「父親(father)」と「お父さん(daddy)」は別物だ——銀河のはみ出し者たちが家族として並び直す、ジェームズ・ガン監督による MCU 第15作。
マーベル・スタジオ製作、ディズニー配給。前作から引き続きジェームズ・ガンが監督・脚本を兼任。136分の上映時間に、ヨンドゥの父性、ピーターの出自、家族論を詰め込んだフェーズ3の一作。
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014)でモラグのオーブとロナンを退けた数か月後を描く。続く『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』でメンバーがソーと合流するまでの空白を埋める作品である。
第90回アカデミー賞視覚効果賞ノミネート。Saturn Awards 最優秀SF映画賞ほか多数受賞。世界興行は約8.63億ドルでフェーズ3前半の主力作の一つとなり、サウンドトラック『Awesome Mix Vol. 2』も全世界でセールス上位に入った。
ソヴリン襲来、ベルハートの不時着、ヨンドゥの追放と背景、ネビュラとガモーラの和解、エゴの正体(セレスティアル)と『拡張(エクスパンション)』、メレディスへの脳腫瘍の真実、ヨンドゥの矢、ベイビー・グルートの爆弾運搬、5つのポストクレジットまで、結末まで踏み込む。
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概要
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(原題:Guardians of the Galaxy Vol. 2)は、ジェームズ・ガンが監督・脚本を務めたアメリカのスーパーヒーロー映画である。2017年5月5日に米国で、5月12日に日本で公開され、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の第15作にあたる。シリーズ章立てではフェーズ3に属し、インフィニティ・サーガの後半を構成する一本である。
前作『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014)から数か月後の銀河を舞台に、ピーター・クイル/スター・ロード(クリス・プラット)が父親の正体を知るという縦軸と、ヨンドゥ・ウドンタ(マイケル・ルーカー)が「父親(father)ではなく、お父さん(daddy)」として彼の傍にいたことに気づくという裏の主題を、136分にわたって編み上げる。アクション・コメディの皮をかぶっているが、本質は家族を選び直す物語である。
監督ジェームズ・ガンはマーベル・スタジオから本作の脚本執筆を異例の早期段階で任され、前作の撮影中から続編の構想を温めていた。彼はピーターの父親をマーベル・コミック原作の通りの存在(J'son of Spartax)にせず、独自にセレスティアルの一柱『エゴ』として再構築し、その上でヨンドゥというキャラクターを物語の感情の中心に据え替えた。これは MCU のなかでも珍しく、脚本と監督が原作の主軸を意図的に書き換えて成功した例である。
本記事は結末を含む全編の内容に踏み込む。エゴの正体、メレディス・クイル死去の真相、『拡張』、ヨンドゥの矢と犠牲、ベイビー・グルートの爆弾運搬、ラヴェジャー流の葬儀、5つに及ぶポストクレジット——シリーズの今後にも繋がる重大なネタバレを含むため、未見の方はまず本編を鑑賞してから読むことを勧める。
- 原題
- Guardians of the Galaxy Vol. 2
- 監督
- ジェームズ・ガン
- 脚本
- ジェームズ・ガン
- 音楽
- タイラー・ベイツ
- 撮影
- ヘンリー・ブラハム
- 編集
- フレッド・ラスキン/クレイグ・ウッド
- 米国公開
- 2017年5月5日
- 日本公開
- 2017年5月12日
- 上映時間
- 136分
- ジャンル
- スーパーヒーロー、スペースオペラ、アクション・コメディ、群像劇
- シリーズ区分
- MCUフェーズ3・第15作
あらすじ
以下は結末までを含む全編のあらすじである。物語は、1980年ミズーリの回想に始まり、ソヴリンとの取引、ベルハートでの不時着、エゴの登場、ヨンドゥの内乱と追放、ネビュラとガモーラの和解、エゴの正体と『拡張』の発動、ベイビー・グルートの爆弾運搬、ヨンドゥの犠牲、ラヴェジャー流の葬儀、そして5つのポストクレジットへと続く。順を追って詳細を辿る。
1980年・ミズーリの夕暮れ
映画は1980年、米国ミズーリ州の夕暮れの田舎道から始まる。デジタルで若く整えられた姿のエゴ(カート・ラッセル)が、デイル号——銀色の流線型のロードスター——を路肩に停め、隣に座る若きメレディス・クイル(ローラ・ハドック)に銀河の話を語る。「俺はずっと、この惑星の誰よりも遠いところから来た」。二人はカーラジオから流れるルッキング・グラスの『Brandy(You're a Fine Girl)』を聴きながら、湖畔のような場所まで歩き、小さな『プラント』のような芽生えを植える。観客はまだ知らされていないが、これは『拡張』——後に銀河を覆い尽くす計画の最初の一粒である。
