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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q 2012 完全ガイド

2012年11月17日に公開された新劇場版4部作の3作目『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』を Wookieepedia 級に解説。『破』からの14年経過設定、反ネルフ組織ヴィレ(WILLE)と AAA ヴンダー、エヴァ13号機(シンジ+カヲル

媒体: 劇場版アニメ 公開: 2012年11月17日 監督: 摩砂雪/鶴巻和哉/前田真宏/庵野秀明(総監督)
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q 2012 完全ガイド 公式ポスター

作品データ

作品
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q
媒体
劇場版アニメ
公開
2012年11月17日
監督
摩砂雪/鶴巻和哉/前田真宏/庵野秀明(総監督)
制作
スタジオカラー
公式予告編は
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📖 全13章 / 約6K字 🔄 最終更新 2026年5月26日 ✍️ Anna Movies 編集部

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』は、2012年11月17日に公開された新劇場版4部作の第3作である。前作『破』から14年が経過した荒廃した世界を舞台に、反ネルフ組織ヴィレ(WILLE)と戦艦AAAヴンダー、そしてカヲルとともにエヴァ13号機に搭乗するシンジをめぐって物語が展開する。シリーズ屈指の難解な展開で知られ、旧劇場版とは異なる新たな結末へ向かう転換点に位置づけられる。

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2012年11月17日に公開された新劇場版4部作の第3作『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』を、Wookieepedia 級の精度で読み解いていく。『破』からの14年経過という設定、反ネルフ組織ヴィレ(WILLE)と航空戦艦 AAA ヴンダー、エヴァ13号機(シンジとカヲルが搭乗)・Mark.09(レイ Q号)・Mark.06(カヲル搭乗)、ロンギヌスの槍とカシウスの槍、リリスの遺体に突き刺さった槍を抜くという選択、第12の使徒の復活と第13の使徒へと変えられたカヲル、フォースインパクトの強制中断、主題歌「桜流し」、興行成績、配信状況、そして続編『シン・エヴァ』への接続まで——その全貌を一本にまとめる。

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』は、2012年11月17日に47都道府県223館で公開された新劇場版4部作の第3作である。総監督・原作・脚本を庵野秀明、監督を摩砂雪・鶴巻和哉・前田真宏が務め、3人目の監督として前田真宏が新たに加わった。キャラクターデザインは貞本義行、メカニックデザインは山下いくと、音楽は鷺巣詩郎が手がけ、録音はロンドンの Air Lyndhurst Hall および Abbey Road Studios で The London Studio Orchestra とともに行われた。主題歌は宇多田ヒカルの「桜流し」。本作のために書き下ろされ、2012年11月17日にデジタル配信が先行した。配給は前2作のクロックワークスから T・ジョイ (東映系) とカラーの2社共同に切り替わり、興行体制も大きく変わっている。物語の舞台は、『破』終盤のニア・サードインパクトから14年が経過した世界。冒頭、宇宙空間に放出されていた初号機が反ネルフ組織ヴィレ(WILLE)の航空戦艦 AAA ヴンダーによって回収され、コールドスリープから目覚めたシンジは「お前は何もするな」というミサトの言葉を突きつけられる。やがてシンジは渚カヲルとともにエヴァ13号機に乗り込み、結果としてフォースインパクトを発動させかける。本編は95分(ver.3.0)/96分(ver.3.33)で構成され、興行収入52.6億円、観客動員382万6,472人を記録した。観客評価がシリーズで最も大きく割れた1作としても知られ、続編『シン・エヴァ』(2021) ですべての謎が回収されるまで、9年に及ぶ議論の起点となった作品である。

