『ジェダイの帰還』は、1983年に公開されたSF映画で、『スター・ウォーズ』旧三部作の完結編である。物語は、炭素冷凍されたハン・ソロの救出に始まり、帝国軍との最終決戦、ルーク・スカイウォーカーと皇帝パルパティーンの対決へと進む。最後はアナキン・スカイウォーカーの贖罪によって銀河に平和が訪れ、旧三部作全体を締めくくる。
00概要
『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』(Star Wars: Episode VI – Return of the Jedi)は、リチャード・マーカンド監督によるスペースオペラ映画である。米国公開は1983年5月25日。1977年の『新たなる希望』、1980年の『帝国の逆襲』に続く作品であり、スカイウォーカー・サーガの旧三部作(オリジナル・トリロジー)を締めくくる完結編にあたる。
物語は前作のクリフハンガーを受け、炭素凍結されたハン・ソロの救出から幕を開ける。やがて舞台は、再建された第2デス・スター、銀河皇帝パルパティーンとの最終決戦へと移り、そしてダース・ベイダー=アナキン・スカイウォーカーの贖罪へと至る。ルーク・スカイウォーカーはジェダイとして完成し、闇に呑まれた父を取り戻していく。アナキンの転落と救済を描いてきた物語は、本作でひとまずの決着を迎える。
脚本はローレンス・カスダンとジョージ・ルーカスが手がけ、製作総指揮はルーカスが務めた。情緒豊かなクライマックスと視覚効果は高く評価されたが、その一方で、森の住人イウォークの扱いや作品の商業性をめぐっては、公開当時から賛否が分かれた。それでも、三部作を貫いてきた「赦しと再生」という主題に幕を引く一作として、本作はシリーズ史に欠かせない位置を占めている。
本記事は結末を含め、全編の内容に踏み込んでいる。物語の重大な驚きを未見のまま味わいたいなら、まず本編を鑑賞してから読み進めることを勧めたい。
主要データ
- 原題
- Star Wars: Episode VI – Return of the Jedi
- 監督
- リチャード・マーカンド
- 脚本
- ローレンス・カスダン/ジョージ・ルーカス
- 製作総指揮・原案
- ジョージ・ルーカス
- 音楽
- ジョン・ウィリアムズ
- 米国公開
- 1983年5月25日
- 上映時間
- 131分
- ジャンル
- スペースオペラ、SF、冒険、ファンタジー
オープニング・クロール
シリーズ前2作と同じ導入に続き、黄色い文字のオープニング・クロールが流れ出す。炭素冷凍されたハンの安否、そして帝国が新たに建造を進める第2デス・スターの脅威が、ここで観客に提示される。
02あらすじ
以下は結末までを含む全編のあらすじである。物語は、ジャバの宮殿でのハン救出、ダゴバでの真実、エンドアの地上戦、そして玉座の間での決着という流れで進む。
ジャバの宮殿とハン・ソロ救出
建造途上の第2デス・スターに、進捗の遅れを叱責すべくダース・ベイダーが降り立つ。やがて皇帝じきじきの来訪が告げられ、この計画がいかに重大かが浮かび上がる。場面は変わって砂の惑星タトゥイーン。炭素凍結されたまま犯罪王ジャバ・ザ・ハットの手中にあるハン・ソロを救い出すため、仲間たちは周到な作戦を進めていた。
まずC-3POとR2-D2が「贈り物」としてジャバの宮殿へ送り込まれる。続いて賞金稼ぎボウシュに変装したレイア・オーガナが潜入し、夜陰に乗じてハンを炭素塊から解凍する。だがレイアは見つかって捕らえられ、奴隷の装いを強いられる。冬眠病で一時的に視力を失ったハンも、牢へ繋がれてしまう。
