用語解説
インフィニティ・サーガを理解する
インフィニティ・サーガはMCUのフェーズ1からフェーズ3までを束ねる名称である。インフィニティ・ストーンとサノスの計画が長期的な接続軸になるが、実際の中心は、別々に始まったヒーローたちが出会い、対立し、敗北後にもう一度協力できるかという22作品規模の積み上げにある。
インフィニティ・サーガの範囲
一般に『アイアンマン』から『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』までのフェーズ1〜3がインフィニティ・サーガに含まれる。サノスとの直接対決は『エンドゲーム』で決着するが、『ファー・フロム・ホーム』はトニーの死とブリップ後の世界を描く後日談としてフェーズ3の末尾に置かれる。したがって最終決戦だけで区切ると、社会と次世代へ残った影響が抜ける。
サーガという名称は、制作初期から22作品の全詳細が完全に固定されていたことを意味しない。単独作品で導入されたアイテムや人物が後からより大きな意味を持ち、ストーンの色や名称の整理も段階的に行われた。結果として一つの長編に見えるが、各フェーズの成功と変更を取り込みながら接続が作られたシリーズでもある。

六つのインフィニティ・ストーン
スペース、マインド、リアリティ、パワー、タイム、ソウルの六つのストーンは、それぞれ異なる作品で重要物として登場する。テッセラクト、セプター、エーテルのように最初は別名と形で知られ、後にストーンの一つだと整理されるものもある。単なる収集物ではなく、ヒドラの兵器、ヴィジョンの生命、ドクター・ストレンジの防衛手段など、各人物の歴史へ組み込まれている。
サノスは六つをガントレットへ集め、指を鳴らして生命の半数を消す。ストーンの力が物語を終わらせるのではなく、誰がどの代価で使うかが結末を決める。ガモーラはソウル取得の犠牲となり、ナターシャも過去のストーンを得るため死に、ハルクとトニーは指を鳴らした反動で身体と命を失う。力には継続的な人的代価が結びつく。

アベンジャーズの結成と分裂
フェーズ1ではロキの侵攻を前に、互いを信用しない人物たちがコールソンの死をきっかけに結束する。ニューヨーク決戦の勝利はチームの可能性を示す一方、宇宙の脅威を見たトニーに長期的な恐怖を残す。その恐怖からウルトロン計画が生まれ、ソコヴィアの被害が各国の統制要求へつながるため、成功と失敗は別々の事件ではない。
『シビル・ウォー』ではソコヴィア協定、バッキー、トニーの両親の死をめぐってチームが分裂する。サノスが来る直前まで完全には修復されず、地球と宇宙の戦力が別々に戦う。『インフィニティ・ウォー』の敗北は敵が強かっただけでなく、過去の対立で連携が失われていた結果でもある。『エンドゲーム』では残された者が失敗を共有し、再び役割を分担する。

サノスが担う対立軸
サノスは資源不足を理由に半数の生命を消すことを救済と呼び、自分だけが必要な犠牲を実行できると信じる。対するヒーロー側も、世界を守るため監視、兵器、人工知能、時間操作など危険な手段を使う。両者の差は力の有無ではなく、失敗や異論を受けて方法を変えられるかにある。
トニーはウルトロンを生んだ後に罪悪感を抱え、協定へ賛同し、最後には他者の選択と共同作業へ頼る。スティーブもバッキーを守る判断でトニーを傷つけた後、連絡手段を残す。サノスはタイタン滅亡を自説の証明だけに使い、別の解決を検討しない。インフィニティ・サーガは完全な英雄と悪の対立ではなく、間違いを修正する関係を持てるかの対立でもある。

完結後に残ったもの
『エンドゲーム』では消滅した人々が復活するが、5年間に生じた死、成長、移住、制度変化は元へ戻らない。トニーとナターシャは死亡し、スティーブは盾をサムへ託し、ソーは王位から離れる。勝利は世界を初期状態へ復元するのではなく、喪失を抱えた次世代へ責任と象徴を渡す結末である。
後続作品ではブリップ後の社会、スターク技術の遺産、キャプテン・アメリカの継承、ロキの変異体、ヴィジョンを失ったワンダなどが別々の軸で続く。インフィニティ・サーガだけでも大きな区切りとして鑑賞できる一方、そこで終わった人物と、結果を持ち越す人物を分けて確認すると次のサーガへ入りやすい。作品数を数えるより、どの選択が次へ残ったかを見ることが重要である。

混同しやすい点
インフィニティ・サーガはフェーズ1から3を束ねる呼称で、六つのストーンが全作品の主題だったという意味ではない。地上の政治、アスガルド、宇宙チームなど別々の物語が、サノスとの戦いで合流する。サーガ終了後も人物や組織は続くため、『エンドゲーム』をMCU全体の最終作とは扱わない。