ナルシソ・アナスイ
なるしそ・あなすい
ネタバレ範囲: Part 6最終話まで
# ナルシソ・アナスイナルシソ・アナスイは、第6部『ストーンオーシャン』に登場する男性囚人で、空条徐倫の仲間である。物や生物を「分解」したいという強い衝動を持ち、殺人罪でグリーン・ドルフィン・ストリート刑務所へ収容された。徐倫へ一目で恋をし、彼女との結婚を望みながら、スタンド「ダイバー・ダウン」で戦いへ加わる。
危険な犯罪者でありながら、仲間の身体へ能力を潜ませて致命傷を肩代わりする役目を担い、最終決戦では自分の命を防壁にする。
基本情報
アナスイはアメリカ人の男性で、物語時点では25歳である。囚人番号はMA28050で、殺人罪により12年の刑を受けている。刑務所内ではエンポリオ・アルニーニョが利用する幽霊屋敷の部屋に出入りし、ウェザー・リポートと行動を共にする。スタンドは物体や人体へ潜航し、構造を組み替え、力を蓄積できる近距離型のダイバー・ダウンである。
公式ポータルの第6部人物紹介は、極度の分解癖、冷酷な性格、徐倫への思いを人物の主要な特徴としている。テレビアニメ版の公式紹介では、元恋人と浮気相手を分解した服役理由と、徐倫との結婚を条件に救出へ協力する経緯が示される。
外見
アナスイは長い髪と中性的な顔立ちを持ち、頭には角のような突起と鋲を備えた帽子を着用する。上半身は大きな網目状の衣服で覆われ、胸、腹、腰には足跡をかたどった装飾が付く。腰布、ベルト、長いブーツを組み合わせ、身体の線を隠さない装いとなっている。連載時の最初の登場では短い髪と女性的な体つきで描かれたが、再登場後は男性として扱われる現在の造形へ変わった。
テレビアニメは初登場から後の男性像へ統一している。この作画上の変化と、作品内で別人へ変身したという設定を混同してはならない。英語圏の一部媒体では名称が「Narciso Anastasia」へ変更されるが、日本語版のアナスイと同一人物である。
分解への衝動
アナスイは幼い頃から、目にした物の内部を確かめるように分解してきた。時計、玩具、電話だけでなく、隣人の自動車まで解体し、10歳頃には施設で治療を受ける。21歳の時、恋人が別の男性と一緒にいる現場を目撃し、二人の身体を分解して殺害する。二人が二度と一緒になれない状態へするという行為には、所有欲と構造への執着が結び付いている。
逮捕後の精神鑑定で責任能力を否定されず、彼は刑務所へ送られる。能力のダイバー・ダウンも対象の内部へ入り、構造を分解して組み替えるため、本人の衝動がスタンドとして具体化したと読める。ただし分解癖は過去の殺人を免責する病名として示されておらず、公式紹介も彼を危険人物として扱う。
幽霊屋敷の部屋
刑務所内のアナスイは、エンポリオとウェザーが身を寄せる幽霊屋敷の部屋にいる。外部の囚人が容易に入れない場所で、ウェザーの落ち着きがアナスイの突発的な行動を抑えている。原作で姿が初めて示される段階と、名前や性格が明かされて本格的に参加する段階には間がある。エンポリオは彼が他人のために動く人物ではないと説明し、協力を頼むことへ慎重になる。
アナスイは徐倫が父を救うため懲罰房へ入った覚悟を知り、彼女に強く引かれる。F・Fから救援を求められると、徐倫を守り、将来結婚するという目的で部屋を出る。純粋な正義感から始まった協力ではない点が、他の仲間と異なる出発点である。
徐倫への恋愛感情
アナスイは徐倫の意志の強さを、自分の壊れかけた心を照らす光として受け止める。恋愛感情を隠さず、出会って間もない時期から結婚の意志を口にする。高価な指輪を用意し、後には父の空条承太郎へ結婚の許しを求めようとする。しかし徐倫が同じ感情を明確に返したわけではなく、彼の思い込みや嫉妬が滑稽さと危うさの両方を生む。
ウェザーと徐倫が抱き合うと不機嫌になり、F・Fに二人を引き離すよう要求する。ヨーヨーマッ戦では、舌を傷つけられた徐倫の合図を接吻の誘いと誤解する。その一方、徐倫の判断を尊重して攻撃を控える場面や、承太郎の反応を受けて話を止める場面もあり、常に自分の要求だけを押し通すわけではない。
ケンゾーとの戦い
ウルトラセキュリティ懲罰房へ入ったアナスイは、F・Fとケンゾーの戦いを観察する。ケンゾーが暗殺風水とドラゴンズ・ドリームを使い、吉凶の方角から致命傷を与える仕組みを読み解く。すぐにF・Fへ加勢せず、徐倫を守るという約束を優先するため、態度は冷淡に見える。ケンゾーが徐倫へ蹴りを放つ瞬間、ダイバー・ダウンを徐倫の身体へ潜航させる。
接触したケンゾーの脚をばね状へ組み替え、反撃できない姿へ変形させて戦闘を終わらせる。正面の破壊力だけでなく、接触を起点に敵の身体構造そのものを変える能力の恐ろしさが表れる。同時に、本人が宣言した「徐倫を守る」という条件を実際の行動で果たす最初の大きな場面となる。
DIOの骨とヨーヨーマッ
DIOの骨から植物が発生すると、アナスイは徐倫の身体に生えた花をダイバー・ダウンで除去する。太陽光と成長の関係へ気付き、危険な環境から東へ移動するよう仲間へ助言する。生き残った囚人グッチョと遭遇した際には、肋骨を罠へ作り替え、追跡するDアンGへ傷を負わせる。この処置は敵を迎撃する合理性を持つ一方、人間を材料のように扱う残酷さも示す。
