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新世紀エヴァンゲリオン(貞本義行漫画版)第13巻
「Calling」全7話のあらすじ・初号機の救出・補完計画の開始・レイの拒絶を解説
貞本義行による漫画版『新世紀エヴァンゲリオン』第13巻「Calling」は、量産機に囲まれたアスカを救うため碇シンジがエヴァンゲリオン初号機に乗り込み、その救出が人類補完計画の開始と重なる巻です。地上の救出戦と地下の儀式を交互に進めながら、綾波レイの拒絶、黒き月の露出、巨大化したリリスとの対面、シンジの幼少期の記憶までを描きます。STAGE.84〜90の流れ、ミサトとの約束、ゲンドウとレイの対峙、旧劇場版との違い、次巻への接続を巻単位で整理します。
ネタバレ:貞本義行漫画版第13巻の全7話、初号機によるアスカの救出、人類補完計画の開始、レイの拒絶と黒き月の露出、シンジの幼少期の記憶を含みます。未読の場合はご注意ください。





第13巻は、シンジの救出戦が儀式の開始と重なり、補完計画が動き出す巻
第12巻の終わりで、アスカの弐号機は量産機に囲まれ、シンジはまだ初号機へ乗っていませんでした。第13巻はそこから動きます。公式の紹介文が「エヴァ量産機に囲まれたアスカを救出するため、ついに初号機に乗り込んだシンジ」と出発点を示すとおり、巻の前半はアスカの救出戦です。ミサトが残した約束を胸に、シンジは初めて自分の意志で初号機へ向かいます。
しかし救出の成功で巻が終わることはありません。地上で初号機が量産機群を殲滅した直後、敵は再生し、地下ではゲンドウがレイの身体へアダムを統合し、ロンギヌスの槍が帰還して、ゼーレの儀式が一気に工程を進めます。カヲルを失った第11巻から続く終盤四巻の中で、第13巻は戦闘の決着から世界改変の開始へ接続する巻であり、7話すべてが補完計画の進行に沿って並んでいます。
2012年刊・180頁にSTAGE.84〜90を収録する
KADOKAWA通常版第13巻は2012年11月22日発売、B6変形判180頁、ISBN 978-4-04-120354-5です。著者は貞本義行、原作表記はカラー、レーベルは角川コミックス・エース。前巻「父と子」の2010年3月からは約2年8か月を経ており、通常版としての刊行を明記した書誌になっています。公式の紹介文は、量産機に囲まれたアスカを救うために初号機へ乗ったシンジの善戦と、それでも始まってしまう人類補完計画を巻の中心に置いています。
収録話はSTAGE.84「Calling」、85「裏切り」、86「儀式の始まり」、87「拒絶」、88「黒き月」、89「face to face」、90「夏の追憶」の7話です。掲載はヤングエース2011年5月号から2012年4月号にわたり、連載時の表記と単行本の話数がずれた箇所があります。
| STAGE.84 | Calling:ヤングエース2011年5月号・6月号。連載時は前後編。初号機がアスカの死闘へ到着する |
|---|---|
| STAGE.85 | 裏切り:ヤングエース2011年9月号。量産機が再生し、リツコの遠隔操作も作動しない |
| STAGE.86 | 儀式の始まり:ヤングエース2011年10月号。シンジの決意が初号機の覚醒を引き、儀式の核になる |
| STAGE.87 | 拒絶:ヤングエース2011年12月号。生命の樹の形成と、レイがゲンドウを拒む場面が並ぶ |
| STAGE.88 | 黒き月:ヤングエース2012年1月号。黒き月が露出し、サードインパクトへ移行する |
| STAGE.89 | face to face:ヤングエース2012年2月号・3月号。連載時は前後編。巨大なリリスが初号機の前へ現れる |
