に残していく考えを取り下げ、再び旅へと出るのだ。

第5章「ガンスリンガー」の舞台は、砂漠惑星タトゥイーンのモス・アイズリー。ディンは新人の賞金稼ぎ〈トロ・カリカン〉とともに、伝説的な暗殺者〈フェネック・シャンド〉を追う。だがフェネックを捕らえたカリカンは、ディンと幼児自身に巨大な懸賞金が懸かっていると知って裏切り、ディンに射殺される。倒れたフェネックの体へ、謎の人影が近づいていく――後にボバ・フェットだと判明するこのカットによって、シリーズの大きな伏線が静かに置かれる。整備士〈ペリ・モットー〉と幼児の交流が始まるのも、この章からだ。

第6章「囚人」では、旧知の傭兵団がディンを巻き込み、新共和国の刑務所船から仲間を奪還する作戦が組まれる。仲間のはずだったマイフェルド、シアン、ベリン、デヴァロニアン族のヌウ、そして巨大なクァレン船員〈Q9-0〉――その全員がディンを裏切る。しかしディンは閉鎖回路と密室の罠を逆手に取り、一人ずつ無力化していく。やがて彼ら自身を独房に閉じ込め、その場を脱するのだ。船には新共和国の遭難信号が残され、X-ウィング隊が彼らを回収に向かう。この描写が、新共和国というもう一つの権力の存在を観客に強く印象づける。

辺境の依頼

ダークセイバーの出現

第7章「清算」では、グリーフ・カルガから「ナヴァローの依頼人を倒せば賞金は取り下げる」という共闘の提案がディンに届く。ディンはカラ・デューン、クイール、そして修復したIG-11(無害な乳母として再プログラムされている)を率い、ナヴァローへと向かう。だが砂漠で休息をとる間に罠が発動し、ディン以外の全員がカルガに撃たれかける。その引き金を引いていたのは依頼人ではなく、彼の背後に控える人物だった。やがてクイールとともに幼児を運ぼうとした使い魔の偵察ドロイドが彼を殺し、ナヴァローの町は帝国の地下部隊に包囲される。

第8章「再生」では、町の貯水池を満たす溶岩流の上を駆けるクライマックスが置かれる。包囲する歩兵を率いるのは、黒い装甲の特殊部隊と一人の士官――TIEファイターから降り立つ〈モフ・ギデオン〉である。彼は名前まで言い当てて隠れ里のメンバー全員の正体を見透かしてみせ、隠れ里が皆殺しに近い損害を出していることをほのめかす。アーマラーが瓦礫の下から幼児を救出し脱出経路を確保する一方、地下水路で死を覚悟したIG-11は内蔵の自爆装置で帝国部隊を巻き込み散っていく。

TIEファイターで追ってきたモフ・ギデオンをディンが地表へ撃墜すると、その残骸から立ち上がったギデオンが黒い柄のライトセーバー〈ダークセイバー〉を抜く――マンダロアの王権を象徴する伝説の武器である。ナヴァローを発つディンは、ヨーダの種族の出自を探るという当面の目標を得て、幼児との二人旅を再開する。こうしてシーズン1は幕を閉じる。観客は同時に、「依頼人の上にいた本当の脅威」と「マンダロアの再興という縦軸」を初めて目にすることになる。

ダークセイバーの出現

タトゥイーンとフロッグ・レディ

第9章「保安官」では、タトゥイーンへ戻ったディンが、辺境の町モス・ペルゴで町長兼保安官のコブ・ヴァンスと出会う。ヴァンスはなんとボバ・フェットの装甲を着込んでおり、町を脅かす巨大なクレイト・ドラゴンを倒すのと引き換えに、装甲を返すという取引が成立する。タスケンレイダー族と手を組んだ大掛かりな砂漠の決戦の末、火薬と巨大バンサの遺体を使った荒業でドラゴンは仕留められ、ディンは装甲を手にする。立ち去るディンを遠くから見つめていたのは、長く死亡したとされてきたボバ・フェット本人だった――最後のカットでそう示される。

第10章「乗客」では、ディンが両生類種の「フロッグ・レディ」を、夫が暮らす惑星トライスクへ運ぶ依頼を引き受ける。彼女が抱える金属容器の中には、種の存続を懸けた最後の卵がぎっしりと詰まっており、それをグローグーが生卵のように次々と平らげてしまう描写が、物議とユーモアを呼んだ。氷の惑星で不時着した一行は、卵を狙う巨大な氷の蜘蛛の群れに襲われる。そこへ新共和国のX-ウィング二機が辛うじて救援に駆けつけ、ディンと「囚人事件」の追跡はいったん切り上げられる。新共和国の取り締まりが辺境にも及び始めたことを、観客はあらためて意識させられる。

タトゥイーンとフロッグ・レディ

ボー=カタンとマンダロアの伝承

第11章「跡継ぎ」。トラスクの港町でディンとグローグーを救うのは、ヘルメットを脱いだ三人のマンダロリアン――ボー=カタン・クライズ、アックス・ウォーヴス、コスカ・リーヴスだ。ボー=カタンによれば、覆面を決して脱がぬディンの一派〈チルドレン・オブ・ザ・ウォッチ〉は、現代のマンダロアでは少数の宗教的原理主義者とみなされているという。そして自分たちこそが正統な氏族だと主張する。彼女は帝国の貨物船を襲って武器庫を奪う共闘を持ちかけ、その見返りとして、ディンにジェダイの手がかりを伝える。惑星コーヴァスのカリダンの森にいる、アソーカ・タノである。

第12章「包囲戦」。ディンは船の修理のためナヴァローに立ち寄り、市長となったグリーフ・カルガ、保安官となったカラ・デューンとともに、町の郊外に潜む旧帝国の研究施設を制圧する作戦に加わる。施設内では、帝国残党が幼児の血液から採取した「Mカウント高値」のサンプルを使い、何らかの実験を進めていた。被験体の屍が並ぶ培養タンクの映像、そしてモフ・ギデオン宛ての動画メッセージが見つかる――「与えられた血清は唯一のドナーから採取されたもので、被験体は受け入れず死亡する。ドナーがいなければ三世代の作業は無に帰す」。グローグーが帝国に追われる本当の理由が、観客にここで初めて示される。同時に、ディンの船にはギデオンの追跡用ビーコンが仕掛けられていた。

