宇宙のはみ出し者たちが、ひと夏のオールディーズに合わせて家族になる——MCU第10作、ジェームズ・ガン監督によるスペースオペラの誕生。

基本データ 2014年・ジェームズ・ガン監督

マーベル・スタジオ製作、ディズニー配給。脚本はニコール・パールマンの初稿をジェームズ・ガンが大幅に書き直し、彼が監督に就任。121分。MCUフェーズ2の第6作、シリーズ全体では10作目。

物語上の位置 サノス配下時代のロナン

ピーター・クイルが1988年に地球から拐われた26年後、つまり2014年の銀河を舞台に、6つのインフィニティ・ストーンの一つ『パワーストーン』を巡る攻防が起こる。サノスがまだ表に出ていない時代の支配構造が初めて画面で説明される作品である。

受賞・評価 アカデミー賞2部門ノミネート

第87回アカデミー賞ではメイクアップ&ヘアスタイリング賞・視覚効果賞にノミネート。世界興行は約7.73億ドルで、当時のマーベル単独作品として歴代興収トップクラス。サウンドトラック『Awesome Mix Vol.1』は全米アルバム・チャート1位を獲得した。

この記事の範囲 オーブの正体とグルートの犠牲まで全て

モラグでのオーブ発見、ノヴァ軍の刑務所キルンでの結成、ノーウェアでのコレクターの正体、サクァール号空中戦、ロナンの暴走、グルートの『We are Groot』、ザンダーでの一夜、ポストクレジットのハワード・ザ・ダックまで、結末まで踏み込んで解説する。

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概要

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(原題:Guardians of the Galaxy)は、ジェームズ・ガンが監督・共同脚本を務めたアメリカのスーパーヒーロー映画である。2014年8月1日に米国で、9月13日に日本で公開され、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の通算第10作、フェーズ2の第6作にあたる。原作はマーベル・コミックの宇宙ヒーロー集団『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』で、なかでも2008年にダン・アブネットとアンディ・ランニングが再起動した近年のメンバー編成を骨格に置く。

物語は、1988年に地球から宇宙人ラヴェジャーに拐われた少年ピーター・クイル(クリス・プラット)が、その26年後、廃墟惑星モラグで一つの『オーブ』を盗み出すところから始まる。賞金首として追われる過程で、暗殺者ガモーラ(ゾーイ・サルダナ)、改造アライグマのロケット(ブラッドリー・クーパー声)、樹木型生物のグルート(ヴィン・ディーゼル声)、復讐に取り憑かれた怪力のドラックス(デイヴ・バウティスタ)と袂を分かたぬ事情で組まされ、銀河を脅かす狂信者ロナン・ジ・アキューザー(リー・ペイス)の野望を阻む『ガーディアンズ』となる。

MCUにおいて本作は、サノスというラスボスとインフィニティ・ストーンという物語装置を、専門用語で説明するのではなく、宇宙の片隅の盗っ人たちの目線から具体物として見せる役割を担った。マーベル・スタジオはほとんど無名のキャラクター群で約1億7000万ドル規模の宇宙SFを成立させるという賭けに出たが、ジェームズ・ガンが持ち込んだ70〜80年代ポップスのサウンドトラックとシニカルな笑い、そして観客に媚びない造形のメンバーたちが、世界興収7.73億ドル超の大ヒットへ結実した。

本記事は結末を含む全編の内容に踏み込む。オーブの正体(パワーストーン)、ロナンとサノスの関係、コレクターの取引、サクァール号空中戦の経緯、ロナン討伐の決着、グルートの『We are Groot』、ノヴァ軍とのその後、ピーターの母メレディスからのプレゼント、そしてハワード・ザ・ダックが登場するポストクレジットまで——シリーズ全体に関わる重大なネタバレを含むため、未見の方はまず本編を鑑賞してから読むことを勧める。

原題
Guardians of the Galaxy
監督
ジェームズ・ガン
脚本
ジェームズ・ガン/ニコール・パールマン
音楽
タイラー・ベイツ
撮影
ベン・デイヴィス
編集
フレッド・ラスキン/クレイグ・ウッド/ハル・サガヴェレフ
米国公開
2014年8月1日
日本公開
2014年9月13日
上映時間
121分
ジャンル
スーパーヒーロー、スペースオペラ、アクション・コメディ、群像劇
シリーズ区分
MCUフェーズ2・第6作/通算第10作

あらすじ

以下は結末までを含む全編のあらすじである。物語は、1988年ミズーリ州の病院でのメレディス・クイルの死から始まり、2014年のモラグでのオーブ強奪、ザンダーでの捕縛と刑務所キルンでの結成、ノーウェアでのコレクターとオーブの正体、ロナンの暴走とサクァール号の墜落、ザンダー上空の決戦、グルートの犠牲とノヴァ軍からの恩赦、新生ガーディアンズの旅立ち、ポストクレジットへと続く。順を追って詳細を辿る。

1988年・ミズーリの病院

映画は1988年、米国ミズーリ州の小さな病院から始まる。8歳のピーター・クイル(ウィレム・パウルセン)は、廊下でウォークマンに『Awesome Mix Vol.1』のカセットを入れ、10ccの『I'm Not in Love』をヘッドホンで聴いている。看護師に呼ばれて病室に入ると、母メレディス(ローラ・ハドック)は癌の末期で、ベッドの上から穏やかに息子の手を求める。「次のテープを開けるのは、私がいなくなってからね」「あなたのお父さんがどんなに素敵だったか、また話したかった」——メレディスの最期の言葉は、後の二作にまで通じる伏線になる。差し出された彼女の手をピーターは恐怖で握り返せず、母は息を引き取る。

病室から泣きながら駆け出した少年が屋外の暗闇に立つと、夜空から強烈な光が降りる。地上に光柱が立ち、地球の音もスクリーンの色も消える——ピーターはラヴェジャーの円盤に吸い上げられ、母の遺品(ウォークマンとカセット)だけを抱えて宇宙へ攫われる。

