レジスタンスは、2018年に放送が始まったスター・ウォーズのテレビアニメシリーズである。続三部作の時代を舞台に、辺境の燃料補給プラットフォーム「コロッサス」と、ファースト・オーダーを探るスパイ任務に就いた若きパイロット候補カズダ・シオノの視点から物語が展開する。実写映画本編を側面から補完する、アニメ調のサイドストーリーとして位置づけられる。
00概要
『スター・ウォーズ レジスタンス』(Star Wars Resistance)は、『クローン・ウォーズ』『反乱者たち』に続いてデイヴ・フィローニが企画した、ルーカスフィルム・アニメーション制作のCGアニメシリーズである。米国では2018年10月7日にDisney Channelで放送が始まり、2020年1月26日、第2シーズン最終話をもって完結した。Disney Channelで放送された初の『スター・ウォーズ』アニメシリーズであり、のちにDisney XDとディズニープラスでも配信されている。
物語が描く時代は、続三部作の前夜から最終決戦までと重なる。第1シーズンの幕開けはヤヴィンの戦いから約34年後(ABY 34年頃)、『フォースの覚醒』のホスニアン虐殺の数か月前にあたり、第2シーズン最終話は『スカイウォーカーの夜明け』終盤と同じ時刻、ランド・カルリジアンが銀河の自由民へ援軍を呼びかけた、まさにその夜にまで進む。つまり本作は、続三部作の本編が映さなかった「銀河の片隅で何が起きていたのか」を埋める、並走シリーズなのである。
主役は、共和国海軍パイロットの息子で、短気だが腕は確かな青年カズダ・シオノ(通称カズ)。レイア・オーガナと旧友ポー・ダメロンの手により、銀河外縁の海洋惑星カスティロン沖に浮かぶ巨大な燃料補給プラットフォーム「コロッサス」へ、潜入工作員として送り込まれる。表向きは整備士の見習い、その裏ではファースト・オーダーの動向を探るスパイだ。相棒のBB-8とともに、レーシング・パイロットや密航者、海賊たちと関わりながら、カズは一介の青年から本物の戦士へと成長していく。
デザイン面では、フィローニ自身が、『天空の城ラピュタ』や『紅の豚』といった日本のアニメと、戦間期から第二次大戦期にかけてのレシプロ機の意匠を、あえてモチーフに据えたと公言している。3DCGでありながら、はっきりとした輪郭線とセル調の陰影、丸みを帯びたメカ、彩度の高い空——ほかのスター・ウォーズ作品とは明らかに異なる質感をまとった、独立した美術設計が施されている。本記事は結末を含む全編の内容に踏み込むため、未視聴であれば、まず本編を観てから読み進めることを勧めたい。
主要データ
- 原題
- Star Wars Resistance
- クリエイター
- デイヴ・フィローニ
- 統括監督
- ジャスティン・リッジ
- 脚本統括
- ブランドン・オーマン
- 音楽
- マイケル・タヴェラ
- 放送期間
- 2018年10月7日〜2020年1月26日
- 話数
- 全2シーズン・通算約40話
- 時系列
- ABY 34年頃〜35年(『フォースの覚醒』前夜〜『スカイウォーカーの夜明け』クライマックスと同期)
- ジャンル
- スペースオペラ、SF、レース、アニメ調CGアニメ
01あらすじ
本作はアニメシリーズであり、サーガ本編のような冒頭のオープニング・クロールはない。代わりに各話の冒頭では、燃料補給プラットフォーム「コロッサス」とその周辺海域を俯瞰でとらえたり、ファースト・オーダーの艦影や、散り散りになっていくレジスタンスの姿を短く映し出す。以下では、二部構成からなる第1シーズン開幕回『The Recruit(新人)』から、第2シーズン最終話『The Escape(脱出)』まで、全編の流れをたどっていく。
The Recruit
物語は、ファースト・オーダーの哨戒網が広がりつつある外縁宙域で幕を開ける。共和国海軍出身の若きパイロット、カズダ・シオノが、新興のレジスタンスの一員として戦闘飛行に身を投じる。フォードロイドのような偵察機を撃墜し、僚機を駆るポー・ダメロンの軽口に応じるカズ。だが戦いが終わりに近づくころ、ポーは「次の任務はもっと地味だ」と告げる。レイア・オーガナ将軍直々の指名により、彼はパイロットの座を一旦離れ、スパイとして送り込まれることになる。
目的地は、海洋惑星カスティロンの沖合に浮かぶ巨大プラットフォーム「コロッサス」。古びた海上石油掘削リグを思わせる、無数の塔と回廊の集合体だ。現在は燃料補給と長距離航行の中継地として、さらに「エース」と呼ばれる凄腕パイロットたちのレース興行で、外縁世界にその名を知られている。レジスタンスはこの地で、ファースト・オーダーの密貿易や工作員の動きを探る人手を必要としていた。ポーはBB-8をカズに預け、コロッサスで整備工房「チーム・ファイアボール」を営む旧友ジャレク・イェーガーへの紹介状を手渡す。