最後に現れるのがルーク・スカイウォーカーだ。前作までの未熟な若者の面影はなく、落ち着いた所作のジェダイとして交渉に臨む。だがジャバは応じず、ルークを猛獣ランコアの檻へ突き落とす。ルークは機転を利かせてランコアを倒すが、これがジャバの怒りを買う。こうして一行は、砂漠の大穴カークーンに棲むサルラック——飲み込んだ獲物を千年かけて消化する怪物——の餌として処刑されることになる。
処刑場のスキッフの上で、ルークが合図を送る。R2-D2が射出した新たな緑色のライトセーバーを受け取り、反撃に転じる。混戦のなか、賞金稼ぎボバ・フェットはサルラックの口へと落ち、視力が戻りかけたハンも加勢する。レイアは奴隷の鎖を縛めごとジャバの首に巻きつけ、絞め殺す。やがて一行は帆船を爆破して脱出。ルークはR2とともにダゴバへ、残る面々は反乱軍との合流地点へと向かう。
ダゴバとヨーダの最期
修行の続きを求め、ルークはダゴバへ戻る。だがヨーダはすでに900歳を超え、まさに死を迎えようとしていた。ヨーダはベイダーがルークの父であると認め、「修行は終わった……あとはベイダーと対峙するだけだ」と告げる。そして「もう一人スカイウォーカーがいる」と言い残し、フォースと一体化して静かに消えていく。
途方に暮れるルークの前に、オビ=ワン・ケノービの霊体が現れ、これまで語られなかった真実を明かす。ベイダーはかつてアナキン・スカイウォーカーという優れたジェダイであったが、暗黒面に堕ちて「ダース・ベイダー」となった。前作で告げられた『私がお前の父だ』は事実だったのだ。さらにオビ=ワンは、皇帝が双子の存在を脅威とみなして二人を引き離したこと、そして「もう一人」とはルークの双子の妹レイアであることを明かす。父の中にまだ善が残っていると信じたルークは、彼を闇から取り戻すことを自らの使命とする。
反乱軍の作戦
反乱同盟軍の旗艦に全軍が集結した。モン・モスマ、アクバー提督らが作戦の概要を語る。第2デス・スターはいまだ建造途上にあるが、主砲はすでに稼働しており、本体は森の月エンドアの地表から投射されるエネルギー・シールドに完全に守られている。地上の特殊部隊がまずシールド発生装置を破壊し、それと同時に艦隊と戦闘機隊が露出した炉心へ攻撃を集中させる——勝機はこの連携にしかない。
地上部隊を率いるのはハン・ソロ。レイア、チューバッカ、ドロイドたちがこれに同行する。空からの攻撃隊は「将軍」となったランド・カルリジアンがミレニアム・ファルコンで指揮を執り、ウェッジらが続く。エンドアへ向かう道中、ルークは接近する帝国船にベイダーが乗っていることをフォースで感じ取り、自らの存在が任務を危うくすると悟る。
エンドアの森とイウォーク
盗み出した帝国軍のシャトルで森の月エンドアへと降下した地上部隊は、偵察兵に発見されてしまう。スピーダー・バイクによる追跡戦の末、これをなんとか撃退するが、森ではぐれたレイアは、原住の小さな熊に似た種族イウォークの若者ウィケットと出会い、やがて心を通わせていく。
そして部隊の全員が、イウォークの集落に「客」として迎え入れられる。一時は夕食の獲物として捕らえられるが、金色に輝くC-3POを神と崇めるイウォークたちは、彼が語る反乱軍の物語に心を動かされ、帝国との戦いに加わることを決意する。その夜、ルークはレイアに、自分たちが双子であること、そして自分はベイダーと対峙せねばならないことを打ち明ける。父の中にまだ善が残っていると信じるルークは、自ら帝国軍に投降し、ベイダーのもとへ連行されていく。
皇帝の罠
ベイダーはルークを第2デス・スターに待つ皇帝パルパティーンのもとへ連れていく。玉座の間でルークを迎えた皇帝は、衝撃の事実を突きつける。シールドの秘密が反乱軍に漏れたのは皇帝自身が仕組んだことであり、デス・スターはすでに完全な戦闘態勢にあった。反乱艦隊は、自ら罠の中へ飛び込もうとしているのだ。
皇帝はルークの怒りを煽り、父と同じように暗黒面へ堕ちるよう仕向ける。ライトセーバーへ手を伸ばしたいという衝動と、ジェダイとしての自制との狭間で、ルークの心は激しく揺れる。眼下では、罠とも知らぬ反乱艦隊がデス・スターの宙域へと突入しようとしていた。
