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物語 / 物語編

キメラ=アント編

カイトの調査で判明したNGLのキメラ=アント、討伐隊の宮殿突入、ゴンとネフェルピトー、ネテロとメルエムの決着までをたどる物語編。

No.417まで対応更新 2026.08.13

キメラ=アント編は、グリードアイランドを出たゴン=フリークスキルア=ゾルディックが、生物調査を続けるカイトのもとへ転送される場面から動き出す。そこで始まる調査は、一個体の危険生物を追う仕事では収まらない。人間を食べた女王から、人間の記憶や欲望を残す兵隊が生まれ、やがて王と三戦士が世界の支配へ動き出す。

討伐側にも、単純な正義の軍勢というまとまりはない。ゴンはカイトを取り戻すことに固執し、キルアはゴンを守ろうとし、ネテロは会長として王と対峙する。一方、王メルエムは盲目の棋士コムギとの対局によって、自分が支配するはずだった人間を個人として見始める。決着は、人間側とキメラ=アント側の双方に大きな代償を残した。

基本情報

キメラ=アント編の基本情報
範囲・話数・期間グリードアイランドを出た直後のカイト合流から、東ゴルトーでの決着とゴンの重体までを扱う。続きは会長選挙とアルカをめぐる物語へ引き継がれる。
場所・舞台主な舞台は、カイトの調査地であり女王の巣があるNGL、群れが移動して制圧した東ゴルトー、王メルエムと三戦士が構えた宮殿である。
主要人物・勢力人間側はカイト、ゴン=フリークス、キルア=ゾルディック、ネテロ、ゼノ、モラウ、ノヴ、ナックル、シュート、パーム、ビスケ。キメラ=アント側は女王、王メルエム、三戦士のネフェルピトー、プフ、ユピー、師団長コルト。ほかに軍儀の王者コムギ、人間側へ協力するメレオロンとイカルゴが関わる。
討伐作戦の分担宮殿には、ノヴが事前に侵入して出入口を設置し、パームが王と三戦士の確認のため先行潜入した。突入時は上空からネテロとゼノ、地上からモラウ、ナックル、シュート、メレオロン、イカルゴ、ゴン、キルアが入り、それぞれ別の相手と目的を受け持った。
結果・影響王の誕生で重傷を負った女王は、救命処置の途中で死亡した。ゴンは制約と引き換えの力でネフェルピトーを倒し、ネテロは貧者の薔薇を起爆する。王とプフ、ユピーは毒で死亡し、メルエムはコムギと最後の軍儀を続けて命を終えた。損なわれたゴンの身体を救う問題は次の物語へ残る。

NGLで始まったあらすじ

カイトの調査に同行したゴンとキルアは、巨大な生物の一部を手掛かりにキメラ=アントの存在へ近づく。女王は摂食交配によって、食べた生物の特徴を次世代へ受け継がせる。人間を餌にし始めた群れでは、兵隊が言葉、個性、生前の記憶を示し、組織的に人間を集めるようになった。師団長コルトは女王への忠誠を保ちながら、人間だった頃に守ろうとした妹の名を記憶の底に残していた。こうした兵隊の個体差は、同じ女王から生まれた群れが一つの意志だけでは動かないことを早い段階で示す。

カイトは女王の大きさと捕食規模から、通常の駆除では対処できない隔離指定生物の危険を見積もる。その判断に基づいてゴンたちをNGLへ連れていくが、誕生したネフェルピトーの力は想定を超えていた。カイトは二人を逃がして戦い、殺された後はピトーの能力で動く身体に変えられる。

討伐隊結成までの展開と主な出来事

NGLから逃れたゴンとキルアは、討伐隊へ加わる条件としてナックルシュートに挑む。二人は再びビスケの指導を受けるが、ゴンはナックルの能力によって念を使えない状態となり、期限内の勝負に敗れた。キルアも、強敵を前にすると退くようイルミ=ゾルディックに仕込まれていた針を自分で抜き、戦い方を縛っていた恐怖から離れる。

その間にネテロ、モラウノヴらは師団長を分断し、女王のいる巣へ迫った。しかし王は予定より早く誕生し、女王を重傷にしたまま三戦士と東ゴルトーへ移る。女王は王にメルエムという名を与えていたことを伝え、救命処置の途中で死亡した。

メルエムとコムギの対局が変えた前提

東ゴルトーを制圧したメルエムは、人間の競技の王者を呼び出して勝負し、敗者を処分していく。軍儀の王者コムギだけは何度対局しても破れない。コムギは生活のすべてを軍儀へ懸けており、王の威圧より盤上の一手を優先した。

王は当初、弱い人間を選別し支配する側に立っていた。ところが鳥に襲われたコムギを自ら救った行動に動揺し、彼女を守り、名を問い、対等な勝負相手として扱うようになる。王が人間全体への計画を捨てたわけではないが、力だけで個人の価値を決める前提は崩れ始めた。