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あらすじ

本編は宇宙空間から幕を開ける。マリの8号機とアスカの改2号機(ベータ仕様)は、月から襲来する第10の使徒と交戦しながら、宇宙空間に投げ出されていた初号機の柩(リリン化された搭乗者ごと封印された装置)を回収する。初号機はヴィレ(WILLE)の航空戦艦 AAA ヴンダーに引き上げられ、コールドスリープから目覚めた碇シンジは、葛城ミサト指揮下のヴィレが反ネルフ組織として動いていることを知る。ミサトはシンジに「お前は何もするな」「初号機には二度と乗るな」と告げ、彼の胸には、再びインパクトを引き起こした場合にエヴァごと爆死させる安全装置「DSS チョーカー」が掛けられる。やがてヴンダーを離れたシンジは、ネルフ本部跡(大半が崩壊した第3新東京市)で渚カヲルと再会する。ピアノの連弾を経て、二人はエヴァ13号機(双子の機体・搭乗者2人体制)の同期テストへと向かう。一方ヴィレは、ネルフ撃滅のためヴンダーで本部攻撃を仕掛けるが、Mark.09(レイ Q号)にヴンダー回収を妨害される。クライマックスでは、セントラルドグマに突入したエヴァ13号機を駆るカヲルとシンジが、リリス遺体に突き刺さるロンギヌスの槍とカシウスの槍を「ヤマト作戦・サクリファイス」として抜いてしまう。この行為が引き金となってリリスの体は崩れ、Mark.06 の体内に封印されていた第12の使徒が復活、それを取り込んだ13号機が覚醒してフォースインパクトが始動する。カヲルは、自身が「第1の使徒」であったこと、そして第12に浸食されたことで「第13の使徒」となったことを告げ、DSS チョーカーを作動させて自害する。最後はマリの8号機が13号機からエントリープラグごとシンジを射出し、ガフの扉が辛うじて閉じてフォースインパクトは中断される。地表に降ろされたシンジ・アスカ・レイ(Q) が地平線へ歩き出す場面で、本編は幕を閉じる。

あらすじ

14年経過の世界

本作最大の構造的特徴は、前作『破』の直後(時間的にはほぼ連続)ではなく、「14年経過した別世界」を冒頭からいきなり提示する点にある。シンジが原因者として封印されている間に、地表は赤化し、海はオレンジに変質した。ニア・サードインパクトの被害のなか、人類は細々と生き延びている(この生存域の一部が、次作『シン・エヴァ』の第3村として描かれる)。ネルフは事実上、ゲンドウ・冬月・カヲルの少人数組織にまで縮小し、リリスを抱えた本部だけが残る。一方、葛城ミサトを中心とする旧ネルフ職員と民間人は、ネルフを敵とする独立組織ヴィレ(Wille=独語で「意志」)を結成。海中・地中・空中を自在に航行する全長390メートルの航空戦艦AAAヴンダー(ドイツ語で「奇跡」)を旗艦に据える。ヴンダーは回収された初号機を主機(動力源/支配源)とした移動要塞であり、いわばエヴァを動力炉化した艦だ。本作と『シン・エヴァ』の戦闘シーンの中核を担う。第3新東京市は半壊状態でしか描かれず、第3の使徒以前の世界は完全に過去のものとして処理されている。シンジに向けられる周囲の冷淡さは、公開当時の観客の困惑を招く主因となった。だが、14年間にわたって彼が事実上「世界を壊した張本人」として封印されてきたという物語前提を踏まえれば、これは筋の通った振る舞いなのである。

14年経過の世界

エヴァ13号機・Mark.09・Mar…

本作の核となるのは、エヴァ13号機(双子型で、搭乗者は2名体制)によるロンギヌスの槍とカシウスの槍の引き抜きだ。リリスの遺体に突き刺さっていたこの2本の槍は、本来「サードインパクトを起こさない」ための封印として機能していた。だが、シンジとカヲルが2人で同時に引き抜けば、それはゲンドウと冬月の真の狙いであった「アディショナルインパクトを発動させるための鍵」へと変わる。槍を抜いた結果、Mark.06の体内に封印されていた第12の使徒が解放され、13号機内のカヲルへと浸食する。カヲルは「第1の使徒」から「第13の使徒」へと変質し、契約により殲滅対象となってしまう。これを受けてDSSチョーカーが起動し、カヲルは自らの意思とは別に絶命する。Mark.09(レイQ号)は、ヴィレによるヴンダー強奪を阻止するためにゲンドウ側が送り出した存在で、外見こそレイ型だが、コアにはアダムスの器・ナガラの魂が埋め込まれている。一方のMark.06はカヲル専用機であり、かつて月から襲来したこの機体がカシウスの槍で『破』終盤の初号機を強制停止させ、ニア・サードインパクトを中断させた——その経緯がここで改めて確認される。本作に登場する3機(13号機・Mark.09・Mark.06)は、いずれも従来のエヴァ「3+α号機」の系譜には属さず、シリーズ独自の概念に深く食い込む特殊機体として提示されている。

