渚カヲルは、TVシリーズ『新世紀エヴァンゲリオン』第弐拾四話「最後のシ者」(1996-03-13 放送) で唐突に登場し、シンジに「君は好意に値する」と告げて急速に親愛を示す15歳の少年である。その正体は 第17の使徒タブリス で、ゼーレ(SEELE)が NERV へ送り込んだ最後の刺客。SEELE 側の計画ではリリス(NERV 中央ドグマ最下層に磔の白い巨人)へ到達し人類補完計画を発動させる役目を負っていたが、現地で発見した『リリス』が実は綾波レイであることを知って計画を放棄し、自ら初号機に握り潰されることを望んで死亡する。TVでの登場はわずか1話半だが、その後の旧劇場版・新劇場版を通じて『シンジにとっての唯一無二の理解者』としてシリーズ全体を象徴する存在となる。担当声優は石田彰が TV版・旧劇場版・新劇場版すべてを通して一貫して担当している。

プロフィール — 銀髪・赤い瞳・第17の使徒

カヲルの公式プロフィールは、生年月日 2000年9月13日(セカンドインパクト発生当日)・15歳・身長162cm・銀髪/赤い瞳/白い肌の少年として確定している。穏やかで透明感のある話し方と、肉体的な距離感の近さ(シンジに対する身体的接触の自然さ)は、TV第24話以降の登場すべてに共通する特徴。表向きは SEELE が NERV へ派遣してきたエヴァ弐号機の予備パイロットとして到着するが、その実体は人類最後にして最大の使徒・第17の使徒(タブリス)である。月面で発見された棺(新劇『序』ラスト・『破』ラストで明示)から登場するという演出は、新劇場版固有の重層設定として組み立て直されている。

正体 — 第17の使徒タブリス / アダムスの器

TVシリーズおよび旧劇場版でのカヲルの正体は、SEELE が送り込んだ 第17の使徒タブリス。魂は第1使徒 アダム 由来とされ、リリス(NERV 中央ドグマ最下層に磔の白い巨人) との接触で人類補完計画を発動させることが SEELE 側の作戦目標だった。新劇場版ではこの設定が大きく拡張・再構築されている。『破』ラスト〜『Q』に登場するカヲルは アダムスの器(Adams' Vessel)と呼ばれる存在の一人で、「シンジと運命の双子」「第1使徒/第13使徒タブリス」など複数の使徒番号体系が重ねられる構造になっており、月面の棺はそのアダムスの器を保存する装置として描かれる。新劇 Q 後半では NERV 側パイロットとして Mark.09 を駆り、後半は シンジと同じ第13号機にダブルエントリー する形で搭乗する。

TVシリーズでの来歴 — 第24話「最後のシ者」

TV第弐拾四話「最後のシ者」は、シリーズの最終2話(第25・26話) に入る直前の重要なエピソード。月面で SEELE がカヲルを召喚する場面から始まり、NERV へ派遣されたカヲルがシンジに急速に接近する。シャワー室でのシンジとの初対面、ピアノ連弾のシーン、入浴シーンといった親密な描写の連続のなかで、カヲルは「君は好意に値する」「好きってことさ」とシンジに直接告げる。やがてカヲルは NERV 中央ドグマ最下層へ単独で侵入し、磔のリリス(新劇では NERV 自身の重要装置)へ近づこうとするが、リリスが実は綾波レイであることを目の当たりにし、SEELE の計画を放棄。初号機の手に掴まれた状態で「ありがとう。僕は、君に出会うために生まれてきたのかもしれない」「さぁ、僕を殺せ」と告げ、シンジ自身の手で初号機の握り潰しを受けて死亡する。シンジの主観時間で長い長い握り潰しを描く演出は、シリーズ屈指のトラウマシーンとして知られる。

旧劇場版での描写 — シト新生 / EoE

旧劇場版1作目『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生』(1997-03-15) の DEATH パートでは TV版第壱-第24話の総集編が組み直されており、カヲル登場シーン(第弐拾四話)が再構成・新作カット込みで提示される。旧劇場版2作目『THE END OF EVANGELION』(1997-07-19) では TV最終2話の置き換えとなる新作描写になるため、カヲル本人は登場しないが、TV第24話の事件はシンジのトラウマの一つとして全体構成に組み込まれる。旧シリーズのカヲルは、登場シーンこそ短いものの、シンジに「殺すという選択」を強制する役目を負う存在として、旧劇 EoE 全体の心理的伏線として機能する形になっている。

