エヴァンゲリオン百科事典

百科事典記事

新劇場版の各映像バージョン比較

1.0から3.0+1.11までの違い、初公開版・映像商品版・4K版の選び方

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』と『シン・エヴァンゲリオン劇場版』には、1.0・1.01・1.11、2.0・2.22、3.0・3.33・3.333、3.0+1.0・3.0+1.01・3.0+1.11という複数の版番号があります。これらは基本的に、劇場公開後の画・音の再調整、新作カットや一部内容の変更、映像商品の仕様を識別する番号です。別の世界線や続編番号として数えず、どの版が何を基に作られ、現在どの商品で見られるかを作品別に比較します。

ネタバレ:物語の重大な結末には踏み込みませんが、各作の収録形態、追加カット、映像仕様、公開順を説明します。

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序のストーリービジュアル
『:序』公式ストーリーページの作中ビジュアル。

版番号は何を意味するのか

公式説明では、各作品の英題に付く数字は、映像ソフト発売などに際して作品へ再調整や内容変更を行う時、バージョン番号のように更新されています。小数点以下が増えるほど物語上の時代が進む、エヴァの機体番号が変わる、という意味ではありません。同じ映画の異なる仕上げを識別するための表記です。

変更の範囲は全作品で同じではありません。1.01は画・音の再調整、1.11はさらに新作カットを追加します。2.22も再調整と新作カットを含みます。3.33は画・音の再調整、3.333は全カットの2K再撮影と一部内容変更を伴います。3.0+1.01と3.0+1.11は段階的に画・音を再調整しています。

数字を読む基本
  • 整数部は作品順と対応するが、小数部は主に版の更新を示す。
  • 初公開日は.0の劇場公開日。後発版の発売日で置き換えない。
  • 追加カットがあっても別の続編として記事数へ加算しない。
  • 場面単位で比較する場合は、参照した版番号と媒体を明記する。

全バージョン早見表

作品劇場公開版
[[film-evangelion-1-0|:序]]1.0
[[film-evangelion-2-0|:破]]2.0
[[film-evangelion-3-0|:Q]]3.0
[[film-evangelion-3-0-plus-1-0|シン・エヴァ]]3.0+1.0

『:序』―1.0・1.01・1.11

EVANGELION:1.0は2007年9月1日の劇場公開版です。公式Complete BOXでは当時のフィルムマスターをHDテレシネした形で収録されます。後発のデジタル商品版から単純にフレームを書き戻したものではなく、公開時のフィルム由来の見え方を確認する版です。

1.01は2008年4月25日発売のDVDのため、1.0のデジタルマスターへ画・音の再調整を施した版です。当時のDVDは調整後の映像を35ミリフィルムへプリントし、HDテレシネして収録しました。Complete BOXでは、その元になったデジタルマスターも区別して収録されます。

1.11は2009年5月27日のBlu-ray・DVD向けに、1.01をさらに再調整し、新作カットを追加した版です。初めて見る人が現在の映像商品から選ぶ場合は1.11が分かりやすく、劇場公開時の色や編集、フィルム工程を研究する場合は1.0と1.01を比較する価値があります。

『:破』―2.0・2.22

EVANGELION:2.0は2009年6月27日の劇場公開版です。公式Complete BOXではデジタルマスターを収録し、公開当時の編集を確認できます。物語の初公開版を指す時は『2.0』、作品名として一般化する時は『:破』と使い分けます。

2.22は2010年5月26日のBlu-ray・DVD向けに、2.0へ画・音の再調整と新作カットを加えた版です。公式商品ページの本編尺は111分49秒です。追加場面が人物関係や日常の呼吸を補っても、第9の使徒事件、第10の使徒戦、ニアサードインパクトという作品の基本的な到達点は同じです。

2.22の4K Ultra HD Blu-rayは、Blu-ray用のHD映像を使用して4K化し、色域はBT.709内で再現すると公式に説明されています。4Kディスクという媒体名だけで、元素材がネイティブ4KまたはHDRだと推測してはいけません。

『:Q』―3.0・3.33・3.333

EVANGELION:3.0は2012年11月17日の劇場公開版です。3.33は2013年4月24日のBlu-ray・DVD向けに、3.0のデジタルマスターへ画・音の再調整を行った版です。『3.33』の最後の3を、三部作の第3作という意味だけで説明すると、調整版である役割が抜けます。

3.333は3.33の全カットを2K解像度で再撮影し、一部内容を変更した版です。2021年1月8日から期間限定でIMAX上映され、同年8月25日に4K UHD Blu-rayとBlu-rayとして発売されました。公式の3.333商品では本編96分とされ、撮影・特技工程を分解したBreakdownなどの特典も収録されます。

3.333の4K UHDはIMAX上映用にマスタリングした映像を使用し、SDRながらBT.2020の色域を採用します。1.11・2.22の4K化とは元素材と規格の説明が異なるため、新劇場版4作の4Kディスクを一律の工程と見なしません。