コロッサスに降り立ったカズは、たちまち己の限界を思い知る。整備士見習いという表向きの肩書きとは裏腹に、彼はレンチの使い方さえおぼつかない不器用さだった。同じ工房で働く女性整備士タム・リヴォラは、その「役立たずぶり」に苛立ちを隠さない。何でも文字どおりに受け取るニクト族の陽気な技術屋ニーク・ヴォーゾは、混乱に拍車をかける。プラットフォームの所有者ドーザ大尉、その娘でエースの若手レーサーであるトーラ・ドーザ、レーサーの花形ハイプ・ファゾン、寡黙な腕利きボー・キーヴィル、退役艦隊パイロット崩れのグリフ・ハロラン——コロッサスの主役級が次々と顔をのぞかせる。
二部構成の開幕話『The Recruit(前後篇)』では、海賊団ワーバードがプラットフォームを襲撃する。カズは初対面のトーラと組み、レースさながらの空中戦でこれを撃退する。ポーは「ここでしばらく潜伏しろ。ただし戦士の派手な顔つきは捨て、整備士になり切るんだ」と言い残し、銀河の反対側へと帰っていく。レイアの賭けは小さなものだった——若く目立つカズが、ファースト・オーダーに気づかれぬまま情報を集め続けられるか。観客はこの一話で、本作が銀河本編の只中ではなく、その裏側で進む日常を覗くシリーズなのだと理解する。
シーズン1前半
シーズン序盤は、カズが整備士として身を立て、コロッサスの社会に食い込んでいく一話完結型のエピソードが続く。レースの賭けで負債を背負う話、エースの花形ハイプ・ファゾンとの腕比べ、海賊にさらわれた子どもたちの救出、燃料を盗もうとする闇商人との駆け引き——軽快なテンポで物語が転がっていく。荒くれ者の難民が集まる下層市場「アンクラ」、競技用ハンガー、ドーザ家の私邸を兼ねたコントロール塔。プラットフォームの空間ごとに住人の階層が異なることが、徐々に観客へ刷り込まれていく。
ファースト・オーダーは当初、警備とパトロールを買って出る「友好的な隣人」として姿を現す。コマンダー・パイア大佐、ミラレナのエリート顧問エイジェント・ティアニー、そしてTIEインターセプターを駆る赤い男爵ヴォンレグ少佐。彼らはドーザ大尉に契約を持ちかけ、プラットフォーム警備の名目で兵力を駐留させようとする。ドーザは旧共和国の艦隊士官出身で、独立を重んじる男だ。だが海賊ワーバードの襲撃が続くなか、その判断は次第に揺らいでいく。商売としての中立がじわじわと侵食されていく過程を、観客は現場の整備士の目線で見届けることになる。
海賊側にも陰影が与えられている。難破船から救出されたミリアラン人女性シナラ・サンは、整備士兼サルベージ要員としてイェーガーの工房に引き取られる。だがその正体はワーバードの斥候であり、首領クラガン・ゴーアにプラットフォームの構造図を流す立場にあった。シナラとカズ、シナラとタムのあいだに芽生える友情と、立場ゆえの裏切りの予感。コメディタッチの本編に、それが低音の緊張をずっと流し続ける。シーズン中盤、シナラはワーバードに復帰するが、最後まで完全な敵対には踏み切らない。
イェーガーは寡黙な親方として、整備とパイロットの心得をカズに仕込んでいく。かつて新共和国の英雄であり、レースの世界でも一時代を築いた男だが、家族を失った過去を背負って静かに引退した。一方のタム・リヴォラは、祖父が艦隊軍人だった家系の出身。よりよい人生を求めて宇宙へ出てきたものの、コロッサスの片隅でくすぶり続けている。彼女が抱えるこの「行き場のなさ」こそ、後にファースト・オーダーへの傾倒を生む伏線として、丁寧に置かれていく。
シーズン1中盤
中盤に入ると、コロッサスの花形である「エース」たち——トーラ・ドーザ、ハイプ・ファゾン、ボー・キーヴィル、フレイア・フェンリス、グリフ・ハロラン——の素顔が一人ずつ描き出される。カズは彼らとレースで腕を競い合い、その過程で少しずつ信頼を勝ち取っていく。新任整備士の身軽さを買われ、数度のテスト飛行を任されるカズ。海賊との小競り合いや、プラットフォームの故障対応で活躍を重ねるうち、エースに準ずる予備パイロットとして黙認される存在になっていく。
同じ頃、ファースト・オーダーの工作員が増え始める。ヴォンレグ少佐の赤いTIEインターセプターは、たびたびプラットフォーム上空を旋回するようになる。彼らは表向き「海賊からの保護」を申し出ながら、その裏でプラットフォーム内部に密かに諜報網を張り巡らせ、住民の名簿や構造、燃料の貯蔵量を把握しようとする。カズはBB-8を駆使してデータを抜き取り、細い回線を通じてレジスタンス本部のレイアやポーへ報告する。だがその立場は孤立しており、頼れる味方は工房の小さな仲間とBB-8だけだ。
重要な転機の一つが、エイジェント・ティアニーがタム・リヴォラに接触していく一連のエピソードである。整備士としての腕は確かなのに、社会的には正当に評価されない——その鬱屈、家族の不在、未来への不安。ティアニーはその心の隙を巧みに突き、「ファースト・オーダーには君のような才能を生かす道がある」とささやきかける。タムはまだ表向きカズたちを信頼している。だが、その心の地盤は少しずつ侵食されていく。
シーズン1終盤No Escape
