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2011年版 第111話

2011年版アニメ第111話「トツニュウ×シテ×シンニュウ」を解説。龍星群、ネテロ対ピトー、感謝の正拳突き、討伐隊の宮殿侵入を整理する。

No.417まで対応更新 2026.08.13

2011年版アニメ第111話「トツニュウ×シテ×シンニュウ」は、2014年1月8日に放送されたキメラアント編の一話で、原作No.262末尾からNo.265前半を基にする。

宮殿突入の瞬間を複数の時間尺度で描く回である。十秒前の討伐隊、上空から降下するネテロゼノ、ピトーが攻撃を受ける一瞬、数十年前の修行が交差し、作戦開始直後の因果を細部まで見せる。

基本情報

2011年版 第111話の基本情報
媒体2011年版TVアニメ
話数第111話
副題トツニュウ×シテ×シンニュウ
放送日2014年1月8日
原作対応No.262末尾〜No.265前半

空から始まった二分前

突入の約二分前、巨大な念の龍から二人の人影が宮殿へ降下する。最初に気づいたピトーは円を上空へ伸ばし、続いてプフも敵襲を察する。地上の入口だけを警戒した配置へ、予想外の方向から接近した。

討伐隊はノヴの空間内で残り十秒を数える。キルアは出発直前のゴンの目が暗く沈み、平常時と異なることへ気づく。作戦手順が整っても、カイトを前にする少年の感情までは制御できない。

念龍がピトーの円へ触れた瞬間、ゼノは龍を無数の小さな光へ分解する。龍星群は宮殿全体へ降り注ぎ、護衛軍の注意を上空へ向けると同時に、内部の位置関係を崩す。

プフは王を守るため宮殿内へ戻り、ピトーは空中で侵入者を探す。護衛軍は同じ敵襲を察しても、王の近くへ戻る者と外で迎撃する者へ瞬時に分かれた。

ピトーが選んだ悪手

ピトーは無数の光の中からネテロを見つけ、全力戦闘用の黒子舞想を発動する。相手へ先手を取るための最速の選択だったが、ネテロは準備してきた複数の応答の中で悪手を選んだと告げる。

ネテロの合掌はピトーの知覚では非常にゆっくり見える。それでも攻撃そのものは認識後に回避できない速さで届き、空中のピトーを宮殿から遠くへ弾き飛ばす。

百式観音の危険は、強いオーラを放つだけでなく、祈りから打撃までの動作が相手の反応より早い点にある。ピトーは敵の存在を察知し全力を出しても、その全力を攻撃へつなぐ前に位置を変えられた。

討伐側の目的はこの場でピトーを倒すことではなく、王から護衛軍を離すことにある。空中へ迎撃に出た行動を利用し、一撃で遠方へ送るネテロの選択は作戦全体の役割と一致する。

一万回の感謝が作った速度

ゼノの語りは、ネテロが四十六歳の時に始めた感謝の正拳突きへ移る。一日一万回、祈り、構え、突きを繰り返し、当初は完了まで十八時間近くかかった。

二年後には動作が速くなり、五十歳を迎える頃には日没前に一万回を終えても祈る時間が残った。単純な反復が肉体の限界を越え、拳だけでなく祈りの所作まで戦闘速度へ結び付く。

山を下りて道場へ戻ったネテロの拳は音速を超え、師範を驚かせる。天賦の才能が突然開いたのではなく、同じ動作を毎日欠かさず積み重ねた期間が、ピトーにも捉え切れない一撃の根拠となる。

ゼノは自分が赤子の頃からネテロは老人で、祖父と戦って生き残った人物だと語る。互角を装わずネテロが上だと認める評価が、暗殺者ゾルディック家から見た会長の異常な長さと強さを示す。

ドクターブライスによる急停止

吹き飛ばされたピトーはプフへ助けを求めるが、プフは王のもとへ戻ることに集中して声を拾えない。宮殿から離れれば王を守れないため、飛行を止める手段を即座に探す。

ピトーは治療用の玩具修理者を発動する。この能力は出現位置から動けず、使用者も尻尾でつながれて半径二十メートル以上離れられない。その制約を錨として使い、空中での移動を強制的に止めた。

治療能力を誰かの傷へ使ったのではなく、自分の位置を固定するために使う応用である。能力の本来の用途と制約を理解しているからこそ、戦闘用の黒子舞想から瞬時に切り替えられる。

停止したピトーの視界には、ゼノの龍星群が宮殿へ降る光景が広がる。自分は遠ざけられ、王のいる建物が無数の攻撃へさらされるため、直属護衛軍にとって最も避けたい状況が同時に起きる。

階段で遭遇したユピー

同じ瞬間、討伐隊はノヴの出口から宮殿中央階段へ出る。メレオロンナックルモラウ、ゴン、キルア、シュートが役割に沿って進み、イカルゴフラッタへ変装して地下のパームを探す。

階段にはユピーがいたが、本人も上空の騒ぎへ注意を向けていた。侵入者側は護衛軍の配置を完全には予測しておらず、出た直後に最強級の敵と対面するという予定外の事態になる。

