グッチョ
ぐっちょ
ネタバレ範囲: Part 6「F・F―目撃者」まで
# グッチョグッチョは、第6部『ストーンオーシャン』に登場するグリーン・ドルフィン・ストリート刑務所の男性囚人であり、スタンド「サバイバー」の使い手である。エンリコ・プッチからスタンドDISCを与えられ、厳正懲罰隔離房の人間たちを乱闘へ導く役目を負う。本人は格闘を避けて隠れているが、周囲の闘争心を増幅する能力によって看守と囚人を互いに殺し合わせる。
基本プロフィール
グッチョは31歳のアメリカ人で、囚人番号はMA20311である。窃盗と性的暴行の罪によって五年の刑を受け、グリーン・ドルフィン・ストリート刑務所へ収監されている。アニメ版の設定画では身長158センチメートルとされ、小柄で細い体格を持つ。頭部には大きく湾曲した髪を左右へ分ける独特の髪型があり、囚人服を着用する。
戦闘員らしい筋肉や訓練は示されず、危険が迫ると隠れ、発見されると助命を求める。公式アニメサイトは、幼少期から周囲の人間をいら立たせる才能があり、身の回りで争いが絶えなかったと紹介している。
周囲をいら立たせる性質
グッチョの近くでは、本人が直接殴り合わなくても他人同士の争いが起きてきた。この性質が生来の超常現象だったのか、言動や態度による対人関係の問題だったのかは明確にされない。少なくとも本編時点のサバイバーはグッチョ自身から自然発現した能力ではなく、プッチがDISCで与えたものである。幼少期の性質とサバイバーの効果が似ているため、プッチは能力を扱わせる人物として彼を選ぶ。
グッチョが相手を怒らせる話術を鍛えた、心理学的に群衆を扇動したとは描かれない。能力の発動後に本人が姿を隠しても争いが続く点から、実際の混乱はサバイバーの自動作用による。
プッチの選択
プッチはDIOの骨を探す徐倫を厳正懲罰隔離房で殺すため、複数のスタンド使いを配置する。直接命令へ従って戦う刺客だけでなく、施設全体の秩序を壊す仕掛けとしてグッチョを利用する。ホワイトスネイクは過去に別の人物からサバイバーをDISCとして抜き取り、保管していた。プッチはそのDISCをグッチョへ挿入し、隔離房へ入らせる。
グッチョが能力の細かな仕組みを理解していたか、発動範囲を訓練したかは示されない。求められるのは勝利する戦闘技術ではなく、能力を現場へ持ち込み、混乱が始まった後に生き残ることだった。
サバイバーの由来
サバイバーの元の使い手は、1982年のフランスで山小屋を営んでいた名前不明の男性である。道に迷った六人の旅行者が山小屋へ泊まり、主人の体臭をめぐって口論した後、翌朝に互いを殺し合った。DIOは事件を調べ、山小屋の主人が怒りによって周囲の闘争心を刺激するスタンドを持つと知る。後にプッチがホワイトスネイクで能力をDISCへ変え、グッチョへ移植する。
したがって「サバイバーの最初の使い手はグッチョ」と書くのは誤りである。能力名と現象は同じでも、元の使い手と刑務所で使用したグッチョを分ける必要がある。
サバイバーの姿
サバイバーは顔の周囲へ輪と触手を持つ、小さな円盤状のスタンドとして複数現れる。単体が人間へ殴りかかるのではなく、水の中を移動しながら微弱な電気信号を伝える。水滴、濡れた床、散水の流れが広がるほど、離れた人間へ影響を届けやすくなる。厳正懲罰隔離房では看守がホースで水を撒くため、閉じた区画全体へ能力を行き渡らせる条件が整っている。
発動中の小型個体を一つ壊せば全員が直ちに正常へ戻るとは示されない。本体のグッチョが戦場から離れていても、すでに刺激された人々は自ら相手を選んで争い続ける。
闘争心の増幅
サバイバーの電気信号は人間の神経へ作用し、怒り、対抗心、攻撃衝動を急激に高める。影響を受けた者は相手の強い部分を光のような像として認識し、最も価値のある敵と戦おうとする。痛みや負傷で止まる判断が弱まり、相手の長所を攻撃目標として見続ける。普段なら小さな不満で終わる出来事が、命を奪う格闘へ変わる。
能力は腕力を無から作るというより、制御と恐怖を外し、身体の限界まで戦わせる。敵味方を選別せず、看守同士、囚人同士、看守と囚人のすべてを乱闘へ巻き込む。グッチョ自身が近くにいれば安全とは限らず、彼が隠れるのは自分も暴力へ巻き込まれる危険を避けるためである。
「最弱」と呼ばれる理由
DIOはサバイバーを、自分が知る中で最も弱いスタンドと評する。本体を直接守る力、狙った一人だけを確実に倒す精度、強い物理攻撃を持たないため、決闘には不向きである。水がなければ広がりにくく、効果を受けた者がグッチョを見つければ本人は簡単に制圧され得る。しかし閉鎖空間、集団、既存の不満、水の経路が揃うと、弱さは被害規模の小ささを意味しない。
