人物
キキョウ=ゾルディック
ゾルディック家の女主人キキョウ=ゾルディック。シルバの妻でキルアたちの母にあたる暗殺者の人物像、ハンター試験編や選挙編での行動、装備と媒体ごとの描写の違いをまとめる。
キキョウ=ゾルディックは、暗殺を家業とするゾルディック家の女主人である。シルバ=ゾルディックの妻であり、イルミ、ミルキ、キルア、アルカ、カルトの母にあたる。自身も一流の暗殺者として家業に加わり、ゾルディック家の一員として紹介される。生年月日は1958年、年齢は44才、血液型はA型、身長は170cm、体重は47kg。出身地は流星街で、住民が公的な記録に残らないこの街の出自が、素性のつかみにくさにつながっている。
作中の描写はキルアへの過剰な愛情を軸に進む。キルアが家を出て第287期ハンター試験へ向かったときは、引き止めようとして負傷した。選挙編では、アルカを連れ出そうとする息子と正面から対立する。目元を電子バイザーで覆い、扇を手にした姿で描かれ、素顔はキルアに負わされた傷のため長く包帯に隠れていた。キキョウという名は原作にもアニメ本編にも登場せず、外部の媒体を通じて初めて公表された。

キキョウ=ゾルディック 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博

キルアを巡るゾルディック家の対話

アルカとキルアを取り巻く家族
基本情報
| 所属・役割 | ゾルディック家の一員で、家業の暗殺を担う暗殺者。シルバ=ゾルディックの妻。 |
|---|---|
| 初登場 | 原作第41話。映像化ではTVアニメ1999年版 第34話、2011年版 第23話。 |
| 状態 | 生存 |
| 念系統 | 操作系。作中で念能力そのものを披露した場面はない。 |
| 家族・関係 | シルバ=ゾルディックの妻。イルミ、ミルキ、キルア、アルカ、カルトの母。ゼノ=ゾルディックは義父にあたる。 |
| 生年月日・年齢・血液型 | 1958年生まれ、44才、A型。初登場時点を42才、生年を1957年頃とする記述もあり、数値に差がある。 |
| 身長・体重 | 170cm/47kg |
| 出身地 | 流星街 |
| 読者人気投票 | 第1回で125票を集めて13位。 |
人物像
キキョウはゾルディック家の母親役であり、同時に暗殺者本人でもある。生まれ育った流星街は住民が公的な記録に存在しない街で、街の存在自体を知る者もごくわずかしかいない。キキョウ自身もどのデータベースにも記録が残らず、外部から素性や動向を調べるのはほぼ不可能とされる。シルバとの出会いや結婚の経緯は明らかにされていないが、二人の間には5人の子が生まれた。
外見は黒髪に色白の肌。身長は170cmで、濃い紫のバッスルドレスをまとい、羽根と毛皮と花で飾った広いつばの帽子をかぶる。耳には弾丸を模したイヤリングを下げる。顔はキルアに負わされた傷のため包帯で覆われていたが、物語が進んだ段階でこれを外した。目元の電子バイザーは通信機として使える一方、ほかにどのような用途があるのかは分かっていない。
キルアへの愛情は極端で、息子が暗殺者として頭角を現し、家業を継ぐことを心待ちにしている。キルアが冷たさを見せるたびに喜び、その冷たさが自分へ向けられても変わらない。過剰な愛情と高すぎる期待は、過保護で均衡を欠いた親という形に固まった。息子に近づこうとする者は誰であれ、彼を惑わせるのではないかと疑ってかかる。キルアが自分に断りなく父と出かけたと知れば、誰も自分に相談しないと嘆き、息子から向けられた冷たい眼差しには見事だと賛辞を送る。