デイル号のシーンには、後に伏線として効いてくる細部がいくつも置かれている。エゴが地球の音楽に親しんでいること、メレディスにブランディ風の女として接していること、そして二人の関係が極めて短期間で終わることを示す静かな別れの空気——これらは終盤、エゴの本性が判明する場面で観客の側に冷たさをもって戻ってくる。タイトルが『リミックス』と名付けられた所以の一つは、この冒頭のロックが本編全体に再演されつづけるからである。
場面は34年後、すなわち2014年の銀河へ飛ぶ。ガーディアンズ——ピーター・クイル/スター・ロード、ガモーラ(ゾーイ・サルダナ)、ドラックス(デイヴ・バウティスタ)、ロケット(ブラッドリー・クーパー声)、そして鉢から芽吹いた『ベイビー・グルート』(ヴィン・ディーゼル声)——は、ソヴリン人(黄金の人工種族)の依頼で巨大な異次元の獣『アビライスク』から貴重なエネルギー電池『アヌラックス・バッテリー』を守る仕事に就いている。
ソヴリンの仕事とロケットの盗み
オープニング・タイトル・シーケンスは、ベイビー・グルートが鉢から飛び出し、ELOの『Mr. Blue Sky』に合わせて踊る一方で、背後では仲間たちがアビライスクと壮絶な戦闘を繰り広げるという構成である。ガンが多用する『画面の主役と物語の主役のズレ』が、本作の語り口を一気に刻印する開幕となる。
アビライスクを撃退したガーディアンズは、ソヴリンの黄金の女王アイーシャ(エリザベス・デビッキ)から報酬として、捕らえられていたネビュラ(カレン・ギラン)の引き渡しを受ける。ガモーラの妹であるネビュラを所属するノヴァ軍に引き渡せば、ガモーラには姉妹再会、ガーディアンズには賞金の二重の利得がある——そのはずだった。
退去直前、ロケットは出来心でアヌラックス・バッテリーを数個くすねる。ソヴリンのプライドは異様に高く、これを侮辱と受け取った彼らは惑星全土の遠隔操縦戦闘機『オムニクラフト』の艦隊を派遣する。ピアノを弾くオペレーターに似た形で量産機を遠隔制御するという演出は、ソヴリンの非人間性と滑稽さを同時に印象づける。ガーディアンズはハイパージャンプ(620番ジャンプ)を強行し、ベンチャー号は装備半壊、惑星ベルハートに不時着する。
謎の救援者——エゴとマンティスの登場
撃墜寸前、最後のオムニクラフトを謎の力で次々と破壊する人影が現れる。降り立った男は、自らをピーターの父『エゴ』と名乗る。後ろに付き従うのは、共感能力を持つ昆虫族の女性マンティス(ポム・クレメンティエフ)。ピーターは半信半疑のままだが、ガモーラを伴ってエゴの惑星——『エゴ』そのものという名前の自己同名惑星——への招待を受け入れる。ドラックスは「マンティスを見たい」というほぼ本能的な好奇心で同行する。
ロケットとベイビー・グルートはベンチャー号を修理するためにベルハートに残り、捕虜のネビュラを見張る役目を負う。ここから物語は、エゴの惑星パートと、ロケット側のラヴェジャー内紛パートに分岐し、終盤で再合流する三幕構成へ移る。
観客はこの時点で、エゴが本物のピーターの父であるか、彼の自然な父性が機能しているのか、そもそも惑星と同名の男とは何者か——という疑念を抱きながらも、ピーターが父との関係を取り戻す姿に寄り添う。ガンはここで、観客が父の素性を疑い始めるための『さりげない違和感』——惑星の整いすぎた風景、シンメトリーな建築、エゴが何でも作り出してみせる超常的な万能感——を、台詞より画面で配置している。
ヨンドゥの追放と内乱
場面は宇宙ステーション『コンタクシア』へ。マイケル・ルーカー演じるヨンドゥ・ウドンタが、年老いた賢者然としたスタカー・オゴード(シルヴェスター・スタローン)から冷たく拒絶される姿が描かれる。ヨンドゥが率いる一派は『ラヴェジャー98部族(連盟)』から正式に追放されており、その理由は『子供たちの密輸』——スタカーの言葉では『ラヴェジャー規約に反した』行為——であった。これは前作で示唆されていたヨンドゥの闇歴史——ピーターを地球から誘拐したのも、その仕事の一部だった——の正面からの開示である。
ベルハートに飛んだヨンドゥは、ガモーラの首と引き換えにアイーシャと取引し、ロケットの捕縛にかかる。しかし、ヤカ・アローを使ってロケットを一蹴できる立場にありながら、ヨンドゥは『あの子(ピーター)』の不在に動揺し、捕縛の決断を遅らせる。これを見たクルーが反乱を起こす。先導するのは、自分で自分の名前を『テイザーフェイス』と名乗る短気な男(クリス・サリヴァン)と、技師タレックである。
クルーはヨンドゥに忠実なグループを一人ずつ宇宙へ放出し、皆殺しにする。ヨンドゥ、ロケット、ベイビー・グルートはエレヴェイター(艦内重力刑務所)に拘束されるが、ヨンドゥの長年の副官クラグリン・オブフォンテリ(ショーン・ガン)が密かに同情し、ヨンドゥのヤカ・アローと操作用のプロトタイプの新型フィンを差し入れる。爆裂的に解放されたヨンドゥは『Come a Little Bit Closer』(ジェイ・アンド・ジ・アメリカンズ)に合わせて、ヤカ・アロー一本で艦内のクルーをほぼ全員殺戮する——コメディ調の演奏と、矢の赤い軌跡が舐めるように人を貫いていく画は、本作で最も鮮烈なシーンの一つである。
ネビュラとガモーラの和解
ベンチャー号で監視下にあったネビュラは、再び姉ガモーラとの宿命的な対立に巻き込まれる。ベルハートでの後始末の途中、二人はソヴリンの追撃をかわす中で激しく衝突するが、銃撃の応酬の末、ネビュラは長年抱えてきたサノスの『調教』の真実をついに口にする——『毎度毎度、お前が私を負かしたあと、サノスは私の身体の一部を機械に取り替えた』。
