ネタバレ注意 関連作品の展開と結末を含みます。
- 発生年
- 2012年
- 主戦場
- ニューヨーク市マンハッタン、スターク・タワー周辺
- 交戦勢力
- アベンジャーズ対ロキ、チタウリ軍
- 中心作品
- 『アベンジャーズ』
概要
ニューヨーク決戦は、ロキがテッセラクトで宇宙空間への門を開き、チタウリ軍をマンハッタンへ侵入させた2012年の戦いである。アイアンマン、キャプテン・アメリカ、ソー、ハルク、ブラック・ウィドウ、ホークアイが初めて同じ戦場で役割を分担し、後にアベンジャーズと呼ばれるチームの原型が成立した。
戦いは侵略を阻止した英雄的勝利として記憶される一方、都市の建物と生活を破壊し、宇宙人の存在を一般社会へ突きつけた。現場へ残されたチタウリ技術は回収・転売され、行政は被害処理と兵器管理の新組織を作る。決着の瞬間だけで終わらず、以後の犯罪、政策、ヒーローへの不安を生んだ長期的事件である。
さらに『エンドゲーム』では、アベンジャーズが同じ日のニューヨークへ時間移動し、三つのインフィニティ・ストーンを回収しようとする。観客が知る勝利の舞台裏に、別時間軸のロキ逃走や過去の人物との接触が重なる。事件は一度きりの過去ではなく、マルチバースと時間軸の分岐点として意味を増している。
01ロキの到来とテッセラクト奪取
ロキはサノス側からセプターとチタウリ軍を与えられ、S.H.I.E.L.D.が研究していたテッセラクトの前へ現れる。セプターでホークアイとセルヴィグ博士らの精神を支配し、施設を崩壊させて立方体を奪う。侵攻は突然始まるが、ロキ自身も軍と引き換えにストーンを回収する取引へ組み込まれており、完全に独立した征服者ではない。
彼は人間が自由を望むから争うのであり、自分へ服従すれば秩序が得られると語る。ドイツで群衆へ跪くよう命じる場面は、宇宙軍の規模より先に支配の思想を示す。スティーブは過去にも同じ論理を掲げる人間を見たと応じ、第二次世界大戦の全体主義と新しい宇宙の脅威を一本の倫理的対立へつなぐ。
02まとまらなかった六人が同じ戦場へ立つまで
フューリーはアベンジャーズ計画の候補者を集めるが、トニーとスティーブは互いの動機を疑い、ソーはロキをアスガルドの問題として連れ帰ろうとし、バナーはハルクを制御できる保証がない。S.H.I.E.L.D.もテッセラクトを兵器化していたため、招集側が完全な正義として信頼される状況ではない。
ロキに殺されたコールソンの死と、ヘリキャリアへの攻撃が、対立していた人物へ共通の損失を与える。フューリーはコールソンのカードを使って感情を動かすが、最終的に戦場へ戻るかは各人が選ぶ。チームは命令書で成立したのではなく、互いの欠点と組織の秘密を知ったうえで、それでも侵攻を止める目的へ合流する。
03スターク・タワー上空に開いたポータル
セルヴィグはスターク・タワーのアーク・リアクターを利用し、テッセラクトを起動する。上空に開いた門からチタウリ兵、飛行艇、巨大なリヴァイアサンが流入し、道路と建物を無差別に攻撃する。タワーはクリーンエネルギーの象徴として建てられたが、その電力が侵攻装置へ転用される。技術の目的は所有者の善意だけでは固定されない。
ブラック・ウィドウは装置の停止方法を探し、ソーとハルクは大型戦力を抑え、アイアンマンは空中の敵を誘導する。キャプテン・アメリカは警察へ避難路と封鎖線を指示し、ホークアイは高所から敵の動きを観測する。六人が同じ敵を殴るのではなく、能力と地形に応じて異なる問題を分担したことが勝利の条件になる。
04核ミサイルとトニー・スタークの選択