エンドアの戦いと宇宙戦
地上では、シールド発生装置の制御施設そのものが罠だった。待ち伏せていた帝国軍団に部隊は包囲される。だが合図とともに、森じゅうのイウォークが原始的な武器と仕掛けで反撃に転じ、戦況をかき乱していく。チューバッカはAT-STを乗っ取り、ハンは機転をきかせて施設へ侵入。負傷したレイアらの奮闘もあって、シールド発生装置はついに爆破される。
一方、宇宙では、シールドが健在のうちに突入したランドとウェッジの戦闘機隊が「罠だ!」と悟る。アクバー提督の艦隊は、無数のスター・デストロイヤーと撃ち合う死闘に陥った。やがてシールドが落ちると、ランドとウェッジはファルコンとXウィングを駆ってデス・スターの構造体内部へ突き進み、露出した主炉心を狙う。
玉座の間とアナキンの贖罪
玉座の間で、ルークとベイダーのライトセーバー戦が始まる。当初ルークは戦いを拒もうとするが、ベイダーが「妹」を闇に堕とすとほのめかした瞬間、激情に駆られてベイダーを圧倒し、その右手を斬り落とす。皇帝はルークに、父にとどめを刺して新たな弟子になるよう唆す。
荒い息のまま、ルークは傷ついたベイダーと自分の機械の手を見比べ、父と同じ道を歩みかけていることに気づく。彼はライトセーバーを投げ捨て、皇帝に言い放つ。「私はジェダイだ。父がそうであったように」。怒りを退けたのである。
激昂した皇帝は、フォースの稲妻でルークを苛烈に責め苛む。死にゆく息子の叫びを前に、ベイダー=アナキン・スカイウォーカーの中に眠っていた善が目を覚ます。アナキンは皇帝を抱え上げ、炉心のシャフトへ投げ落として絶命させ、ルークを救う。だがその身もまた、皇帝の稲妻で致命傷を負っていた。
ルークは父をシャトルへ運ぶ。アナキンは、最後に一度だけ仮面を外し、自分の目で息子を見たいと望む。ルークがマスクを外すと、そこには傷だらけの老人の顔があった。アナキンは「お前は正しかった……」と告げ、贖罪を遂げて息を引き取る。一方、ランドとウェッジは炉心を撃ち抜き、第2デス・スターは巨大な爆発とともに消滅する。ルークは父の亡骸を抱え、寸前で脱出する。
エンドアの祝祭
夜のエンドアで、ルークは父ベイダーの甲冑を火葬し、アナキンを弔う。イウォークの集落では反乱軍と原住民が勝利を祝い、盛大な宴が開かれる。そこへハンとレイア、ルーク、ランド、チューバッカ、ドロイドたちが再会を果たす。レイアは自分がルークの妹であることを受け入れ、ハンとの関係にも一つの答えが定まる。
炎の向こうには、フォースと一体化したアナキン・スカイウォーカー、ヨーダ、オビ=ワン・ケノービの霊体が並んで現れ、穏やかにルークを見守る。皇帝とデス・スターは滅び、銀河は祝祭に沸く。アナキンの転落から始まった長い物語は、息子の信念と父の最後の選択によって、ひとまずの完結を迎えるのだ。
登場要素
本作に登場し、また言及される主な要素を分類して紹介しよう。これらの固有名詞はシリーズを読み解く手がかりとなるが、初見ですべてを覚える必要はない。
- ルーク・スカイウォーカー
- レイア・オーガナ
- ハン・ソロ
- ダース・ベイダー/アナキン・スカイウォーカー
- 皇帝パルパティーン
- ランド・カルリジアン
- チューバッカ
- C-3PO
- R2-D2
- ヨーダ
- オビ=ワン・ケノービ(霊体)
- ジャバ・ザ・ハット
- ボバ・フェット
- ビブ・フォーチュナ
- ウィケット(イウォーク)
- モン・モスマ
- アクバー提督
- ウェッジ・アンティリーズ
- モフ・ジャージュロッド
- ニーン・ナム
- 人間
- イウォーク
- ハット(ジャバ)
- ウーキー
- モン・カラマリ(アクバー)
- サラスティアン