| STAGE.90 | 夏の追憶:ヤングエース2012年4月号。連載時の表記はSTAGE.91。シンジの幼少期の記憶が開く |
前巻から約2年8か月を経て、完結へ向かう後半が一気に進む巻
第12巻の2010年3月31日から第13巻の2012年11月22日まで、通常版の刊行には約2年8か月の空白があります。掲載誌は第12巻に続いてヤングエースであり、連載は2011年5月号のSTAGE.84で再開されました。18年をかけた連載の終盤として、この巻以降は補完計画の進行が各話を貫きます。
刊行の空白の間も、物語の時間は止まっていません。読者の手元では2年8か月が経っていますが、作中では第12巻の戦場から第13巻の初号機出撃まで、わずかな時間しか挟まっていません。刊行の間隔と作中の時間の落差が大きい巻ほど、連載で読んだ読者と単行本で読む読者の受け取りが離れやすくなります。この巻は前巻から直接続く戦闘であることを、冒頭の配置から押さえておく必要があります。
STAGE.84「Calling」で、初号機の到着がアスカの死闘へ初めての応答を返す
NERV本部が襲撃される中、アスカは弐号機で量産機との死闘を続けています。間に合わないかもしれないという緊張の中で、シンジはミサトとの約束を胸に初号機へたどり着き、地上へ出ます。初号機の到着は、一人で戦い続けてきたアスカに対する初めての応答です。
この話が地上と地下を交互に描き始める点も重要です。地上では仲間を救うための応答が生まれ、地下ではゲンドウとレイがリリスのもとへ進み、リツコが銃を向けます。物理的に離れた二つの戦場が同じ時刻に動く構成は、第13巻以降の基本的な進行方式になり、人類補完計画が機体戦だけでは決まらないことを示します。
ミサトとの約束が、シンジを初号機まで運ぶ
シンジが動けるようになった理由は、彼自身の急な回復ではありません。第12巻でミサトが残した最後の指示と約束が、侵攻の混乱の中でシンジを初号機へ向かわせます。救われた側が救う側へ回る反転は、父の告白とミサトの約束という二つの言葉が揃って初めて成立します。
この構成により、ミサトの死は物語の区切りにとどまらず、そのあともシンジの行動を支える機能として読み返されます。彼女が残した言葉が、侵攻後もシンジの行動を支え続けているからです。漫画版のミサトは保護者としての役割を最後まで果たしており、その言動を旧劇場版の台詞で代用せず、ページ上の約束として追うことが読解の前提になります。
STAGE.85「裏切り」で、地上と地下の二つの優位が同時に崩れる
STAGE.84で初号機はアスカを救い、量産機群を殲滅しました。地下ではリツコがゲンドウの前へ現れ、計画を止める態勢を整えました。第85話「裏切り」は、この地上と地下で得られた二つの優位を、ほぼ同時に崩します。量産機は再生し、リツコの遠隔操作は作動しません。
シンジの戦闘能力もリツコの技術力も、ゼーレとゲンドウが準備した仕組みを一度で止められません。人物の努力が無意味なのではない。敵側の計画が個人の成功を吸収するほど多重に設計されていることが、この話の恐怖です。二つの優位の同時崩壊という題の立て方も、儀式が地上と地下の両方で進む物語であることを裏付けています。
STAGE.86「儀式の始まり」で、アスカを守る決意が儀式の核になる
再生した量産機群は、初号機と弐号機へ再び襲いかかります。シンジは勝敗でも命令でもなく、目の前のアスカを守ることを選び、その決意が初号機の限界を越える力を引き出します。ここまでが一人の少年の戦いです。
ところが、ゼーレが必要としていたのも初号機の覚醒でした。シンジにとって一人を救うための力は、ゼーレにとって人類全体を補完へ導く儀式の核です。同じ現象へ正反対の目的が重なることで、善意ある行動だけでは計画の構造から逃れられない局面が作られます。ロンギヌスの槍の帰還も含めて、シンジの最良の選択が儀式の必要部品として回収される流れが、第13巻の中心にある恐怖です。
