『最後のジェダイ』は、2017年に公開されたアメリカのSF映画であり、『スター・ウォーズ』続三部作の第2作である。惑星に隠棲していた伝説の英雄ルーク・スカイウォーカーのもとを訪れたレイが、ジェダイの力を巡って修行を重ねる一方、ファースト・オーダーに追われるレジスタンスの逃走劇が並行して描かれる。従来の英雄神話を問い直す挑戦的な語り口で、ファンや批評家の間に大きな賛否を呼んだ作品として位置づけられる。
00概要
『スター・ウォーズ エピソード8/最後のジェダイ』(Star Wars: Episode VIII – The Last Jedi)は、ライアン・ジョンソンが監督・脚本を手がけ、2017年12月15日に公開されたスペースオペラである。続三部作の第2作にあたり、前作『フォースの覚醒』の物語をそのまま受け継ぐ。
敗走するレジスタンスを、ファースト・オーダーが執拗に追い詰めていく。燃料の尽きかけた逃走劇だ。これと並行して、孤島オク=トーに身を隠す最後のジェダイ、ルーク・スカイウォーカーのもとへ、レイが修行を求めて訪れる。やがてレイとカイロ・レンの間にはフォースを介した精神の結びつきが芽生え、ふたりの運命を誰にも読めない方向へと導いていく。
本作は、英雄神話や「選ばれし血筋」という前提をあえて問い直し、誰もが英雄になりうるという主題を前面に押し出した。その大胆さと映像美は高く評価されたが、一方でルークの描き方や従来の期待を裏切る展開は激しい賛否を巻き起こし、シリーズで最も議論を呼ぶ一作となった。
本記事は結末を含め、全編の内容に踏み込んでいる。物語の大きな驚きを損ないたくない場合は、まず本編を鑑賞してから読み進めることをおすすめしたい。
主要データ
- 原題
- Star Wars: Episode VIII – The Last Jedi
- 監督・脚本
- ライアン・ジョンソン
- 音楽
- ジョン・ウィリアムズ
- 米国公開
- 2017年12月15日
- 上映時間
- 152分
- ジャンル
- スペースオペラ、SF、戦争、ドラマ
オープニング・クロール
クロールは、ファースト・オーダーの猛追を受けるレジスタンスの絶望的な状況と、ルークを見出したレイへの希望を提示する。
02あらすじ
以下は結末までを含む全編のあらすじである。物語は敗走の追跡劇、オク=トーの修行、玉座の間の急転、そしてクレイトの決戦という流れで進む。
敗走と燃料切れの追跡
レジスタンスは基地からの脱出に成功するが、その代償は大きかった。パイロットのポー・ダメロンが将軍の制止を無視して敢行した爆撃機の特攻が、甚大な犠牲を招いたのだ。一方、ファースト・オーダーはハイパースペース追跡技術を駆使してレジスタンス艦隊を執拗に追い、燃料が尽きるのを待つかのように、じわじわと距離を詰めていく。
レイア・オーガナ将軍が負傷して指揮を執れなくなると、後を継いだのはホルド提督だった。だが、その秘密主義の作戦に納得できないポーは、独断専行を重ねていく。さらにフィンと整備士ローズ・ティコは、追跡を断つための糸口を求め、賭博都市カント・バイトで腕利きの解錠屋を探すという独自の任務に出る。
オク=トーとルークの真実
孤島オク=トーで、レイは隠遁するルーク・スカイウォーカーに修行を懇願する。だがルークは「ジェダイは終わるべきだ」と頑なに首を縦に振らない。なおも食い下がるレイに、やがてルークは自らの過去を語りはじめる。かつて甥ベン・ソロの内に芽生えた巨大な闇を、ルークは一瞬恐れた。そして無意識のうちに剣を抜きかけてしまう。その刹那の弱さこそが、ベンを決定的にカイロ・レンへと追いやり、新世代のジェダイを破滅へと導いたのだ。深い悔恨を抱えたルークは、こうして世界から身を引いていた。
一方レイは、フォースを通じてカイロ・レンと時空を越えて言葉を交わせる接続——フォース・ボンドが生じていることに気づく。互いの孤独と痛みを知る二人の対話は、敵対と共鳴の境界を揺さぶっていく。レイは自らの出自の答えを島の暗い穴に求めた。だが、そこで得られたのは「両親は名もなき者だった」という空白だけだった。