自動追跡型スタンドのヨーヨーマッに攻撃が通じないと、身体を調べ、標的を感知する器官を特定する。蛙の脳と感知器官を接続して行動原理を変え、追跡者を無害化する。殴って倒せない相手を内部構造の変更で止める戦いは、アナスイの観察力と能力の応用範囲を示す。
緑色の赤ちゃん
アナスイと徐倫は、DIOの骨から生まれた緑色の赤ちゃんを湿地で追う。近づくほど身体と物体が半分ずつ小さくなる現象を、石や瓶を使った実験から把握する。敵スタンドの進行方向を予測して瓶へ誘い込み、ダイバー・ダウンで瓶の入口を移動させる罠を作る。赤ちゃんの能力を解くことより、能力が従う距離と縮小の規則を利用して生存経路を作る。
アナスイは赤ちゃんに悪意を感じて排除も考えるが、徐倫やウェザーの同意を得ずに殺そうとはしない。徐倫の星形のあざへ反応した赤ちゃんが接触を受け入れ、その後プッチへ向かう流れの中で、アナスイの罠は最終的な奪取を防げない。
F・Fとの約束
F・Fはアナスイを徐倫の護衛として頼り、二人は互いを全面的に信頼していなくても約束を交わす。ホワイトスネイクがウェザーに化けて接近すると、アナスイは胸を貫かれ、致命傷を受ける。F・Fは自分の生命を使ってアナスイの身体を修復し、承太郎の記憶DISCを守る選択をする。アナスイは自分の肉体をF・Fの新たな器として差し出そうとするが、F・Fは自分の記憶と人格を保ったまま死ぬ道を選ぶ。
この経験により、アナスイはF・Fを単なるプランクトンとして扱った態度から変化する。刑務所を出た後も、命を救われた恩を返すためプッチを倒すと誓う。徐倫以外の仲間への責任を自覚した点で、彼の参加理由が個人的な恋愛だけではなくなる。
脱獄後とウェザー
徐倫たちが刑務所を出た後、アナスイはウェザーと別経路でケープ・カナベラルへ向かう。ウェザーを信頼し、その判断力と能力を認めながらも、徐倫へ会うため同行していることを隠さない。記憶DISCを取り戻したウェザーが本来の荒々しい性格へ戻ると、急激な変化を警戒する。ヘビー・ウェザーの発動後は、カタツムリ化する人々と悪魔の虹を避けながら、プッチを追う。
ウェザーとプッチの過去を知り、兄弟の戦いの結末を見届ける。ウェザーの死後、彼が刑務所を出た時にどのような気持ちだったかを語り、徐倫の責任ではないと支える。死者を構造物のように扱わず、その選択と感情を仲間へ伝える姿には、序盤からの変化がある。
C-MOON戦
ケープ・カナベラルで重力が反転すると、アナスイは徐倫、エルメェス、エンポリオと共にプッチを追う。C-MOONの攻撃は触れた物体を裏返し、人体へ致命的な損傷を与える。アナスイはダイバー・ダウンを徐倫の身体へ潜ませ、受けた衝撃を内部で肩代わりする。単に傷を治す能力ではないため、蓄積した損傷はアナスイ自身へ返り、彼の身体を傷つける。
徐倫が反撃するための時間を稼ぎ、接近戦でC-MOONの規則を見抜く役割を果たす。エルメェスが落下しても、彼女の生存力を信じて追跡を優先し、感情と戦術を分けて考える。序盤の「徐倫だけを守る」という言葉は、仲間の力を信頼した上で最も危険な位置を受け持つ判断へ変わる。
メイド・イン・ヘブン戦と死
プッチがメイド・イン・ヘブンを完成させると、時間は生物以外について急速に加速する。アナスイは仲間全員の身体へダイバー・ダウンを潜ませ、攻撃を自分が先に受ける防御網を作る。プッチが誰かを攻撃すればアナスイへ損傷が伝わり、その瞬間に承太郎が時を止めて反撃する計画である。これは自分の死亡を前提に、仲間へ一度だけ反撃の機会を渡す作戦だった。
プッチは徐倫の糸を利用して攻撃の軌道を変え、アナスイの身体を貫いて計画を崩す。アナスイは死亡するが、最後まで徐倫の防壁となる選択を撤回しない。恋愛への執着から始まった護衛は、相手の返答を得るための取引ではなく、自分の命を使う決断へ到達する。
アナキスとの区別
宇宙が一巡しかけた後、プッチが死亡した世界には「アナキス」という青年が登場する。アナキスはアイリンと恋人関係にあり、結婚の許可を得る旅の途中でエンポリオと出会う。外見と名前はアナスイに対応するが、第一世界線で殺人罪に服したアナスイ本人の過去がそのまま確認された人物ではない。百科事典ではアナスイとアナキスを別記事にし、最終話の対応関係を相互リンクで説明する。
「転生」「生存」「同一人物」という語を無条件に使うと、宇宙の変化と個人の履歴を混同するため注意が必要である。
テレビアニメ版
テレビアニメ版では浪川大輔がアナスイを演じる。原作初登場時の女性的な別デザインを採用せず、幽霊屋敷の部屋に現れる時点から後の男性像で統一する。第17話付近でケンゾー戦へ本格参加し、第20話ではF・F、ホワイトスネイク、記憶DISCをめぐる選択が描かれる。第32話でウェザーとの別れを経験し、第34話以降のC-MOON戦、第36話以降のメイド・イン・ヘブン戦へ参加する。
人物記事の画像は立ち絵だけでなく、懲罰房での救援、仲間の内部へ潜る防御、最終決戦という役割の変化が分かる三場面を選ぶ。