観客はここで、ネビュラの機械化された体は彼女自身が望んだ強化ではなく、姉に勝てなかった代償としてサノスに『修理』され続けた結果であったことを知らされる。ガモーラの『お前はいつも勝ちたかった』に対し、ネビュラは『私は妹が欲しかっただけだ』と返す。MCU が用意してきたサノス家の長い前史が、姉妹の一場面で凝縮された場面である。
和解とまでは至らないが、ネビュラはひとまずガモーラとともに『拡張』を止める側へ立つ。彼女がサノス本人の存在を意識して銀河へ離脱する選択は、その後の『インフィニティ・ウォー』『エンドゲーム』での彼女の役割の伏線として配置されている。
エゴの正体——セレスティアルと『拡張』
エゴの惑星では、ピーターは自らの中に父と同じ『光(フォース)』が眠っていることを学び、フォースで小さなエネルギーボールをキャッチボールできるまでになる。ピーターは父を信じ、長年抱えてきた『母メレディスがなぜ自分を迎えに来なかったのか』という痛みを癒やしていく。だがマンティスはドラックスにそっと耳打ちする——『ここで何が起きているのか、私は嘘をつけない。あなたたちに早く伝えなければならない』。
ピーターを連れて『コア』へ降りたエゴは、自らの正体を打ち明ける。彼は数百万年前から宇宙に存在する『セレスティアル』——惑星規模の意識体——であり、人間の姿は便宜上の擬態に過ぎない。長い孤独に耐えかねたエゴは、自分以外に同等の存在がいないことに失望し、銀河じゅうに自分の『種』を、人間の姿で何百人もの子をもうけて回った。子たちはそれぞれの星で『拡張(エクスパンション)』——惑星の地表を自分の延長として塗り替える光の苗——を内側に宿しているが、それを発動させるのに必要な『セレスティアルの遺伝子(光の力)』を継いだ者は、これまで一人も現れなかった。
そしてエゴは、ヨンドゥから一連の依頼を受けていた『地球の少年』こそ、ようやく適性を持って生まれた我が子であることを告げる。ピーターを『地球から確実に引き上げる』ためにヨンドゥを雇い、配達を済ませる段取りだった——だがヨンドゥは少年を引き渡さず、なぜか自分のクルーとして手元に置いてしまった。エゴはそれを『裏切り』ではなく『ありがたい偶然』と語る。「もし約束通り渡されていれば、お前は他の数百人と同じ運命だった」
その意味——他の子を、エゴは『遺伝子の試験』のために迎え入れ、適性が無いと判明した瞬間にすべて殺してきた——を、ピーターは父の口から聞かされる。コアの大空洞の床に積まれた、無数の白骨。エゴは『家族を増やすつもりはなかった。私はもう一人の私が欲しかっただけだ』と平然と告げる。家族の物語が、銀河規模のジェノサイドを内側に抱えていたという反転である。
メレディスの真実とピーターの拒絶
決定的な一言が続く。ピーターはエゴに『母さんは、なぜ若くして死んだのか』と問う。エゴはためらいなく答える——『俺がそうした。彼女を地球に置いて去ったあと、戻るたびに惹かれてしまう自分が嫌だった。任務(拡張)に集中するため、メレディスの脳に腫瘍を植え付けた』。観客が冒頭の夕暮れのデートシーンで好意を感じていた光景は、ここで残酷な準備運動に転じる。
ピーターは父にブラスターを乱射する。エゴはセレスティアル能力でピーターを拘束し、惑星全体を伝わる『拡張』の発動を始める。エゴの星核から銀河じゅうの植えられた苗へ、青い光が一斉に伸びていく場面は本作のスペクタクルの中核である。ザクサル、ソナイア、ノヴァ・プライム——いくつもの惑星地表を、エゴ自身の意識が覆い始める。
マンティスは秘密を打ち明けたあと、ガモーラとドラックスを『核』へ案内し、ピーターを救う手助けに回る。マンティスは自分の能力で眠らせ続けてきたエゴの巨大な疲弊を見つめながら『私はずっと、彼が眠っているあいだだけ生きてきた』と告げる。彼女の存在自体が、エゴの自己愛が要求した装置であったことが明らかになる。
核への突入とベイビー・グルートの爆弾
ヨンドゥ、ロケット、ベイビー・グルート、クラグリンを乗せた採掘ポッドは、エゴの惑星へ向けて720回近い連続ハイパージャンプを強行する。連続ジャンプは生物に致命的な負荷を与える危険な航法で、画面では搭乗者の顔が大きく歪み、変形したまま漫画のように戻る——本作のコミカル演出と緊迫感を同時に成立させる象徴的なシーケンスである。クラグリンの口の中に、ヨンドゥの抜け落ちた歯が当然のように散らばっている、というディテールまで詰められている。
惑星に到達した一同は、ガモーラとドラックス、ネビュラ、そしてピーター側と合流。ロケットは『エゴの脳幹に当たる場所に時限式の量子爆弾を仕掛けてしまえば、惑星まるごと止められる』と提案する。エゴの本体である脳幹は核の最深部に守られているため、爆弾はあらかじめタイマーをセットして手で運ぶしかない。爆弾は最終的にベイビー・グルートが運ぶことになる。
ベイビー・グルートが運搬手順を理解できるよう、ロケットが順を追って『赤いボタンを最後に押せ』と教える小コメディが続く。グルートは赤を青と混同し、青を黄と混同し、しまいには毛糸玉や芋虫まで持ってくる。命がかかっているはずの状況で、誰一人として子供に手を上げない一行の優しさが、この映画の家族観をもっとも端的に表す場面である。
