ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリーは、2018年に公開されたアメリカのSF映画で、「スター・ウォーズ」シリーズのスピンオフ(アンソロジー)作品である。
若きハン・ソロの出自を軸に、生涯の相棒となるチューバッカやランド・カルリジアンとの出会い、宇宙船ミレニアム・ファルコンを手に入れるまでの冒険を描く。
サーガ本編以前の時代を舞台とし、伝説的な密輸業者となる主人公の原点に迫る一作である。
00概要
『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』(Solo: A Star Wars Story)は、ロン・ハワードが監督し、2018年5月25日に公開されたスペースオペラ映画である。『ローグ・ワン』に続くスピンオフ・アンソロジー第2作で、人気キャラクター、ハン・ソロの若き日を描く前日譚にあたる。
舞台は惑星コレリア。底辺で生きる青年ハンが自由を求めて故郷を飛び出し、密輸の世界へ身を投じていく。やがて相棒となるウーキーのチューバッカ、賭博師ランド・カルリジアン、そして愛機ミレニアム・ファルコンと出会うまでを追う物語だ。ケッセル・ランの伝説、ランドとの賭け、そして「ソロ」という姓の由来——。旧三部作で断片的に語られてきたエピソードの起源が、ここで明かされる。
本作は監督交代という製作上の混乱を経て完成にこぎ着けた。娯楽作としての手堅い完成度は評価される一方、公開時期や前売り環境にも恵まれず興行は振るわなかった。アンソロジー路線の見直しを招いた一本でもある。
本記事は結末を含む全編の内容に踏み込む。物語の大きな驚きを未見のまま味わいたいなら、まず本編を鑑賞してから読み進めてほしい。
主要データ
- 原題
- Solo: A Star Wars Story
- 監督
- ロン・ハワード
- 脚本
- ジョナサン・カスダン/ローレンス・カスダン
- 音楽
- ジョン・パウエル
- 米国公開
- 2018年5月25日
- 上映時間
- 135分
- ジャンル
- スペースオペラ、SF、ヒースト、冒険
オープニング演出について
本作もアンソロジーの一篇であり、サーガ本編でおなじみの黄色いオープニング・クロールは登場しない。冒頭に短い導入テキストが示されると、そのままクロールを挟まず、犯罪組織が暗躍する辺境の地から物語が幕を開ける。これは『ローグ・ワン』と同じく、本編から独立した一作であることをはっきりと宣言する演出だといえる。
02あらすじ
以下は結末までを含む全編のあらすじである。物語はコレリア脱出、強盗団との出会い、ケッセル・ラン、そして裏切りの清算という流れで進む。
コレリア脱出とチューバッカ
造船惑星コレリアで犯罪組織にこき使われて育った青年ハンは、恋人キーラとともに惑星からの脱出を企てる。盗んだ燃料で検問の役人を買収して突破するものの、土壇場でキーラと引き離され、ハンだけが脱出に成功してしまう。再会を誓った彼は、パイロットを夢見て帝国軍に志願するが、素行の悪さがたたって歩兵へと回される。
戦地でハンが出会うのが、強盗団の頭目トバイアス・ベケットとその一味だ。やがて、捕らえられていた獰猛なウーキー、チューバッカと手を組んで窮地を脱したことが縁となり、二人は生涯の相棒となっていく。ハンとチューバッカ、名コンビの絆がここから始まるのだ。
強盗とクライムロードの債務
ベケット一味は、走行中の列車から貴重な超燃料コアクシウムを強奪する大仕事に挑む。だが覆面の盗賊団エンフィス・ネストの妨害を受けて作戦は失敗し、コアクシウムを失ってしまう。一味はこの強奪を発注していた犯罪シンジケート「クリムゾン・ドーン」の幹部ドライデン・ヴォスから、損失の返済を厳しく迫られることになる。