ボー=カタンとマンダロアの伝承

グローグーという名と試練

第13章「ジェダイ」の舞台は、惑星コーヴァスの石化した森だ。いまや銀色の二刀流ライトセーバーを携える〈アソーカ・タノ〉が、町を抑圧する魔女〈モーガン・エルズベス〉とその護衛部隊を相手に、たった一人で戦いを挑む。ディンの介入を経て、アソーカは町を解放する。そして幼児に向き合い、「グローグー」という本名を直接告げ、その素性を明かす。グローグーはかつてコルサントのジェダイ・テンプルでフォースの修行を積んでいたが、大粛清の混乱から救い出されて生き延び、長らく自らの力を抑え込んできたのだという。だがアソーカは、グローグーを弟子に取ることを断る。代わりにこう告げる。「彼を本当に望むなら、惑星ティトンの古い〈見る石(シーイング・ストーン)〉で意志を確かめさせよ。受け入れたフォース感受性者がいれば応えてくれる」。さらに、モーガンに渡されかけていた古文書から、まだ姿を見せぬ大物〈ティローン提督〉の名がこぼれる。その存在が、次なる波乱を予感させる。

第14章「悲劇」では、ティトンの山頂の石にグローグーを座らせると、彼はフォース・トランスの状態に入り、目に見える形のエネルギーを放ち始める。そこへ降り立つのが、装甲を取り戻したボバ・フェットと、相棒の〈フェネック・シャンド〉だ。ボバはディンに取引を持ち掛ける。「装甲を返してくれれば、私と父の血盟(chain code)に従い、その子を必ず守る」。だが直後、モフ・ギデオン配下の輸送機からダークトルーパーが降下してくる。レイザークレストは、軌道上のクルーザー〈エグゼクター級〉ではなく〈軽巡洋艦〉から撃ち落とされ、消滅。地上ではダークトルーパー隊が突入し、フォース・トランスから戻れぬグローグーを連れ去ってしまう。打ちひしがれるディン、ボバ、フェネック。だが三人は、グローグー奪還を新たな目標に掲げて立ち上がる。

グローグーという名と試練

信仰と仮面の選択

第15章「信奉者」では、グローグーを取り戻すため、ディン、ボバ・フェット、フェネック、カラ・デューンが動く。一行はまず、新共和国の囚人輸送船から旧知の傭兵ミグス・メイフェルドを脱獄寸前で連れ出す。メイフェルドによれば、光巡洋艦の位置情報は旧帝国の弾薬補給基地、その内部にある端末からしか割り出せないという。そこで一行は帝国仕様の輸送機と装甲を奪い、基地への潜入を試みる。

ところが基地の食堂には、運悪くメイフェルドのかつての上官バルダー・ディーン中佐が、別任務の打ち上げに来ていた。顔を覚えられているメイフェルドは動けない。代わりに端末入力へ向かったのはディンだった――だが端末は顔認証式で、ヘルメットを脱がなければ光巡洋艦の位置は表示されない。ディンは戒律を破って覆面を取り、グローグー奪還のための座標を手に入れる。直後、正体を見抜かれかけたメイフェルドがディーンを射殺し、一行は基地の燃料庫を爆破して脱出する。「絶対に脱げないはずのヘルメット」を、ディンはグローグーのために自らの意志で脱いだ。シリーズの哲学が変わった、まさにその節目である。

信仰と仮面の選択

ダークトルーパー部隊とジェダイの来訪

第16章「救出」では、ディン、ボバ、フェネック、カラ、ボー=カタン、コスカ・リーヴスの混成チームが、モフ・ギデオンの旗艦である新共和国型の〈軽巡洋艦〉に強襲をかける。作戦は、劇中世界では初の試みとなるシャトル偽装で幕を開ける。艦内に潜入したディンは、ダークトルーパー部隊が起動する直前、これを一人で気密モジュールへ閉じ込め、深宇宙へと投棄してみせる。

奥のブリッジでは、ダークセイバーを構えたモフ・ギデオンがディンを待ち受けており、二人は一騎打ちとなる。ディンはベスカール製のスピアでセイバーの一閃を弾き返し、ついにはギデオンを取り押さえて拘束する。橋を制圧したディンは、戒律に従って「セイバーは戦闘で勝ち取った者のもの」とボー=カタンへ譲ろうとする。だがギデオンの嘲りによって、「ボー=カタンは奪い返さねば正統性を得られない」というマンダロアの掟が浮き彫りとなり、譲渡は宙づりのまま保留されることになる。

そこへ、艦外で再起動を終えた数十体のダークトルーパー部隊が船内へ突入し、橋へと迫る。絶体絶命のその瞬間、艦の格納庫に黒装束の人影がX-ウィングで降り立つ。緑のライトセーバーを抜いたその男は、廊下を埋めるダークトルーパー隊を一切の手加減なく次々に斬り伏せ、橋まで到達する。ヘルメットを取った素顔は、若き日のルーク・スカイウォーカー(顔と声をデジタル技術で再構成)。グローグーを正式に弟子として連れて行くために来た、と告げる。

別れの直前、ディンはヘルメットを脱いで素顔をグローグーに見せ、別れの言葉を交わす。グローグーが弟子入りを選び、ルークとR2-D2のX-ウィングで飛び去る場面で、シーズン2の本編は幕を閉じる。そして本編の後には、ポストクレジット・シーンが流れる。ボバ・フェットとフェネック・シャンドがタトゥイーンのジャバ・ザ・ハットの宮殿に乗り込み、ビブ・フォルトナを射殺してジャバの玉座に腰を下ろす映像であり、スピンオフ『ボバ・フェット/ザ・ブック』の予告となっている。

マンダロアの泉での贖罪

シーズン3は第17章「背教者」、グローグーがディンのもとへ帰ってきたところから幕を開ける(その経緯は『ボバ・フェット/ザ・ブック』第5・6話で描かれる)。戒律を破った身を清めるには、汚染されたとされる故郷の惑星マンダロアの〈生ける水の泉〉に身を浸さねばならない――ディンはそう考えていた。アーマラーは「水など神話の中にしかない」と取り合わない。それでもディンは、古きマンダロアの地表をめざして旅を続ける。その途上、氏族の姉妹バー=カタンの隠れ家を訪ねるが、シーズン2の出来事を経て弟子たちに見限られたボー=カタンは、荒れ果てた屋敷にただ一人座り、戦う意志を失ったまま彼を冷ややかに迎えるのだった。

第18章「マンダロアの坑道」で、ディンとグローグーは惑星マンダロアへと降り立つ。地表は「ガラスの大粛清」によって焼き尽くされていたが、坑道の奥には生体機械の都市と先住の生物がなおも残っていた。やがてディンは捕らえられ、IG-11を改造した小型の歩行ユニット〈IG-12〉に乗り込んだグローグーが、救援を求めてボー=カタンのもとへ飛ぶ。再びパワー・アーマーを身にまとったボー=カタンはマンダロアへ降下し、ディンを救い出した先で、伝説の生ける水の泉へとたどり着く。ディンは戒律に従って一度水に身を沈め、続いてボー=カタンも飛び込む。そのとき、地下の水の中で目覚めた巨大な生物――伝説の〈マイソサウルス〉――が、二人を静かに見下ろしていた。マンダロアは生きており、王権の象徴もまた生きている。それを目の当たりにしたのは、彼女ただ一人である。

