物語 / 単行本
単行本第24巻
『HUNTER×HUNTER』単行本第24巻「1-④」を解説。王とコムギ、ノヴの潜入、パームの偵察、モラウ対レオル、宮殿突入準備を整理する。
単行本第24巻「1-④」は2007年10月4日に発売され、No.248からNo.260までを収録する。王とコムギの軍儀、討伐隊の宮殿侵入準備、東ゴルトー国民の選別動員が進む。
王は自ら腕をちぎって謝罪し、コムギを鷲から守る。一方、ノヴは宮殿内へ出口を設置して精神的に退き、パームはビゼフの経路で潜入する。

No.248からNo.260を収録する単行本第24巻の書影 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博

軍儀を通じて王の判断を変えるコムギ 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博

宮殿内部へ出口を設置するノヴ 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博

ビゼフの経路で宮殿へ潜入するパーム 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博
基本情報
| 媒体 | 漫画単行本 |
|---|---|
| 巻数 | 第24巻 |
| 巻題 | 1-④ |
| 発売日 | 2007年10月4日 |
| 収録話 | No.248〜No.260 |
チータゥの空間を破るモラウ
チータゥは新しい念空間へモラウを閉じ込め、自分に触れれば解除できる鬼ごっこを課す。しかし待つことが苦手で、相手の反応を確かめに近づく。
モラウは煙で作った縄を草へ隠し、接近したチータゥを捕らえる。速さで追うのではなく、本人が動かずにいられない性格を条件へ使う。
能力空間の規則が有利でも、使用者が目的を我慢できなければ崩れる。発の性能と戦術を扱う成熟度が別であると示す。
捕らえたフラッタから得る視界
モラウはノヴと合流し、気絶させたフラッタを確保する。トンボ型兵士の能力は遠方の映像を得る偵察に適している。
討伐隊は敵の身体と能力を潜入に利用する可能性を得る。倒すだけでなく、生かして情報経路を奪う判断である。
一方、蟻側も人間の念能力を借りたり解析したりする。能力者の確保が両陣営にとって戦力と情報の獲得になる。
腕をちぎった王の謝罪
王は軍儀でコムギを侮り、覚悟を軽く見た代価として自分の左腕をちぎる。言葉の謝罪だけでなく、彼女が賭けた命へ釣り合う傷を自分へ課す。
プフは治療を受けるよう懇願するが、王は当初拒む。コムギも王が治さなければ対局を続けないと主張し、盤上の相手として条件を返す。
王は彼女の要求を受け、ピトーの治療を許す。絶対的な命令者が、力を持たない棋士の拒否によって行動を変える。
治療中に消えた円
ドクターブライスで王の腕を治す間、ピトーは大きなオーラを治療へ固定され、広い円と人形操作を維持できない。
ノヴは宮殿周辺の監視が弱まる短い時間を侵入機会と判断する。敵の負傷が、討伐隊へ偶然の窓を与える。
王の謝罪という私的な出来事が、宮殿警備の配置へ波及する。コムギとの対局は戦場外に見えて、突入作戦の可否を変える。
三つの出口を置いたノヴ
ノヴは四次元マンションへつながる出口を宮殿付近へ設置し、仲間が突入できる経路を作る。入口を隠したまま複数地点を確保する。
中央階段へ近づいた時、プフのオーラへ触れ、姿を見る前に強烈な恐怖を受ける。見つかれば作戦全体が露見する状況で、反撃より撤退を選ぶ。
三か所の設置は成功しても、本人は精神的に壊れ、同じ形で宮殿へ戻れなくなる。任務の成果と実行者の損耗が同時に残る。
ビゼフの車で入るパーム
パームは女性を宮殿へ集めるビゼフの私的な経路を利用し、地下へ潜入する。正規兵として門を通るのではなく、腐敗した権力者の習慣へ紛れる。
役目は王と護衛軍を能力で観測し、突入隊へ位置情報を渡すことにある。発見された時は情報を渡さない覚悟まで持つ。
ノヴが入口を作る物理的な潜入に対し、パームは内部で対象を見る偵察を担う。同じ宮殿侵入でも成功条件が異なる。
地下教会のレオル対モラウ
レオルは友人グラチャンから借りた能力を使い、地下教会へ大量の水を出してモラウを追い込む。閉鎖空間を水没させ、呼吸の限界を狙う。
モラウは長い潜水経験による肺活量を持ち、煙の兵を水中でも利用する。相手が想定した窒息時間を越えて行動する。
二酸化炭素を増やすことでレオルの呼吸を奪い、借りた能力の環境を逆用して倒す。能力の出所を知ること以上に、使用場所の物理条件を読む。
自分の名を知らない王
軍儀で勝てない王は、コムギという名を改めて意識し、自分には個人名がないことへ気づく。護衛軍へ尋ねても、王という役割を答えられるだけで満足できない。
プフは王を絶対者として説明し、ピトーやユピーも役割から離れた名を持たない。王は力と地位だけでは個としての問いが埋まらないと知る。
コムギは盤上の強さで王に未知の価値を見せる。支配できる相手の名前を知ったことが、自分の名を求める逆向きの問いを生む。
鷲からコムギを守る
王は一度、弱者を破壊する自分の力を肯定し、コムギを殺すつもりで部屋へ向かう。しかし中では盲目の彼女が鷲に襲われている。