玉座の間とスノークの最期
レイは、カイロ・レンを再び光の側へ引き戻せると信じてファースト・オーダーの旗艦へ赴く。だが待ち受けていたのは最高指導者スノークの前への連行だった。スノークは、レイとカイロのフォース接続が自らの仕組んだものだと嘲り、カイロにレイを処刑するよう命じる。
ところがカイロ・レンは、レイの隣に置かれた自分のライトセーバーをフォースで起動し、スノークを真っ二つに斬って殺害する。二人は背中合わせに構え、スノークの近衛兵プレトリアン・ガードを相手に壮絶な死闘を繰り広げ、これを退ける。戦いのあと、カイロ・レンはレイを誘う。ジェダイもシスも、そして君の両親も――過去をすべて捨て、ともに新たな銀河を統べようと。だがレイは拒む。フォースの綱引きの末に砕けたスカイウォーカーのライトセーバーだけを手に、その場を脱出する。残されたカイロ・レンは、最高指導者の座を簒奪するのだった。
クレイトの決戦とルークの最期
艦隊が壊滅的に削られていくなか、ホルド提督は単艦を光速のままファースト・オーダーの旗艦へと突入させ、自らの命と引き換えに敵艦隊を粉砕する(ホルド・マニューバ)。生き残ったレジスタンスは塩の惑星クレイトの古い要塞に立てこもるが、ファースト・オーダーに包囲されてしまう。フィンとローズが頼った解錠屋(DJ)は土壇場で一行を裏切り、カント・バイトでの任務は実を結ばない。
絶体絶命のなか、ルーク・スカイウォーカーが姿を現し、単身でカイロ・レンの前に立ちはだかる。だがルークの一撃はカイロをすり抜ける——それは遠いオク=トーから投影されたフォースの幻影だった。こうして時間を稼いだルークはレジスタンスを脱出させ、オク=トーの夕日を見つめながら穏やかにフォースと一体化する。
脱出路を塞ぐ巨岩を、覚醒したレイがフォースで持ち上げ、わずかな生存者をファルコンへと逃がす。やがてヨーダの霊体が現れ、過去への執着を手放せという教えとともにジェダイの古木を焼き払う(だが古文書はレイが密かに持ち出していた)。物語は、辺境の少年が誇りを胸に空を見上げる場面で幕を閉じる——フォースは血筋ではなく、誰のもとにも宿りうる。その主題を静かに示しながら。
登場要素
本作に登場し、また言及される主な要素を分類して紹介する。これらの固有名詞はシリーズを読み解く手がかりとなるが、初見ですべてを覚える必要はない。
- レイ
- ルーク・スカイウォーカー
- カイロ・レン/ベン・ソロ
- レイア・オーガナ将軍
- ポー・ダメロン
- フィン
- ローズ・ティコ
- ホルド提督
- 最高指導者スノーク
- ハックス将軍
- キャプテン・ファズマ
- DJ(解錠屋)
- マズ・カナタ
- ヨーダ(霊体)
- BB-8
- R2-D2
- C-3PO
- チューバッカ
- 人間
- ウーキー
- オク=トーの世話人(ラニアイ)
- ポーグ
- ヴァルプティス(クレイトのキツネ)
- 各種エイリアン
- BB-8
- R2-D2
- C-3PO
- BB-9E
- ファースト・オーダーの作業ドロイド
- ポーグ
- ファシアー(巨大魚)
- ヴァルプティス
- カント・バイトのファジアー
- オク=トーの生物
- オク=トー
- クレイト
- カント・バイト(カントニカ)
- ダ=カール基地
- レジスタンス艦隊
- ファースト・オーダー旗艦スプレマシー
- ファースト・オーダー
- レジスタンス
- ジェダイ(最後の一人)
- プレトリアン・ガード
- 最高指導者
- 提督・将軍
- ミレニアム・ファルコン
- Xウィング
- Aウィング
- レジスタンス爆撃機
- スキー・スピーダー
- スプレマシー
- ラダス(旗艦)
- TIEサイレンサー(カイロ機)
- ライトセーバー(スカイウォーカーの形見・破損)
- ブラスター
- ハイパースペース追跡装置
