『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』は、2009年6月27日に公開された劇場アニメで、新劇場版4部作の第2作である。エヴァンゲリオンのパイロットとして戦う碇シンジらのもとに真希波・マリ・イラストリアスや式波・アスカ・ラングレーが加わり、使徒との連戦を経て第10使徒との決戦へと突き進む。旧作を大胆に再構築しつつ独自の物語へ舵を切り、続く『Q』のヴンダーやセントラルドグマ侵攻へと至る転換点として位置づけられる作品である。
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2009年6月27日に公開された新劇場版4部作の第2作『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』を、Wookieepedia 級の密度で解説する。真希波・マリ・イラストリアスの初登場、アスカの「式波」化、ヴンダーやセントラルドグマ侵攻へと連なる前段の連戦、ニア・サードインパクト、カヲルによる強制中断、そして興行成績、受賞歴、配信状況、続編『Q』への接続までを一本に網羅する。
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』は、2009年6月27日に公開された新劇場版4部作の第2作である。総監督・原作・脚本を庵野秀明、監督を摩砂雪・鶴巻和哉、メカニックデザインを山下いくと、音楽を鷺巣詩郎が手がけ、主題歌には宇多田ヒカル「Beautiful World -PLANiTb Acoustica Mix-」(2007年「Beautiful World」のリミックス版) を起用した。前作『序』(2007) で再構築されたTV版冒頭6話を引き継ぎつつ、本作からはオリジナル要素の比重が一気に増していく。真希波・マリ・イラストリアス (CV: 坂本真綾) がシリーズに初登場し、アスカも「惣流・アスカ・ラングレー」から「式波・アスカ・ラングレー」へと改名されるなど、TVシリーズや旧劇場版とは異なる別世界線である Rebuild の独自性が決定的なものとなった。興行収入40億円、全世界興行4,386万ドルを記録し、第33回日本アカデミー賞 優秀アニメーション作品賞、第9回東京アニメアワード 音楽賞を受賞している。終盤、シンジが第10の使徒に取り込まれたレイを救うべく初号機を覚醒させ、半ば意図的にサードインパクトを引き起こすクライマックスは「ニア・サードインパクト」と呼ばれ、続編『Q』(2012)、そして『シン・エヴァ』(2021) の物語前提となる極めて重要な分岐点となった。
あらすじ
物語の幕開けは、旧北極にあるNERVの基地「ベタニアベース」。エヴァ仮設5号機に乗る真希波・マリ・イラストリアスが、捕獲・凍結保存されていた第3の使徒の活動再開と暴走を食い止めるべく戦う場面から始まる。仮設5号機は大破しながらも、第3の使徒の撃破に成功する。舞台は第3新東京市へと移り、新2号機(エヴァ2号機改)とともに式波・アスカ・ラングレーが転入。アスカ、シンジ、レイの三角関係を縦糸に、シンジたちは第7の使徒、第8の使徒との戦いを重ねていく(TV版「使徒、侵入」に相当する、3機による迎撃作戦だ)。中盤に入ると、ゼーレとNERV、そしてゲンドウの思惑が交錯しはじめる。第9の使徒は捕食した3号機を媒体に姿を現し、これに乗っていたアスカが大きな代償を背負うことになる。クライマックスは第10の使徒戦だ。先に出撃した2号機と零号機は返り討ちにあい、レイの零号機は使徒に取り込まれてしまう。レイを救おうと初号機に乗ったシンジ、その想いに初号機が応えて覚醒し、第10の使徒は撃破される。だがその代償として、サードインパクトの発動(ニアサードインパクト)が始まってしまう。直後、月から飛来したエヴァンゲリオンMark.06に乗る渚カヲルがカシウスの槍を投擲。初号機を貫いて強制的に事態を中断させる。シンジが「やった」と呟くと画面は暗転し、物語は『Q』へと接続していく。
TV版からの分岐