王は反射的に鷲を殺し、傷ついたコムギを抱える。殺しに来た目的と守った行動が一致せず、自分の感情を理解できない。
幼い人間を殺した過去を一瞬悔いる思考と、弱者を壊す宣言が同じ巻に置かれる。変化は直線的な改心ではなく、相反する判断の往復として進む。
選別へ動員される国民
東ゴルトーの住民は宮殿前へ強制的に移動させられ、プフの鱗粉で意識を操作される。既存の独裁体制が大量動員の道具になる。
王側は多数から念へ適応する者を選ぶ計画を進める。会場へ集まるまでの移動だけでも市民へ大きな負担と犠牲を課す。
討伐隊はノヴを除くメンバーで突入準備を整える。個人戦の勝利だけでなく、選別開始前に王と護衛軍を分断する時間制限を負う。
第24巻の数字題が示す時間
収録話の題名には六、五、二、一と数字が続き、複数の場所の時間を細かく切り替える。出来事を単純な章題より、突入までの残りへ近づける。
王とコムギの対局、ノヴの潜入、パームの偵察、モラウの戦闘は別々に進むが、すべて宮殿突入時の配置を変える。
巻末で準備が整っても、護衛軍の能力と国民の安全は解決していない。次巻の零時突入は、この一冊で作られた入口と損失を引き継ぐ。
突入準備を変えた王の私的な時間
チータゥの能力は圧倒的な速度を生かして逃げ続ければ有利だが、本人は相手が困る姿を近くで見たがる。能力設計が使用者の性格と噛み合っていないため、モラウは脚力を上回らずに捕まえられる。新しい発を得ることと自分を理解することは別である。
フラッタを生け捕りにした成果は、イカルゴが死体を利用する後の作戦へつながる。捕虜から任意に能力を借りるのではなく、遺体という条件を介するため、生存状態と利用方法を分ける必要がある。討伐隊は敵の資源を即座に同じ形で使えるわけではない。
王の自傷はコムギが命を賭ける覚悟を侮った自分への処罰であり、彼女から要求された罰ではない。力の差を使って謝罪を受け入れさせず、自分の身体へ代価を置く。しかし腕を失えば統治や戦闘にも影響するため、護衛軍には個人間だけで済まない危機になる。
コムギが治療を対局再開の条件にすると、王の命令へ直接逆らう力を持たない人物が、軍儀という限定領域で王の行動を変える。彼女の強さは腕力や念の攻撃ではなく、王が代替できない対戦相手であることから生まれる。
ピトーの円が消える時間をノヴが利用できたのは、討伐隊が王の自傷を計画したからではない。敵側の私的な出来事を観測し、予定外の隙へ即応した結果である。作戦の成功には事前計画だけでなく、相手が作る偶然を拾う判断が含まれる。
ノヴの精神的な崩壊を、ゴンやキルアより勇気がないという一語へ縮めると潜入条件を失う。発見されないためオーラを抑えた状態で護衛軍の悪意へ接近し、退路と全体計画を背負っていた。設置した出口は、その後も仲間の突入を可能にする。
パームが利用するビゼフの経路は、東ゴルトーの支配層が国民を管理する一方、自分の欲望のため非公式な出入りを作っていたことを示す。腐敗は宮殿の防御を弱め、討伐隊へ侵入路を与えるが、運び込まれる女性たちの被害を消さない。
レオルは借りた能力で大量の水を生み、場所と能力の相性を自分に有利だと考える。モラウは煙という一見水中に弱い手段を、酸素と二酸化炭素の管理へ使う。発の名称や系統だけでなく、使用者の身体経験が最終的な勝敗を決める。
王が自分の名を求め始める変化は、直ちに人間への殺意を捨てたことを意味しない。コムギを守る行動と弱者を破壊する宣言が短い間に並び、本人も矛盾を理解できない。後の変化を知っていても、この巻では揺れの途中として残す必要がある。
国民が宮殿へ集められるほど、討伐隊は大規模攻撃を使いにくくなる。選別を止めるため急ぐ必要と、巻き添えを避ける必要が同時に増す。第24巻が細かな数字で時間を刻むのは、各任務が一つ遅れるだけで民間人の状況も変わるためである。
突入時点へ残された制約
ノヴが設置した出口は、突入隊が宮殿へ近づく時間を短縮する。しかし出口から出た後の敵位置や安全を保証せず、入口を知られれば退路も危険になる。設置成功を侵入全体の成功として扱えない。
パームの偵察は王を一度目で確認できれば有用だが、地下から目的場所へ移る過程でビゼフや兵士へ正体を疑われる可能性がある。能力発動以前に、宮殿内で生きて対象を見るという条件が最も危険になる。
王がコムギを守った変化を討伐隊は十分に知らず、知っても国民選別の中止を保証できない。個人への慈しみと、多数を犠牲にする統治方針が同時に存在し得るため、作戦を感情の変化だけへ委ねられない。
第24巻の終わりで討伐隊は準備を整えるが、ノヴの離脱で当初の戦力は減っている。作った経路を生かし、残る人数で王と護衛軍を分ける必要がある。準備完了は万全を意味せず、損失を抱えた開始条件である。
単行本第24巻が残したもの
第24巻は、王がコムギを守る矛盾と、討伐隊が宮殿へ入口を作る代価を並べ、突入直前の配置を完成させる一冊である。
ノヴは出口を残して退き、パームは内部へ入り、モラウはレオルを倒す。各成果は異なる損耗と情報不足を伴う。
国民の選別が迫る中、王の感情変化だけを待つ余裕はない。討伐隊は護衛軍との戦力差を抱えたまま零時へ進む。