ヴォスの右腕として現れたのは、生き別れた恋人キーラだった。借りを返すべく、ハンは大胆な計画を提案する。未精製のコアクシウムを危険な鉱山惑星ケッセルから盗み出し、爆発する前に精製所へ運ぶという無謀な賭けだ。船と操縦士を確保するため、一行は伊達男のギャンブラー、ランド・カルリジアンのもとを訪ねる。
ケッセル・ランとファルコン
ランドは賭けに応じ、自船ミレニアム・ファルコンと、解放思想を持つ相棒ドロイドL3-37を引き連れて一行に加わる。ケッセルの鉱山で、生体コンピュータと奴隷たちの解放——L3の反乱——を引き金に脱出をはかるが、追っ手と重力嵐が一行に迫る。
通常航路をたどれば、コアクシウムは爆発を待つばかりだ。これを救うため、ハンはあえて危険な近道を選ぶ。巨大な重力源と怪物に追われながらも、ファルコンは光速級の機動で航路を駆け抜け、わずか「12パーセク」でケッセル・ランを走破する。旧三部作で語り継がれる、あの伝説の起源がここで描かれるのだ。L3はこの逃走で失われ、その航行データがファルコンに組み込まれていく。
裏切りの清算とファルコン獲得
精製されたコアクシウムの引き渡しの場で、複数の思惑が交錯する。覆面集団エンフィス・ネストの正体は、クリムゾン・ドーンに虐げられてきた者たちの抵抗運動であり、コアクシウムは本来、その反乱の資金となるべきものだった。ハンは機転を利かせてドライデン・ヴォスを欺き、その隙にキーラがヴォスを討ち取る。
だがキーラは自由への道を選ばなかった。クリムゾン・ドーンの新たな長として組織に残り、ハンと袂を分かつ。その背後で、シンジケートの真の首領が立体通信に姿を現す——生き延びていたダース・モールである(シリーズを横断する伏線だ)。
盗み出したコアクシウムの一部を反乱運動へ託したハンは、自らを裏切ったベケットを手にかけて決着をつけ、賭けの再戦でランドからミレニアム・ファルコンを勝ち取る。チューバッカを相棒に、ハン・ソロは自由な密輸業者としての人生へと踏み出していく——その姿はやがて、『新たなる希望』のモス・アイズリーへとつながっていく。
登場要素
本作に登場・言及される主な要素を分類して紹介する。これらの固有名詞はシリーズを読み解く手がかりとなるが、初見ですべてを覚える必要はない。
- ハン・ソロ
- チューバッカ
- ランド・カルリジアン
- キーラ
- トバイアス・ベケット
- ヴァル
- リオ・ドゥランド
- ドライデン・ヴォス
- L3-37
- エンフィス・ネスト
- ダース・モール
- ローダ(コレリアの首領)
- 人間
- ウーキー
- アーデニアン(L3の元型)
- 各種エイリアン
- ケッセルの鉱夫種族
- L3-37
- ランドの整備ドロイド
- クリムゾン・ドーンの随行機
- 鉱山管理ドロイド
- 重力嵐の巨大生物(サマー・スネイル系)
- ケッセルの生体コンピュータ
- コレリアの動物
- コレリア
- ミンバン(戦地)
- ヴァンドール(列車強奪地)
- ケッセル(鉱山)
- サヴァリーン(精製所)
- フォート・イプソ
- クリムゾン・ドーン
- 銀河帝国
- エンフィス・ネスト一党
- ベケット一味
- コレリアの犯罪組織
- 反乱の萌芽
- ミレニアム・ファルコン(初期形態)
- スピーダー(M-68)
- コンベヤ列車
- TIEファイター
- AT-ハウラー
- ヴォスのヨット
- コアクシウム(超燃料)
- ブラスター(DL-44の原型)
- ファルコンの脱出ポッド
- L3の航行データ
- 賭博ゲーム(サバック)
- ケッセル・ラン(12パーセク)
- ハンという姓の由来
- ファルコンの賭け
- ドロイドの権利(L3)
- シリーズ横断の伏線(モール)
08主要登場人物