シーズン1のクライマックスを飾るのは、ホスニアン虐殺と表裏一体で進む二部作『No Escape(脱出なし)』である。ファースト・オーダーは「警備強化」を名目に、コロッサスへ大規模な部隊を上陸させる。ストームトルーパー部隊と機動兵器がプラットフォームの主要区画を次々と制圧していく。ドーザ大尉は娘トーラを人質に取られ、軟禁状態に追い込まれる。エースの面々も一部は地上戦に巻き込まれる。上空ではヴォンレグ少佐の中隊が空を封鎖し、プラットフォームは事実上、ファースト・オーダー海軍の前線基地へと転用されようとしていた。
同じ頃、カズはレジスタンス本部からの暗号通信で、ファースト・オーダーが「銀河の心臓を撃つ」最終攻撃に踏み切ったことを知る。スターキラー基地が共和国首都ホスニアン・プライムを含むホスニアン星系もろとも破壊し、レジスタンスの後ろ盾である中央政府が一夜で消え去る——『フォースの覚醒』本編の決定的な事件が、ここでは外縁の小さな整備工房から見上げた「夜空の不気味な光」として描かれるのだ。仲間がエース機やコロッサスの整備船を駆り、地上戦と空戦を同時に戦う。そのさなか、カズはついに、自分が「ただの潜入者」ではなく当事者の戦士であることを引き受ける。
切迫した状況のなか、ひとつの事実が明らかになる。海洋プラットフォームであるコロッサスは、本来、海面ではなく宇宙を航行できる構造だったのだ。古い艦長としての勘を取り戻したドーザは、決断を下す。プラットフォーム本体の海中アンカーを切り離し、機関を起動して海上から空へ、空から軌道へと離脱するのだ。エースとカズが空戦でファースト・オーダーの艦影を引きつける。そのあいだにコロッサスは大気圏を抜け、ハイパースペースへ跳躍し、未知の宙域へと姿を消す。
しかし離脱と引き換えに、コロッサスはタム・リヴォラを失う。タムはカズがレジスタンスのスパイだったことを直前に知り、深く傷ついていた。「自分は欺かれていた、ファースト・オーダーの側にこそ自分の居場所がある」——そう告げて、エイジェント・ティアニーのシャトルに乗り込んでしまう。コロッサスは守られた。だが家族の一人は、反対側へ渡ってしまった。明確な勝利でも敗北でもない引き分けが、シーズン1の幕切れとなる。
シーズン2前半
第2シーズンは、ハイパースペースを駆けるコロッサスの姿で幕を開ける。住人たちは故郷の海を捨て、補給の当てもないまま辺境を転々とする逃亡集団となった。ドーザ大尉は艦長として、住民は乗組員として、プラットフォームはかつての「都市」から「巨大な航宙艦」へと役割を変えていく。燃料も食糧も修理部品も足りない。寄港のたびに密航者や難民を吸収しながら、なんとか旅を続けていく。その綱渡りの構図が、シーズン序盤のエピソード群を貫いている。
カズの役割もこの段階で変わる。潜入工作員ではなく、表立ったレジスタンスの連絡将校に近い立場へと移っていくのだ。BB-8と組んでレジスタンス残党との接触を試み、コロッサスを正式に同盟へ加盟させる交渉を進める。時期としては、アクバー提督が戦死した『最後のジェダイ』終盤と並行する。本部を失ったレジスタンスは極小規模に縮んでおり、コロッサスのような独立武装勢力はむしろ貴重な戦力として歓迎される。
一方、ファースト・オーダー側ではタム・リヴォラのパイロット訓練が進んでいく。調教役を務めるのはコマンダー・パイアとエイジェント・ティアニー。若手の同期には、より野心的でモラルの軽いジェイス・ラックリンらが並ぶ。タムは整備士としての腕を活かし、飛行訓練の成績を急速に伸ばしていく。だが、彼女が信じ込まされている「秩序のための正義」と、実際に命じられる任務とのあいだの溝は、じわじわと広がっていく。シーズン中盤のあるエピソードでは、イェーガーがヴォンレグ少佐の赤いインターセプターを空戦で撃墜する痛快な見せ場が用意され、観客はようやく最初の決定的な敵が退場する瞬間を目撃することになる。
シーズン2後半
シーズン後半が描くのは、コロッサスのレジスタンス加盟と、タム・リヴォラの心の揺らぎである。タムはいくつもの任務でかつての仲間を直接の標的にするよう命じられる。「彼らは反乱者だ。共和国を破壊した側だ」——ティアニーにそう教え込まれてきた物語が、現場で目にする景色と、どうしても噛み合わない。タムは少しずつ、その矛盾に気づいていく。
決定的な転機は、コロッサスをめがけたファースト・オーダーの追撃戦のさなかに訪れる。「叛徒」と教えられてきた相手が、逃げ惑うただの避難民である。ジェイス・ラックリンら同期のパイロットたちは、それを目の当たりにしてもなお、平然と射撃命令をこなしていく。だがタムは、ついに引き金を引けない。僚機の警告を無視し、命令から逸れる。ラックリンはそんなタムを置き去りにして帰投し、彼女はファースト・オーダーの側で「裏切り者」の烙印を押されることになる。
一方、カズとコロッサスのクルーは、レジスタンス本部とハイパースペース通信でつながり、希少で高価な部品の調達、難民の支援、ファースト・オーダー前線への一撃離脱攻撃と、さまざまな任務をこなしていく。シナラ・サンは海賊ワーバードから半ば独立した立場を取り、コロッサスへ情報と力を貸す側に回る。緊張の連続のなかで、ニークとカズの友情劇がひと息つく呼吸を整えてくれる。トーラ・ドーザは父の艦長業を支えながら、若いエースたちのなかで一人前のリーダーへと成長していく。