本作で、TVシリーズおよび旧劇場版との分岐が決定的になる。最大の差分は2点だ。第一に、真希波・マリ・イラストリアス(CV: 坂本真綾)という、TV版・旧劇場版には存在しなかった新キャラクターがシリーズに初登場する。冒頭の旧北極ベタニアベース戦、終盤の3号機テストなどで重要な役割を担う。マリの設定や背景、組織への所属は本作では意図的に伏せられ、続編『Q』『シン・エヴァ』にかけて段階的に明かされていく構造になっている。第二に、アスカが「惣流・アスカ・ラングレー」から「式波・アスカ・ラングレー」へと改名された。出自や身分、年齢上のニュアンスにも僅かな違いがあり、「式波」のアスカが旧劇場版のアスカと同一人物ではないことが明確に示される。さらにレイの感情表現はより rõ ràng——いや、よりはっきりと描かれ、シンジが「父さんに褒められたから」と素直に答えるなど、TV版・旧劇とは異なる方向へキャラクターの内面が再造形されている。
ニア・サードインパクト
本作最大の見せ場は、終盤の第10の使徒戦である。第10の使徒に取り込まれたレイを救うため、シンジは戦いの続行を選ぶ。搭乗者の意思に呼応した初号機は、「疑似シン化第二形態」と呼ばれる強制覚醒状態へと突入した。第10の使徒は殲滅されるが、その代償として、地球規模のサードインパクトが発動しかける。これが新劇場版独自の概念「ニア・サードインパクト」である。発動はその直後、月から飛来したエヴァンゲリオン Mark.06 に乗る渚カヲルによって強制中断される。カヲルは初号機にカシウスの槍を突き立て、その動きを止めるのだ。旧劇場版の自己犠牲とは異なり、シンジはヒロインを救うために自ら世界を壊しかける道を選ぶ。そして、それを食い止めるのが「敵の少年」であるカヲルなのである。この構図の反転こそ、新劇場版が旧シリーズの単なる再演ではないことを最も鮮烈に物語る場面であり、続編『Q』『シン・エヴァ』へと連なるすべての物語の前提となっている。
制作背景
本作は前作『序』で確立した株式会社カラーのフルデジタル制作体制を引き継ぎ、シナリオ面ではオリジナル要素の比重を大幅に高めた。上映時間は前作 (98分) より10分以上長い。TV版「アスカ来日」「3号機テスト」「使徒、侵入」のモチーフを再構成しつつ、マリの初登場と新2号機の存在、ベタニアベース、月面 Mark.06、ニアサーといった完全新規の要素を物語の中心に据える。作画監督には鈴木俊二・本田雄・松原秀典・奥田淳という、新劇場版の核となる主要アニメーターが顔を揃えた。3機による第8の使徒迎撃や、第10の使徒戦での覚醒シーンは、CGと手描き作画を高い次元で融合させたハイブリッドとして、日本アニメ映画の一つの到達点と評価された。
本作はまず劇場公開版 ver.2.0 (108分) として2009年6月27日に公開された。続いて新作カットの追加と台詞修正を加えた ver.2.22 (111分49秒) が、2010年5月26日にDVD・Blu-ray化されている。以後の配信版や地上波放送版でも、基本的にこの ver.2.22 が採用されている。
主題歌・音楽
主題歌は宇多田ヒカルの「Beautiful World -PLANiTb Acoustica Mix-」。前作『序』の主題歌「Beautiful World」(2007) を、よりアコースティック志向のミックスへとリアレンジしたもので、本作 (2009) のエンドロールを彩る。劇中音楽は引き続き鷺巣詩郎が手がけた。第8の使徒迎撃シーンの「The Final Decision We All Must Take」、第10の使徒覚醒シーンの「Sin from Genesis」など、本作で初めて披露され、後年のシリーズや二次創作でも繰り返し引用される代表曲が複数生まれている。本作は第9回東京アニメアワードで音楽賞を受賞しており、鷺巣の劇伴はいまや新劇場版2作目以降のシリーズを象徴する要素のひとつになっている。
興行成績と評価