本作は、旧三部作で完成された人物像(ハン・チューバッカ・ランド・ファルコン)の起点を逆算して提示する。観客が結末を知っているがゆえの予定説的な味わいが特徴である。
ハン・ソロ
本作のハンは、まだ皮肉屋の仮面をかぶる前の、楽観的で人を信じやすい青年として描かれる。裏切りと喪失を重ねるうちに、旧三部作で見せる「報酬でしか動かない虚無的なならず者」という外殻が、少しずつ形づくられていく。その変化の過程こそが本作の主眼であり、見どころだ。
関連リンク
チューバッカとランド・カルリジアン
チューバッカは、捕囚の身からハンとともに脱出したことで、生涯にわたる固い絆を結ぶ。本作が描くのは、その出会いと、互いへの信頼が芽生える瞬間だ。一方、伊達男で抜け目のないギャンブラーとして登場するランド・カルリジアンは、賭けの末にファルコンをハンに奪われる——旧三部作で語り草となったあの逸話の現場が、ここでついに描かれる。相棒のドロイドL3-37は、ドロイドの自由を声高に訴える異色のキャラクターである。
キーラとドライデン・ヴォス
キーラはハンの幼なじみであり、恋人でもある。だが生き延びるため、自ら犯罪シンジケートの中枢に身を投じていく。自由よりも権力の側に留まる――その選択が、ハンの孤独な人生観を形づくった一因として描かれる。クリムゾン・ドーンの幹部ドライデン・ヴォス、そしてその背後に控える真の首領ダース・モール。組織の全容が、こうして少しずつ姿を現していく。
舞台と用語
舞台は、煤けた造船惑星コレリアから、泥濘の戦場ミンバン、雪山で列車強奪が繰り広げられるヴァンドール、そして過酷な鉱山惑星ケッセルへと移っていく。煤、泥、雪、そして闇。全編を貫く暗いトーンが、これが英雄譚ではなく裏社会のヒースト劇であるという本作の性格を、そのまま体現している。
用語面では、コアクシウム、ケッセル・ラン(12パーセク)、クリムゾン・ドーンが鍵を握る。旧三部作でハン・ソロが断片的に口にした自慢話、その「実際の出来事」を後から提示する逆算の構造が、本作に登場する用語の多くを占めているのだ。
13制作
本作は、監督交代という製作上の大きな混乱を経て完成にこぎつけた一作であり、アンソロジー路線そのものの是非を改めて問う作品となった。ここでは、その主な経緯を整理しておきたい。
企画と脚本
脚本を手がけたのは、旧三部作『帝国の逆襲』『ジェダイの帰還』を支えたローレンス・カスダンと、その息子ジョナサン・カスダンである。旧三部作でハンが得意げに語った数々の武勇伝——ケッセル・ラン、ファルコン号を賭けた一件、チューバッカとの固い絆——を、結末を知る観客が逆算するように追体験していく。そんな構成が採られた。
監督交代
本作は当初、フィル・ロードとクリストファー・ミラーが監督を務めていたが、製作方針の食い違いから撮影終盤で降板。代わってロン・ハワードが指揮を引き継ぎ、大規模な再撮影を経て完成にこぎ着けた。この監督交代は大きく報じられ、本作の評価や興行を語るうえで避けて通れない出来事となった。
キャスティング
若きハンにオールデン・エアエンライク、ランドにドナルド・グローヴァー、キーラにエミリア・クラーク、ベケットにウディ・ハレルソン、ドライデン・ヴォスにポール・ベタニーを配した。チューバッカは前作までのピーター・メイヒューに代わり、ヨーナス・スオタモが演じている。象徴的なキャラクターの若き日を別の俳優が演じる試みは、本作の評価をめぐる論点の一つとなった。
音楽と視覚効果
音楽はジョン・パウエルが担当し、ジョン・ウィリアムズが本作のためにハンのテーマを書き下ろした。ILMは列車強奪、ケッセル・ランの重力嵐、ファルコンの初期形態の質感といった映像を手がけ、強奪劇のスリルとサーガとしての連続性を見事に両立させてみせた。
18公開と興行