シーズン2終盤The Escape
最終二部作『The Escape(脱出)』では、コロッサスがファースト・オーダーのリザレクション級スター・デストロイヤーに包囲され、絶体絶命の正面戦闘へと追い込まれる。エースたちはほぼ全員が出撃。イェーガーは旧式のレース機を引っ張り出してまでパイロット席に座る。プラットフォーム本体も装甲ハッチを開いて重火器で応戦するが、戦況は明らかに分が悪い。
戦闘の最中、敵編隊のなかで孤立したタム・リヴォラのTIEファイターが、共通周波数で「ヤツらをここから連れ出す」とコロッサスへ呼びかける。ジェイス・ラックリンの追撃を受けながら、タムはようやくコロッサスのハンガーへ帰投する。出迎えるカズ、イェーガー、ニーク、ニーク、トーラの顔には、許しと喜び、それでも消えない傷の三つが入り混じる。本作で最も繊細な再会の場面だ。
タムの帰還を機に、戦況は反転する。タムがもたらした内部情報をもとに、エースとコロッサスの整備チームはスター・デストロイヤーの脆弱点へ集中砲火を浴びせ、ついに巨艦を撃沈する。プラットフォームの住民は息を呑み、自分たちが自由を保ち得たことを噛みしめる。
戦いが収まった夜、コロッサスのコンソールにレジスタンスからの一斉通信が入る。銀河じゅうの自由民へ向けられた、ランド・カルリジアンの呼びかけだった——「集まれ。立ち上がる時だ。レイアの希望が今、エクセゴルへ向かっている」。これは『スカイウォーカーの夜明け』終盤、ファイナル・オーダー艦隊との決戦へ銀河中の市民艦が駆けつける、あの呼びかけと同じ夜、同じ瞬間である。ドーザ艦長、カズ、イェーガー、タム、ニーク、トーラ、シナラ——本作で愛されてきた登場人物たちが一斉にコクピットへ駆け出す。コロッサスは航路をエクセゴルへ取り、ハイパースペースの白い線の中へ消えていく。物語はここで終わる。
登場要素
本作に登場・言及される主な要素を分類して紹介する。続三部作の時代にあたるため、ジェダイやシスといった概念は背景に退き、レース文化や航空機、海上プラットフォームでの暮らし、そしてファースト・オーダー支配下に生きる市井の人々といった横の広がりに重心が置かれている。
- カズダ・シオノ
- ジャレク・イェーガー
- タム・リヴォラ
- ニーク・ヴォーゾ
- トーラ・ドーザ
- イマヌエル・ドーザ大尉
- ハイプ・ファゾン
- ボー・キーヴィル
- フレイア・フェンリス
- グリフ・ハロラン
- フリックス(パイレーン)
- オーカ
- シナラ・サン
- クラガン・ゴーア
- ヴォンレグ少佐
- コマンダー・パイア
- エイジェント・ティアニー
- ジェイス・ラックリン
- ポー・ダメロン
- フィン
- BB-8
- レイア・オーガナ
- キャプテン・ファズマ
- 人間
- ニクト
- ミリアラン
- ローダイト
- アクワリッシュ
- サリン(クラガンの種族)
- イトリアン(パイレーン)
- ザブラク
- サリックス
- ガンガン
- 各種エイリアン労働者
- BB-8
- バケット(R1-J5、イェーガーの相棒ドロイド)
- 整備用ドロイド各種
- ファースト・オーダーの戦闘ドロイド型偵察機
- プラットフォームのサービス・ドロイド
- カスティロンの海洋生物群
- アコ・トーグ(巨大魚)
- ニクパ
- プラットフォーム下層の害獣群
- 惑星カスティロンの海面
- コロッサス(燃料補給プラットフォーム)
- 下層市場アンクラ
- チーム・ファイアボール工房
- ドーザ家のコントロール塔
- オフィシウム(行政区画)
- シントゥアン
- オーヴァン IV
- D'Qar(言及)
- エクセゴル(最終話の航路目的地)
- レジスタンス
- ファースト・オーダー
- 新共和国(言及)
- 海賊団ワーバード
- コロッサスの「エース」中隊
- ファースト・オーダー諜報局
- ファイアボール(カズの愛機)
- イェーガーのレース機
- トーラのブルーエース
- ハイプ・ファゾンのグリーンエース
- ヴォンレグの赤いTIEインターセプター
- TIEファイター/TIEフィシャー
- ファースト・オーダーのリザレクション級スター・デストロイヤー
- ワーバードの海賊艦
- コロッサス本体(航宙化)
- ブラスター
- ライトスピード対応の旧式機
- イオン砲
- コロッサスの大気圏離脱機関
- プラットフォーム下のドック
- 深海採取機材
- ハイパースペース通信
- コロッサスの装甲ハッチ
- (本作はフォース使いを主役に据えないが、)レジスタンスの理念
- 自由民の連帯
- 中立の終わり
- 兵器ではなく整備士が見届ける戦争
10主要登場人物
本作の登場人物は、ジェダイや銀河政治を動かす大駒ではない。整備士、レーサー、密航者、海賊——いわば「銀河の手足」を担う者たちのなかから選ばれている。続三部作のスターたちも要所で姿を見せるが、物語の重心は終始コロッサスのクルーに置かれている。