- トワイレック(ウーラ/ビブ)
- ヨーダの種族
- 各種エイリアン
- R2-D2
- C-3PO
- 拷問ドロイド
- EV-9D9
- 宮殿の各種ドロイド
- プローブ・ドロイド
- ランコア
- サルラック
- バンサ
- エンドアの森林生物
- ジャバの宮殿の生き物
- タトゥイーン(ジャバの宮殿、カークーンの大穴)
- ダゴバ
- エンドア(森の月)
- 第2デス・スター
- 反乱軍旗艦
- 銀河帝国
- 反乱同盟軍
- シス
- ジェダイ
- ジャバ・ザ・ハットの一味
- 帝国宇宙艦隊
- イウォーク族
- ミレニアム・ファルコン
- Xウィング
- Aウィング
- Bウィング
- TIEインターセプター
- 帝国シャトル
- スピーダー・バイク
- AT-ST
- スター・デストロイヤー
- スーパー・スター・デストロイヤー エグゼクター
- ジャバの帆船
- スキッフ
- ライトセーバー
- ブラスター
- 第2デス・スターのスーパーレーザー
- エネルギー・シールド発生装置
- 炭素凍結(前作からの続き)
- フォースの稲妻
- カークーンの処刑装置
- フォース
- ダークサイド
- ジェダイ
- シス
- フォースとの一体化
- フォース・ゴースト
- 贖罪
- 双子(ルークとレイア)
- エンドアの戦い
12主要登場人物
本作は、ルークの完成、アナキンの贖罪、皇帝という黒幕の全貌、この三点へと人物を収束させていく。前2作で積み上げてきた関係が、ここでついに結実する。
ルーク・スカイウォーカー
前作で打ちのめされたルークは、本作では落ち着いたジェダイとして登場する。武力よりも自制を選び、父の中に残る善を信じて、あえて投降するという危険な賭けに出る。
玉座の間でライトセーバーを投げ捨て「私はジェダイだ。父がそうであったように」と宣言する場面は、シリーズの精神を一言で体現する。彼を勝者にするのは剣の強さではなく、怒りを拒む選択であり、その姿が父アナキンを呼び戻す。ルークの英雄譚は、敵を倒すことではなく、誰かの善を信じ抜くことで完結する。
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ダース・ベイダー/アナキン・スカイウォ…
本作は、ベイダーの物語に決着をつける一篇である。皇帝と息子のあいだで引き裂かれたベイダーは、わが子が拷問される姿を目の当たりにし、長く封じてきた父性と善の心を取り戻す。皇帝を奈落へ投げ落とすその一撃は、復讐ではなく、愛が選ばせた行為として描かれる。
仮面を脱いだアナキンを演じたのはセバスチャン・ショウだ(後年の改訂版では、フォース・ゴーストの姿が別の俳優に差し替えられている)。アナキンの転落から幕を開けた六部作の縦軸は、この贖罪によって静かに閉じられる。
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皇帝パルパティーン
前作までは影と立体通信を通してのみその存在をうかがわせていた黒幕が、本作でついに全身をさらす。シスの暗黒卿としての底知れぬ悪意、そして相手の怒りを煽って堕落へと導く老獪な話術が、フォースの稲妻という具体的な恐怖とともに描かれる。皇帝は本作で滅びるが、その圧倒的な存在感はシリーズ全体における悪の象徴として刻まれた。
ハン・ソロとレイア・オーガナ
前作で炭素冷凍されたハンは、本作の冒頭で救出され、エンドアの地上部隊を率いることになる。気ままな自由人だった彼が「将軍」として責任を背負い、レイアとの関係にも一つの決着がつく。
レイアは賞金稼ぎに変装してハンを救出し、ジャバを自らの手で討ち、地上戦でも前線に立つ。終盤、自分がルークの双子の妹だと知り、スカイウォーカーの血脈をめぐる物語へと組み込まれていく。受け身に回らず、行動で局面を動かし続ける──そんな人物像は本作でも一貫している。