『シン・エヴァ』―3.0+1.0・3.0+1.01・3.0+1.11

EVANGELION:3.0+1.0は2021年3月8日の劇場公開版です。3.0+1.01はそのデジタルマスターへ画・音の再調整を行い、同年6月12日から劇場上映、8月13日から映像配信された版です。終盤だけを追加した別エンディングではなく、同じ完結編の調整版です。

3.0+1.11は2023年3月8日の4K UHD Blu-ray、Blu-ray、DVD向けに、3.0+1.01へさらに画・音の再調整を行った版です。4K UHDはIMAX上映用にマスタリングされた映像と同じ仕様で、SDR・BT.2020色域と公式に説明されています。

映像商品には『EVANGELION:3.0(-46h)』『EVANGELION:3.0(-120min.)』などの映像特典もあります。これらは本編版番号の差分そのものではなく、『:Q』前後を補う別収録の短編です。3.0+1.11本編へ無記名で挿入された追加場面として数えません。

4K UHDの違い―解像度、色域、マスター

4K UHDというディスク規格と、制作時の元素材解像度は別です。1.11と2.22の4K UHDは、公式説明ではBlu-ray用HD映像を使用して4K化し、BT.709内の色域で再現します。3.333はIMAX用マスターを使い、3.0+1.11はIMAX用と同じ仕様で、両作はBT.2020色域のSDRです。

SDRはHDRより劣るという一語では評価できません。作品側が採用したマスター、色域、表示機器の対応が揃って初めて意図した画面になります。HDR対応テレビで再生しても、収録信号自体がHDRへ変わるわけではありません。

版を選ぶ時は『4Kだから最新版』だけで決めず、見たい本編版、ディスクの再生環境、音声仕様、特典を確認します。1.0や2.0の公開版はBlu-rayでのみ全版BOXへ収録され、最新版だけの通常BOXとは収録対象が異なります。

Complete BOXと通常Blu-ray BOXの収録差

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』+『シン・エヴァンゲリオン劇場版』Complete Blu-ray BOXは、主要な全本編バージョンを収録する初回限定商品です。1.0、1.01、1.11、2.0、2.22、3.0、3.33、3.333、3.0+1.0、3.0+1.01、3.0+1.11を版番号のまま比較できます。

通常のBlu-ray BOXは、1.11、2.22、3.333、3.0+1.11という各作の後発版を中心に収録します。初めて4作を通して見る用途には簡潔ですが、劇場公開版や中間版をすべて見比べる商品ではありません。

Full Complete Blu-ray BOXは、上記の新劇場版群に加えてTVシリーズ・旧劇場版を含む体系です。『Full』という語が新劇場版本編のさらに新しい版を意味するのではなく、収録するシリーズ範囲が広いことを示します。

目的別にどの版を選ぶか

目的選び方
初めて4作を見る1.11→2.22→3.333→3.0+1.11。後発の本編版で統一しやすい。
劇場公開時の編集を追う1.0→2.0→3.0→3.0+1.0。初公開版を版番号付きで見る。
制作上の修正を比較する各作品の公開版・中間版・後発版を同じ場面で比較する。
4K環境を使う1.11・2.22と3.333・3.0+1.11でマスター/色域説明が違うことを確認する。
特典短編も見る本編版番号とSpecial Disc・映像特典の作品名を分ける。

物語を理解するだけなら、全中間版を必ず見る必要はありません。後発4版を公開順に見ればシリーズの筋を追えます。一方、映像制作や公開史を研究する場合、変更前の版は『古いので不要』ではなく、当時観客が見た編集を残す資料になります。

正確に比較するための記録方法

差分を記録する時は、作品名、版番号、媒体、再生時間位置、比較対象を一組にします。たとえば『:Qの色が違う』ではなく、『3.33 Blu-rayと3.333 Blu-rayの同一カットで撮影・色の見え方を比較』と書けば、物語差と再生環境差を切り分けられます。

テレビの映像モード、プレイヤーのHDR変換、配信サービスの圧縮、キャプチャー方法でも見え方は変わります。公式が明示する再調整・新作カット・一部内容変更と、視聴者側の機器差を同じ根拠にしません。

各作品の記事では物語を中心に説明し、この比較記事では版の成立と視聴方法を扱います。特定カットの詳細な全差分を追加する場合は、公式説明または実際の正規媒体を照合し、推測で修正数を数えません。

よくある疑問

数字が大きい版ほど物語の続きですか

違います。作品順は1→2→3→3+1ですが、1.01・1.11や3.33・3.333は同じ映画の更新版です。

最新版だけ見れば旧版は不要ですか

物語を追うだけなら後発4版で十分です。公開史、編集、色、音、追加カットを研究する場合は旧版にも固有の価値があります。

4K UHDはすべてネイティブ4K・HDRですか

違います。1.11・2.22はHD映像からの4K化でBT.709、3.333・3.0+1.11はIMAX用マスター系の仕様でSDR・BT.2020と公式に説明されています。

3.0+1.01と3.0+1.11で結末は変わりますか

公式説明は画・音の再調整としており、別結末の映画ではありません。場面を引用する場合だけ参照版を示します。