この冒頭の七分間は、本作の感情の設計図そのものである。母の死を引き受けられなかった少年が、26年後に成人した自分の責任で誰かを守れるかを試される——その物語の核を、台詞ではなく音楽(『I'm Not in Love』)と『握り返せなかった手』という具体物に込めるのが、ガン演出の出発点である。

2014年・モラグのオーブ強奪

26年後の2014年。場面はノヴァ帝国の宙域から外れた廃墟惑星モラグへ飛ぶ。海底だった惑星表面に、誰もいなくなって久しい古代神殿の入り口がある。そこへ、成人したピーター(クリス・プラット)が単身で降り立つ。荒地のなかで彼はウォークマンを取り出し、レッドボーンの『Come and Get Your Love』を流しながら、ヘルメット越しに踊る——廃墟の小動物を蹴り上げてマイク代わりに歌うこのオープニング・タイトル・シーケンスは、宇宙SFのお約束を一気に書き換える宣言となる。

神殿の最奥に祀られた台座から、ピーターは銀の球体『オーブ』を取り外す。出口で待ち構えていたのは、ロナンの部下コラス(ジャイモン・フンスー)と兵士たち。彼らもオーブを狙ってモラグへ来ていた。ピーターはあやうく逃げ切り、自船ミラノ号でラヴェジャーの拠点へは戻らず、ザンダーの闇市場へ単独で持ち込もうとする。

ピーターの命を狙う賞金首仕事は、彼を育てたラヴェジャー首領ヨンドゥ・ウドンタ(マイケル・ルーカー)の依頼であった。ヨンドゥにとって、ピーターの単独行は仁義に背く裏切りであり、後にロナン討伐後の和解まで尾を引く伏線になる。

ザンダー、ガモーラと最初の乱闘

ピーターはノヴァ帝国の首都ザンダーへ降り、闇商人ブローカー(クリストファー・フェアバンク)にオーブを売ろうとするが、ブローカーは依頼主の名前を聞かされた途端に取り下げる。「ロナン狂信者の名前を出した時点で取引はなしだ」——観客はここで、本作の敵がただの暴君ではなく、宗教的狂信者である事実をまず知らされる。

店を出たピーターを、緑色の肌の女性ガモーラが付け狙う。ガモーラは『マッド・タイタン』サノスの養女として育てられた銀河最強の暗殺者の一人で、本来はサノスの命でロナンにオーブを渡す役だったが、密かに反旗を翻し、自分の手でオーブを奪って別の買い手へ売り渡そうとしていた。狭い路地でピーターとガモーラが取っ組み合う騒ぎへ、二人組の賞金稼ぎ——改造アライグマのロケットと、相棒の樹木型生物グルート——が割り込む。ロケットはピーターを生け捕りにして報酬を稼ぐ気で、グルートは彼を麻袋に詰め込もうとする。

四つ巴の乱闘はノヴァ軍に取り押さえられ、四人ともインフラ破壊の容疑で逮捕。ノヴァ軍のローマン・デイ巡査(ジョン・C・ライリー)とノヴァ・プライム『イラニ・レイ』(グレン・クローズ)の判断で、彼らは銀河刑務所『キルン』へ送致される。観客はまだ知らないが、これがガーディアンズ結成の第一歩である。

刑務所キルンと結成

刑務所キルンに収監された四人を、ピーターの『母から贈られたウォークマン』を巡るちょっとした事件が結束させ始める。看守がカセットを取り上げてからかうと、ピーターは半狂乱でそれを取り戻そうとする。観客はその執着の意味を冒頭の病室から知っているため、笑いと同時に痛みも感じる。

ガモーラはここで、囚人たちにとって最大の標的となる。彼女がサノスとロナンの一味であることは銀河中に知れ渡っており、家族をロナンに殺された者たちの恨みを一身に集めている。なかでもデイヴ・バウティスタ演じるドラックスは、妻と幼い娘をロナンに殺された男で、ロナンを引き寄せる『餌』としてガモーラを殺そうとシャワー室に乱入する。ピーターは交渉で割って入り、「ロナンがオーブを欲しがっている以上、ガモーラを生かしておけばロナン本人がここへ来る。お前は本人を殺せる」と説得し、ドラックスを思い留まらせる。観客は同時に、ロナンが一族の仇であるドラックスや、暗殺者として育てられた末に脱落しようとしているガモーラといった、本作の敵側の生き残りたちが集まりつつあることを知る。

ロケットは、暴動を装いつつキルンの監視塔の動力系を奪うという脱獄計画を、ピーターたちに持ちかける。実行段階で順序を取り違えながらも、強引な現場対応——グルートが先に動力源を引き抜き、ロケットが激怒する短いやり取りは本作屈指の笑い——を経て、五人は連れだってキルンを脱出する。最後の最後でドラックスも合流し、ピーターはオーブを売って分け前を均等に配るとガモーラに約束する。「20億ユニットだ。これでお前は新しい人生を買える」。

観客はここで初めて、五人が同じ船(ミラノ号)に乗り合わせる。誰一人として相互に信頼してはいないが、損得と取引で繋がっている。これが本作の『結成』であり、後に『家族』へ変容するための出発点として、わざと冷えた距離感で描かれる。

ノーウェアとコレクター、オーブの正体

一行はオーブの買い手としてガモーラが指定した、宇宙の死骸——『セレスティアル(巨大神族)』の千切れた首——を採掘居住地化した辺境『ノーウェア』へ向かう。ガモーラの取引相手は、銀河随一の収集家タナリーア・ティヴァン、通称『コレクター』(ベニチオ・デル・トロ)である。コレクターの私室は、絶滅種や奇妙な生物の標本で埋め尽くされており、本作で初めて観客は『宇宙そのものが分類可能な博物の対象である』というMCU的世界観を直接体感する。

コレクターは助手のカリーナを傍らに、オーブの来歴を語り始める。宇宙の創造直後に生まれた、想像を絶する破壊力を持つ六つの特異点が結晶化したのが『インフィニティ・ストーン』である——その一つ、『パワーストーン』がオーブの中身だと明かす。彼が球体の留め具を解くと、紫の輝石が露出する。次の瞬間、カリーナがストーンに触れて自爆を起こし、ノーウェアの一角を吹き飛ばす。一行は咄嗟にオーブを回収し、ノーウェア地下から脱出を図る。

