若きハン・ソロの出自、チューバッカやランドとの出会い、ファルコン獲得を描くアンソロジー作。
2作目の単独アンソロジー。当初の監督交代を経てロン・ハワードが完成させた。上映時間135分。
若きハン・ソロの惑星脱出、チューバッカとの出会い、ケッセル・ラン、ファルコン獲得までを描く前日譚。
娯楽作としての完成度は評価される一方、製作の混乱や公開時期もあり興行は振るわなかった。
全編のあらすじ、登場要素、制作、舞台裏まで網羅。ダース・モール再登場などのネタバレあり。
目次 25項目 開く
概要
『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』(Solo: A Star Wars Story)は、ロン・ハワードが監督し、2018年5月25日に公開されたスペースオペラ映画である。『ローグ・ワン』に続く2作目の単独アンソロジー作品で、人気キャラクター、ハン・ソロの若き日を描く前日譚にあたる。
物語は、惑星コレリアで底辺を生きる青年ハンが、自由を求めて惑星を脱出し、密輸の世界に身を投じながら、相棒となるウーキーのチューバッカ、ギャンブラーのランド・カルリジアン、そして愛機ミレニアム・ファルコンと出会うまでを描く。旧三部作で語られた断片——ケッセル・ランの伝説、ランドとの賭け、ハンという姓の由来——の起源が明かされる。
本作は監督交代という製作上の混乱を経て完成した。娯楽作としての手堅い完成度は評価される一方、公開時期や前売り環境もあって興行は振るわず、アンソロジー路線の見直しを招いた作品でもある。
本記事は結末を含む全編の内容に踏み込む。物語の重大な驚きを保ちたい場合は、まず本編を鑑賞してから読むことを勧める。
- 原題
- Solo: A Star Wars Story
- 監督
- ロン・ハワード
- 脚本
- ジョナサン・カスダン/ローレンス・カスダン
- 音楽
- ジョン・パウエル
- 米国公開
- 2018年5月25日
- 上映時間
- 135分
- ジャンル
- スペースオペラ、SF、ヒースト、冒険
オープニング演出について
本作もアンソロジー作品であり、サーガ本編の黄色いオープニング・クロールを持たない。冒頭に短い導入テキストが示されたのち、犯罪組織が暗躍する辺境の状況からクロールなしで本編が始まる。これは『ローグ・ワン』同様、本編から独立した一篇であることの宣言である。
あらすじ
以下は結末までを含む全編のあらすじである。物語はコレリア脱出、強盗団との出会い、ケッセル・ラン、そして裏切りの清算という流れで進む。
コレリア脱出とチューバッカ
造船惑星コレリアで犯罪組織に使われて生きる青年ハンは、恋人キーラとともに惑星からの脱出を企てる。検問を盗んだ燃料で買収して突破するが、土壇場でキーラと引き離され、ハンだけが脱出に成功する。彼は再会を誓い、帝国軍へ志願してパイロットを目指すが、素行ゆえに歩兵へ回される。
戦地で、ハンは強盗団の頭目トバイアス・ベケットらと出会い、その一味に加わる。捕らえられていた獰猛なウーキー、チューバッカと共闘して脱出したことが縁となり、二人は生涯の相棒となる。ここで観客は、ハンとチューバッカの絆の起点を知る。
強盗とクライムロードの債務
ベケット一味は、貴重な超燃料コアクシウムを走行中の列車から強奪する大仕事に挑むが、覆面の盗賊団エンフィス・ネストの妨害で作戦は失敗し、コアクシウムを失う。一味は強奪を発注していた犯罪シンジケート「クリムゾン・ドーン」の幹部ドライデン・ヴォスに、損失の返済を厳しく迫られる。
ヴォスの右腕として、生き別れた恋人キーラが現れる。ハンは借りを返すため、未精製のコアクシウムを危険な鉱山惑星ケッセルから盗み出し、爆発する前に精製所へ運ぶという無謀な計画を提案する。船と操縦士を確保するため、一行は伊達男のギャンブラー、ランド・カルリジアンに接触する。
ケッセル・ランとファルコン
ランドは賭けに応じ、自船ミレニアム・ファルコンと、解放思想を持つ相棒ドロイドL3-37とともに一行に加わる。ケッセルの鉱山で生体コンピュータと奴隷の解放(L3の反乱)を引き金に脱出するが、追撃と重力嵐に追われる。
通常航路を取れば爆発を待つだけのコアクシウムを救うため、ハンは危険な近道を選ぶ。巨大重力源と怪物に追われながら、ファルコンは光速級の機動で航路を駆け抜け、わずか「12パーセク」でケッセル・ランを走破する——旧三部作で語られる伝説の起源がここで描かれる。L3はこの逃走で失われ、その航行データがファルコンに組み込まれる。
裏切りの清算とファルコン獲得
精製されたコアクシウムの引き渡しの場で、複数の思惑が交錯する。覆面集団エンフィス・ネストの正体は、クリムゾン・ドーンに虐げられた者たちの抵抗運動であり、コアクシウムは反乱の資金になるべきものだった。ハンは機転でドライデン・ヴォスを欺き、キーラがヴォスを討つ。