2009年6月27日に公開された本作は、国内興行収入40億円を記録した。前作『序』の20.0億円からほぼ倍増であり、新劇場版がシリーズとして観客動員の面でも順調に拡大していることを裏づける数字となった。全世界興行は4,386万ドルに達し、海外に配給された日本アニメ映画としても代表的な成功例の一つに数えられる。受賞歴も華やかだ。第33回日本アカデミー賞 優秀アニメーション作品賞、第9回東京アニメアワード 音楽賞をはじめ、複数のアニメ・映画賞に輝いた。観客評価でも本作はシリーズ随一の支持を集めており、Filmarks や映画.com などの集計では、新劇場版4作のなかでとりわけ高い得点を保ち続けている。マリの登場、アスカの新たな描き方、そして初号機覚醒シーンの圧倒的な作画力 — 本作は、その後の Rebuild 計画へ寄せられる期待を最大限にまで高めることに成功した。
主要登場人物
本作の声優陣は前作からの続投に加え、新キャラクターの真希波・マリ・イラストリアス(CV:坂本真綾)が初登場する。マリは旧北極ベタニアベースでの冒頭戦闘からシリーズに合流するが、3号機テスト前後の場面では、その所属組織や目的が物語のなかであえて伏せられたまま提示される。式波・アスカ・ラングレー(CV:宮村優子)は本作から「惣流」ではなく「式波」を名乗り、第9の使徒との戦いで重大な代償を負う。碇シンジ(CV:緒方恵美)は終盤、レイを救うために世界を壊しかける選択へと踏み出す主人公として描き直された。綾波レイ(CV:林原めぐみ)、葛城ミサト(CV:三石琴乃)、碇ゲンドウ(CV:立木文彦)、赤木リツコ(CV:山口由里子)、渚カヲル(CV:石田彰)、冬月コウゾウ(CV:清川元夢)は、引き続き同じ役で出演する。各キャラクターの詳細は「エヴァンゲリオン登場人物」から順に掘り下げていく。
配信状況
2026年5月時点で確認できる主な配信状況は以下の通りだ(配信権は随時変動するため、視聴前に公式の最新情報を確認しておきたい)。
関連作品
本作は『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』(2007)の直接の続編にあたり、ニア・サードインパクトとカヲルによる強制中断という形で、次作『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』(2012)へと接続していく。さらにその先の完結編が『シン・エヴァンゲリオン劇場版』(2021)である。一方、新劇場版4部作と旧シリーズ(TVシリーズ/『シト新生』/『THE END OF EVANGELION』)は、別の世界線として並走する関係にある。観る順番の整理については、エヴァンゲリオン観る順番ハブを参照してほしい。
本ページの主な参考資料
本ページに記載した事実は、以下の一次情報および信頼性の高い二次情報を WebSearch / WebFetch で参照して記述している。記述の現状は2026年5月時点。
追加参照: ja.wikipedia「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」/ ja.wikipedia「第33回日本アカデミー賞」/ 『破』公式 evangelion.jp/2_0/ / eiga.com 映画情報「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」/ Fandom 新世紀エヴァンゲリオン Wiki / Filmarks / Amazon Prime Video / U-NEXT。
Key terms in this work
11本作で重要な用語
本作を理解するうえで押さえておきたいエヴァンゲリオン用語へのショートカット。各リンク先は本サイトの用語集ページに接続し、設定・劇中での扱い・新旧シリーズでの差分・関連用語をまとめている。
Main characters in this work
本作の主要登場人物
本作の鍵を握る登場人物のページへ、ここから直接たどれる。リンク先はいずれも当サイトの登場人物事典で、プロフィール、来歴、人物どうしの関係、名場面、担当声優までを一覧として整理している。