マンダロアの泉での贖罪

コルサントの恩赦と養子の決意

第19章「コンバート」は、カミーノ陥落後の旧帝国科学者〈ドクター・パーシング〉のその後を、舞台をコルサントの新共和国へ移して描く。新共和国の〈恩赦プログラム〉のもとで暮らす元帝国人員のひとりとなった彼は、内部の同志〈エルシア・カーソン〉――かつて第7集団の通信士エルシア・カインらしき影――に唆され、自らのクローン研究を再開しようと闇市場で機材を探し始める。だが、その計画は罠だった。新共和国当局に発覚したパーシングは、反逆者として記憶抑制装置〈マインド・フレイヤー〉にかけられる。装置の出力を密かに上げたエルシアこそ、帝国残党〈シャドウ・カウンシル〉の二重スパイ。彼女はパーシングを実質的に廃人へと追い込み、裏でクローン研究を続けるための駒に変えてしまう。冷たい結末である。同時に視聴者は、新共和国の内部にも明確な腐敗が巣食い、内側から蝕まれている事実を突きつけられる。

第19章後半と第20章「拾い子」では、舞台がふたたびディンとグローグーへと戻る。マンダロアでの体験を経たボー=カタンは、隠れ里に戻り、〈水を浴び、生きたマイソサウルスを目撃した〉と語る。〈チルドレン・オブ・ザ・ウォッチ〉からは正式に「我らの仲間として歓迎する」と告げられ、やがて氏族の精神的指導者の位置へと一歩ずつ歩み出していく。第20章では、幼いマンダロリアン〈ラグナル〉が巨大鳥に攫われ、その救出作戦が繰り広げられる。ディンはグローグーと向き合うなかで、フォースを「学び損なった」彼にどう接するべきかを考え始める。マンダロリアン戦士の道と、ジェダイの道。相容れないはずの二つの世界が同居しうる可能性が、視聴者の前に静かに差し出される。

コルサントの恩赦と養子の決意

海賊王と諸氏族の結集

第21章「海賊たち」では、ナヴァローを治める高官グリーフ・カルガが、海賊王〈ゴリアン・シャード〉の襲撃にさらされる。新共和国はナヴァローを「未承認の独立惑星」と見なし、官僚的な態度で援軍を拒む。やむなくカルガは旧友ディンに助けを求める。ディン、ボー=カタン、そして隠れ里の戦士たちは、海賊艦隊に正面から立ち向かう。最後はゴリアン・シャードの旗艦を、ボー=カタンが艦橋もろとも撃ち落とし、町を救う。戦いを終えたボー=カタンは、公式に「諸氏族統合の代弁者」としての立場を引き受ける覚悟を固める。

第22章「雇われ用心棒」では、ボー=カタンとディンが、惑星プラジール15で〈アックス・ウォーヴス〉率いる元配下のマンダロリアン傭兵団と接触する。表向きの依頼は、クァレン族とモン・カラマリ族の貴族のあいだの政略結婚を巡る陰謀の調査。やがて町中ではドロイドの暴走事件まで絡み、小気味よい謎解き調のエピソードが展開する。最後にボー=カタンは、アックス・ウォーヴスら旧ナイト・アウルズ部隊に向かって、「ダークセイバーはもはやない(戦いで失われた)が、私とともに闘う者はいるか」と問う。すると彼らは膝を屈し、再び彼女に従う。マンダロアを取り返す戦力が、ここで初めて一つに束ねられるのだ。

海賊王と諸氏族の結集

シャドウ・カウンシルと最終決戦

第23章「スパイたち」では、シリーズで初めて〈シャドウ・カウンシル〉の会議が描かれる。フェイデン・グリッド総督、ヒュクス准将、ブレンドル・ハックス艦長らが名を連ねる帝国残党の影の評議会だ。その中央には、黒い装甲を再びまとった〈モフ・ギデオン〉が座る。ナヴァローでマンダロリアン同盟が完全に復活したことを把握したギデオンは、本拠地マンダロアの坑道に待ち伏せの罠を仕掛ける。

ディンとボー=カタン率いる連合軍は惑星マンダロアへ降下し、地表の廃墟を進んでいく。だが坑道で先発隊が迎え撃たれ、ボー=カタンと戦士の一部は、ディンが守備する地表施設に拘束されてしまう。やがて地表に姿を現したギデオンは、ベスカール装甲をさらに覆う形で組み上げた個人用パワーアーマー〈プレトリアン・スーツ〉を身にまとっていた。傍らには、自身の遺伝子から作り出した複数の〈プレトリアン・ガード〉、そして新型のダークトルーパー部隊を従えている。圧倒的な戦力差を前に、連合軍は窮地へと追い詰められる。

第24章「帰還」では、まずディン・ジャリンが単身でギデオンの作戦本部へ侵入する。ベスカール製のスピアとブラスターを手に、プレトリアン・ガードを次々と倒していく。ボー=カタンが解放されると戦況は一変し、地表に降り立った全氏族のジェットパック部隊が、一斉に旗艦級巡洋艦へと突撃する。終盤、ギデオンとの一騎打ちでディンは再び苦戦を強いられる。そこへ、いつの間にか別の小隊と合流していたグローグーが駆けつける。フォースで巨大なネイティブ生物の群れを退け、戦場へ加勢するのだ。クライマックスでは、ギデオンの旗艦の中央炉が暴走する。爆発寸前の艦内でディンとグローグーはひとつになり、ボー=カタンが残るプレトリアン・ガードを片づけ、艦は地表もろとも崩落していく。生身のままギデオンとの最後の組み合いに挑むディンの背中を、グローグーがフォース・シールドで包み込み、救い出す。

戦闘の後、生けるマンダロアの泉のほとりで、ディン・ジャリンはアーマラーの前でグローグーを正式に「ディン・グローグー」として養子に迎える。マンダロアの古い儀礼に従い、保護者は子の名乗りに自らの姓を貸すのだ。さらに新共和国の地方長官〈カルロ・テクサノ大尉〉とも合意を交わし、ディンとグローグーは「賞金狩りギルドの外注として、新共和国の最辺境で帝国残党の残務処理を請け負う」という新しい身分を得る。エピローグでは、ナヴァロー郊外の海辺に建てた小さな家が映し出される。新しい呼び名と〈チルドレン・オブ・ザ・ウォッチ〉の徒弟印を背に、グローグーはIG-12のスペアパーツを直すディンの隣でくつろぐ。シーズン3はここで幕を閉じ、物語の続きは劇場版『マンダロリアン・アンド・グローグー』へと持ち越される。

シャドウ・カウンシルと最終決戦
ここまでが本シリーズ全3シーズン・全24話のあらすじである。以降は登場要素、人物、制作背景、評価、テーマなど、作品をより深く理解するための資料として読んでほしい。