エヴァ13号機・Mark.09・Mar…

制作背景

『Q』が公開されたのは2012年11月17日。前作『破』(2009年6月) から3年5か月という長い空白を経ての登場である。制作は引き続き株式会社カラーが手がけ、フルデジタル工程と社外スタッフを含む大規模な布陣を維持した。本作では『破』までの摩砂雪・鶴巻和哉に加え、前田真宏が3人目の監督として参加。特殊空間の描写やヴンダー艦内、セントラルドグマといったシーンを担当している。配給は前2作のクロックワークスから、T・ジョイ (東映系) とカラーの2社共同へと切り替わった。東映系の劇場流通網に乗ったことで上映規模は大きく広がり、47都道府県223館での公開となった。ただし、劇場初公開版 (ver.3.0) は完全な完成版ではない。BD・DVD の発売 (2013年4月24日) に合わせ、作画・台詞・CG を修正した ver.3.33 が、改めて完成版と位置づけられた。さらに『シン・エヴァ』公開直前の2021年1月9日〜22日には、IMAX/MX4D/4DX 向けにシーンを2K で再撮影し直した ver.3.333 が短期間だけ上映されている。現在配信されているのは ver.3.33 が中心だ。観客の評価は大きく二分し、その後の『シン・エヴァ』 (2021) は、本作への事後評価をも塗り替えうる作品として長く待ち望まれることになった。

制作背景

主題歌・音楽

主題歌は宇多田ヒカルの「桜流し」。2012年11月17日の公開と同時にデジタル配信で先行リリースされ、2010年11月のコンピレーション・アルバム『Utada Hikaru SINGLE COLLECTION VOL.2』以来、約2年ぶりの新曲となった。宇多田はこの時点でなお「人間活動」中であり、本曲は特例として書き下ろされたものである。庵野秀明監督からの依頼は「映画の展開には沿わず、今宇多田さんが思うこと、感じていることを歌にしてほしい」というもので、宇多田は本作のストーリーをほとんど知らないまま「桜流し」を作詞作曲した。劇中音楽は引き続き鷺巣詩郎が手がけている。ロンドンの Air Lyndhurst Hall および Abbey Road Studios で The London Studio Orchestra とともに大編成のオーケストラ録音をおこない、マスタリングは米国ハリウッドの Patricia Sullivan Fourstar が担当。ハリウッドの大作映画にも引けを取らない音響制作体制で仕上げられた。Mark.09 戦で流れるヴンダーの楽曲「The Wrath of God in High Velocity」、エンディングに先立つ「The Anthem」など、本作で生まれた劇伴は『シン・エヴァ』にも引き継がれている。

主題歌・音楽

興行成績と評価

本作は2012年11月17日に公開され、最終的に国内興行収入52.6億円 (52億6,737万3,350円)、観客動員382万6,472人を記録した。前作『破』(40億円) を上回る数字であり、新劇場版シリーズの観客動員規模が引き続き拡大していることを示している。一方、観客評価という点では、本作はシリーズで最も賛否が割れた1作として知られる。「14年経過設定への困惑」「シンジの境遇への厳しさ」「カヲルの扱い」「説明不足と感じられる新概念群」などが議論の的になった。Filmarks・映画.com・X (旧Twitter) などでも、新劇場版4作のなかでは相対的に低めの平均評価で推移している。ただし、続編『シン・エヴァ』(2021) で物語・設定・キャラクターの行末が回収されたのちは、Qで描かれた出来事と省略の意味が遡及的に再評価される傾向にある。シリーズ完結後に観返すと印象が変わる作品として位置づけられている。