使い手が戦わずに多数の強者を消耗させられるため、暗殺の前段や施設破壊には適する。プッチは能力単体の戦闘力ではなく、刑務所という環境との相性を選んでいる。
厳正懲罰隔離房の乱闘
グッチョが持ち込んだサバイバーは、ホースから漏れた水を通じて看守と囚人へ広がる。看守ヴィヴァーノ・ウエストウッドは同僚ソニー・リキールと争い、勝利した後にすべての房を開放する。解放された囚人たちは互いの強さへ引き寄せられ、区画は組織的な管理を失った格闘場になる。徐倫はDIOの骨を探しながら、ウエストウッドの格闘とプラネット・ウェイブスへ対処する。
ケンゾー、DアンGなどプッチが配置した別の能力者も、混乱に紛れて行動を始める。グッチョは能力を誇示して戦うことなく、安全と思える房の隅へ隠れている。
DIOの骨と植物化
乱闘の最中、スポーツ・マックスが復活させたDIOの骨が隔離房へ到達する。骨は周囲の囚人から魂を集め、身体を植物のような形へ変えながら緑色の赤ちゃんを誕生させる。サバイバーによる乱闘と植物化は同時期に起こるが、同じ能力の効果ではない。グッチョは隠れていたことで乱闘の中心と骨への接近を避け、すぐには植物化し切らずに残る。
徐倫、アナスイ、フー・ファイターズが彼を発見すると、グッチョは攻撃者ではないように振る舞い、助けを求める。自分が混乱の原因となる能力者だとは名乗らず、危険な集団から逃げる囚人として保護されようとする。
アナスイの罠
アナスイはグッチョを信用せず、ダイバー・ダウンを身体の内部へ潜入させる。ダイバー・ダウンは物体や人体へ入り込み、内部構造を組み替えて力を蓄積できる。アナスイはグッチョの背骨と肋骨をばねのような罠へ作り変える。外見上は歩ける状態を残し、追手が身体へ触れた瞬間に骨が飛び出すよう設定する。
グッチョは自分が助けられたと思ってその場を離れ、能力者としての正体を悟られなかったと考える。実際には逃走する本人が、追跡者へ向けて運ばれる生体罠になっている。
DアンGへの発動
DアンGは隔離房の状況を確認するため、歩いてきたグッチョを呼び止めて身体へ触れる。接触を引き金に罠が作動し、グッチョの肋骨が胸から飛び出してDアンGの腕を貫く。DアンGは負傷し、遠隔自動型スタンド「ヨーヨーマッ」の本体として弱点をさらす。グッチョは脊柱と胸郭へ致命的な損傷を受けながら歩き続けるが、ほどなく死亡する。
この攻撃はサバイバーの能力ではなく、アナスイがダイバー・ダウンで仕込んだものである。グッチョが自分の意思でDアンGを裏切り、骨を発射したと解釈してはいけない。
死後の扱い
グッチョの遺体は後にプッチによって発見される。プッチは部下の死へ動揺せず、遺体へ音楽のDISCを挿入して曲を聴く。その場面は、グッチョが信頼される仲間ではなく、計画のために使い捨てられた一要素だったことを示す。本体の死によってサバイバーは消滅し、懲罰房の闘争心増幅も終わる。
スタンドDISCそのものが遺体から回収されたか、破壊されたかは明示されない。グッチョの死因は肋骨と背骨を罠へ変えられた重傷であり、植物化やDアンGの反撃による死亡ではない。
アニメ版での整理
アニメではグッチョを下野紘が演じ、公式キャラクターページに前後立ち絵、表情、サバイバーの姿が掲載される。サバイバーの発動による乱闘は第15話から描かれるが、グッチョ本人が明確に姿を見せるのは緑色の赤ちゃん誕生時の第19話である。能力の結果を先に見せ、後から隠れていた使い手を明かす順序が、直接戦わない人物像に合っている。アニメの身長や配色は映像版の設定資料に基づき、白黒漫画で明記されない要素と区別する。
残酷な身体変形は映像でも描かれるため、記事の画像配置ではグロテスクな場面へ内容警告を付ける必要がある。
名前と表記
日本語名は「グッチョ」、英字は「Guccio」である。名前の由来とされる現実のファッションブランド創業者の経歴は、刑務所の犯罪歴や能力設定とは関係しない。「グッチョ」と第5部の「ギアッチョ」は音が近いが別人であり、スタンドもサバイバーとホワイト・アルバムで異なる。検索索引では部、使用スタンド、囚人番号を併記し、名前の似た人物から分離する。
物語上の役割
グッチョは、最も弱いと評されたスタンドでも環境と配置によって多数の強者を巻き込めることを示す。本人は臆病で戦闘経験に乏しいが、能力の結果はウエストウッドと徐倫の死闘、囚人同士の殺害、施設崩壊へ広がる。プッチに利用され、アナスイには追手を傷つける罠として利用され、最後まで自分で状況を支配できない。他人を争わせて生き残ろうとした人物が、最後には自分の身体を他人同士の攻防へ組み込まれる結末を迎える。
強さを直接攻撃力だけで測れないスタンド戦と、利用する側が部下を守らないプッチの計画性を同時に表す人物である。