歪んだ形ではあるが家族への愛情は本物で、夫シルバとの関係は良好、子どもたち、とりわけキルアとカルトを愛している。一方、キルアへの接し方を冷酷で愛のないものと見なされることは嫌う。ゴン、クラピカ、レオリオがククルーマウンテンを訪れた際には、キルアを助けてほしいと三人へ訴えたカナリアをその場で昏倒させた。
作中での動向
およそ8年前、キキョウはアルカの能力を確かめるため、ミツバにアルカの願いをどんな小さなものでも断るよう命じた。その結果、ミツバと、そのとき離れた場所にいた恋人のハサムが、同時に挽き肉のように押し潰されて死亡する。キルアの説明によれば、アルカの願いを4回続けて拒んだために起きた現象だった。
キルアが家を出ると決めたとき、キキョウは第287期ハンター試験へ向かう息子を止めようとして負傷した。家を出た決断そのものは誇りに思う一方、一人で行かせることを案じ、様子を見張らせるためにイルミを送り出している。
ハンター試験編では末子のカルトを伴って現れる。ゾルディック家について差し出口をきいたカナリアを、小さな飛び道具ひとつで昏倒させた。訪ねてきたゴンには、キルアが自ら望んで独房にこもっていると説明する。ゼノからキルアを解放したと連絡が入ると激しく取り乱した。短く名乗りを済ませるとゴンに帰るよう告げ、自分も席を外す。その後、拷問を受けているキルアには、友人たちが庭を通っていると恩着せがましく伝えた。
シルバがキルアに友人との旅を許すと、キキョウは行く手を塞いだ。友人はもう帰ったと嘘をつき、拷問部屋へ戻る時間だと告げる。キルアはこれを無視して脇を通り抜けようとし、手を伸ばした母をひと睨みした。キキョウは結局そのまま息子を行かせている。後にシルバへ、キルアは反抗的になっているのだから躾が必要だと詰め寄ったが、シルバは、どこへ行こうと自分の息子である以上必ず戻ってくると言い切った。
ヨークシン編では、ゴンとキルアが念を込めた品々を商人へ売ろうとする場面で、キルアが間接的に母へ言及している。
アルカを巡る対立
選挙編では、シルバ、ミルキとともに監視カメラごしにキルアとアルカの様子を追い、キルアを良い兄だと評した。キルアがアルカを屋敷の外へ連れ出そうとするとシルバは反対し、二人にその場へとどまるよう命じる。
これに対しキルアはナニカに願いをかけた。30分以内に山を出られなければキキョウが死に、出られればキキョウがキルアの頬に口づけをするという内容である。キキョウはその場に崩れ落ちながら、これほど残酷なことを言える息子が誇らしいと語った。ほかに手はなく、シルバは二人の外出を認める。
屋敷を出た後も、キキョウはミルキとともにツボネのバイザーを通して任務の様子を生中継で見ていた。この事実はツボネ自身の口から明かされる。ナニカがゴンを癒す場面では、放たれたオーラに強い衝撃を受けた。
キルアとアルカが心を通わせる会話を交わした後、キキョウはキルアの拘束を解き、息子に初めて優しさを見せた。あわせて、ゾルディック家の秘密を守るためにツボネとアマネがキルアを標的とする根拠になっていた警戒レベル4を撤回し、その旨をキルアへ伝えるよう二人に指示している。
能力・特徴・関係
キキョウは高度な暗殺技術を身につけている。単独でプロハンターを倒せるほどの念能力者であるカナリアを、小さな飛び道具ひとつで難なく昏倒させた。莫大な富と有能な配下を自在に使える立場でもあり、ゾルディックという家名だけで、それを知る者を怯えさせる。世界屈指の殺し屋のひとりにも数えられる。TVアニメ1999年版には、アニタの父を殺したのはおそらく母だろうとキルアが述べる場面がある。
身体能力も高い。ゾルディック家の暗殺者として試しの門を開けられるが、何枚まで開けられるのかは明らかにされていない。移動の速さも際立ち、広大な屋敷の敷地を数分で走り抜ける。
