ドナテロ・ヴェルサス
どなてろ・ゔぇるさす
ネタバレ範囲: Part 6「ヘビー・ウェザー」終盤まで
# ドナテロ・ヴェルサスドナテロ・ヴェルサスは、第6部『ストーンオーシャン』に登場するDIOの息子の一人である。不運に翻弄された人生から社会を憎み、プッチとの出会いを機にスタンド「アンダー・ワールド」を発現する。当初はプッチに従って空条徐倫とエルメェス・コステロを襲うが、やがて「天国へ行く方法」を自分のものにしようと独自行動を始める。
地面に残る出来事の記憶を掘り起こす能力は、過去を消せない本人の人生観と密接に結びついている。
基本情報
ヴェルサスはアメリカ人の男性で、物語時点では25歳である。父はDIOであり、ウンガロ、リキエル、ジョルノ・ジョバァーナとは父を同じくする。DIOがジョナサン・ジョースターの肉体を奪った後にもうけた子であるため、血統を考える際はDIOの意志とジョースター家の肉体を分けて扱う必要がある。母や義父との家庭に居場所を見いだせず、少年期から逃亡、窃盗、拘置を経験した。
強盗の際に負傷して病院へ運ばれ、ケープ・カナベラルへ向かうエンリコ・プッチと出会う。プッチの近くで眠っていた能力が目覚め、フロリダの地面から過去の出来事を再現する「アンダー・ワールド」を使えるようになる。
外見
ヴェルサスは肩まで伸びた明るい髪を複数の束に分け、額と頬を露出させた青年として描かれる。上半身には身体へ密着する衣服を着用し、胸元と腹部に大きく開いた意匠がある。腰から脚へかけては左右非対称の装飾を備え、腕輪や靴の形も一般的な病院着とは異なる。顔には縦に走る線状の模様があり、鋭い目つきと歯を見せる表情が、抑え込んできた敵意を強調する。
原作のカラー版、テレビアニメ、ゲームでは髪や衣服の配色が異なるため、色だけで同一場面を判定しない。公式アニメサイトでは本人の立ち絵、表情、アンダー・ワールドの名称を一つのキャラクター資料として確認できる。
性格
ヴェルサスは、自分だけが理由もなく不幸を引き受けてきたと感じている。他者を信頼するより、与えられた状況から自分の利益を奪い取ることを優先する。能力を制御できるようになると自信を急速に強め、プッチへ感謝するのではなく、自分にもDIOの遺産を得る資格があると考える。プッチへ従順に見える時期にも、言葉を遮られることへの苛立ちや、見下されることへの反発を隠せない。
一方で、攻撃には記録、因果、地形を組み合わせる判断力があり、衝動だけで動く人物ではない。旅客機事故の再現では、徐倫たちへ事故の結末だけでなく、生存者を押しのけなければ助からないという心理的な重圧も与える。自分が幸福になるためなら他人の生存権を奪ってよいという結論が、戦い方にも表れている。
少年期の不運
13歳で家出したヴェルサスの頭上へ、飛行機から落ちた野球用スパイクが降ってくる。本人は落下の経緯を知らないまま靴を拾うが、その靴は近隣で発生した犯罪の証拠品だった。警察は少年の説明を信じず、彼は無実の罪で少年拘置所へ送られる。後に真相が明らかになって釈放されても、失った時間と周囲から受けた扱いは戻らない。
能力発現後に見ると、この出来事は空から来た過去の結果が現在の自分を拘束した例でもある。アンダー・ワールドは過去を改変せず、残された記憶を現在へ呼び戻すため、ヴェルサス自身の体験と逆向きに対応する。彼は過去によって苦しめられた人物でありながら、今度は他人を過去の事故へ閉じ込める側へ回る。
DIOの息子として
プッチの周囲には、重力に引き寄せられるようにDIOの息子たちが集まる。ヴェルサス、ウンガロ、リキエルは同じ父を持つが、性格、育った環境、スタンド能力は異なる。血縁だけで協力関係が成立しているわけではなく、三人はそれぞれ別の局面で徐倫たちを襲う。ヴェルサスは兄弟の敗北後も病院に残り、プッチと行動する中で能力を発見する。
自分の身体とプッチの身体が似た反応を示すことや、DIOの骨から生まれた緑色の赤ちゃんを取り込んだプッチの変化を意識する。そのため、天国へ向かう資格は神父だけのものではなく、DIOの実子である自分にもあると判断する。この対抗意識が、単なる刺客からプッチの競争相手へ立場を変える契機になる。
アンダー・ワールドの発現
病院に到着した徐倫は、建物の内部にプッチ以外の存在がいると察知する。ヴェルサスが能力へ目覚めると、床下に巨大な空洞が現れ、徐倫は地中へ降りる。空洞の内部には過去に墜落した旅客機の記憶が再現され、搭乗者と機内の状況まで動き始める。アンダー・ワールドは幻覚を見せるだけでなく、その記憶に入った対象へ過去と同じ結果を及ぼす。
事故の記録が地面に保存されている限り、ヴェルサスはその位置、時刻、人物を掘り当てて利用できる。能力の射程は広いが、記憶の中で生じる出来事を自由に書き換える力ではない。ヴェルサスは既に起きた事実を選び、敵が逃れにくい形で現在へ重ねる。
旅客機事故の記憶