カズダ・シオノ
元・新共和国海軍のパイロット候補で、上級将校だった父の手配によりレジスタンスに加わった若者である。明朗で人懐こい性格だが、整備士としては救いようがないほど不器用で、訓練も受けないまま送り込まれた潜入工作員の任には、当初まるで向いていない。だが、この「不向き」こそが本作の主題でもある。彼が一人前の戦士へと成長していく過程が、物語を貫く最も長い縦軸だからだ。
シーズン1では、ポーやレイアの期待に応えようと焦るあまり、嘘を重ねて仲間を傷つけてしまう。シーズン2では、その失敗を抱えながらも、仲間の信頼を取り戻そうと動き続ける。最終話で、彼は隊長や英雄になるわけではない。ただ、コロッサスの艦内放送越しに「俺たちもエクセゴルへ行こう」と仲間を促す一介の若者として、自ら選んだ場所に立つのだ。
関連リンク
ジャレク・イェーガー
コロッサスで小さな整備工房「チーム・ファイアボール」を切り盛りする、寡黙な親方。元・新共和国艦隊のパイロットで、銀河内戦末期の数々の戦場に従軍した英雄であり、戦後はレース・パイロットとして名を馳せた。家族を失ったことを機に表舞台を退き、コロッサスの片隅で整備士として生きてきた。
ポーの旧友としてカズを引き受けるが、当初は彼の正体すら知らされていない。だがシーズンを重ねるごとに、「もう戦わない」と決めていたはずのイェーガーは、戦士としての自分を呼び覚ましていく。タム・リヴォラを実の娘のように案じる場面、ヴォンレグ少佐を空戦で討つ場面、そして最終話で老いた身体に古い軍帽をかぶり直す場面——いずれも、引退と復帰のあいだで揺れ続けた一人の男の決算として描かれる。
タム・リヴォラ
祖父の代から艦隊軍人を輩出してきた家系に生まれ、輝かしい未来を約束されていたはずだった。だが現実には、コロッサスの片隅で日銭を稼ぐ整備士に甘んじている若い女性である。腕は確かなのにチャンスはめぐってこない。自尊心と諦めのあいだを、彼女は揺れ動き続けている。
彼女の物語は、本作全体を貫く通奏低音といってよい。エイジェント・ティアニーが「正しい秩序のなかでこそ、あなたの才能は花開く」と囁く。タムが踏み入れる扉の向こうは、観客の目にはファースト・オーダーの闇でしかない。だが本人には、そうは見えていない。シーズン1終盤、カズの嘘に深く傷つき、離反を選ぶ。その決断には十分な動機が積み上げられており、安直な悪役転落として描かれることはない。
シーズン2を通じて、タムは命令と良心とのずれを少しずつ抱え込んでいく。そしてついに、引き金を引けなくなる。最終話、彼女がコロッサスのハンガーへと降り立つ場面は、本作で最も静かな勝利の一つである。
ニーク・ヴォーゾとトーラ・ドーザ
ニークはニクト族の整備士。何でも文字通りに受け取る純朴な性格と、機械いじりにかけての天才的な勘を併せ持ち、誰からも愛される。カズの無謀な思いつきにも全力で乗ってくる、本作の良心であり、主要な笑いの担い手でもある。
トーラはコロッサスの所有者ドーザ大尉の娘で、エース中隊の最年少を務める天才レーサーだ。温室育ちの令嬢と見られがちだが、ひとたびコクピットに収まれば、大胆かつ計算高い飛行を披露する。シーズン1ではカズの最初の友人としてプラットフォームの内側を案内し、シーズン2では同年代の戦力として彼と肩を並べる。
ドーザ大尉とエース中隊
イマヌエル・ドーザは、コロッサスを所有する艦長である。かつて旧共和国艦隊で士官を務めた経歴を持ち、銀河の中立地帯を守り抜いてきたことを誇りとする。一方で、家族、とりわけトーラを守るためなら原則を曲げることも辞さず、ファースト・オーダーと一時的に手を結ぶ現実主義者でもある。中立はもはや成り立たない——彼がそう認めるまでの過程が、本作の道徳的な軸の一つとなっている。
エース中隊は、トーラ、自信家のローダイト人ハイプ・ファゾン(声:ドナルド・フェイソン)、仮面をつけた寡黙なレーサーのボー・キーヴィル、フレイア・フェンリス、グリフ・ハロランと、個性豊かな面々で構成される。レース興行から戦闘任務へと役割を変えていく彼らの姿は、平時の華やかさが戦時にどう転じていくのかを映す鏡として機能する。
シナラと海賊/ファースト・オーダーの面々
海賊団ワーバードは、首領クラガン・ゴーア(声:ジェイソン・ハイタワー)に率いられた多種族の小集団で、当初はコロッサスの脅威として登場するが、シーズンが進むにつれてファースト・オーダーという更に大きな脅威を前に複雑な利害関係を露わにする。ミリアラン人の若い女性シナラ・サン(声:スマリー・モンターノ)はその橋渡し役として、本作で最も両義的な人物の一人になる。
ファースト・オーダー側では、コマンダー・パイア(声:リアム・マッキンタイア)が地上指揮を、ヴォンレグ少佐(声:リアム・マッキンタイア兼任)が空戦エースを、エイジェント・ティアニー(声:スーミー・モンターノが代役を務める場面ありとも言われるが、主担当はメアリー・エリザベス・マグリン)が諜報と教化を担う三角形を成す。続三部作本編ではキャプテン・ファズマ(声:グウェンドリン・クリスティーが再演)が客演し、ヴォンレグの上司として彼に圧力をかける場面が描かれる。