興行成績と評価

主要登場人物

本作の登場人物は、ヴィレ陣営と縮小したネルフ陣営の2グループに分かれる。碇シンジ(CV: 緒方恵美)は14年の封印を経て覚醒する主人公で、本作を通じて最も苛烈な疎外と挫折を味わう。渚カヲル(CV: 石田彰)はネルフ側に身を置き、エヴァ13号機でシンジとペアを組むが、終盤に第13の使徒として殲滅の対象となり、DSSチョーカーで自ら命を絶つ。真希波・マリ・イラストリアス(CV: 坂本真綾)と式波・アスカ・ラングレー(CV: 宮村優子、本作では左目に眼帯を着ける)は、いずれもヴィレ側のエヴァパイロットだ(8号機/改2号機ベータ)。葛城ミサト(CV: 三石琴乃)はヴィレの指揮官、赤木リツコ(CV: 山口由里子)はその副司令を務め、青葉シゲル、日向マコト、伊吹マヤ、北上ミドリ、多田ケンスケらもヴィレ艦橋のメンバーとして名を連ねる。一方、ネルフ側に立つのは主に碇ゲンドウ(CV: 立木文彦)と冬月コウゾウ(CV: 清川元夢)。レイQ号(Mark.09搭乗)は綾波レイの「型」ではあるものの、従来のレイとは別の存在として描かれる(CV: 林原めぐみ)。各キャラクターの詳細は、エヴァンゲリオン登場人物から順に掘り下げていきたい。

主要登場人物

配信状況

2026年5月時点で確認できる主な配信状況は以下の通り(配信権は随時変動するため、視聴前に公式情報を改めて確認してほしい)。配信されているのは基本的に ver.3.33(96分版)で、劇場公開版の ver.3.0(95分)や ver.3.333(IMAX、2021)は、2026年5月時点では一般に配信されていない。

配信状況

関連作品

本作は『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』(2009) の直接の続編にあたり、ニア・サードインパクトから14年が過ぎた世界を描く。発動しかけたフォースインパクトを強制的に中断し、地表へ降ろされたシンジ・アスカ・レイ(Q) が次作の「第3村」へとつながっていく。この構造が完結編『シン・エヴァンゲリオン劇場版』(2021) でようやく総括される。新劇場版4部作は『序』(2007)、『破』(2009)、『Q』(2012)、『シン・エヴァ』(2021) の順に観るのが基本だ。一方、TVシリーズ (1995-96) と『シト新生』(1997)・『THE END OF EVANGELION』(1997) の旧シリーズは、別の世界線として並走する。観る順番の整理はエヴァンゲリオン観る順番ハブを参照されたい。

関連作品

本ページの主な参考資料

本ページに記載した事実は、以下の一次情報および信頼性の高い二次情報を WebSearch / WebFetch で参照して記述している。記述の現状は2026年5月時点。

追加参照: ja.wikipedia「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」/ ja.wikipedia「桜流し」/ 『Q』公式 evangelion.jp/3_0/ / eiga.com 映画情報「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」/ Filmarks / Amazon Prime Video / U-NEXT / eva-fan.com 物語解説。

Key terms in this work

本ページの主な参考資料

11本作で重要な用語

本作を理解するうえで押さえておきたいエヴァンゲリオン用語へのショートカット。各リンク先は本サイトの用語集ページに接続し、設定・劇中での扱い・新旧シリーズでの差分・関連用語をまとめている。

Main characters in this work

本作で重要な用語

本作の主要登場人物

本作で重要な役割を担う登場人物への、各ページへのショートカットである。リンク先は本サイトの登場人物事典につながっており、プロフィールや来歴、人物どうしの関係性、名場面、担当声優までを整理して紹介している。

本作の主要登場人物