ノーウェアの混乱に乗じ、サノスの命を受けたロナン直属の艦『ダーク・アスター』が到着し、ガモーラのもう一人の養姉妹ネビュラ(カレン・ギラン)と暗殺者の精鋭が降下する。ガモーラとネビュラのライトな初遭遇——ネビュラの「お前は最低の妹だった」という台詞——は、続編へ持ち越されるシリーズ屈指の姉妹関係の最初のフレームになる。

ガモーラはオーブを単機で持ち逃げするが、ロナン直属の艦に追い詰められて宇宙空間へ放り出される。Mスーツも持たぬ彼女が虚空で凍えて死にかける瞬間、ピーターは規則違反を犯して自分のヘルメットを彼女に被せ、二人羽織のような姿でラヴェジャーに収容される。ピーターを連れて行ったのは、賞金首をなおも追っていたヨンドゥとラヴェジャー一団である。

ロナンの裏切りとサノス

オーブは結局、ガモーラを介してロナンの手に渡る。ロナンはこれを当初の約束どおりサノスへ届けるはずだったが、自陣のダーク・アスター艦内で『パワーストーン』を直接ハンマーに装填し、サノスを通さず独力でザンダーを焼き払う計画に切り替える。立体通信に現れたサノスの椅子の上でネビュラがこの寝返りを後押しし、サノスは黙ってロナンの離反を受け入れる。

この場面は、MCUにおいてサノス(ジョシュ・ブローリン)が初めて『顔』を持って画面に登場する瞬間でもある。クレジットに『マッド・タイタン』と記されたこの紫色の巨人は、ガーディアンズの敵を超えて、十年後の『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』『エンドゲーム』にまで連なる本物のラスボスである。本作はあえて、彼を主敵にせず『直接の上司』として遠景に置くことで、シリーズ全体の地図を観客の脳裏にそっと描き入れる。

ロナンの暴走と、彼が握る無制限のパワーストーン——ザンダーが滅びれば三十億の命と銀河の中枢が一夜で消える。ピーターは捕虜となった船室で、ヨンドゥに頭を撃ち抜かれる寸前まで追い詰められながら、「ロナンがオーブで惑星を焼き払えば、お前らラヴェジャーの闇市場ごと商売が終わるぞ」と説き、ヨンドゥと一時的な共闘を取りつける。

サクァール号への突入計画

ラヴェジャーの母艦に集まった一行——ピーター、ガモーラ、ドラックス、ロケット、グルート、ヨンドゥとそのラヴェジャー部隊、そして急遽駆けつけたノヴァ軍——は、ロナンの旗艦ダーク・アスターをザンダー上空で食い止めるための共同作戦を組む。ガモーラの内部知識(艦の構造図と最高機密のコマンド)と、ロケットの戦術理解、ヨンドゥの矢の制御音、ノヴァ軍の戦闘機部隊が組み合わさる、本作の見せ場の起点である。

計画は、ロケットがミラノ号でダーク・アスターの装甲を突き破り、艦内に侵入したピーターらがコマンドデッキでロナンと対峙、その間にノヴァ軍がノヴァ・コア軍機の連結バリアでザンダー上空に網を張る、というものだった。ドラックスは『ロナンを直接殺す』という宿願を背負って参加し、ピーターは仲間として『我々はガーディアンズだ』とすら口にする——ジョン・C・ライリー演じるローマン・デイは、命令系統を破ってまで彼らを信頼し、ノヴァ軍の戦闘機を投入する判断を下す。

観客はここで初めて、五人の盗っ人が『家族』として並んでいる構図を見る。前のシーンまで分け前と取引でしか繋がっていなかった彼らが、無償でザンダー三十億の命のために命をかけるに足る『理由』を、それぞれの過去——母を失ったピーター、家族をロナンに殺されたドラックス、サノスの傀儡から逃れたいガモーラ、改造実験で苦しんだロケット、そしてただ友のために動くグルート——から獲得していくのが、本作後半の精神の中心である。

ダーク・アスター艦内とザンダー上空

ザンダー上空でダーク・アスターを迎え撃つ艦隊戦と、その内部での近接戦が交互に編まれる。ノヴァ軍のスター・ブラスター機群が連結バリアを張ってダーク・アスターを地表へ落とすまいとし、ロケット操るミラノ号がついに艦腹の装甲を突き破る。艦内では、ピーター、ガモーラ、ドラックスがコマンドデッキへ向かう途中、ネビュラとロナン親衛隊との激戦になる。ドラックスは長年憎んでいたコラスをついに討ち取り、家族の仇の半分を果たす。

コマンドデッキ目前、ロナンのハンマーが振るう一撃でピーターたちは一気に劣勢に追い込まれる。同時にミラノ号は被弾、艦が地表へ落ちる軌道に入る。ガモーラの最後の指示でドラックスが船室内の暗号認証を破り、コマンドデッキの装甲を解除する。

地上では、ノヴァ・プライムらが艦の落下軌道とザンダー市街地の人口分布を必死で計算し、住民を避難させる時間を稼ぐ。観客はここで、シリーズが好む『戦闘の決着=群衆の生死』の方程式を、銀河規模で初めて目の当たりにする。

グルートの犠牲——『We are Groot』

ダーク・アスターはついに姿勢制御を失い、ザンダー上空で炎を噴きながら墜落する。ピーター、ガモーラ、ドラックス、ロケット、グルートの五人は船内の中央通路に閉じ込められ、墜落の衝撃で全員が圧死する寸前の状況に陥る。

ここでグルートは無言で、自らの蔓をドーム状に伸ばし、仲間四人を完全に包み込んでクッションを作る。ロケットは涙混じりに「だめだ、お前も死ぬぞ。なぜそんなことをする」と叫ぶ。グルートは普段の『I am Groot』ではなく、ただ一度だけ違う台詞を口にする——『We are Groot.(俺たちはグルートだ)』。墜落の衝撃でダーク・アスターは大爆発を起こし、グルートの体は粉々の木片へ散る。ドームの中で生き延びた四人は、まだ熱を持つ瓦礫の中で立ち上がる。