登場要素

本シリーズに登場・言及される主な要素を分類して紹介する。新共和国時代の銀河を数々のスピンオフへとつなぐ結節点として、本作には実に幅広い人物、種族、組織が登場するのだ。

  • ディン・ジャリン
  • グローグー
  • モフ・ギデオン
  • グリーフ・カルガ
  • カラ・デューン
  • クイール
  • IG-11/IG-12
  • アーマラー
  • パズ・ヴィズラ
  • ボー=カタン・クライズ
  • アックス・ウォーヴス
  • コスカ・リーヴス
  • アソーカ・タノ
  • ボバ・フェット
  • フェネック・シャンド
  • コブ・ヴァンス
  • ペリ・モットー
  • ドクター・パーシング
  • ミグス・メイフェルド
  • ルーク・スカイウォーカー(カメオ)
  • R2-D2(カメオ)
  • モーガン・エルズベス
  • フェイデン・グリッド総督
  • ブレンドル・ハックス艦長
  • カルロ・テクサノ大尉
  • ラグナル
  • エルシア・カーソン

  • 人間(マンダロリアン)
  • ヨーダの種族
  • ウグノート
  • ジャワ
  • タスケンレイダー
  • クァレン
  • モン・カラマリ
  • ウィークワエ
  • アンザール
  • ミラルア
  • イトリアン
  • ロディアン
  • デヴァロニアン

  • IG-86/IG-11/IG-12
  • BD-72
  • プロトコル・ドロイド(C-3PO型/TC型)
  • アストロメク(R2-D2、R5-D4等)
  • 暗殺ドロイド
  • プラジール15の自治ドロイド群
  • 新共和国の囚人輸送ドロイド

  • マッドホーン
  • クレイト・ドラゴン
  • 氷の蜘蛛
  • ブラーグ
  • ミソサウルス
  • シリックス(プラジール15の蝶)
  • ロー・タイル・ガード
  • ガン・コ(飛行竜)
  • アンザリー(外縁の海洋生物)

  • ナヴァロー
  • アルヴァラ7
  • タトゥイーン(モス・アイズリー/モス・ペルゴ)
  • ソーガン
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  • コーヴァス
  • ティトン
  • マンダロア(地表・坑道・生ける水の泉)
  • コルサント
  • プラジール15
  • 新共和国軽巡洋艦/囚人輸送船
  • モフ・ギデオンの旗艦

  • 銀河帝国
  • 帝国残党
  • シャドウ・カウンシル
  • 新共和国
  • 新共和国アムネスティ・プログラム
  • 新共和国レンジャー
  • 賞金稼ぎギルド
  • マンダロリアン諸氏族
  • チルドレン・オブ・ザ・ウォッチ
  • ナイト・アウルズ
  • デス・ウォッチ
  • ジェダイ
  • シス(言及)

  • レイザークレスト
  • ナブー製N-1スターファイター(改造機)
  • スレイヴI/フィレモン(ボバ・フェットの船)
  • ファイアスプレー級
  • 新共和国X-ウィング
  • TIEファイター/TIEブースト・インターセプター
  • シエンナー級軽巡洋艦
  • 輸送機シャトル(アウトランド・タイブリン等)
  • スピーダー・バイク
  • AT-ST/AT-AT

  • ベスカール(マンダロリアン鋼)製の装甲・武器
  • ダークセイバー
  • アムバン式フェイズパルス・ライフル
  • ウィップコード
  • ジェットパック
  • ベスカールスピア
  • 炭素冷凍装置
  • 新共和国の囚人ドロイド
  • ダークトルーパー(試作型/第3世代)
  • プレトリアン・スーツ
  • マインド・フレイヤー
  • クローン技術

  • フォース
  • Mカウント
  • ジェダイ修行
  • シーイング・ストーン(ティトン)
  • フォース・トランス
  • フォース・ヒーリング
  • フォース・チョーク
  • テレキネシス
  • ダーク/ライトサイドの均衡
  • 「これがウェイだ(This is the Way)」
  • 氏族(クラン)の伝承

16主要登場人物

本作の人物造形は、シーズンを重ねるごとに「孤独な戦士」と「フォース感受性を持つ子供」のあいだに置かれた緩衝を一段ずつ取り払っていく。そして最終的に、両者は「父と子」、そして「氏族の徒弟とその師」という二重の関係へと到達する。そうした設計のもとに物語は組み立てられている。以下、その中心に立つ人物たちを順に整理していきたい。

ディン・ジャリン/マンダロリアン

主人公〈ディン・ジャリン〉は、外縁星域アクィヴェルで両親を分離主義者のスーパーバトル・ドロイドに殺された孤児である。間一髪のところを救ったのはデス・ウォッチ系の戦士〈フォウンドリング・マスター〉だった。やがてマンダロリアンの〈チルドレン・オブ・ザ・ウォッチ〉派閥に拾われ、その手で育てられる。覆面を他者の前で絶対に外さぬ厳格な戒律のもと、彼が選んだのは寡黙な賞金稼ぎとしてアウター・リムを渡り歩く道だった。

シリーズの長い時間軸のなかで、ディンは三度大きく変わる。まず第1〜3章でグローグーに出会い、依頼の踏み倒しと引き換えに彼を守る道を選ぶ。次にシーズン2終盤、グローグー奪還のために自ら覆面を外して座標を入力する。それは自らの信仰を一度引き裂く選択だった。そして最後にシーズン3でマンダロアの生ける水を浴び、〈チルドレン・オブ・ザ・ウォッチ〉に復帰したうえで、グローグーを正式に養子(ディン・グローグー)として迎える。「孤独な掟の徒」から「氏族と共にあるマンダロリアンの父」へ――この変化こそ、シリーズ全体を貫く中心線である。

演じるのはペドロ・パスカル。本作以降『ザ・ラスト・オブ・アス』『グラディエーター II』『ファンタスティック・フォー:ファースト・ステップス』など主役級の作品が続く、ハリウッドの最重要俳優の一人だ。だが本作では多くの場面で顔も口の動きも見せない。その制約のもと、声と身振りだけで人物像を成立させている。アクション場面ではブレンダン・ウェイン(ジョン・ウェインの実孫)、ラティーフ・クラウダーらスタント俳優がスーツに入り、ペドロ・パスカル本人の身体演技と組み合わされている。

ディン・ジャリン/マンダロリアン

グローグー/ザ・チャイルド

公式には種族名が伏せられた「ヨーダの種族」に属する幼児で、本編の時点で年齢はおよそ50歳。コルサントのジェダイ・テンプルでフォースの修行を積んでいたが、共和国の終焉と〈オーダー66〉の混乱のさなか、名を伏せた保護者の手で救い出された。以来その力を長く抑え込みながら生き延びてきた。視聴者の前で大がかりなフォース技を初めて見せたのは第2章のマッドホーン戦である。そこを境に、フォース・ヒーリング、フォース・チョーク、巨大な物体を操るテレキネシスと、シーズンを追うごとに能力の幅を広げていく。