ピーターは内側に芽生えたセレスティアルの力を逆に使い、エゴ本体と能力で対峙する。エゴが見せる『パックマン』『懐かしの怪獣』『デヴィッド・ハッセルホフ』など、巨大な光の幻影による戦いは、ピーターの少年時代の地球文化への執着が、銀河規模の決戦の中で兵器化されたシーンとして読まれる。最終的にベイビー・グルートが爆弾を脳幹に置き、起爆。エゴの『拡張』は止まり、惑星エゴそのものが崩壊を始める。
ヨンドゥの犠牲——『お父さんはこっちだ』
核の崩壊が進む中、ヨンドゥは脱出ポッドに残された唯一の空間用宇宙服と空気推進バックパックを、自らピーターに装着させる。「お前にはまだ生きる時間がある」。ピーターは一瞬何が起きているか分からないが、二人が大気圏外へ放出された瞬間に理解する——ヨンドゥは自分用のスーツを取らなかった。
凍りつく宇宙空間で意識を失いかけながら、ヨンドゥは最後にピーターに告げる。「He may have been your father, boy, but he wasn't your daddy.(あいつはお前の父親(father)だったかもしれんが、お父さん(daddy)じゃなかった)」。MCU の中で、英語の語感の差を最大限活かした、最も翻訳家泣かせの一行である。父性は遺伝子ではなく、共に過ごした時間の側にある——映画全体のテーマが、この一行で言い切られる。
ヨンドゥは凍死し、ピーターの腕の中で固まる。ピーターは涙を拭わずに彼を抱きしめる。流れる楽曲はキャット・スティーヴンスの『Father and Son』——息子が父から離れる側ではなく、ここでは父が息子を残す側で響く。
葬儀の場面では、ガーディアンズと旧ラヴェジャーたちが集まる。スタカー・オゴードはヨンドゥの死後にようやく彼を許し、『ヨンドゥ・ウドンタは、お前たちのリーダーとして死んだ』と公式に讃える。空に放たれる虹色の祭礼花火は、ラヴェジャー伝統の『破門されていない者だけが受けられる送り火』である。クラグリンはヨンドゥから受け継いだ新型フィンとヤカ・アローを手に取り、口笛で動かそうとするが、すぐにはコントロールできず鼻を貫いてしまう——悲嘆と笑いを同居させる、ガンらしい締めくくりである。
登場要素
本作に登場・言及される主な要素を、MCU 後続作への接続を意識して分類して示す。初見で全て記憶する必要はなく、後半フェーズで再登場した際の参照用に位置づけてほしい。
主要人物
- ピーター・クイル/スター・ロード
- ガモーラ
- ドラックス・ザ・デストロイヤー
- ロケット
- ベイビー・グルート
- ヨンドゥ・ウドンタ
- ネビュラ
- マンティス
- クラグリン・オブフォンテリ
ヴィラン
- エゴ(セレスティアル本体)
- アイーシャ(ソヴリンの女王)
- テイザーフェイス
- ゾロブト・タレック
- ソヴリン人およびオムニクラフト艦隊
サポート/カメオ
- スタカー・オゴード(旧ラヴェジャー98部族代表)
- アレタ・オゴード
- チャーリー27
- マーチネックス
- メインフレーム(マイリー・サイラスの声)
- クルガー
- ハワード・ザ・ダック(バー客)
- スタン・リー(ウォッチャーズと会話する地球人観察者)
組織
- ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー
- ヨンドゥ派ラヴェジャー
- 旧ラヴェジャー98部族(連盟)
- ソヴリン
- ノヴァ軍(言及のみ)
場所
- ミズーリ(1980年・地球)
- ソヴリン領内
- ベルハート(不時着先の森林惑星)
- コンタクシア(歓楽宇宙ステーション)
- エゴの惑星(自己同名のセレスティアル)
- エゴの核
- 葬儀の宇宙空間
アイテム・技術
- アヌラックス・バッテリー
- ヤカ・アロー(口笛で操る赤い矢)
- ヨンドゥのフィン(旧型/新型プロトタイプ)
- デイル号(カー)
- ベンチャー号
- オムニクラフト遠隔操縦戦闘機
- 量子爆弾
- アバイラスクの体液(バッテリー保存用)
- デヴィッド・ハッセルホフのカセット
能力・概念
- セレスティアル
- 『拡張(エクスパンション)』
- ヤカ・アローの操作(口笛)
- マンティスの共感能力
- ロケットの技術力
- 光(フォース)
- ハイパージャンプ
ポストクレジット要素
- クラグリンが新型フィンを手に入れる
- スタカーが旧ガーディアンズを集結させる
- アイーシャが『アダム』を作り出す
- ドラックスとマンティスの会話
- スタン・リーがウォッチャーズと話す
- 成長したティーン・グルート
主要登場人物
前作で『集まったばかりの寄せ集め』だったメンバーは、本作で互いを家族として扱い始める。ジェームズ・ガンの演出は、各人の弱点や葛藤を一行の台詞や一拍の沈黙に圧縮しており、台詞を細かく見るほど人物像が深まる作りである。
ピーター・クイル/スター・ロード(クリス・プラット)
前作で母を失った少年だった彼は、本作で『自分が誰の子なのか』という長年の問いに直面する。エゴという『遺伝子としての父』を信じかけたピーターは、母メレディスの死がエゴの仕業だったと知った瞬間、自分の出自そのものを拒絶する。
彼が最後に選ぶ父親像は、自分を密輸しようとしたはずのヨンドゥだった。『お父さん(daddy)はあいつだった』という結論は、血ではなく傍にいる時間がアイデンティティを作るという本作の主張そのものである。続編『インフィニティ・ウォー』で彼が見せる感情の脆さは、この一連の出来事の延長線上にある。