この『We are Groot』は、結成された五人が互いを『俺たち(We)』と呼べる関係になったことを、台詞ではなく自己犠牲そのものによって観客へ届ける、本作の精神的頂点である。ロケットが涙で焼け跡を掻き分け、グルートの細い枝の一片を拾い上げる場面が、エンディング近くのベイビー・グルート再生の前触れとなる。

決着——『お前と踊らないか』

破壊されたダーク・アスターから墜落地点に降り立ったロナンは、ハンマーから取り出したパワーストーンを掌に握り、その場でザンダー全土を消し去ろうとする。瓦礫の中から立ち上がったピーターは、彼の前で踊り始める——『どこを見ているお前は何をしている』と困惑するロナンの目の前で、ピーターはレッドボーンの『O-o-h Child』を口ずさみ、軽口を叩き続ける。

観客は途中で、それが時間稼ぎだと気づく。ロケットとドラックスが、ヨンドゥの捨て武器を組み直した即席のハドロンエンフォーサーをロナンへ撃ち込み、ハンマーが粉々に砕け、転がり出たパワーストーンをピーターが素手で握る。

本来、生身の人間がパワーストーンを掴めば瞬時に焼け尽きるはずだった。ピーターの体は紫の光に侵食され、内側から崩壊し始める。死を覚悟したピーターへ、ガモーラ、ドラックス、ロケットの三人が次々と手を伸ばし、共にストーンの力を受け止める。観客はここで、ピーターがそもそも『地球人ではない』(ヨンドフ自身が冒頭で『彼の体には何かおかしいものがある』と漏らしていた)伏線が初めて回収されることに気づく。仲間と力を合わせたピーターは、ストーンの破壊力をロナンただ一人へ向け、彼を消滅させる。

ザンダーは救われ、首都の上空に集まった群衆と、戦闘機を地上へ着陸させたデイ巡査の前で、五人の盗っ人は静かに立つ。長く描かれてきた『四つ巴の乱闘』『キルンの脱獄』『コレクターの取引』『ヨンドフとの裏切り合い』の果てに、はみ出し者だった五人がはじめて『英雄として並ぶ』瞬間である。

ノヴァ軍からの恩赦と母からの最後の贈り物

戦闘の後、ピーターとヨンドフは一時休戦して『オーブの容器』の引き渡しを行う。ヨンドフはピーターから渡された容器を中身ごと得たと信じ込んで満足するが、その中に入っていたのはオーブではなく、トロル人形(『Troll doll』)だった。ピーターは『ヨンドフは中身を確認してから一発奪う前に売り払う癖がある』ことを知っていたうえで、最初からトロル人形を仕込み、本物のパワーストーンはノヴァ軍に預けるつもりだった——後年の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』でこの仕掛けの意味(ヨンドフが渡したかったメッセージ)が回収される。

ノヴァ・プライム『イラニ・レイ』は、デイ巡査の進言を受けて、五人全員に対して過去の罪を恩赦するという破格の決定を下す。ピーター・クイルの抹消されていた地球の戸籍データもこのとき改めて公式に開示され、彼の正体(地球人と未知の生命体のハーフであること)が研究対象としてではなく『情報として』本人に伝えられる。

回復したミラノ号にもう一度乗り込もうとするピーターを、ノヴァ・プライムが脇に呼び寄せ、一つの古びた包みを手渡す。それは、26年前ピーターが受け取らないまま病室を逃げ出してしまった『母からの最後のプレゼント』、Awesome Mix Vol.2のカセットだった。ヘッドホンを差してジャクソン5の『I Want You Back』を流したピーターは、はじめて母の手紙を読み——『ピーター、いつかパパみたいな素敵な人と出会えますように』——涙を流す。冒頭の握り返せなかった手が、26年越しに『受け取られる』瞬間である。

ピーターは仲間に向かい、「次に何をする」と問われて答える。「いいことをするか、悪いことをするか、両方少しずつ。それが俺たちらしい」——ガーディアンズが正規のヒーロー機関に組み込まれるのではなく、宇宙のはみ出し者として旅を続けていくことが、ここで宣言される。

新生ガーディアンズの旅立ちとベイビー・グルート

エンドクレジット前のラストシーン。新しく塗装され直したミラノ号の鉢の中で、グルートから拾い上げられた小枝がひと夏のあいだに芽吹き、踊るベイビー・グルートとして再生している。ロケットがその姿に気づかぬふりをしていじけている横で、ジャクソン5の音楽に合わせて鉢の中の小さなグルートが踊る——観客には、グルートが完全に死んだのではなく、ロケットの友として再びそばにいることが示される。

ピーターはコクピットで母のカセットを再生し、五人を乗せたミラノ号は星々の中へ加速していく。冒頭の『母の手を握れずに泣く少年』が、『仲間と一緒に銀河を飛ぶ大人』へ変わる円環が、ここで閉じる。

エンドクレジット途中、コレクターの破壊された私室の場面が短く挟まれる。瓦礫のなかで愚痴る彼の前に、コミック史の異色のキャラクター『ハワード・ザ・ダック』(声:セス・グリーン)が酒を片手に現れ、ふざけた台詞でクレジットを締める。MCUがコミック原作の遊び心まで取り込むという意思表明として、長く語り継がれるポストクレジットになった。

登場要素

本作に登場・言及される主な要素を分類して示す。固有名詞はシリーズ理解の手がかりだが、初見で暗記する必要はない。

主要人物

  • ピーター・クイル/スター・ロード
  • ガモーラ
  • ドラックス・ザ・デストロイヤー
  • ロケット
  • グルート
  • ヨンドフ・ウドンタ
  • ローマン・デイ
  • ノヴァ・プライム『イラニ・レイ』
  • コレクター(タナリーア・ティヴァン)
  • カリーナ
  • メレディス・クイル
  • 幼少期のピーター・クイル
  • ブローカー
  • クラグリン・オブフォンテリ