シーズン2の終盤でルーク・スカイウォーカーに弟子入りするが、続編『ボバ・フェット/ザ・ブック』の終盤、「マスターヨーダのライトセーバー」か「ディン・ジャリンが贈ったベスカール製のマンダロリアン胴甲(チェインメイル)」か、どちらかを選ぶよう問われる。選んだのは後者だった。こうしてルークの元を去り、シーズン3では小型のベスカール胴甲を身につけ、IG-11を改造した二足歩行ユニット〈IG-12〉に搭乗して戦場へ立つ。

演出面では、レガシー・エフェクツ社による精巧なアニマトロニクス・パペットを軸に据え、表情の細部や激しい動きにのみデジタルCGを併用する手法を一貫して貫いている。シーズン1の配信開始からわずか数か月、「ベイビー・ヨーダ」の通称とともに世界的なポップ・アイコンへと昇り詰め、ディズニーの版権商品としては過去最高クラスの売上を記録した。本シリーズ最大の発明は、結局のところこの幼児の造形にあったといえるだろう。

グローグー/ザ・チャイルド

モフ・ギデオン

本シリーズの主たる敵役〈モフ・ギデオン〉は、銀河帝国時代に保安局(ISB)の高官を務めた冷酷な軍人だ。マンダロアの〈ガラスの大粛清〉を直接指揮した張本人でもある。帝国崩壊後はシャドウ・カウンシルの中核として暗躍し、ある計画を密かに推し進めていた。グローグーの血液――Mカウントが極端に高い――を素材とした、次世代のクローン兵造成計画である。その最終目標は、パルパティーンと自身の遺伝子を継ぐ「強化されたヒト型クローン」の創造にあった。

ダークセイバーの保持、ベスカール装甲、複数の遺伝子コピーから成る〈プレトリアン・ガード〉、新型ダークトルーパー部隊。第1話で上品にふるまった「依頼人」の背後に潜む真の脅威にふさわしい装備と布陣が、シーズンを追うごとに明かされていく。シーズン2終盤では一度ディンに打ち負かされ、新共和国の取り調べを受ける身となるが、移送中の事故で姿を消し、シーズン3で再び姿を現す。

ジャンカルロ・エスポジートは『ブレイキング・バッド』のガス・フリングで世界的に知られる名優である。抑えた発声と威圧的な静けさをもって、新時代のスター・ウォーズに「これまでの帝国の悪党とは違う、人間的に怖い」敵を持ち込んだ。

モフ・ギデオン

ボー=カタン・クライズ

もとは『クローン・ウォーズ』『反乱者たち』のアニメで描かれてきたキャラクターで、マンダロアの王位継承者であり、サタイン公爵夫人の妹にあたる。本作で初めて実写化された彼女が登場するのはシーズン2第11章。鋼の戒律を重んじるディンの〈チルドレン・オブ・ザ・ウォッチ〉派とは一線を画す、正統派マンダロリアンの立場を体現する存在である。

ダークセイバーをめぐる戒律の縛りから、シーズン2終盤の彼女は「ディンが戦って勝ち取った剣を、そのまま譲り受けることはできない」という袋小路に陥る。シーズン3は、その彼女がマンダロアの泉に身を浸し、生けるマイソサウルスを目の当たりにし、やがて〈チルドレン・オブ・ザ・ウォッチ〉に正式に迎え入れられ、最終話では諸氏族をひとつにまとめる代弁者として戦いの先頭に立つ——そこへ至る一連の物語の弧として読み解ける。彼女の歩みの行方から目が離せない。

演じるのはケイティ・サッコフ。『バトルスター・ギャラクティカ』のスターバック役で知られ、『クローン・ウォーズ』『反乱者たち』ではアニメ版ボー=カタンの声をも担い続けてきた。実写のボー=カタンの容姿が、アニメ時代の姿をそのまま踏襲する形で整えられているのは、長年シリーズに尽くしてきたサッコフへの敬意の表れでもある。

ボー=カタン・クライズ

ナヴァローの面々と賞金稼ぎたち

ナヴァローの賞金稼ぎギルド長から市長、そして大公へと出世していくグリーフ・カルガを演じたのは、『ロッキー』でアポロ・クリードを演じたカール・ウェザースである。本作ではレギュラー監督も兼ね、シーズン2第12章「包囲戦」の演出も手がけた。2024年2月に逝去したため、本作は彼が出演した最後の主要シリーズの一つとなった。

元反乱軍ショック・スカウトの〈カラ・デューン〉を演じたジーナ・カラーノは、シーズン1で人気を集めた。だがソーシャルメディア上での発言を理由に、2021年2月にルーカスフィルムとの契約を打ち切られ、シーズン3には登場しない。劇中では「新共和国レンジャーへ昇進した」という形で、その去就が処理されている。

ウグノートの賢者〈クイール〉の声を演じたのはニック・ノルティで、その台詞「私は語った(I have spoken)」は視聴者の口癖にもなった。改造されたIG-11/IG-12の声を担当したタイカ・ワイティティは、シーズン1第1話「マンダロリアン」の監督でもあり、シリーズの土台を築いたクリエイターの一人だ。ほかにも鎧職人〈アーマラー〉のエミリー・スウォロウ、賞金稼ぎ〈フェネック・シャンド〉のミン=ナ・ウェン、〈ボバ・フェット〉のテムエラ・モリソン、〈モフ・ギデオン〉のジャンカルロ・エスポジート、〈ペリ・モットー〉のエイミー・セダリス、〈ミグス・メイフェルド〉のビル・バー、〈ルーク・スカイウォーカー〉のマーク・ハミル(撮影現場での身体演技はマックス・ロイドジョーンズ)など、客演陣も豪華だ。

ナヴァローの面々と賞金稼ぎたち

舞台と用語

舞台は新共和国時代初期の銀河、なかでも〈アウター・リム〉(外縁星域)である。中央政府たる新共和国は、ミラリン、ハネイ、シャテル、ナブーといった候補首都を巡りながら再建を進めている。だが辺境では事情が違う。帝国残党、軍閥、賞金稼ぎ、犯罪シンジケート、独立勢力が入り乱れ、法の届かない空白地帯が広がっているのだ。本作は、この過渡期の銀河を、賞金稼ぎ稼業と幼子の保護というシンプルな視点から立体的に描き出した。