STAGE.87「拒絶」で、レイの短い拒絶が儀式の中心を変える
儀式は地上と地下で同時に進みます。量産機は初号機を生命の樹へ組み込み、ゲンドウはレイの身体へアダムを統合します。装置と素材が揃えば、計画は予定通り完成するように見えます。
しかしレイは物ではありません。自分の経験と意思を持つ人物であるレイがゲンドウを拒むことで、同じ儀式が誰の願いを中心に進むのかが変わります。巨大な世界改変の分岐点を、一人の短い拒絶として描くのがこの話です。三人目のレイの記憶と意思の問題は第10巻から続く線であり、ここで物語の中心へ引き上げられます。
STAGE.88「黒き月」で、隠されていた起源が地表へ現れる
レイはゲンドウを拒み、リリスへ帰還します。それでも上空の儀式は止まらず、生命の樹の形成と同時に地上で大爆発が起こります。NERVと戦略自衛隊の局地戦は、一瞬で意味を失います。
黒き月が露出すると、地下施設や秘密文書の中だけで扱われてきた人類の起源が、地表から見える現実になります。特定の組織だけが知る計画はここで終わり、地球上のすべての人間が巻き込まれるサードインパクトへ移行します。題名は地理、神話、生命の由来を一語に重ねており、作中世界の根幹が一気に表へ出る話であることを示しています。
STAGE.89「face to face」で、人類の問いがシンジとレイの対話へ縮む
黒き月の露出のあと、レイと融合したリリスは巨大な人の姿になります。巨大存在は初号機の前へ顔を現し、量産機、槍、黒き月が最終配置へ動きます。現象の規模は宇宙空間へ達します。
それでも題名は「face to face」です。人類全体の境界をどうするかという問いは、シンジとレイの一対一の会話として提示されます。補完を装置の自動実行で終わらせず、他者の顔を見ながら何を望むかを問い直す場面へ戻す構成により、世界規模の現象が個人の対話に接続されます。
STAGE.90「夏の追憶」で、シンジの願いの由来が記憶として開く
レイはシンジへ、何を願うのかと問いかけます。この話は答えをすぐに言葉にせず、その願いを作った過去へ戻ります。補完によって外界の境界が崩れると、閉じ込められていた幼少期の記憶が開きます。
シンジが他者を避ける性格は、生まれつきの弱さでも単なる消極性でもありません。愛情を得た記憶、突然の喪失、父の離別、親類宅での疎外が積み重なった結果です。記憶を開く作業は過去への後戻りで終わらせず、恐怖の起点を見直したうえで、現在の願いを自分の言葉で選び直すために置かれており、第14巻へ渡す判断の材料がここで揃えられます。
第13巻が終えることと、第14巻へ渡すことを分ける
- シンジが自分の意志で初号機へ乗り、アスカの救出に成功します。
- 量産機は再生し、リツコの遠隔操作は作動しません。
- シンジの決意が初号機の覚醒を引き、それが儀式の核として回収されます。
- レイはゲンドウを拒み、リリスへ帰還します。
- 黒き月が露出し、サードインパクトへ移行します。
- シンジの幼少期の記憶が開かれた時点で巻は終わります。
第13巻が次巻へ渡すのは、世界の側の完成と個人の側の未決着です。儀式の装置は揃い、問いはシンジ自身に届いています。どの願いを選ぶかという判断だけが、最終巻へ持ち越されます。
旧劇場版と同じ工程を、ページの視点で並べ替える
初号機の覚醒、ロンギヌスの槍、量産機の陣形、生命の樹、レイとアダム、巨大化したリリス。第13巻が扱う工程は旧劇場版『新世紀エヴァンゲリオン劇場版』と共通しています。違いは並べ方と視点の配分です。漫画版は地上の救出戦と地下の儀式を交互に描き続け、リツコがゲンドウの計画へ銃口を向ける線も連載の中で完結させます。