ヴィラン

  • ロナン・ジ・アキューザー
  • サノス(マッド・タイタン)
  • ネビュラ
  • コラス・ジ・パースアー
  • ロナン親衛隊(サクァーラン兵)

サポート/ノヴァ軍

  • ノヴァ軍コア兵
  • スター・ブラスター戦闘機隊
  • ノヴァ警察

組織

  • ノヴァ帝国(ザンダー)
  • ラヴェジャー
  • クリー帝国(離反したロナン派)
  • サノス陣営(『黒の騎士団』の前触れ)
  • ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー(結成)

場所

  • 地球(1988年・ミズーリ州)
  • モラグ(廃墟惑星)
  • ザンダー(ノヴァ帝国首都)
  • 銀河刑務所キルン
  • ノーウェア(セレスティアルの頭蓋)
  • ダーク・アスター艦内
  • コレクターの私室

アイテム・技術

  • オーブ(容器)
  • パワーストーン
  • ハドロンエンフォーサー
  • ヨンドフの矢『ヤカ』
  • クァッド・ブラスター(ピーターの拳銃)
  • ウォークマンとAwesome Mix Vol.1/Vol.2のカセット
  • ジェット・ブーツ
  • ミラノ号
  • ダーク・アスター
  • ノヴァ軍スター・ブラスター
  • 翻訳インプラント

能力・概念

  • セレスティアル(巨大神族)
  • インフィニティ・ストーン(パワーストーン)
  • ヨンドフのフォース口笛による矢の操作
  • ロケットの兵器設計能力
  • グルートの植物再生・蔓状の拡張
  • ドラックスの『直喩が通じない』言語感覚
  • コレクターの収集学

ポストクレジット要素

  • コレクターの私室の崩壊
  • ハワード・ザ・ダックの登場
  • ピーターの父(後の『リミックス』で開示)への伏線
  • Awesome Mix Vol.2の存在(次作冒頭で再演)

主要登場人物

本作は『はみ出し者の群像劇』として、五人の主役それぞれに別個の喪失と再生を背負わせる。誰一人として正規のヒーロー機関に属していないこと、それでも互いを家族と呼ぶことが、シリーズ全体の精神基盤になっていく。

ピーター・クイル/スター・ロード(クリス・プラット)

本作の主人公。1980年代の地球から拐われ、ラヴェジャーの首領ヨンドフのもとで盗っ人として育った青年で、地球時代の音楽だけを心の支えにしている。自称『伝説のアウトロー、スター・ロード』だが、その通り名はまだ誰にも認知されていない——本作はこの『誰もスター・ロードを知らない男が、徐々に英雄になる』物語でもある。

プロデューサーのケヴィン・ファイギは、当初コメディ俳優のクリス・プラットを候補に挙げなかったが、ジェームズ・ガンの強い推薦と本人のオーディションで起用された。プラットは撮影前に体重を大幅に絞り、コミカルさを残したまま身体的なヒーローとして成立する役作りを完成させた。

ピーターは終盤、母メレディスからの最後の贈り物(カセットと手紙)を受け取り、26年前に握り返せなかった手を象徴的に受け取り直す。本作はピーターが『地球人とは別の何か』であることまでをほのめかし、続編『リミックス』で開示される彼の出自——セレスティアル『エゴ』の息子——へ自然に橋を架ける。

ピーター・クイル/スター・ロードの人物ページ 次作:ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス

ガモーラ(ゾーイ・サルダナ)

緑色の肌の暗殺者。サノスに家族を殺された幼少期、そのサノスに養女として育て上げられ、銀河最強の暗殺者の一人となった。本作の冒頭ではロナン経由でサノスにオーブを届ける役だったが、密かにサノスからの離反を決意してオーブを別の買い手へ売ろうとしている。

ガモーラはピーターたちと組むなかで、はじめて『誰かを守るために戦う』選択肢を獲得していく。ノーウェアでネビュラと再会する場面、終盤でドラックスとの共闘を選ぶ場面、ザンダー艦上でピーターへ手を伸ばす場面——彼女の感情の解凍はわざと小さな仕草で描かれ、続編で『姉妹の和解』『ピーターとの関係』『サノスとの対峙』として大きく開花する縦軸の土台になっている。

ゾーイ・サルダナは『アバター』のニーティリ、『スター・トレック』のウーフラに続いて本作のガモーラを担い、長期にわたって複数の特殊メイクキャラクターを並行して演じることになった、商業映画史でも稀な俳優の一人である。

ドラックス・ザ・デストロイヤー(デイヴ・バウティスタ)

ロナンに妻と娘を惨殺された男。怪力と入れ墨の戦士で、復讐のため自首してキルンへ入った経歴を持つ。比喩や慣用表現を一切理解しない『直喩しか通じない』言語感覚で笑いを生むが、その素朴さは終盤の自己犠牲的な戦いへ繋がる純粋さでもある。

ロナンに先んじてコラスを討つことで、彼は『個人の復讐』を一段階果たす。ただし宿敵ロナン本人はピーターたち全員の協力で倒されるため、ドラックスにとって最終的な『家族の仇討ち』は完結せず、続編へ持ち越される情緒的な未決として残される。

デイヴ・バウティスタはWWEのプロレスラーとして名を上げ、本作で世界的な映画俳優としての評価を確立した。バウティスタの素朴な真面目さがこの言語感覚の笑いを支え、続編以降もドラックスのアイデンティティとなっていく。

ロケットとグルート(ブラッドリー・クーパー声/ヴィン・ディーゼル声)

ロケットはアライグマの形に改造された遺伝子実験体。手術跡を背中に持ち、自分が『何者か』を誰にも明かさない皮肉屋として銀河を渡る。ブラッドリー・クーパーは身体の動きを参考に犬の演技を観察し、ニュージャージー訛りの早口で人物に体温を与えた。

グルートはフローラ・コロッサス種の樹木型生物で、ほぼ常に『I am Groot』としか発声しない。ロケットだけはその一文から複雑な意思を聞き取れる相棒関係である。本作のグルートは、終盤のダーク・アスター墜落で蔓のドームを張って仲間を救い、『We are Groot』と一度だけ言葉を変えて命を散らす——シリーズ屈指の感情的な瞬間の一つになった。