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舞台と用語
物語の舞台は、対照的な三つの場所を行き来する。退廃した犯罪の巣窟であるジャバの宮殿、原始の生命があふれる森の月エンドア、そして無機質な権力の頂点に立つ第2デス・スターの玉座の間だ。猥雑、自然、冷たい権威——この三つの空間が、救出・連帯・決着という物語の段階をそのまま体現していく。
用語の面で鍵を握るのは、フォース、ダークサイド、ジェダイ、シス、フォース・ゴースト、そしてエネルギー・シールドだ。なかでも本作で前面に押し出されるのが「贖罪」と「双子」という二つの概念であり、前2作で張られた伏線——ベイダーの正体、そしてもう一人のスカイウォーカーの存在——を回収していく。固有名詞は暗記しようとするより、登場人物が何を選び取るかを通して捉えるほうが、自然と頭に入ってくるはずだ。
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18制作
三部作の完結編は、その規模、秘匿性、そして技術のいずれにおいても、前2作が到達した水準を土台に作り上げられた。以下、主要な経緯を順を追って整理していく。
企画と脚本
脚本はローレンス・カスダンとジョージ・ルーカスが手がけ、ルーカスが原案と製作総指揮を兼ねた。前作で広げた物語——ベイダーの正体、もう一人のスカイウォーカー、そして皇帝の実体——をいかに回収し、アナキンの転落の物語をどう締めくくるか。それが本作最大の課題だった。ベイダーを単なる悪役で終わらせず、救済されうる父として決着をつける。この方針こそが、本作の情緒的な核を決定づけた。
監督にはリチャード・マーカンドが起用された。ルーカスが演出を委ねつつ、全体は自ら統括する体制である。自己出資に踏み切った前作の重圧を踏まえ、ルーカスフィルムは制作体制と秘密保持を強化して本作に臨んだ。
改題とコードネーム
本作は当初『ジェダイの復讐(Revenge of the Jedi)』の題で準備が進められ、その名を冠した予告編やポスター、関連商品も一部が世に出回った。しかし「ジェダイは復讐をしない」というシリーズの倫理に反するとして、公開前に『ジェダイの帰還(Return of the Jedi)』へと改題された。なお、この『Revenge』の名は、のちにプリクエル三部作の最終作の副題として再び用いられることになる。
撮影現場では、ファンやマスコミの過熱、そして備品の高額転売を防ぐため、まったく無関係なホラー映画を装ったコードネーム『ブルー・ハーヴェスト』が使われた。この徹底した情報管理は、前作で『私がお前の父だ』という真相を秘匿しきった姿勢に続く、シリーズの伝統となった。
キャスティング
主要キャストは続投している。ルーク・スカイウォーカー役のマーク・ハミル、ハン・ソロ役のハリソン・フォード、レイア姫役のキャリー・フィッシャー、ランド・カルリジアン役のビリー・ディー・ウィリアムズ、C-3PO役のアンソニー・ダニエルズ、チューバッカ役のピーター・メイヒュー、R2-D2役のケニー・ベイカーと、おなじみの顔ぶれが揃った。ダース・ベイダーはデイヴィッド・プラウズが身体を、ジェームズ・アール・ジョーンズが声を演じ分け、仮面の下から現れたアナキンをセバスチャン・ショウが演じている。
前作までは影と立体通信の映像でしか姿を見せなかった皇帝パルパティーン。本作ではイアン・マクダーミドが全身で演じ、シリーズを代表する悪役像を確立した。ヨーダは引き続きフランク・オズが、オビ=ワンの霊体はアレック・ギネスが担う。イウォークのウィケットを演じたのは、若き日のウォーウィック・デイヴィスである。
撮影とロケ地