ヨンドゥ・ウドンタ(マイケル・ルーカー)
セントーリアン人の盗賊団長。歯が金で、フィンと呼ばれる頭部装置でヤカ・アローを操る。前作では『青いトロール』のように扱われていたが、本作で物語の感情の中心へ昇格する。
ラヴェジャー98部族から追放された理由は『子供たちの密輸』——少なくとも一度はエゴからの委託を受け、その『荷物』の中身がエゴに殺される子供たちだと薄々気づきながら継続していたことを示唆する。少年ピーターを依頼通り渡さなかったのは、その良心の最後の発露であった。
ヨンドゥの最終的な犠牲と、それに続くスタカーの和解は、追放者が死後にだけ赦される構造を持つ。MCU で『悪人として登場したキャラクターを、続編で最も尊敬される人物へと書き換える』もっとも成功した例の一つである。
ガモーラとネビュラ(ゾーイ・サルダナ/カレン・ギラン)
サノスに『姉妹』として育てられた二人は、毎度の格闘訓練で勝った者が褒美を得る一方、負けた者はサノスに身体を機械化される——という残虐な調教を受けてきた。本作で初めて、ネビュラ視点からその実態が言語化される。
ガモーラはこれまで自分が暴力に強いことを誇りに感じていたが、ネビュラの『私は妹が欲しかっただけだ』という告白で、自分の勝利が妹の身体の機械化という代償の上に成立していたことを突きつけられる。和解は完全ではないものの、二人がサノスに反逆する道を選ぶ最初の節目として、本作は重要である。
ロケット/ベイビー・グルート(ブラッドリー・クーパー/ヴィン・ディーゼル)
前作のグルートの自己犠牲によって生まれ直した『ベイビー・グルート』は、知性こそ未熟だが、根本的な共感能力は前世と地続きである。終盤、量子爆弾を運ぶ役目を任されるのも、彼が小柄であることに加え、彼を信頼できる仲間だと一同が認めているからである。
ロケットは盗み癖、皮肉、強い自己防衛意識を抱えたまま、本作ではヨンドゥと『同じ穴の貉』として一夜の友情を結ぶ。ヨンドゥが『お前と俺は同じだ』と言ったとき、ロケットが受け流せなかった反応こそが、彼の続編での感情の伏線として配置されている。
マンティス(ポム・クレメンティエフ)
エゴが孤独に耐えかねて惑星で育てた、共感能力を持つ昆虫族の女性。エゴの巨大な精神的負荷を毎晩眠らせるためだけに存在を許されてきた、本作の最も寂しい登場人物の一人である。
ピーターやドラックスとの交流を通じて、彼女は初めて『感情の中身を、自分のためにも分かち合っていい』という体験を得る。ドラックスとのコミカルな掛け合いの裏側には、彼女が誰かのために泣かれた経験すらなかったという背景がある。続編で彼女が完全にガーディアンズへ加わるための前段が、本作で慎重に描かれている。
ドラックス・ザ・デストロイヤー(デイヴ・バウティスタ)
前作ではほぼ復讐に憑かれていたが、本作では『陽光のような家族の男』としての側面が前景化される。妻と娘を失った経験を、初めて他人に向けて語る場面(マンティスとの夜の対話)は、本シリーズで最も静かな感情の場面の一つである。
彼の高すぎる笑い声、独特の比喩、対人感受性の異常さは、コメディの素材であると同時に、感情を遠回しに扱えない種族——リテラル人——としての描写の延長でもある。マンティスを『気持ち悪い』と最初に評する彼自身も、最後には彼女のために脱出ポッドの席を譲る。
舞台と用語
本作は1980年の地球から始まり、ソヴリン領、ベルハートの森林惑星、コンタクシア宇宙ステーション、エゴの自己同名惑星、宇宙空間での葬儀へと舞台を移していく。MCU の宇宙パートとしては『前作』『本作』『インフィニティ・ウォー/エンドゲーム』を支える、世界観の中核に位置する。
重要用語は、セレスティアル(惑星規模の意識体/後のフェーズ4『エターナルズ』で再定義される)、ラヴェジャー(銀河の盗賊団連盟)、ヤカ・アロー(口笛で操作する赤い矢)、『拡張(エクスパンション)』(エゴが銀河を自分の延長で覆う計画)、Awesome Mix(ピーターが母から受け継いだカセット・テープ集)。これらは続編作品で言及・参照され続けるため、本作で意味を押さえておくと後の鑑賞が滑らかになる。
本作の宇宙には、まだ『インフィニティ・ストーン』の言及が薄い。物語が独立して見える理由でもあるが、ピーターの中に眠る『光』は、後の『インフィニティ・ストーン』とは別系統のセレスティアル力として整理されており、ピーターのエンドゲーム以後の能力の議論にもつながる。
制作
本作はマーベル・スタジオが前作の興行と評価を確認したのち、異例の早さで続編製作にゴーサインを出した一本である。脚本・監督ともジェームズ・ガンが続投し、彼は前作公開直後に第二稿レベルの本作脚本を提出していたとされる。
企画と脚本
ジェームズ・ガンは前作の撮影中から続編のテーマを『家族』に置くと決め、特に『ピーター・クイルの父親』を映画的中心に据えるかわりに、原作で父とされていた『J'son of Spartax(スパータックスのジェイソン)』を採用しないと宣言した。理由は、原作のジェイソンが王族としての政治的役回りに偏り、家族論の純粋な対立軸にしにくいためであった。