ヴィン・ディーゼルは『I am Groot』『We are Groot』の二語のみを、英語ほか各言語で録音し続けることでこの役を担った。グルートが本作の精神的中心の一翼を担うことを示す事実として、しばしば言及される逸話である。

ロナン・ジ・アキューザーとヨンドフ・ウドンタ(リー・ペイス/マイケル・ルーカー)

ロナンはクリー帝国の急進派『アキューザー(罰する者)』に属する宗教的狂信者で、ノヴァ帝国との和平に反発し、独力でザンダーを焼き払おうとする。当初はサノスの命でオーブを取りに来たが、自分の手で執行する誘惑に負けて主君を裏切る。「私は罰する者だ」——彼の振る舞いはあくまで宗教的『裁き』の論理に沿っており、純然たる悪意というよりは『正しさを暴走させた狂信』として描かれる。

ヨンドフは、ピーターを地球から拐った張本人にして、25年以上にわたって彼を育てた疑似父親である。本作では当初『裏切り者のピーターを殺す』と豪語するが、ピーターが信頼を回復するきっかけを与え、終盤の決戦ではノヴァ軍側へ立つ。続編『リミックス』で明かされる『そもそも何のためにピーターを拐ったのか』という縦軸の伏線が、本作のヨンドフの不器用な父性のあらゆる描写に既に仕込まれている。

マイケル・ルーカーは多くのジェームズ・ガン作品に出演してきた俳優で、ヨンドフの粗野さと哀しさを両立させる演技は、続編で観客の涙を誘う結末への必須の準備になった。

舞台と用語

本作の舞台は徹底して『MCUの宇宙のはじめての観光』として設計されている。前年までのMCUは地球とアスガルドが中心だったが、本作で観客は初めて、ノヴァ帝国の首都ザンダーの整った街並み、廃墟惑星モラグの古代神殿、銀河刑務所キルンの工業的監獄、セレスティアル(巨大神族)の頭蓋の中に作られた採掘居住地ノーウェアといった、まったく異なる文化と建築様式を持つ場所を立て続けに見せられる。

用語面では、インフィニティ・ストーンが本作で初めて『単独の物体として、設定だけでなく実物の動きで』導入された点が決定的に重要である。前作『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』で『エーテル(リアリティ・ストーン)』が登場していたが、本作のコレクター場面はじめて、六つのストーンの来歴と種類が観客に向けて整理して説明される。ザンダー、ノヴァ軍、ラヴェジャー、サノス、コレクター——これらの単語はインフィニティ・サーガ後半(『インフィニティ・ウォー』『エンドゲーム』)の主要要素として再登場するため、本作はシリーズ全体の宇宙パートの入口として機能している。

用語:インフィニティ・ストーン 用語:ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー 用語:MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース) 用語:サノス

制作

マーベル・スタジオがほぼ無名の宇宙ヒーロー集団を主役に1億7000万ドル級の作品を製作するというのは、当時のスタジオにとっても大きな賭けだった。以下、企画から特撮までの主要な経緯を整理する。

企画と脚本の変遷

本作の企画は、マーベル・スタジオが2008年版『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のコミックを再起動した直後から内部で温められていた。脚本家ニコール・パールマンが2009年からマーベル・ライターズ・プログラムで初稿を執筆し、ピーター・クイルを物語の入り口に据える基本設計を作り上げた。

ケヴィン・ファイギはこの初稿を見て本格的な企画化を決断し、監督候補として複数の名前を検討した末、『スリザー』『スーパー!』のジェームズ・ガンを起用する。ガンは脚本の大半を改稿し、台詞の切れ味と70〜80年代ポップスを核に据えた音楽演出を持ち込んだ。

ガンは『B級SFと群像コメディの混合』としての本作を意識的に設計しており、MCUの他作品より一段高い『シリアスさと馬鹿馬鹿しさが同時に成立する』トーンの確立が、その後のシリーズ全体に大きな影響を与えた。本作の成功がなければ、後の『ソー:ラグナロク』のコメディ路線も、『デッドプール&ウルヴァリン』のメタ路線も成立し難かったといえる。

キャスティング

ピーター・クイル役は当初、複数の人気俳優に打診されたが、ジェームズ・ガンの推薦と独自のオーディションで『パークス・アンド・レクリエーション』で知られたコメディ俳優クリス・プラットが起用された。プラットは撮影前に体重を約30kg近く落とし、シャツを脱ぐ場面に耐える肉体を作り上げた。

ガモーラ役にはゾーイ・サルダナ、ドラックス役には『WWE』を経て俳優転身したデイヴ・バウティスタ、ロケット声にはブラッドリー・クーパー、グルート声にはヴィン・ディーゼルが起用された。ヴィラン陣も、ロナン役にリー・ペイス、ネビュラ役にカレン・ギラン、コラス役にジャイモン・フンスーと、各国の演技派が顔を揃えた。

サノスの初顔出しはジョシュ・ブローリンが担当し、これ以降『インフィニティ・ウォー』『エンドゲーム』までシリーズの最大の敵を演じ続ける。ノヴァ・プライム『イラニ・レイ』にはグレン・クローズ、コレクターにはベニチオ・デル・トロというベテラン俳優が配され、宇宙SFの『箔』を支えた。

クリーチャー造形と特殊メイク

ロケットとグルートはほぼ全編フル CG だが、グリーン肌のガモーラ、灰色のドラックス、青いネビュラ、黄色いヨンドフはいずれも本物の俳優に毎日数時間の特殊メイクを施す手法が選ばれた。クリーチャー・デザイン・スタジオの責任者デヴィッド・ホワイトを中心とした特殊メイクチームの仕事は、第87回アカデミー賞メイクアップ&ヘアスタイリング賞へのノミネートに繋がった。

ロケットの動きの参考にするため、ロケットの動作演技にはショーン・ガンや、撮影中はジェームズ・ガン自身が現場で姿勢を演じてみせ、CGの土台にした。グルートの蔓と顔の表情はモーションキャプチャ会社の協力でヴィン・ディーゼルの『I am Groot』の発音をベースに細かく作り込まれた。

