『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』は、2007年9月1日に公開された新劇場版4部作 (Rebuild of Evangelion) の第1作である。庵野秀明が GAINAX から独立して2006年5月に新たに設立した株式会社カラーが制作元になり、シリーズを最初から再構築する Rebuild 計画の入口を担う。本編はTV版第壱話「使徒、襲来」から第六話「決戦、第3新東京市」までの使徒戦をベースに、新規カットの大量追加と、フルデジタル工程による作画の全面リファインで再構築した98分 (劇場公開版 ver.1.0) / 101分 (再編集 ver.1.11) 構成。総監督・原作・脚本に庵野秀明、監督に摩砂雪・鶴巻和哉、キャラクターデザインに貞本義行、メカニックデザインに山下いくと、音楽に鷺巣詩郎、主題歌に宇多田ヒカル「Beautiful World」(2007-08-29 リリース) が起用されている。配給はクロックワークスとカラー、宣伝協力に日活。興行収入20.0億円、公開105館・観客動員150万人を記録し、第31回日本アカデミー賞 優秀アニメーション作品賞、第13回アニメーション神戸 作品賞、2008年東京アニメアワードと、アニメーション映画賞を立て続けに受賞した。
あらすじ — 第3新東京市と第4〜第6の使徒
セカンドインパクトから15年後の西暦2015年。国連直属の特務機関 NERV が拠点を置く第3新東京市に、父・碇ゲンドウから一方的に呼び出された14歳の少年・碇シンジが到着する。彼を待っていたのは、巨大人型兵器エヴァンゲリオン初号機への搭乗命令だった。同時刻、第4の使徒 (TV版第3の使徒「サキエル」に相当) が市街地に侵攻しており、シンジは父との確執と恐怖の中で初号機に乗り込む。本作はこの初出撃と、続く第5の使徒 (シャムシエル相当)・第6の使徒 (ラミエル相当) との戦闘までを描く。クライマックスは陽電子砲を用いた『ヤシマ作戦』であり、TV版第六話「決戦、第3新東京市」をフルデジタル工程で全面リメイクした、本作の代表的な戦闘シーンとなる。
TV版冒頭6話との差分
新劇場版1作目という性格上、本作は「TV版冒頭をそのまま再制作した作品」と誤解されがちだが、内容にはいくつもの差分が意図的に組み込まれている。視覚面では、第3新東京市の都市デザインがTV版に比べて高密度・近未来的に拡張され、エヴァ・使徒の戦闘シーンも全面的にフルデジタル/CG合成にリファインされている。物語面では、TV版でやや散らされていた話数の情報が圧縮され、シンジ=ゲンドウの確執、ミサトとシンジの関係構築、レイの「人形性」が冒頭6話のテンポでよりはっきりと提示される。使徒の通し番号も新劇場版独自体系に置き換えられ (TV第3使徒サキエル → 新劇第4の使徒)、観客に「これは同じ話の再放送ではない」というシグナルが繰り返し送られる作りになっている。
劇場公開版 (ver.1.0、98分) は2007年9月1日に公開された後、新作カット追加・台詞修正・CG修正を加えた ver.1.11 (101分) が2009年5月27日に DVD・Blu-ray 化された。続編『破』と接続する「予告編」(ver.1.11 末尾の次回予告) もこの段階で追加されている。以後の配信版・地上波放送版でも基本的に ver.1.11 が採用されている。
制作背景 — 株式会社カラーの設立と Rebuild 計画
庵野秀明は2006年5月、自身の名義による新たなアニメーション制作スタジオとして株式会社カラー (khara) を設立。同社設立の主目的の一つが、エヴァンゲリオン・シリーズを最初から作り直す Rebuild 計画の遂行だった。当初は4部作のうち1〜3作を比較的短期で公開し、最終作のみ遅れて公開する想定で発表されたが、結果として『序』(2007)、『破』(2009)、『Q』(2012)、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』(2021) と、14年に及ぶ長期プロジェクトとなる。1作目『序』は、カラーの最初の長編劇場作品であり、フルデジタル制作・社外スタッフを含む大規模布陣 (作画監督に松原秀典・黄瀬和哉・奥田淳・森山雄治・貞本義行) で、その後の Rebuild 計画全体の技術的・組織的雛形を作り上げる役割を担った。
主題歌・音楽 — 宇多田ヒカル「Beautiful World」と鷺巣詩郎