代わりに採用されたのが、コミックの『マイティ・ソー』系列に登場する古いキャラクター『エゴ・ザ・リヴィング・プラネット』である。原作のエゴは惑星意識であって人型ではないが、ガンはこれを擬人化し、人間の姿で銀河じゅうに種を播くカリスマ的な悪役へ書き換えた。これにより『父親の正体/父との和解/父の拒絶』という三段構成が成立し、続いてヨンドゥが対称軸の『お父さん』として浮上する余地が生まれた。
脚本に明示的に置かれた感情のキーフレーズは『He may have been your father, boy, but he wasn't your daddy.』である。ガンはインタビューで『この一行を中心に脚本全体を逆算して書いた』と述べており、ラヴェジャーの過去、ヨンドゥの追放、ピーターの拒絶、葬儀の場面まで、すべてこの一行へ収束するように設計された。
キャスティング
エゴ役は当初、マシュー・マコノヒーが熱望していたとされるが、最終的にカート・ラッセルが選ばれた。決め手は、1980年代に若年だった俳優というキャスティング条件——回想シーンでデジタル若返り処理を行う必要があり、本人の若い頃の映像・写真資料が豊富に残っているラッセルが最適だと判断された。
マンティス役のポム・クレメンティエフは、ガンが本作のために多数のオーディションを行ったうえで起用した。彼女はフランス出身で、本作出演までは英語圏での出演経験が限定的だったが、ガンは『マンティスの異星人的な距離感の出方』を彼女に確信したと公にコメントしている。
スタカー・オゴード役のシルヴェスター・スタローンは、旧『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』コミックのキャラクター群——スタカー、アレタ、チャーリー27、マーチネックス、メインフレーム、クルガー——を映画版で結集させるための象徴的なキャスティングである。マイリー・サイラスがメインフレームの声を担当している点も、サウンドトラックを起点とする本作の音楽戦略と一致している。
撮影
撮影はヘンリー・ブラハム(『パディントン』『シンデレラ』)が担当した。本作はマーベル・スタジオ作品としては初めて、本編全編を 8K 解像度の Red Weapon 8K VV カメラで撮影した作品である。フィルム的な質感を残しつつ、エゴの惑星の有機的な色彩と、ベルハートの森の自然光、ヨンドゥ葬儀のディープスペース表現を、同一ボディで描き分ける狙いがあった。
撮影は2016年2月から6月にかけて、米国アトランタ近郊の Pinewood Studios(現 Trilith Studios)で行われた。エゴの惑星の地表は、CG だけでなく実物大の起伏セットと造形物を多用し、俳優の演技に物理的な手応えを残す方針が取られた。エゴが見せる『光のキャッチボール』も、現場では青いボールに置き換えた実物のキャッチボールが行われ、後から VFX で光の球に置換されている。
視覚効果
視覚効果は Framestore、Weta Digital、Method Studios、ILM、Trixter、Animal Logic ほか多数のスタジオが分担した。ベイビー・グルートはほぼ全編 CG モデルで、運動データの一部はジェームズ・ガン自身がモーション・キャプチャーを兼ねたとされる。
1980年のエゴのデジタル若返りは、本作公開時点で MCU 全体としても最先端の領域であった。Lola VFX による顔置換とリトポロジー作業の組み合わせで、カート・ラッセル本人の若き日の映像を参照素材として使用している。一方、ヤカ・アローの赤い軌跡は CG の中でもアニメ寄りの様式化を意図的に強め、ファンタジー的な見せ場として独立させた。
エゴの惑星の終盤崩壊シーンと、エゴ本体が見せる『パックマン』『ハッセルホフ』『コスミック・ウィスプ』などの光の幻影は、ガンが青年時代のポップ・カルチャー記憶を視覚化したものとされ、技術的にもストーリー的にも本作のシグネチャー・シーンとなっている。第90回アカデミー賞視覚効果賞ノミネートは、この一連の映像表現が評価されたものである。
音楽とAwesome Mix Vol. 2
劇伴音楽はタイラー・ベイツ。前作と同じ作曲家・コンポーザーが続投し、ベイビー・グルートの主題、エゴの主題、ヨンドゥの主題を新規に提示しながら、前作モチーフを再演する『リミックス』構造を取った。物語の進行と挿入歌の重なり方は前作以上に緻密で、サウンドトラック・アルバム『Awesome Mix Vol. 2』は2017年4月21日に米国で先行リリースされた。
本作で象徴的に使用される楽曲は次のとおり。ELO『Mr. Blue Sky』(オープニング・ダンス)、ルッキング・グラス『Brandy(You're a Fine Girl)』(エゴが自分とメレディスを重ねる主題)、フリートウッド・マック『The Chain』(ヤカ・アロー連続殺戮の前後)、ジェイ・アンド・ジ・アメリカンズ『Come a Little Bit Closer』(同シーンの主体)、ジョージ・ハリスン『My Sweet Lord』、サム・クック『Bring It On Home to Me』、フリートウッド・マック『Surrender』、シルヴァー『Wham Bam Shang-a-Lang』、そしてキャット・スティーヴンス『Father and Son』(ヨンドゥ葬儀)。