関連リンク
ポー・ダメロン、BB-8、レイア
オスカー・アイザックは、続三部作と同じ声でポー・ダメロンを再び演じる。本作では、カズを送り出す兄貴分として登場する。彼が操縦するT-70 Xウィング、そしてカズに預けられるBB-8は、本作と続三部作映画を最も強く結びつける具体的な存在だ。
フィン役のジョン・ボイエガも数話で再演し、レジスタンス本部の動きをコロッサスのスクリーン越しに伝える。レイア・オーガナの扱いは控えめだ。キャリー・フィッシャー逝去後の作品ゆえ、過去の録音や似た声色の代役を交えての登場となる。それでも、初登場時の指示と最終話に残る余韻には、続三部作の最後の将軍としての姿が確かに刻まれている。
舞台と用語
本作の主舞台コロッサスは、海洋惑星カスティロン沖に浮かぶ巨大プラットフォームである。塔と回廊、ハンガー、市場、住居区、海中ドックが立体的に組み合わさり、いわば縦に積み上がった都市を成している。主産業はレース興行と燃料補給。銀河の縁を行き来する商人や密航者、海賊、そしてファースト・オーダーにレジスタンスまで、立場の異なる者たちが同じ階段ですれ違う場として設計されている。プラットフォームの内側で完結する日常劇と、それを取り囲む海と空が映し出す銀河情勢——この二つのスケールが終始対比されるところに、本作ならではの手触りがある。
用語面で要となるのは、レジスタンス、ファースト・オーダー、エース、ワーバード、コロッサス、ライトスピード(ハイパースペース)、TIEインターセプター、T-70 Xウィングといった一群だ。とりわけ「中立」はキーワードである。ドーザ大尉のコロッサスが旗色を明確にしないまま生き延びてきた事実と、もはや中立では誰も守れないという終盤の判断。この二つが、本作の政治劇の骨格を成している。
ハイパースペース通信、レース・コリドーの航法、海上での艦載機運用——細かな技術用語は数多く飛び交うが、視聴者がいちいち暗記する必要はない。いずれも各話の文脈のなかで意味が分かるよう描かれている。
19制作
『反乱者たち』の完結を見届けたフィローニが、続三部作の時代を描くアニメ作品として立ち上げたのが本作である。以下、企画から美術、音楽にいたるまでの主な経緯を整理したい。
企画
本作の出発点はふたつあると、デイヴ・フィローニは公の場で繰り返し語ってきた。ひとつは、続三部作の時代の銀河を、レイアやポーといった主役の視点ではなく、整備士やレーサーといった市井の人々の側から描きたいという思いだ。もうひとつは、彼自身が幼少期から親しんできた日本のアニメ——とりわけ宮崎駿作品や、戦間期の航空機を題材にしたメカ・アニメ——のテイストを、スター・ウォーズの正典に持ち込むという挑戦である。
硬派な戦争・政治劇だった前作までとは意図的に距離を置き、対象年齢を下げて家族向けに振る。その設計は企画段階からの方針だった。Disney Channelで初放送された最初の『スター・ウォーズ』アニメ作品という位置づけも、この方針と重なっている。
スタッフ体制
フィローニは製作総指揮として全体方針を統括し、日々の制作現場の指揮は統括監督のジャスティン・リッジ(『クローン・ウォーズ』『反乱者たち』でエピソード監督を務めた)に委ねられた。脚本統括(ヘッドライター)はブランドン・オーマンが担い、世界観の整合とエピソード構成を組み上げている。製作総指揮にはアシーナ・イヴェット・ポルティーヨも名を連ね、ルーカスフィルム・アニメーション部門の総力が本作を支えた。
シリーズの大部分は、アメリカ国内のルーカスフィルム・アニメーションが企画・脚本・美術設計を手がけ、CGアニメーションの実制作には、過去のフィローニ作品と同様、シンガポールを拠点とするスタジオが大きく関わっている。スケジュールはディズニーの放送枠に合わせ、週次更新の体制が取られた。
キャスティングと声の演技
主人公カズダ・シオノの声を演じるのは、テレビドラマで実績を積んできた俳優クリストファー・ショーン。レース・パイロットらしい軽やかさと、潜入工作員としての心もとなさのあいだを行き来する声の芝居で、物語の中心を担った。タム・リヴォラ役のスージー・マクグラスは、彼女が内に抱える怒りと寂しさを抑えた声で表現し、終盤の決断を支える感情の土台を築いている。
ボビー・モイニハン(ニーク)、ドナルド・フェイソン(ハイプ・ファゾン)、ジム・ラッシュ(フリックス)、マーナ・ヴェラスコ(トーラ)、スコット・ローレンス(イェーガー)。コメディから演技派まで幅広い顔ぶれが、コロッサスに暮らす「市民」たちをそれぞれ演じ分けた。続三部作からは、オスカー・アイザックがポー・ダメロン役、ジョン・ボイエガがフィン役、グウェンドリン・クリスティーがキャプテン・ファズマ役を、いずれも実写版から引き継ぐ形で再び演じている。
アニメーション