念系統は操作系。作中で念能力そのものを披露した場面はまだないが、ナニカがゴンを癒したときに放たれたオーラへの反応から、念を知っていることは確かめられる。
常用する電子バイザーは通信機であると同時に監視カメラとしても働き、屋敷の各部屋の様子を映し出す。手にした扇は攻撃の道具にもなり、TVアニメ2011年版ではカナリアにこれを用いた。ゾルディック家の暗殺者は専用の無線機で互いに連絡を取り合い、暗殺契約を果たしたことを報告する。
家族との間合いは相手によって異なる。長男イルミとは持ちつ持たれつの関係にあり、家を出たキルアの監視という役目もこの間柄から生まれた。自分の選択を顧みないゼノにはたびたび苛立ちを見せる。アルカの処遇については、シルバやゼノと同じくイルミの主張する殺害に賛成せず、アルカの力を制御下に置いてキルアをその力から遠ざけることだけを望む。
媒体ごとの描写の違い
TVアニメ1999年版では、ドレスが黄色にピンクのフリルという配色で描かれた。バイザーはそのときの感情に応じて色が変わり、泣くとテレビの砂嵐に似た映像が浮かぶ。この砂嵐の演出は原作にも2011年版にもない。同作には台詞のないカメオとしての登場もある。
TVアニメ2011年版では、カナリアを昏倒させた飛び道具が扇の先端から放たれる描写になっている。キルアの幼少期の回想では、木の陰に隠れてキルアとカナリアの会話を聞いていた。キルアから友達になってほしいと頼まれたカナリアは、見張られていると分かっていたために断らざるを得なかった。包帯にも差があり、原作では単行本第32巻 第333話までに外しているのに対し、アニメでは着け続けている。アルカに会うため帰宅した後の装いも、原作では帽子とドレスが変わって脚と黒い靴が見えるようになるが、2011年版では以前と同じ衣装のままである。
数年前の姿として描かれた場面では着物をまとい、黒髪を大きな団子状にまとめ、帽子はかぶっていない。当時のバイザーにはマイクが付いておらず、耳を覆う形にもなっていなかった。
名称の公表と関連作品での扱い
キキョウという名は、原作でもアニメ本編でも一度も呼ばれていない。子どもたちは母上あるいはママと呼び、執事たちは奥様と呼ぶ。本人もキルアの母とだけ名乗る。名が初めて公表されたのはミュージカル ハンター×ハンター ナイトメア・オブ・ゾルディックで、その後に公式のデータブックへ掲載された。2011年版のクレジットや、Netflixによる公式配信の表記にも同じ名が使われている。なお公式のデータブックには、通常とは異なる綴りの表記も併載されている。
ゾルディック家の場面を舞台化したこのミュージカルでは、キキョウに大きな役が与えられ、イルミの行動の背後にいる主要な敵役として描かれた。アップルパイに酸を入れたのは正しかったのかと自問し、取り乱す場面もある。それでも最後にはキルアを山から解放し、ゴン、クラピカ、レオリオの命を助ける。
岸間信明が書いた公認の小説には、キキョウとキルアの関わりがより詳しく描かれている。ただし、この小説の内容を正典として扱えるかは曖昧である。そこでは、キルアが3歳でまだ電気への耐性を得ていなかった頃、キキョウが怠慢を理由に使用人の女性を電気の鞭で拷問した。かばおうとしたキルアへ鞭の矛先が向き、キルアは数週間意識を失うほどの重傷を負う。これ以降、キルアは彼女をママと呼ばなくなった。
他作品との関わりでは、『僕とロボコ』第12話にモデルとしてのカメオ出演がある。ゲームのハンター×ハンター〜決意〜では、キキョウのドレスがそのままトレースされ、クラピカ編第3章のVIPパーティー場面に流用された。読者人気投票では、第1回で125票を集めて13位に入っている。