音楽の選定は、シナリオの感情シーンを先に決め、そこに合う楽曲を後付けで貼るのではなく、シーンの撮影前にプレイリストを確定させ、現場でその楽曲を流しながら俳優を動かすという『Sound on Set』方式で行われた。これはガンが前作から続けてきた手法で、俳優の動作のリズムが楽曲に同期して見える理由である。
編集と尺
編集はフレッド・ラスキンとクレイグ・ウッドが担当。最終上映時間は136分で、当初の暫定版は150分前後だったとされる。削られたのは主にエゴの惑星パートの探索描写と、ベンチャー号のベルハート修理パートの会話シーンで、ガーディアンズの軽口を残しつつ、ヨンドゥの葬儀へ向けた感情の流れを最優先する判断が貫かれている。
本作はマーベル映画として珍しく、本編中盤に『家族論の対話パート』と『戦闘パート』を交互に切り返す編集ではなく、対話の長いシーン(ネビュラとガモーラ/マンティスとドラックス/ピーターとエゴ)をそれぞれ独立した一定の長さで腰を据えて見せる構成を取っている。ガンはこれを意図して『コメディ・スペース・オペラの外見を保ちつつ、内側はホーム・ドラマ』としたと述べている。
公開と興行
本作は2017年4月10日にロサンゼルスのドルビー・シアターでワールド・プレミアを迎え、4月末から欧州・アジアで段階的に公開、米国・日本は5月の連休帯に劇場公開された。北米のオープニング3日間は約1.46億ドル、世界初週末は約4.27億ドルを記録し、2017年公開作の中で年間興収トップクラスのスタートを切った。
最終的な世界興行収入は約8.63億ドルに達し、フェーズ3前半(『シビル・ウォー』『ドクター・ストレンジ』『スパイダーマン:ホームカミング』など)と比べても、シリーズの主力作の一角を担う成績となった。日本国内では公開後数週にわたって週末興行上位を維持し、最終的に約34億円の興収を記録している。
第90回アカデミー賞では視覚効果賞にノミネートされた(受賞は『ブレードランナー 2049』)。Saturn Awards では最優秀SF映画賞、最優秀監督賞(ガン)、最優秀キャラクター造形賞などを獲得。Awesome Mix Vol. 2 サウンドトラックは Billboard 200 にチャートインし、リリース週には全米トップクラスのセールスを記録した。
ポストクレジット要素
本作は MCU としては異例の『5つ』のポストクレジット・シーンを擁する。一部は今後のシリーズへ繋がる伏線、一部はファンサービス、一部は単なるギャグだが、それぞれが本編のテーマと呼応している。
ポストクレジット一覧
- ①クラグリンが新型フィンとヤカ・アローを練習する/鼻を貫く——ヨンドゥの遺産の継承
- ②スタカー・オゴードが旧ラヴェジャーたち(アレタ、チャーリー27、マーチネックス、メインフレーム=マイリー・サイラス声、クルガー)を再結集する——コミック原作の『初代ガーディアンズ』のお披露目
- ③アイーシャが新たな『完璧な存在』を作り出し、その名を『アダム』と告げる——後の『ガーディアンズ Vol. 3』ではアダムの登場へと繋がる伏線(採用された名はアダム・ウォーロック)
- ④ドラックスがマンティスを『気持ち悪い』と言いながらも、彼女と並んで宇宙を眺める——ガーディアンズの新たな家族化
- ⑤スタン・リーがウォッチャーズと宇宙空間で会話する——彼が MCU 全体を観察してきた語り部であることを示唆するメタ要素
- ⑥ティーン・グルートが部屋を散らかし、クイルが小言を言うがその姿勢が完全に父親そのものになっている——成長したグルートと、父性の継承
批評・評価・文化的影響
本作は、前作の鮮烈な独立性を維持しながら、より個人的・感情的なドラマへ重心を移した続編として高く評価された。批評家の支持は前作よりやや分散したが、観客評価は高水準を維持し、特にヨンドゥの犠牲とラヴェジャー葬儀のシーンは MCU 全体のなかでも『最も泣ける場面』として繰り返し言及される。
他方、批評の論点は、前半のソヴリン襲来からベルハート不時着までの中盤が冗長であるとの指摘、エゴの動機が広大すぎてピーターとの個人的対立に絞り込まれるまでに時間がかかる構成上の問題、笑いとシリアスの切替頻度が高い演出の好き嫌いに分かれた。これらは続編『Vol. 3』では大幅に再設計され、ロケットの過去という縦軸へ収斂する形で克服される。
文化的影響としては、『Awesome Mix』というコンセプトがフランチャイズ全体の音楽戦略のテンプレートとして再利用されたこと、本作のヨンドゥが MCU の『カッコいい大人キャラクター』の代表として広く愛されるようになったこと、そしてベイビー・グルートというキャラクターが、低年齢層への入口商品としてフランチャイズの裾野を広げたことが挙げられる。
舞台裏とトリビア
オープニング・タイトルでベイビー・グルートが踊る ELO『Mr. Blue Sky』の場面は、リハーサルでベイビー・グルートのモーション・キャプチャーをジェームズ・ガン本人が踊って取ったとされる。彼は撮影前に音楽との同期を完全に揃えるため、自宅で同曲に合わせて何度も踊って撮影台本のテンポを決めたと公にコメントしている。
デヴィッド・ハッセルホフは、ピーターがエゴの惑星で語る『理想の父親像』として本人役で登場し、本編内のテーマ曲としても『Inferno』を歌う。ガンはハッセルホフの『ナイトライダー』時代のテレビ番組を子供の頃に父と見ていたという個人的記憶を、ピーターの台詞へ重ねている。