- ホルド・マニューバ(光速衝突)
- ジェダイ古文書
- ハイパードライブ
- フォース
- ダークサイド/ライトサイド
- ジェダイ
- フォース・ボンド(精神接続)
- フォース投影
- フォースとの一体化
- フォースの覚醒(血筋によらない)
08主要登場人物
本作は伝説の英雄ルークの再定義と、レイとカイロ・レンの精神的な二重奏を物語の中心に据える。観客が思い描く英雄像をあえて裏切る人物配置こそが、本作の主題であり、賛否を呼んだ源でもある。
ルーク・スカイウォーカー
本作のルークは、伝説の英雄としてではなく、弟子を救えなかった悔恨に沈む老人として姿を現す。神話となった自らを拒む彼は、最後に幻影として戦い、暴力を一切振るわずに勝利する。この描写は、英雄譚の常識を覆すものだ。賛否両論の中心でありながら、神話の継承と、その手放しという本作のテーマを体現する役回りでもある。
レイとカイロ・レン
レイとカイロ・レンは、フォースを通じて心を通わせ、互いの孤独と痛みを知る。敵対しながら、誰よりも深く理解し合う関係になっていく。レイは自らの出自という空白を突きつけられながらも、それでも自分の道を選ぶ。一方のカイロは、師スノークを手にかけ、過去をすべて捨て去って頂点へと立つ。二人を結ぶ引力と、互いを退ける反発。その相克こそが、続三部作の悲劇の核を成している。
レイア・ポー・フィン・ローズ
レイア・オーガナは指導者として希望を捨てない。ポーは血気盛んな突出から、「指揮官として待つ」ことを学んでいく。フィンと新キャラクターのローズ・ティコが体現するのは、英雄的な自己犠牲ではなく、「愛する者を守る」という選択だ。脇筋まで含め、本作は古典的な英雄像の問い直しを幾重にも重ねている。
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舞台と用語
舞台となるのは、緑と岩に覆われた孤島オク=トー、退廃の賭博都市カント・バイト、そして赤い塩に覆われた白い惑星クレイトだ。隠遁の地、腐敗の街、最後の砦——それぞれの空間が対照をなし、神話の終わりと再生という主題を視覚へと translation… いや、映像へと結晶させる。なかでもクレイトの白い大地に走る赤い亀裂は、本作を象徴する一場面となった。
用語の面では、フォース・ボンド、フォース投影、ホルド・マニューバ、ジェダイ古文書が鍵を握る。フォースは特定の血筋に受け継がれるものではなく、誰にでも宿りうる——この再定義こそが本作の中心にある概念だ。
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13制作
本作は、続三部作のなかで最も作家性が前面に出た一作であり、その作風が評価の分裂を招いた。以下、主要な経緯を整理する。
企画と脚本
監督・脚本を単独で務めたライアン・ジョンソンは、前作が投げかけた謎——レイの出自、スノークの正体——に対し、観客の予想をあえて裏切る答えを用意した。英雄神話と血筋至上主義を解体し、失敗から学ぶこと、そして「誰もが英雄になりうる」という主題を前面に押し出す。この大胆な選択こそが、本作の独創性と、賛否両論の双方を決定づけた。
キャスティング
デイジー・リドリー、アダム・ドライバー、ジョン・ボイエガ、オスカー・アイザック、マーク・ハミル、キャリー・フィッシャーらが続投。新たにケリー・マリー・トラン(ローズ・ティコ)、ローラ・ダーン(ホルド提督)、ベニチオ・デル・トロ(DJ)が加わった。本作はキャリー・フィッシャーの生前最後の出演作の一つであり、レイアの姿には追悼の意味も込められている。
撮影と視覚効果
前作の実物志向を受け継ぎながら、塩と赤い土が鮮烈な対比を見せるクレイト、重厚な質感を湛えたスプレマシー艦内、ホルド・マニューバの無音の閃光と、強い作家性を帯びた映像が追求された。光速で敵艦に突入する場面では一瞬だけ音が消える。シリーズ屈指の名カットとして、今なお広く語り継がれている。アイルランドの孤島や塩湖など、印象的なロケ地も効果的に用いられた。