タトゥイーンの砂漠の場面は、再びアメリカの砂漠地帯などで撮影された。森の月エンドアの外景に選ばれたのは、アメリカ・カリフォルニアにそびえるレッドウッドの巨木林だ。一方、広大なジャバの宮殿、玉座の間、デス・スター内部といった室内のセットは、イギリスのエルストリー撮影所に組まれた。
ジャバ・ザ・ハットは、複数の人形遣いが操る大型のパペットとして造形された。表情、口、尾の動きはそれぞれ分担して制御されている。前2作で培われたクリーチャー造形の蓄積が、本作の濃密な異形描写を支えているといえるだろう。
視覚効果
ILMが挑んだのは、スピーダー・バイクによる森林追跡、無数の艦艇が入り乱れるエンドア宙域の大規模な宇宙戦、そして建造途上のデス・スター内部への突入と、本シリーズ最大規模の映像課題だった。なかでもスピーダー・バイクの疾走シーンは、低速で撮影した森の実写映像を高速再生して躍動感を生み出すなど、合成と実写を巧みに織り交ぜて完成させている。
こうした成果が評価され、本作はアカデミー視覚効果特別業績賞を受賞した。ILMは三部作を通じて、映画特撮の最前線を牽引し続けたのである。
音楽と音響
ジョン・ウィリアムズはロンドン交響楽団を率い、三部作の主題を締めくくる楽曲を書き上げた。皇帝の不気味な合唱、イウォークの素朴な調べ、そして玉座の間のクライマックスを支える荘厳な音楽。贖罪という主題を、彼は音そのもので語ってみせる。
終盤を彩る祝祭の曲は、版によって異なる(後述)。前2作で確立された音響デザインも健在で、ライトセーバーの斬り合い、フォースの稲妻、デス・スターの崩壊と、画面の手触りを隅々まで支えている。
25公開と興行
1983年5月25日、奇しくも第1作『新たなる希望』と同じ日に公開された本作は、旧三部作の完結編として世界的な大ヒットを記録し、その年の興行を席巻した。以後も繰り返し再公開され、1997年には映像に手を加えた特別篇として劇場へ帰ってきた。
初公開時の北米興行収入はおよそ2億5千万ドル超、全世界では再公開分を含めておよそ5億7千万ドルに達した。アカデミー賞では視覚効果に特別業績賞が贈られ、美術賞、録音賞、作曲賞、音響編集賞などにノミネートされた。
批評家や観客の評価はおおむね高い。ただし『帝国の逆襲』ほど絶賛で一致したわけではなく、ベイダーの贖罪という情緒的なクライマックスを高く買う声と、イウォークの愛らしさや商業性を物足りないとする声に分かれた。それでも三部作を締めくくる一作としての重要性は揺るがず、数々の映画史的な評価においても確固たる地位を占めている。
特別篇とバージョン違い
本作もまた、幾度となく改訂が重ねられてきた。1997年公開の特別篇では、ジャバの宮殿に新たな歌と踊りの場面(通称「ジェダイ・ロックス」)が加わり、サルラックには嘴が描き足され、ラストを飾る祝祭の場面も差し替えられた。オリジナル版にあった素朴なイウォークの歌「ヤブ・ヌブ」は、より荘厳な新曲「勝利の祝典」へと置き換えられ、コルサントをはじめとする銀河各地で勝利に沸く群衆のショットが新たに加えられている。
2004年のDVD版では、ラストに並び立つフォース・ゴーストのうちアナキンの姿が、プリクエル三部作でアナキンを演じたヘイデン・クリステンセンの映像へと差し替えられ、ファンの間で賛否を巻き起こした。さらに2011年のBlu-ray版では、皇帝を投げ落とす直前にベイダーが「ノー!」と叫ぶ音声が追加され、これもまた長く議論を呼ぶ変更点となっている。どの版で観るかによって、クライマックスとラストの印象は大きく変わってくる。
27批評・評価・文化的影響
本作は、アナキン・スカイウォーカーの転落と救済という六部作の縦軸に決着をつけた作品として記憶されている。悪を外から打ち倒すのではなく、内なる善を信じることで救われる——その主題は、勧善懲悪を超えた物語としてシリーズの精神性を象徴している。