鍵となる用語は数多い。マンダロリアンたちのアイデンティティを支える〈ベスカール(マンダロリアン鋼)〉、王位の象徴〈ダークセイバー〉、戒律の標語〈これがウェイだ(This is the Way)〉、隠遁派の〈チルドレン・オブ・ザ・ウォッチ〉、地表を焼き払われた故郷の惑星〈マンダロア〉、新たな政体〈新共和国〉、敵勢力の総称〈帝国残党〉、ジェダイ修行に欠かせない〈シーイング・ストーン〉、フォース感受性を示す指標〈Mカウント〉、自我を破壊する尋問装置〈マインド・フレイヤー〉、巨大兵器〈ダークトルーパー〉――。シリーズはこうした用語を、説明的な台詞で語るのではなく、登場人物が場面のなかで何を選ぶのか、その行動の積み重ねを通して自然に理解させていく。

あらかじめ用語を整理しておけば、シーズンを跨いだ伏線もより明確に追える。下記の用語ページも合わせて参照したい。

舞台と用語

23制作

本作はルーカスフィルム初の実写連続ドラマであると同時に、動画配信サービス「ディズニー+」の幕開けを飾る目玉作品でもあった。技術面でも制作体制の面でも、それまでのテレビ作品の常識をくつがえす試みが随所に盛り込まれている。

制作

企画とショーランナー体制

本作の企画が具体化したのは、ディズニーがルーカスフィルムを買収し、自社の配信サービス〈ディズニー+〉の立ち上げ準備を本格化させた2017〜2018年のことである。ジョン・ファヴロー(『アイアンマン』『ジャングル・ブック』)が企画の段階から創案・脚本・製作総指揮までを一手に担い、そこにデイヴ・フィローニがクリエイティブ・コンサルタントとして加わる体制が組まれた。ファヴローはアクション・コメディとSFを自在に行き来できるショーランナーであり、フィローニはジョージ・ルーカスの直弟子としてアニメ世代のスター・ウォーズを長く牽引してきた人物だ。世代を跨いだファン双方に通用するスター・ウォーズを生み出すうえで、この二人の組み合わせこそが要となった。

脚本陣にはファヴロー、フィローニに加え、リック・ファムイーワ、ジェニファー・カイティン・ロビンソン、コリン・ウィルソンらが名を連ね、エピソードごとの担当監督に対しても本人たちが密に並走する手法がとられた。ルーカスフィルムを率いるキャスリーン・ケネディの製作総指揮のもと、シリーズは初年度から一貫したトーンを崩すことなく着地している。

キャスティング

ディン・ジャリン役に起用されたのは、当時『ナルコス』『ゲーム・オブ・スローンズ』で頭角を現していたペドロ・パスカルである。覆面を脱がない主人公という難題には、声の演技と、スーツに入って身体だけで芝居する別の俳優を組み合わせる二重キャスト方式が採られた。アクション場面や長時間の現場演技を担うのはブレンダン・ウェイン、ラティーフ・クラウダーらスタント俳優、ペドロ・パスカル本人は声と素顔のシーン、そして要所の身体演技を受け持つ。そう役割を分けて作り上げられた主人公だ。

敵役モフ・ギデオンには、『ブレイキング・バッド』『ベター・コール・ソウル』で世界的な評価を得たジャンカルロ・エスポジートが配された。脇を固める顔ぶれも厚い。グリーフ・カルガにカール・ウェザース、クイールにニック・ノルティ、「依頼人」にヴェルナー・ヘルツォーク、アーマラーにエミリー・スウォロウ、カラ・デューンにジーナ・カラーノ、コブ・ヴァンスにティモシー・オリファント、ボー=カタン・クライズにケイティ・サッコフ、アソーカ・タノにローザリオ・ドーソン、ボバ・フェットにテムエラ・モリソン、フェネック・シャンドにミン=ナ・ウェン、ミグス・メイフェルドにビル・バー。ハリウッドの中堅以上のキャラクター俳優を惜しみなく集めた配役が、本作の語り口に厚みを与えている。

本作のなかでも特異な存在が、ヴェルナー・ヘルツォークである。ドイツ出身の伝説的なドキュメンタリー/劇映画監督である彼は、自ら出演交渉を打診してきたという。第1話でグローグーの容姿を初めて目にしたとき、即興で「君がこのキャラクターを CG にすると言うのなら、私はこの映画から去る」と言い放ち、それがアニマトロニクス・パペットを軸とする方針を決定づけた――そんな有名な逸話が残っている。

キャスティング

撮影とStageCraft

本作が遺した最大の技術的功績は、ルーカスフィルム傘下のインダストリアル・ライト&マジック(ILM)が中心となって運用した〈StageCraft〉だ。半円形に組み上げた高解像度のLEDウォールに、ゲームエンジン〈Unreal Engine〉でリアルタイムにレンダリングした背景映像を映し出し、その内側で俳優を撮影する。いわゆる大規模ヴォリュームと呼ばれる撮影手法である。

従来のグリーンバック合成と違い、俳優は実際の光に包まれて芝居をする。だからこそ装甲表面の反射も、目線も、その場の温度感も、嘘なく画面に乗る。しかも背景映像はカメラの位置や画角、動きにリアルタイムで連動し、視差まで補正される。引きの画でも長回しでも、背景が一枚の「絵」として平面に貼りついて見えることがない。本シリーズはこの方式を実用規模で運用した初めての本格ドラマであり、以降の『ザ・ブック・オブ・ボバ・フェット』『オビ=ワン・ケノービ』『アンドー』『アソーカ』へと受け継がれ、ハリウッド全体の仮想プロダクションを牽引する土台となった。

撮影はカリフォルニア州マンハッタン・ビーチの〈Manhattan Beach Studios〉のヴォリュームを中心に進められ、惑星表面のロケ撮影は最小限に絞られた。LEDヴォリュームでは砂漠も氷原も、深い森も、サドル状の山道も、酒場も、戦場のクレーターまでが再現され、配信ドラマの予算規模をはるかに超える映像の説得力を生み出した。

造形・視覚効果・グローグーの作り方

視覚効果はILM、造形・特殊メイクはレガシー・エフェクツ社が中心となった。ベスカール装甲や武器の重量感、IG-11の関節、各種クリーチャー、宇宙船は、ミニチュア、実物大プロップ、CG、アニマトロニクスを役割ごとに使い分けて造形された。なかでもグローグーは、レガシー・エフェクツが製作したアニマトロニクス・パペットを主体とする。目、口、耳、頭部を複数のオペレーターが遠隔で操作し、激しい動きや表情を補う場面でのみILMがデジタルでわずかに足す。この方針がシーズンを通して貫かれた。

結果として、グローグーは「実在する存在として撮影されたもの」として観客に伝わり、その手触りがシーンの感情の重みに直結している。20世紀末から続いてきたCG中心の特撮の流れを、本作はあえて現場の物体へと振り戻し、デジタルがそれを補佐する組み合わせを示してみせた。シーズン1のプライムタイム・エミー賞では、この視覚効果と特殊メイクが受賞対象となり、技術部門での評価が早くから確立した点に注目したい。