視覚効果

視覚効果はMoving Picture Company、Framestore、Method Studios、Luma Pictures、CIS Vancouverほか複数のスタジオが分担した。ザンダー上空のノヴァ軍連結バリア、ダーク・アスターの墜落、ロケットの毛並みの一本一本、グルートの蔓のドーム、コレクターの私室に並ぶ標本群——いずれも本作の象徴的なショットの背後には大規模なVFX工程がある。

第87回アカデミー賞では視覚効果賞にノミネートされた。本作で確立された宇宙SFの映像表現は、続編『リミックス』『Vol.3』、さらには『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』以降の宇宙パートへ直接受け継がれていく。

音楽と『Awesome Mix Vol.1』

本作の音楽は二系統で構成される。一つは作曲家タイラー・ベイツによるオーケストラ・スコアで、ロナンや決戦の重い場面を担う。もう一つが、ピーターのウォークマンから流れる『Awesome Mix Vol.1』——母メレディスがミックス・テープ文化全盛の1980年代に収録したオールディーズ群である。

『Hooked on a Feeling』(ブルー・スウェード)、『Come and Get Your Love』(レッドボーン)、『I'm Not in Love』(10cc)、『O-o-h Child』(ファイブ・ステアステップス)、『I Want You Back』(ジャクソン5)、『Cherry Bomb』(ザ・ランナウェイズ)など、誰もが一度は耳にしたことのある曲がモラグの踊り、キルンの脱獄、決戦、母からの最後の贈り物といった各場面の感情を直接担う構造になっており、サウンドトラック盤『Awesome Mix Vol.1』は全米ビルボード200で1位を獲得した(既存曲のみで構成されたサントラ盤としては史上初の快挙とされる)。

音楽の使い方はジェームズ・ガンが脚本段階で曲名まで指定して書いており、後年のジェームズ・ガン作品(『リミックス』『Vol.3』『ザ・スーサイド・スクワッド』)全体に通じる作家性の出発点になった。

撮影と編集

撮影監督ベン・デイヴィスは、続く『エイジ・オブ・ウルトロン』『ドクター・ストレンジ』『キャプテン・マーベル』『エターナルズ』もMCUで担当する撮影監督で、本作の宇宙ロケーションごとに異なる色設計(モラグの黄褐、ノーウェアの濁った緑、ザンダーの白と銀、ダーク・アスター艦内の紫)を確立した。撮影は2013年夏から英国シェパートン撮影所を中心に行われた。

編集はフレッド・ラスキン、クレイグ・ウッド、ハル・サガヴェレフが担当。冒頭の病室と『I'm Not in Love』の重なり方、モラグでの『Come and Get Your Love』のタイトル・シーケンス、終盤の『O-o-h Child』にあわせたピーターの踊り——音楽と画面とを正確に同期させる編集は、本作の語り口の中核を担った。

宣伝と話題化

マーベル・スタジオは本作を、ほぼ無名のキャラクター群を主役に据えるため通常以上の宣伝予算で売り込んだ。第一弾予告編で『Hooked on a Feeling』を全編に被せたインパクトは、観客に『これは普通のスーパーヒーロー映画ではない』と一瞬で理解させ、公開前から大きな話題を作った。

本作は公開後、口コミでさらに伸び続け、8月の北米興行記録を当時として更新した。マーベル・スタジオが『未知のキャラクターでも、丁寧に作れば旗艦級の興行が成り立つ』ことを証明した分岐点として、業界史的にも語り継がれている。

公開と興行

2014年8月1日に米国で公開された本作は、初週末に北米で約9430万ドルを稼ぎ、当時の8月公開作の初週末記録を塗り替えた。最終的な世界興行は約7.73億ドルに達し、2014年公開作品としては全世界興収トップクラス、マーベル単独作品としてもシリーズ屈指の数字を残した。日本でも2014年9月13日に公開され、宇宙SFとして異例の長期上映となった。

受賞面では、第87回アカデミー賞で視覚効果賞・メイクアップ&ヘアスタイリング賞の2部門にノミネート。Saturn Awardsでは最優秀SF映画賞、最優秀監督賞(ジェームズ・ガン)、最優秀キャラクター造形賞ほか複数部門を受賞した。批評家からは『ストーリーは古典的だが、語り口の鮮度とキャラクターの魅力でMCUを一段押し上げた』と評され、観客満足度を示すCinemaScoreでも『A』の高評価を得た。

サウンドトラック盤『Awesome Mix Vol.1』は全米ビルボード200で1位を獲得し、サントラ盤としてはきわめて異例の商業的成功を収めた。本作以降、マーベル・スタジオは『サウンドトラックを作品宣伝の柱に据える』モデルを意識的に運用するようになる。

批評・評価・文化的影響

本作はMCUを『地球の英雄譚から、銀河規模の物語』へと拡張する分岐点となった作品として評価されている。サノス、インフィニティ・ストーン、ノヴァ帝国、コレクター、ラヴェジャーといった『インフィニティ・サーガ後半の構成要素』のほぼ全てが本作で初めて画面に揃ったため、シリーズ全体の地図はここを起点に拡張されていったといってよい。

もう一つの影響は、トーンの自由化である。それまでのMCUは『シリアスとユーモアの均衡』を慎重に取っていたが、本作は『コメディに振り切っても本筋の感情を裏切らない』という一段上の難度を達成した。これ以降、『ソー:ラグナロク』『デッドプール&ウルヴァリン』『Vol.2』『Vol.3』などのコメディ寄り作品が、興行的にも作劇的にも成立しやすい土壌が整った。

また、本作で打ち出された『既存ヒット曲を全編に被せる演出』は、後の各種スーパーヒーロー映画の予告編・本編の音楽戦略に大きな影響を与えた。ロケットとグルートというCGキャラクターを主役級として観客に感情移入させた点も、後年のCG主導の動物・植物キャラクター運用の参考例となっている。