2018年5月25日に公開された本作は、全世界の興行収入がおよそ3億9000万ドルにとどまり、近年のスター・ウォーズ映画としては苦戦を強いられた。前作『最後のジェダイ』をめぐるファンダムの空気、監督交代による製作費の膨張、公開間隔の短さ——複数の要因が重なった結果とされる。
評価はおおむね中庸だった。娯楽作としての手堅さや、ドナルド・グローヴァー演じるランドを評価する声がある一方、物語としての必然性の薄さを指摘する声も少なくない。結果として本作は、単独で展開するアンソロジー映画路線そのものの見直しを招くこととなった。
19批評・評価・文化的影響
本作は、人気キャラクターの前日譚という企画がはらむ難しさ、すなわち結末がすでに知られているがゆえの緊張感の乏しさを象徴する一例として、フランチャイズ論でしばしば引き合いに出される。興行的な不振は、スター・ウォーズの劇場用アンソロジー路線を一時停止に追い込み、シリーズの主軸が配信作品へと移っていく一因にもなった。
一方で、ダース・モールの再登場をはじめ、『クローン・ウォーズ』などの配信作品との接続は、後年クロスメディアの広がりのなかで再評価される余地を残した。
舞台裏とトリビア
撮影終盤での監督交代と大規模な再撮影は、本作の舞台裏として最もよく知られるエピソードである。「ハン・ソロ」という姓が帝国の入隊登録の際に与えられたものとして描かれる場面は、ファンの間で賛否を呼んだ。
ケッセル・ランを「12パーセク」で走破する場面は、旧三部作におけるハンの自慢話を初めて映像化したものとして注目を集めた。終盤に姿を見せるダース・モールは、配信アニメで生存が描かれていた設定を実写へ持ち込んだ存在であり、シリーズを横断する連続性を印象づけた。
21テーマと解釈
本作の中心にあるのは、純真さがすり減り、やがて仮面が形作られていく過程である。ここで描かれるハンは、人を信じやすい青年だ。裏切りと喪失を重ねるうちに、旧三部作で見せたあのニヒルな外殻を獲得していく。観客はすでに「その後」を知っている。だからこそ、彼が抱く楽観の一つ一つが、どこか切なく映る。
もう一つの軸は、自由と帰属をめぐる選択である。キーラは自由を手放して権力の側に残り、ハンは何にも縛られない生き方を選ぶ。誰と手を組み、何に縛られずに生きるのか——その問いは、相棒チューバッカとの絆や、賭けで手に入れたファルコンという「自由の器」へと結実していく。英雄譚ではなく、ならず者が自らを形づくっていく物語。本作はそうしてサーガに横の厚みを加えている。
おすすめの視聴順
本作は旧三部作のおよそ10年前を描いた前日譚である。まずは旧三部作(エピソード4〜6)でハン・ソロという男を知り、それから本作に立ち返る。この順で観てこそ、過去へとさかのぼる面白さが最大限に生きてくる。
時系列順にたどり直すなら、プリクエル三部作のあと、『ローグ・ワン』の少し前に置くとよい。帝国時代の裏社会の空気感がつかめるはずだ。単独でも一本の娯楽作として楽しめるが、本来は旧三部作を観ていることを前提とした作品である。
23よくある質問
「あらすじだけ知りたい」なら、コレリア脱出、ベケット一味、ケッセル・ラン、裏切りの清算という流れを押さえれば十分だ。「結末・ネタバレを知りたい」なら、キーラの選択、ベケットの清算、ファルコン獲得、ダース・モールの登場までが核となる。
「評価を知りたい」なら、監督交代という製作背景と、前日譚ゆえの緊張感不足を念頭に置きつつ、娯楽作として観るとよい。「見る順番」は旧三部作の後が基本だ。
24参考資料・脚注
作品名、キャラクター名、画像、および各種権利は、それぞれの権利者に帰属する。公開年や興行、制作、配信の状況、外部からの評価は変動しうるため、視聴前に公式サイトおよび各データベースの最新情報を確認されたい。本記事の本文は、各種の公開情報をもとに、Anna Movies独自の日本語記事として構成したものである。