一方、商品展開と強く結びついたイウォークの扱いは、後年「子ども向けへの傾斜」「商業主義」として批判を浴び、続編や派生作品をめぐる評価の分かれ目をしばしば象徴する作品ともなった。それでも、玉座の間の対決とベイダーの最期は映画史に残る名場面として広く支持されており、後年のシリーズが繰り返し立ち返る原点であり続けている。
舞台裏とトリビア
題名は当初『ジェダイの復讐(Revenge of the Jedi)』とされていたが、「ジェダイは復讐をしない」という理由から『帰還(Return)』に改められた。撮影現場では情報の漏洩を防ぐため、無関係なホラー映画を装ったコードネーム『ブルー・ハーヴェスト』が使われていた。
森の月エンドアの巨木林は、実在のレッドウッドの森でロケ撮影された。スピーダー・バイクの疾走感は、低速で撮影した映像を高速で再生することで生み出されている。皇帝パルパティーンを全身で演じたイアン・マクダーミドは当時まだ若い俳優で、特殊メイクで老人を演じており、後年プリクエルで同じ役を再び演じることになる。仮面を外したアナキンを演じたセバスチャン・ショウの素顔は、後の改訂版で差し替えられ、版による違いを示す代表例となった。
29テーマと解釈
物語の核心にあるのは贖罪である。アナキン・スカイウォーカーは、外から討たれて滅びるのではなく、息子の信頼によって内側から救われる。悪を倒す物語ではなく、悪に堕ちた者の中に残る善を信じ抜く物語であり、それがこの三部作全体の倫理を決定づけている。
もう一つの軸は、怒りの拒絶である。ルークを勝者へと導くのは強さではない。ライトセーバーを投げ捨てるという選択——暴力ではなく自制こそがジェダイの本質だ、という思想である。前作の敗北を経たルークは、ここで力ではなく心によって勝つ。
さらに本作は、英雄の旅の「帰還」の段階を描く。日常を離れ、試練と喪失をくぐり抜けた者が、そこで得たもの——自制、赦し、絆——を携えて世界へ戻り、断絶していた父と子を、そして銀河を和解へと導く。ジャバの退廃、エンドアの素朴な連帯、玉座の間に漂う冷たい権力。三つの空間の対比が、この主題を空間設計のレベルから支えている。
30見る順番
初見であれば、『新たなる希望』『帝国の逆襲』に続けて本作を観る公開順がもっとも分かりやすい。本作は前2作の伏線――ベイダーの正体、そしてもう一人のスカイウォーカーの存在――を回収する完結編であり、単独で先に観るのは勧めにくい。
プリクエル三部作(エピソード1〜3)を先に観ていれば、アナキンの転落を知ったうえでの贖罪となり、ラストの重みは大きく変わってくる。初見はまず旧三部作を公開順で通し、復習としてプリクエルを補う。そうすれば情報の出方が活きるはずだ。
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31よくある質問
「あらすじだけ知りたい」なら、ハン・ソロ救出、エンドアのシールド攻略、玉座の間の決着という流れを押さえれば十分だ。「結末・ネタバレを知りたい」なら、皇帝の罠、ルークが怒りを拒む選択、アナキンの贖罪と最期までが核となる。
「評価を知りたい」なら、贖罪の完結編という性格と、イウォークをめぐる賛否を分けて理解するとよい。「見る順番」については本作だけを先に観ず、必ず旧三部作を公開順で通すのが安定する。
32参考資料・脚注
作品名、キャラクター名、画像、および各種権利は、それぞれの権利者に帰属する。公開年や興行成績、製作・配信の状況、外部からの評価は変動しうるため、視聴の前に公式サイトおよび各データベースの最新の表示を確認されたい。本記事の本文は、各種の公開情報をもとに、Anna Movies用の独自の日本語記事として構成したものである。