徐倫は機内に閉じ込められ、エンポリオから過去の事故記録を調べてもらう。墜落までの時間、生存者の人数、生き残った座席が判明しても、その席には子供たちがいる。自分が助かるには無関係の子供を犠牲にするという状況を作り、ヴェルサスは徐倫の判断力を折ろうとする。エルメェスもスポーツ・マックスの記憶に誘導され、同じ旅客機へ引き込まれる。
二人は生存者が偶然に守られた条件を読み解き、子供たちを排除せず事故を切り抜ける。ヴェルサスの計画は記録の再現として精密でも、記録に残る因果を敵が利用する余地までは消せない。過去の結末を知ることが攻撃側だけの優位ではなくなり、徐倫の観察とエンポリオの調査が能力の穴を開く。
プッチへの反逆
徐倫とエルメェスが生存すると、ヴェルサスはプッチから責任を追及される。プッチは失敗を許さず、ヴェルサスを自分の計画に使える駒として扱う。ヴェルサスは命を守り、天国へ向かう情報を奪うため、ウェザー・リポートの記憶DISCを地面から探し出す。取り出したDISCをウェザーの身体へ戻した結果、封じられていた過去と本来の荒々しい人格が回復する。
同時に、悪魔の虹によって人間をカタツムリへ変えていく「ヘビー・ウェザー」が無意識に発動する。ヴェルサスは大混乱を起こせばプッチと徐倫の双方から逃げられると計算するが、現象は彼自身にも及ぶ。反逆はプッチの計画を止めるためではなく、自分がDIOの遺産を奪うための行動である。
エンポリオと承太郎の記憶DISC
逃走後のヴェルサスは、エンポリオが持つ空条承太郎の記憶DISCを探す。承太郎はDIOの天国計画を知る資料を読み、その内容を記憶しているため、DISCはプッチの目的へ近づく手掛かりになる。アンダー・ワールドで徐倫がエンポリオへ連絡した記憶を掘り起こし、居場所を特定する。エンポリオを制圧してDISCを手に入れるが、徐倫とエルメェスが追いつく。
ヴェルサスはフットボール選手が押し寄せた過去や塩に関わる記憶を呼び出し、カタツムリ化した徐倫を追い詰める。しかし人から人へ伝わるヘビー・ウェザーの影響を避けられず、自分も変化して拘束される。過去を掘る力で未来の計画を盗もうとしても、現在進行中の気象現象を完全には支配できない。
最期
拘束されたヴェルサスは徐倫たちと車で移動し、ウェザーとプッチの対決へ近づく。プッチは混乱と視界の悪さを利用し、ヴェルサスを自分だと思わせる囮にする。アナスイは相手をプッチと判断してダイバー・ダウンで頭部を貫くが、倒れた人物はヴェルサスだった。天国へ行く方法を奪おうとした本人が、最後にはプッチの逃走を助ける身代わりとして使い捨てられる。
自分の力で幸福をつかむという望みは実現せず、父の遺産へ近づくほどプッチの計画へ吸収されていく。死亡場面はアンダー・ワールドの能力による過去の再現ではなく、現実の戦闘で起きた出来事である。
能力と戦術
ヴェルサス自身は成人男性としての体力を持つが、戦闘の中心はアンダー・ワールドである。地面に刻まれた出来事の記憶を探索し、人、物体、事故、自然条件を現在へ掘り起こせる。地中の空洞を移動しながら攻撃できるため、敵は本体の位置と再現された事件を同時に処理しなければならない。記憶の人物へ質問したり、電話や映像の痕跡から対象を追跡したりする用途もある。
一方、再現された歴史には元の結末と条件があり、ヴェルサスが望む筋書きへ自由に変更できない。対象が事故の生存条件を発見すれば脱出でき、能力の射程外へ逃げた本体を直接攻撃される可能性も残る。人を殺す場面だけを呼び出すのではなく、敵の罪悪感、恐怖、時間制限を利用する点にヴェルサスの個性がある。
物語上の役割
ヴェルサスは、DIOの血を受け継ぐこととDIOの意志を継ぐことが同じではないと示す人物である。実子であっても父の計画を直接教えられておらず、承太郎のDISCを盗まなければ内容へ近づけない。反対にプッチは血縁を持たないが、DIOから思想と手順を託され、天国計画を進める。ヴェルサスの反逆は血統を根拠にした権利の主張であり、プッチの使命感とは異なる欲望から生まれる。
また、ウェザーの記憶DISCを戻したことで、病院での局地戦をフロリダ全域へ広がるヘビー・ウェザーへ接続する。人物としての出番は長くないが、徐倫たちの追跡、ウェザーの過去、プッチの逃走を一つの連鎖に結び付けている。
テレビアニメ版
テレビアニメ版では星野貴紀がヴェルサスを演じる。第28話でプッチのいる病院と地下の異変が描かれ、第29話でアンダー・ワールドによる旅客機事故の攻防が展開する。第30話以降はウェザーの記憶回復、ヘビー・ウェザー、エンポリオと承太郎のDISCをめぐる行動へ移る。公式キャラクターページは、不幸に苦しんだ境遇、世の中への恨み、強い向上願望、病院でプッチと出会った経緯を人物紹介の核としている。
原作とアニメを対照する際は話数構成や演出上の順序を区別し、アニメの色彩を原作で固定された設定として扱わない。記事画像は立ち絵だけで埋めず、人物像、アンダー・ワールド戦、プッチへの反逆後という三段階が分かる場面を選ぶ。