本作がまず目を引くのは、3DCGでありながら、輪郭線とフラットなセル調の陰影、丸みを帯びたメカ・デザイン、彩度の高い空と海といった「2Dアニメ的」な見え方を意図的に追い求めた美術である。フィローニは『天空の城ラピュタ』『紅の豚』など宮崎駿作品からの影響を公言しており、戦間期の英国機・伊国機の意匠を翻案して、各種レース機をデザインさせている。
メカと背景は3Dで作り込みつつ、キャラクターは2D風の比率と表情線を残す。人物芝居の温度感は、ほかのスター・ウォーズ作品とは明らかに異なるルックに仕上がった。プラットフォームの巨大さは3DCGならではのカメラワークで見せる一方、人と人の距離感は手描きアニメに近い手法で扱う。その緊張のうえに、本作ならではの質感が立ち上がっている。
美術と世界観
コロッサスの構造は、ラルフ・マクォーリーが残した未使用の古いコンセプト画に、戦中・戦後の海上石油リグを撮影した写真資料を組み合わせて設計された。手すりや配管、煤けた金属の質感に至るまで、続三部作の清潔なルックよりも、旧三部作や『ローグ・ワン』に近い「使い古された機械」の手触りを意識している。
対するファースト・オーダー側は、続三部作と統一されたシャープで威圧的な意匠をまとう。そこへ、TIEインターセプターを赤く塗装したヴォンレグ機のように、レッドバロンに連なる戦間期のファイター・エース(撃墜王)の記号が持ち込まれている。一方、海賊ワーバードの艦は雑多で錆びついた寄せ集めだ。銀河の中心と外縁に横たわる経済格差を、その姿が一目で物語る。
音楽と音響
音楽はマイケル・タヴェラが手がけた。続三部作でジョン・ウィリアムズが書いた主題群をそのまま引き継ぐのではなく、本作のために独自のテーマを書き起こしている。コロッサスの陽気で軽快なメインタイトル、エースたちのレース曲、ファースト・オーダー駐留時の重苦しいモチーフなどがそれだ。そのうえで、レジスタンスのテーマやファースト・オーダーのテーマといったウィリアムズの主題は、ここぞという場面に限って引用する。節度をわきまえた引用の方針が貫かれている。
音響面でも作り込みは細やかだ。TIEインターセプターの叫び、レース機ファイアボールの愛らしいアフターバーナー音、コロッサスの巨大ハッチが動く音——空気の薄い宇宙ではなく、「空気のある空」の手触りを丁寧に立ち上げている。こうした音づくりが、航空映画に寄せた本作のトーンを支えている。
26放送と配信
第1シーズンは2018年10月7日、1時間枠の前後篇『The Recruit』としてDisney Channelで幕を開けた。以降、20数回の放送を重ね、翌年3月に完結している。第2シーズンは2019年10月6日に始まり、2020年1月26日、最終話『The Escape』の前後篇で物語を閉じた。米国ではDisney Channelでの本放送ののち、Disney XDとディズニープラスで全話が配信され、いまではディズニープラスが主要な視聴経路となっている。
日本では当初ディズニーチャンネル(CS)で放送され、その後ディズニープラスで配信されている。日本語吹替版はディズニープラスの日本展開に合わせて用意され、カズダ役は内田雄馬らが担当した(公式の最新キャスト表記は配信プラットフォームで確認したい)。
国際的には40を超える言語で吹き替え・字幕化されており、放映当時は『フォースの覚醒』『最後のジェダイ』からの直接的な続編企画として、子ども向けの導線を担う作品に位置づけられていた。続三部作の完結後は、エクセゴルの夜への合流をもって物語が幕を閉じた一作として、評価の軸が「サーガ全体への接続」へと移りつつある。
27批評・評価・文化的影響
公開当時、評価は真っ二つに割れた。『クローン・ウォーズ』や『反乱者たち』が積み上げてきた硬派なドラマ路線を期待した一部の層からは、年齢層を下げたコメディ寄りのトーンに戸惑う声が上がり、フォース使いを主役に据えなかった設計にも物足りなさが向けられた。一方で、レース描写の楽しさ、CGアニメの新しいルック、そしてコロッサスという閉じた共同体にこだわって描いたキャラクター・ドラマを評価する声も少なくなかった。
シーズン2に入ると物語の射程は一気に広がる。続三部作のクライマックスと直接つながる終盤が見えてくると、評価は徐々に持ち直していった。なかでもタム・リヴォラの離反と帰還を縦軸に据えた筆致は、本作で最も高く評価された要素の一つである。続三部作三作の物語の「外側」を映像として具体化した数少ない正典作品として、近年は配信視聴者を中心に再評価が進む。
アニメ調CGの実験は、のちの『バッド・バッチ』『テイルズ・オブ・ザ・ジェダイ』など、ほかのルーカスフィルム・アニメーション作品の表現の幅にも影響を残したとされる。ヴォンレグ少佐の赤いTIE、コロッサスのファイアボール、エースたちのカラフルなレース機といったデザインは、グッズや関連書籍を通じて独自のビジュアル群として独立し、シリーズのなかの「もう一つの世界」を象徴している。
舞台裏とトリビア
フィローニは『反乱者たち』の完結直後に本作の企画を発表した。その際、「もしルーカスがアニメで続三部作の時代を描いたら、こんな手触りにしたかもしれない」と語り、宮崎駿作品や戦間期の航空機への愛着を隠さず、具体的に作品名まで挙げている。『スター・ウォーズ』が日本の時代劇やアニメから着想を得てきた歴史を、あらためて確認させる発言でもあった。