だがキーラは自由になる道を選ばず、クリムゾン・ドーンの新たな長として組織に残り、ハンと袂を分かつ。その背後で、シンジケートの真の首領が立体通信に現れる——それは生き延びていたダース・モールだった(シリーズ横断の伏線)。
盗んだコアクシウムの一部を反乱運動へ託したハンは、裏切ったベケットを自ら撃って清算し、賭けの再戦でランドからミレニアム・ファルコンを勝ち取る。チューバッカを相棒に、ハン・ソロは自由な密輸業者としての人生へ踏み出す——その姿は、やがて『新たなる希望』のモス・アイズリーへとつながっていく。
登場要素
本作に登場・言及される主な要素を分類して示す。固有名詞はシリーズ理解の手がかりだが、初見で暗記する必要はない。
キャラクター
- ハン・ソロ
- チューバッカ
- ランド・カルリジアン
- キーラ
- トバイアス・ベケット
- ヴァル
- リオ・ドゥランド
- ドライデン・ヴォス
- L3-37
- エンフィス・ネスト
- ダース・モール
- ローダ(コレリアの首領)
種族
- 人間
- ウーキー
- アーデニアン(L3の元型)
- 各種エイリアン
- ケッセルの鉱夫種族
ドロイド
- L3-37
- ランドの整備ドロイド
- クリムゾン・ドーンの随行機
- 鉱山管理ドロイド
クリーチャー
- 重力嵐の巨大生物(サマー・スネイル系)
- ケッセルの生体コンピュータ
- コレリアの動物
場所
- コレリア
- ミンバン(戦地)
- ヴァンドール(列車強奪地)
- ケッセル(鉱山)
- サヴァリーン(精製所)
- フォート・イプソ
組織・称号
- クリムゾン・ドーン
- 銀河帝国
- エンフィス・ネスト一党
- ベケット一味
- コレリアの犯罪組織
- 反乱の萌芽
乗り物・宇宙船
- ミレニアム・ファルコン(初期形態)
- スピーダー(M-68)
- コンベヤ列車
- TIEファイター
- AT-ハウラー
- ヴォスのヨット
テクノロジー・武器
- コアクシウム(超燃料)
- ブラスター(DL-44の原型)
- ファルコンの脱出ポッド
- L3の航行データ
- 賭博ゲーム(サバック)
概念・伝承
- ケッセル・ラン(12パーセク)
- ハンという姓の由来
- ファルコンの賭け
- ドロイドの権利(L3)
- シリーズ横断の伏線(モール)
主要登場人物
本作は、旧三部作で完成された人物像(ハン・チューバッカ・ランド・ファルコン)の起点を逆算して提示する。観客が結末を知っているがゆえの予定説的な味わいが特徴である。
ハン・ソロ(オールデン・エアエンライク)
本作のハンは、まだ皮肉屋の仮面をかぶる前の、楽観的で人を信じやすい青年として描かれる。裏切りと喪失を重ねるなかで、旧三部作で見せる「報酬で動くニヒルなならず者」の外殻が形成されていく。その変化の過程こそが本作の主眼である。
チューバッカとランド・カルリジアン(ヨーナス・スオタモ/ドナルド・グローヴァー)
チューバッカは、捕囚から共に脱したことでハンと生涯の絆を結ぶ。本作はその出会いと相互の信頼の起点を描く。ランド・カルリジアンは、伊達男で打算的なギャンブラーとして登場し、賭けでファルコンをハンに失う——旧三部作で語られた逸話の現場が描かれる。相棒ドロイドL3-37はドロイドの自由を訴える異色のキャラクターである。
キーラとドライデン・ヴォス(エミリア・クラーク/ポール・ベタニー)
キーラはハンの幼なじみで恋人だが、生き延びるために犯罪シンジケートの中枢へと身を置く。自由を選ばず権力に残る彼女の選択が、ハンの孤独な人生観の一因として描かれる。ドライデン・ヴォスはクリムゾン・ドーンの幹部で、その背後に真の首領ダース・モールが控える構図が示される。
舞台と用語
舞台は、煤けた造船惑星コレリア、泥濘の戦地ミンバン、雪山の列車強奪地ヴァンドール、過酷な鉱山惑星ケッセルへと移る。煤・泥・雪・闇という暗いトーンが、英雄譚ではなく裏社会のヒースト劇という本作の性格を体現する。
用語面では、コアクシウム、ケッセル・ラン(12パーセク)、クリムゾン・ドーンが鍵となる。旧三部作の断片的な台詞(ハンの自慢話)の「実際の出来事」を提示する逆算構造が、本作の用語の多くを占める。
制作
本作は監督交代という大きな製作上の混乱を経て完成した、アンソロジー路線を再考させる作品である。以下、主要な経緯を整理する。
企画と脚本
脚本は、旧三部作『帝国の逆襲』『ジェダイの帰還』を手がけたローレンス・カスダンと、その息子ジョナサン・カスダンが担当した。旧三部作で語られたハンの自慢話(ケッセル・ラン、ファルコンの賭け、チューバッカとの絆)を、観客が結末を知ったうえで逆算的に体験させる構成が採られた。
監督交代