宇宙船についても、レイザークレストの実物大プロップ、N-1スターファイターのCGとプロップを混在させたモデル、シエンナー級軽巡洋艦のミニチュアとデジタル合成など、タイプごとに最適な手段が選ばれている。サウンド・デザインを担当したのはスカイウォーカー・サウンドだ。ベスカール製装甲がぶつかる重く乾いた音、ブラスターの硬質な発射音、ジェットパックの吹き上がり、ダークセイバーの不規則な発光音。こうした「マンドベースの手触り」が、一貫して提示されているのが見どころだ。

造形・視覚効果・グローグーの作り方

音楽

音楽を手がけたのは、スウェーデン出身のルドウィグ・ゴランソンだ。クリストファー・ノーラン監督の『TENET テネット』『オッペンハイマー』、ライアン・クーグラー監督の『ブラックパンサー』などで国際的な評価を確立してきた。本作のために書き下ろしたメインタイトル・テーマは、リコーダー、ホイッスル、低音のパーカッション、エレクトリック・ベースを軸とするミニマルな一曲で、ジョン・ウィリアムズが築いたシンフォニックな『スター・ウォーズ』の音楽とは一線を画す。

このテーマ曲は2019年から2020年にかけてのアメリカで広く拡散し、結婚式の入場曲やスポーツ選手の入場曲にまで使われるほどの人気を得た。第71回プライムタイム・エミー賞では、メインタイトル・テーマ音楽部門をはじめ、本作の音楽関連で複数の受賞・ノミネートを果たしている。

劇伴でもゴランソンは、登場人物や場所ごとに固有のモチーフを与えた。ヘルメットを脱がない主人公の感情を、音楽が代弁する場面は多い。それゆえ本作の音楽は、状況を「説明する音楽」ではなく、人物の内面を「提示する音楽」として機能している。続編となる劇場版『マンダロリアン・アンド・グローグー』でも、引き続き彼が音楽を担当する。

監督陣とエピソード制

本作は、各話に異なる監督を起用するアンソロジー型のエピソード制を採っている。シーズン1ではタイカ・ワイティティ、デイヴ・フィローニ、デボラ・チョウ、リック・ファムイーワ、そしてロン・ハワードの娘であるブライス・ダラス・ハワードらが参加。シーズン2にはジョン・ファヴロー、フィローニ、ピヨー・パルメザニ、カール・ウェザース本人、ロバート・ロドリゲスらが名を連ねた。シーズン3ではリック・ファムイーワ、レイチェル・モリソン、リー・アイザック・チョン、カール・ウェザース、ブライス・ダラス・ハワード、ピーター・ラムジーらがそれぞれ演出を手がけている。

監督が替わるたびに画作りやリズムの感触は少しずつ変わるが、シリーズはそれをあえて均そうとせず、各話の個性として活かしている。脚本と演出方針の中央でファヴローとフィローニが軸を貫くため、エピソードごとの色合いの違いは「ばらつき」ではなく「銀河の広さ」として観客に伝わる。そんな設計が、本作の懐の深さを支えている。

30公開と配信、興行

シーズン1は2019年11月12日、ディズニー+のサービス開始と同時に第1話と第2話を配信。以後は毎週金曜日に1話ずつ追加された。サービスのローンチそのものと連動したこの配信は、ストリーミング史上でも初週の話題性が屈指のタイトルとなり、ディズニー+の加入者数を一気に押し上げる原動力となった。

シーズン2は2020年10月30日から、シーズン3は2023年3月1日から、いずれも週次配信の形で公開された。シーズン2終盤のルーク・スカイウォーカー登場、そしてシーズン3最終話の終盤展開は世界中のソーシャルメディアを騒がせ、各話の配信日には毎週SNSのトレンドを占有した。

配信ドラマゆえ劇場興行収益こそないが、関連商品の販売規模は早くから大きかった。なかでもグローグー関連グッズは、ディズニー+初年度のライセンス商品売上の中心を担った。プライムタイム・エミー賞でも、シーズン1とシーズン2がドラマ・シリーズ部門にノミネート。撮影、衣装、視覚効果、特殊メイク、音響編集、音響ミキシング、特殊効果といった技術部門で数々の賞を獲得している。

31批評・評価・文化的影響

本作は、ディズニーがルーカスフィルムを買収して以降のスター・ウォーズ作品のなかでも、もっとも幅広い層から好意的に受け入れられたタイトルの一つだ。続三部作(2015〜2019)をめぐって生じた賛否の熱を冷まし、新規ファンと旧来ファンの双方が支持できる作品像を示してみせた。この功績は長い目で見ても大きい。とくにシーズン1〜2は批評家集計サイトのRotten Tomatoesでも高いスコアを保ち、技術部門のエミー賞を中心に数多くの賞を受けた。

文化的な影響として何より大きいのは、「ベイビー・ヨーダ」――公式名グローグー――が配信時代における最初の世界的アイコンとなったことだ。彼を主役級に押し出した関連商品はディズニー+初期の収益に大きく貢献し、Tシャツ、フィギュア、絵文字、そしてミーム文化の隅々にまで広がっていった。続三部作で焦点が分かれていたファンダムにとっても、グローグーの存在は世代を超えて分かち合える中心となったのである。

シーズン3には、物語の縦軸が複雑になったことや、焦点がボー=カタンへ移ったことに戸惑う声もあり、評価は分かれた。だが、こうした賛否を踏まえてなお、シリーズ全体が描こうとしたのは特定の一人の英雄譚ではなく、「氏族・家族・所属の意味を取り戻していく集団の物語」だった――そうした捉え方も、いまでは広く共有されつつある。続く『ボバ・フェット/ザ・ブック』『アソーカ』『マンダロリアン・アンド・グローグー』へと連なる「マンドベース」全体の入口として、本作の位置はゆるがない。

舞台裏とトリビア

「This is the way(これがウェイだ)」というマンダロリアンの戒律は、第1話で複数のキャラクターに繰り返し言わせる仕掛けとして書かれ、やがてシリーズ全体の合言葉となった。同じく第1話に登場するクイールの口癖「I have spoken(私は語った)」も、ニック・ノルティの低い声と相まってミーム化していった。

グローグーは第1話の登場時、正式名称を伏せられたまま「The Child(ザ・チャイルド)」とだけ呼ばれ、視聴者のあいだで「ベイビー・ヨーダ」という愛称が爆発的に広まった。正式名〈グローグー〉が初めて明かされるのは、シーズン2第13章「ジェダイ」でアソーカ・タノが告げる場面である。