コロッサスの構造を描いたスケッチには、ラルフ・マクォーリーが旧三部作期に手がけた未使用の都市デザインが下敷きになっている。レース機ファイアボールの丸い機首と複葉機を思わせるシルエットは、宮崎駿の『紅の豚』に登場するサヴォイア S.21を強く意識した造形だ。
キャプテン・ファズマがアニメで本格的に台詞を伴って再登場するのは本作が初めてで、グウェンドリン・クリスティーが声を再び演じている。ポーやフィンの語り口も実写版と同じトーンが意識的に保たれており、実写と地続きの世界であることを観客に絶えず印象づける設計になっている。
最終話『The Escape』のラストで、ランド・カルリジアンの呼びかけがコロッサスの艦内放送に流れる。この場面は『スカイウォーカーの夜明け』本編の同じ呼びかけと「同じ夜」に起きている設定で、シリーズと映画が時間軸の上で直結していることがわかる。
29テーマと解釈
本作の中心にある主題は、「巨大な歴史のなかの、小さな共同体の選択」である。ジェダイの帰還も、レジスタンスの最終決戦も、コロッサスの住民にとっては夜空に光る遠い出来事にすぎない。だが、ファースト・オーダーの駐留要求、燃料供給の停止、海賊との取引、整備士一人の離反——日常のささやかな判断が積み重なり、彼らは否応なく銀河規模の戦争の当事者となっていく。中立を貫くことの難しさ、巻き込まれてからの倫理、後悔した者がたどる帰り道、許す側の痛み——本作はこれらを、宇宙艦隊の戦闘ではなく、工房や居酒屋、ハンガーで交わされる会話のなかで語っていく。
もう一つの軸は、タム・リヴォラを通して描かれる「正しい居場所はどう選ばれるのか」という問いである。タムはカズの嘘がきっかけで離反するが、最後に戻ってくるのは、仲間の許しを得たからではない。自分の引き金が震えた、その瞬間である。本作はそれを断罪も賛美もせず、ただ静かに見届ける。続三部作の本編でしばしば指摘される「過去への向き合いの不足」を、地味で抑制された形ながら補っているとも言えるだろう。
アニメ調の絵柄、レースという華やかな表層、家族向けのコメディ・トーンに包まれてはいるが、根底に流れる主題は決して軽くない。爽快な勝利の物語ではなく、平凡な人々が「もはや中立ではいられない」と認めるまでの物語として読むとき、本作は続三部作の隙間を埋める静かな証言となる。
視聴順ガイド
初見であれば、続三部作のうち少なくとも『フォースの覚醒』を観てから本作に入ると分かりやすい。レイア、ポー、BB-8、ファースト・オーダーといった前提を共有していれば、コロッサスが掲げる「中立」が抱える緊張をすぐに理解できるからだ。
サーガ全体を時系列で追うなら、『フォースの覚醒』の直前から本作第1シーズンを始め、第1シーズン終盤のホスニアン破壊を『フォースの覚醒』本編の出来事に重ねて観るのが最もしっくりくる。第2シーズン最終話は『スカイウォーカーの夜明け』終盤と時を同じくしているため、映画版の決戦を観てから本作の幕切れに戻ると、ランドの呼びかけが響く効果は倍増する。
『反乱者たち』『アソーカ』といった他のフィローニ作品とは設定上の時代がずれており、必須の前提作品ではない。ただし、アニメ作家としてのフィローニの文体や、サーガに向ける眼差しを知ったうえで観れば、本作の節度ある引用や視点の取り方をいっそう楽しめる。
31よくある質問
「あらすじだけ知りたい」という人は、次の流れを押さえておけば十分だ。若きカズは燃料補給プラットフォーム「コロッサス」に潜入し、エースたちと手を組んでファースト・オーダーの駐留を阻もうとする。だが事態は思わぬ方向へ進み、最終的にはプラットフォームごと海から空へと脱出。続三部作の最終決戦の夜、エクセゴルへと向かうことになる。
「結末・ネタバレを知りたい」なら、押さえどころはこうだ。シーズン1の終盤、コロッサスはホスニアン虐殺と同じ夜に大気圏を離脱し、タム・リヴォラがファースト・オーダーへと離反する。続くシーズン2の終盤では、そのタムが命令に背いてコロッサスへ帰還。最終話でランド・カルリジアンの呼びかけに応じ、銀河決戦へと身を投じていく。
「評価を知りたい」場合は、子ども向けのトーンと続三部作という時代設定が、好き嫌いを分けたシリーズだという前提を踏まえると整理しやすい。サーガの本流とは別軸の、コロッサスという閉じた共同体を描くドラマとして観れば、本作の魅力はいっそう際立つ。「見る順番」については、続三部作のうち少なくとも一作を先に観てから本作へ入るのがおすすめだ。
32参考資料・脚注
作品名、キャラクター名、画像、および各種権利は、それぞれの権利者に帰属する。話数や声優、配信状況、外部からの評価は変動しうるため、視聴前に公式情報および各データベースの最新の表示を確認されたい。本記事の本文は、各種の公開情報をもとに、Anna Movies用の独自の日本語記事として構成したものである。