音楽
ジョン・ウィリアムズが続投し、前作のレイ、カイロ・レン、レジスタンスの主題を発展させた。ルークの帰還やフォース投影の場面では旧三部作の旋律が荘厳に立ち返り、神話の継承という主題を音楽が支える。
18公開と興行
2017年12月15日に公開された本作は、全世界でおよそ13億3000万ドルを記録する大ヒットとなった。批評家の評価は総じて高かったが、長年のファンのあいだでは賛否が大きく割れ、シリーズ史上もっとも議論を呼ぶ一作となった。
焦点となったのは、ルークの描き方、レイの出自に与えられた答え、英雄神話の脱構築、そしてカント・バイトをめぐる脇筋の評価など、実に多岐にわたる。作品の野心と挑発性が、強い支持と強い反発の双方を生んだのである。
19批評・評価・文化的影響
本作は、フランチャイズ映画における作家性とファンの期待の衝突を象徴する一例として、映画批評の場でたびたび参照される。テーマの大胆さを評価する声がある一方、シリーズの連続性を損なったとする声も根強い。両者は併存し、その論争そのものがひとつの文化現象となった。
続三部作の方向性をめぐる論争は、次作の制作にも影響を及ぼしたといわれる。シリーズの運営とファンダムの関係を考えるうえで、本作はもはや避けて通れない一作である。
舞台裏とトリビア
オク=トーの島は実在の孤島でロケ撮影され、島に生息する海鳥が、CGクリーチャー「ポーグ」のデザインの着想源となった。光速航行で敵艦に突入するホルド・マニューバの一瞬を無音で見せる演出は、観客の度肝を抜く映像表現として高く評価された。
本作はキャリー・フィッシャーの遺作級の出演作である。撮影後に彼女が急逝したことで、レイアの物語は次作で大きな調整を迫られることになった。監督ライアン・ジョンソンの作家的な判断は、後年に至るまで賛否両論の議論を呼び続けている。
21テーマと解釈
中心にあるのは、神話と血筋からの解放だ。レイの両親は「名もなき者」とされ、フォースは特定の血統だけのものではないと宣言される。英雄は選ばれて生まれるのではなく、選んでなるもの——その主題が、ルークの幻影の勝利や、辺境の少年を映すラストショットに凝縮されている。
もう一つの軸は、失敗からの学びである。ポーの暴走、ルークの悔恨、フィンとローズの任務の失敗。本作は登場人物に繰り返し失敗を経験させ、「失敗こそ最良の師」というヨーダの言葉でそれを肯定してみせる。過去への執着を手放し、未来へ何を残すのか。その問いが作品全体を貫いている。
22見る順番
本作は続三部作の中編にあたり、『フォースの覚醒』を観た直後に続けて鑑賞するのが前提だ。続三部作は『フォースの覚醒』『最後のジェダイ』『スカイウォーカーの夜明け』の順に並び、旧三部作とプリクエル三部作の後に位置づけられる。
本作だけでは物語として完結しにくい。前後の作品とあわせて観てこそ、その主題と、賛否を分けた論点が浮かび上がってくる。
23よくある質問
「あらすじだけ知りたい」なら、燃料切れの追跡劇、オク=トーでの修行、玉座の間の急転、クレイトの決戦という流れを押さえれば十分だ。「結末・ネタバレを知りたい」なら、スノークの死、カイロの簒奪、ルークのフォース投影とその最期、そしてレイの出自(名もなき両親)までが核となる。
「評価を知りたい」なら、批評家の評価とファンの賛否が真っ二つに割れた点を念頭に置き、テーマの大胆さに目を向けて観るとよい。観る順番としては、『覚醒』の直後が必須である。
24参考資料・脚注
作品名、キャラクター名、画像、その他各種の権利は、それぞれの権利者に帰属する。公開年や興行成績、制作・配信の状況、外部からの評価は変動しうるため、視聴の前には公式サイトおよび各データベースの最新の表示を確認されたい。本記事の本文は、各種の公開情報をもとに、Anna Movies独自の日本語記事として構成したものである。