龍星群は援護であると同時に、味方も巻き込む可能性のある広域攻撃である。討伐隊は空から光が降る中で標的を見失わず、秒単位で各自の相手へ移らなければならない。

第111話は突入成功で区切らず、ピトーの分断とユピーとの遭遇を同時に成立させる。計画どおり宮殿へ入れた事実と、入った先の配置が想定外だった事実を並べ、ここから各戦闘が分岐する。

一秒未満へ折り畳まれた年月

ピトーとネテロの接触は一瞬だが、本話はその一瞬を理解させるため、ネテロが山で過ごした数年とゼノが知る数十年を差し込む。現在の攻撃速度だけを見せれば超人的な能力で終わるところを、祈りと正拳突きを毎日繰り返した時間へ戻し、速さが積み上がった過程を観客に体験させる。

感謝の正拳突きは効率的なトレーニングとして始まったのではない。武道へ恩を返すための祈りが先にあり、結果として肉体の限界を越えた。ネテロの百式観音が合掌から始まるのも、戦闘用の無駄な予備動作ではなく、長年の祈りと攻撃が分離できなくなった到達点として描かれる。

ピトーが黒子舞想を出した判断は、通常の相手なら最も安全な先制である。ネテロだけが、攻撃意思を行動へ変える時間より短く祈りを終えるため悪手になる。結果を知って無謀と評価するのではなく、相手の速度に関する情報を持たない護衛軍が、王を守るため全力を選んだ場面として読む必要がある。

龍星群は護衛軍の分断へ成功する一方、宮殿内部のコムギまで傷つける。討伐側は王と護衛軍を離すため広域攻撃を使うが、宮殿にいる全員の位置を把握していない。作戦の合理性と無関係な者を巻き込む危険が同居し、後のゼノの判断へ影響する種がここで置かれる。

中央階段へ出た討伐隊にとって、ネテロの成功は安全を保証しない。ピトーを遠ざけてもユピーが目の前に残り、プフは王のもとへ戻っている。大きな作戦目標を一つ達成した直後に、各人が予定外の相手へ対応する局地戦へ移るため、本話は侵入を祝う間を与えず次の秒へ進む。

理解を深める補足

ゼノの語りはネテロを神格化するだけでなく、戦力差を職業人の評価として示す。暗殺者として長く生きたゼノが自分より上だと認め、祖父との過去まで引くことで、会長の強さが今回だけ都合よく現れたものではないと分かる。

ピトーが玩具修理者を錨にする場面は、強い制約が常に不利ではないことを示す。移動できないという欠点を、吹き飛ばされる運動を止める固定点へ反転させる。能力の説明を知っている読者ほど、その場の目的に応じた応用へ気づける。

龍星群は敵味方を細かく識別せず宮殿へ降るため、討伐隊も安全圏にはいない。ネテロとゼノの別働が作った混乱を利用しつつ、自分たちも落下地点と護衛軍へ同時に対処する。援護と危険が同じ技から生まれる。

ゴンの変化へ気づいたのがキルアである点も、突入後の重要な前提になる。全員が護衛軍の配置を見ている十秒間に、彼だけは隣の友人の目を観察する。計画上の敵だけでなく、ゴンが感情で逸脱する可能性も抱えて宮殿へ入る。

要点の再確認

ネテロはピトーへ語りかけながら攻撃を成立させる。余裕を見せるためだけでなく、相手が全力を選んだ瞬間に準備済みの応答を出し、心理と位置の両方で主導権を取る。

プフがピトーの呼びかけを聞けないのは忠誠が弱いからではなく、王へ戻るという同じ忠誠を最優先したからである。護衛対象が一人であるほど、緊急時に三者の連携が分断される逆説が生じる。

イカルゴだけが地上の戦闘班と別れ、フラッタの姿で地下へ向かう。突入の派手な正面戦の陰で、パームを探す任務も同じ秒から開始され、宮殿内部の物語を複数方向へ広げる。

次の展開への接続

サブタイトルの突入と侵入は、上空から正面へ落ちるネテロたちと、ノヴの空間から内部へ出る討伐隊の二経路を表す。敵の注意を空へ向けた瞬間に地上班が現れる連動は成功するが、ユピーの位置までは制御できず、計画と偶然が同時に戦闘を始める。

本話の位置づけ

長い準備を終えた突入は、開始一秒から予定外の連続になる。ネテロの修行だけが予定どおり再現できる動作として際立ち、他の全員は敵の位置、感情、落下する龍へ即応しなければならない。

侵入直後の課題

空と地上の二方向から入る作戦は護衛軍を分けたが、王の正確な位置とコムギの存在までは共有されていない。成功した分断を、対象の隔離と安全な決闘へ変える仕事が次の段階として残る。

2011年版 第111話が残したもの

第111話の中心は、長年の反復で作られたネテロの一撃が、護衛軍の最速の迎撃より先に作戦目的を達成したことにある。

ピトーも能力の制約を錨に変えて即座に帰還を図るため、一方的に無力化されたわけではない。双方が一瞬で複数の判断を重ねる。

討伐隊は侵入に成功したが、中央階段でユピーと遭遇する。作戦の入口が予定どおりでも、以後は各人が現場で役割を組み替える必要がある。

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