葬儀シーンの花火は、ラヴェジャーが破門されていない者にのみ与えられる伝統儀礼として位置付けられている。スタカー・オゴードが空を見上げて『ヨンドゥ・ウドンタ』とつぶやく場面は、ガンが葬儀全体を撮るために最初に書き上げた台詞だったとインタビューで語られている。
本作にはハワード・ザ・ダックがコンタクシアの賭博シーンに再びカメオ出演しており、シーン中の女性カモがハワードの恋人として描かれる。スタン・リーのカメオは、前作・本作・以後の作品を貫く『同一人物が銀河じゅうを移動する観察者』であるという解釈を最も強く示唆した一場面である。
テーマと解釈
本作の中核は『父親(father)とお父さん(daddy)は別物だ』という一行に圧縮される。エゴは遺伝子と銀河規模の能力をピーターに与えるが、彼の存在に時間を費やしたことは一度もない。一方、ヨンドゥは少年を地球から誘拐し、青いトロールのような圧政者として育てたが、彼の代わりに『拡張』からも、サノスからも、エゴからも遠ざける『時間』を費やしていた。本作は、父性を血の連続ではなく、時間の継続として再定義する。
もう一つの主題は『家族とは、選び直せるかどうか』である。ネビュラとガモーラは血ではなくサノスの暴力で結ばれた『姉妹』であり、ロケットとヨンドゥは互いに『社会から見放された孤独な動物』であり、ドラックスとマンティスは『家族を失った者』と『家族を持ったことのない者』である。本作はそれぞれの組み合わせに、家族として並び直す一夜を平等に与えている。
三つ目の主題は『懐古ポップは記憶を救えるか』である。ピーターは80年代の Awesome Mix を、母メレディスとの繋がりを保つ唯一の品として持ち歩く。エゴはそのポップ感覚を理解できる『同類』として近づくが、最後に流れる『Father and Son』は、ピーターの過去を癒やすのが彼の遺伝的父ではなく、母メレディスとヨンドゥの両方であったことを音楽として証明する。
見る順番(補助)
本作は MCU 内のスタンドアロン色が強く、必要な前提は前作『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014)のみである。前作で示されたピーターの母メレディスの死、ヨンドゥとピーターの関係、ガモーラとネビュラの姉妹関係を押さえてから本作に入ると、感情の起伏が完全に響く。
本作の後は、ピーターたちのMCU合流先である『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』『アベンジャーズ/エンドゲーム』、ガーディアンズが大きく動く『ソー:ラブ&サンダー』、ロケットの過去に踏み込む完結編『Vol. 3』へと進むのが自然である。
- 前作『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014)でメンバーが集結し、ロナンを退ける
- 本作数か月後、ピーターが父エゴの正体を知り、ヨンドゥが犠牲となる
- 合流『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』でソーと合流/サノスとの宿命の合流
- 再合流『アベンジャーズ/エンドゲーム』で2014年ガモーラが現代へ/メンバーがアッセンブル
- 完結『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Vol. 3』でロケットの過去とチーム解散
よくある質問(補助)
「あらすじだけ知りたい」場合は、ソヴリンの仕事→ロケットの盗み→ベルハート不時着→エゴ登場→惑星エゴでの真実暴露→拡張発動→ベイビー・グルートの爆弾と惑星崩壊→ヨンドゥの犠牲→葬儀、という骨格を押さえれば十分である。「結末・ネタバレを知りたい」場合は、エゴがメレディスに脳腫瘍を植えたこと、子供たちを大量に殺してきたこと、ヨンドゥがピーターのために自分のスーツを譲って凍死すること、スタカーがヨンドゥを最終的に許すこと——この四点が核となる。
「初めて観る」場合の最低限は、前作『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014)の鑑賞である。ピーターの母メレディス、ヨンドゥの過去、ガモーラとネビュラの姉妹関係、Awesome Mix のテーマは、すべて前作で土台が作られているため、これを飛ばすと感情の起伏が大きく目減りする。
「ポストクレジットはどれが本筋に関係するか」については、②スタカーの旧ガーディアンズ集結(コミック原作および続編 Vol. 3 への伏線)、③アイーシャの『アダム』創造(Vol. 3 でアダム・ウォーロックとして登場)、①クラグリンへのフィン継承(Vol. 3 のクラグリン活躍へ)が、後続作品に直接接続する。④⑤⑥はキャラクターとファン向けの締めくくりである。
参考資料・脚注
作品名、キャラクター名、画像、各種権利はそれぞれの権利者に帰属する。公開年・興行・受賞・配信状況・外部評価は変動しうるため、視聴前に公式および各データベースの最新表示を確認されたい。本記事の本文は各種公開情報をもとに、Anna Movies 用の独自の日本語文章として構成している。
参照・確認先
公式画像、作品名、キャラクター名、権利は各権利者に帰属する。公開年、配信状況、外部評価は変わる場合があるため、視聴前に公式・配信元・作品データベースで確認したい。