本作は当初フィル・ロードとクリストファー・ミラーが監督していたが、製作方針の相違から撮影の大詰めで降板し、ロン・ハワードが引き継いで大規模な再撮影を行い完成させた。この交代劇は広く報じられ、本作の評価と興行の文脈を語るうえで欠かせない要素となった。
キャスティング
若きハンにオールデン・エアエンライク、ランドにドナルド・グローヴァー、キーラにエミリア・クラーク、ベケットにウディ・ハレルソン、ドライデン・ヴォスにポール・ベタニーを起用。チューバッカは前作までのピーター・メイヒューに代わりヨーナス・スオタモが演じた。象徴的キャラクターの若年期を別俳優が演じる挑戦が、本作の評価の論点の一つとなった。
音楽と視覚効果
音楽はジョン・パウエルが担当し、ジョン・ウィリアムズが本作のためにハンのテーマを書き下ろした。ILMは、列車強奪、ケッセル・ランの重力嵐、ファルコンの初期形態の質感など、ヒースト映画的なスリルとサーガの連続性を両立させる映像を構築した。
公開と興行
2018年5月25日に公開された本作は、全世界でおよそ3.9億ドルにとどまり、近年のスター・ウォーズ映画としては興行的に苦戦した。前作『最後のジェダイ』後のファンダムの状況、監督交代による製作費の増大、公開間隔の短さなど、複数の要因が重なったとされる。
批評・観客の評価は、娯楽作としての手堅さやドナルド・グローヴァーのランドを評価する声がある一方、必然性の薄さを指摘する声もあり、おおむね中庸であった。結果として、単独アンソロジー映画路線の見直しを招いた作品となった。
批評・評価・文化的影響
本作は、人気キャラクターの前日譚という企画の難しさ(結末既知ゆえの緊張感の不足)を象徴する事例として、フランチャイズ論でしばしば参照される。興行不振はスター・ウォーズの劇場アンソロジー路線を一時停止させ、シリーズの主軸が配信シリーズへ移る一因となった。
一方、ダース・モールの再登場など配信作品(『クローン・ウォーズ』等)との接続は、後年クロスメディアで再評価される要素を残した。
舞台裏とトリビア
撮影終盤での監督交代と大規模再撮影は、本作を語るうえで最も知られる舞台裏である。「ハン・ソロ」という姓が帝国の入隊登録の際に与えられたものとして描かれる場面は、ファンの間で賛否を呼んだ。
ケッセル・ランを「12パーセク」で走破する場面は、旧三部作のハンの自慢話を初めて映像化したものとして注目された。終盤のダース・モールの登場は、配信アニメで生存が描かれていた設定を実写へ持ち込み、シリーズ横断の連続性を示した。
テーマと解釈
中心にあるのは、純真さが摩耗して仮面が形成される過程である。本作のハンは人を信じやすい青年であり、裏切りと喪失を重ねることで、旧三部作のニヒルな外殻を獲得していく。観客が「その後」を知っているがゆえに、楽観の一つ一つが切なく見える。
もう一つの軸は、自由と帰属の選択である。キーラは自由を捨てて権力に残り、ハンは縛られない生き方を選ぶ。誰と組み、何に縛られず生きるかという問いが、相棒チューバッカとの絆や、賭けで得たファルコンという「自由の器」に結実する。英雄譚ではなく、ならず者の自己形成譚として本作はサーガに横の厚みを加えている。
見る順番(補助)
本作は旧三部作の約10年前にあたる前日譚である。初見では旧三部作(4〜6)でハン・ソロという人物を知ったうえで本作へ戻ると、逆算の妙が最大限に効く。
時系列順での復習では、プリクエル後・『ローグ・ワン』前あたりに置くと帝国時代の裏社会の質感がつかめる。単独でも娯楽作として観られるが、旧三部作既知が前提の作品である。
- 前史プリクエルで帝国が成立、裏社会が拡大
- 本作若きハンの自己形成、ファルコン獲得
- 以後『ローグ・ワン』『新たなる希望』のハンへ
よくある質問(補助)
「あらすじだけ知りたい」場合は、コレリア脱出、ベケット一味、ケッセル・ラン、裏切りの清算という流れを押さえれば十分である。「結末・ネタバレを知りたい」場合は、キーラの選択、ベケットの清算、ファルコン獲得、ダース・モールの登場までが核となる。
「評価を知りたい」場合は、監督交代という製作背景と、前日譚ゆえの緊張感不足を前提に、娯楽作として観るとよい。「見る順番」は旧三部作の後が基本である。
参考資料・脚注
作品名、キャラクター名、画像、各種権利はそれぞれの権利者に帰属する。公開年・興行・制作・配信状況・外部評価は変動しうるため、視聴前に公式および各データベースの最新表示を確認されたい。本記事の本文は各種公開情報をもとに、Anna Movies用の独自の日本語文章として構成している。
参照・確認先
公式画像、作品名、キャラクター名、権利は各権利者に帰属する。公開年、配信状況、外部評価は変わる場合があるため、視聴前に公式・配信元・作品データベースで確認したい。