宮殿突入で分かれた任務

討伐側は、王と三戦士を引き離すための事前準備と宮殿突入時の任務を分けていた。ノヴは先に宮殿へ侵入して出入口を設置した後、突入の前線を離れ、パームは王と三戦士を確認するため先行潜入した。作戦開始時にはネテロとゼノが上空から入り、地上ではモラウ、ナックル、シュート、メレオロンイカルゴ、ゴン、キルアがそれぞれ異なる相手と目的を担った。

突入直後、ピトーは負傷したコムギを治療していた。ゼノの龍星群が偶然コムギを傷つけると、王はピトーに戦闘より治療を優先させ、自分はネテロの指定した戦場へ移る。ゴンはカイトを元へ戻させるため、治療が終わるまで待つ一方、ピトーへ行動を強く制限する。キルアはピトーとの交渉中までゴンのそばに残り、ゴンがピトーとカイトのもとへ向かう段階で別行動となった。

主要人物と勢力が迎えた結果

ピトーからカイトはすでに死んでいると告げられたゴンは、自分の将来を差し出す制約によって、ピトーを倒せるほどの力を一時的に得る。勝利の後に残ったのは、通常の治療では戻せないほど損なわれた身体だった。キルアはゴンを連れ帰るが、この代償をその場で解くことはできない。

一方、ネテロは王との戦いで全力を尽くしても決定打を与えられず、最後に体内へ仕込まれた貧者の薔薇を起爆する。爆発から復活した王も、薔薇の毒までは免れなかった。プフとユピーも王へ力を与えた後に毒で死亡し、記憶を取り戻したメルエムはコムギのもとへ戻る。二人は最後の軍儀を続け、ともに命を終えた。

人間と蟻を分けきれない終幕

キメラ=アント編では、種族と行動の善悪が一致しない。イカルゴやメレオロンは人間側へ協力し、女王の子の一部は人間だった頃の名前と家族を求める。反対に人間側は、個人の武力では届かない王を大量破壊兵器と毒で倒した。

この対照から、メルエムを人間になった存在、ゴンを怪物になった存在と断定するのは狭すぎる。王は最後までキメラ=アントであり、ゴンも人間のまま、自分で選んだ制約の代償を負った。変わったのは種族ではなく、誰を一人の相手として見るか、目的のために何を差し出すかという判断である。重体となったゴンを救う問題は、歴史年表でも次の節目となる会長選挙とアルカをめぐる物語へ持ち越される。戦闘で使われた技はいずれも念能力を前提とし、王とピトーが広げた探知範囲の違いは円の範囲と性質の差として比較できる。

摂食交配と軍団の階級

キメラ=アントの女王は、捕食した生物の特徴を次世代へ反映する摂食交配を行う。人間を餌にした世代では、人間の知能、個性、前世の記憶が個体ごとに異なる形で現れた。軍団は王を頂点に、王直属護衛軍、師団長、兵隊長、戦闘兵、雑務兵へ分かれる。上位個体ほど身体能力とオーラ量で優位だが、人間由来の自我が強いため、命令だけで完全に統率される組織ではない。

メルエムを守る三体の直属護衛軍は、王への忠誠という共通点を持ちながら方法が異なる。ネフェルピトーは脅威の排除と治療、シャウアプフは理想の王を守るための誘導、モントゥトゥユピーは正面戦闘を担う。師団長以下には人間側へ転じる者、独自の縄張りを作る者、流星街へ侵攻する者も現れ、種族名だけでは行動を予測できない。

討伐作戦を動かした三つの時間

宮殿突入は、全員が王を目指す総力戦ではない。ネテロとゼノは王を護衛軍から分離し、モラウ、ノヴ、ナックル、シュート、パーム、ゴン、キルアは護衛軍を引き離す役割を分担した。同じ数分間に、ネテロ対メルエム、ゴンとピトー、ナックルたちとユピー、モラウとプフの攻防が並行する。作戦時間、能力の残り時間、登場人物が体感する時間が異なるため、出来事を時系列だけでなく任務別にも追う必要がある。

最大の転換は、武力だけでは生まれない。メルエムはコムギとの軍儀を通じて他者を個人として認識し始め、キルアはゴンを救いたいという一心から命令針に支配された行動原理を破る。反対にゴンは、カイトを元へ戻せるという期待を失った瞬間、未来の力を前借りして自分を壊す。人間性を得る王と、人間らしい選択肢を失う主人公が反対方向へ進む構図が、この編の中心にある。

個体記事へ分けて読む

キメラ=アントは登場個体が多く、軍団全員の経歴を一ページへ収めると階級と行動の関係が見えにくくなる。本記事では生態、軍団構造、NGLから東ゴルトー、宮殿突入、終幕までの流れを扱い、個々の能力と最期は人物ページへ分けている。王と護衛軍だけでなく、コルト、メレオロン、イカルゴ、ウェルフィン、ブロヴーダ、レイナのように人間側との境界を越える個体をたどると、女王の死後に軍団が一枚岩でなくなる過程が分かる。

決着も「討伐隊が全員を倒した」ではない。王と護衛軍には貧者の薔薇の毒が残り、投降や離脱を選ぶ蟻もいる。生き残った個体の一部は人間社会へ戻り、前世の記憶を持つ者は家族との再会へ進む。戦争の終了と種族の消滅を同一視しないことが、後日譚を理解する鍵になる。

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