新劇場版での主な差分 — 序 / 破 / Q / シン・エヴァ

新劇場版4部作におけるカヲルは、TV版/旧劇とは大きく拡張されたキャラクターとして再構築されている。『序』(2007-09-01) ラストの月面棺シーンで声のみ初登場し、「3番目、か。変わらないな、君は」「会えるよ、すぐに。碇シンジ君」 と呟くシーンが置かれる。『破』(2009-06-27) ラストでは月面にて Mark.06 に乗り、カシウスの槍で初号機を貫いてニアサードインパクトを物理的に阻止する役目を負う。『Q』(2012-11-17) 全編ではシンジの親友・相棒として配置され、ピアノ連弾シーンを含む長尺の絆描写が置かれる。Q後半では NERV 側パイロットとして Mark.09 を駆った後、シンジとともに第13号機にダブルエントリーする。ロンギヌス槍/カシウス槍の選択を誤った結果フォースインパクトが発動し、首に装着された DSSチョーカー(ニアサーを起こした場合に起爆する装置)が作動してカヲル自身が絶命する。『シン・エヴァンゲリオン劇場版』(2021-03-08) マイナス宇宙パートで再びシンジと向き合い、「君と幸せになりたかったのは、僕のエゴだったんだね」と告げて和解する形で、新劇場版固有の決着が描かれる。

関係性 — シンジ / ゼーレ / アダムス

カヲルの物語は 碇シンジ (CV: 緒方恵美) との関係に完全に焦点が絞られている。TV第24話では出会いから死亡までを1話半で一気に描き、シンジに「殺すという選択」を強制することで物語に決定的なトラウマを刻む。新劇場版 Q ではシンジの親友・相棒として配置され、ピアノ連弾シーンを含む長尺の絆描写が置かれる。ゼーレ(SEELE)はカヲルの送り込み主であり、TV/旧劇ではキール・ローレンツがその役を担う。新劇では Q ラストで「もとは僕を恐れた人間達が作ったものなんだ」(DSSチョーカーを指して) と語るカヲルの台詞が、彼と人間との関係性の歪みを象徴する。碇ゲンドウ (CV: 立木文彦) との直接的な接点は限定的だが、新劇 Q 以降の補完計画と Mark.06/第13号機をめぐる物語ではゲンドウの計画と深く絡む形で配置される。

名場面と象徴 — 「好きってことさ」/ ピアノ連弾 / Mark.06 / DSSチョーカー

カヲルに紐づく象徴的な台詞・場面は、登場時間の短さに反して非常に多い。「好きってことさ」 (TV第24話) はシリーズを通じてカヲル=シンジの関係性を象徴する台詞として現在まで広く引用される。「君に会うために生まれてきたのかもしれない」 (TV第24話 / 新劇 Q で再演) は両シリーズを横断するカヲルの代表台詞となる。新劇『破』ラストの 月面 Mark.06 によるカシウスの槍投擲 シーンは、新劇場版でカヲルを「シリーズ全体を引き継ぐ存在」へと格上げした転換点。新劇 Q の ピアノ連弾シーン、ラストの DSSチョーカー作動による絶命 は新劇場版独自の名場面として知られる。シン・エヴァのマイナス宇宙パートでの「僕のエゴだったんだね」は、3シリーズ通じての石田カヲルの集大成的な独白になっている。

担当声優 — 石田彰 (全シリーズ通じて担当)

カヲル役は1996年のTV第24話から2021年のシン・エヴァまで、旧シリーズ・新劇場版双方を通して 石田彰 が一貫して担当している。石田彰は1990年代以降、穏やかさと底知れない他者性を併せ持つキャラクター(機動戦士ガンダムSEEDのアスラン・ザラ等)を多く担当してきたキャストで、カヲルの「人ならざる存在の穏やかさ」を成立させた立役者の一人とされる。TV第24話のわずか1話半のために配役されたキャストが、新劇場版『破』『Q』『シン・エヴァ』の3作で長尺の出番を得ることになる経緯は、新劇場版企画の構造的特徴の一つとして語られる。

出演作品 — TV第24話 / 新劇場版『破』『Q』『シン』

カヲルが本格登場するのは、TVシリーズ第弐拾四話・新劇場版『破』ラスト・『Q』全編・『シン・エヴァ』マイナス宇宙パートの4箇所が中心となる。詳細は各作品ページを参照。

関連キャラクター

カヲルを取り巻く主要キャラクターへのリンク。各キャラページも同じ Wookieepedia 級の構成で用意している。

  • 碇シンジ — カヲルが唯一愛情を向ける相手。
  • 碇ゲンドウ — 新劇場版で補完計画と Mark.06/第13号機をめぐり深く絡む。
  • 綾波レイ — TV第24話のリリス誤認・新劇 Q のアヤナミレイ(仮称)との同居など、間接的な接点が多い。

キール・ローレンツ・ゼーレ・冬月コウゾウ ほか主要キャラは 人物一覧ハブ から順次拡充する。

本ページの主な参考資料

本ページに記載した事実は、以下の一次情報および信頼性の高い二次情報を WebSearch / WebFetch で参照して記述している。記述の現状は2026年5月時点。

追加参照: ja.wikipedia「渚カヲル」(プロフィール / 第17の使徒タブリス / TV第24話 / 新劇 序-破-Q-シン) / ja.wikipedia「新世紀エヴァンゲリオン」第24話 / ja.wikipedia「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」(DSSチョーカー / Mark.09 / 第13号機 / フォースインパクト) / ja.wikipedia「シン・エヴァンゲリオン劇場版」(マイナス宇宙) / 石田彰 公式 / evangelion.jp 公式 / khara.co.jp 公式。