舞台裏とトリビア

クリス・プラットは本作のオーディションを受けに行く前、自分には宇宙ヒーロー役は無理だと信じてエージェントを通じて辞退する意向だったが、ジェームズ・ガンに『君だ。来てくれ』と直接呼び戻されてオーディションを受け、開始数分で内定したと伝えられる。撮影前に体重を約30kg絞り込んだことは、当時の映画雑誌でも繰り返し取り上げられた。

『I am Groot』というヴィン・ディーゼルの一語は、英語以外にも複数の主要言語で吹き替え用に本人が録音した。台詞は二語だが、各場面で意味するものはすべて違う——その意味の振り分けはジェームズ・ガンが脚本に細かく書き込み、ヴィン・ディーゼルが各言語で演じ分けた。本作以降、グルートの『I am Groot』は世界共通の名台詞となる。

ジェームズ・ガンは撮影中、ロケットの演技参考のために弟ショーン・ガンに同サイズの代役を演じさせ、現場でカメラ・アングルや会話のテンポを実演させた。完成映像のロケットの細かい身振り——特に怒ったときに小さく跳ねる動きの一部——は、ショーン・ガンの身体演技をベースにしたものである。

ハワード・ザ・ダックがポストクレジットに登場するという決定は、ジョージ・ルーカス製作のかつての実写版(1986年)の不評を踏まえ、内部でも長く議論された末に採用された。マーベル映画の遊び心の象徴として語り継がれている。

テーマと解釈

中心にあるのは『選んで作る家族』である。血の繋がりや所属で『与えられる家族』ではなく、損得・利害・誤解から始まった他人同士が、互いの過去を知っていくうちに互いを家族と呼ぶようになる——本作の五人はそのお手本のような関係である。グルートが『We are Groot』とただ一度だけ言葉を変える瞬間は、この変化のすべてを一語に圧縮した、本作の精神的頂点である。

もう一つの軸は『母の手を握り返す』である。冒頭、ピーターは死にゆく母の手を握れずに病室を逃げ出してしまった。それを26年間引きずってきた彼が、銀河の盗っ人として『仲間と一緒にパワーストーンを掴む』形でようやく、誰かと手を繋いで何かを引き受けることを覚える。終盤に母から手紙とAwesome Mix Vol.2が手渡される構図は、26年前に受け取らなかった手の循環を閉じる仕草として、台詞以上の重さを持つ。

三つ目は『はみ出し者の倫理』である。ガーディアンズはノヴァ軍にも、サノスにも、ラヴェジャーにも完全には属さない。彼らがザンダーを救うのは、所属する勢力の命令ではなく、自分たち自身の選択である。「いいことをするか、悪いことをするか、両方少しずつ」というピーターの台詞は、組織への忠誠ではなく『その場で正しいと思う側に立つ』倫理を、シリーズの宇宙パートの基本姿勢として宣言する。

本作のサウンドトラック、ジョークの密度、ロケットとグルートというCGキャラクターを主役級に押し上げる勇気——その全てが、これらの主題に奉仕している。MCUがその後どれだけ拡大しても、ガーディアンズが象徴する『家族・喪失・はみ出し者の倫理』はシリーズ最大の精神資産であり続けている。

見る順番(補助)

初見でMCUを通しで観るなら、本作は『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』と『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』の後、続けて『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』へ進むのが公開順である。サノス陣営、インフィニティ・ストーン、宇宙パートの基本概念をここで一気に頭へ入れておくと、『インフィニティ・ウォー』以降の合流がきわめて分かりやすくなる。

ガーディアンズ単独で追うなら、本作 → 『リミックス』 → 『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』 → 『エンドゲーム』 → 『ホリデー・スペシャル』 → 『Vol.3』 の順がもっとも感情の連続性を保てる。本作で握り返せなかった『母の手』、続編で受け取られる『母のテープ』、Vol.3で完了するロケットの過去——三作で一つの大きな弧を描く構成として観るのが、シリーズ最大の楽しみ方の一つである。

  1. 前作(公開順)『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』
  2. 本作ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー(オーブとパワーストーン)
  3. 次作(公開順)『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』
  4. シリーズ次作(ガーディアンズ)『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』
次作:ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス 完結編:ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3 合流:アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー ガーディアンズ作品ガイド MCU公開順 MCU時系列順

よくある質問(補助)

「事前に知っておくべきMCU作品はあるか」という質問には、本作は単体で完結する設計のため必須ではないが、サノスとインフィニティ・ストーンが何かを知っておきたい場合は『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』のポストクレジット(コレクターとエーテルの受け渡し)を観ておくと地続き感が増す、と答えられる。

「結末・ネタバレを知りたい」場合は、オーブの正体がパワーストーンであること、ロナンがサノスを裏切ろうとした末に五人で討たれること、グルートが『We are Groot』と告げて自己犠牲し、後にベイビー・グルートとして再生すること、そしてピーターが母からの最後のプレゼント(カセットと手紙)をようやく受け取ること、までを押さえておけば十分である。

「ハワード・ザ・ダックって何」という質問には、コミック原作の異色キャラクターで、本作のポストクレジットではジェームズ・ガンの遊び心としての登場であり、続編『リミックス』『Vol.3』『エンドゲーム』にも短く再登場するMCUのマスコット的位置付け、と説明できる。

「次に何を観ればよいか」は、ガーディアンズ単独で追うなら『リミックス』、MCU公開順で追うなら『エイジ・オブ・ウルトロン』が標準的な道筋になる。

参考資料・脚注

作品名、キャラクター名、画像、各種権利はそれぞれの権利者に帰属する。公開年・興行・制作・配信状況・外部評価は変動しうるため、視聴前に公式および各データベースの最新表示を確認されたい。本記事の本文は各種公開情報をもとに、Anna Movies用の独自の日本語文章として構成している。

  1. Marvel公式作品ページ
  2. Marvel Cinematic Universe Wiki: Guardians of the Galaxy
  3. IMDb: Guardians of the Galaxy (2014)
  4. Box Office Mojo: Guardians of the Galaxy
  5. Rotten Tomatoes: Guardians of the Galaxy

関連ページ

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