主題歌は宇多田ヒカルの書き下ろし楽曲「Beautiful World」。本作公開直前の2007年8月29日に配信限定シングルとして先行リリースされ、同年11月にはカップリング「Kiss & Cry」と両A面シングル『Beautiful World/Kiss & Cry』としてフィジカル発売された。劇中音楽は TVシリーズ・旧劇場版に続いて鷺巣詩郎が担当。TV版で印象的だった「DECISIVE BATTLE」「EM20」「Angel Attack」等の劇伴がそのまま流用されつつ、新劇場版用に再録・拡張された大編成オーケストラ曲が加えられている。後の『シン・エヴァ』(2021) では「Beautiful World (Da Capo Version)」が改めてもうひとつのテーマ・ソングとして使用されており、宇多田ヒカル × 新劇場版の協業は本作で始まり、シリーズ完結まで続くことになる。
興行成績と受賞 — 興行20.0億・公開105館
本作は2007年9月1日に全国105館で公開され、最終的に興行収入20.0億円・観客動員150万人を記録。1990年代のTVシリーズと旧劇場版の人気がそのまま劇場アニメに転化したことを示す数字となり、続編『破』(2009、興行40億円)・『Q』(2012)・『シン・エヴァ』(2021、興行102.8億円) と続く新劇場版4部作の興行的基盤を築いた。受賞歴としては、第31回日本アカデミー賞 優秀アニメーション作品賞、第13回アニメーション神戸 作品賞、2008年東京アニメアワード等を獲得しており、商業面・批評面の両方で 新劇場版1作目として成功裏に着地した作品となっている。
主要登場人物 — 新劇場版での再導入
新劇場版1作目である本作は、TV版以来12年ぶりに主要キャラクターを劇場スクリーンで再導入する役割を担う。碇シンジ (CV: 緒方恵美) は、本作冒頭の第3新東京市到着から初号機初出撃までを通じて、シリーズ象徴の14歳少年として再提示される。綾波レイ (CV: 林原めぐみ) は包帯姿の負傷描写からゲンドウとの関係まで、第六話 (ヤシマ作戦) を経てシンジとの距離が変化する一連の流れが圧縮的に描かれる。葛城ミサト (CV: 三石琴乃) はシンジを引き取りミッション指揮を執る NERV 作戦部長として、碇ゲンドウ (CV: 立木文彦) は司令としての姿で登場。渚カヲル (CV: 石田彰) は本作ラストの月面シーンに短く登場し、続編『破』への接続を担う。赤木リツコ (CV: 山口由里子) と 冬月コウゾウ (CV: 清川元夢) も TV版から引き続き同役で出演している。各キャラクターの詳細は エヴァンゲリオン登場人物 から順次掘り下げていく。
配信状況 (2026年5月時点)
2026年5月時点で確認できる主な配信状況は以下の通り (配信権は随時変動するため、視聴前に公式情報の再確認を推奨)。なお Netflix で見放題なのは TVシリーズと旧劇場版で、新劇場版4部作の Netflix 見放題提供は2026年5月時点では確認されていない。
- Amazon Prime Video — 新劇場版4部作 (『序』『破』『Q』『シン・エヴァ』) を見放題で提供。Prime 会員は追加料金なしで4作通しの視聴が可能。
- U-NEXT — 単体作品としての都度課金 (税込509円前後) で配信。31日間無料トライアル中にポイントを用いた視聴も可能。
- dアニメストア / Hulu / FOD / DMM TV / バンダイチャンネル / Lemino / TELASA — 見放題または都度課金で配信。
- Netflix — 新劇場版4部作の見放題提供は確認できず (2026年5月時点)。TVシリーズと旧劇場版のみ配信中。
関連作品 — 旧劇場版から新劇場版へ
本作の前段は、内容的には TVシリーズ『新世紀エヴァンゲリオン』(1995-96) および旧劇場版2作 『シト新生』(1997-03) / 『THE END OF EVANGELION』(1997-07) に当たる。新劇場版は旧シリーズの直接の続編ではなく、株式会社カラーによる別ルートでの再構築であり、本作以降は 『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』(2009)、『:Q』(2012)、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』(2021) と続いて完結する。観る順番の整理は エヴァンゲリオン観る順番ハブ を参照。
本ページの主な参考資料
本ページに記載した事実は、以下の一次情報および信頼性の高い二次情報を WebSearch / WebFetch で参照して記述している。記述の現状は2026年5月時点。
追加参照: ja.wikipedia「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」/ ja.wikipedia「Beautiful World/Kiss & Cry」/ eiga.com 映画情報「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」/ animatetimes / cinematoday / King Records 公式 / Filmarks / Amazon Prime Video / U-NEXT。