シンジの幼少期の記憶が独立した一話として置かれている点も漫画版の特徴です。旧劇場版では補完の中で想起される記憶が、漫画版では「夏の追憶」として単独の章を与えられ、シンジの性格の由来が丁寧に積み上げられます。連続性比較の解説でも整理しているとおり、同じ工程でも各段階の厚みが変われば、補完計画の意味の受け取り方も変わります。
巻題「Calling」は、呼びかけと応答が巡り合う瞬間を指す
巻題の「Calling」は、呼びかけと応答の言葉です。アスカの死闘は長い間、届かない叫びでした。初号機の到着がその呼びかけへの最初の応答になり、シンジの側も、ミサトの約束という呼びかけに応えることで初号機へ向かいました。
この巻の中で応答は一度で終わりません。レイはゲンドウの呼びかけを拒絶し、リリスはシンジへ何を願うのかと問いかけます。呼びかけと応答が複数の層で繰り返されることで、巻題は単一の場面の名称から、巻全体の関係の構造を指す言葉へ広がります。
書影は、量産機の戦場から儀式の現場へ移る流れを示す
公式書影の並びでは、第12巻の表紙がシンジとゲンドウの父子であったのに対し、第13巻の表紙はシンジとアスカを正面に据えています。量産機に囲まれたアスカを救うことが巻の出発点であることと一致する配置です。
次の第14巻が完結巻としてシンジを中心に据えることを合わせて読むと、後半三巻の書影は、父の巻、救出の巻、旅立ちの巻という流れを示しています。表紙だけでも、物語が戦場から世界の問いへ移っていく方向が見えてきます。
初読では、地上と地下の二つの戦場を交互に追う
第13巻は出来事が同時進行するため、初読では、地上と地下の二つの戦場が同時に動いていることを意識して追うと構造が見えます。地上ではシンジの救出戦と量産機の再生、地下ではゲンドウとレイ、リツコの対峙が進み、二つの線は儀式の開始で合流します。
各話の題も道標になります。「Calling」から「裏切り」「儀式の始まり」までは戦いの優位と崩壊、「拒絶」「黒き月」で儀式が本格化し、「face to face」「夏の追憶」で世界の問いと個人の記憶へ移ります。前半は戦闘、後半は対話と記憶という厚みの変化を頭に置くと、7話の役割分担が掴みやすくなります。
第13巻は、救う行為が儀式の一部に組み込まれる恐怖を描く
第13巻の核心は、シンジの最良の行動が敵の計画に利用される構造です。アスカを守るための覚醒は、ゼーレにとって儀式の核でした。個人を救う善意と人類を巻き込む装置が同じ現象に重なることで、正しい選択をしても計画は進むという状況が作られます。
この構造があるからこそ、第14巻の問いが生きます。装置を止めることも、誰かを救うことも、単独では計画を終わらせられない。残された道は、シンジ自身が願いを言葉にすることです。救出戦から記憶の回想までを一巻で進め、判断だけを最終巻へ残す第13巻は、完結への最後の橋として設計されています。
第13巻についてよくある質問
漫画版第13巻には何話が収録されていますか?
STAGE.84「Calling」からSTAGE.90「夏の追憶」までの7話です。STAGE.84とSTAGE.89は連載時に前後編として掲載され、単行本化の際に各一話へまとめられました。
第13巻でシンジは何をしますか?
ミサトとの約束を胸に初号機へ乗り、量産機に囲まれたアスカの救出へ向かいます。救出の後も量産機の再生、初号機の覚醒、補完計画の開始に巻き込まれ、最後はレイから何を願うのかと問われた時点まで進みます。
レイは第13巻で何をしますか?
地下でゲンドウがアダムを統合しようとしたとき、レイは彼を拒み、リリスへ帰還します。この拒絶が儀式の中心を変え、その後の展開を左右します。
第13巻のあとはどの巻で完結しますか?
第14巻「旅立ち」が最終巻です。STAGE.91「光還る処へ」から完結までを収録し、シンジの選択と物語の結末を描きます。