シーズン2終盤のルーク・スカイウォーカー登場は、撮影現場では別俳優マックス・ロイドジョーンズが身体演技を担当した。その顔と声を、マーク・ハミルの過去映像と最新の声優素材から、ILMとディープ・フェイク技術の専門集団(ファンメイドの動画作家を後にILMが採用した経緯がある)が組み合わせて再構成している。同様の手法は『ローグ・ワン』のレイア姫の場面でも採られているが、本作のルーク表現は当時の最高水準として広く取り上げられた。

シーズン1第7・8章でディンが当初の依頼を裏切るに至る、その鍵を握る相棒がIG-11だ。撮影現場では実物大のプロップが演技し、首から先の細やかな動きはCGで足す混合方式で作られている。タイカ・ワイティティの声と、彼自身が監督した第1話のテンポが、後の本シリーズの色合いを大きく決定づけた。

シーズン3でディンが乗る黄色いN-1スターファイターは、『ファントム・メナス』で若きアナキンが操縦したナブー王室の機体を、賞金稼ぎ仕様に改造したという設定である。レイザークレストがシーズン2第14章で破壊されたのち、ペリ・モットーの整備士たちが余り物のジャンクパーツから組み直す。その経緯がそのまま画面で語られていく。

カール・ウェザースは2024年2月1日に逝去した。本シリーズはグリーフ・カルガとして長く彼の存在感を借り、彼自身もエピソード演出を手がけており、ハリウッドの黄金期と現代スター・ウォーズを繋ぐ橋として記憶されている。ジーナ・カラーノの降板(2021年)と『ボバ・フェット/ザ・ブック』への波及、続く実写シリーズの相次ぐ立ち上げなど、本作の周辺事情は、この先のスター・ウォーズ史を語るうえで避けて通れない節目を数多く含んでいる。

33テーマと解釈

本作の中心にあるのは、血のつながらない者同士が選び取る家族のかたちだ。ディン・ジャリンとグローグーは、ともに本来の家族を失い、それぞれ別々の戒律と運命を背負って孤独に生きてきた。偶然の出会いから「守る者と守られる者」の関係を結び、やがて最終話では「父と子」として正式に名乗り合うところまでたどり着く。スター・ウォーズが伝統的に描いてきたのは「血の宿命としての父子関係」だが、本作はそれを意図的に逆方向から書き換えてみせる。血ではなく、選択こそが家族を作るのだ。

もう一つのテーマは、戒律と自由のあいだを行き来する運動である。マンダロアの掟は、装甲を脱がぬこと、戦士として生きること、孤児を拾って育てること――そうした具体的な戒めの束として、主人公の行動を規定している。だが彼は、グローグーを救うために自ら戒律を破り、その後マンダロアの泉で再び戒律のもとへ戻る。この往復の運動こそが、外から課された規範を、自分自身の手で選び直す生き方へと内面化していく過程にほかならない。シーズン3で〈チルドレン・オブ・ザ・ウォッチ〉が他派閥のボー=カタンを受け入れる場面は、この主題を集団のレベルに広げたものといえる。

三つ目のテーマは、新共和国時代の不安定さだ。帝国は滅びたものの、その残党は各地で軍閥として勢力を保ち、新政府は内側から腐敗の芽を抱え込んでいる。シーズン3第19章「コンバート」では、コルサントの恩赦プログラムが二重スパイによって人を廃人化する仕掛けへと転用される。この描写は、その不安定さを象徴している。続三部作(『フォースの覚醒』〜『スカイウォーカーの夜明け』)で描かれるファースト・オーダーの台頭も、こうした過渡期の延長線上に位置づけられる。本作が描くのは銀河規模の善悪二元論ではなく、辺境に暮らす一組の親子の選択という小さな冒険だ。だが、その小さな選択が、やがて大きな歴史の襞に触れていく――そうした構造になっている。

テーマと解釈

34見る順番

本作は新共和国時代の銀河を描くシリーズの起点であり、配信ドラマ群全体への入口として最適だ。実写映画では『ジェダイの帰還』のあと、『フォースの覚醒』の前に位置する。アニメ版『反乱者たち』『クローン・ウォーズ』を観ていなくても十分に楽しめるが、『反乱者たち』を予習しておけば、ボー=カタンとアソーカ・タノの背景がぐっと重みを増す。

ほぼ同時期に配信されたスピンオフ『ボバ・フェット/ザ・ブック』には、本作シーズン2と3のあいだに位置する第5・6話がある。ここでディンとグローグーが再会し、グローグーがマスター・ヨーダのライトセーバーよりもベスカール製チェインメイルを選ぶ場面が描かれる。シーズン2の余韻のままシーズン3へ進む前に、この2話だけ寄り道しておきたい。

本作の続きは、2026年5月公開予定の劇場版『マンダロリアン・アンド・グローグー』へと受け継がれる。シーズン3最終話で交わされた正式な親子宣言。その続きとして観るのが自然な流れだ。

見る順番

35よくある質問

「『マンダロリアン』から観始めても大丈夫か?」――旧三部作、とりわけ『ジェダイの帰還』の結末さえ押さえておけば、本作からシリーズに入っても問題なく追える。アニメ『反乱者たち』や『クローン・ウォーズ』を観ていなくても、ボー=カタンやアソーカの背景は、劇中の最低限の説明で十分に把握できる。

「グローグーとヨーダの関係は?」――グローグーはヨーダと同じ種族に属するが、血縁関係はないと公式に明言されている。ヨーダ、ヤダル、そしてグローグーが「同じ種族」とだけ称され、その種族名が伏せられたままである点も、シリーズ全体に残された謎の一つだ。

「シーズン3まで観たあとは何を観ればいいか?」――直接の続きにあたるのは、劇場版『マンダロリアン・アンド・グローグー』(2026年5月公開予定)である。並行して進む物語としては『アソーカ』、さらにティローン提督やモーガン・エルズベスらの動向を補強する『反乱者たち』の最終シーズン、コミック『ハイ・リパブリック』の時代を描いた作品なども選択肢となる。

「カラ・デューンはなぜシーズン3に登場しないのか?」――演じたジーナ・カラーノが2021年2月にルーカスフィルムとの契約を解除されたため、シーズン3には姿を見せない。劇中では「新共和国レンジャーへ昇進し、別の任務に就いている」という形で処理されている。

36参考資料・脚注

作品名、キャラクター名、画像、および各種権利は、それぞれの権利者に帰属する。配信の有無や配信時期、収録版の違い、外部の評価は変動しうるため、視聴前に公式および各データベースの最新の表示を確認されたい。なお本記事の本文は、各種の公開情報をもとに、Anna Movies用の独自の日本語記事として構成したものである。

参考資料・出典 (5件)
  1. StarWars.com 公式作品ページ
  2. ルーカスフィルム公式
  3. Disney+ 公式(米国)
  4. Wookieepedia: The Mandalorian
  5. IMDb: The Mandalorian (2019– )