世界安全保障理事会は戦線が維持されている最中、マンハッタンへ核ミサイルを撃ち込む決定を下す。侵攻軍と同時に市民とアベンジャーズを犠牲にして被害拡大を止める判断であり、現場の努力を切り捨てる。フューリーは発射を阻止しようとするが一機は飛び立ち、トニーが軌道を変えてポータルの向こうへ運ぶ。
トニーは帰還できない可能性を理解しながらミサイルをチタウリ母艦へ届け、爆発で侵攻軍を停止させる。直前にペッパーへ電話してもつながらず、自己犠牲を他者へ見せる機会もない。彼が単なる自己顕示的な兵器商人ではなくなった転換点だが、宇宙の暗闇で死を目前にした経験は後の不安発作と過剰な防衛計画へ残る。
05市民被害とダメージ・コントロール
門が閉じても、マンハッタンには破壊された建物、負傷者、チタウリの遺体と兵器が残る。ニュースはアベンジャーズを英雄と呼ぶ声と、誰が被害へ責任を負うのかという疑問を並べる。救った人数だけで正当性が決まらず、超人的な戦いを社会がどう管理し、復旧費用を誰が負担するかという問題が始まる。
政府とスターク側はダメージ・コントロール局を設け、瓦礫と異星技術の回収を独占する。それまで市と契約していたエイドリアン・トゥームスの会社は突然現場から排除され、彼は隠し持ったチタウリ技術を武器へ改造して売る。後のバルチャー事件は別の悪人が偶然生まれたのではなく、決戦後の復旧政策と経済的排除から続く。
06ソコヴィア、協定、ブリップへ続く心理的影響
トニーはニューヨーク上空で見た宇宙軍が先遣隊にすぎないと理解し、再来へ備えようとする。『アイアンマン3』では不眠とパニック発作が表れ、『エイジ・オブ・ウルトロン』では地球を囲む鎧という発想から人工知能開発を急ぐ。ニューヨークを救った選択が、その後の危険な予防策の出発点にもなる。
ウルトロン事件でソコヴィアが破壊され、ラゴスの被害が重なった結果、各国はソコヴィア協定を提示する。ニューヨーク決戦だけで即座に協定が生まれたわけではないが、超人が国家の許可なく都市規模の戦闘を行う前例になった。勝利の記憶と統制要求は対立せず、同じ事件を別の立場から見た結果として併存する。
07時間泥棒作戦で生まれた分岐
サノスによる消滅を取り戻すため、2023年のアベンジャーズは2012年の決戦直後へ戻る。ニューヨークにはテッセラクト、ロキのセプター、アガモットの目という三つのストーンが同時に存在していたからである。過去の自分たちが勝利後の混乱を処理する裏で、未来のチームは誰にも気づかれず回収しようとする。
計画は完全には進まず、ハルクはエンシェント・ワンと交渉し、スティーブは過去の自分と戦い、トニーとスコットはテッセラクトを取り落とす。拘束中のロキが立方体を拾って逃走し、TVAに捕らえられる分岐が生まれる。決戦はアベンジャーズ誕生の日であると同時に、別時間軸のロキとマルチバース物語の起点にもなった。
理解するための要点
ニューヨーク決戦の記事では、戦闘中に各人物が知っていた情報と、後世から見た影響を分ける必要がある。2012年のアベンジャーズはサノスの全計画やインフィニティ・ストーンの体系を知らない。観客が後の作品で得た知識を当時の判断へ戻すと、ロキ、セプター、テッセラクトへの理解を誤る。
また「アベンジャーズが街を壊した」と「アベンジャーズが侵攻を止めた」は二者択一ではない。主な破壊はロキとチタウリが起こし、核攻撃は理事会が決めたが、ヒーローの戦闘も都市へ損害を残した。誰が原因を作り、誰が被害を拡大・抑制し、復旧で誰が排除されたかを段階ごとに見る。
中心作品『アベンジャーズ』の後、『アイアンマン3』でトニーの心理、『ホームカミング』で瓦礫と労働者への影響、『シビル・ウォー』で統制問題、『エンドゲーム』で時間移動による再訪、『ロキ』で逃走した変異体を追うと、一日の戦いが十年以上にわたり世界へ残した因果を確認できる。